(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】車両接近通報装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B60Q5/00 650B
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 660L
B60Q5/00 640Z
(21)【出願番号】P 2020201162
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀田 敬祐
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-031865(JP,A)
【文献】特開2006-010913(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172658(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、同車両の接近を周囲に通報するための通報音を出力する車両接近通報装置であって、
車両外部に向けて前記通報音を出力する発報部と、
ユーザーによって操作される操作部と、
前記操作部の操作態様に応じて、前記発報部の作動を制御して、前記通報音の音色を変更する制御部と
、を備
え、
前記制御部は、
前記発報部から前記通報音を出力させるための周波数信号として、前記発報部から出力させる前記通報音の周波数が高い高周波数領域と同周波数が低い低周波数領域とにおいてそれぞれ、前記周波数の異なる周波数信号が2つずつ定められており、
前記操作部の操作に応じて、前記高周波数領域における2つの前記周波数信号のうちの一方と前記低周波数領域における2つの前記周波数信号のうちの一方とを選択的に組み合わせるとともに、該組み合わせた前記周波数信号をもとに前記発報部を作動させるものである車両接近通報装置。
【請求項2】
前記操作部は、車室内のインストルメントパネルに設けられた操作スイッチである
請求項1に記載の車両接近通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両接近通報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車など、エンジン音が発生しない状態での走行が可能な車両において、同状態での走行時に車両外部に向けて通報音を発する装置が実用されている(例えば特許文献1)。この装置では、車両外部に向けて敢えて通報音を発することにより、車両の接近が周囲に報知されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記通報音は、車両の外部に向けて発せられるとはいえ、空気伝播や車体伝播を通じて車室内にも伝わる。こうして車室内に伝わる音(車内音)の音色は、上記通報音によって一義的に定まる。
【0005】
上記通報音は、通常、車両が走行している状態を想起させる音圧や音色の音が選ばれて設定される。そのため、そうした通報音に基づき定まる車内音は、乗員にとって心地良い音になるとは限らず、乗員によっては不快な音になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための車両接近通報装置は、車両に搭載されて、同車両の接近を周囲に通報するための通報音を出力する車両接近通報装置であって、車両外部に向けて前記通報音を出力する発報部と、ユーザーによって操作される操作部と、前記操作部の操作態様に応じて、前記発報部の作動を制御して、前記通報音の音色を変更する制御部とを備える。
【0007】
上記構成によれば、通報音の出力時において同通報音が車室内に伝わった音(車内音)をユーザーが不快に感じた場合に、操作部を操作することにより、上記通報音の音色、ひいては車内音の音色を任意に変更することができる。これにより、車内音の音色を、ユーザーが不快に感じることのない音色に変更することが可能になる。したがって、車両外部に向けて出力される通報音に起因する車内音をユーザーが不快に感じることを抑制できる。
【0008】
上記車両接近通報装置において、前記操作部は、車室内のインストルメントパネルに設けられた操作スイッチであることが好ましい。
上記構成によれば、上記通報音に起因する車内音をユーザーが不快に感じた場合に、車室内のインストルメントパネルに設けられた操作スイッチをユーザーが操作することによって、上記車内音を容易に変更することができる。
【0009】
上記車両接近通報装置において、前記制御部は、前記発報部から前記通報音を出力させるための周波数信号として、前記発報部から出力させる前記通報音の周波数が異なる3つ以上の周波数信号が予め定められており、前記操作部の操作に応じて、前記3つ以上の周波数信号のうちの複数を選択的に組み合わせるとともに、該組み合わせた複数の前記周波数信号をもとに前記発報部を作動させるものであることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、予め定められた3つ以上の周波数信号を選択的に組み合わせることにより、その組み合わせパターンの数だけ、上記通報音の音色、ひいては車内音の音色を段階的に切り替えることができる。そのため、車室内の音色が無段階に変更される場合と比較して、通報音および車内音が所定の要件を満たすことを確認する作業(いわゆる適合作業)を簡素な作業にして、容易に行うことができる。
【0011】
上記車両接近通報装置において、前記制御部は、前記発報部から前記通報音を出力させるための周波数信号として、前記発報部から出力させる前記通報音の周波数が高い高周波数領域と同周波数が低い低周波数領域とにおいてそれぞれ、前記周波数の異なる周波数信号が2つずつ定められており、前記操作部の操作に応じて、前記高周波数領域における2つの前記周波数信号のうちの一方と前記低周波数領域における2つの前記周波数信号のうちの一方とを選択的に組み合わせるとともに、該組み合わせた前記周波数信号をもとに前記発報部を作動させるものであることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、高周波数領域に定められた2つの周波数信号の一方と低周波数領域に定められた2つの周波数信号の一方とを選択的に組み合わせることにより、その組み合わせパターンの数だけ(具体的には、4段階に)、上記通報音の音色、ひいては車内音の音色を切り替えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両外部に向けて発せられる通報音に起因する車内音をユーザーが不快に感じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態の車両接近通報装置が搭載される車両の概略構成図。
【
図5】期間Aの周波数信号と期間Bの周波数信号との組み合わせパターンを示す表。
【
図6】表示装置に表示される操作スイッチを示す側面図。
【
図7】通報制御処理の実行手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、車両接近通報装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両接近通報装置20が搭載される車両10は、いわゆる電気自動車である。車両10には、エンジンが搭載されておらず、駆動源として電動モータ11が設けられている。
【0016】
図1および
図2に示すように、車両接近通報装置20は、発報部としてのスピーカー21を有している。スピーカー21は、車両10の接近を周囲に通報するための通報音を出力するものである。この通報音としては、車両10が走行している状態を想起させる音圧や音色の音が選ばれて設定されている。スピーカー21は、車両10の前部において同車両10のフレーム部材(図示略)に固定されている。スピーカー21は、車両10の外部、詳しくは車両10の前方に向けて上記通報音を出力する態様で取り付けられている。
【0017】
車両接近通報装置20は、マイクロコンピュータを中心に構成される電子制御装置(以下、接近通報ECU22)を有している。この接近通報ECU22は、上記通報音を出力するためのスピーカー21の作動制御(以下、通報制御)を実行する。車両10は、同車両10の走行速度(以下、車速SPD)を検出するための車速センサ23や、前進走行と後進走行とを切り替えるためのシフト装置26を有している。車速センサ23の検出信号やシフト装置26の出力信号は、接近通報ECU22に取り込まれている。本実施形態では、接近通報ECU22が制御部に相当する。
【0018】
車両10における車室12の内部にはインストルメントパネル13(
図1)が設けられている。インストルメントパネル13には、タッチパネル式のモニタを有する表示装置14が設けられている。車両10は、マイクロコンピュータを中心に構成される電子制御装置(以下、メータECU15)を有している。メータECU15は表示装置14に接続されている。このメータECU15により、表示装置14の作動が制御される。具体的には、メータECU15は、表示装置14に操作スイッチ24を表示させる。この操作スイッチ24は、乗員などのユーザーによる操作が可能になっている。本実施形態では、表示装置14に表示された操作スイッチ24がユーザーによって操作されると、その操作位置を示す信号がメータECU15に出力されて取り込まれるようになっている。
【0019】
本実施形態では、接近通報ECU22とメータECU15とが、CAN(Controller Area Network )によって相互通信可能な態様で接続されている。
以下、前記通報制御の実行態様について説明する。
【0020】
通報制御では、スピーカー21を作動させるための作動信号SIGが、接近通報ECU22からスピーカー21に出力される。そして、この作動信号SIGによってスピーカー21が作動して、同スピーカー21から通報音が出力される。
【0021】
図3に一例を示すように、上記作動信号SIGとしては、スピーカー21に作動のための電力を供給した状態になるオン信号の出力と、電力を供給しない状態になるオフ信号の出力とが所定周期(以下、出力周期FA)で交互に繰り返される信号が採用されている。
【0022】
本実施形態では、この出力周期FAを周期的に変動させる態様で、作動信号SIGが生成される。これにより、
図4に一例を示すように、任意の周波数TFで変動する作動信号SIGが生成されて出力される。本実施形態では、作動信号SIGの変動周波数TFによって通報音の周波数が定まり、同作動信号SIGにおける「オン信号」の出力周期FA(
図3参照)によって通報音の音圧が定まる。
【0023】
通報制御では、接近通報ECUからスピーカー21への作動信号SIGの出力が、実行条件が成立しているときに限って実行される。実行条件が成立していることは、以下の(条件イ)および(条件ロ)の一方が満たされていることをもって判断される。
【0024】
(条件イ)車速SPDが所定速度(例えば20km毎時)以下の状態で車両10が前進走行している。
(条件ロ)車両10が後進走行している。
【0025】
本実施形態の車両接近通報装置20では、ユーザーによる操作スイッチ24の操作を通じて、車両10の外部に向けて出力される通報音の音色を切り替えることが可能になっている。そして、通報音の音色を切り替えることで、同通報音に起因する車内音をユーザーが不快に感じることが抑えられる。
【0026】
以下、通報音の音色を切り替えるための構成について詳しく説明する。
本実施形態では、作動信号SIGの周波数を定めるための信号(周波数信号)として、4つの周波数信号FLL,FLH,FHL,FHHが予め定められている。具体的には、低周波数領域FLにおいて、周波数F1の通報音を発生させるための周波数信号FLLと、同周波数F1よりも高い周波数F2の通報音を発生させるための周波数信号FLHとが定められている。また、高周波数領域FHにおいては、周波数F3の通報音を発生させるための周波数信号FHLと、同周波数F3よりも高い周波数F4の通報音を発生させるための周波数信号FHHとが定められている。このように本実施形態では、周波数信号として、高周波数領域FHと低周波数領域FLとにおいてそれぞれ、スピーカー21から出力させる通報音の周波数の異なる周波数信号が2つずつ定められている。
【0027】
そして、作動信号SIGの生成に際して低周波数領域FLの周波数信号FLL,FLHの一方と高周波数領域FHの周波数信号FHL,FHHの一方とを選択的に組み合わせて利用することで、作動信号SIGの周波数、ひいては通報音の音色が調整される。具体的には、低周波数領域FLに対応する周波数(F1またはF2)の通報音を発生させる作動信号と、高周波数領域FHに対応する周波数(F3またはF4)の通報音を発生させる作動信号とを同時にスピーカー21に出力する態様で、作動信号SIGが生成される。
【0028】
図5に示すように、低周波数領域FLの周波数信号FLL,FLHと高周波数領域FHの周波数信号FHL,FHHとの組み合わせパターンとしては、以下の4つのパターン1~4が予め定められて、接近通報ECU22のメモリ25に記憶されている。
【0029】
(パターン1)低周波数領域FLでは周波数信号FLLが選択され、高周波数領域FHでは周波数信号FHLが選択される。
(パターン2)低周波数領域FLでは周波数信号FLLが選択され、高周波数領域FHでは周波数信号FHHが選択される。
【0030】
(パターン3)低周波数領域FLでは周波数信号FLHが選択され、高周波数領域FHでは周波数信号FHLが選択される。
(パターン4)低周波数領域FLでは周波数信号FLHが選択され、高周波数領域FHでは周波数信号FHHが選択される。
【0031】
本実施形態では、
図6に示すように、表示装置14に表示された操作スイッチ24がユーザーによって操作されると、このとき選ばれたパターンを示す情報(以下、パターン選択情報)がメータECU15のメモリ16に記憶される。詳しくは、ユーザーによってスイッチ「1」が操作されると上記「パターン1」が選ばれた旨のパターン選択情報が記憶され、スイッチ「2」が操作されると上記「パターン2」が選ばれた旨のパターン選択情報が記憶される。また、ユーザーによってスイッチ「3」が操作されると上記「パターン3」が選ばれた旨のパターン選択情報が記憶され、スイッチ「4」が操作されると上記「パターン4」が選ばれた旨のパターン選択情報が記憶される。
【0032】
そして本実施形態では、作動信号SIGを生成する際には、メータECU15のメモリ16に記憶されているパターン選択情報をもとに、接近通報ECU22のメモリ25に記憶されている上記パターン(
図5参照)のいずれかが選択されて利用される。このようにして、スピーカー21から出力される通報音の音色(詳しくは、周波数)が、ユーザーによる操作スイッチ24の操作を通じて、切り替えられるようになっている。
【0033】
以下、前記通報制御にかかる処理(通報制御処理)の実行手順を詳しく説明する。
図7は、通報制御処理の実行手順を示している。なお
図7のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として、接近通報ECU22により実行される。
【0034】
図7に示すように、この処理では先ず、前記実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS11)。そして、実行条件が成立しているときには(ステップS11:YES)、作動信号SIGが生成されてスピーカー21に出力される(ステップS12)。
【0035】
ステップS12の処理では、ユーザーによる操作スイッチ24の操作態様としてメータECU15のメモリ16に記憶されているパターン選択情報が取り込まれる。そして、このパターン選択情報をもとに、接近通報ECU22のメモリ25に記憶されている上記パターン(
図5参照)のいずれかが、詳しくは同パターン選択情報に対応するパターンが読み込まれる。また、車速SPDに基づいて、作動信号SIGにおける「オン信号」の電圧最大値であるベース電圧(
図3参照)が定められる。ベース電圧は、具体的には、車速SPDが高いほど高い電圧値になる態様で定められる。そして、上記パターン(詳しくは、同パターンに定められた2つの周波数信号)と上記ベース電圧とによって定まる作動信号SIG(
図3および
図4参照)がスピーカー21に出力される。これにより、ユーザーによって選択されたパターンに応じた音色の通報音であって、車速SPDが高いときほど音圧が大きくなる通報音が、スピーカー21から出力されるようになる。
【0036】
一方、実行条件が成立していないときには(ステップS11:NO)、スピーカー21への作動信号SIGの出力が停止される(ステップS13)。この場合には、スピーカー21から通報音が出力されない状態になる。
【0037】
以下、本実施形態の車両接近通報装置20による作用効果について説明する。
スピーカー21から出力される上記通報音は、車両10の外部に向けて発せられるとはいえ、空気伝播や車体伝播を通じて車室12内にも伝わる。こうして車室12内に伝わる音(車内音)の音色は上記通報音によって一義的に定まるため、同車内音が、ユーザーにとって不快な音になるおそれがある。
【0038】
本実施形態では、スピーカー21から出力される通報音の音色を、ユーザーによる操作スイッチ24の操作を通じて、切り替え可能になっている。そのため、通報音が車室12内に伝わった音(車内音)をユーザーが不快に感じた場合には、操作スイッチ24を操作することにより、上記通報音の音色、ひいては車内音の音色を任意に変更することができる。これにより、車内音の音色を、ユーザーが不快に感じることのない音色に変更することが可能になる。したがって、車両10の外部に向けて出力される通報音に起因する車内音をユーザーが不快に感じることを抑制できる。
【0039】
本実施形態では、通報音の音色を切り替える際にユーザーによって操作される操作スイッチ24が、車室12内のインストルメントパネル13に設けられた表示装置14に表示されるようになっている。そのため、上記通報音に起因する車内音をユーザーが不快に感じた場合に、同ユーザーが車室12内の操作スイッチ24を操作するといったように、上記車内音を容易に変更することができる。
【0040】
本実施形態では、作動信号SIGの生成に際して、高周波数領域FHに定められた2つの周波数信号FHL,FHHの一方と低周波数領域FLに定められた2つの周波数信号FLL,FLHの一方とが選択的に組み合わされて利用される。これにより、その組み合わせパターン(
図5参照)の数だけ、具体的には4段階に上記通報音の音色、ひいては車内音の音色を切り替えることができる。ここで、通報音の周波数を変更する構成を採用する場合には、周波数の異なる通報音について各別に、通報音が所定の要件を満たすか否かを確認する作業(いわゆる適合作業)が必要になる。本実施形態によれば、通報音の周波数が4段階(詳しくは、パターン1~4)に変更されるため、同周波数が無段階に変更される場合と比較して、上記適合作業の手間を格段に小さくすることができる。
【0041】
車両接近通報装置20を接近通報ECU22やメータECU15、表示装置14、車速センサ23、シフト装置26を有する車両10に適用する場合には、通報音の音色を切り替える構成の実現のために車両10の構造の複雑化を招くことを回避することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)車内音の音色を、ユーザーが不快に感じることのない音色に変更することが可能になる。そのため、車両10の外部に向けて出力される通報音に起因する車内音をユーザーが不快に感じることを抑制できる。
【0043】
(2)通報音の音色を切り替える際にユーザーによって操作される操作スイッチ24が、車室12内のインストルメントパネル13に設けられている。そのため、上記通報音に起因する車内音をユーザーが不快に感じた場合に、同ユーザーが車室12内に設けられた操作スイッチ24を操作するといったように、上記車内音を容易に変更することができる。
【0044】
(3)作動信号SIGの生成に際して、高周波数領域FHに定められた2つの周波数信号FHL,FHHの一方と低周波数領域FLに定められた2つの周波数信号FLL,FLHの一方とが選択的に組み合わされて利用される。これにより、上記通報音の音色、ひいては車内音の音色を4段階に切り替えることができる。
【0045】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・操作スイッチ24を配設する位置は、車室12内におけるインストルメントパネル13以外の部分など、任意に変更することができる。例えば車室12内における目立たない位置に操作スイッチを設けたり、車両10における車室12外にあたる部分に操作スイッチを設けたりすることもできる。この場合には、自宅駐車場への駐車時やサービス工場への持ち込み時などといった車両停止時に、ユーザー(いわゆるサービスマンを含む)が操作スイッチを操作することにより、通報音の切り替えを行うことができる。
【0047】
・接近通報ECU22に外部機器(専用端末やパーソナルコンピュータなど)を接続するとともに、同外部機器の操作を通じて、通報音の音色を切り替えるようにしてもよい。具体的には、外部機器の操作を通じて、接近通報ECU22のメモリ25に記憶されているパターン(
図5参照)、詳しくは作動信号SIGの生成に利用されるパターンを書き換えて切り替えるようにしてもよい。同構成においては、外部機器が操作部に相当する。
【0048】
・作動信号SIGの生成に際して、予め定められている3つの周波数信号のうちの2つを選択的に組み合わせて利用したり、予め定められている4つの周波数信号のうちの3つ以上の周波数信号を選択的に組み合わせて利用したりしてもよい。その他、予め定められている5つ以上の周波数信号のうちの複数を選択的に組み合わせて作動信号SIGの生成に利用したり、予め定められている複数の周波数信号のうちのいずれか一つを作動信号SIGの生成に利用したりすることも可能である。
【0049】
・作動信号SIGの生成に利用する周波数信号の周波数を、段階的に切り替え可能な構成を採用することに代えて、無段階に変更可能な構成を採用してもよい。
・本実施形態にかかる車両接近通報装置は、電気自動車に適用することに限らず、駆動源としてエンジンおよび電動モータを有するハイブリッド自動車にも適用することができる。ハイブリッド自動車では、電動モータのみを駆動源とする走行時において、車両の接近を周囲に通報するための通報音を出力する通報制御が実行される。こうしたハイブリッド自動車において、ユーザーによる操作スイッチの操作を通じて、上記通報音の音色を切り替え可能に構成すればよい。
【符号の説明】
【0050】
10…車両
11…電動モータ
12…車室
13…インストルメントパネル
14…表示装置
15…メータECU
16…メモリ
20…車両接近通報装置
21…スピーカー
22…接近通報ECU
23…車速センサ
24…操作スイッチ
25…メモリ
26…シフト装置