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特許7459707廃インク回収装置、廃インク回収装置の制御方法及びインクジェット記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】廃インク回収装置、廃インク回収装置の制御方法及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240326BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020128246
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025432
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 耕治
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-278229(JP,A)
【文献】実開昭64-013326(JP,U)
【文献】特開2019-142044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃インクを受けて、排出口を介して、前記廃インクを廃インクタンク側に排出する廃桶と、
前記廃桶を加熱する加熱部と
前記廃桶の温度を検知する第1温度検知部と、
前記廃桶において、前記第1温度検知部が配置された位置よりも放熱の多い位置における温度を検知する第2温度検知部と、
前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部で検知された温度に基づいて、加熱部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1温度検知部で検知される温度が所定の目標温度になるまで前記加熱部を制御する第1温調制御と、前記第1温度検知部が前記所定の目標温度を検知した後、前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部が、前記所定の目標温度以上であり、プロテクト温度以下となるように、前記加熱部を制御する第2温調制御とを行う
廃インク回収装置。
【請求項2】
前記第2温調制御では、前記第2温度検知部で検知される温度が所定の目標温度になるまで、又は、前記第1温度検知部で検知される温度が前記目標温度よりも高い所定のプロテクト温度になるまで、前記加熱部が制御される
請求項1に記載の廃インク回収装置。
【請求項3】
前記目標温度は、廃インクが流動性を有する状態となる所定の温度に設定される
請求項1に記載の廃インク回収装置。
【請求項4】
前記プロテクト温度は、前記目標温度よりも高く、廃インクの流動性が最大となる所定の温度に設定される
請求項2に記載の廃インク回収装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部による検知結果に基づいて、前記第1温調制御と前記第2温調制御とを切り替える
請求項1に記載の廃インク回収装置。
【請求項6】
前記制御部は、廃インクを廃インク側に排出している期間中に少なくとも1回は前記加熱部の制御を行う
請求項1に記載の廃インク回収装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1温度検知部で検知された温度が、第2温度検知部で検知された温度よりも低かった場合には、加熱部の異常と判断する
請求項1に記載の廃インク回収装置。
【請求項8】
前記加熱部は中央部の温度が、前記廃桶の排出口に近い側である端部の温度よりも高くなるように設計されている
請求項1に記載の廃インク回収装置。
【請求項9】
前記第1温度検知部は前記加熱部の中央部に配置され、前記第2温度検知部は、前記第1温度検知部よりも前記加熱部の端部側であって、前記廃桶の排出口近傍に配置される
請求項1に記載の廃インク回収装置。
【請求項10】
廃インクを受けて、排出口を介して、前記廃インクを廃インクタンク側に排出する廃桶と、
前記廃桶を加熱する加熱部と
前記廃桶の温度を検知する第1温度検知部と、
前記廃桶において、前記第1温度検知部が配置された位置よりも放熱の多い位置における温度を検知する第2温度検知部と、
前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部で検知された温度に基づいて、加熱部を制御する制御部と、を備える廃インク回収装置の制御方法であって、
前記制御部は、
前記制御部は、前記第1温度検知部で検知される温度が所定の目標温度になるまで前記加熱部を制御する第1温調制御と、前記第1温度検知部が前記所定の目標温度を検知した後、前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部が、前記所定の目標温度以上であり、プロテクト温度以下となるように、前記加熱部を制御する第2温調制御とを、前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部で検知される温度に基づいて切り替える
廃インク回収装置の制御方法。
【請求項11】
インクをノズルから吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドから吐出された廃インクを回収する廃インク回収装置とを備え、
廃インク加熱装置は、
廃インクを受けて、排出口を介して、前記廃インクを廃インクタンク側に排出する廃桶と、
前記廃桶を加熱する加熱部と
前記廃桶の温度を検知する第1温度検知部と、
前記廃桶において、前記第1温度検知部が配置された位置よりも放熱の多い位置における温度を検知する第2温度検知部と、
前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部で検知された温度に基づいて、加熱部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1温度検知部で検知される温度が所定の目標温度になるまで前記加熱部を制御する第1温調制御と、前記第1温度検知部が前記所定の目標温度を検知した後、前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部が、前記所定の目標温度以上であり、プロテクト温度以下となるように、前記加熱部を制御する第2温調制御とを行う
インクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出された廃インクを回収する廃インク回収装置、及び、廃インク回収装置の制御方法に関する。また、その廃インク回収装置を備えるインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されてくる記録媒体にインクジェットヘッドからインク滴を吐出して画像形成を行うインクジェット記録装置が利用されている。インクジェット記録装置では、インクジェットヘッドのインク吐出口となる微細なノズルに異物の付着や、インクの残留、気泡の混在等があると、良好なインク吐出を行うことができない。このため、インク吐出状態を良好に維持するためのメンテナンスとして、ヘッドクリーニングが行われる。
【0003】
特許文献1では、記録インクが貯留されたインクカートリッジに、ヘッドクリーニングによって除去された不要なインク(以下、廃インク)を回収する構成が開示されている。そして、特許文献1では、インクカートリッジを加熱して回収された廃インクとインク凝固剤とを加熱溶融させた後、冷却して凝固させる構成が開示されている。
【0004】
一方、インクジェット記録装置では、一般的に、ヘッドクリーニング時に排出された廃インクは廃桶に排出させ、その後、廃インクタンク側に排出させることで回収する構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-15285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、室内でゲル状又は固まる廃インクを廃桶で受けて排出する場合、廃インクを加熱して液化(ゾル化)し、流動性を持たせないと廃インクを廃インクタンク側に排出することができない。しかし、廃桶をヒーター等の加熱装置で加熱して廃インクに流動性を持たせる場合、加熱装置の特性により、廃桶全体を均一な温度に加熱することは困難である。
【0007】
一般的に、ヒーター等の加熱装置では、中央部に熱量が集まりやすく、端部は放熱しやすい傾向にある。このため、加熱装置の端部側に排出口が設けられた廃桶の場合、中央部の廃インクは流動性を有して排出されるが、排出口近傍の廃インクはゲル状になりにくく排出できない可能性がある。そうすると、廃桶の排出口付近でインクだまりを起こし、廃桶から廃インクが溢れてしまう問題が発生する。
【0008】
一方、廃桶の排出口付近の廃インクまで十分に排出されるように、単に加熱装置の加熱量を増やした状態とすると、中央部の廃インクの加熱量が大きくなりすぎるという問題も出てくる。
【0009】
そこで、本発明は、加熱装置の特性により加熱むらが発生する廃桶においても、すべてのインクが排出可能な廃インク回収装置、廃インク回収装置の制御方法、及び、その廃インク回収装置を備えるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の廃インク回収装置は、廃桶と、加熱部と、第1温度検知部と、第2温度検知部と、制御部とを備える。廃桶は、廃インクを受けて、排出口を介して、廃インクを廃インクタンク側に排出する。加熱部は、廃桶を加熱する。第1温度検知部は、廃桶の温度を検知する。第2温度検知部は、廃桶において、第1温度検知部が配置された位置よりも放熱の多い位置における温度を検知する。制御部は、第1温度検知部で検知される温度が所定の目標温度になるまで加熱部を制御する第1温調制御と、第1温度検知部が所定の目標温度を検知した後、第1温度検知部及び第2温度検知部が、所定の目標温度以上であり、プロテクト温度以下となるように、加熱部を制御する第2温調制御とを行う。
【0011】
また、本発明の廃インク回収装置の制御方法は、上述した廃インク回収装置において、第1温度検知部及び第2温度検知部で検知される温度に基づいて切り替える。
【0012】
また、本発明のインクジェット記録装置は、インクをノズルから吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドから吐出された廃インクを回収する上述の廃インク回収装置とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、廃桶から排出される廃インクの温度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る廃インク回収装置の概略構成図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る廃桶を底部側(廃インクタンク側)から見た平面図である。
図4】代表して1つの加熱部を抜き出して示した図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る廃インク回収装置の制御構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る廃インク回収装置の制御方法を示すフローチャートである。
図7】メンテナンス時(ヘッドクリーニング時)における第1温度検知部及び第2温度検知部で検知される温度の推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置、廃インク回収装置及び廃インク回収装置の制御方法の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。また、説明は、以下の順に行う。
1.インクジェット記録装置の全体構成
2.廃インク回収装置の構成
3.廃桶の温度制御方法
【0016】
1.インクジェット記録装置の全体構成
図1は、本発明の第1の実施形態(以下、本実施形態)に係るインクジェット記録装置1の全体構成図である。図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、給紙部10と、画像形成部20と、排紙部30と、廃インク回収装置100と、制御部70とを有する。インクジェット記録装置1は、制御部70の制御の下で給紙部10に格納された記録媒体Pを画像形成部20に搬送し、画像形成部20で記録媒体Pに画像を形成し、画像が形成された記録媒体Pを排紙部30に排紙する。
【0017】
[給紙部]
給紙部10は、例えば紙などで構成される記録媒体Pを格納する給紙トレー11と、給紙トレー11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する搬送部12とを有する。
【0018】
給紙トレー11は、一又は複数の記録媒体Pを載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー11は、給紙トレー11に載置された記録媒体Pの量に応じて上下動するように設けられており、当該上下動方向について、最上の記録媒体Pが搬送部12により搬送される位置で保持される。
【0019】
搬送部12は、内側が複数(例えば2本)のローラ121,122により担持された輪状のベルト123を駆動してベルト123上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、給紙トレー11上に載置された最上の記録媒体Pをベルト123上に受け渡す供給部(図示を省略する)を有する。搬送部12は、当該供給部によりベルト123上に受け渡された記録媒体Pをベルト123に沿わせるように搬送する。
【0020】
[画像形成部]
画像形成部20は、画像形成ドラム21と、受け渡しユニット22と、用紙加熱部23と、ヘッドユニット24と、照射部25と、デリバリー部26と、画像読み取りセンサー27とを有する。
【0021】
画像形成ドラム21は、円筒状の部材で構成され、駆動モータ(図示を省略する)によって反時計回りに回転する。画像形成ドラム21は、円筒状の外周面に沿って記録媒体Pを担持し、その回転に伴って当該記録媒体Pを搬送する。画像形成ドラム21の搬送面は、用紙加熱部23、ヘッドユニット24及び照射部25と対向しており、用紙加熱部23、ヘッドユニット24及び照射部25は、画像形成ドラム21で搬送される記録媒体Pに対して画像形成に係る処理を行う。
【0022】
受け渡しユニット22は、図1に示すように、給紙部10の搬送部12と画像形成ドラム21との間に介在する位置に設けられている。受け渡しユニット22は、搬送部12により搬送された記録媒体Pの一端を担持する爪部221や、爪部221に担持された記録媒体Pを誘導する円筒状の受け渡しドラム222等を有し、搬送部12上の記録媒体Pを爪部221により取り上げて受け渡しドラム222の外周面に沿わせることで記録媒体Pを画像形成ドラム21の外周面に沿う向きに誘導して画像形成ドラム21に受け渡す。
【0023】
用紙加熱部23は、例えば電熱線等を有し、通電に応じて発熱する。用紙加熱部23は画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転により記録媒体Pの搬送方向についてヘッドユニット24の上流側に位置するように設けられる。用紙加熱部23は、制御部70による制御の下、画像形成ドラム21に担持されて用紙加熱部23の近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるように発熱を行う。
【0024】
また、用紙加熱部23の近傍には、温度センサー(図示を省略する)が設けられている。制御部70は、当該温度センサーにより検知された用紙加熱部23付近の温度に基づいて、画像形成ドラム21に担持されて用紙加熱部23近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるように用紙加熱部23の動作を制御する。
【0025】
ヘッドユニット24は、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pに対してインクを吐出し、画像を形成する。ヘッドユニット24は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色について個別に設けられている。図1では、画像形成ドラム21の回転に伴い搬送される記録媒体Pの搬送方向に対して上流からY,M,C,Kの各色に対応してヘッドユニット24が順番に設けられている。
【0026】
本実施形態のヘッドユニット24は、記録媒体Pの搬送方向に垂直な方向(記録媒体Pの幅方向)について記録媒体Pの全体をカバーする長さ(幅)で設けられている。すなわち、インクジェット記録装置1は、ワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。ヘッドユニット24は、複数のインクジェットヘッドを配列してラインヘッドを構成することができる。
【0027】
また、ヘッドユニット24は、画像形成に用いられる各色(CMYK)について個別に設けられている。図1に示すインクジェット記録装置1には、画像形成ドラム21の回転に伴い搬送される記録媒体Pの搬送方向に沿って、上流からY,M,C,Kの色の順に、各色に対応したヘッドユニット24が設けられている。
【0028】
本実施形態におけるインクジェット記録装置1で用いられるインクは、例えば紫外線(UV)硬化型のインクである。このUV硬化型のインクは、UVが照射されない状態では、温度に応じてゲル状態と液体(ゾル)状態との間で相変化する。このインクは、例えば、40℃~100℃程度の相変化温度を有し、この相変化温度以上に加熱上昇されることで一様に液化(ゾル化)する。一方、このインクは、通常の室温程度(0℃~30℃)を含む所定の温度以下ではゲル化する。
【0029】
照射部25は、本実施形態のインクジェット記録装置1で用いられるインクが記録媒体P上に吐出された後に当該インクを硬化させるためのエネルギー線を照射する。照射部25は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を有し、当該蛍光管を発光させて紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部25は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録媒体Pの搬送方向についてヘッドユニット24に下流側に設けられる。照射部25は、画像形成ドラム21に担持されてインクが吐出された記録媒体Pに対してエネルギー線を照射して当該エネルギー線の作用により記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させる。
【0030】
紫外線を発する蛍光管としては、低圧水銀ランプの他、数百Pa~1MPa程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオードなどが挙げられる。これらの中で、紫外線をより高照度で照射可能であって消費電力の少ない光源(例えば発光ダイオード等)がより望ましい。また、エネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよく、光源もエネルギー線の波長などに応じて置換される。
【0031】
廃インク回収装置100は、ヘッドクリーニング等のメンテナンス時において、インクジェットヘッドから排出される廃インクを受けて回収する。本願発明は廃インク回収装置100に特徴がある。廃インク回収装置100における詳しい構成は後で詳述する。
【0032】
デリバリー部26は、照射部25によりエネルギー線が照射された記録媒体Pを画像形成ドラム21から排紙部30に搬送する。デリバリー部26は、輪状のベルト263を複数(例えば2本)のローラ261,262により回転駆動してベルト263上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、記録媒体Pを画像形成ドラム21から当該搬送機構に受け渡す円筒状の受け渡しドラム264等を有する。デリバリー部26は、受け渡しドラム264によりベルト263に受け渡された記録媒体Pをベルト263により搬送して排紙部30に送り出す。
【0033】
画像読み取りセンサー27は、インラインセンサなどで構成されており、デリバリー部26に排出されてきた記録媒体Pに形成された画像を読み取る。読み取った画像のデータは、制御部70に送られる。
【0034】
[排紙部]
排紙部30は、デリバリー部26により画像形成部20から送り出された記録媒体Pを格納する。排紙部30は、板状の排紙トレー31等を有し、この排紙トレー31上に画像形成後の記録媒体Pを載置する。
【0035】
2.廃インク回収装置
図2は、本実施形態に係る廃インク回収装置100の概略構成図である。図2に示すように、本実施形態の廃インク回収装置100は、廃桶50と、加熱部57(図3参照)と、第1温度検知部54と、第2温度検知部55と、廃インクタンク56とを備える。
【0036】
廃桶50は、ヘッドユニット24近傍に配置されており、ヘッドユニット24側に位置する一方が開口され、廃インクタンク56側に位置する他方に底部51を有し、底部51を囲む4辺に側壁部52を有する箱型の部材で構成されている。底部51は、中央部に排出口53を有し、底部51における開口側の底面は、廃桶50内部に溜まった廃インクが排出口53に向かって流れるように斜めに形成されている。本実施形態では、廃桶50の底部51は四角形状に形成されており、底部51における2本の対角線の交わる中心部に排出口53が設けられている。
【0037】
廃インクタンク56は、廃桶50が開口している箱状の部材で構成されている。廃インクタンク56は、廃桶50の排出口53から排出される廃インクを貯留することのできる大きさに形成されている。
【0038】
図3は、本実施形態の廃桶50を底部51側(廃インクタンク56側)から見た平面図である。図3に示すように、加熱部57は、廃桶50の底部51に配置され、ヘッドユニット24側から排出される廃インクを受ける廃桶50内部とは反対側である裏面側に設けられている。本実施形態では、加熱部57は、ラバーヒーターで構成されており、底部51において2本の対角線上で分けられる4つの領域にそれぞれ一つずつ配置されている。それぞれの加熱部57は、廃桶50の底部51の4つのそれぞれの領域に合わせた形状(本実施形態では、3角形状)に形成されており、底部51のほぼ全面を覆う大きさに構成されている。
【0039】
図4は、代表して1つの加熱部57を抜き出して示した図であり、一部ブロック図で示す。図4に示すように、加熱部57には、それぞれ、第1温度検知部54と、第2温度検知部55とが設けられている。第1温度検知部54は、加熱部57のほぼ中心部に配置されており、所定のタイミングでその部分の温度を検知する。第2温度検知部55は、第1温度検知部54よりも加熱部57の端部側であって、排出口53の近傍に配置されており、所定のタイミングでその部分の温度を検知する。第2温度検知部55は、加熱部57の端部から所定の絶縁距離を保持した位置に配置されている。
【0040】
第1温度検知部54、及び、第2温度検知部55は、それぞれ2つの端子(図示を省略する)を有しており、一方が温度信号受信部62に接続され、他方が例えば5Vの電源電圧60に接続されている。第1温度検知部54及び第2温度検知部55では、所定のタイミングで、温度が検知され、検知された温度は随時、温度信号受信部62に送信される。温度信号受信部62は、例えば、後述する制御部70に設けられている。以下の説明においては、第1温度検知部54で検知された温度をTs1、第2温度検知部55で検知された温度をTs2と記す。
【0041】
また、加熱部57は、例えば200VのAC電圧61に接続されている。本実施形態では、制御部70の制御の下、加熱部57は、第1温度検知部54で検知された温度Ts1及び第2温度検知部55で検知された温度Ts2に基づいて加熱制御される。
【0042】
図5は、廃インク回収装置100の制御構成を示すブロック図である。図5に示すように、廃インク回収装置100は、その制御部70が第1温度検知部54、第2温度検知部55、及び、AC電圧61と加熱部57との間に接続されるSSR(Solid State Relay)63に接続されている。
【0043】
制御部70は、主にCPU(Central Processing Unit)71で構成され、CPU71が温度信号受信部62やSSR63を制御する。SSR63は、制御部70(主にCPU71)の制御に基づいて、加熱部57のオン・オフ制御を行う。
【0044】
3.廃インク回収装置の制御方法
図6は、本実施形態における廃インク回収装置100の制御方法を示すフローチャートである。また、図7は、メンテナンス時(ヘッドクリーニング時)における第1温度検知部54及び第2温度検知部55で検知される温度の推移の一例を示す図である。
【0045】
メンテナンスがスタートすると、制御部70は、第1温調制御によって加熱部57を加熱するように、SSR63を制御する(ステップS1)。図7において、第1温調制御によって温度制御される期間は、期間Iとして示している。
【0046】
第1温調制御では、制御部70の制御の下、第1温度検知部54が目標温度T1となるように、SSR63が制御される。メンテナンススタート時においては、第1温調制御により、加熱部57の温度が上昇する。このとき、第1温度検知部54で検知される温度Ts1及び、第2温度検知部55で検知される温度Ts2の情報は、所定のタイミングで随時制御部70に送られる。なお、第1温度検知部54で検知される温度Ts1、及び、第2温度検知部55で検知される温度Ts2の情報はメンテンナンス期間中継続して制御部70に送られる。
【0047】
次に、制御部70は、第1温度検知部54で検知された温度Ts1が、目標温度T1に到達したか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、「NO」と判定された場合、すなわち、第1温度検知部54で検知された温度Ts1が目標温度T1に到達していない場合には、制御部70の制御の下、再度、第1温調制御が行なわれる(ステップS1)。
【0048】
一方、ステップS2において「YES」と判定された場合、すなわち、第1温度検知部54で検知された温度Ts1が目標温度T1に到達した場合には、制御部70は、第1温度検知部54で検知された温度Ts1が第2温度検知部55で検知された温度Ts2よりも大きいか否かを判定する(ステップS3)。
【0049】
ステップS3において「NO」と判定された場合、すなわち、第1温度検知部54で検知された温度Ts1が第2温度検知部55で検知された温度Ts2以下であると判定された場合、制御部70は、加熱部57の異常と判断する(ステップS5)。通常、加熱部57の中心部は、加熱部57の端部よりも温度が高くなる。しかしながら、加熱部57の中心部の温度が加熱部57の端部よりも低い場合は、加熱部57が廃桶50の底部51から剥がれていたり、加熱部57自体が故障したりしている恐れがある。したがって、この場合には、制御部70は、加熱部57の異常と判断し、メンテンナンス及びインクジェット記録装置1の動作を停止する。
【0050】
一方、ステップS3において「YES」と判定された場合、すなわち、第1温度検知部54で検知された温度Ts1が第2温度検知部55で検知された温度Ts2よりも大きいと判定された場合、制御部70は、第2温調制御に切り替える。図7において、第2温調制御によって温度制御される期間は、期間IIとして示している。
【0051】
制御部70による第2温調制御では、第1温度検知部54で検知される温度が、プロテクト温度T2以下であり、かつ、第2温度検知部55で検知される温度Ts2が、目標温度T1以下となるように、SSR63が制御される。
【0052】
ここで、目標温度T1は、廃インクが流動性を有する状態となる所定の温度に設定されており、本実施形態では、例えば85度に設定されている。廃インクの種類によって、目標温度T1の設定は、種々の変更が可能である。
【0053】
次に、制御部70は、第2温度検知部55で検知された温度Ts2が目標温度T1に到達しているか否か、又は、第1温度検知部54で検知された温度Ts1がプロテクト温度T2に到達しているか否かを判定する(ステップS6)。
【0054】
ここで、プロテクト温度T2は、目標温度T1よりも高く、廃インクの流動性が最大となる所定の温度に設定されており、本実施形態では、例えば95度に設定されている。プロテクト温度T2を設定することにより、廃インクを加熱しすぎることによる発煙を防ぎ、装置の安全性を確保できる。
【0055】
ステップS6において「YES」と判定された場合、すなわち、第2温度検知部55で検知された温度S2が目標温度T1に到達している、又は、第1温度検知部54で検知された温度Ts2がプロテクト温度T2に到達していると判定された場合、ステップS1に戻る。これにより、制御部70は、第1温調制御を行う。すなわち、制御部70は、第1温度検知部54で検知される温度が目標温度T1になるように、SSR63を制御する。
【0056】
一方、ステップS6において「NO」と判定された場合、すなわち、第2温度検知部55で検知された温度Ts2が目標温度T1に到達していない、又は、第1温度検知部54で検知された温度Ts2がプロテクト温度T2に到達していないと判定された場合、ステップS4に戻る。これにより、制御部70は、第2温調制御を行う。すなわち、制御部70は、第1温度検知部54で検知される温度がプロテクト温度T2を以下であり、かつ、第2温度検知部55で検知される温度Ts2が目標温度T1以下となるようにSSR63を制御する。
【0057】
そして、メンテナンス期間中は、制御部70の制御の下、ステップS1~ステップS6が繰り返される。これにより、図7に示すように、第1温度検知部54で検知される温度がT1以上T2以下に保持されると共に、第2温度検知部55で検知される温度も、目標温度T1により近づくような温度制御がなされる。
【0058】
本実施形態では、図7に示すような温度管理が為されることにより、廃桶50に排出された廃インクが排出口53付近で固まり、排出されなくなるのを防ぐことができる。さらには、廃桶50に排出された廃インクの温度がプロテクト温度T2を超えることがないため、加熱量が大きくなりすぎることを防ぐことができる。
【0059】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述の実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0060】
例えば、本実施形態では、加熱部57として、ラバーヒーターを用いる例としたが、このほか、シーズヒーター、セラミックヒーターを用いることもできる。また、加熱部57において、4つの加熱部57すべてにおいて、第1温度検知部54、第2温度検知部55を設ける例としたが、代表した1つの加熱部57のみに第1温度検知部54、第2温度検知部55を設ける例としてもよい。
【0061】
また、上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成について他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、11…給紙トレー、12…搬送部、20…画像形成部、21…画像形成ドラム、22…渡しユニット、23…用紙加熱部、24…ヘッドユニット、25…照射部、26…デリバリー部、27…画像読み取りセンサー、30…排紙部、31…排紙トレー、50…廃桶、51…底部、52…側壁部、53…排出口、54…第1温度検知部、55…第2温度検知部、56…廃インクタンク、57…加熱部、60…電源電圧、61…AC電圧、62…温度信号受信部、63…SSR、70…制御部、
100…廃インク回収装置
図1
図2
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図6
図7