(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】容器を含むキット
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240326BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALN20240326BHJP
B65D 77/26 20060101ALN20240326BHJP
B65D 81/05 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/6844 Z
B65D77/26 B
B65D77/26 D
B65D81/05
(21)【出願番号】P 2020179182
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花房 信博
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 有司
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150775(JP,A)
【文献】特開2018-079950(JP,A)
【文献】特開2018-135138(JP,A)
【文献】特開2003-276780(JP,A)
【文献】特開平10-211926(JP,A)
【文献】特開平07-300156(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111003328(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
B65D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
内部に前記容器を収容する収容箱と、を含むキットであって、
前記収容箱は、前記容器を保持する保持プレートを備え、
前記保持プレートには、前記保持プレートを厚み方向に貫通する貫通孔が形成されており、前記容器は前記貫通孔に挿通されて前記保持プレートに保持され、
前記保持プレートは、前記厚み方向の荷重を受けて、前記容器に対して弾性的に相対変位し、前記荷重が除かれると、位置を復元する向きに変位
し、
前記収容箱は、前記保持プレートが前記荷重を受けたときの前記容器の移動を妨げるストッパをさらに備え、
前記容器は、先端に向かうにつれて径が小さくなる先細り部を有し、
前記ストッパは、前記先細り部を支持する、容器を含むキット。
【請求項2】
前記保持プレートは、前記厚み方向に指で押すことにより前記容器に対して弾性的に相対変位する、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記保持プレートの、前記荷重が除かれたときの前記容器に対する相対変位が、前記荷重を受けたときの前記容器に対する相対変位よりも小さい、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記保持プレートは、前記荷重を負荷すべき位置を示す位置マークを有する、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のキット。
【請求項5】
前記保持プレートは、紙製または樹脂製である、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のキット。
【請求項6】
複数の前記容器が一次元的に配列され互いに繋がった状態で前記収容箱に収容される、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載のキット。
【請求項7】
前記容器は、容器本体と、前記容器本体に対して開閉可能な蓋部とを有し、前記蓋部が閉じられた状態で前記収容箱に収容される、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のキット。
【請求項8】
前記保持プレートを収容する外筐体をさらに備え、前記保持プレートは前記外筐体から引き出し可能であり、
前記容器は、前記容器本体と前記蓋部とを接続するヒンジ部をさらに有し、
前記容器は、前記保持プレートの引き出し方向の手前側に前記ヒンジ部が位置する配置で、前記保持プレートに保持される、請求項
7に記載のキット。
【請求項9】
前記外筐体は、前記保持プレートおよび前記容器が通過可能な開口部が形成された第1端面と、前記第1端面と反対側の閉塞された第2端面とを有する、請求項
8に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分析対象となる検体(血液、尿、鼻咽頭拭い液、唾液等の生体由来サンプルなど)または試薬を入れるための容器を含むキットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、以下「PCR」ともいう)を用いて検体に含まれる遺伝子の解析を行なうための装置が存在する(たとえば特許第4785862号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PCRは、典型的には、多数の容器での試薬移動、温度制御、および光学的検出を行なう装置で行なわれる。リアルタイムPCR装置に用いられる容器には、試薬が予め封入された試薬容器と、検体および試薬が入れられる反応容器とが含まれる。装置に設置される前の試薬容器は、箱に入れられた状態で冷蔵保存される。試薬の変質を抑制するために、箱を冷蔵庫の外へ出した後に、必要な数量の試薬容器を箱から迅速に取り出せることが求められる。
【0005】
本開示では、収容箱の内部に収容されている容器を収容箱から容易に取り出すことが可能な、容器を含むキットが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るキットは、容器と、内部に容器を収容する収容箱と、を含んでいる。収容箱は、容器を保持する保持プレートを備えている。保持プレートには、保持プレートを厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。容器は、貫通孔に挿通されて保持プレートに保持されている。保持プレートは、厚み方向の荷重を受けて、容器に対して弾性的に相対変位し、荷重が除かれると、位置を復元する向きに変位する。
【発明の効果】
【0007】
本開示においては、容器を保持する保持プレートに荷重を負荷して保持プレートを容器に対して相対変位させ、荷重を除いて保持プレートを位置を復元する向きに変位させる。保持プレートが位置を復元する変位に従って、容器を、保持プレートと共に変位させることにより、収容箱に対する容器の係合を弱めることができる。これにより、容器を保持プレートから容易に取り外すことが可能になるので、収容箱から容器を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】解析システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】容器が設置された状態の保持装置をZ軸に沿う方向から視た図である。
【
図3】解析装置による解析処理の各工程を模式的に示す図である。
【
図6】内部に4連容器を収容する収容箱の概略構成を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示される内筐体および4連容器を平面視した図である。
【
図8】
図7中のVIII-VIII線に沿う内筐体および4連容器の断面図である。
【
図9】プレート部が変形した状態の内筐体および4連容器の断面図である。
【
図10】プレート部が位置を復元した状態の内筐体および4連容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
<解析システム1の構成>
図1は、本実施の形態による解析システム1の構成の一例を概略的に示す図である。解析システム1は、PCRによる遺伝子の増幅を経時的(リアルタイム)に測定して解析する処理を全自動で行なうことができる装置である。以下では、
図1に示すように、鉛直方向(
図1においては上下方向)に沿う方向を「Z軸方向」、鉛直方向に垂直であってかつ互いに直交する方向をそれぞれ「X軸方向」および「Y軸方向」とも称する。
【0011】
解析システム1は、解析装置2と、解析装置2と通信可能な端末3とを含む。端末3は、作業者によって操作される、ディスプレイを備えた一般的なパーソナルコンピュータである。
【0012】
解析装置2は、検査装置10と、制御装置20と、温調装置30と、移動装置4,5とを含む。温調装置30は、複数の容器50等を保持可能に構成される保持装置(ホルダ)40を含む。保持装置40は、温調部41と、保持部42とを含む。温調部41は、ペルチェ素子、ヒーター、冷却装置などに代表される温度源44、およびヒートリッド45による温調機能(加熱機能および冷却機能)を有する。保持部42は、温調機能を有さない。
【0013】
移動装置4は、検査装置10を水平方向(XY軸方向)に移動させるアクチュエータ(図示せず)を含む。移動装置5は、保持装置40を水平方向(XY軸方向)に移動させるアクチュエータ(図示せず)を含む。移動装置4,5のアクチュエータは、制御装置20からの指令によって動作する。移動装置4,5によって検査装置10および保持装置40の少なくとも一方を水平方向に移動させることによって、検査装置10と保持装置40との水平方向の相対距離を調整することができる。なお、移動装置4,5のどちらか一方を省略するようにしてもよい。
【0014】
検査装置10は、光学ユニット11と、分注ユニット12と、開閉ユニット14と、照射ユニット16とを含む。
【0015】
分注ユニット12には、Z軸方向に延在するノズルが先端に取り付けられたシリンジ13が備えられる。ノズルの内部には、Z軸方向に沿って移動可能なプランジャ(図示せず)が備えられる。シリンジ13は、プランジャのZ軸正方向のストローク量に応じた量の液体を吸引し、プランジャのZ軸負方向のストローク量に応じた量の液体を排出するように構成される。分注ユニット12は、シリンジ13をZ軸方向に移動させるためのアクチュエータ(図示せず)と、ノズル内のプランジャをZ軸方向にストロークさせるためのアクチュエータ(図示せず)とを備える。これらのアクチュエータは、制御装置20からの指令によって動作する。
【0016】
開閉ユニット14は、保持装置40に保持されている容器50の蓋に触れて容器50の蓋を自動開閉するための突起部を有する開閉機構を備える。開閉ユニット14は、制御装置20からの指令によって動作する。
【0017】
照射ユニット16は、開閉ユニット14が容器50の蓋を開閉する際に開閉ユニット14の突起部に検体が付着して次の検体に混入(コンタミネーション)するおそれがあることに鑑み、開閉ユニット14の突起部周辺にUV光(紫外線)を照射することによってコンタミネーションを予防する。
【0018】
光学ユニット11は、励起用の光を容器50内の検体に照射したときに検体から放出される蛍光を検出することによって、検体に含まれる感染症ウィルスあるいは遺伝子を解析する装置である。光学ユニット11は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの波長に対する蛍光検出をそれぞれ行ない、その結果を制御装置20に出力する。光学ユニット11には、光を発する光源(発光ダイオードなど)、光源からの光を検体に照射したり検体の蛍光を集めたりするためのレンズ、検体から放射される蛍光を検出し解析可能なデジタルデータに変換するフォトダイオードなどが含まれる。なお、光学ユニット11については公知の構成を採用することができる。
【0019】
制御装置20は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力バッファ等を含んで構成される。制御装置20は、分析開始指令を端末3から受けると、解析装置2の各部(検査装置10内の各ユニット、移動装置4,5、温調装置30の温調部41(温度源44およびヒートリッド45))を予め決められた手順に沿って制御することによって、検体に含まれる感染症ウィルスまたは遺伝子を解析する。制御装置20は、解析装置2による解析結果を端末3のディスプレイに表示させる。
【0020】
図2は、容器50が設置された状態の保持装置40をZ軸に沿う方向から視た図である。保持装置40は、XY平面に沿って延在し、複数の容器50が2次元状に配列される配列面を有している。検査装置10および保持装置40は、移動装置4,5によって、保持装置40の配列面に沿って2次元状に相対移動可能に構成される。
【0021】
保持装置40の配列面に配列される容器50には、サーマルサイクルの対象となる液体(各試薬が添加された検体)が入るPCR容器(反応容器)51と、各試薬の入った試薬容器52と、検体単体が入った検体容器54とが含まれる。
【0022】
PCR容器51は、X軸方向に沿って1次元状に配列される4つのPCR容器51a,51b,51c,51dを1セットとして、Y軸方向に4セット配置される。
【0023】
試薬容器52は、X軸方向に沿って1次元状に配列される4つの試薬容器52a,52b,52c,52dを1セットとして、Y軸方向に4セット配置される。試薬容器52aには、検体処理液が予め入れられている。試薬容器52bには、反応液が予め入れられている。試薬容器52cには、プライマー/プローブ液(プライマーとプローブとを含む液)が予め入れられている。試薬容器52dには、酵素液が予め入れられている。なお、4つの試薬容器52a,52b,52c,52dは、少なくとも1検体の分析に必要な量の試薬が予め封入された状態で1セットで試薬キットとして提供(市販)されている。
【0024】
検体容器54は、Y軸方向に沿って1次元状に4つ配列される。本実施の形態による解析装置2においては、Y軸方向に配列された4つの検体容器54にそれぞれ異なる検体を入れておくことによって、1度に4つの検体を分析することができる。
【0025】
保持装置40における、各容器50(PCR容器51、試薬容器52、検体容器54)が配置される箇所には、各容器50の一部をZ軸方向に沿って挿入可能な段差(穴または窪み)が形成されている。各容器50が対応する段差に挿入されることによって、各容器50のX軸方向およびY軸方向の位置が固定される。
【0026】
保持装置40における試薬容器52と検体容器54との間の領域には、検体および試薬を分注するための分注チップ53が配置される。分注チップ53は、シリンジ13のノズルに取り付けられて使用される。
【0027】
本実施の形態においては、分注チップ53として、検体容器54に用いられるロングチップ53aと、PCR容器51および試薬容器52に用いられるショートチップ(微量チップ)53bとが含まれる。分注チップ53は、X軸方向に沿って1次元状に配列される1つのロングチップ53aおよび2つのショートチップ53bを1セットとして、Y軸方向に4セット配置される。
【0028】
サーマルサイクルの対象となるPCR容器51は温調機能を有する温調部41に配置され、その他の試薬容器52、分注チップ53、検体容器54は温調機能を有さない保持部42に配置される。
【0029】
さらに、保持装置40には、使用済みの分注チップ53を廃棄するためのチップ廃棄部43が備えられる。シリンジ13のノズルに嵌合された分注チップ53をノズルから取り外す際には、分注チップ53の上端をチップ廃棄部43の凹部下面に引っかけた状態でノズルを上方に移動させることによって、ノズルから分注チップ53が取り外されて廃棄される。
【0030】
なお、
図2には示されていないが、各容器50は、容器本体と、容器本体に対して開閉可能な蓋部とを有している。各容器50は、蓋と容器本体とが一体となった樹脂成型品である。
【0031】
<解析処理>
作業者が、各容器50(PCR容器51、試薬容器52および検体容器54)および分注チップ53(ロングチップ53aおよびショートチップ53b)を保持装置40にセットし、分析を開始するための分析開始指令を端末3に入力すると、解析装置2による解析処理が開始される。
【0032】
図3は、解析装置2による解析処理の各工程を模式的に示す図である。解析処理においては、工程S1~S6がこの順に実行される。
【0033】
まず、工程S1では、検体5μLをPCR容器51bに分注する処理(サンプル注入)が行なわれる。具体的には、制御装置20は、まず、シリンジ13のノズルにロングチップ53aを装着し、検体容器54から検体25μLを採取してPCR容器51aへ検体25μLを分注するように、分注ユニット12および移動装置4,5を制御する。
【0034】
次いで、制御装置20は、ロングチップ53aをチップ廃棄部43にて廃棄するように分注ユニット12および移動装置4,5を制御する。
【0035】
次いで、制御装置20は、シリンジ13のノズルにショートチップ53bを装着し、PCR容器51aから検体5μLを採取してPCR容器51bへ検体5μLを分注するように、分注ユニット12および移動装置4,5を制御する。
【0036】
なお、ロングチップ53aで検体を25μL採取して一時的にPCR容器51aに分注しておき、その後にショートチップ53bに替えてPCR容器51aから検体5μLを採取してPCR容器51bに分注するのは、検体5μLを正確にPCR容器51bに分注するためである。すなわち、シリンジ13のノズルの内部に備えられるプランジャは基本的に微量の分注を行うショートチップ53bに対応させているために細く、同じストローク量では、ロングチップ53aの使用時において分注精度が低下し正確な結果が得られない場合が生じ得る。そこで、本実施の形態においては、ロングチップ53aで一度検体を採取してPCR容器51bとは別のPCR容器51aに5μLよりも多い25μLを分注しておき、その後にショートチップ53bに替えてPCR容器51aから正確に5μLを採取してPCR容器51bへ分注する。これにより、5μLの微量の検体を正確にPCR容器51bに分注することができる。
【0037】
次の工程S2では、PCR容器51bに検体処理液5μLを添加する処理が行なわれる。具体的には、制御装置20は、まず、試薬容器52aから検体処理液5μLを採取してPCR容器51bへ検体処理液5μLを分注し、シリンジ13の往復(上下動作)によってPCR容器51b内を攪拌するように、分注ユニット12および移動装置4,5を制御する。
【0038】
次いで、制御装置20は、ショートチップ53bをチップ廃棄部43にて廃棄するように分注ユニット12および移動装置4,5を制御する。
【0039】
次の工程S3では、PCR容器51bを加熱および急冷する処理が行なわれる。具体的には、制御装置20は、PCR容器51bを加熱してPCR容器51b内の検体温度を90℃に5分維持し、その後、PCR容器51bを急冷してPCR容器51b内の検体温度を20℃(常温)に戻すように、温調部41を制御する。
【0040】
PCR容器51bは、温調部41の上面が窪んだ段差に挿し込まれている。温調部41は、熱伝導性に優れた金属板であり、たとえばアルミニウム製である。温調部41は、温度源44と熱的に接触している。温度源44によって、予め設定されていたプログラムに従って温調部41が加熱および冷却されることにより、PCR容器51b内の検体温度が制御される。これにより検体が、反応に適した所定の温度プロファイルに供される。
【0041】
PCR容器51bの蓋には、ヒートリッド45が熱的に接触している。ヒートリッド45は金属板であり、シートヒーターなどの加熱源が取り付けられている。加熱源が蓋を加熱することで、PCR容器51b内で液体が気化して反応条件が変わることが防止されている。
【0042】
次の工程S4では、PCR容器51bに各試薬を添加する処理が行なわれる。具体的には、制御装置20は、まず、試薬容器52bから反応液7.8μLを採取し、酵素2.4μLが予め入っている試薬容器52dへ分注するように、分注ユニット12および移動装置4,5を制御する。
【0043】
次いで、制御装置20は、試薬容器52cからプライマ/プローブ液7.8μLを採取して試薬容器52dへ分注し、シリンジ13の往復(上下動作)によって試薬容器52d内を攪拌するように、分注ユニット12および移動装置4,5を制御する。この時点での試薬容器52dに入っている試薬混合液の量は18μLとなる。
【0044】
次いで、制御装置20は、試薬容器52dから試薬混合液15μLを採取し、PCR容器51bへ試薬混合液15μLを分注し、シリンジ13の往復(上下動作)によってPCR容器51b内を攪拌するように、分注ユニット12および移動装置4,5を制御する。
【0045】
次の工程S5では、PCR容器51bのサーマルサイクル処理が行なわれる。具体的には、制御装置20は、PCR容器51b内の液温度を42℃に10分維持して逆転写反応を生じさせ、その後、PCR容器51b内の液温度を95℃に1分維持して酵素を活性させるように、温調部41を制御する。
【0046】
次いで、制御装置20は、PCR容器51b内の液温度を95℃に5秒間維持した後にPCR容器51b内の液温度を60℃に30秒間維持して遺伝子を増幅させる増幅処理を行なうように、温調部41を制御する。なお、この増幅処理は45サイクル実施される。
【0047】
次の工程S6では、3波長蛍光検出が行なわれる。具体的には、制御装置20は、増幅処理後に、PCR容器51b内の液温度を60℃にした状態で、PCR容器51b内の液に対して3波長蛍光検出を行なうように、温調部41および光学ユニット11を制御する。なお、3波長蛍光検出は、増幅処理が行なわれる毎に実施される。3波長蛍光検出の結果(解析装置2による解析処理の結果)は、端末3のディスプレイに表示される。
【0048】
<容器60の構成>
図4は、単体の容器60の概略構成を示す模式図である。
図4および以下の図面を参照して説明される容器60は、PCR容器51であってもよく、または試薬容器52であってもよい。なお、以下の説明における「上」「下」とは、保持装置40の段差に容器60が挿し込まれた状態での上下方向に基づく概念である。
図4に示されるように、容器60は、容器本体71と、蓋部80とを有している。
【0049】
容器本体71は、上端72と下端73とを有している。容器本体71は、上端72に開口74を有し下端73が閉塞されている、中空の有底筒状の形状を有している。容器本体71は、上端72の近傍に、円筒形状の円筒部77を有している。容器本体71は、下端73の近傍に、下端73へ向かうにつれて容器本体71の径が小さくなる先細り部78を有している。容器本体71の底部は、先が尖った形状とされている。
【0050】
容器60は、容器本体71と蓋部80とがヒンジ部84によって接続されて一体となった樹脂成型品である。蓋部80は、容器本体71の開口74に対して開閉可能に構成される。ヒンジ部84は、蓋部80と容器本体71と接続する部分が閉状態で予め屈曲することによって形成される。これにより、ヒンジ部84は、蓋部80の開閉時にヒンジの役割を果たす。
【0051】
蓋部80の先端には、蓋部80を開閉するための鍔部83が設けられている。解析処理中に、開閉ユニット14(
図1)が鍔部83を持ち上げることにより、容器60の蓋部80を開く開栓動作が実行される。
【0052】
図5は、4連容器90の構成を示す平面図である。4連容器90は、一次元状に配列された4つの容器60と、互いに隣り合う容器60同士を連結する連結部92とを有している。4つの容器60が連結部92を介して一体に繋がって、4連容器90を構成している。4連容器90に含まれる4つの容器60は、
図2を参照して説明した4つのPCR容器51a,51b,51c,51dであってもよく、4つの試薬容器52a,52b,52c,52dであってもよい。
【0053】
4つの容器60の各蓋部80は閉じられた状態である。蓋部80が閉じられることで、容器本体71の開口74が気密状態で閉塞されて、容器本体71の内部が密閉され、容器60の内部に密閉空間が形成される。
【0054】
図5に示されるように、蓋部80が閉じられた容器60を上方から見て、ヒンジ部84の延在方向と、鍔部83が容器本体71から突き出る方向とは、略一直線上にある。容器本体71に対して、ヒンジ部84は一方向に突き出し、鍔部83は当該一方向と逆方向の他方向に突き出している。容器本体71からヒンジ部84および鍔部83が突き出る方向は、4つの容器60が並んで配列される方向に対して、斜めの方向である。容器本体71からヒンジ部84および鍔部83が突き出る方向と、4つの容器60が並んで配列される方向とは、鋭角または鈍角を形成する。
【0055】
<収容箱100>
図6は、内部に4連容器90を収容する収容箱100の概略構成を示す斜視図である。収容箱100は、外筐体110と内筐体120とを有している。
【0056】
外筐体110は、細長い矩形箱状の形状を有している。外筐体110は、その長手方向の一方の端面である第1端面111と、第1端面111と反対側の他方の端面である第2端面114とを有している。第1端面111には開口部116が形成されている。第2端面114は閉塞されている。外筐体110は、側面112を有している。側面112は外筐体110の長手方向に延びている。
【0057】
内筐体120は、細長い矩形箱状の形状を有している。内筐体120は、外筐体110に収容されている。内筐体120は、外筐体110に対して相対的に往復移動可能である。内筐体120は、外筐体110の開口部116を通過して、外筐体110から抜き出し可能であり、かつ外筐体110に挿し込み可能である。
図6中に矢印で示される引き出し方向DR1は、内筐体120が外筐体110から抜き出されるときの、外筐体110に対する内筐体120の相対移動方向である。
図6中に矢印で示される挿し込み方向DR2は、内筐体120が外筐体110に挿し込まれるときの、外筐体110に対する内筐体120の相対移動方向である。
【0058】
引き出し方向DR1は、外筐体110の長手方向における一方の方向であり、挿し込み方向DR2は、外筐体110の長手方向における他方の方向である。外筐体110の第1端面111に開口部116が形成されており第2端面114が閉塞されていることにより、内筐体120は、引き出し方向DR1のみにしか引き出すことができない構造となっている。
【0059】
内筐体120には、保持部材130が収容されている。保持部材130は、内筐体120とともに、外筐体110から引き出し可能であり、かつ外筐体110に挿し込み可能である。保持部材130は、4連容器90を保持している。4連容器90は、保持部材130に保持された状態で、内筐体120に収容されている。内筐体120が外筐体110に挿し込まれて内筐体120の全体が外筐体110の内部に配置された状態で、4連容器90は、外筐体110に収容される。
【0060】
4連容器90を構成する4つの容器60は、平面視した内筐体120の短手方向に配列されている。4つの容器60は、内筐体120を平面視した矩形の短辺方向に並べられている。4つの容器が一次元的に配列され互いに繋がった状態で、内筐体120に収容されている。内筐体120が外筐体110に挿し込まれて内筐体120の全体が外筐体110の内部に配置された状態で、4つの容器60は、外筐体110に収容される。容器60は、蓋部80が閉じられた状態で収容箱100に収容されている。
【0061】
図7は、
図6に示される内筐体120および4連容器90を平面視した図である。
図7に示されるように、内筐体120の長手方向に12セットの4連容器90が並べられて収容されている。内筐体120に収容される4連容器90の個数は任意であり、11セット以下の4連容器90が内筐体120に収容されていてもよく、13セット以上の4連容器90が内筐体120に収容されていてもよい。
【0062】
図6および
図7に示されるように、容器60は、内筐体120および保持部材130の引き出し方向DR1の手前側にヒンジ部84が位置し、引き出し方向DR1の奥側に鍔部83が位置する配置で、保持部材130に保持されている。容器60は、収容箱100から取り出すときに蓋部80が開かないように、鍔部83が指に触れない向きで収容箱100に収容されている。
【0063】
保持部材130には、位置マーク140が付されている。位置マーク140は、後述する保持部材130の一部分に荷重を負荷するときの、荷重を負荷すべき位置を示すものである。4連容器90よりも引き出し方向DR1の手前側に、位置マーク140が付されている。典型的には、保持部材130は、引き出し方向DR1の手前側の縁の近傍の位置に、位置マーク140を有している。位置マーク140は、内筐体120を平面視した矩形の短辺方向の中央付近に配置されている。
【0064】
図8は、
図7中のVIII-VIII線に沿う内筐体120および4連容器90の断面図である。内筐体120は、上方が開口した有底の箱形状を有している。
【0065】
保持部材130は、下向きに開口した角張ったC字状の外形を有している。保持部材130は、平板状のプレート部132と、プレート部132の両縁を支持する支持壁部135,136とを有している。プレート部132には、プレート部132を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。プレート部132に形成された貫通孔は、容器60の円筒部77の径と略同じ径を有している。4連容器90を構成する4つの容器60は、各々、プレート部132の貫通孔に挿通されてプレート部132に保持されている。プレート部132は、実施の形態における保持プレートに相当する。プレート部132は、容器60の円筒部77を保持している。
【0066】
保持部材130は、内筐体120の短手壁面の内側(内壁)には固着していない。これにより、平板状のプレート部132のいっそう良好なたわみを確保することができる。
【0067】
プレート部132の下方、すなわちプレート部132よりも内筐体120の底面側に、中空の空間138が形成されている。
【0068】
保持部材130に対して内筐体120の底面側に、支持部材150が配置されている。支持部材150は、保持部材130と同様の、下向きに開口した角張ったC字状の外形を有している。支持部材150は、平板状のプレート部152と、プレート部152の両縁を支持する支持壁部155,156とを有している。プレート部152には、プレート部152を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。4つの容器60は、プレート部152の貫通孔に挿通されている。
【0069】
保持部材130および支持部材150の貫通孔は、4連容器90を収容した状態において、保持部材130の長手方向に隣り合う4連容器90同士の隙間に人の指が入らない状態を確保する所定の間隔で、各々保持部材130および支持部材150に形成されている。
【0070】
プレート部152の下方、すなわちプレート部152よりも内筐体120の底面側に、中空の空間158が形成されている。
【0071】
保持部材130は、支持部材150に搭載されている。プレート部132とプレート部152との間に、中空の空間138が形成されている。プレート部132とプレート部152とは、略平行に配置されている。
【0072】
支持部材150は、容器60の先細り部78を支持している。支持部材150のプレート部152に形成されている貫通孔は、保持部材130のプレート部132に形成されている貫通孔よりも小径に形成されている。支持部材150のプレート部152に形成されている貫通孔は、容器60の円筒部77よりも小径に形成されている。プレート部152に形成されている貫通孔は、容器60の先細り部78を挿通可能であるが、容器60の円筒部77を挿通不可能なように、形成されている。
【0073】
収容箱100を構成している外筐体110、内筐体120、保持部材130および支持部材150は、その材料が紙または樹脂である。保持部材130の一部分を構成するプレート部132は、紙製または樹脂製である。
【0074】
<収容箱100からの4連容器90の取り出し>
図9は、プレート部132が変形した状態の内筐体120および4連容器90の断面図である。
図9および後述する
図10には、
図8と同様に、内筐体120および4連容器90の
図7中のVIII-VIII線に沿う断面が図示されている。
【0075】
図9に示されるプレート部132には、厚み方向の荷重が負荷されている。具体的には、収容箱100から4連容器90を取り出そうとする作業者が、位置マーク140(
図6,7)を指で押すことにより、プレート部132に厚み方向の荷重が負荷される。この荷重を受けて、プレート部132は、内筐体120の底面に向かって弾性変形している。プレート部132は、プレート部152に近づく向きに変形している。プレート部132は、内筐体120および支持部材150に対して相対変位している。プレート部132の下方に中空の空間138が形成されていることで、プレート部132のたわみ変形が許容されている。
【0076】
このとき容器60(4連容器90)は、先細り部78において、支持部材150によって支持されている。荷重を受けて変形するプレート部132と円筒部77との間に、摩擦力が発生する。この摩擦力によって、容器60に、内筐体120の底面側へ向く方向の応力が作用するが、支持部材150が容器60の先細り部78を支持しているので、容器60の移動が妨げられている。支持部材150は、プレート部132が厚み方向の荷重を受けたときの容器60の移動を妨げる、実施の形態におけるストッパに相当する。
【0077】
容器60は、内筐体120および支持部材150に対して相対変位せず、内筐体120および支持部材150に対する相対位置を維持している。これによりプレート部132は、容器60に対して、弾性的に相対変位する。
【0078】
図10は、プレート部132が位置を復元した状態の内筐体120および4連容器90の断面図である。
図9に示されるプレート部132に負荷されていた厚み方向の荷重が、
図10に示されるプレート部132からは除かれている。具体的には、収容箱100から4連容器90を取り出そうとする作業者が、プレート部132から指を離すことにより、プレート部132に厚み方向の荷重が負荷されなくなっている。これによりプレート部132は、プレート部152から離れる向きに弾性変形している。プレート部132は、位置を復元する向きに、内筐体120および支持部材150に対して相対変位している。
図10に示されるプレート部132は、
図8と同じ位置まで位置を復元している。
【0079】
このとき容器60は、プレート部132と円筒部77との間に発生する摩擦力の作用で、プレート部132とともに移動する。容器60は、内筐体120の底面から離れる向きに、内筐体120および支持部材150に対して相対変位する。容器60は、プレート部132によって、上方に引き上げられる。この容器60の変位により、プレート部152の貫通孔に、先細り部78のより径の小さい先端部分が移動することになるので、容器60の移動が支持部材150によって妨げられることはない。
【0080】
図10に示される、プレート部132と共に変位した後の容器60は、その先細り部78がプレート部152の貫通孔から外れている。容器60が支持部材150によって支持されなくなることで、収容箱100に対する容器60の係合が弱められている。作業者は、容器60の円筒部77の上端付近を手指で挟んで容器60を持ち上げることで、容器60をプレート部132から容易に取り外すことが可能である。したがって収容箱100から4連容器90を容易に取り出すことができる。
【0081】
プレート部132への荷重負荷と除荷とを、複数回繰り返してもよい。容器60に対するプレート部132の相対変位量を大きくし、プレート部132を容器60の先細り部78に到達させることで、容器60をプレート部132からより容易に取り外すことが可能になる。
【0082】
図8~10に示される、引き出し方向DR1の最も手前にある4連容器90を取り出すときには、位置マーク140の位置に荷重を負荷すればよい。引き出し方向DR1の最も手前の4連容器90を取り出した後に、2番目の4連容器90を取り出すときには、必ずしも位置マーク140の位置に荷重を負荷させなくてもよい。プレート部132を平面視した矩形の短手方向(
図7においては、図中の上下方向)の中央の位置であって、位置マーク140よりも取り出す対象の4連容器90に近い位置に荷重を負荷させることで、取り出す対象の4連容器90に対してプレート部132を確実に相対変位させることができる。たとえば、プレート部132の長手方向における、直前に取り出した4連容器90を保持していた貫通孔が形成されていた位置に、荷重を負荷させてもよい。
【0083】
上述した実施の形態では、プレート部132が厚み方向の荷重を負荷されて弾性変形する例について説明した。プレート部132は必ずしも弾性変形しなくてもよい。たとえば、プレート部152の上面に、ゴムまたはバネに代表される付勢部材を介在させて平板状のプレート部132を搭載し、プレート部132に厚み方向の荷重を負荷することで付勢部材が弾性力を蓄え、荷重を除くと付勢部材がプレート部132を元の位置に復元させる構成とすることも可能である。
【0084】
[態様]
上述した例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0085】
(第1項) 一態様に係るキットは、容器と、内部に容器を収容する収容箱と、を含んでいる。収容箱は、容器を保持する保持プレートを備えている。保持プレートには、保持プレートを厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。容器は、貫通孔に挿通されて保持プレートに保持される。保持プレートは、厚み方向の荷重を受けて、容器に対して弾性的に相対変位し、荷重が除かれると、位置を復元する向きに変位する。
【0086】
作業者が収容箱から容器を取り出すときに、容器と保持プレートとの接触抵抗のため容器が取り出しにくくなることを回避するために、保持プレートは厚み方向の荷重を受けて容器に対して弾性的に相対変位する構成になっている。荷重が除かれると、保持プレートは、位置を復元する向きに変位する。保持プレートが容器に対して相対変位する際に、保持プレートによる容器の保持が緩まる。保持プレートの位置を復元する向きの変位に伴って、容器を保持プレートと共に変位させることで、容器を保持プレートから浮き上がらせることができる。これにより、容器を保持プレートから容易に取り外すことが可能になるので、収容箱から容器を容易に取り出すことができる。
【0087】
(第2項) 第1項に記載のキットにおいて、保持プレートは、厚み方向に指で押すことにより容器に対して弾性的に相対変位してもよい。
【0088】
容器を収容箱から取り出そうとする作業者が保持プレートを指で押して厚み方向の荷重を負荷することで、保持プレートを容器に対して相対変位させることができるので、収容箱から容器を容易に取り出すことができる。
【0089】
(第3項) 第1項に記載のキットにおいて、保持プレートの、荷重が除かれたときの容器に対する相対変位が、荷重を受けたときの容器に対する相対変位よりも小さくてもよい。
【0090】
保持プレートの容器に対する相対変位を、厚み方向の荷重を受けたときと荷重を除かれたときとで異ならせることで、保持プレートの位置を復元する向きの変位に伴って、容器を保持プレートと共に変位させ、容器を保持プレートから確実に浮き上がらせることができる。
【0091】
(第4項) 第1項に記載のキットにおいて、収容箱は、保持プレートが荷重を受けたときの容器の移動を妨げるストッパをさらに備えてもよい。
【0092】
ストッパが容器の移動を妨げることで、保持プレートを容器に対して確実に相対変位させ、保持プレートによる容器の保持を確実に緩めることができる。
【0093】
(第5項) 第4項に記載のキットにおいて、容器は、先端に向かうにつれて径が小さくなる先細り部を有し、ストッパは、先細り部を支持してもよい。
【0094】
ストッパが先細り部を支持することにより、保持プレートが厚み方向の荷重を受けたときの容器の移動を確実に妨げることができる。
【0095】
(第6項) 第1項に記載のキットにおいて、保持プレートは、荷重を負荷すべき位置を示す位置マークを有してもよい。
【0096】
位置マークが付された位置に荷重を負荷することで、保持プレートを確実に容器に対して相対変位させることができる。保持プレートに厚み方向の荷重を負荷することで保持プレートが弾性的に変位し易い位置、たとえば保持プレートの中央部分、に位置マークを付すことにより、より小さな荷重で保持プレートを容器に対して相対変位させることができる。
【0097】
(第7項) 第1項に記載のキットにおいて、保持プレートは、紙製または樹脂製であってもよい。
【0098】
保持プレートを紙製または樹脂製とすることで、厚み方向の荷重を保持プレートに負荷したときに、保持プレートを容易に弾性変形させることができる。これにより、保持プレートを確実に容器に対して相対変位させることができる。
【0099】
(第8項) 第1項に記載のキットにおいて、複数の容器が一次元的に配列され互いに繋がった状態で収容箱に収容されてもよい。
【0100】
一次元的に配列され複数個が互いに繋がった状態で保持プレートに保持されている容器は、保持プレートとの接触抵抗が大きく、保持プレートから取り外しにくい。このような容器を収容する保持プレートを、厚み方向の荷重を受けて容器に対して弾性的に相対変位し、荷重が除かれると位置を復元する向きに変位するように構成することで、容器を保持プレートから浮き上がらせて保持プレートから容易に取り外すことが可能になる。
【0101】
(第9項) 第1項に記載のキットにおいて、容器は、容器本体と、容器本体に対して開閉可能な蓋部とを有し、蓋部が閉じられた状態で収容箱に収容されていてもよい。
【0102】
蓋部が閉じられた状態の容器を収容箱から取り出すときに、蓋部が開かないようにすることが求められる。実施の形態の保持プレートを有する収容箱に収容された容器は、保持プレートから容易に取り外すことができるので、保持プレートから容器を取り外すときに蓋部に無用な力を作用させないようにできる。容器の取り出しの際に蓋部が開く可能性を低減できるので、容器内の検体または試薬のコンタミネーションをより確実に回避することができる。
【0103】
(第10項) 第9項に記載のキットにおいて、保持プレートを収容する外筐体をさらに備え、保持プレートは外筐体から引き出し可能であり、容器は、容器本体と蓋部とを接続するヒンジ部をさらに有し、容器は、保持プレートの引き出し方向の手前側にヒンジ部が位置する配置で、保持プレートに保持されてもよい。
【0104】
保持プレートの引き出し方向の手前側に容器のヒンジ部を位置させ、引き出し方向の奥側に容器の鍔部を位置させるように収容箱に対する容器の配置を定めることで、容器を取り出すときに作業者の手指が容器の蓋部の鍔部に触れにくくできるので、容器の取り出しの際に蓋部が開く可能性をより低減することができる。
【0105】
(第11項) 第10項に記載のキットにおいて、外筐体は、保持プレートおよび容器が通過可能な開口部が形成された第1端面と、第1端面と反対側の閉塞された第2端面とを有してもよい。
【0106】
このようにすれば、保持プレートおよび容器を外筐体から引き出す方向が1つの方向に定められるので、容器を、保持プレートの引き出し方向の手前側にヒンジ部が位置する配置で保持プレートに確実に保持させることができる。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1 解析システム、2 解析装置、3 端末、4,5 移動装置、10 検査装置、11 光学ユニット、12 分注ユニット、13 シリンジ、14 開閉ユニット、16 照射ユニット、20 制御装置、30 温調装置、40 保持装置、41 温調部、42 保持部、43 チップ廃棄部、44 温度源、45 ヒートリッド、50,60 容器、51 PCR容器、52 試薬容器、53 分注チップ、54 検体容器、71 容器本体、72 上端、73 下端、74 開口、77 円筒部、78 先細り部、80 蓋部、83 鍔部、84 ヒンジ部、90 4連容器、92 連結部、100 収容箱、110 外筐体、111 第1端面、112 側面、114 第2端面、116 開口部、120 内筐体、130 保持部材、132,152 プレート部、135,136,155,156 支持壁部、138,158 空間、140 位置マーク、150 支持部材、DR1 引き出し方向、DR2 挿し込み方向。