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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】回路装置及びリアルタイムクロック装置
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20240326BHJP
   G04G 3/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H03B5/32 A
G04G3/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020122691
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019103
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100187539
【弁理士】
【氏名又は名称】藍原 由和
(72)【発明者】
【氏名】米山 剛
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-035707(JP,A)
【文献】特開2015-035706(JP,A)
【文献】特開2009-38432(JP,A)
【文献】特開昭63-181038(JP,A)
【文献】特開昭62-188091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G3/00-99/00
H03B5/32-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変容量回路を有し、容量設定値により前記可変容量回路の容量が設定されることで発振周波数が調整される発振回路と、
温度センサーと、
前記温度センサーから出力される温度検出電圧を温度検出データにA/D変換するA/D変換回路と、
前記温度検出データに基づいて温度補償処理を行うことで前記可変容量回路の前記容量設定値を設定する処理回路と、
第1電源電圧と第2電源電圧を含む複数の電源電圧のうちの1つの電源電圧について選択を行い、前記選択による電源電圧に基づく第3電源電圧を前記A/D変換回路に供給する電源回路と、
を含み、
前記処理回路は、
前記A/D変換回路のA/D変換期間において前記第1電源電圧から前記第2電源電圧へ電源電圧を切り替える第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、前記可変容量回路に出力する前記容量設定値の更新を停止することを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路装置において、
前記処理回路は、
前記A/D変換期間において前記第1電源電圧切り替え動作が行われなかったとき、前記可変容量回路に出力する前記容量設定値を更新することを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回路装置において、
前記処理回路は、前記可変容量回路に出力した過去の容量設定値を記憶する記憶回路を含み、
前記A/D変換期間において前記第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、前記処理回路は、前記過去の容量設定値を前記可変容量回路に出力することを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記処理回路は、前記記憶回路が保持する前記過去の容量設定値又は前記温度補償処理により求められた新容量設定値を選択するセレクターを含み、
前記A/D変換期間において前記第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、前記セレクターは、前記過去の容量設定値を選択し、
前記記憶回路は、前記セレクターが出力する前記過去の容量設定値を保持することを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項3に記載の回路装置において、
前記記憶回路は、クロック信号に基づいて、保持する容量設定値を更新し、
前記A/D変換期間と前記第1電源電圧切り替え動作のタイミングが重なったとき、前記記憶回路への前記クロック信号の入力を停止させることを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記電源回路は、
前記選択による電源電圧に基づいて前記第3電源電圧を生成する第3電源電圧生成回路と、
前記第3電源電圧の低下を検出する第3電源電圧低下検出回路と、
を含み、
前記処理回路は、前記A/D変換期間において、前記第3電源電圧低下検出回路により、前記第3電源電圧生成回路から供給された前記第3電源電圧の電圧低下が検出されたとき、前記可変容量回路に出力する前記容量設定値の更新を停止することを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記温度補償処理に用いられる温度補償データを記憶するメモリーを含み、
前記処理回路は、
前記メモリーからの前記温度補償データの読み出し期間において前記第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、前記可変容量回路に出力する前記容量設定値の更新を停止することを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記温度補償処理に用いられる温度補償データを記憶するメモリーを含み、
前記処理回路は、
前記メモリーからの前記温度補償データに基づく前記温度補償処理の演算期間において前記第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、前記可変容量回路に出力する前記容量設定値の更新を停止することを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記電源回路は、
外部の電源から供給される電圧である前記第1電源電圧のノードである第1ノードと、前記選択に基づく電源電圧である第4電源電圧のノードである第3ノードとの間に設けられる第1スイッチと、
バッテリーから供給される電圧である前記第2電源電圧のノードである第2ノードと、前記第3ノードとの間に設けられる第2スイッチと、
前記第1電源電圧の電圧低下を検出する第1電源電圧低下検出回路と、
を含み、
前記第1電源電圧低下検出回路が前記第1電源電圧の電圧低下を検出したとき、前記第1スイッチがオンからオフになり、前記第2スイッチがオフからオンになり、
オンになった前記第2スイッチを介して前記第2ノードに供給される前記第2電源電圧に基づく前記第3電源電圧が、前記A/D変換回路に供給されることを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記処理回路は、
前記A/D変換回路の前記A/D変換期間において前記第1電源電圧切り替え動作が行われた後において、前記第2電源電圧から前記第1電源電圧へ電源電圧を切り替える第2電源電圧切り替え動作が行われるタイミングを、前記容量設定値の設定が更新されるタイミングと異ならせることを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回路装置と、
前記発振回路の発振動作により振動する振動子と、
を含み、
前記処理回路は、発振信号に基づく計時処理を行う計時回路を含むことを特徴とするリアルタイムクロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及びリアルタイムクロック装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
主電源の電圧を監視して設定電圧以上では主電源で回路装置を動作させ、設定電圧よりも低くなるとバックアップ電源で回路装置を動作させるバックアップ電源回路を備えた回路装置が知られている。また、発振回路を含む回路装置であって、温度センサーからの温度検出電圧をA/D変換した温度検出データを用いて、発振回路の発振周波数の温度補償処理を行う回路装置が知られている。特許文献1には、電源電圧切り替えのタイミングと温度補償のタイミングが重ならないように設定されている回路装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-035707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された手法では、温度補償の信頼性等については担保できるものの、電源電圧切り替え動作が、例えば1秒に1回という周期的なタイミングでしか行うことができず、その周期の分だけ電源電圧切り替えのタイミングが遅れてしまうおそれがあった。従って、結果的に、任意のタイミングで起こりえる電源電圧の低下等の事態に適切に対応出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、可変容量回路を有し、容量設定値により前記可変容量回路の容量が設定されることで発振周波数が調整される発振回路と、温度センサーと、前記温度センサーから出力される温度検出電圧を温度検出データにA/D変換するA/D変換回路と、前記温度検出データに基づいて温度補償処理を行うことで前記可変容量回路の前記容量設定値を設定する処理回路と、第1電源電圧と第2電源電圧を含む複数の電源電圧のうちの1つの電源電圧について選択を行い、前記選択による電源電圧に基づく第3電源電圧を前記A/D変換回路に供給する電源回路と、を含み、前記処理回路は、前記A/D変換回路のA/D変換期間において前記第1電源電圧から前記第2電源電圧へ電源電圧を切り替える第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、前記可変容量回路に出力する前記容量設定値の更新を停止することを特徴とする回路装置に関係する。
【0006】
また、本開示の他の態様は、上記に記載の回路装置と、前記発振回路の発振動作により振動する振動子と、を含み、前記処理回路は、発振信号に基づく計時動作を行う計時回路を含むことを特徴とするリアルタイムクロック装置に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】回路装置の構成例を示す図。
図2】処理回路と温度検出回路と発振回路のより詳細な構成例を示す図。
図3】比較例の手法とその問題点を説明する図。
図4】比較例の手法とその問題点を説明する他の図。
図5】電源回路の詳細な構成例を示す図。
図6】容量設定値更新回路のより詳細な構成例を示す図。
図7】回路装置の各動作のタイミングの関係について説明する図。
図8】温度補償動作のより詳細な動作例について説明する図。
図9】回路装置の各動作のタイミングの関係について説明する別の図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.基本構成
本実施形態に係る回路装置100について、図1図2を用いて説明する。図1は回路装置100の構成例を示す図であり、図2は温度検出回路160、温度補償回路122及び発振回路150のより詳細な構成例を示す図である。本実施形態の回路装置100は、電源回路110と、処理回路120と、発振回路150を含む。また、図1図2に示すように、本実施形態の回路装置100は、さらに温度検出回路160を含むことができる。また、温度検出回路160は温度センサー162とA/D変換回路164を含む。言い換えれば、本実施形態の回路装置100は、温度センサー162とA/D変換回路164を含む。また、図1図2に示すように、処理回路120は、温度補償回路122を含み、温度補償回路122は演算回路124と容量設定値更新回路126を含む。また、発振回路150は可変容量回路156を含む。なお、本実施形態の回路装置100は図1の構成に限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したりする等、種々の変形実施が可能である。例えば、回路装置100は、図1に示すように、パワーオンリセット回路130とインターフェース回路170をさらに含んでもよく、さらに他の構成要素を追加してもよく、これらについては後述する。
【0010】
電源回路110は、第1電源電圧VDD及び第2電源電圧VBATをモニターし、そのモニター結果に基づいて第1電源電圧VDDと第2電源電圧VBATの選択動作を行い、その選択した電圧を、後述する第4電源電圧VOUTとして出力する。なお、既に一の電源電圧を選択している状態において、他の電源電圧の選択動作をすることを、電源電圧を切り替えるともいう。また、以下の説明において、第1電源電圧VDDから第2電源電圧VBATに電源電圧を切り替えることを第1電源電圧切り替え動作といい、第2電源電圧VBATから第1電源電圧VDDに電源電圧を切り替えることを第2電源電圧切り替え動作というものとする。なお、電源電圧を切り替えることを、電源を切り替えるとも言うことができる。端子TVOUTには、第4電源電圧VOUTを安定化するための、図示しない安定化キャパシターが接続される。なお、本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続は、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は能動素子等を介した接続であってもよい。電源回路110は、後述する第4電源電圧VOUTに基づく第3電源電圧VDDAを、温度検出回路160に供給する。言い換えれば、電源回路110は、第1電源電圧VDDと第2電源電圧VBATを含む複数の電源電圧のうちの1つの電源電圧について選択を行い、選択による電源電圧に基づく第3電源電圧VDDAをA/D変換回路164に供給する。なお、これらの詳細な説明は後述する。
【0011】
次に、図2を用いて、温度検出回路160が含む温度センサー162及びA/D変換回路164について説明する。温度センサー162は、温度を検出する。具体的には、温度センサー162は、環境の温度に応じて変化する温度依存電圧を、アナログの温度検出電圧VTDとして出力する。例えば温度センサー162は、温度依存性を有する回路素子を利用して温度検出電圧VTDを生成する。具体的には、温度センサー162は、PN接合の順方向電圧が有する温度依存性を用いることで、温度に依存して電圧値が変化する温度検出電圧VTDを出力する。PN接合の順方向電圧としては、例えばバイポーラトランジスターのベース・エミッター間電圧などを用いることができる。
【0012】
A/D変換回路164は、温度センサー162から出力されたアナログの温度検出電圧VTDに対してA/D変換を行って、デジタルの温度検出データDTDを出力する。A/D変換回路164のA/D変換方式としては、例えば逐次比較方式や逐次比較方式に類似する方式などを採用できる。なおA/D変換方式として、デルタシグマ型、フラッシュ型、パイプライン型又は二重積分型等を採用してもよい。
【0013】
図1に戻り、処理回路120について説明する。処理回路120は、後述する電源電圧VLOGにより動作するロジック回路であり、計時処理を含む様々な処理、及び回路装置100の各部の制御を行う。また処理回路120は、インターフェース回路170を介してプロセッサーとの通信を行う。インターフェース回路170は、端子TIFを介してプロセッサーに接続される。図1では端子TIFを1つに省略しているが、実際にはインターフェース用に複数の端子が設けられる。処理回路120にはパワーオンリセット信号PORQが入力され、処理回路120はパワーオンリセット信号PORQによりリセット及びリセット解除される。
【0014】
図2を用いて、温度補償回路122について説明する。温度補償回路122は、演算回路124と容量設定値更新回路126を含む。温度補償回路122は、温度検出回路160が出力する温度検出データDTDに基づいて、発振回路150の発振周波数を温度によらず一定にするための、所定ビット数からなる容量設定値CPを、後述する可変容量回路156に出力する。言い換えれば、処理回路120は、温度検出データDTDに基づいて温度補償処理を行うことで可変容量回路156の容量設定値CPを設定する。本実施形態の温度補償回路122から出力される容量設定値CPは、演算回路124が演算して更新された新容量設定値CPCALとなる場合と、更新されなかった過去の容量設定値CPOUTとなる場合があり、詳細は、容量設定値更新回路126の説明とともに後述する。
【0015】
図2の演算回路124は、温度検出データDTDに対応するアドレスと温度補償データをテーブル化したルックアップテーブルを、後述するメモリー180に記憶し、温度検出データDTDの入力に対応して温度補償データを選択する。なお、選択した温度補償データをさらに補完する処理を追加してもよい。演算回路124が演算した結果、所定ビット数のデータからなる新容量設定値CPCALが容量設定値更新回路126に出力される。なお、新容量設定値CPCALの演算手法は上記に限定されない。例えば、演算回路124は多項式近似によるアナログ方式の演算処理を行うことにより、新容量設定値CPCALを演算してもよい。
【0016】
次に、図1の発振回路150について説明する。発振回路150は振動子10を発振させる。例えば発振回路150は、端子XI及び端子XQに電気的に接続され、振動子10を発振させることで発振信号を生成する。例えば発振回路150は、端子XI及び端子XQに接続される信号線を介して振動子10を駆動して、振動子10を発振させる。例えば発振回路150は、端子XI及び端子XQとの間に設けられた発振用の駆動回路などを含む。例えば発振回路150は、駆動回路を実現するバイポーラトランジスターなどのトランジスターと、キャパシターや抵抗などの能動素子により実現できる。発振回路150としては、例えばピアース型、コルピッツ型、インバーター型又はハートレー型などの種々のタイプの発振回路を用いることができる。また、発振回路150は、可変容量回路156を含み、この可変容量回路156の容量の調整により、発振周波数を調整できる。
【0017】
次に、図2の可変容量回路156について説明する。可変容量回路156は、例えば図示等は省略するが、複数のスイッチが並列に設けられるスイッチアレイと、複数のキャパシターが並列に設けられるキャパシターアレイを含むことができる。そしてスイッチアレイとキャパシターアレイは、発振回路150の駆動回路の出力ノード及び入力ノードの一方のノードと、低電位側電源ノードである例えばGNDノードとの間に設けられる。なお、出力ノードと入力ノードの両方のノードのそれぞれに、対応するスイッチアレイとキャパシターアレイを設けてもよい。例えばスイッチアレイの複数のスイッチの各スイッチと、キャパシターアレイの複数のキャパシターの各キャパシターが、上述の一方のノードとGNDノードとの間に直列に設けられる。そして処理回路120からのデジタルデータである容量設定値CPの各ビットに基づいて、スイッチアレイの各スイッチがオン又はオフされることで、可変容量回路156の容量が調整される。すなわち、上記一方のノードに接続されるキャパシターの個数が変化することで可変容量回路156の容量が調整される。容量設定値CPは、発振回路150の発振周波数を温度によらず一定にするための温度補償用の容量の制御データと呼ぶこともできる。
【0018】
なお、可変容量回路156を、例えば、バラクター等の可変容量素子により実現してもよい。例えば、図示は省略するが、D/A変換回路を設け、このD/A変換回路により、温度補償用の容量の制御データとなる容量設定値CPのD/A変換を行って、制御電圧を生成し、生成された制御電圧に基づいて可変容量素子の容量を調整することで、可変容量回路156の容量を調整してもよい。
【0019】
このように、本実施形態の回路装置100は、発振回路150と、温度センサー162と、A/D変換回路164と、処理回路120と、電源回路110と、を含む。発振回路150は、可変容量回路156を有し、容量設定値CPにより可変容量回路156の容量が設定されることで発振周波数が調整される。A/D変換回路164は、温度センサー162から出力される温度検出電圧VTDを温度検出データDTDにA/D変換する。処理回路120は、温度検出データDTDに基づいて温度補償処理を行うことで可変容量回路156の容量設定値CPを設定する。電源回路110は、第1電源電圧VDDと第2電源電圧VBATを含む複数の電源電圧のうちの1つの電源電圧について選択を行い、選択による電源電圧に基づく第3電源電圧VDDAをA/D変換回路164に供給する。このようにすることで、発振回路150は、周囲温度にかかわらず一定の発振周波数でクロック信号を出力することができ、さらに、第1電源電圧VDDが低下しても第2電源電圧VBATによるバックアップが可能になる。
【0020】
ところで、上記の構成のみでは、例えば、第1電源電圧VDDから第2電源電圧VBATに切り替える処理に関するタイミングと、温度補償処理を行うタイミングについては考慮されていない。回路装置100における各処理のタイミングが重複すると、回路装置100に含まれる多数のモジュールを同時に動作させ、回路装置100に要する電力が急激に増大することになり、好ましくない。
【0021】
図3は、上記構成を備えた回路装置100への特許文献1の手法の適用例を、比較例として説明するタイムチャートである。期間T0は、タイミングA8からタイミングA9の間であり、A5に示す温度補償動作が行われる期間である。また、第4電源電圧VOUTは第1電源電圧VDDに基づき出力されているものとする。特許文献1の手法によると、A1に示すように、期間T0の間に第1電源電圧VDDが急激に低下した状況が発生しても、A3,A4に示すように、タイミングA9において第1電源電圧VDDが第2電源電圧VBATに切り替わり、第4電源電圧VOUTとして出力されるようになる。なお、A2に示すオンとオフの切り替えについては後述する。そして、A5に示す温度補償動作により、A6、A7に示すように、可変容量回路156に出力される容量設定値CPは、過去の容量設定値CPOUTから、新容量設定値CPCALに切り替わる。
【0022】
特許文献1に記載の手法を適用すると、A/D変換回路164によるA/D変換や温度補償回路122による処理の信頼性は確保されるが、例えば、第1電源電圧VDDの電圧低下の発生から、第2電源電圧VBATへの切り替えに最大で1秒要することになり、回路装置100又は後述するリアルタイムクロック装置200の迅速なバックアップに対応できない可能性がある。
【0023】
図4は、回路装置100へ別の手法を適用した比較例を説明するタイムチャートである。別の手法とは、第1電源電圧VDDから第2電源電圧VBATへの切り替えを任意のタイミングで実行できるようにした手法である。なお、図3と同様に、第4電源電圧VOUTは第1電源電圧VDDに基づき出力されているものとする。図4の場合は、B1に示すような第1電源電圧VDDの急激な低下のタイミングに対応して、B3,B4に示すように第1電源電圧VDDが第2電源電圧VBATに切り替わり、第4電源電圧VOUTとして出力されるようになる。
【0024】
しかし、B1に示すタイミングは、B5に示す温度補償動作の実行中のタイミングでもあるため、不具合が発生する可能性がある。例えばB6,B7に示すように、容量設定値CPOUTが、不定値であるXになってしまう不具合が発生するおそれがある。また、第1電源電圧VDDから第2電源電圧VBATへ切り替える処理と、温度補償動作に関する処理の両方に対して、必要な電力を供給することができなくなり、A/D変換の処理を行っている間に第3電源電圧VDDAが揺らぐというような不具合が発生するおそれがある。特に、回路装置100や後述するリアルタイムクロック装置200を低消費電力で使用する場合、このような問題が起こる可能性が高い。
【0025】
なお、回路装置100又はリアルタイムクロック装置200を低消費電力で使用する場合とは、例えば、リアルタイムクロック装置200を、CPU又はマイクロコンピューター等のプロセッサーとを含むシステムに組み入れて使用する場合である。この場合、第1電源電圧VDDは、プロセッサー及びリアルタイムクロック装置200に供給されるシステム電源電圧となる。このようなシステムにおいては、プロセッサーが動作しないときでもリアルタイムクロック装置200が計時を行うため、プロセッサーが動作しないような低い第1電源電圧VDDにおいてリアルタイムクロック装置200が動作することが求められる。
【0026】
そこで、詳細は後述するが、本実施形態の処理回路120は、A/D変換回路164のA/D変換期間において第1電源電圧VDDから第2電源電圧VBATへ電源電圧を切り替える第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、可変容量回路156に出力する容量設定値CPの更新を停止する。このようにすることで、第1電源電圧VDDから第2電源電圧VBATへの電源電圧切り替えを迅速に行いつつ、可変容量回路156に出力する容量設定値CPの更新を停止することにより温度補償の信頼性の低下を防止することができるため、任意のタイミングに起こりえる電源電圧の低下等の事態に適切な対応をすることができる。
【0027】
また、本実施形態の回路装置100は、図1の構成に限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したりする等、種々の変形実施が可能である。例えば、回路装置100は、端子TVDD、TVBAT、TVOUT、TIF、XI、XQをさらに含んでもよい。端子TVDDには、例えば、後述するリアルタイムクロック装置200を含むシステムの電源から、第1電源電圧VDDが供給される。なお本実施形態におけるTVDD、TVBAT、TVOUT、TIF、XI、XQなどの端子は、例えば回路装置100におけるパッドである。システムは、リアルタイムクロック装置200のホスト装置であるプロセッサーを含み、プロセッサーは、第1電源電圧VDDにより動作する。端子TVBATにはバッテリーが接続され、そのバッテリーから第2電源電圧VBATが供給される。バッテリーは2次電池であってもよいし、一次電池であってもよく、リアルタイムクロック装置200のバックアップ電源となるものである。即ち、第1電源電圧VDDが供給されずプロセッサーが動作しないときに、リアルタイムクロック装置200は第2電源電圧VBATによって動作する。
【0028】
また、本実施形態の回路装置100は、さらにメモリー180を含んでもよい。メモリー180は、回路装置100や後述するリアルタイムクロック装置200に必要なデータを記憶する。必要なデータは、例えば、後述する可変容量回路156の容量設定値の設定情報等であるが、他の情報であってもよい。言い換えれば、回路装置100は、温度補償処理に用いられる温度補償データを記憶するメモリー180を含む。メモリー180は、例えば、不揮発性メモリーにより実現できる。不揮発性メモリーは、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリーなどである。EEPROMは例えばフローティングゲート型のメモリーセルなどにより実現できる。フラッシュメモリーは、例えばMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)のメモリーセルなどにより実現できる。
【0029】
また、本実施形態の回路装置100は、図5に示すような電源回路110を構成してもよい。図5は、電源回路110の構成をより詳細に説明する図である。電源回路110は、P型トランジスター111,112,113と、スイッチ制御回路114と、第1検出回路115と、第2検出回路116と、レギュレーターであるVOSC_REG151と、レギュレーターであるVDDA_REG152と、レギュレーターであるVLOG_REG153、第3電源電圧低下検出回路155と、コンパレーターであるCMP190を含む。
【0030】
第1検出回路115は、第1ノードである電源電圧ノードNVDDの第1電源電圧VDDが第1検出電圧より低いか否かを検出し、その結果を第1検出信号DET1としてスイッチ制御回路114に出力する。言い換えれば、第1検出回路115は、第1電源電圧VDDの電圧低下を検出する第1電源電圧低下検出回路である。第1検出回路115は、第1電源電圧VDDを分圧する抵抗分圧回路と、その分圧電圧と第1検出電圧を比較するコンパレーターと、を含む。第2検出回路116は、第2ノードである電源電圧ノードNVBATの第2電源電圧VBATが第2検出電圧より低いか否かを検出し、その結果を第2検出信号DET2としてスイッチ制御回路114に出力する。第2検出回路116は、第2電源電圧VBATを分圧する抵抗分圧回路と、その分圧電圧と第2検出電圧を比較するコンパレーターと、を含む。第1検出電圧及び第2検出電圧は、例えば不図示の電圧生成回路により生成される。
【0031】
スイッチ制御回路114は、第1検出信号DET1及び第2検出信号DET2に基づいてP型トランジスター111~113をオン又はオフに制御する。つまり、P型トランジスター111~113はスイッチの役割を持ち、P型トランジスター111を第1スイッチと呼ぶことができ、P型トランジスター112,113は第2スイッチと呼ぶことができる。なお、図5において点線で示したダイオードは、ソース又はドレインの一方とバックゲートの間に生じる寄生ダイオードである。
【0032】
また、P型トランジスター111のソース又はドレインの一方は第1ノードNVDDに接続され、ソース又はドレインの他方及びバックゲートは第3ノードであるノードNVOUTに接続される。また、P型トランジスター111は、第1ノードNVDDと第3ノードNVOUTの間に配置される。言い換えれば、第1スイッチであるP型トランジスター111は、外部の電源から供給される電圧である第1電源電圧VDDのノードである第1ノードNVDDと、選択に基づく電源電圧である第4電源電圧VOUTのノードである第3ノードNVOUTとの間に設けられる。
【0033】
また、P型トランジスター112のソース又はドレインの一方はノードNAに接続され、ソース又はドレインの他方及びバックゲートは第3ノードNVOUTに接続される。また、P型トランジスター113のソース又はドレインの一方はノードNAに接続され、ソース又はドレインの他方及びバックゲートは第2ノードNVBATに接続される。また、P型トランジスター112,113は、第2ノードNVBATと第3ノードNVOUTの間に設けられる。言い換えれば、第2スイッチであるP型トランジスター112,113は、バッテリーから供給される電圧である第2電源電圧VBATのノードである第2ノードNVBATと、第3ノードNVOUTとの間に設けられる。
【0034】
具体的には、第1電源電圧VDDが第1検出電圧より高いと検出されたとき、スイッチ制御回路114はP型トランジスター111をオンにし、P型トランジスター112,113をオフにする。これにより第3ノードNVOUTに第4電源電圧VOUT=VDDが出力される。第1電源電圧VDDが第1検出電圧より低いと検出され、且つ第2電源電圧VBATが第2検出電圧より高いと検出されたとき、スイッチ制御回路114はP型トランジスター111をオフにし、P型トランジスター112,113をオンにする。これにより第3ノードNVOUTに第4電源電圧VOUT=VBATが出力される。第1電源電圧VDDが第1検出電圧より低いと検出されるとは、具体的には、前述の図3のA1や図4のB1に示す事象をいう。また、P型トランジスター111をオフにし、P型トランジスター112、113をオンにするとは、具体的には前述の、図3のA2や図4のB2に示す事象をいう。
【0035】
なお、本実施形態の第2電源電圧VBATの電圧は、第1電源電圧VDDの電圧より高くなるように、後述するCMP190によって定期的に監視されている。そして、第2電源電圧VBATが第1電源電圧VDDより低いときはバッテリーが充電される。そのため、第2電源電圧VBATが第2検出電圧より高いように、通常は検出される。
【0036】
VOSC_REG151は、第4電源電圧VOUTをレギュレートすることで電源電圧VOSCを生成し、その電源電圧VOSCを発振回路150に出力する。VDDA_REG152は、第4電源電圧VOUTをレギュレートすることで第3電源電圧VDDAを生成し、その第3電源電圧VDDAを温度検出回路160に出力する。言い換えれば、VDDA_REG152は、第3電源電圧VDDAを生成する第3電源電圧生成回路である。つまり、電源回路110は、選択による電源電圧に基づいて第3電源電圧VDDAを生成する第3電源電圧生成回路を含む。また、選択による電源電圧に基づく第3電源電圧VDDAは、温度検出回路160に含まれるA/D変換回路164に供給される。VLOG_REG153は、第4電源電圧VOUTをレギュレートすることで電源電圧VLOGを生成し、その電源電圧VLOGを処理回路120に出力する。VOSC_REG151、VDDA_REG152及びVLOG_REG153は、例えば、演算増幅器と抵抗等により構成されたリニアレギュレーターである。
【0037】
つまり、第1電源電圧VDDが第1検出電圧より低いと検出されたとき、第2電源電圧VBAT=第4電源電圧VOUTをVDDA_REG152によって生成された第3電源電圧VDDAが、後述のA/D変換回路164に供給される。言い換えれば、第1電源電圧VDDの電圧低下が検出されたとき、第1スイッチであるP型トランジスター111がオンからオフになり、オンである第2スイッチであるP型トランジスター112,113を介して供給される電源電圧に基づく第3電源電圧VDDAがA/D変換回路164に供給される。これにより、第1電源電圧VDDの電圧が低下しても、第2電源電圧VBATに基づく第3電源電圧VDDAをA/D変換回路164に供給することができる。
【0038】
第3電源電圧低下検出回路155は、第3電源電圧VDDAの低下を検出し、信号DRDを出力する。つまり、電源回路110は、第3電源電圧VDDAの低下を検出する第3電源電圧低下検出回路155を含む。
【0039】
また、CMP190は、第1電源電圧VDDと第2電源電圧VBATの電圧を所定のタイミングで比較するコンパレーターである。CMP190は、必要に応じて信号CMPQを出力する。所定のタイミングについては、図7を用いて後述する。
【0040】
また、本実施形態の回路装置100は、さらに、振動子10と計時回路121を含み、リアルタイムクロック装置200として使用してもよい。言い換えれば、本実施形態のリアルタイムクロック装置200は、回路装置100と、発振回路150の発振動作により振動する振動子10と、を含み、処理回路120は、発振信号に基づく計時処理を行う計時回路121を含む。
【0041】
計時回路121は、発振回路150が生成したクロック信号に基づいて計時処理を行い、計時情報を生成する。計時回路121は、クロック信号によりカウント動作を行うカウンターを有し、そのカウンターのカウント値のデータを計時情報として出力する。計時情報は、システムの現在時間を示す情報であり、例えばリアルタイムクロック装置200が起動して初期化された後の経過時間を示す。計時情報は、インターフェース回路170を介してプロセッサーから読み出し可能である。
【0042】
振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する。振動子10は、例えば水晶振動片などの振動片により実現できる。例えば、振動子10は、カット角がATカットやSCカットなどの厚みすべり振動する水晶振動片などにより実現できる。例えば、振動子10は、恒温槽を備えない温度補償型水晶発振器(TCXO)に内蔵されている振動子であるが、恒温槽を備える恒温槽型水晶発振器(OCXO)に内蔵されている振動子であってもよい。なお、本実施形態の振動子10は、例えば厚みすべり振動型以外の振動片や、水晶以外の材料で形成された圧電振動片などの種々の振動片により実現できる。例えば振動子10として、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子や、シリコン基板を用いて形成されたシリコン製振動子としてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用してもよい。
【0043】
このようにすることで、本実施形態の回路装置100を、リアルタイムクロック装置200に適用することができる。
【0044】
2.本実施形態の手法
本実施形態の手法に係る構成及び動作等について、図6図7及び図8を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る容量設定値更新回路126の構成例を説明する図である。容量設定値更新回路126は、選択制御信号生成回路310と、第1セレクター320と、第2セレクター330と、第3セレクター340と、電源電圧切り替え動作検出回路350と、容量設定値確定レジスター360を含む。容量設定値確定レジスター360に取り込まれ、記憶された容量設定値CPに基づいて、容量設定値更新回路126から可変容量回路156に当該容量設定値CPが出力される。なお、図6の例では、容量設定値CPは11ビットからなるデータであるものとするが、容量設定値CPのビット数は11ビットに限定されるものではない。
【0045】
新容量設定値CPCALは、温度補償動作の実行タイミングごとに、演算回路124によって演算され、容量設定値確定レジスター360に新たに入力されることで、更新されていく。また、容量設定値確定レジスター360は、クロック信号CLKが入力されたDフリップフロップ等により実現される。つまり、記憶回路である容量設定値確定レジスター360は、クロック信号に基づいて、保持する容量設定値を更新する。
【0046】
容量設定値確定レジスター360には、新たな温度補償動作の実行タイミングの前は、過去の容量設定値CPOUTが記憶されている。つまり、処理回路120は、可変容量回路156に出力した過去の容量設定値CPOUTを記憶する記憶回路である容量設定値確定レジスター360を含む。また、本実施形態においては、A/D変換期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、容量設定値確定レジスター360は、過去の容量設定値CPOUTを保持する。そして、当該過去の容量設定値CPOUTが可変容量回路156に出力される。以下、その手法について説明する。
【0047】
選択制御信号生成回路310は、カウンターからのカウント値CNTが、所定値CSTに一致すると、選択制御信号SEL1がアクティブになり、第1セレクター320が新容量設定値CPCALを選択し、信号Q1として第2セレクター330に出力する。それ以外の期間においては、第1セレクター320は過去の容量設定値CPOUTを選択する。つまり、第1セレクター320は、記憶回路である容量設定値確定レジスター360が保持する過去の容量設定値CPOUT、又は温度補償処理により求められた新容量設定値CPCALを選択するセレクターである。後述する第2セレクター330及び第3セレクター340も同様である。
【0048】
第3電源電圧低下検出回路155によって、前述の所定期間において第3電源電圧VDDAの低下が検出されたとき、信号DRDが出力される。そして、信号DRDが選択制御信号SEL2としてアクティブになり、第2セレクター330が過去の容量設定値CPOUTを選択し、信号Q2として第3セレクター340に出力する。具体的には、選択制御信号SEL2は、第3電源電圧VDDAの低下の発生タイミングから、当該温度補償動作の期間を含む特定タイミング迄の期間において出力されることで、実現できる。その結果、図6により、後述するQ3として過去の容量設定値CPOUTが出力されるので、温度補償回路122から過去の容量設定値CPOUTが出力されることになる。なお、所定期間とは、例えば、A/D変換期間を含む期間であるが、温度補償動作全体の期間を含んでもよく、詳細は図8で後述する。また信号がアクティブとは、信号がハイレベル及びローレベルの一方のレベルである場合であり、非アクティブとは他方のレベルである場合である。
【0049】
このように、A/D変換期間を含む所定期間において、第3電源電圧VDDAが低下したことが検出されたとき、容量設定値CPは更新されないようになる。言い換えれば、処理回路120は、A/D変換期間において、第3電源電圧低下検出回路155により、第3電源電圧生成回路から供給された第3電源電圧VDDAの電圧低下が検出されたとき、可変容量回路156に出力する容量設定値CPの更新を停止する。
【0050】
第1電源電圧切り替え動作が上述の所定期間に行われたとき、図示等は省略するが、信号PCDが出力される。なお、前述のSEL2は非アクティブであるものとする。当該信号PCDは電源電圧切り替え動作検出回路350によってサンプリングされ、2クロック後に、クロック信号CLKと同期した選択制御信号SEL3がアクティブとなり、第3セレクター340が過去の容量設定値CPOUTを選択する。言い換えれば、A/D変換期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、第3セレクター340は過去の容量設定値CPOUTを選択する。具体的には、上記と同様に、選択制御信号SEL3が、第1電源電圧切り替え動作の発生タイミングから、当該温度補償動作の期間を含む特定タイミング迄の期間においてアクティブにされることで、実現できる。
【0051】
そして、第3セレクター340は、選択した過去の容量設定値CPOUTを信号Q3として容量設定値確定レジスター360に出力する。つまり、記憶回路である容量設定値確定レジスター360は、セレクターである第3セレクター340が出力する過去の容量設定値CPOUTを保持する。これにより、より確実に過去の容量設定値CPOUTを記憶回路に保持することができる。なお、図6では容量設定値確定レジスター360は、1つのDフリップフロップを模式的に示しているが、過去の容量設定値CPOUT及び新容量設定値CPCALは11ビットからなるデータであるため、実際は11個のDフリップフロップから構成されている。
【0052】
このように、A/D変換期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、処理回路120は、過去の容量設定値CPOUTを可変容量回路156に出力する。これにより、温度補償の信頼性の低下をより確実に防止することができる。逆に、選択制御信号SEL3が上記所定期間において非アクティブの場合、新容量設定値CPCALが信号Q3として容量設定値確定レジスター360に記憶され、可変容量回路156に出力される。言い換えれば、A/D変換期間において第1電源電圧切り替え動作が行われなかったとき、可変容量回路156に出力する容量設定値CPを更新する。これにより、A/D変換期間において第1電源電圧切り替え動作が行われない場合は、温度補償の信頼性を維持することができる。
【0053】
なお、本実施形態における容量設定値更新回路126の構成は図6に限定されず、様々な変形実施が可能である。例えば、図6では第2セレクター330と第3セレクター340を使い分けているが、信号DRDと信号PCDの論理和からなる信号を第2セレクター330の制御信号としてもよい。
【0054】
また、図6では、容量設定値確定レジスター360から過去の容量設定値CPOUTが出力されるようにしたが、容量設定値確定レジスター360から過去の容量設定値CPOUTが出力されないようにしてもよい。具体的には、容量設定値確定レジスター360に入力されるクロック信号CLKと信号PCDとの論理積ゲートを用いて、クロック信号CLKをマスクすることで実現することができる。言い換えれば、A/D変換期間と第1電源電圧切り替え動作のタイミングが重なったとき、記憶回路である容量設定値確定レジスター360へのクロック信号CLKの入力を停止させる。これにより、セレクターを必要以上に用いることなく、温度補償の信頼性の低下を防止することができる。
【0055】
図7は、回路装置100における各モジュールの動作が行われるタイミングの関係を説明する図である。ここでは、カレンダーの更新動作、第2電源電圧VBATの低下を監視する動作、コンパレーターであるCMP190の動作、温度補償動作のタイミングの関係について説明する。これらの動作は消費電力が大きく、動作タイミングの重複を避けることが望ましい。
【0056】
カレンダーは期間T1ごとに更新される。期間T1は任意に設定可能であるが、ここでは1秒とする。第2電源電圧VBATの低下を監視する動作タイミングは、3秒に1回繰り返して行われるが、カレンダー更新のタイミングと比較して期間T2だけずれている。期間T2は任意に設定可能であるが、ここでは500ミリ秒とする。CMP190が実行する動作は、同様に、カレンダー更新のタイミングと比較して期間T2だけずれている。ただし、CMP190が実行する動作は、1秒おきに2回実行後、2秒後に再度1秒おきに2回実行する処理を繰り返し、第2電源電圧VBATの低下を監視する動作のタイミングと重複しないようになっている。
【0057】
このようにすることで、カレンダー更新動作のタイミングと第2電源電圧VBATの低下の監視動作とCMP190の動作のタイミングが重複することはなく、消費電力が増大することを防止できる。なお、第4電源電圧VOUTが第1電源電圧VDDとして出力されている場合、第1電源電圧VDDの低下を監視する動作は、常時実行しているため、図示を省略している。
【0058】
温度補償動作のタイミングは、クロック信号CLKの立ち上がりと同期して実行される。なお、図7のクロック信号CLKは周期が1秒になるように分周しているものとする。温度補償動作のタイミングは、カレンダー更新のタイミングと比較して期間T3だけずれている。期間T3は任意に設定可能であるが、ここでは375ミリ秒とする。そして、500ミリ秒の周期で温度補償動作が実行される。このようにすることで、温度補償動作のタイミングは、カレンダー更新動作のタイミング、第2電源電圧VBATの電圧低下監視動作のタイミング及びCMP190の動作タイミングと重複することがないため、消費電力が集中的に増大することを防止できる。
【0059】
なお、図7から、温度補償動作の実行タイミングと他の実行タイミングとの間隔は、最短で125ミリ秒となることが分かるが、温度補償動作に要する時間は5ミリ秒も要さないと考えられるので、温度補償動作の実行期間と他の処理の実行期間が重複することは想定されない。
【0060】
なお、第1電源電圧VDDの低下を監視する動作は、前述の通り常時実行しており、クロック信号CLKと同期しているとは限らない。そのため、図6の容量設定値確定レジスター360に信号PCDを入力するにあたり、クロック信号CLKと同期させるため、電源電圧切り替え動作検出回路350が必要になる。
【0061】
次に、図8を用いて、温度補償動作と容量設定値の決定の関係について説明する。図8は、前述のカウンターのカウント値CNTが0から開始し、Nに達した後、再度0からカウントされるまでの間に行われる温度補償動作について説明する図である。なお、図8のK、L、M、Nは自然数で、K<L<M<Nである。
【0062】
温度補償動作において、カウント値CNTが0からKになるまでの間、A/D変換が実行される。具体的には、この間に、前述したA/D変換回路164が、温度センサー162からの温度検出電圧VTDを温度検出データDTDにA/D変換し、温度検出データDTDを演算回路124に出力する処理が実行される。なお、カウント値CNTがKとなった後は、A/D変換回路164の動作をディスエーブルにしてもよい。
【0063】
そして、カウント値CNTがKからLになる前までの間、読み出しが実行される。読み出しとは、例えば、演算回路124が、新容量設定値CPCALを演算するために、メモリー180に格納されている温度補償データを読み出すこと等である。
【0064】
その後、カウント値CNTがLからMになるまでの間、演算が行われる。ここでの演算とは、演算回路124が、読み出した温度補償データ等に基づいて新容量設定値CPCALを演算すること等をいう。
【0065】
そして、カウント値CNTがMとなった以降は、容量設定値CPが確定する。ここで、第3電源電圧VDDAの電圧低下や第1電源電圧切り替え動作が発生していない場合は、カウント値CNTがMとなった後、容量設定値CPは新容量設定値CPCALに反映される。具体的には、新容量設定値CPCALが、前述の容量設定値確定レジスター360から可変容量回路156に出力される。
【0066】
ここで、第3電源電圧VDDAの電圧低下や第1電源電圧切り替え動作が発生した場合について説明する。この場合、図8に示すように、例えば、カウント値CNTがM-2までに信号PCDがSEL3として検出された場合は、前述のA/D変換、読み出し及び演算の処理状態に関わらず、容量設定値CPを過去の容量設定値CPOUTのまま保持することで確定する。具体的には、第3セレクター340は、選択制御信号として信号PCDが入力されたことにより、過去の容量設定値CPOUTを選択する。つまり、前述の特定期間とは、カウント値CNTが0からM-2までの間の期間である。なお、信号PCDが検出されるタイミングについて、カウント値CNTをMではなくM-2までにしている理由は、電源電圧切り替え動作検出回路350に含まれる2個のDフリップフロップの存在を考慮しているためである。
【0067】
なお、図8のタイムチャートにおいて、A/D変換の期間だけでなく、読み出しの期間においても信号PCDが検出された場合は、容量設定値は過去の容量設定値CPOUTを保持し、容量設定値の更新は行わないようにしている。言い換えれば、本実施形態の処理回路120は、メモリー180からの温度補償データの読み出し期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、可変容量回路156に出力する容量設定値CPの更新を停止する。このようにすれば、第1電源電圧切り替え動作のタイミングと温度補償データの読み出し期間が重複したことによって演算回路124に不具合が発生したとしても、温度補償の信頼性の低下を防止することができる。
【0068】
同様に、図8のタイムチャートにおいて、演算の期間においても信号PCDが検出された場合は、容量設定値は過去の容量設定値CPOUTを保持し、容量設定値の更新は行わないようにしている。言い換えれば、本実施形態の処理回路120は、メモリー180からの温度補償データに基づく温度補償処理の演算期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、可変容量回路156に出力する容量設定値CPの更新を停止する。このようにすれば、第1電源電圧切り替え動作のタイミングと演算期間が重複したことによって演算回路124に不具合が発生したとしても、温度補償の信頼性の低下を防止することができる。
【0069】
このようにすることで、演算回路124の動作タイミングと第1電源電圧切り替え動作タイミングが重複したことにより、演算回路124に不具合が生じる可能性が有るところ、当該演算回路124による演算結果を用いた新容量設定値CPCALを用いずに、過去の容量設定値CPOUTを保持することができる。よって、迅速に第1電源電圧切り替え動作を行いつつ、温度補償の信頼性の低下を防止することができる。
【0070】
なお、図8においては、カウント値CNTをM-2までの間に第1電源電圧切り替え動作等が行われた場合については、過去の容量設定値CPOUTを保持することにしているが、所定の事情を考慮できるならば、例えば、カウント値CNTをK-2までの間に第1電源電圧切り替え動作等が行われた場合について、過去の容量設定値CPOUTを保持するようにしてもよい。所定の事情とは、例えば、演算回路124の動作と第1電源電圧切り替え動作等が重複しても不具合が生じないことが分かっていること等である。このようにすることで、消費電力が大きいA/D変換が実行されているときに第1電源電圧切り替え動作等が行われたことによってA/D変換回路164に不具合が発生し得るところ、当該A/D変換回路164で演算された容量設定値によって、容量設定値が更新されることを防止できる。
【0071】
なお、温度補償動作の内容は、図8の内容だけに限定されず、他の動作を追加してもよい。例えば、図示は一部省略するが、カウント値CNTがM+2となった以降のタイミングで、メモリー180に格納された、トリミングレジスターをリフレッシュする動作を追加してもよい。トリミングレジスターとは、周辺のアナログ回路の動作を最適にチューニングするためのレジスターである。
【0072】
3.その他
以上の説明は、第1電源電圧VDDから第2電源電圧VBATに第1電源電圧切り替え動作が発生した場合についての説明であったが、その他として、その後に第2電源電圧VBATから第1電源電圧VDDに電源電圧が切り替わる第2電源電圧切り替え動作が発生する場合の動作例について説明する。
【0073】
図9は、第4電源電圧VOUTが第2電源電圧VBATとして出力されている場合における、動作のタイミングチャートを説明する図である。前述したように、第4電源電圧VOUTが第1電源電圧VDDとして出力されている場合、第1電源電圧VDDの低下は常時監視しているが、第4電源電圧VOUTが第2電源電圧VBATとして出力されている場合、第1電源電圧VDDの低下監視タイミングは、図9に示すように、期間T4の周期で監視する。期間T4は任意に設定可能であるが、ここでは32ミリ秒である。また、図9に示すように、第1電源電圧VDDの低下監視タイミングは、カレンダー更新タイミングとは重複しないようになっている。
【0074】
また、図示は省略するが、第1電源電圧VDDの低下監視タイミングは、同様に、前述の第2電源電圧VBAT低下監視タイミング、CMP動作タイミング及び温度補償タイミングのいずれとも重複しないようになっている。言い換えれば、処理回路120は、A/D変換回路164のA/D変換期間において第1電源電圧VDDから第2電源電圧VBATへの第1電源電圧切り替え動作が行われた後、第2電源電圧VBATから第1電源電圧VDDへの第2電源電圧切り替え動作が行われるタイミングを、容量設定値が更新されるタイミングと異ならせる。
【0075】
このようにすることで、第2電源電圧切り替え動作が行われる場合において、A/D変換等のタイミングと重ならないようにタイミング設計をすることができるため、A/D変換回路164等に不具合が発生することを防止し、温度補償の信頼性を確保することができる。
【0076】
以上に説明した本実施形態の回路装置は、発振回路と、温度センサーと、A/D変換回路と、処理回路と、電源回路と、を含む回路装置に関係する。発振回路は、可変容量回路を有し、容量設定値CPにより可変容量回路156の容量が設定されることで発振周波数が調整される。A/D変換回路は、温度センサーから出力される温度検出電圧を温度検出データにA/D変換する。処理回路は、温度検出データに基づいて温度補償処理を行うことで可変容量回路の容量設定値を設定する。電源回路は、第1電源電圧と第2電源電圧を含む複数の電源電圧のうちの1つの電源電圧について選択を行い、選択による電源電圧に基づく第3電源電圧をA/D変換回路に供給する。処理回路は、A/D変換回路のA/D変換期間において第1電源電圧から第2電源電圧へ電源電圧を切り替える第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、可変容量回路に出力する容量設定値の更新を停止する。
【0077】
このようにすることで、第1電源電圧から第2電源電圧への電源電圧切り替えを迅速に行いつつ、可変容量回路に出力する容量設定値の更新を停止することにより温度補償の信頼性の低下を防止することができるため、任意のタイミングに起こりえる電源電圧の低下等の事態に適切な対応をすることができる。
【0078】
また、処理回路は、A/D変換期間において第1電源電圧切り替え動作が行われなかったとき、可変容量回路に出力する容量設定値を更新してもよい。
【0079】
このようにすることで、A/D変換期間において電源電圧切り替え動作が行われなかったときは、温度補償の信頼性を維持することができる。
【0080】
また、処理回路は、可変容量回路に出力した過去の容量設定値を記憶する記憶回路を含み、A/D変換期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、処理回路は、過去の容量設定値を可変容量回路に出力してもよい。
【0081】
このようにすることで、過去の容量設定値を記憶回路で保持することができるので、温度補償の信頼性の低下をより確実に防止することができる。
【0082】
また、処理回路は、記憶回路が保持する過去の容量設定値又は温度補償処理により求められた新容量設定値を選択するセレクターを含み、A/D変換期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、セレクターは、過去の容量設定値を選択し、記憶回路は、セレクターが出力する過去の容量設定値を保持してもよい。
【0083】
このようにすることで、新容量設定値と過去の容量設定値をセレクターで選択することができるので、より確実に、過去の容量設定値を記憶回路に保持することができるので、温度補償の信頼性の低下をより確実に防止することができる。
【0084】
また、記憶回路は、クロック信号に基づいて、保持する容量設定値を更新し、A/D変換期間と第1電源電圧切り替え動作のタイミングが重なったとき、記憶回路へのクロック信号の入力を停止させてもよい。
【0085】
このようにすることで、セレクターを必要以上に用いることなく、温度補償の信頼性の低下を防止することができる。
【0086】
また、電源回路は、選択による電源電圧に基づいて第3電源電圧を生成する第3電源電圧生成回路と、第3電源電圧の低下を検出する第3電源電圧低下検出回路と、を含んでもよい。また、処理回路は、A/D変換期間において第3電源電圧低下検出回路により、第3電源電圧生成回路から供給された第3電源電圧の電圧低下が検出されたとき、可変容量回路に出力する容量設定値の更新を停止してもよい。
【0087】
このようにすることで、電圧低下に伴う不具合により生じた容量設定値を適用することなく、過去の容量設定値を維持することができるので、温度補償の信頼性の低下を防止することができる。
【0088】
また、温度補償処理に用いられる温度補償データを記憶するメモリーを含み、処理回路は、メモリーからの温度補償データの読み出し期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、可変容量回路に出力する容量設定値の更新を停止してもよい。
【0089】
このようにすれば、第1電源電圧切り替え動作と温度補償データの読み出し期間が重複したことにより、演算回路に不具合が発生したとしても、温度補償の信頼性の低下を防止することができる。
【0090】
また、温度補償処理に用いられる温度補償データを記憶するメモリーを含み、処理回路は、メモリーからの温度補償データに基づく温度補償処理の演算期間において第1電源電圧切り替え動作が行われたとき、可変容量回路に出力する容量設定値の更新を停止してもよい。
【0091】
このようにすれば、第1電源電圧切り替え動作と演算期間が重複したことにより、演算回路に不具合が発生したとしても、温度補償の信頼性の低下を防止することができる。
【0092】
また、電源回路は、第1スイッチと、第2スイッチと、第1電源電圧の電圧低下を検出する第1電源電圧低下検出回路と、を含んでもよい。また、第1スイッチは、外部の電源から供給される電圧である第1電源電圧のノードである第1ノードと、選択に基づく電源電圧である第4電源電圧のノードである第3ノードとの間に設けられるようにしてもよい。また、第2スイッチは、バッテリーから供給される電圧である第2電源電圧のノードである第2ノードと、第3ノードとの間に設けられるようにしてもよい。そして、第1電源電圧低下検出回路が第1電源電圧の電圧低下を検出したとき、第1スイッチがオンからオフになり、第2スイッチがオフからオンになり、オンである第2スイッチを介して第2ノードに供給される第2電源電圧に基づく第3電源電圧が、A/D変換回路に供給されるようにしてもよい。
【0093】
このようにすれば、第1電源電圧の電圧が低下しても、第2電源電圧に基づく第3電源電圧VDDAをA/D変換回路に供給することができる。
【0094】
また、処理回路は、A/D変換回路のA/D変換期間において第1電源電圧から第2電源電圧への第1電源電圧切り替え動作が行われた後、第2電源電圧から第1電源電圧への第2電源電圧切り替え動作が行われるタイミングを、容量設定値が更新されるタイミングと異ならせてもよい。
【0095】
このようにすれば、第2電源電圧から第1電源電圧への第2電源電圧切り替え動作が行われても温度補償の信頼性を確保することができる。
【0096】
また本実施形態のリアルタイムクロック装置は、上記のいずれかに記載の回路装置と、発振回路の発振動作により振動する振動子と、を含むリアルタイムクロック装置に関係する。処理回路は、発振信号に基づく計時処理を行う計時回路を含む。
【0097】
このようにすれば、本実施形態の回路装置をリアルタイムクロック装置に適用することができる。
【0098】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また、回路装置及びリアルタイムクロック装置の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0099】
10…振動子、100…回路装置、110…電源回路、114…スイッチ制御回路、115…第1検出回路、116…第2検出回路、120…処理回路、121…計時回路、122…温度補償回路、124…演算回路、126…容量設定値更新回路、130…パワーオンリセット回路、150…発振回路、151…レギュレーターVOSC_REG、152…レギュレーターVDDA_REG、153…レギュレーターVLOG_REG、155…第3電源電圧低下検出回路、156…可変容量回路、160…温度検出回路、162…温度センサー、164…A/D変換回路、170…インターフェース回路、180…メモリー、190…CMP、200…リアルタイムクロック装置、310…選択制御信号生成回路、320…第1セレクター、330…第2セレクター、340…第3セレクター、350…電源電圧切り替え動作検出回路、360…容量設定値確定レジスター、CP…容量設定値、CPOUT…過去の容量設定値、CPCAL…新容量設定値、NVDD…第1ノード、NVBAT…第2ノード、NVBAT…第3ノード、DTD…温度検出データ、VDD…第1電源電圧、VBAT…第2電源電圧、VDDA…第3電源電圧、VOUT…第4電源電圧、VTD…温度検出電圧
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図9