(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】レーザー干渉計
(51)【国際特許分類】
G01S 17/50 20060101AFI20240326BHJP
G01P 3/36 20060101ALI20240326BHJP
G01S 7/4911 20200101ALI20240326BHJP
G01H 9/00 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
G01S17/50
G01P3/36 E
G01S7/4911
G01H9/00 C
(21)【出願番号】P 2020142497
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】清水 武士
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-171118(JP,A)
【文献】特開昭48-026089(JP,A)
【文献】特開2005-203517(JP,A)
【文献】特開平07-151773(JP,A)
【文献】特開2007-114141(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101290215(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51,
G01S 17/00-17/95,
G01P 3/36,
G01H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザー光を射出する光源部と、
振動素子を備え、前記振動素子を用いて前記第1レーザー光を変調し、変調信号を含む第2レーザー光を生成する光変調器と、
前記第1レーザー光が対象物で反射して生成されたサンプル信号を含む第3レーザー光と、前記第2レーザー光と、の干渉光を受光し、受光信号を出力する受光素子と、
基準信号に基づいて、前記受光信号から前記サンプル信号を復調する復調回路と、
前記復調回路に前記基準信号を出力する発振回路と、
を備え、
前記振動素子は、前記発振回路の信号源であることを特徴とするレーザー干渉計。
【請求項2】
前記振動素子は、振動により前記第1レーザー光を前記第2レーザー光に変調し、
前記発振回路は、前記振動を源振として前記基準信号を発生させる請求項1に記載のレーザー干渉計。
【請求項3】
前記振動素子は、水晶振動子を有する請求項1または2に記載のレーザー干渉計。
【請求項4】
前記光源部は、半導体レーザー素子を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレーザー干渉計。
【請求項5】
前記光変調器は、前記振動素子を収容する筐体を備え、
前記発振回路は、前記筐体に収容されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレーザー干渉計。
【請求項6】
前記サンプル信号は、位相信号または周波数信号である請求項1ないし5のいずれか1項に記載のレーザー干渉計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー干渉計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、振動している物体にレーザービームを照射し、ドップラー効果により変化したレーザービームの周波数を利用して、物体の速度を測定するレーザードップラー速度計が開示されている。レーザードップラー速度計では、物体の振動現象の方向性を検出するために、レーザー光源から出射した光を変調する構造が必要となる。このため、特許文献1では、音響光学変調器や電気光学変調器を用いることが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の音響光学変調器や電気光学変調器には、発振回路から出力されたRF(Radio Frequency)信号が入力される。これにより、これらの光変調器内に設けられた光学素子の屈折率を変化させ、光を変調する。
【0004】
レーザー光源から出射した光を振動している物体に照射すると、反射して戻り光が発生する。戻り光は、ドップラーシフトをおこしているので、参照光と干渉させることにより、ビート信号が発生する。このビート信号を復調器に通すことにより、物体の振動速度を求めることができる。通常、復調器では、発振回路から発生させた基準信号を用いて復調を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発振回路は、例えば水晶振動子等の信号源を源振として所望の周波数信号を出力する回路である。しかしながら、水晶振動子の発振には、温度特性がある。このため、温度変化の影響を受けると、発振回路から出力される信号の周波数が変化するという問題がある。
【0007】
一方、前述した光変調器による光の変調にも温度特性がある。このため、温度変化の影響を受けると、光変調器による変調周波数が変化する。
【0008】
ところが、光変調器の温度特性は、水晶振動子の温度特性と異なる。この温度特性のずれは、レーザードップラー速度計の計測結果に影響を及ぼす。その結果、計測速度の精度が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の適用例に係るレーザー干渉計は、
第1レーザー光を射出する光源部と、
振動素子を備え、前記振動素子を用いて前記第1レーザー光を変調し、変調信号を含む第2レーザー光を生成する光変調器と、
前記第1レーザー光が対象物で反射して生成されたサンプル信号を含む第3レーザー光と、前記第2レーザー光と、の干渉光を受光し、受光信号を出力する受光素子と、
基準信号に基づいて、前記受光信号から前記サンプル信号を復調する復調回路と、
前記復調回路に前記基準信号を出力する発振回路と、
を備え、
前記振動素子は、前記発振回路の信号源であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るレーザー干渉計を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1に示すセンサーヘッド部および光学系を示す概略構成図である。
【
図3】
図2に示す光変調器の第1構成例を示す斜視図である。
【
図4】光変調器の第2構成例の一部を示す平面図である。
【
図6】
図3に示す振動素子の表面に対して垂直な方向から入射光K
iが入射したとき、複数の回折光が発生することを説明する概念図である。
【
図7】入射光K
iの進行方向と参照光L2の進行方向とのなす角度が180度となるように構成された光変調器を説明する概念図である。
【
図8】入射光K
iの進行方向と参照光L2の進行方向とのなす角度が180度となるように構成された光変調器を説明する概念図である。
【
図9】入射光K
iの進行方向と参照光L2の進行方向とのなす角度が180度となるように構成された光変調器を説明する概念図である。
【
図10】パッケージ構造を有する光変調器を示す断面図である。
【
図11】一段インバーター発振回路の構成を示す回路図である。
【
図13】従来のレーザー干渉計の構成を簡略化して示す図である。
【
図14】
図1のレーザー干渉計の構成を簡略化して示す図である。
【
図15】受光信号の波形の一例を示すグラフである。
【
図16】発振回路の負荷容量C
Lと、被測定物としてのピエゾ素子に対する変位振幅の計測結果の精度と、の関係を示すグラフである。
【
図17】第1変形例に係るレーザー干渉計が備える光学系の実装構造を示す概略構成図である。
【
図18】第2変形例に係るレーザー干渉計が備える光学系の実装構造を示す概略構成図である。
【
図19】第3変形例に係るレーザー干渉計が備える光学系の実装構造を示す概略構成図である。
【
図20】第4変形例に係るレーザー干渉計が備える光学系の実装構造を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のレーザー干渉計を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るレーザー干渉計を示す機能ブロック図である。
【0012】
図1に示すレーザー干渉計1は、光学系50が設けられたセンサーヘッド部51と、光学系50からの受光信号が入力される復調回路52と、復調回路52に基準信号を出力する発振回路54と、を有する。
【0013】
1.センサーヘッド部
図2は、
図1に示すセンサーヘッド部51および光学系50を示す概略構成図である。
【0014】
光学系50は、光源部2と、偏光ビームスプリッター4と、1/4波長板6と、1/4波長板8と、検光子9と、受光素子10と、周波数シフター型の光変調器12と、被測定物14が配置されたセット部16と、を備えている。
【0015】
光源部2は、所定の波長の出射光L1(第1レーザー光)を射出する。受光素子10は、受けた光を電気信号に変換する。光変調器12は、振動素子30を備えており、出射光L1を変調し、変調信号を含む参照光L2(第2レーザー光)を生成する。セット部16は、必要に応じて設けられればよいが、被測定物14を配置することができるようになっている。被測定物14に入射した出射光L1は、被測定物14に由来するサンプル信号を含む物体光L3(第3レーザー光)として反射する。
【0016】
光源部2から射出される出射光L1の光路を、光路18とする。光路18は、偏光ビームスプリッター4の反射により、光路20に結合される。光路20上には、偏光ビームスプリッター4側から1/4波長板8および光変調器12がこの順で配置されている。また、光路18は、偏光ビームスプリッター4の透過により、光路22に結合される。光路22上には、偏光ビームスプリッター4側から1/4波長板6およびセット部16がこの順で配置されている。
【0017】
光路20は、偏光ビームスプリッター4の透過により、光路24に結合される。光路24上には、偏光ビームスプリッター4側から検光子9および受光素子10がこの順で配置されている。
【0018】
光源部2から射出された出射光L1は、光路18および光路20を経て、光変調器12に入射する。また、出射光L1は、光路18および光路22を経て、被測定物14に入射する。光変調器12で生成された参照光L2は、光路20および光路24を経て、受光素子10に入射する。被測定物14での反射により生成された物体光L3は、光路22および光路24を経て、受光素子10に入射する。
【0019】
以下、レーザー干渉計1の各部について順次説明する。
1.1.光源部
光源部2は、可干渉性を有する線幅の細い出射光L1を射出するレーザー光源である。線幅を周波数差で表示した場合、線幅がMHz帯以下のレーザー光源が好ましく用いられる。具体的には、HeNeレーザーのようなガスレーザー、DFB-LD(Distributed feedback - laser diode)、FBG-LD(Fiber bragg Grating付き laser diode)、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)のような半導体レーザー素子等が挙げられる。
【0020】
光源部2は、特に半導体レーザー素子を含むことが好ましい。これにより、光源部2を特に小型化することが可能になる。このため、レーザー干渉計1の小型化を図ることができる。特に、レーザー干渉計1のうち、光学系50が収容されるセンサーヘッド部51の小型化および軽量化が図られるため、レーザー干渉計1の操作性を高められる点でも有用である。
【0021】
1.2.偏光ビームスプリッター
偏光ビームスプリッター4は、入射光を透過光と反射光とに分割する光学素子である。また、偏光ビームスプリッター4は、P偏光を透過し、S偏光を反射させる機能を有し、入射光の偏光状態を直交成分に分けることができる。以下、直線偏光であって、P偏光とS偏光の比を例えば50:50にした出射光L1を、偏光ビームスプリッター4に入射させる場合を考える。
【0022】
偏光ビームスプリッター4では、前述したように、出射光L1のS偏光を反射し、P偏光を透過させる。
【0023】
偏光ビームスプリッター4で反射した出射光L1のS偏光は、1/4波長板8で円偏光に変換され、光変調器12に入射する。光変調器12に入射した出射光L1の円偏光は、fm[Hz]の周波数シフトを受け、参照光L2として反射する。したがって、参照光L2は、変調周波数fm[Hz]の変調信号を含む。参照光L2は、再び1/4波長板8を透過するときP偏光に変換される。参照光L2のP偏光は、偏光ビームスプリッター4および検光子9を透過して受光素子10に入射する。
【0024】
偏光ビームスプリッター4を透過した出射光L1のP偏光は、1/4波長板6で円偏光に変換され、動いている状態の被測定物14に入射する。被測定物14に入射した出射光L1の円偏光は、fd[Hz]のドップラーシフトを受け、物体光L3として反射する。したがって、物体光L3は、周波数fd[Hz]の周波数信号を含む。物体光L3は、再び1/4波長板6を透過するときS偏光に変換される。物体光L3のS偏光は、偏光ビームスプリッター4で反射され、検光子9を透過して受光素子10に入射する。
【0025】
前述したように、出射光L1は可干渉性を有しているため、参照光L2および物体光L3は、干渉光として受光素子10に入射する。
【0026】
なお、偏光ビームスプリッターに代えて無偏光ビームスプリッターを用いるようにしてもよい。この場合、1/4波長板6および1/4波長板8が不要となるため、部品点数の削減によるレーザー干渉計1の小型化を図ることができる。
【0027】
1.3.検光子
互いに直交するS偏光およびP偏光は、互いに独立しているので、単純に重ね合わせただけでは干渉が現れない。そこで、S偏光とP偏光を重ね合わせた光波を、S偏光およびP偏光の双方に対して45°傾けた検光子9に通す。検光子9を用いることにより、互いに共通した成分同士の光を透過させ、干渉を生じさせることができる。その結果、検光子9では、変調信号とサンプル信号とが干渉し、fm-fd[Hz]の周波数を持つ干渉光が生成される。
【0028】
1.4.受光素子
参照光L2および物体光L3は、偏光ビームスプリッター4および検光子9を介して受光素子10に入射する。これにより、参照光L2と物体光L3とが光ヘテロダイン干渉し、fm-fd[Hz]の周波数を持つ干渉光が受光素子10に入射する。この干渉光から後述する方法でサンプル信号を復調することにより、最終的に、被測定物14の動き、すなわち速度や振動を求めることができる。受光素子10としては、例えば、フォトダイオード等が挙げられる。
【0029】
1.5.光変調器
図3は、
図2に示す光変調器12の第1構成例を示す斜視図である。
【0030】
1.5.1.第1構成例に係る光変調器の概要
周波数シフター型の光変調器12は、光変調振動子120を有している。この光変調振動子120は、板形状の振動素子30と、振動素子30を支持する基板31と、を備えている。
【0031】
振動素子30は、電位を加えることにより、面に沿う方向に歪むように振動するモードを繰り返す材料で構成されている。本実施形態では、振動素子30は、MHz帯の高周波領域で、振動方向36に沿って厚みすべり振動する水晶AT振動子である。振動素子30の表面には、回折格子34が形成されている。回折格子34は、直線状の複数の溝32が周期的に並んでなる構造を有している。
【0032】
基板31は、互いに表裏の関係を有する表面311および裏面312を有している。表面311には、振動素子30が配置されている。また、表面311には、振動素子30に電位を加えるためのパッド33が設けられている。一方、裏面312にも、振動素子30に電位を加えるためのパッド35が設けられている。
【0033】
基板31の大きさは、例えば、長辺が0.5mm以上10.0mm以下程度とされる。また、基板31の厚さは、例えば、0.1mm以上2.0mm以下程度とされる。一例として、基板31の形状は、1辺が1.6mmの正方形とされ、その厚さは0.35mmとされる。
【0034】
振動素子30の大きさは、例えば、長辺が0.2mm以上3.0mm以下程度とされる。また、振動素子30の厚さは、例えば、0.003mm以上0.5mm以下程度とされる。
【0035】
一例として、振動素子30の形状は、1辺が1.0mmの正方形とされ、その厚さ0.07mmとされる。この場合、振動素子30は、基本発振周波数24MHzで発振する。なお、振動素子30の厚さを変えたり、オーバートーンまで考慮したりすることにより、発振周波数を1MHzから1GHzの範囲で調整することが可能である。
【0036】
なお、
図3では、回折格子34が振動素子30の表面全体に形成されているが、一部にのみ形成されていてもよい。
【0037】
光変調器12による光変調の強さは、光変調器12に入射させる出射光L1の波数ベクトルと光変調器12から出射される出射光L2の波数ベクトルとの差分波数ベクトルと、振動素子30の振動方向36のベクトルとの内積で与えられる。本実施形態では、振動素子30が厚みすべり振動するが、この振動は面内振動であることから、振動素子30単体の表面に対して垂直に光を入射させても、光変調はできない。そこで、本実施形態では、振動素子30に回折格子34を設けることにより、後述する原理によって光変調を可能にしている。
【0038】
図3に示す回折格子34は、ブレーズド回折格子である。ブレーズド回折格子は、回折格子の断面形状が階段状になっているものをいう。回折格子34の直線状の溝32は、その延在方向が振動方向36に対して直交するように設けられている。
【0039】
図1に示す発振回路54から
図3に示す振動素子30に駆動信号S1を供給する(交流電圧を印加する)と、振動素子30が発振する。振動素子30の発振に必要な電力(駆動パワー)は、特に限定されないが、0.1μW~100mW程度と小さい。このため、発振回路54から出力した駆動信号S1を増幅することなく、振動素子30を発振させるために用いることができる。
【0040】
1.5.2.回折格子の形成方法
回折格子34の形成方法は、特に限定されないが、一例として、機械刻線式(ルーリングエンジン)を用いた方法で型を作り、水晶AT振動子の振動素子30の表面に成膜した電極上に、ナノインプリント法で溝32を形成する方法が挙げられる。ここで、電極上としたのは、水晶AT振動子の場合は、原理上、電極上で高品質な厚みすべり振動を発生させることができるためである。なお、溝32を形成するのは、電極上に限定されず、非電極部の材料の表面上であってもよい。また、ナノインプリント法に代えて、露光およびエッチングによる加工方法、電子線描画リソグラフィー法、集束イオンビーム加工法(FIB)等を用いるようにしてもよい。
【0041】
また、水晶AT振動子のチップ上にレジスト材料で回折格子を形成し、そこに、金属膜や誘電体多層膜によるミラー膜を設けるようにしてもよい。金属膜やミラー膜を設けることにより、回折格子34の反射率を高めることができる。
【0042】
さらに、水晶AT振動子のチップやウエハー上にレジスト膜を形成し、エッチングによって加工を施した後、レジスト膜を除去し、その後、加工面に金属膜やミラー膜を形成するようにしてもよい。この場合、レジスト材料が除去されるため、レジスト材料の吸湿等による影響がなくなり、回折格子34の安定性を高めることができる。また、Au、Alのような導電性の高い金属膜を設けることにより、振動素子30を駆動する電極としても用いることができる。
【0043】
なお、回折格子34は、陽極酸化アルミナ(ポーラスアルミナ)のような技術を用いて形成されてもよい。
【0044】
1.5.3.他の構成例に係る光変調器
振動素子30は、水晶振動子に限定されず、例えば、Si振動子、弾性表面波(SAW)デバイス等であってもよい。
【0045】
図4は、光変調器12の第2構成例の一部を示す平面図である。
図5は、光変調器12の第3構成例を示す平面図である。
【0046】
図4に示す振動素子30Aは、MEMS技術を用いて製造されたSi振動子である。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、微小電気機械システムのことである。
【0047】
振動素子30Aは、隙間を介して同一平面上に隣り合う第1電極301および第2電極302と、第1電極301上に設けられた回折格子載置部303と、回折格子載置部303上に設けられた回折格子34と、を備えている。第1電極301および第2電極302は、例えば、静電引力を駆動力として、
図4の左右方向に、互いに接近と離間とを繰り返すように振動する。これにより、回折格子34に面内振動を与えることができる。Si振動子の発振周波数は、例えば1kHzから数100MHz程度である。
【0048】
図5に示す振動素子30Bは、表面波を利用するSAWデバイスである。SAW(Surface Acoustic Wave)は、弾性表面波のことである。
【0049】
振動素子30Bは、圧電基板305と、圧電基板305上に設けられた櫛歯状電極306と、接地電極307と、回折格子載置部303と、回折格子34と、を備えている。櫛歯状電極に交流電圧を印加すると、逆圧電効果により、表面波が励振される。これにより、回折格子34に面内振動を与えることができる。SAWデバイスの発振周波数は、例えば数100MHzから数GHz程度である。
【0050】
以上のようなデバイスについても、回折格子34を設けることにより、水晶AT振動子の場合と同様、後述する原理によって光変調が可能になる。
【0051】
一方、振動素子30が水晶振動子を有している場合、水晶が持つ極めて高いQ値を利用して、高精度な変調信号を生成することができる。Q値とは、共振のピークの鋭さを示す指標である。また、水晶振動子は、外乱にも影響を受けにくいという特長を持つ。したがって、水晶振動子を備える光変調器12で変調された変調信号を用いることにより、被測定物14に由来するサンプル信号を高精度に取得することができる。
【0052】
1.5.4.振動素子による光変調
次に、
図3に示す光変調器12を用いて光を変調する原理について説明する。
【0053】
図6は、
図3に示す振動素子30の表面に対して垂直な方向から入射光K
iが入射したとき、複数の回折光が発生することを説明する概念図である。
【0054】
振動方向36に沿って厚みすべり振動をしている回折格子34に入射光K
iが入射すると、回折現象により、
図6に示すように、複数の回折光K
nsが発生する。nは、回折光K
nsの次数であり、n=0、±1、±2、・・・である。なお、
図6に示す回折格子34には、
図3に示すブレーズド回折格子ではなく、別の回折格子の例として、凹凸の繰り返しによる回折格子を図示している。
【0055】
図6では、入射光K
iが振動素子30の表面に対して垂直な方向から入射しているが、この入射角は特に限定されず、振動素子30の表面に対して斜めに入射するように入射角を設定するようにしてもよい。斜めに入射させた場合には、回折光K
nsの進行方向もそれに対応して変化する。
【0056】
なお、回折格子34の設計によっては、│n│≧2の高次の光は出現しないことがある。そこで、安定して変調信号を得るために、│n│=1に設定するのが望ましい。すなわち、
図2のレーザー干渉計1において、周波数シフター型の光変調器12は、±1次回折光が参照光L2として利用されるように配置されることが好ましい。この配置により、レーザー干渉計1による計測の安定化を実現することができる。
【0057】
一方、回折格子34から│n│≧2の高次の光が出現している場合には、±1次回折光ではなく、±2次以上のいずれかの回折光が参照光L2として利用されるように、光変調器12を配置するようにしてもよい。これにより、高次の回折光を利用することができるので、レーザー干渉計1の高周波化と小型化を実現することができる。
【0058】
本実施形態では、一例として、光変調器12に入射する入射光Kiの進入方向と光変調器12から出射する参照光L2の進行方向とのなす角度が180度となるように、光変調器12が構成されている。以下、3つの構成例について説明する。
【0059】
図7ないし
図9は、それぞれ、入射光K
iの進行方向と参照光L2の進行方向とのなす角度が180度となるように構成された光変調器12を説明する概念図である。
【0060】
図7では、光変調器12が、振動素子30に加えてミラー37を備えている。ミラー37は、回折光K
1sを反射して回折格子34に戻すように配置されている。このとき、ミラー37に対する回折光K
1sの入射角とミラー37における反射角とのなす角度が180度になっている。この結果、ミラー37から出射して回折格子34に戻された回折光K
1sは、回折格子34で再び回折し、光変調器12に入射する入射光K
iの進行方向と反対の方向に進行することになる。このため、ミラー37を追加することによって、前述した、入射光K
iの進入方向と参照光L2の進行方向とのなす角度が180度という条件を満たすことができる。
【0061】
またこのようにミラー37を経由させることで、光変調器12で生成される参照光L2は、2回の周波数変調を受けたものとなる。したがって、ミラー37を併用することにより、振動素子30単体を用いた場合に比べて、より高周波の周波数変調が可能になる。
【0062】
図8では、
図6の配置に対し、振動素子30を傾けている。このときの傾斜角度θは、前述した、入射光K
iの進入方向と参照光L2の進行方向とのなす角度が180度という条件を満たすように設定されている。
【0063】
図9に示す回折格子34は、ブレーズ角θ
Bを有するブレーズド回折格子である。そして、振動素子30の表面の法線Nに対し、入射角βで進行する入射光K
iが回折格子34に入射すると、法線Nに対してブレーズ角θ
Bと同じ角度で参照光L2が戻ることになる。したがって、入射角βをブレーズ角θ
Bと等しくすることで、前述した、入射光K
iの進入方向と参照光L2の進行方向とのなす角度が180度という条件を満たすことができる。この場合、
図7に示すミラー37を用いずに、また、
図8に示すように振動素子30自体を傾けることなく、前記条件を満たすことができるので、レーザー干渉計1のさらなる小型化および高周波化を図ることができる。特に、ブレーズド回折格子の場合には、前記条件を満たす配置を「リトロー配置」といい、回折光の回折効率を特に高めることができるという利点もある。
【0064】
なお、
図9のピッチPは、ブレーズド回折格子のピッチを表しており、一例として、ピッチPが1μmとされる。また、ブレーズ角θ
Bは、25度とされる。この場合、前記条件を満たすためには、入射光K
iの法線Nに対する入射角βも25度にすればよい。
【0065】
1.5.5.パッケージ構造
図10は、パッケージ構造を有する光変調器12を示す断面図である。
【0066】
図10に示す光変調器12は、筐体である容器70と、容器70に収容されている光変調振動子120と、発振回路54を構成する回路素子45と、を備えている。なお、容器70は、例えば、真空等の減圧雰囲気、または、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気に気密封止されている。
【0067】
容器70は、
図10に示すように、容器本体72とリッド74とを有している。このうち、容器本体72は、その内部に設けられた第1凹部721と、第1凹部721の内側に設けられ、第1凹部721より深い第2凹部722と、を有している。容器本体72は、例えば、セラミックス材料、樹脂材料等で構成されている。また、図示しないが、容器本体72は、内面に設けられた内部端子、外面に設けられた外部端子、内部端子と外部端子とを接続する配線等を備えている。
【0068】
また、容器本体72の開口部は、図示しないシールリングや低融点ガラス等の封止部材を介して、リッド74で塞がれている。リッド74の構成材料には、レーザー光を透過可能な材料、例えばガラス材料等が用いられる。
【0069】
第1凹部721の底面には、光変調振動子120が配置されている。光変調振動子120は、図示しない接合部材により、第1凹部721の底面に支持されている。また、容器本体72の内部端子と光変調振動子120との間は、例えばボンディングワイヤー、接合金属等の図示しない導電材料を介して電気的に接続されている。
【0070】
第2凹部722の底面には、回路素子45が配置されている。回路素子45は、ボンディングワイヤー76を介して容器本体72の内部端子と電気的に接続されている。これにより、光変調振動子120と回路素子45との間も、容器本体72が備える配線を介して電気的に接続される。なお、回路素子45には、後述する発振回路54以外の回路が設けられていてもよい。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る光変調器12は、振動素子30を収容する筐体である容器70を備えている。そして、発振回路54も容器70に収容されている。
【0072】
このようなパッケージ構造を採用することにより、光変調振動子120と回路素子45とを重ねることができるので、両者の物理的距離を近づけることができ、光変調振動子120と回路素子45との間の配線長を短くすることができる。このため、駆動信号S1に外部からノイズが入ったり、反対に駆動信号S1がノイズ源になったりするのを抑制することができる。また、1つの容器70で、光変調振動子120と回路素子45の双方を外部環境から保護することができる。このため、センサーヘッド部51の小型化を図りつつ、レーザー干渉計1の信頼性を高めることができる。
【0073】
なお、容器70の構造は、図示した構造に限定されず、例えば、光変調振動子120と回路素子45とが、個別のパッケージ構造を有していてもよい。また、図示しないものの、容器70には、発振回路54を構成するその他の回路要素が収容されていてもよい。なお、容器70は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0074】
2.発振回路
図1および
図2に示すように、発振回路54は、光学系50の光変調器12に入力される駆動信号S1を出力する。また、発振回路54は、復調回路52に入力される基準信号S2を出力する。
【0075】
発振回路54には、振動素子30を発振可能な回路であれば、特に限定されず、様々な構成の回路が用いられる。一例として、
図11は、一段インバーター発振回路の構成を示す回路図である。
【0076】
図11に示す発振回路54は、回路素子45と、帰還抵抗Rfと、第1制限抵抗R1と、第2制限抵抗R2と、第1コンデンサーCgと、第2コンデンサーCdと、第3コンデンサーC3と、を備えている。
【0077】
回路素子45は、インバーターICである。回路素子45の端子X1および端子X2は、それぞれインバーターに接続された端子である。端子GNDは、グランド電位に接続され、端子Vccは、電源電位に接続される。端子Yは、発振出力用の端子である。
【0078】
端子X1とグランド電位との間には、第1コンデンサーCgが接続されている。また、端子X2とグランド電位との間には、互いに直列に接続された第1制限抵抗R1および第2コンデンサーCdが、端子X2側からこの順で接続されている。さらに、端子X1と第1コンデンサーCgとの間には、帰還抵抗Rfの一端が接続され、端子X2と第1制限抵抗R1との間には、帰還抵抗Rfの他端が接続されている。
【0079】
また、第1制限抵抗R1と第2コンデンサーCdとの間には、第2制限抵抗R2の一端が接続されている。さらに、第1コンデンサーCgおよび帰還抵抗Rfと、第2制限抵抗R2の他端と、の間には、前述した振動素子30が接続されている。つまり、振動素子30が、発振回路54の信号源となっている。
【0080】
また、
図12は、振動素子30のLCR等価回路の例である。
図12に示すように、振動素子30のLCR等価回路は、直列容量C
1、直列インダクタンスL
1、等価直列抵抗R
1、および並列容量C
0で構成されている。
【0081】
このような発振回路54では、第1コンデンサーCgの容量をCgとし、第2コンデンサーCdの容量をCdとするとき、負荷容量CLが以下の式(a)で与えられる。
【0082】
【0083】
そうすると、発振回路54の端子Yから出力される発振周波数foscは、以下の式(b)で与えられる。
【0084】
【0085】
fQは、振動素子30の固有振動数である。
上記式(b)によれば、負荷容量CLを適宜変更することにより、端子Yから出力される信号の発振周波数foscを微調整し得ることがわかる。
【0086】
また、振動素子30の固有振動数fQと、発振回路54の発振周波数foscと、の差Δfは、以下の式(c)で与えられる。
【0087】
【0088】
ここで、C1<<C0、C1<<CLであるので、Δfは、近似的に以下の式(d)で与えられる。
【0089】
【0090】
したがって、発振回路54の発振周波数foscは、振動素子30の固有振動数fQに応じた値となる。
【0091】
振動素子30が例えば容器70に固定されるとき、固定部を介して温度による膨張応力を受けると、固有振動数fQが変動する。また、振動素子30を傾けると、自重の重力効果等の影響を受けて、固有振動数fQが変動する。
【0092】
発振回路54では、このような理由で固有振動数fQが変動したとしても、上記式(d)に基づいて、その変動に連動するように発振周波数foscが変化することになる。つまり、発振周波数foscは、常にΔfだけ、固有振動数fQからずれた値となる。これにより、振動素子30は、変位振幅L0を安定して得ることができる。この変位振幅L0は、B値として後述するが、光変調器12による光変調において重要なパラメーターとなる。したがって、変位振幅L0を安定させることができれば、光変調器12の変調特性を安定化させることができ、復調回路52におけるサンプル信号の復調精度を高めることができる。
【0093】
一例として、Δf=fosc-fQ≦600[Hz]であるのが好ましく、240[Hz]≦Δf≦450[Hz]であるのがより好ましい。この場合、変位振幅L0およびB値が特に高くなるため、光変調器12の変調特性を特に安定させることができる。
【0094】
なお、発振回路54に代えて、例えばファンクションジェネレーターやシグナルジェネレーター等の信号生成器を用いた場合には、上記のように発振周波数foscを固有振動数fQの変動に連動させることができないため、変位振幅L0が不安定になるおそれがある。
【0095】
以上のように、本実施形態に係るレーザー干渉計1では、光源部2と、光変調器12と、受光素子10と、復調回路52と、発振回路54と、を備えている。光源部2は、出射光L1(第1レーザー光)を射出する。光変調器12は、振動素子30を備え、振動素子30を用いて出射光L1を変調し、変調信号を含む参照光L2(第2レーザー光)を生成する。受光素子10は、出射光L1が被測定物14(対象物)で反射して生成された、被測定物14に由来する信号を含む物体光L3(第3レーザー光)と、参照光L2と、の干渉光を受光し、受光信号を出力する。復調回路52は、基準信号S2に基づいて、受光信号から被測定物14に由来する信号を復調する。発振回路54は、復調回路52に入力される基準信号S2を出力する。そして、振動素子30は、発振回路54の信号源になっている。
【0096】
ここで、従来のレーザー干渉計の構成と、本実施形態に係るレーザー干渉計1の構成と、を比較する。
【0097】
図13は、従来のレーザー干渉計90の構成を簡略化して示す図である。
図14は、
図1のレーザー干渉計1の構成を簡略化して示す図である。
【0098】
図13に示す従来のレーザー干渉計90は、音響光学変調器(AOM)、電気光学変調器(EOM)等の光変調器91と、受光素子92と、復調回路93と、発振回路94と、水晶振動子95と、増幅器96と、を備えている。発振回路94は、水晶振動子95を発振させることにより、駆動信号を発生させる。そして、増幅器96で増幅した駆動信号を光変調器91に入力し、光変調器91を動作させる。また、発振回路94は、復調回路93におけるサンプル信号の復調に必要な基準信号を出力する。
【0099】
従来のレーザー干渉計90では、光変調を担う光変調器91と、水晶振動子95と、の間で、温度特性のずれが生じることがある。このため、この温度特性のずれがレーザー干渉計90の計測精度を低下させるという問題があった。
【0100】
これに対し、
図14に示す本実施形態に係るレーザー干渉計1は、振動素子30を備える光変調器12と、受光素子10と、復調回路52と、発振回路54と、を備えている。発振回路54は、振動素子30を発振させることにより、光変調器12を動作させる。また、発振回路54は、振動素子30を信号源として復調回路52におけるサンプル信号の復調に必要な基準信号S2を出力する。
【0101】
したがって、本実施形態の構成によれば、振動素子30が光変調器12における光変調を担うため、変調信号の温度特性は、振動素子30の温度特性に対応することになる。一方、振動素子30が発振回路54の信号源を担うため、発振回路54から復調回路52に出力される基準信号S2の温度特性も、振動素子30の温度特性に対応する。そうすると、変調信号の温度特性と基準信号の温度特性の双方が、振動素子30の温度特性に対応することになるため、温度変化に伴う変調信号の変動の挙動と基準信号の変動の挙動とが一致または近似する。このため、振動素子30の温度が変化したとしても、復調精度への影響を抑えることができ、被測定物14に由来するサンプル信号の復調精度を高めることができる。
【0102】
また、従来の光変調器91は、光変調器91の温度を維持する必要もあり、体積を小さくすることが難しい。また、光変調器91の消費電力が大きいため、レーザー干渉計90の小型化および省電力化が困難であるという課題を有している。
【0103】
これに対し、本実施形態では、振動素子30の体積が非常に小さく、発振に要する電力も小さいため、レーザー干渉計1の小型化および省電力化が容易である。
【0104】
また、前述したように、振動素子30は、振動により出射光L1(第1レーザー光)を参照光L2(第2レーザー光)に変調する。そして、発振回路54は、振動素子30の振動を源振として基準信号S2を発生させる。
【0105】
このような構成によれば、振動素子30の振動が、出射光L1の変調と基準信号S2の発生の双方に寄与している。このため、振動素子30の振動周波数が出射光L1の変調周波数と基準信号S2の周波数の双方に直接影響する。したがって、振動素子30の温度変化によって変調周波数がずれたとしても、基準信号S2も同様にずれるため、後述する前処理部53の乗算器538での演算や、復調部55の第1乗算器551および第2乗算器552における演算に、温度変化が影響しにくくなる。よって、原理的に、温度変化等の環境変化が演算過程に影響しにくくなるため、復調精度の低下を特に抑制することができる。
【0106】
3.復調回路
復調回路52は、受光素子10から出力された受光信号から、被測定物14に由来するサンプル信号を復調する復調処理を行う。サンプル信号とは、例えば、位相信号または周波数信号である。位相信号からは、被測定物14の変位情報を取得することができる。また、周波数信号からは、被測定物14の速度情報を取得することができる。このように異なる情報を取得することができれば、変位計や速度計としての機能を持たせられるため、レーザー干渉計1の高機能化を図ることができる。
【0107】
復調回路52は、変調処理の方式に応じて、その回路構成が設定される。本実施形態に係るレーザー干渉計1では、振動素子30を備えた光変調器12が用いられている。振動素子30は、単振動する素子であるため、振動速度が時々刻々と変化する。このため、変調周波数も変化することになり、従来の復調回路をそのまま用いることはできない。
【0108】
従来の復調回路とは、音響光学変調器(AOM)を用いて変調された変調信号を含む受光信号からサンプル信号を復調する回路を指す。音響光学変調器では、変調周波数が変化しない。このため、従来の復調回路は、変調周波数が変化しない光変調器で変調された変調信号を含む受光信号からサンプル信号を復調することはできるが、変調周波数が変化する光変調器12で変調された変調信号を含む場合、そのままでは復調することはできない。
【0109】
そこで、
図1に示す復調回路52は、前処理部53と、復調部55と、を備えている。受光素子10から出力された受光信号は、まず、前処理部53を通された後、復調部55に導かれる。前処理部53は、受光信号に前処理を施す。この前処理により、従来の復調回路で復調可能な信号が得られる。したがって、復調部55では、公知の復調方式により、被測定物14由来のサンプル信号が復調される。
【0110】
3.1.前処理部の構成
図1に示す前処理部53は、第1バンドパスフィルター534と、第2バンドパスフィルター535と、第1遅延調整器536と、第2遅延調整器537と、乗算器538と、第3バンドパスフィルター539と、第1AGC540と、第2AGC541と、和算器542と、を備えている。なお、AGCは、Auto Gain Controlである。
【0111】
また、前処理部53と受光素子10との間には、受光素子10側から電流電圧変換器531およびADC532がこの順で接続されている。
【0112】
さらに、発振回路54と第2遅延調整器537との間には、ADC533が接続されている。
【0113】
電流電圧変換器531は、トランスインピーダンスアンプであり、受光素子10からの電流出力を電圧信号に変換する。ADC532、533は、アナログ-デジタル変換器であり、所定のサンプリングビット数でアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0114】
第1バンドパスフィルター534、第2バンドパスフィルター535および第3バンドパスフィルター539は、それぞれ、特定の周波数帯の信号を選択的に透過させるフィルターである。
【0115】
第1遅延調整器536および第2遅延調整器537は、それぞれ、信号の遅延を調整する回路である。乗算器538は、2つの入力信号の積に比例した出力信号を生成する回路である。第1AGC540および第2AGC541は、それぞれ、信号の振幅を互いに揃える回路である。和算器542は、2つの入力信号の和に比例した出力信号を生成する回路である。
【0116】
受光素子10から出力された電流出力は、電流電圧変換器531で電圧信号に変換される。電圧信号は、ADC532でデジタル信号に変換され、第1信号と第2信号の2つに分割される。
【0117】
第1信号は、第1バンドパスフィルター534に通された後、第1遅延調整器536で群遅延を調整する。第1遅延調整器536で調整する群遅延は、後述する第2バンドパスフィルター535による第2信号の群遅延に相当する。この遅延調整によって、第1信号が通過する第1バンドパスフィルター534と、第2信号が通過する第2バンドパスフィルター535および第3バンドパスフィルター539と、の間でフィルター回路の通過に伴う遅延時間を揃えることができる。第1遅延調整器536を通過した第1信号は、第1AGC540を経て、和算器542に入力される。
【0118】
第2信号は、第2バンドパスフィルター535に通された後、乗算器538に入力される。乗算器538では、第2信号に対し、第2遅延調整器537から出力された基準信号cos(ωmt)が乗算される。具体的には、発振回路54から出力された基準信号S2に対し、ADC533でデジタル変換、第2遅延調整器537で位相の調整を行い、乗算器538に出力される。その後、第2信号は、第3バンドパスフィルター539に通された後、第2AGC541を経て、和算器542に入力される。和算器542では、第1信号と第2信号の和に比例する出力信号が、復調部55に出力される。
【0119】
3.2.前処理部による前処理の原理
次に、前処理部53における前処理の原理について説明する。まず、
【0120】
【数5】
としたとき、受光素子10から出力される受光信号強度I
PDは、理論的に次式で表される。
【0121】
【0122】
なお、Em、Ed、φm0、φd0、φ0、fm(t)、fd(t)、f0、am、adは、それぞれ以下のとおりである。
【0123】
【0124】
また、式(4)中の<>は、時間平均を表している。
なお、f0は、一例として300THz程度であり、fm(t)は、一例として100kHz~100MHz程度であり、fd(t)は、一例として1kHz~10MHz程度である。
【0125】
上記式(4)の第1項は、直流成分を表しており、第2項は、交流成分を表している。この交流成分をIPD.ACとすると、IPD.ACは次式のようになる。
【0126】
【0127】
さらに、IPD.ACは、次のように変形できる。
【0128】
【0129】
ここで、次式のようなν次ベッセル関数が知られている。
【0130】
【0131】
上記式(8)を上記式(11)および式(12)のベッセル関数を使って級数展開すると、次のように変形できる。
【0132】
【0133】
ただし、J0(B)、J1(B)、J2(B)、・・・は、それぞれベッセル係数である。
【0134】
そして、展開後の各項における、振動周波数の次数と係数との関係を以下の表1に示す。
【0135】
【0136】
以上のように展開すると、理論的には、特定の次数に対応する帯域をバンドパスフィルターによって抽出することが可能であるといえる。
【0137】
そこで、前述した前処理部53では、この理論に基づいて、以下のフローで受光信号に前処理を行っている。
【0138】
まず、前述したADC532から出力されたデジタル信号は、第1信号と第2信号の2つに分割される。第1信号は、第1バンドパスフィルター534に通される。第1バンドパスフィルター534は、中心角周波数がωmに設定されている。これにより、第1バンドパスフィルター534通過後の第1信号は、さらに第1遅延調整器536および第1AGC540で位相および振幅を調整された結果、次式で表される。
【0139】
【0140】
一方、第2信号は、第2バンドパスフィルター535に通される。第2バンドパスフィルター535の中心角周波数は、第1バンドパスフィルター534の中心角周波数とは異なる値に設定されている。ここでは、一例として、第2バンドパスフィルター535の中心角周波数が2ωmに設定されている。これにより、第2バンドパスフィルター535通過後の第2信号は、次式で表される。
【0141】
【0142】
第2バンドパスフィルター535通過後の第2信号には、乗算器538で基準信号cos(ωmt)が乗算される。乗算後の第2信号は、次式で表される。
【0143】
【0144】
乗算器538通過後の第2信号は、第3バンドパスフィルター539に通される。第3バンドパスフィルター539の中心角周波数は、第1バンドパスフィルター534の中心角周波数と同じ値に設定されている。ここでは、一例として、第3バンドパスフィルター539の中心角周波数がωmに設定されている。これにより、第3バンドパスフィルター539通過後の第2信号は、次式で表される。
【0145】
【0146】
第3バンドパスフィルター539通過後の第2信号は、第2AGC541で第1信号と振幅が揃えられた結果、次式で表される。
【0147】
【0148】
上記式(14)で表される第1信号および上記式(18)で表される第2信号は、和算器542で和算される。和算結果は、次式で表される。
【0149】
【0150】
上記式(19)のように、和算の結果、不要項が消え、必要項を取り出すことができる。この結果が復調部55に出力される。なお、前処理部53はADCを用いたデジタル処理にて説明したが、ADCのないアナログ回路構成であってもよい。
【0151】
3.3.復調部の構成
復調部55は、前処理部53から出力された信号から被測定物14に由来するサンプル信号を復調する復調処理を行う。復調処理としては、特に限定されないが、公知の直交検波法が挙げられる。直交検波法は、入力信号に対し、互いに直交する信号を外部から混合する操作を行うことにより、復調処理を施す方法である。
【0152】
図1に示す復調部55は、第1乗算器551と、第2乗算器552と、移相器553と、第1ローパスフィルター555と、第2ローパスフィルター556と、除算器557と、逆正接演算器558と、信号出力回路559と、を備えたデジタル回路である。
【0153】
3.4.復調部による復調処理の原理
復調処理では、まず、前処理部53から出力された信号を、2つに分割する。分割後の一方の信号に対し、第1乗算器551において、発振回路54から出力した基準信号S2である周波数信号cos(ωmt)を乗算する。分割後の他方の信号に対しては、第2乗算器552において、発振回路54から出力した基準信号S2の位相を移相器553で-90°シフトさせた周波数信号-sin(ωmt)を乗算する。周波数信号cos(ωmt)と周波数信号-sin(ωmt)は、互いに位相が90°ずれた信号である。
【0154】
第1乗算器551を通された信号は、第1ローパスフィルター555を通され、その後、信号xとして除算器557に入力される。第2乗算器552を通された信号も、第2ローパスフィルター556を通され、その後、信号yとして除算器557に入力される。除算器557では、信号yを信号xで除する除算を行い、信号y/xを逆正接演算器558に通して、信号atan(y/x)を求める。
【0155】
その後、信号atan(y/x)を信号出力回路559に通すことにより、被測定物14由来のサンプル信号として位相φdが求められる。そして、位相φdに基づいて、被測定物14の変位情報を算出することができる。これにより、被測定物14の変位を計測する変位計が実現される。また、変位情報から、速度情報を求めることができる。これにより、被測定物14の速度を計測する速度計が実現される。
【0156】
以上、復調部55の回路構成について説明したが、上記のデジタル回路の回路構成は、一例であり、これに限定されない。また、復調部55は、デジタル回路に限定されず、アナログ回路であってもよい。アナログ回路には、F/Vコンバーター回路やΔΣカウンター回路が含まれていてもよい。
【0157】
また、上述した復調部55の回路構成は、被測定物14由来のサンプル信号として周波数信号が求められるようになっていてもよい。周波数信号に基づいて、被測定物14の速度情報を算出することができる。
【0158】
4.位相の振幅
前述した前処理部53による前処理の原理からもわかるように、前処理を安定して行うためには、受光信号の交流成分のうち、前述した表1に示す1・ωmの信号成分と2・ωmの信号成分の双方が必要となる。
【0159】
図15は、受光信号の波形の一例を示すグラフである。受光信号は、前述したように、直流成分と交流成分とに分けられる。
図15では、レーザー干渉計1の光路位相差φ
0が取り得る様々な状態を再現するため、φ
0に緩やかな周期変動を与えている。したがって、
図15において、直流成分cos(φ
0)は、長い波の周期に対応し、交流成分cos(ψ
m-ψ
d+φ
0)は、短い波の周期に対応している。ψ
mは、光変調器12による変調信号の位相であって、ψ
m=Bsin(ω
mt)で表される。ψ
dは、被測定物14由来のサンプル信号の位相である。なお、
図15では、ψ
d=0としている。また、一例として、B=0.27としている。
【0160】
長い波の周期および短い波の周期は、計測条件に応じて様々に変化することになる。そこで、いかなる動きをする被測定物14であっても、安定した計測を行うためには、受光信号を表す線が、
図15の「最適ゾーン」と記載した2つの領域に入っていることが求められる。最適ゾーンとは、受光信号の交流成分に、前述した1・ω
mの信号成分と2・ω
mの信号成分の双方が現れる領域のことをいう。つまり、最適ゾーンから外れている場合、
図15に示すように、1・ω
mの信号成分が消失したり、2・ω
mの信号成分が消失したりすることになる。
【0161】
したがって、前述した「最適ゾーン」に入るためには、交流成分のうち、ψm+φ0の振幅がπ/3より大きければよいことになる。また、π/2より大きいことが好ましい。
【0162】
これを踏まえると、変調信号の位相ψmの変化振幅をΔψmとし、サンプル信号の位相ψdの変化振幅をΔψdとしたとき、Δψm+Δψd>π/3が少なくとも成り立っていればよい。そして、Δψmがπ/3に向かってできるだけ大きい方が好ましい。これにより、安定した計測が可能になる。
【0163】
なお、前述したψm=Bsin(ωmt)の式から、変調信号の位相ψmの変化振幅ΔψmはBという値になる。したがって、振動素子30の選定にあたっては、B値がπ/3に向かってできるだけ大きいことが好ましい。一例として、B値は、0.5超であるのが好ましく、π/3超であるのがより好ましい。これにより、被測定物14の変位がより微小であっても、安定して計測することができる。
【0164】
また、B値は、振動素子30の変位振幅L0に換算することができる。例えば、出射光L1の波長が632nmである場合、B>π/3を満たすためには、L0>69.5nmであればよいことになる。また、出射光L1の波長が850nmである場合、B>π/3を満たすためには、L0>93.4nmであればよいことになる。したがって、振動素子30の選定にあたっては、変位振幅L0を目安に選定してもよい。
【0165】
なお、これらの数値は、以下のようにして求められる。
前記式(10)より、B=f
mdmax/f
mである。また、f
mdmax=(4π・f
m・L
0・sinθ)/λである。なお、λは、出射光L1の波長であり、θは、
図8に示す傾斜角度である。
【0166】
これにより、(4πL0sinθ)/λ>π/3が成り立つ。その結果、L0>λ/(12sinθ)となる。したがって、例えば、θ=49.3°とすると、上述したλ=632nmの場合、L0>69.5nm[=632/{12×sin(49.3)}]となる。また、λ=850nmの場合、L0>93.4nm[=850/{12×sin(49.3)}]となる。
【0167】
図16は、発振回路54の負荷容量C
Lと、被測定物14としてのピエゾ素子に対する変位振幅の計測結果の精度と、の関係を示すグラフである。なお、
図16の縦軸は、ピエゾ素子の変位振幅をレーザー干渉計1で計測し、真値80.3nmに対する計測結果の標準偏差σの割合である。以下、この値を「復調精度」という。
【0168】
図16では、発振回路54の負荷容量C
Lを所定の値以上にすることで、1%以下の復調精度を実現することが認められる。
図16の例では、負荷容量C
Lを50pF以上にすることで、1%以下の復調精度を実現することができている。振動素子30の固有振動数f
Qが4,971,886Hzである場合、前記式(d)に基づいて、負荷容量C
L50pF以上というしきい値をΔfに換算すると、Δf≦600[Hz]となる。したがって、この条件を満たすことにより、レーザー干渉計1において良好な復調精度を実現することができる。
【0169】
5.変形例
次に、変形例に係るレーザー干渉計について説明する。
【0170】
図17は、第1変形例に係るレーザー干渉計が備える光学系の実装構造を示す概略構成図である。
図18は、第2変形例に係るレーザー干渉計が備える光学系の実装構造を示す概略構成図である。
図19は、第3変形例に係るレーザー干渉計が備える光学系の実装構造を示す概略構成図である。
図20は、第4変形例に係るレーザー干渉計が備える光学系の実装構造を示す概略構成図である。
【0171】
以下、変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図17ないし
図20において、前記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0172】
図17に示すレーザー干渉計1の光学系50Aは、基板39を備えている。光源部2、光変調器12および受光素子10は、それぞれ、この基板39上に実装されている。そして、基板39には、
図17に示す光路22と直交する方向に沿って、受光素子10、光源部2および光変調器12がこの順で並ぶように配置されている。
【0173】
また、
図17に示す光学系50Aは、プリズム40、42を備えている。プリズム40は、受光素子10と検光子9との間の、光路24上に設けられている。プリズム42は、光変調器12と1/4波長板8との間の、光路20上に設けられている。
【0174】
さらに、
図17に示す光学系50Aは、凸レンズ44を備えている。凸レンズ44は、光源部2と偏光ビームスプリッター4との間の、光路18上に設けられている。凸レンズ44を設けることにより、光源部2から出た出射光L1を集束させて、有効に利用することができる。
【0175】
図18に示すレーザー干渉計1の光学系50Bは、素子等の配置が異なる以外、
図17に示す光学系50Aと同様である。
【0176】
図18に示す基板39には、
図18に示す光路22と直交する方向に沿って、光源部2、受光素子10および光変調器12がこの順で並ぶように配置されている。プリズム40は、光路18上に設けられ、プリズム42は、光路20上に設けられている。
【0177】
図19に示すレーザー干渉計1の光学系50Cは、被測定物14と受光素子10とを結ぶ光路に光変調器12が組み込まれている配置を有している。
【0178】
図19に示す基板39には、
図19に示す光路22と直交する方向に沿って、光源部2、光変調器12および受光素子10がこの順で並ぶように配置されている。プリズム40は、光路18上に設けられ、プリズム42は、光路24上に設けられている。
【0179】
以上のような
図17ないし
図19に示す実装構造によれば、レーザー干渉計1の小型化を容易に図ることができる。なお、素子の配置は、図示した配置に限定されない。
【0180】
図17ないし
図19に示す実装構造では、受光素子10のサイズが例えば0.1mm角であり、光源部2のサイズが例えば0.1mm角であり、光変調器12のサイズが例えば0.5~10mm角である。そして、これらを実装する基板39のサイズについては、例えば1~10mm角とされる。これにより、この基板39のサイズ程度まで、レーザー干渉計1の小型化を図ることができる。
【0181】
図20に示すレーザー干渉計1の光学系50Dは、以下の点が異なる以外、前記実施形態の光学系50と同様である。
【0182】
まず、光学系50Dは、前記実施形態の受光素子10に代えて、2つの受光素子10a、10bを備えている。また、光学系50Dは、偏光ビームスプリッター4に加え、偏光ビームスプリッター4aを備えている。偏光ビームスプリッター4aは、P偏光を透過し、S偏光を反射させる。さらに、光学系50Dは、1/2波長板17a、17bと、凸レンズ44と、ミラー48と、を備えている。そして、光源部2および受光素子10a、10bを実装する基板39を備えている。
【0183】
1/2波長板17a、偏光ビームスプリッター4a、およびミラー48は、偏光ビームスプリッター4と受光素子10bとの間の光路24上に、偏光ビームスプリッター4側からこの順で配置されている。
【0184】
1/2波長板17bおよび凸レンズ44は、光路18上に、偏光ビームスプリッター4側からこの順で配置されている。
【0185】
また、
図20に示すレーザー干渉計1は、受光素子10aから出力される受光信号と、受光素子10bから出力される受光信号に対し、差動処理および増幅処理を行う差動増幅回路56を備えている。
【0186】
受光素子10aには、偏光ビームスプリッター4aで反射したS偏光が入射する。一方、受光素子10bには、偏光ビームスプリッター4aを透過し、ミラー48で反射したP偏光が入射する。
受光素子10aに入射するS偏光の受光信号強度IPD1は、次式で表される。
【0187】
【0188】
受光素子10bに入射するP偏光の受光信号強度IPD2は、次式で表される。
【0189】
【0190】
上記式(20)、(21)において、それぞれ、第1項は、直流成分を表しており、第2項は、交流成分を表している。
【0191】
そこで、差動増幅回路56は、受光信号強度IPD1と受光信号強度IPD2の差分IPD1-IPD2を算出する差動処理を行う。この処理の結果、直流成分がカットされ、差分IPD1-IPD2は、次式のように、増幅された交流成分のみで表される。
【0192】
【0193】
したがって、本変形例によれば、2つの受光素子10a、10bを用い、差動処理を行うことで、サンプル信号の復調においてノイズとなる直流成分をカットすることができ、かつ、交流成分をより大きな強度で取得することができる。このため、サンプル信号の復調精度をより高めることができる。
以上のような変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0194】
以上、本発明のレーザー干渉計を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明のレーザー干渉計は、前記実施形態に限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、前記実施形態に係るレーザー干渉計には、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0195】
1…レーザー干渉計、2…光源部、4…偏光ビームスプリッター、4a…偏光ビームスプリッター、6…1/4波長板、8…1/4波長板、9…検光子、10…受光素子、10a…受光素子、10b…受光素子、12…光変調器、14…被測定物、16…セット部、17a…1/2波長板、17b…1/2波長板、18…光路、20…光路、22…光路、24…光路、30…振動素子、30A…振動素子、30B…振動素子、31…基板、32…溝、33…パッド、34…回折格子、35…パッド、36…振動方向、37…ミラー、39…基板、40…プリズム、42…プリズム、44…凸レンズ、45…回路素子、48…ミラー、50…光学系、50A…光学系、50B…光学系、50C…光学系、50D…光学系、51…センサーヘッド部、52…復調回路、53…前処理部、54…発振回路、55…復調部、56…差動増幅回路、70…容器、72…容器本体、74…リッド、76…ボンディングワイヤー、90…レーザー干渉計、91…光変調器、92…受光素子、93…復調回路、94…発振回路、95…水晶振動子、96…増幅器、120…光変調振動子、301…第1電極、302…第2電極、303…回折格子載置部、305…圧電基板、306…櫛歯状電極、307…接地電極、311…表面、312…裏面、531…電流電圧変換器、532…ADC、533…ADC、534…第1バンドパスフィルター、535…第2バンドパスフィルター、536…第1遅延調整器、537…第2遅延調整器、538…乗算器、539…第3バンドパスフィルター、542…和算器、551…第1乗算器、552…第2乗算器、553…移相器、555…第1ローパスフィルター、556…第2ローパスフィルター、557…除算器、558…逆正接演算器、559…信号出力回路、721…第1凹部、722…第2凹部、540…第1AGC、541…第2AGC、C0…並列容量、C1…直列容量、C3…第3コンデンサー、Cd…第2コンデンサー、Cg…第1コンデンサー、GND…端子、L1…出射光、L1…直列インダクタンス、L2…参照光、L3…物体光、N…法線、P…ピッチ、R1…等価直列抵抗、R1…第1制限抵抗、R2…第2制限抵抗、Rf…帰還抵抗、S1…駆動信号、S2…基準信号、Vcc…端子、X1…端子、X2…端子、Y…端子、x…信号、y…信号、β…入射角、θ…傾斜角度、θB…ブレーズ角