(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】流体機械
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20240326BHJP
F04D 29/056 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F04D29/58 Q
F04D29/056 B
(21)【出願番号】P 2020165339
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 博
(72)【発明者】
【氏名】岡野 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】音田 逸人
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-089384(JP,A)
【文献】特開2014-070730(JP,A)
【文献】特表2000-512725(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0293119(US,A1)
【文献】特開2014-047795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
F04D 13/06
F04D 29/056
F16C 17/04
F16C 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸を回転させる電動モータと、
前記電動モータを収容するモータ室、前記モータ室に流体を吸入する吸入孔、作動室、及び吐出室を有するハウジングと、
前記回転軸の回転によって前記モータ室の流体を前記作動室に吸入して、前記作動室から前記吐出室に吐出する作動体と、
前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する動圧スラスト軸受と、
前記動圧スラスト軸受を支持するスラスト軸受支持部と、
前記回転軸の外周面における前記作動体と前記電動モータとの間の部位から径方向外側へ環状に突出するとともに前記回転軸と一体回転する支持プレートと、を備え、
前記スラスト軸受支持部は、
前記支持プレートよりも前記電動モータ寄りに配置されるとともに前記回転軸が貫通する第1貫通孔を有する第1軸受ベース部と、
前記支持プレートよりも前記作動体寄りに配置されるとともに前記回転軸が貫通する第2貫通孔を有する第2軸受ベース部と、を有し、
前記動圧スラスト軸受は、
前記第1軸受ベース部と前記支持プレートとの間に配置され、前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する第1動圧スラスト軸受と、
前記第2軸受ベース部と前記支持プレートとの間に配置され、前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する第2動圧スラスト軸受と、を有している流体機械であって、
前記スラスト軸受支持部は、前記支持プレートよりも前記回転軸の径方向外側に配置され、前記第1軸受ベース部と前記第2軸受ベース部との間に介在されるスペーサ部材を有し、
前記第1軸受ベース部と前記第2軸受ベース部とは、前記スペーサ部材を介して互いに固定されており、
前記ハウジング内には、
前記第1軸受ベース部、前記スペーサ部材、及び前記第2軸受ベース部の外側を通過しながら前記モータ室から前記作動室に向けて流体が流れる主流通路が形成されており、
前記第1貫通孔は、前記モータ室に連通し、
前記第2貫通孔は、前記主流通路に連通し、
前記スペーサ部材よりも前記回転軸の径方向内側と前記第1動圧スラスト軸受及び前記第2動圧スラスト軸受よりも前記回転軸の径方向外側との間に形成される隙間は、前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間を介して前記第1貫通孔に連通し、且つ前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間を介して前記第2貫通孔に連通し、
前記スラスト軸受支持部は、前記隙間と前記主流通路とを接続する接続通路を有し
、
前記隙間の圧力は、前記主流通路の圧力よりも大きいことを特徴とする流体機械。
【請求項2】
回転軸と、
前記回転軸を回転させる電動モータと、
前記電動モータを収容するモータ室、前記モータ室に流体を吸入する吸入孔、作動室、及び吐出室を有するハウジングと、
前記回転軸の回転によって前記モータ室の流体を前記作動室に吸入して、前記作動室から前記吐出室に吐出する作動体と、
前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する動圧スラスト軸受と、
前記動圧スラスト軸受を支持するスラスト軸受支持部と、
前記回転軸の外周面における前記作動体と前記電動モータとの間の部位から径方向外側へ環状に突出するとともに前記回転軸と一体回転する支持プレートと、を備え、
前記スラスト軸受支持部は、
前記支持プレートよりも前記電動モータ寄りに配置されるとともに前記回転軸が貫通する第1貫通孔を有する第1軸受ベース部と、
前記支持プレートよりも前記作動体寄りに配置されるとともに前記回転軸が貫通する第2貫通孔を有する第2軸受ベース部と、を有し、
前記動圧スラスト軸受は、
前記第1軸受ベース部と前記支持プレートとの間に配置され、前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する第1動圧スラスト軸受と、
前記第2軸受ベース部と前記支持プレートとの間に配置され、前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する第2動圧スラスト軸受と、を有している流体機械であって、
前記スラスト軸受支持部は、前記支持プレートよりも前記回転軸の径方向外側に配置され、前記第1軸受ベース部と前記第2軸受ベース部との間に介在されるスペーサ部材を有し、
前記第1軸受ベース部と前記第2軸受ベース部とは、前記スペーサ部材を介して互いに固定されており、
前記ハウジング内には、
前記第1軸受ベース部、前記スペーサ部材、及び前記第2軸受ベース部の外側を通過しながら前記モータ室から前記作動室に向けて流体が流れる主流通路が形成されており、
前記第1貫通孔は、前記モータ室に連通し、
前記第2貫通孔は、前記主流通路に連通し、
前記スペーサ部材よりも前記回転軸の径方向内側と前記第1動圧スラスト軸受及び前記第2動圧スラスト軸受よりも前記回転軸の径方向外側との間に形成される隙間は、前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間を介して前記第1貫通孔に連通し、且つ前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間を介して前記第2貫通孔に連通し、
前記スラスト軸受支持部は、前記隙間と前記主流通路とを接続する接続通路を有し
、
前記支持プレートには、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の少なくとも一方と前記隙間とを繋ぐ連繋通路が形成されていることを特徴とする流体機械。
【請求項3】
前記スペーサ部材は、前記支持プレートを内側に収容可能な収容孔を有する環状であり、
前記接続通路は、前記スペーサ部材の内周と外周とを連通するように前記スペーサ部材に形成された径方向通路であることを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の流体機械。
【請求項4】
前記スラスト軸受支持部は、前記径方向通路を複数有し、
前記複数の径方向通路は、前記スペーサ部材の周方向に間隔をあけて放射状に延びていることを特徴とする請求項
3に記載の流体機械。
【請求項5】
前記支持プレートには、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の少なくとも一方と前記隙間とを繋ぐ連繋通路が形成されていることを特徴とする請求項1
,3,4のいずれか一項に記載の流体機械。
【請求項6】
前記電動モータと前記支持プレートとの間に配置されるとともに前記回転軸をラジアル方向で回転可能に支持する動圧ラジアル軸受を備え、
前記第1貫通孔は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間に連通し、
前記接続通路の通路断面積は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間の断面積よりも大きく、且つ前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積、及び前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1~請求項
5のいずれか一項に記載の流体機械。
【請求項7】
前記第1貫通孔の通路断面積は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項
6に記載の流体機械。
【請求項8】
前記電動モータと前記支持プレートとの間に配置されるとともに前記回転軸をラジアル方向で回転可能に支持する動圧ラジアル軸受を備え、
前記第1貫通孔は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間に連通し、
前記第1貫通孔の通路断面積は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1~請求項
5のいずれか一項に記載の流体機械。
【請求項9】
前記主流通路における前記接続通路との合流部分よりも下流側の通路断面積は、前記主流通路における前記接続通路との合流部分よりも上流側の通路断面積と、前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積と、前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積よりも大きいことを特徴とする請求項
6~請求項
8のいずれか一項に記載の流体機械。
【請求項10】
前記電動モータと前記支持プレートとの間に配置されるとともに前記回転軸をラジアル方向で回転可能に支持する動圧ラジアル軸受を備え、
前記第1貫通孔は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間に連通し、
前記主流通路における前記接続通路との合流部分よりも下流側の通路断面積は、前記主流通路における前記接続通路との合流部分よりも上流側の通路断面積と、前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積と、前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1~請求項
5のいずれか一項に記載の流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
流体機械として、回転軸と、回転軸を回転させる電動モータと、備えているものがある。また、流体機械のハウジングは、電動モータを収容するモータ室、モータ室に流体を吸入する吸入孔、作動室、及び吐出室を有している。また、流体機械は、回転軸の回転によってモータ室の流体を作動室に吸入して、作動室から吐出室に吐出する作動体を備えている。さらに、流体機械は、回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する動圧スラスト軸受と、動圧スラスト軸受を支持するスラスト軸受支持部と、回転軸の外周面から径方向外側へ環状に突出するとともに回転軸と一体回転する支持プレートと、を備えている場合がある。
【0003】
例えば特許文献1では、支持プレートが回転軸の外周面における作動体と電動モータとの間の部位から径方向外側へ突出している。そして、スラスト軸受支持部は、支持プレートよりも電動モータ寄りに配置される第1軸受ベース部と、支持プレートよりも作動体寄りに配置される第2軸受ベース部と、を有している。さらに、動圧スラスト軸受は、第1軸受ベース部と支持プレートとの間に配置される第1動圧スラスト軸受と、第2軸受ベース部と支持プレートとの間に配置される第2動圧スラスト軸受と、を有している。そして、第1動圧スラスト軸受及び第2スラスト軸受によって、支持プレートがスラスト方向で回転可能に支持されることにより、回転軸がスラスト方向で回転可能に支持されている。
【0004】
このように、作動体と電動モータとの間で動圧スラスト軸受によって回転軸をスラスト方向に回転可能に支持する構成によれば、例えば、電動モータに対して作動体とは反対側の位置で動圧スラスト軸受によって回転軸をスラスト方向に回転可能に支持する構成に比べると、回転軸の振れを好適に抑えることができる。したがって、流体機械の信頼性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような流体機械において、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受によって、回転軸をスラスト方向で安定的に回転可能に支持するためには、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間それぞれのクリアランスの精度を高くすることが求められている。また、このような流体機械においては、回転軸が回転すると、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受の温度が上昇するため、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受を効率良く冷却することが求められている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間それぞれのクリアランスの精度を高くしつつも、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受を効率良く冷却することができる流体機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する流体機械は、回転軸と、前記回転軸を回転させる電動モータと、前記電動モータを収容するモータ室、前記モータ室に流体を吸入する吸入孔、作動室、及び吐出室を有するハウジングと、前記回転軸の回転によって前記モータ室の流体を前記作動室に吸入して、前記作動室から前記吐出室に吐出する作動体と、前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する動圧スラスト軸受と、前記動圧スラスト軸受を支持するスラスト軸受支持部と、前記回転軸の外周面における前記作動体と前記電動モータとの間の部位から径方向外側へ環状に突出するとともに前記回転軸と一体回転する支持プレートと、を備え、前記スラスト軸受支持部は、前記支持プレートよりも前記電動モータ寄りに配置されるとともに前記回転軸が貫通する第1貫通孔を有する第1軸受ベース部と、前記支持プレートよりも前記作動体寄りに配置されるとともに前記回転軸が貫通する第2貫通孔を有する第2軸受ベース部と、を有し、前記動圧スラスト軸受は、前記第1軸受ベース部と前記支持プレートとの間に配置され、前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する第1動圧スラスト軸受と、前記第2軸受ベース部と前記支持プレートとの間に配置され、前記回転軸をスラスト方向で回転可能に支持する第2動圧スラスト軸受と、を有している流体機械であって、前記スラスト軸受支持部は、前記支持プレートよりも前記回転軸の径方向外側に配置され、前記第1軸受ベース部と前記第2軸受ベース部との間に介在されるスペーサ部材を有し、前記第1軸受ベース部と前記第2軸受ベース部とは、前記スペーサ部材を介して互いに固定されており、前記ハウジング内には、前記第1軸受ベース部、前記スペーサ部材、及び前記第2軸受ベース部の外側を通過しながら前記モータ室から前記作動室に向けて流体が流れる主流通路が形成されており、前記第1貫通孔は、前記モータ室に連通し、前記第2貫通孔は、前記主流通路に連通し、前記スペーサ部材よりも前記回転軸の径方向内側と前記第1動圧スラスト軸受及び前記第2動圧スラスト軸受よりも前記回転軸の径方向外側との間に形成される隙間は、前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間を介して前記第1貫通孔に連通し、且つ前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間を介して前記第2貫通孔に連通し、前記スラスト軸受支持部は、前記隙間と前記主流通路とを接続する接続通路を有している。
【0009】
これによれば、第1軸受ベース部と第2軸受ベース部とが、スペーサ部材を介して互いに固定されているため、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間それぞれのクリアランスの精度を高くすることができる。
【0010】
また、モータ室から第1貫通孔に流れ込んだ流体は、回転軸と一体的に回転する支持プレートによって発生する遠心作用によって巻き上げられながら、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過し、第1動圧スラスト軸受を冷却する。そして、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過した流体は、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間に流れ込む。一方で、主流通路から第2貫通孔に流れ込んだ流体は、回転軸と一体的に回転する支持プレートによって発生する遠心作用によって巻き上げられながら、第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過し、第2動圧スラスト軸受を冷却する。そして、第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過した流体は、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間に流れ込む。
【0011】
ここで、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間の圧力は、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間からそれぞれ流体が流れ込むことにより上昇する。これにより、主流通路と、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間との間には圧力差が発生する。そして、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間の流体が、接続通路を介して主流通路に流出する。したがって、モータ室から第1貫通孔、及び第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過して、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間に流れ込み、接続通路を介して主流通路に流出する流体の流れが生じ易くなる。また、主流通路から第2貫通孔、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過して、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間に流れ込み、接続通路を介して主流通路に流出する流体の流れが生じ易くなる。その結果、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第1動圧スラスト軸受の冷却、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第2動圧スラスト軸受の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受を効率良く冷却することができる。以上のことから、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間それぞれのクリアランスの精度を高くしつつも、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受を効率良く冷却することができる。
【0012】
上記流体機械において、前記スペーサ部材は、前記支持プレートを内側に収容可能な収容孔を有する環状であり、前記接続通路は、前記スペーサ部材の内周と外周とを連通するように前記スペーサ部材に形成された径方向通路であるとよい。
【0013】
これによれば、例えば、筒状のスペーサ部材が回転軸の軸線周りに複数配置された状態で、各スペーサ部材が第1軸受ベース部と第2軸受ベース部との間に介在されている場合に比べると、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間それぞれのクリアランスの精度を高くすることができる。そして、接続通路が、スペーサ部材の内周と外周とを連通するようにスペーサ部材に形成された径方向通路であるため、接続通路が、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間から回転軸の径方向に延びながら主流通路に接続される。よって、回転軸と一体的に回転する支持プレートによって発生する遠心作用によって巻き上げられて、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間をそれぞれ通過して、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間に流れ込んだ流体が、接続通路に向けて流れ易くなる。したがって、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第1動圧スラスト軸受の冷却、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第2動圧スラスト軸受の冷却がさらに行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受をさらに効率良く冷却することができる。
【0014】
上記流体機械において、前記スラスト軸受支持部は、前記径方向通路を複数有し、前記複数の径方向通路は、前記スペーサ部材の周方向に間隔をあけて放射状に延びているとよい。
【0015】
複数の径方向通路が、スペーサ部材の周方向に間隔をあけて放射状に延びている構成は、スラスト軸受支持部が、スペーサ部材の内周と外周とを連通するようにスペーサ部材に形成された径方向通路を複数有している構成として好適である。そして、例えば、スラスト軸受支持部が、径方向通路を1つだけ有している場合に比べると、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間の流体が、各径方向通路を介して主流通路に流出し易くなる。その結果、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第1動圧スラスト軸受の冷却、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第2動圧スラスト軸受の冷却がさらに行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受をさらに効率良く冷却することができる。
【0016】
上記流体機械において、前記支持プレートには、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の少なくとも一方と前記隙間とを繋ぐ連繋通路が形成されているとよい。
これによれば、第1貫通孔からの流体、もしくは第2貫通孔からの流体が連繋通路を通過して、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間に流れ込む。したがって、連繋通路を通過する流体によって、支持プレートを冷却することができる。その結果、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの熱交換が行われることにより、第1動圧スラスト軸受を支持プレートによって冷却することができるとともに、第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの熱交換が行われることにより、第2動圧スラスト軸受を支持プレートによって冷却することができる。
【0017】
上記流体機械において、前記電動モータと前記支持プレートとの間に配置されるとともに前記回転軸をラジアル方向で回転可能に支持する動圧ラジアル軸受を備え、前記第1貫通孔は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間に連通し、前記接続通路の通路断面積は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間の断面積よりも大きく、且つ前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積、及び前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積よりも大きいとよい。
【0018】
これによれば、接続通路の通路断面積が、動圧ラジアル軸受と回転軸との間の隙間の断面積以下であり、且つ第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間の隙間の断面積、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間の隙間の断面積以下である場合に比べると、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間の流体が接続通路に流れ易くなる。よって、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間の流体を、接続通路を介して主流通路に流出させ易くすることができる。その結果、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第1動圧スラスト軸受の冷却、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第2動圧スラスト軸受の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受を効率良く冷却することができる。
【0019】
上記流体機械において、前記第1貫通孔の通路断面積は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間の断面積よりも大きいとよい。
これによれば、例えば、第1貫通孔の通路断面積が、動圧ラジアル軸受と回転軸との間の隙間の断面積以下である場合に比べると、動圧ラジアル軸受と回転軸との間を通過した流体が、第1貫通孔に流れ易くなる。したがって、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間の流体が接続通路に流れ易くなることに加えて、動圧ラジアル軸受と回転軸との間の隙間を通過する流体が、第1貫通孔を介して第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間に流れ易くなるため、第1動圧スラスト軸受をさらに効率良く冷却することができる。
【0020】
上記流体機械において、前記電動モータと前記支持プレートとの間に配置されるとともに前記回転軸をラジアル方向で回転可能に支持する動圧ラジアル軸受を備え、前記第1貫通孔は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間に連通し、前記第1貫通孔の通路断面積は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間の断面積よりも大きいとよい。
【0021】
これによれば、例えば、第1貫通孔の通路断面積が、動圧ラジアル軸受と回転軸との間の隙間の断面積以下である場合に比べると、動圧ラジアル軸受と回転軸との間を通過した流体が、第1貫通孔に流れ易くなる。したがって、動圧ラジアル軸受と回転軸との間の隙間を通過する流体が、第1貫通孔を介して第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間に流れ易くなるため、第1動圧スラスト軸受を効率良く冷却することができる。
【0022】
上記流体機械において、前記主流通路における前記接続通路との合流部分よりも下流側の通路断面積は、前記主流通路における前記接続通路との合流部分よりも上流側の通路断面積と、前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積と、前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積よりも大きいとよい。
【0023】
例えば、主流通路における接続通路との合流部分よりも下流側の通路断面積が、主流通路における接続通路との合流部分よりも上流側の通路断面積と、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間の隙間の断面積と、第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積以下である場合を考える。このような場合に比べると、主流通路における接続通路との合流部分よりも下流側の流体の流れがスムーズになるため、スペーサ部材よりも回転軸の径方向内側と第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受よりも回転軸の径方向外側との間に形成される隙間の流体を、接続通路を介して主流通路に流出させ易くすることができる。その結果、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第1動圧スラスト軸受の冷却、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間を通過する流体による第2動圧スラスト軸受の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受を効率良く冷却することができる。
【0024】
上記流体機械において、前記電動モータと前記支持プレートとの間に配置されるとともに前記回転軸をラジアル方向で回転可能に支持する動圧ラジアル軸受を備え、前記第1貫通孔は、前記動圧ラジアル軸受と前記回転軸との間の隙間に連通し、前記主流通路における前記接続通路との合流部分よりも下流側の通路断面積は、前記主流通路における前記接続通路との合流部分よりも上流側の通路断面積と、前記第1動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積と、前記第2動圧スラスト軸受と前記支持プレートとの間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、第1動圧スラスト軸受と支持プレートとの間、及び第2動圧スラスト軸受と支持プレートとの間それぞれのクリアランスの精度を高くしつつも、第1動圧スラスト軸受及び第2動圧スラスト軸受を効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態における遠心圧縮機を示す側断面図。
【
図2】スラスト軸受支持部の周辺を拡大して示す断面図。
【
図6】別の実施形態におけるスラスト軸受支持部の周辺を拡大して示す断面図。
【
図7】別の実施形態におけるスラスト軸受支持部の周辺を拡大して示す断面図。
【
図8】別の実施形態におけるスラスト軸受支持部の周辺を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、流体機械を遠心圧縮機に具体化した一実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。本実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。燃料電池車には、酸素及び水素を燃料電池に供給して発電させる燃料電池システムが搭載されている。そして、遠心圧縮機は、燃料電池に供給される酸素を含む流体としての空気を圧縮する。
【0028】
図1に示すように、遠心圧縮機10は、筒状のハウジング11を備えている。ハウジング11は、モータハウジング12、第1コンプレッサハウジング13、第2コンプレッサハウジング14、仕切壁15、及び中間ハウジング17を有している。モータハウジング12、第1コンプレッサハウジング13、第2コンプレッサハウジング14、仕切壁15、及び中間ハウジング17は、それぞれ金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。
【0029】
モータハウジング12は、板状の端壁12aと、端壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bと、を有する有底筒状である。中間ハウジング17は、周壁12bにおける端壁12aとは反対側の開口を閉塞した状態で、モータハウジング12に連結されている。そして、モータハウジング12の端壁12a、周壁12b、及び中間ハウジング17によって、モータ室18が区画されている。したがって、ハウジング11は、モータ室18を有している。また、モータハウジング12は、空気を吸入する吸入孔12hを有している。吸入孔12hは、周壁12bにおける端壁12a寄りの部位に形成されている。吸入孔12hは、モータ室18に連通している。したがって、吸入孔12hは、モータ室18に空気を吸入する。
【0030】
中間ハウジング17の中央部には、円孔状のシャフト挿通孔17aが形成されている。また、中間ハウジング17は、円筒状の第1軸受保持部19を有している。第1軸受保持部19は、中間ハウジング17の中央部に形成されている。第1軸受保持部19の内側は、シャフト挿通孔17aに連通している。第1軸受保持部19の中心軸線とシャフト挿通孔17aの中心軸線とは互いに一致している。第1軸受保持部19には、第1動圧ラジアル軸受20が保持されている。
【0031】
また、モータハウジング12の端壁12aは、円筒状の第2軸受保持部21を有している。第2軸受保持部21は、モータハウジング12の端壁12aの中央部に形成されている。第1軸受保持部19の中心軸線と第2軸受保持部21の中心軸線とは一致している。第2軸受保持部21には、第2動圧ラジアル軸受22が保持されている。
【0032】
中間ハウジング17におけるモータ室18とは反対側の外面には、第1室形成凹部17bが形成されている。第1室形成凹部17bは、シャフト挿通孔17aに連通している。また、中間ハウジング17は、連通路23を複数有している。各連通路23は、中間ハウジング17の外周寄りの部位に位置している。各連通路23は、中間ハウジング17を貫通している。そして、連通路23は、モータ室18と第1室形成凹部17bとを連通している。
【0033】
第1コンプレッサハウジング13は、中間ハウジング17に連結されている。第1コンプレッサハウジング13は、第1室形成凹部17bの開口を閉塞するように中間ハウジング17に連結されている。第1コンプレッサハウジング13は、空気が吸入される円孔状の第1吸入口24を有する筒状である。第1コンプレッサハウジング13は、第1吸入口24の中心軸線が、シャフト挿通孔17aの中心軸線に一致した状態で、中間ハウジング17に連結されている。また、第1コンプレッサハウジング13における中間ハウジング17側の端面には、第2室形成凹部13aが形成されている。第2室形成凹部13aは、第1吸入口24に連通している。また、第2室形成凹部13aは、第1室形成凹部17bに連通している。そして、第1室形成凹部17bと第2室形成凹部13aとによって、スラスト軸受収容室25が区画されている。スラスト軸受収容室25は、各連通路23と第1吸入口24とを連通している。
【0034】
仕切壁15は、第1コンプレッサハウジング13における中間ハウジング17とは反対側の端面に連結されている。仕切壁15は、板状である。仕切壁15の中央部には、円孔状の貫通孔27が形成されている。貫通孔27は、仕切壁15を仕切壁15の厚み方向に貫通している。仕切壁15は、貫通孔27の中心軸線が、第1吸入口24の中心軸線に一致した状態で、第1コンプレッサハウジング13に連結されている。第1吸入口24は、第1吸入口24の中心軸線が延びる方向において仕切壁15に対向している。
【0035】
仕切壁15と第1コンプレッサハウジング13との間には、第1吸入口24に連通する第1インペラ室28と、第1インペラ室28の周囲で第1吸入口24の中心軸線周りに延びる第1吐出室29と、第1インペラ室28と第1吐出室29とを連通する第1ディフューザ流路30と、が形成されている。
【0036】
第2コンプレッサハウジング14は、空気が吸入される円孔状の第2吸入口32を有する筒状である。第2コンプレッサハウジング14は、第2吸入口32の中心軸線が、第1吸入口24の中心軸線に一致した状態で、仕切壁15における第1コンプレッサハウジング13とは反対側の端面に連結されている。第2吸入口32は、第2吸入口32の中心軸線が延びる方向において仕切壁15に対向している。
【0037】
仕切壁15と第2コンプレッサハウジング14との間には、第2吸入口32に連通する第2インペラ室33と、第2インペラ室33の周囲で第2吸入口32の中心軸線周りに延びる第2吐出室34と、第2インペラ室33と第2吐出室34とを連通する第2ディフューザ流路35と、が形成されている。したがって、ハウジング11は、第1インペラ室28及び第2インペラ室33を有している。仕切壁15は、第1インペラ室28と第2インペラ室33とを仕切っている。第1吐出室29と第2吸入口32とは、図示しない通路を介して連通している。
【0038】
遠心圧縮機10は、回転軸40と、回転軸40を回転させる電動モータ41と、を備えている。電動モータ41は、モータ室18に収容されている。したがって、モータ室18は、電動モータ41を収容する。回転軸40は、第2軸受保持部21の内側からモータ室18、第1軸受保持部19の内側、シャフト挿通孔17a、スラスト軸受収容室25、第1吸入口24、第1インペラ室28、貫通孔27、第2インペラ室33、及び第2吸入口32の順に通過しながら、ハウジング11の軸方向に延びている。したがって、回転軸40は、貫通孔27に挿通された状態で、第1インペラ室28及び第2インペラ室33に跨って配置されている。回転軸40の軸線Lは、第1軸受保持部19、第2軸受保持部21、シャフト挿通孔17a、第1吸入口24、貫通孔27、及び第2吸入口32それぞれの中心軸線に一致している。なお、以下の説明では、回転軸40の軸線Lが延びる方向である「回転軸40の軸方向」を「スラスト方向」と記載し、「回転軸40の径方向」を「ラジアル方向」と記載することもある。
【0039】
電動モータ41は、ステータ42及びロータ43を備えている。ステータ42は、円筒状のステータコア44と、ステータコア44に巻回されるコイル45と、を有している。ステータコア44は、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されている。
【0040】
ロータ43は、モータ室18において、ステータコア44の内側に配置されている。ロータ43は、回転軸40と一体回転する。ロータ43は、回転軸40に止着されたロータコア43aと、ロータコア43aに設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。そして、図示しないインバータ装置によって制御された電力がコイル45に供給されることによりロータ43が回転し、回転軸40がロータ43と一体回転する。
【0041】
遠心圧縮機10は、第1インペラ51及び第2インペラ52を備えている。第1インペラ51及び第2インペラ52は、例えば、アルミニウム製である。なお、第1インペラ51及び第2インペラ52を形成するアルミニウム材料の剛性は、仕切壁15を形成するアルミニウム材料の剛性よりも低い。第1インペラ51及び第2インペラ52は、回転軸40の第1端部に連結されている。第2インペラ52は、第1インペラ51よりも回転軸40の第1端部寄りに配置されている。第1動圧ラジアル軸受20及び第2動圧ラジアル軸受22は、第1インペラ51及び第2インペラ52よりも回転軸40の第2端部寄りに配置されている。
【0042】
第1インペラ51は、第1インペラ室28に収容されている。第1インペラ51は、円錐台形状である。第1インペラ51は、回転軸40の第1端部に連結されている。第1インペラ51は、回転軸40と一体的に回転する。第2インペラ52は、第2インペラ室33に収容されている。第2インペラ52は、円錐台形状である。第2インペラ52は、回転軸40の第1端部に連結されている。第2インペラ52は、回転軸40と一体的に回転する。
【0043】
第1動圧ラジアル軸受20及び第2動圧ラジアル軸受22は、回転軸40を回転可能に支持している。第1動圧ラジアル軸受20及び第2動圧ラジアル軸受22は、回転軸40の回転数が第1動圧ラジアル軸受20及び第2動圧ラジアル軸受22により回転軸40が浮上する浮上回転数に達するまでは、回転軸40と接触した状態で回転軸40を支持する。そして、回転軸40の回転数が浮上回転数に達すると、回転軸40と第1動圧ラジアル軸受20との間、及び回転軸40と第2動圧ラジアル軸受22との間に生じる動圧によって、回転軸40は、第1動圧ラジアル軸受20及び第2動圧ラジアル軸受22に対して浮上する。これにより、回転軸40は、第1動圧ラジアル軸受20及び第2動圧ラジアル軸受22に対して非接触の状態で回転可能に支持される。したがって、第1動圧ラジアル軸受20及び第2動圧ラジアル軸受22は、回転軸40をラジアル方向で回転可能に支持する動圧軸受である。動圧軸受としては、種々の構成のものを採用することができる。特に、各動圧軸受は、トップフォイルと、トップフォイルを弾性的に支持可能なバンプフォイルとを有するフォイル軸受であることが好ましい。
【0044】
図2に示すように、遠心圧縮機10は、回転軸40をスラスト方向で回転可能に支持する動圧スラスト軸受60と、動圧スラスト軸受60を支持するスラスト軸受支持部70と、回転軸40と一体回転する支持プレート80と、を備えている。支持プレート80は、円板状である。支持プレート80は、回転軸40の外周面から突出している。支持プレート80は、回転軸40の外周面に圧入されている。支持プレート80は、スラスト軸受収容室25に配置されている。支持プレート80は、回転軸40の外周面における第1インペラ51と電動モータ41との間の部位から径方向外側へ環状に突出している。
【0045】
図2及び
図3に示すように、スラスト軸受支持部70は、第1軸受ベース部71と、第2軸受ベース部72と、を有している。第1軸受ベース部71は、円板状である。第1軸受ベース部71は、支持プレート80よりも電動モータ41寄りに配置されている。第1軸受ベース部71は、回転軸40が貫通する第1貫通孔71a有している。
【0046】
第2軸受ベース部72は、円板状である。第2軸受ベース部72は、支持プレート80よりも第1インペラ51寄りに配置されている。第2軸受ベース部72は、回転軸40が貫通する第2貫通孔72aを有している。第2軸受ベース部72は、第1軸受ベース部71と協働して支持プレート80を挟み込んでいる。
【0047】
図4及び
図5に示すように、第1軸受ベース部71の外径と、第2軸受ベース部72の外径とは同じである。第1貫通孔71aの内径と第2貫通孔72aの内径とは同じである。第1軸受ベース部71には、厚み方向に貫通する第1ボルト挿通孔71bが複数形成されている。複数の第1ボルト挿通孔71bは、第1軸受ベース部71の周方向に等間隔置きに配置されている。また、第2軸受ベース部72には、厚み方向に貫通する第2ボルト挿通孔72bが複数形成されている。複数の第2ボルト挿通孔72bは、第2軸受ベース部72の周方向に等間隔置きに配置されている。第1軸受ベース部71及び第2軸受ベース部72は、第1貫通孔71aの中心軸線と第2貫通孔72aの中心軸線とが互いに一致し、且つ各第1ボルト挿通孔71bと各第2ボルト挿通孔72bとがそれぞれ重なった状態となるように、各々の厚み方向が一致した状態で互いに配置されている。
【0048】
図2に示すように、動圧スラスト軸受60は、第1動圧スラスト軸受61と、第2動圧スラスト軸受62と、を有している。第1動圧スラスト軸受61は、第1軸受ベース部71と支持プレート80との間に配置されている。そして、第1動圧スラスト軸受61は、回転軸40をスラスト方向で回転可能に支持する。第2動圧スラスト軸受62は、第2軸受ベース部72と支持プレート80との間に配置されている。そして、第2動圧スラスト軸受62は、回転軸40をスラスト方向で回転可能に支持する。
【0049】
具体的には、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62は、回転軸40の回転に伴って支持プレート80が回転すると、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間にそれぞれ動圧が生じる。これにより、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62によって、支持プレート80が第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62に対して浮上し、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62に対して非接触の状態で回転可能に支持される。したがって、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62は、回転軸40をスラスト方向で回転可能に支持する動圧軸受である。動圧軸受としては、種々の構成のものを採用することができる。特に、各動圧軸受は、トップフォイルと、トップフォイルを弾性的に支持可能なバンプフォイルとを有するフォイル軸受であることが好ましい。
【0050】
図2及び
図3に示すように、スラスト軸受支持部70は、スペーサ部材73を有している。スペーサ部材73は、支持プレート80を内側に収容可能な収容孔73aを有する環状である。したがって、スペーサ部材73は、支持プレート80よりも回転軸40の径方向外側に配置されている。スペーサ部材73は、第1軸受ベース部71と第2軸受ベース部72との間に介在されている。スペーサ部材73の厚み方向は、第1軸受ベース部71の厚み方向、及び第2軸受ベース部72の厚み方向に一致している。スペーサ部材73は、第1軸受ベース部71に対向する第1対向面731と、第2軸受ベース部72に対向する第2対向面732と、を有している。第1対向面731は、第1軸受ベース部71に面接触している。第2対向面732は、第2軸受ベース部72に面接触している。
【0051】
図4及び
図5に示すように、スペーサ部材73の外径は、第1軸受ベース部71の外径及び第2軸受ベース部72の外径と同じである。スペーサ部材73の収容孔73aの内径は、第1貫通孔71aの内径、及び第2貫通孔72aの内径よりも大きい。スペーサ部材73には、厚み方向に貫通する第3ボルト挿通孔73bが複数形成されている。複数の第3ボルト挿通孔73bは、スペーサ部材73の周方向に等間隔置きに配置されている。スペーサ部材73は、収容孔73aの中心軸線が第1貫通孔71aの中心軸線及び第2貫通孔72aの中心軸線に一致し、且つ各第3ボルト挿通孔73bが、各第1ボルト挿通孔71b及び各第2ボルト挿通孔72bそれぞれと重なった状態となるように、第1軸受ベース部71及び第2軸受ベース部72に対して配置されている。
【0052】
第1対向面731には、第1通路形成溝73cが複数形成されている。複数の第1通路形成溝73cは、スペーサ部材73の周方向に等間隔置きに配置されている。各第1通路形成溝73cは、スペーサ部材73の周方向で隣り合う第3ボルト挿通孔73b同士の間にそれぞれ位置している。各第1通路形成溝73cは、スペーサ部材73の内周面と外周面とを接続している。したがって、各第1通路形成溝73cは、スペーサ部材73の収容孔73aに連通している。複数の第1通路形成溝73cは、収容孔73aの中心軸線を中心として放射状に延びている。
【0053】
第2対向面732には、第2通路形成溝73dが複数形成されている。複数の第2通路形成溝73dは、スペーサ部材73の周方向に等間隔置きに配置されている。各第2通路形成溝73dは、スペーサ部材73の周方向で隣り合う第3ボルト挿通孔73b同士の間にそれぞれ位置している。各第2通路形成溝73dは、スペーサ部材73の内周面と外周面とを接続している。したがって、各第2通路形成溝73dは、スペーサ部材73の収容孔73aに連通している。複数の第2通路形成溝73dは、収容孔73aの中心軸線を中心として放射状に延びている。各第1通路形成溝73cと各第2通路形成溝73dとは、スペーサ部材73の厚み方向で重なる位置にそれぞれ配置されている。
【0054】
図2及び
図3に示すように、第1軸受ベース部71と第2軸受ベース部72とは、スペーサ部材73を介して互いに固定されている。具体的には、複数のボルト74が、各第2ボルト挿通孔72b、各第3ボルト挿通孔73b、及び各第2ボルト挿通孔72bの順に通過して、中間ハウジング17にねじ込まれることにより、第1軸受ベース部71と第2軸受ベース部72とがスペーサ部材73を介した状態で中間ハウジング17に固定されている。
【0055】
スペーサ部材73の厚みは、支持プレート80が第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62に対して非接触の状態で回転しているときに、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間それぞれのクリアランスが所望のクリアランスになるような厚みに設定されている。
【0056】
スペーサ部材73よりも回転軸40の径方向内側と第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62よりも回転軸40の径方向外側との間に形成される隙間であるスラスト外周空間75は、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を介して第1貫通孔71aに連通している。また、スラスト外周空間75は、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を介して第2貫通孔72aに連通している。
【0057】
図2に示すように、ハウジング11内には、第1軸受ベース部71、スペーサ部材73、及び第2軸受ベース部72の外側を通過しながらモータ室18から第1インペラ室28に向けて空気が流れる主流通路90が形成されている。主流通路90は、連通路23、第1通路91、及び第2通路92により構成されている。第1通路91は、スラスト軸受収容室25内における第1室形成凹部17bの内側の空間であって、且つ第1軸受ベース部71、スペーサ部材73、及び第2軸受ベース部72の外側に位置する環状の空間である。第2通路92は、スラスト軸受収容室25内における第2室形成凹部13aの内側の空間であって、且つスラスト軸受支持部70よりも第1インペラ室28寄りに位置する空間である。第1通路91は、連通路23に連通している。第1通路91と第2通路92とは互いに連通している。第2通路92は、第1吸入口24に連通している。
【0058】
第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間は、モータ室18に連通している。第1動圧ラジアル軸受20は、電動モータ41と支持プレート80との間に配置されるとともに回転軸40をラジアル方向で回転可能に支持する動圧ラジアル軸受である。そして、第1貫通孔71aは、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間に連通している。したがって、第1貫通孔71aは、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間を経由して、モータ室18に連通している。また、第2貫通孔72aは、主流通路90の第2通路92に連通している。
【0059】
図2及び
図3に示すように、スラスト軸受支持部70は、複数の接続通路76及び複数の接続通路77を有している。各接続通路76は、各第1通路形成溝73cと第1軸受ベース部71とによって区画された空間である。各接続通路76の一端は、スラスト外周空間75に連通している。各接続通路76の他端は、主流通路90の第1通路91に連通している。したがって、各接続通路76は、スラスト外周空間75と主流通路90とを接続している。各接続通路76は、スペーサ部材73を回転軸40の径方向に貫通している。したがって、接続通路76は、スペーサ部材73の内周と外周とを連通するようにスペーサ部材73に形成された径方向通路である。複数の接続通路76は、スペーサ部材73の周方向に間隔をあけて放射状に延びている。
【0060】
各接続通路77は、各第2通路形成溝73dと第2軸受ベース部72とによって区画された空間である。各接続通路77の一端は、スラスト外周空間75に連通している。各接続通路77の他端は、主流通路90の第1通路91に連通している。したがって、各接続通路77は、スラスト外周空間75と主流通路90とを接続している。各接続通路77は、スペーサ部材73を回転軸40の径方向に貫通している。したがって、接続通路77は、スペーサ部材73の内周と外周とを連通するようにスペーサ部材73に形成された径方向通路である。複数の接続通路77は、スペーサ部材73の周方向に間隔をあけて放射状に延びている。
【0061】
第1通路91は、主流通路90における各接続通路76及び各接続通路77との合流部分である。そして、第2通路92は、主流通路90における各接続通路76及び各接続通路77との合流部分よりも下流側の通路である。また、連通路23は、主流通路90における各接続通路76及び各接続通路77との合流部分よりも上流側の通路である。
【0062】
各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積は、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積よりも大きい。また、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足しわせた通路断面積は、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積よりも大きい。第1貫通孔71aの通路断面積は、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積よりも大きい。第2通路92の通路断面積は、連通路23の通路断面積と、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積と、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積よりも大きい。
【0063】
スペーサ部材73の厚み方向において、各接続通路76と各接続通路77との間に位置する部位の厚みH1は、支持プレート80の厚みH2よりも薄い。また、スペーサ部材73の内周面は、支持プレート80が回転したときに、支持プレート80の外側で生じる空気の旋回運動が低減される程度に支持プレート80の外周面に接近している。なお、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62は、支持プレート80の外周面よりも回転軸40の径方向外側へ突出していない。
【0064】
遠心圧縮機10において、空気は吸入孔12hからモータ室18に吸入される。モータ室18に吸入された空気の大部分は、各連通路23、第1通路91、及び第2通路92を通過して、第1吸入口24に吸入される。第1吸入口24に吸入された空気は、第1インペラ51の遠心作用によって昇圧され、第1インペラ室28から第1ディフューザ流路30に送り込まれて、第1ディフューザ流路30にてさらに昇圧される。そして、第1ディフューザ流路30を通過した空気は、第1吐出室29に吐出される。したがって、第1インペラ51は、回転軸40の回転によってモータ室18の空気を第1インペラ室28に吸入して、第1インペラ室28から第1吐出室29に吐出する作動体である。よって、第1インペラ室28は、作動体である第1インペラ51を収容する作動室である。そして、第1吐出室29は、作動室である第1インペラ室28からの空気が吐出される吐出室である。
【0065】
第1吐出室29に吐出された空気は、第1吐出室29から図示しない通路を介して第2吸入口32に吸入される。第2吸入口32に吸入された空気は、第2インペラ52の遠心作用によって昇圧され、第2インペラ室33から第2ディフューザ流路35に送り込まれて、第2ディフューザ流路35にてさらに昇圧される。そして、第2ディフューザ流路35を通過した空気は、第2吐出室34に吐出される。
【0066】
次に、本実施形態の作用について説明する。
モータ室18に吸入された空気の一部は、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間を通過して第1貫通孔71aに流れ込む。さらに、第2通路92を通過する空気の一部は、第2貫通孔72aに流れ込む。
【0067】
第1貫通孔71aに流れ込んだ空気は、回転軸40と一体的に回転する支持プレート80によって発生する遠心作用によって巻き上げられながら、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過し、第1動圧スラスト軸受61を冷却する。そして、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過した空気は、スラスト外周空間75に流れ込む。一方で、第2貫通孔72aに流れ込んだ空気は、回転軸40と一体的に回転する支持プレート80によって発生する遠心作用によって巻き上げられながら、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過し、第2動圧スラスト軸受62を冷却する。そして、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過した空気は、スラスト外周空間75に流れ込む。
【0068】
ここで、スラスト外周空間75の圧力は、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間からそれぞれ空気が流れ込むことにより上昇する。これにより、主流通路90の第1通路91とスラスト外周空間75との間には圧力差が発生し、スラスト外周空間75内の空気が、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90の第1通路91に流出する。
【0069】
したがって、モータ室18から第1貫通孔71a、及び第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過してスラスト外周空間75に流れ込み、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90の第1通路91に流出する空気の流れが生じ易くなる。また、主流通路90の第2通路92から第2貫通孔72a、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過してスラスト外周空間75に流れ込み、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90の第1通路91に流出する空気の流れが生じ易くなる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62が効率良く冷却される。
【0070】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)例えば、中間ハウジング17と支持プレート80との間に第1動圧スラスト軸受61を配置し、第1コンプレッサハウジング13の一部分と支持プレート80との間に第2動圧スラスト軸受62を配置する場合を考える。この場合、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間それぞれのクリアランスを調整するためには、中間ハウジング17と第1コンプレッサハウジング13とのスラスト方向での合わせ面を調整することにより行う必要がある。このため、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間それぞれのクリアランスの精度を高くすることが困難となる場合がある。そこで、第1軸受ベース部71と第2軸受ベース部72とを、スペーサ部材73を介して互いに固定するようにしたため、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間それぞれのクリアランスの精度を高くすることができる。
【0071】
そして、スラスト軸受支持部70は、スラスト外周空間75と主流通路90とを接続する接続通路76及び接続通路77を有している。これによれば、主流通路90とスラスト外周空間75との間に圧力差が発生し、スラスト外周空間75内の空気が、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出する。したがって、モータ室18から第1貫通孔71a、及び第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過してスラスト外周空間75に流れ込み、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出する空気の流れが生じ易くなる。また、主流通路90から第2貫通孔72a、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過してスラスト外周空間75に流れ込み、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出する空気の流れが生じ易くなる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62を効率良く冷却することができる。以上のことから、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間それぞれのクリアランスの精度を高くしつつも、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62を効率良く冷却することができる。
【0072】
(2)スペーサ部材73は、支持プレート80を内側に収容可能な収容孔73aを有する環状である。例えば、筒状のスペーサ部材が回転軸40の軸線周りに複数配置された状態で、各スペーサ部材が第1軸受ベース部71と第2軸受ベース部72との間に介在されている場合を考える。この場合に比べると、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間それぞれのクリアランスの精度を高くすることができる。そして、各接続通路76及び各接続通路77が、スペーサ部材73の内周と外周とを連通するようにスペーサ部材73に形成された径方向通路であるため、各接続通路76及び各接続通路77が、スラスト外周空間75から回転軸40の径方向に延びながら主流通路90に接続される。よって、回転軸40と一体的に回転する支持プレート80によって発生する遠心作用によって巻き上げられて、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間をそれぞれ通過してスラスト外周空間75に流れ込んだ空気が、各接続通路76及び各接続通路77に向けて流れ易くなる。したがって、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却がさらに行われ易くなる。その結果、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62をさらに効率良く冷却することができる。
【0073】
(3)複数の接続通路76及び複数の接続通路77が、スペーサ部材73の周方向に間隔をあけて放射状に延びている構成は、スラスト軸受支持部70が、スペーサ部材73の内周と外周とを連通するようにスペーサ部材73に形成された径方向通路を複数有している構成として好適である。そして、例えば、スラスト軸受支持部70が、接続通路を1つだけ有している場合に比べると、スラスト外周空間75内の空気が、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出し易くなる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却がさらに行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62をさらに効率良く冷却できる。
【0074】
(4)各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積は、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積よりも大きい。また、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足しわせた通路断面積は、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積よりも大きい。例えば、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積が、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積以下である場合を考える。さらに、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積が、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積以下である場合を考える。このような場合に比べると、スラスト外周空間75内の空気が各接続通路76及び各接続通路77に流れ易くなる。よって、スラスト外周空間75内の空気を、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出させ易くすることができる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62を効率良く冷却することができる。
【0075】
(5)第1貫通孔71aの通路断面積は、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積よりも大きい。これによれば、例えば、第1貫通孔71aの通路断面積が、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積以下である場合に比べると、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間を通過した空気が、第1貫通孔71aに流れ易くなる。したがって、スラスト外周空間75内の空気が各接続通路76及び各接続通路77に流れ易くなることに加えて、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間を通過する空気が、第1貫通孔71aを介して第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間に流れ易くなる。その結果、第1動圧スラスト軸受61をさらに効率良く冷却することができる。
【0076】
(6)第2通路92の通路断面積は、連通路23の通路断面積と、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積と、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積よりも大きい。例えば、第2通路92の通路断面積が、連通路23の通路断面積と、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積と、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積以下である場合を考える。このような場合に比べると、第2通路92の空気の流れがスムーズになるため、スラスト外周空間75内の空気を、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出させ易くすることができる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62を効率良く冷却することができる。
【0077】
(7)スペーサ部材73の厚み方向において、各接続通路76と各接続通路77との間に位置する部位の厚みH1は、支持プレート80の厚みH2よりも薄い。これによれば、例えば、スペーサ部材73の厚み方向において、各接続通路76と各接続通路77との間に位置する部位の厚みH1が、支持プレート80の厚みH2よりも厚い場合に比べると、各接続通路76及び各接続通路77それぞれの通路断面積を確保し易くすることができる。したがって、スラスト外周空間75内の空気が各接続通路76及び各接続通路77に流れ易くなるため、スラスト外周空間75内の空気を、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出させ易くすることができる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62を効率良く冷却することができる。
【0078】
(8)スペーサ部材73の内周面は、支持プレート80が回転したときに、支持プレート80の外側で生じる空気の旋回運動が低減される程度に支持プレート80の外周面に接近している。したがって、支持プレート80の外側で生じる空気の旋回運動に伴う風損が抑えられるため、支持プレート80がスムーズに回転することができる。
【0079】
(9)第1インペラ51と電動モータ41との間で動圧スラスト軸受60によって回転軸40をスラスト方向に回転可能に支持している。これによれば、例えば、電動モータ41に対して第1インペラ51とは反対側の位置で動圧スラスト軸受によって回転軸40をスラスト方向に回転可能に支持する構成に比べると、回転軸40の振れを好適に抑えることができる。したがって、遠心圧縮機10の信頼性を向上させることができる。
【0080】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0081】
○
図6に示すように、支持プレート80に、第1貫通孔71a及び第2貫通孔72aとスラスト外周空間75とを繋ぐ連繋通路81が形成されていてもよい。連繋通路81は、軸路81a及び径路81bによって構成されている。軸路81aは、支持プレート80における回転軸40側の端部である基端部を回転軸40の軸方向に貫通している。軸路81aの一端は、第1貫通孔71aに連通している。軸路81aの他端は、第2貫通孔72aに連通している。径路81bは、軸路81aから支持プレート80を回転軸40の径方向に貫通している。径路81bの一端は、軸路81aに連通している。径路81bの他端は、スラスト外周空間75に連通している。支持プレート80には、連繋通路81が複数形成されている。複数の連繋通路81の各軸路81aは、支持プレート80の周方向に間隔をあけて配置されている。複数の連繋通路81の各径路81bは、回転軸40の軸線Lを中心として放射状に延びている。
【0082】
これによれば、第1貫通孔71aからの空気の一部、及び第2貫通孔72aからの空気の一部が、連繋通路81を通過してスラスト外周空間75に流れ込む。したがって、連繋通路81を通過する空気によって、支持プレート80を冷却することができる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との熱交換が行われることにより、第1動圧スラスト軸受61を支持プレート80によって冷却することができるとともに、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との熱交換が行われることにより、第2動圧スラスト軸受62を支持プレート80によって冷却することができる。
【0083】
○
図6に示す実施形態において、軸路81aが支持プレート80を回転軸40の軸方向に貫通していなくてもよい。例えば、軸路81aの一端が、第1貫通孔71aに連通しており、軸路81aの他端が、支持プレート80の内部で閉塞していてもよい。要は、連繋通路81は、第1貫通孔71a及び第2貫通孔72aの少なくとも一方とスラスト外周空間75とを繋いでいればよく、第1貫通孔71aからの空気、もしくは第2貫通孔72aからの空気が連繋通路81を通過してスラスト外周空間75に流れ込むようになっていればよい。
【0084】
○
図7に示すように、遠心圧縮機10は、例えば、中間ハウジング17が、第1軸受ベース部を兼ねており、中間ハウジング17とは別部材である第1軸受ベース部を備えていない構成であってもよい。この場合、第1動圧スラスト軸受61は、中間ハウジング17と支持プレート80との間に配置されている。そして、中間ハウジング17に第1貫通孔71aが形成されている。
【0085】
○
図8に示すように、スラスト軸受支持部70は、各接続通路76及び各接続通路77に代えて、例えば、第2軸受ベース部72に形成されるとともに、スラスト外周空間75と主流通路90とを接続する接続通路78を有していてもよい。
【0086】
○ 実施形態において、スラスト軸受支持部70は、各接続通路76を有していない構成であってもよい。
○ 実施形態において、スラスト軸受支持部70は、各接続通路77を有していない構成であってもよい。
【0087】
○ 実施形態において、スラスト軸受支持部70は、接続通路77を複数有しており、接続通路76を1つだけ有している構成であってもよい。
○ 実施形態において、スラスト軸受支持部70は、接続通路76を複数有しており、接続通路77を1つだけ有している構成であってもよい。
【0088】
○ 実施形態において、スラスト軸受支持部70は、接続通路76及び接続通路77を1つずつ有している構成であってもよい。
○ 実施形態において、スラスト軸受支持部70は、接続通路77を有しておらず、接続通路76を1つだけ有している構成であってもよい。
【0089】
○ 実施形態において、スラスト軸受支持部70は、接続通路76を有しておらず、接続通路77を1つだけ有している構成であってもよい。
○ 実施形態において、例えば、筒状のスペーサ部材が、回転軸40の軸線周りに複数配置された状態で、各スペーサ部材が第1軸受ベース部71と第2軸受ベース部72との間に介在されていてもよい。
【0090】
○ 実施形態において、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積が、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積以下であってもよい。さらに、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積が、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積以下であってもよい。
【0091】
○ 実施形態において、第1貫通孔71aの通路断面積が、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積以下であってもよい。
○ 実施形態において、第2通路92の通路断面積が、連通路23の通路断面積と、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積と、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積以下であってもよい。
【0092】
○ 実施形態において、第1貫通孔71aの通路断面積が、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積以下であってもよい。さらに、第2通路92の通路断面積が、連通路23の通路断面積と、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積と、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積以下であってもよい。このような場合であっても、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積は、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積よりも大きい。また、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足しわせた通路断面積は、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積よりも大きい。したがって、スラスト外周空間75内の空気が各接続通路76及び各接続通路77に流れ易くなる。よって、スラスト外周空間75内の空気を、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出させ易くすることができる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62を効率良く冷却することができる。
【0093】
○ 実施形態において、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積が、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積以下であってもよい。さらに、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積が、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積以下であってもよい。そして、第2通路92の通路断面積が、連通路23の通路断面積と、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積と、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積以下であってもよい。このような場合であっても、第1貫通孔71aの通路断面積は、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積よりも大きいため、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間を通過した空気が、第1貫通孔71aに流れ易くなる。したがって、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間を通過する空気が、第1貫通孔71aを介して第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間に流れ易くなるため、第1動圧スラスト軸受61を効率良く冷却することができる。
【0094】
○ 実施形態において、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積が、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積以下であってもよい。さらに、各接続通路76の通路断面積の合計と各接続通路77の通路断面積の合計とを足し合わせた通路断面積が、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積以下であってもよい。そして、第1貫通孔71aの通路断面積が、第1動圧ラジアル軸受20と回転軸40との間の隙間の断面積以下であってもよい。このような場合であっても、第2通路92の通路断面積は、連通路23の通路断面積と、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間の隙間の断面積と、第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間の隙間の断面積とを足し合わせた断面積よりも大きいため、第2通路92の空気の流れがスムーズになる。したがって、スラスト外周空間75内の空気を、各接続通路76及び各接続通路77を介して主流通路90に流出させ易くすることができる。その結果、第1動圧スラスト軸受61と支持プレート80との間を通過する空気による第1動圧スラスト軸受61の冷却、及び第2動圧スラスト軸受62と支持プレート80との間を通過する空気による第2動圧スラスト軸受62の冷却が行われ易くなり、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62を効率良く冷却することができる。
【0095】
○ 実施形態において、スペーサ部材73の厚み方向において、各接続通路76と各接続通路77との間に位置する部位の厚みH1と、支持プレート80の厚みH2とが同じであってもよい。
【0096】
○ 実施形態において、スペーサ部材73の厚み方向において、各接続通路76と各接続通路77との間に位置する部位の厚みH1が、支持プレート80の厚みH2よりも厚くてもよい。
【0097】
○ 実施形態において、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62が、支持プレート80の外周面よりも回転軸40の径方向外側へ突出していてもよい。要は、第1動圧スラスト軸受61及び第2動圧スラスト軸受62よりも回転軸40の径方向外側に位置する空間であるスラスト外周空間75が、第1軸受ベース部71、第2軸受ベース部72、及びスペーサ部材73によって区画されていればよい。
【0098】
○ 実施形態において、第1軸受ベース部71と第2軸受ベース部72とは、複数のボルト74によって、スペーサ部材73を介して互いに固定されていたが、これに限らず、例えば、ボルトに代えて、圧入ピンを用いて、第1軸受ベース部71と第2軸受ベース部72とをスペーサ部材73を介して互いに固定するようにしてもよい。
【0099】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、例えば、第2インペラ52を備えていない構成であってもよい。
○ 実施形態において、第1インペラ51及び第2インペラ52が圧縮する流体としては、空気に限らない。したがって、遠心圧縮機10の適用対象及び圧縮対象の流体は任意である。例えば、遠心圧縮機10は空調装置に用いられていてもよく、圧縮対象の流体は冷媒であってもよい。また、遠心圧縮機10の搭載対象は、車両に限られず任意である。
【0100】
○ 実施形態において、回転軸の回転によって作動する作動体として、例えば、スクロール機構を備えたスクロール型圧縮機を流体機械として採用してもよい。また、作動体として、例えば、2つのロータを備えたルーツポンプを流体機械として採用してもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…流体機械としての遠心圧縮機、11…ハウジング、12h…吸入孔、18…モータ室、20…動圧ラジアル軸受である第1動圧ラジアル軸受、28…作動室である第1インペラ室、29…吐出室である第1吐出室、40…回転軸、41…電動モータ、51…作動体である第1インペラ、60…動圧スラスト軸受、61…第1動圧スラスト軸受、62…第2動圧スラスト軸受、70…スラスト軸受支持部、71…第1軸受ベース部、71a…第1貫通孔、72…第2軸受ベース部、72a…第2貫通孔、73…スペーサ部材、73a…収容孔、75…隙間であるスラスト外周空間、76,77…径方向通路である接続通路、78…接続通路、80…支持プレート、81…連繋通路、90…主流通路。