(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】建設機械の駆動装置及び建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台
(51)【国際特許分類】
B60K 13/04 20060101AFI20240326BHJP
B60K 5/02 20060101ALI20240326BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20240326BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240326BHJP
F01P 5/06 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B60K13/04 B
B60K5/02 C
B60K11/04 E
E02F9/00 M
F01P5/06 504Z
F01P5/06 510Z
(21)【出願番号】P 2020130059
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2019141421
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】森 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】臼本 翔汰
(72)【発明者】
【氏名】垰 寛明
(72)【発明者】
【氏名】倉内 健太
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-190316(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125201(WO,A1)
【文献】特開2014-65441(JP,A)
【文献】特許第6224843(JP,B1)
【文献】特許第5363681(JP,B1)
【文献】特開2017-2582(JP,A)
【文献】特開2003-3849(JP,A)
【文献】特開2016-102358(JP,A)
【文献】国際公開第2011/152306(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04,13/04, 5/02,
E02F 9/00,
F01P 5/06,
F01N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
冷却風を送るファンと、
上記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、
上記排気ガス処理装置を上記エンジンの上方に支持する架台と
、
上記エンジン、上記排気ガス処理装置及び上記架台の全体を覆う外装カバーと
を備えており、
上記冷却風が上記排気ガス処理装置の少なくとも一部を通過するように構成されて
おり、
上記外装カバーの上端部には、排気用開口が形成されており、
上記架台が、上記排気ガス処理装置を載置する天板とこの天板を支持する脚部とを有しており、
上記天板には、その上下を連通する第1貫通孔が形成されており、
上記エンジン及び上記ファンが上記天板の下方に配置されており、
上記エンジンに吸気装置が付設されており、
上記天板には第2貫通孔が形成されており、
上記第2貫通孔には、上記吸気装置から上記エンジンに至る吸気流路が通されている
建設機械の駆動装置。
【請求項2】
エンジンと、
冷却風を送るファンと、
上記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、
上記排気ガス処理装置を上記エンジンの上方に支持する架台と、
上記エンジン、上記排気ガス処理装置及び上記架台の全体を覆う外装カバーと
を備えており、
上記冷却風が上記排気ガス処理装置の少なくとも一部を通過するように構成され、
上記外装カバーの上端部には、排気用開口が形成されており、
上記架台が、上記排気ガス処理装置を載置する天板とこの天板を支持する脚部とを有しており、
上記天板には、その上下を連通する第1貫通孔が形成されており、
上記エンジン及び上記ファンが上記天板の下方に配置されており、
上記エンジンに吸気装置が付設されており、
上記天板には第2貫通孔が形成されており、
上記第2貫通孔には、上記吸気装置から上記エンジンに至る吸気流路が通され、
上記天板が、上記排気ガス処理装置を載置する第1載置面と、上記吸気装置を配置する第2載置面とを有しており、
上記第1載置面には上記第1貫通孔が設けられ、上記第2載置面には上記第2貫通孔が設けられ、
上記第2載置面が、上記第1載置面より高い位置に形成され、
上記第1載置面が、上記エンジンに対して上記排気ガス処理装置が近接するよう構成されてい
る建設機械の駆動装置。
【請求項3】
エンジンと、
冷却風を送るファンと、
上記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、
上記排気ガス処理装置を上記エンジンの上方に支持する架台と、
上記エンジン、上記排気ガス処理装置及び上記架台の全体を覆う外装カバーと
を備えており、
上記冷却風が上記排気ガス処理装置の少なくとも一部を通過するように構成されており、
上記外装カバーの上端部には、排気用開口が形成されており、
上記架台が、上記排気ガス処理装置を載置する天板とこの天板を支持する脚部とを有しており、
上記天板には、その上下を連通する第1貫通孔が形成されており、
上記エンジン及び上記ファンが上記天板の下方に配置されており、
上記エンジンに吸気装置及び冷却水タンクが付設されており、
上記天板には第2貫通孔が形成されており、
上記第2貫通孔には、上記吸気装置から上記エンジンに至る吸気流路及び上記冷却水タンクから上記エンジンに至る冷却水流路が通されてい
る建設機械の駆動装置。
【請求項4】
エンジンと、
冷却風を送るファンと、
上記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、
上記排気ガス処理装置を上記エンジンの上方に支持する架台と、
上記エンジン、上記排気ガス処理装置及び上記架台の全体を覆う外装カバーと
を備えており、
上記冷却風が上記排気ガス処理装置の少なくとも一部を通過するように構成されており、
上記外装カバーの上端部には、排気用開口が形成されており、
上記架台が、上記排気ガス処理装置を載置する天板とこの天板を支持する脚部とを有しており、
上記天板には、その上下を連通する第1貫通孔が形成されており、
上記エンジン及び上記ファンが上記天板の下方に配置されており、
上記エンジンに吸気装置及び冷却水タンクが付設されており、
上記天板には第2貫通孔が形成されており、
上記第2貫通孔には、上記吸気装置から上記エンジンに至る吸気流路及び上記冷却水タンクから上記エンジンに至る冷却水流路が通されており、
上記天板が、上記排気ガス処理装置を載置する第1載置面と、上記吸気装置及び上記冷却水タンクを配置する第2載置面とを有しており、
上記第1載置面には上記第1貫通孔が設けられ、上記第2載置面には上記第2貫通孔が設けられ、
上記第2載置面が、上記第1載置面より高い位置に形成され、
上記第1載置面が、上記エンジンに対して上記排気ガス処理装置が近接するよう構成され、
上記第2載置面が、冷却系統の最上位置に上記冷却水タンクが位置するよう構成されてい
る建設機械の駆動装置。
【請求項5】
建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台であって、
天板と、
上記天板を支持する脚部と
を備えており、
上記天板の下方にはエンジンを収容するスペースが設けられており、
上記天板が、上記排気ガス処理装置を載置する第1載置面と、吸気装置を配置する第2載置面とを有しており、
上記第1載置面には第1貫通孔が設けられ、上記第2載置面には、第2貫通孔が設けられ、
上記第2載置面が、上記第1載置面より高い位置に形成され、
上記第1載置面が、上記エンジンに対して上記排気ガス処理装置が近接するよう構成されている架台。
【請求項6】
建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台であって、
天板と、
上記天板を支持する脚部と
を備えており、
上記天板の下方にはエンジンを収容するスペースが設けられており、
上記天板が、上記排気ガス処理装置を載置する第1載置面と、吸気装置及び冷却水タンクを配置する第2載置面とを有しており、
上記第1載置面には第1貫通孔が設けられ、上記第2載置面には、第2貫通孔が設けられ、
上記第2載置面が、上記第1載置面より高い位置に形成され、
上記第1載置面が、上記エンジンに対して上記排気ガス処理装置が近接するよう構成され、
上記第2載置面が、冷却系統の最上位置に上記冷却水タンクが位置するよう構成される架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の駆動装置及び建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの建設機械にディーゼルエンジン(以下、エンジンという)が採用されている場合、エンジンの排気系には排気ガス処理装置が設置されるのが一般的である。従来、この排気ガス処理装置は、エンジン室内においてエンジンに一体的に取り付けられている。また、エンジン室内にはファンが設けられており、このファンからの冷却風により、エンジンを冷却している。
【0003】
しかし、近年の排気ガス規制強化に対応して排気ガス処理装置が大型化及び重量化し、その結果、排気ガス処理装置をエンジンに一体的に取り付けることは困難となっている。また、エンジンの下流側に大型化した排気ガス処理装置が設けられると、冷却風が排気ガス処理装置により妨げられ、エンジン室から良好に冷却風が排出されなくなる。
【0004】
特許文献1には、油圧ショベルの上部旋回体内に設けられたハウスフレームに排気ガス処理装置を配設し、ハウスフレームに排気ガス処理装置を設けても、冷却風の流れを確保できる導風路を形成したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、油圧ショベルなどと異なり、エンジンの下流側にクレーンのようなパワーディバイダなどの装置が設置されている場合、上記特許文献1のように排気ガス処理装置を設置するスペースを取ることが難しい。また、エンジンと排気ガス処理装置とを接続する排気管経路が長くなると排気温度が下がり選択触媒還元脱硝装置(SCR)の脱硝反応効率が低下する。そのため、排気ガス処理装置はエンジンに近接して設置するのが好ましい。
【0007】
上述のスペースの問題から排気ガス処理装置は、エンジン上部に取り付けることが好ましい。しかし、エンジンの上部に排気ガス処理装置を一体的に取り付けることは、排気ガス処理装置の重量の問題から難しい。また、エンジン上部に排気ガス処理装置をそのまま取り付けた場合、熱が籠り排気ガス処理装置に付属するセンサやコントローラといった計装部がダメージを受けるおそれがある。
【0008】
上述の実情に鑑み、本発明は、排気ガス処理装置の重量の問題に対応し、かつ排気ガス処理装置などを冷却する機構を有した建設機械の駆動装置及び建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、エンジンと、冷却風を送るファンと、上記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、上記排気ガス処理装置を上記エンジンの上方に支持する架台とを備えており、上記冷却風が上記排気ガス処理装置の少なくとも一部を通過するように構成されている建設機械の駆動装置である。
【0010】
上記架台に排気ガス処理装置を載置することにより、エンジン上部のスペースを活用することができ、かつ重量化した排気ガス処理装置をエンジンに直接取り付けることなくエンジンの上方に配置することができる。また、上記冷却風が排気ガス処理装置の少なくとも一部を通過することにより上記排気ガス処理装置を冷却することができ、排気ガス処理装置に付属されたセンサやコントローラのような計装部に熱が籠ることを防止することができる。
【0011】
上記エンジン、上記排気ガス処理装置及び上記架台の全体を覆う外装カバーをさらに備えており、上記外装カバーの上端部には、排気用開口が形成されており、上記架台が、上記排気ガス処理装置を載置する天板とこの天板を支持する脚部とを有しており、上記天板には、その上下を連通する第1貫通孔が形成されており、上記エンジン及び上記ファンが、上記天板の下方に配置されていることが好ましい。このように構成されることで、上記ファンの上記冷却風が、上記第1貫通孔を通して、上記排気用開口から放出されるので、上記天板上の上記排気ガス処理装置を冷却することができる。
【0012】
上記エンジンに吸気装置及び冷却水タンクの少なくとも一方が付設されており、上記天板には第2貫通孔が形成されており、上記第2貫通孔には、上記吸気装置から上記エンジンに至る吸気流路及び上記冷却水タンクから上記エンジンに至る冷却水流路の少なくとも一方が通されていることが好ましい。このように、上記天板が上記第2貫通孔を備えていることにより、上記排気ガス処理装置を上記天板に載置した後でも個別に組み立てることなく上記エンジンに上記吸気装置及び上記冷却水タンクを配置することができる。
【0013】
上記天板が、上記排気ガス処理装置を載置する第1載置面と、上記吸気装置及び上記冷却水タンクの少なくとも一方を配置する第2載置面とを有しており、上記第1載置面には上記第1貫通孔が設けられ、上記第2載置面には上記第2貫通孔が設けられ、上記第2載置面が、上記第1載置面より高い位置に形成され、上記第1載置面が、上記エンジンに対して上記排気ガス処理装置が近接するよう構成され、上記第2載置面が、冷却系統の最上位置に上記冷却水タンクが位置するよう構成されていることが好ましい。このようにすることで上記エンジンと排気ガス処理装置とを接続する排気管経路を短くすることができ排気ガスの温度が下がること防止することができる。また、上記冷却水タンクを上記第2載置面に搭載することで上記冷却水タンクが冷却系統の最上位置に位置し、冷却水ポンプの吸い込み圧力確保を有利にすることができる。
【0014】
本発明の別の一態様は、建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台であって、天板と、上記天板を支持する脚部とを備えており、上記天板の下方にはエンジンを収容するスペースが設けられており、上記天板が、上記排気ガス処理装置を載置する第1載置面と、吸気装置及び冷却水タンクの少なくとも一方を配置する第2載置面とを有しており、上記第1載置面には第1貫通孔が設けられ、上記第2載置面には、第2貫通孔が設けられ、上記第2載置面が、上記第1載置面より高い位置に形成され、上記第1載置面が、上記エンジンに対して上記排気ガス処理装置が近接するよう構成され、上記第2載置面が、冷却系統の最上位置に上記冷却水タンクが位置するよう構成される架台である。
【0015】
上記架台が、上記天板の下方にエンジンを収容できるスペースが設けられていることにより、エンジン上部のスペースを活用することができ、かつ重量化した排気ガス処理装置をエンジンに直接取り付けることなくエンジンの上方に配置することができる。また、上記第1載置面に第1貫通孔が設けられていることにより、上記天板の下方からファンによる冷却風が発せられた場合、上記第1貫通孔を通して、上記第1載置面に載置された排気ガス処理装置を冷却することができる。
【0016】
ここで、「冷却系統」とは、エンジンを冷却するための一連の装置であり、ファン、冷却媒体が循環する循環経路、循環経路上に配置される冷却媒体タンク、ラジエータ、冷却媒体ポンプ、サーモスタットなどを含む。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の建設機械の駆動装置及び建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台を用いることで、排気ガス処理装置の重量の問題に対応し、かつ排気ガス処理装置搭載後の排気ガス処理装置などを適切に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械の駆動装置が適用される建設機械の平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る建設機械の駆動装置に配設される外装カバーを示す側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る建設機械の駆動装置における外装カバーの内部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る建設機械の駆動装置における外装カバーの内部を示す側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る架台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0020】
(実施形態)
図1及び
図2は、当該建設機械の駆動装置及び建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台、が適用される一例である建設機械を示す概略模式図である。
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る建設機械の駆動装置について詳説し、その中で用いられる排気ガス処理装置を支持するための架台について詳説する。
【0022】
[構成]
図4及び
図5に示すように、当該建設機械の駆動装置は、冷却風17を送るファン16を有するエンジン9と、エンジン9の排気ガスを処理する排気ガス処理装置10と、排気ガス処理装置10をエンジン9の上方に支持する架台20とを備えており、冷却風17が排気ガス処理装置10の少なくとも一部を通過するように構成されている。
排気ガス処理装置10を支持する架台20は、天板21と、天板21を支持する脚部22とを備えている。天板21の下方には、エンジン9を収容するスペースが設けられている。天板21が、排気ガス処理装置10を載置する第1載置面23と、エンジン9に付属する機器を配置する第2載置面24とを備えている。なお、第1載置面が「排気ガス処理装置を載置する」とは、排気ガス処理装置が、配管やブラケット等の支持部材を介して第1載置面に対して固定される構成を含む。また、第2載置面が「エンジンに付属する機器を配置する」とは、機器が、配管やブラケット等の支持部材を介して第2載置面に対して固定される構成を含む(
図3から
図5では、エンジンに付属する機器である吸気装置14及び冷却水タンク15が、図示しない支持部材を介して第2載置面に固定されている構成を示している)。第1載置面23には第1貫通孔25が設けられ、第2載置面24には、第2貫通孔26が設けられている。第2載置面24が第1載置面23より高い位置に形成されている。第1載置面23が、エンジン9に対して排気ガス処理装置10が近接するよう構成されている。第2載置面24が、エンジン9に対してエンジン9に付属する機器が離隔するよう構成されている。以下、これらの構成要素を説明する。
【0023】
図1に示すように、クレーン1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、この下部走行体2上に水平方向に回動可能に設けられた上部旋回体(図示しない)と、この上部旋回体に上下方向に回動可能に設けられたブーム3と、この上部旋回体に設けられたキャブ4及び外装カバー5とを備える。キャブ4の内部には運転席(図示しない)が設けられている。外装カバー5内には、作動油タンク6、動力を分割するパワーディバイダ7、作動油を加圧する油圧ポンプ(図示しない)、動力源であるエンジン9(
図2に示す)、エンジン9からの排気ガスを処理する排気ガス処理装置10、エンジン9を冷却するラジエータ11及び架台20が設けられている。
【0024】
図2は、クレーン1の側面図である。
図2に示すように、エンジン9が架台20の下方に配置され、排気ガス処理装置10は、架台20によって、エンジン9の上方に支持されている。このように架台20を設けてエンジン9の上方に排気ガス処理装置10を配置することにより、空間を利用してエンジン9に近接して排気ガス処理装置10を配置することができる。また、架台20の強度を上げることにより、排気ガス処理装置10の重量化にも対応することができる。
【0025】
図3に示すように外装カバー5は、エンジン9などを保護するものである。外装カバー5には、その上端部に排気用開口12が設けられている。排気用開口12は、外装カバー5の上面又は側面の上端部に設けられている。また、外装カバー5は、下端が解放された箱状に形成されている。排気用開口12は、ファン16により発生された冷却風17を外部に排出する排出口として機能するよう構成されている。
【0026】
図4に示すように架台20は、天板21と、天板21を支持する一対の脚部22とを備える。脚部22は、エンジン9を天板21の下方に収容し得るように配置されている。排気ガス処理装置10は、処理した排気ガスを外装カバー外部に放出するための排気管13を有している。
図6も併せて参照すれば明らかなように、天板21は、排気ガス処理装置10を載置する第1載置面23と、吸気装置14及び冷却水タンク15の少なくとも一方(つまり、吸気装置14及び冷却水タンク15の両方又はいずれか一方)を配置する第2載置面24とを備える。第2載置面24に吸気装置14及び冷却水タンク15のいずれか一方のみが配置される場合、吸気装置14及び冷却水タンク15のうちの他方は、第2載置面24以外の位置に配置されていてもよい。天板21は、第2載置面24の高さが、第1載置面23の高さよりも高くなるように形成されている。第1載置面23には第1貫通孔25が設けられ、第2載置面24には、第2貫通孔26が設けられている。
【0027】
排気ガス処理装置10は、上述のように、エンジン9から排出されるガスを処理する。排気ガス処理装置10は、エンジン9に近接して配置されることが好ましい。なぜなら、エンジン9と排気ガス処理装置10をつなぐ排気管経路が長いと、排気ガスの温度が低下し、選択触媒還元脱硝装置(SCR)の還元効率が低下するからである。
【0028】
天板21の下方に配置されるエンジン9は、吸気装置14及び冷却水タンク15の少なくとも一方と接続されている。すなわち、吸気装置14及び冷却水タンク15の少なくとも一方はエンジン9に付設されている。吸気装置14としては、例えばエアクリーナが挙げられる。なお、吸気装置14及び冷却水タンク15がエンジン9に「付設される」とは、吸気装置14及び冷却水タンク15が配管等によってエンジン9に直接接続される構成の他、他の部材(例えばラジエータ11等)を介してエンジン9に接続される構成を含む。天板21には第2貫通孔26が形成されており、第2貫通孔26には、吸気装置14からエンジン9に至る吸気流路及び冷却水タンク15からエンジン7に至る冷却水流路の少なくとも一方が通されている。このように第2貫通孔26を介して、事前に架台20上で各機器をサブ組み立てし、その後架台20と合わせて組付けることで、個別搭載よりも組み立て性が向上し機械生産効率が上げることができる。
【0029】
冷却水タンク15は、冷却系統の最上位置に位置することが好ましい。このように冷却タンク15を冷却系統の最上位置に位置することにより系統内のエア抜き性及び冷却水ポンプの吸い込み圧力確保を有利にすることができる。
【0030】
ここで、「冷却系統」とは、エンジンを冷却するための一連の装置であり、ファン16、冷却水が循環する冷却水流路(図示しない)、上記冷却水流路上に配置される冷却水タンク15、ラジエータ11を含む。
【0031】
第2載置面24の高さは、第1載置面23の高さより高くなるように構成されている。このようにすることで、第1載置面23に載置された排気ガス処理装置10は、エンジン9と近接し、第2載置面に配置された吸気装置14及び冷却水タンク15は、エンジン9から離隔する。また、第2載置面24は、第1載置面23よりもファン16による空気の流れ方向の上流側に位置している。第2載置面24は、ファン16よりも上記流れ方向の上流側(つまりファン16による空気の吸い込み側)に突出していてもよい。当該建設機械の駆動装置は、第2載置面24の高さが第1載置面23の高さよりも高いので、ファン16による吸気が第2載置面24によって妨げられ難い。その結果、当該建設機械の駆動装置は、ファン16による整流機能が高められる。これにより、架台20を用いることでエンジン9の上部のスペースを活用しつつ、エンジン9の熱が吸気装置14に流れ込むことを抑制できる。
【0032】
エンジン9にはファン16が備えられている。ファン16は、エンジン9により駆動される。本実施形態においてファン16は、エンジン9に備えられ、エンジン9を動力源としてファン16が駆動されている態様について記載しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、ファン16を単独で設けて、油圧や電気などを動力源としてファン16が駆動されてもよい。ファン16が駆動されることより、外気が、外装カバー5と床との隙間(図示しない)、外装カバー5に設けられた吸気開口(図示しない)などから、冷却風17として外装カバー5内に取り込まれる。
【0033】
図5に示すように、ファン16により発生された冷却風17は、エンジン9を冷却し、第1貫通孔25を通り、排気ガス処理装置10及び計装部18を冷却する。このように、第1貫通孔25を有する第1載置面23に排気ガス処理装置10を載置することにより、排気ガス処理装置10及び計装部18を適切に冷却することができる機構を有する。冷却風17は、排気ガス処理装置10及び計装部18を冷却した後、排気用開口12から排出される。このような観点から、排気用開口12は、ファン16により発生し、第1貫通孔25を通過した冷却風17の流路上に配置されていることが好ましい。また、第1貫通孔25は、内部を通過した冷却風17によって排気ガス処理装置10及び計装部18冷却しやすいよう、ファン16による送風方向に沿って細長状に形成されていることが好ましい。
【0034】
[架台]
図6に示すように、架台20は、天板21とこの天板21を支える一対の脚部22とを有している。天板21は、第1載置面23と第2載置面24とを有し、第1載置面23には第1貫通孔25が設けられ、第2載置面24には第2貫通孔26が設けられている。第2載置面24の高さは、第1載置面23の高さよりも高くなるように構成されている。
【0035】
天板21及び脚部22は、その構成する材料は特に限定されるものではないが、重量化した排気ガス処理装置などを載置することから、例えば、鋼板などの高強度のものが好ましい。また、天板21は、
図6に示すように板状の部材を複数重ね合した構成とすることが好ましい。このように構成することで、架台強度を高めることができる。
【0036】
[動作]
次に、上述のように構成された建設機械の駆動装置の動作を説明する。
まず、ファン16が、エンジン9により駆動され、冷却風17を発生させる。冷却風17は、天板21の下方に設置されたエンジン9を冷却する。冷却風17は、天板21に設けられた第1貫通孔25を通って天板21の上方に至り、排気用開口12を通じて外部に排気される。
そして、この際に冷却風17は、天板21の第1載置面23に載置された排気ガス処理装置10及び計装部18を冷却する。
上述のような本実施形態によれば、排気ガス処理装置の重量の問題に対応し、かつ排気ガス処理装置搭載後の排気ガス処理装置などを冷却する機構を有した建設機械の駆動装置及び建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の建設機械の駆動装置及び建設機械の排気ガス処理装置を支持するための架台は、クレーンなどの建設機械の駆動装置などに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 クレーン
2 下部走行体
3 ブーム
4 キャブ
5 外装カバー
6 作動油タンク
7 パワーディバイダ
9 エンジン
10 排気ガス処理装置
11 ラジエータ
12 排気用開口
13 排気管
14 吸気装置
15 冷却水タンク
16 ファン
17 冷却風
18 計装部
20 架台
21 天板
22 脚部
23 第1載置面
24 第2載置面
25 第1貫通孔
26 第2貫通孔