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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】口腔用器具のカバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61B5/00 N
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021019145
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022007973
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2020030690
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020165324
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】志牟田 亨
(72)【発明者】
【氏名】田中 堅志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 純
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/028359(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に差し込んで使用する口腔用器具の少なくとも一部を覆うためのカバーであって、
樹脂よりなる第1シート材と、
前記第1シート材と対向して配置された、樹脂よりなる第2シート材と、を備えており、
前記第1シート材の面に沿う方向を第1方向、前記第1シート材の面に沿う方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向としたとき、
前記第1シート材及び前記第2シート材は、前記第1方向の第1端側が開口可能な袋状に互いに接合されており、
前記第2シート材は、前記第1シート材の開口している側の外縁から前記第1方向における当該第1シート材の外側へ突出している突出部を有し、
前記第2シート材には、前記第1シート材に重なっており、前記突出部に対して前記第1方向の第2端側に隣接して、前記第2方向の両縁を含めた全体が前記第1シート材に接合されていない捲り部が設けられている
カバー。
【請求項2】
前記第2シート材の曲げ剛性の方が、前記第1シート材の曲げ剛性より大きい
請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記第2シート材には、前記第2方向において前記突出部の両側に、前記第1シート材の前記外縁上より前記第1方向の第2端側に延びるスリットが備えられている
請求項1又は請求項に記載のカバー。
【請求項4】
口腔内に差し込んで使用する口腔用器具の少なくとも一部を覆うためのカバーであって、
樹脂よりなる第1シート材と、
前記第1シート材と対向して配置された、樹脂よりなる第2シート材と、を備えており、
前記第1シート材の面に沿う方向を第1方向、前記第1シート材の面に沿う方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向としたとき、
前記第1シート材及び前記第2シート材は、前記第1方向の第1端側が開口可能な袋状に互いに接合されており、
前記第2シート材は、前記第1シート材の開口している側の外縁から前記第1方向における当該第1シート材の外側へ突出している突出部を有し、
前記第1シート材における前記第2シート材とは反対側には、保護シートが取り外し可能に接合されており、
前記保護シートは、前記第1シート材と対向する対向面を有しており、
前記対向面は、接着力を有する接着部と、前記接着部よりも接着力の小さい弱接着部とを備えており、
前記弱接着部は、前記対向面における前記第2方向の一方側の縁及び他方側の縁の両方に配置されている
バー。
【請求項5】
前記弱接着部は、前記第1方向に延びているとともに、前記第2方向に等間隔で複数配置されている
請求項に記載のカバー。
【請求項6】
前記接着部の一部は、前記対向面において前記第2方向の全域に広がっている
請求項又は請求項に記載のカバー。
【請求項7】
前記第1シート材における前記第2シート材とは反対側には、保護シートが取り外し可能に接合されており、
前記保護シートは、前記第1シート材と対向する対向面を有しており、
前記対向面は、接着力を有する接着部と、前記接着部よりも接着力の小さい弱接着部とを備えており、
前記接着部は、前記対向面のうちの前記第1方向の第1端側の縁に位置している
請求項1~請求項のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項8】
前記弱接着部は、前記対向面の前記第2方向の一方側の縁から他方側の縁まで前記第2方向に沿って直線状に延びている
請求項に記載のカバー。
【請求項9】
前記弱接着部は、複数設けられており、
前記複数の弱接着部は、前記対向面において、前記第1方向に互いに離れている
請求項又は請求項に記載のカバー。
【請求項10】
前記保護シートを第1保護シートとしたとき、
前記第2シート材における前記第1シート材とは反対側には、第2保護シートが取り外し可能に接合されている
請求項~請求項のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項11】
前記第2保護シートの前記第1方向の寸法は、前記第1保護シートの前記第1方向の寸法よりも大きく、且つ、前記第2保護シートの前記第2方向の寸法は、前記第1保護シートの前記第2方向の寸法よりも大きい
請求項10に記載のカバー。
【請求項12】
前記第2保護シートの曲げ剛性は、前記第1保護シートの曲げ剛性以上である
請求項11に記載のカバー。
【請求項13】
前記対向面を第1対向面とし、前記接着部を第1接着部としたとき、
前記第2保護シートは、前記第2シート材と対向する第2対向面を有しており、
前記第2対向面は、接着力を有する第2接着部を備えており、
前記第2接着部における接着力は、前記第1接着部よりも大きな接着力である
請求項10~請求項12のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項14】
前記第2接着部は、少なくとも前記第2対向面の外縁に設けられている
請求項13に記載のカバー。
【請求項15】
前記第2シート材は、前記第2シート材の縁と連続しない切れ込みを備え、
前記切れ込みは、前記突出部に位置している
請求項1~請求項14のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項16】
前記第2シート材における前記第1シート材と反対側には、シート状の支持部材が接合されている
請求項に記載のカバー。
【請求項17】
前記支持部材は、前記第1方向において前記捲り部の前記第2端側の縁を跨いで配置されている
請求項16に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔内に差し込んで使用する口腔用器具のカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のような口腔内に差し込んで使用する口腔用器具は、全体として棒状になっている。この種の口腔用器具を使用する際には、口腔用器具における差し込まれる部分が口腔に直接触れないように、カバーで覆われる。
【0003】
特許文献1に記載のカバーは、対向配置された一対の長方形状のシートのうち、3辺が接着されて、開口を有する袋状になっている。カバーの開口に口腔用器具を差し込むことで、口腔用器具にカバーを取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2004/028359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカバーに口腔用器具を差し込む際、カバーがうまく開口せず、口腔用器具が挿入し難い場合がある。口腔用器具に対してカバーの装着が簡便でない場合、例えば、装着時にカバーに皺が発生することがある。皺が口腔用器具のセンサ部に発生すると、正確な測定ができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一態様は、口腔内に差し込んで使用する口腔用器具の少なくとも一部を覆うためのカバーであって、樹脂よりなる第1シート材と、前記第1シート材と対向して配置された、樹脂よりなる第2シート材と、を備えており、前記第1シート材の面に沿う方向を第1方向、前記第1シート材の面に沿う方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向としたとき、前記第1シート材及び前記第2シート材は、前記第1方向の第1端側が開口可能な袋状に互いに接合されており、前記第2シート材は、前記第1シート材の開口している側の外縁から前記第1方向における当該第1シート材の外側へ突出している突出部を有するカバーである。
【0007】
上記構成によれば、2枚のシートによって袋状を成すカバーの開口部において、第2シート材は突出部を有しており、第1シート材の長さより長くなっている。したがって、第2シート材の突出部を持ち上げることによってカバーを開口させやすいので、口腔用器具を当該カバーに差し込みやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、皺の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】口腔用器具に第1実施形態のカバーを取り付けた状態の斜視図。
図2】測定部及び第1実施形態のカバーの一部拡大図。
図3】第1実施形態のカバーの分解斜視図。
図4】第1実施形態のカバーの分解平面図。
図5】第2実施形態のカバーの分解斜視図。
図6】第2実施形態のカバーの分解平面図。
図7】第3実施形態のカバーの分解斜視図。
図8】第3実施形態のカバーの分解平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、口腔内に差し込んで使用する口腔用器具のカバーの第1実施形態について、説明する。まず、本実施形態のカバーが適応される口腔用器具について説明する。
図1に示すように、口腔用器具10は、口腔内の水分量を測定する水分量測定器具である。口腔用器具10は、全体として棒状となっている。口腔用器具10において、長手方向の一方側の略半分は、使用者によって掴まれる掴み部11になっている。掴み部11は、略直方体状となっている。掴み部11の長手方向に沿う4つの面のうちの1つである上側面からは、突起部12が突出している。突起部12は、掴み部11の幅方向に延びる三角柱状になっており、三角柱の3つの四角形状の側面のうちの1つの側面が掴み部11の上側面と接するようになっている。なお、以下の説明では、突起部12の突出方向を上下方向とし、突起部12の突出方向の先端側を上側、その反対側を下側として説明する。
【0011】
掴み部11の長手方向他方側の端面からは、全体として長手方向に沿って延伸部13が延びている。延伸部13は、扁平な角柱状となっている。また、延伸部13は、掴み部11よりも細くなっている。延伸部13は、当該延伸部13の先端側に向って下側へゆるやかに湾曲している。
【0012】
図2に示すように、延伸部13の先端部の下面には、センサ15が取り付けられている。センサ15は、本実施形態では静電容量式センサである。センサ15には、一対の電極16が備わっている。一対の電極16は、櫛歯状に配置されている。一対の電極16は、コンデンサの電極として機能する。つまり、センサ15と対向する測定対象及びその表面の液体は、一対の電極16に対する誘電体として機能する。そして、一対の電極16の容量値は、測定対象及びその表面の水分量に応じた値となる。
【0013】
口腔用器具10には、図示は省略するが、発振回路及び制御回路等の構成部材が搭載された回路基板が内蔵されている。発振回路は、センサ15の容量値に応じた周波数の信号を出力する。制御回路は、発振回路の出力信号のパルス数により、測定対象の水分量を検出する。そして、制御装置は、検出した水分量を図示しないディスプレイに表示する。
【0014】
次に、上記口腔用器具10に適用されるカバー20の構成について説明する。なお、このカバー20は、口腔用器具10の延伸部13を覆うためのカバーである。
図3に示すように、カバー20は略長方形状の第1シート材40を備えている。なお、以下の説明では、第1シート材40の長辺が延びる方向を第1方向としての長手方向、第1シート材40の短辺が延びる方向を第2方向としての幅方向とする。
【0015】
第1シート材40における長手方向第1端側の外縁41は直線状に延びている。また、第1シート材40における長手方向第1端側の両角部は、直角になっている。一方、第1シート材40の長手方向第2端側の両角部は、丸みを帯びている。第1シート材40の材質は、合成樹脂であり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等である。第1シート材40の厚みは、およそ10マイクロメートルから20マイクロメートルである。
【0016】
第1シート材40の厚み方向一方側には、第1シート材40と対向するように、第2シート材50が配置されている。
図4に示すように、第2シート材50は、第1シート材40と重なり合う本体部55を有している。本体部55は、略長方形状になっている。本体部55の長手方向の長さは第1シート材40における長手方向の長さと一致している。本体部55の幅方向の長さは、第1シート材40における幅方向の長さと一致している。また、本体部55の長手方向の第2端側の両角部は、第1シート材40と同様の丸みを帯びている。すなわち、本体部55は、第1シート材40と略同一の形状をしている。
【0017】
第2シート材50の本体部55は、当該本体部55の外縁が第1シート材40の外縁と一致するように重ね合わされている。そして、第2シート材50の本体部55及び第1シート材40は、長手方向第2端側及び幅方向の両端側の縁が互いに接合されている。すなわち、第2シート材50及び第1シート材40は、両シートの長手方向第1端側が開口可能なように互いに接合されて、袋状を成している。
【0018】
本体部55において、長手方向第1端側の第1シート材40の外縁41上から、長手方向の第2端側に向かって2つのスリット58が延びている。2つのスリット58は、本体部55の幅方向の中央を挟んで配置されている。また、2つのスリット58は、平行に且つ同じ長さで延びている。
【0019】
本体部55において2つの当該スリット58に挟まれた領域は、捲り部59になっている。捲り部59は、当該捲り部59の幅方向の両縁51を含めた全体が、第1シート材40に接合されていない。
【0020】
本体部55における長手方向第1端側の外縁からは、長手方向の第1端側に向けて突出部56が突出している。すなわち、突出部56は、第1シート材40からはみ出すように外側に突出している。
【0021】
突出部56の長手方向第2端側は、捲り部59の長手方向第1端側の縁に連続するように繋がっている。したがって、突出部56と捲り部59とは互いに隣接している。突出部56の長手方向第2端側の幅方向の長さは、捲り部59の長手方向第1端側の幅方向の長さと一致している。つまり、突出部56の幅方向両側には2つのスリット58が設けられていて、突出部56の長手方向第2端側の幅方向の長さは2つのスリット58で区切られた長さになっている。また、突出部56は、長手方向第2端側から第1端側に向かって、全体として幅方向の長さが徐々に長くなっている。突出部56における長手方向第1端側の幅広になった箇所においては、長方形状の貫通孔57が貫通している。
【0022】
第2シート材50の材質は、合成樹脂であり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等である。本実施形態において、第1シート材40及び第2シート材50は同一のPETが用いられている。第2シート材50の厚みは、40マイクロメートルから60マイクロメートルである。また、第2シート材50は、本体部55及び突出部56の全体において第1シート材40よりも曲げ剛性が大きい。上記のシートの曲げ剛性は、JIS K 7171:2016に準拠した測定方法により測定したものである。この点、以下の曲げ剛性の説明についても同様である。
【0023】
第2シート材50における第1シート材40と反対側には、シート状の支持部材60が接合されている。支持部材60は、長手方向の第1端側と第2端側に一対の底辺を有する略台形状であり、全体として幅方向よりも長手方向に長く延びている。また、支持部材60は、第1端側の底辺の方が第2端側の底辺よりも長さが短くなっている。また、支持部材60の長手方向における第1端側の底辺の長さは、捲り部59の境界縁61の長さよりも短くなっている。
【0024】
図3に示すように、支持部材60は、長手方向において第2シート材50の捲り部59の第2端側の境界縁61を跨いで配置されている。なお、捲り部59の境界縁61は、2つのスリット58の先端を結んだ線である。
【0025】
上記の支持部材60の材料は、合成樹脂であり、例えばPET等である。支持部材60の厚さは、およそ70マイクロメートル~80マイクロメートルである。支持部材60の曲げ剛性は、第2シート材50の曲げ剛性よりも大きくなっている。
【0026】
図4に示すように、第1シート材40において第2シート材50とは反対側には、保護シート70が接合されている。保護シート70の長手方向の長さは、第2シート材50の長手方向の長さよりもわずかに長くなっている。保護シート70の幅方向の長さは、第1シート材40及び第2シート材50の本体部55の幅方向の長さと略同一である。保護シート70において、第1シート材40と対向する対向面71は、第1シート材40と同じ外形をしている。すなわち、保護シート70の長手方向の第1端側の両角部は、第1シート材40と同様の丸みを帯びている。
【0027】
保護シート70は、第1シート材40に接合された状態において当該第1シート材40と対向する対向面71と、第1シート材40と対向しない非対向面72とを有している。また、保護シート70の対向面71は、他のシート材に対する接着力を有する接着部74と、他のシート材に対する接着力を有していない非接着部73Aとで構成されている。一方、保護シート70の非対向面72は、他のシート材に対する接着力を有していない非接着部73Bのみで構成されている。なお、接着部74の他のシート材に対する接着力は、シート材に破れ等を生じさせることなく手指で保護シート70を剥がすことができるような接着力である。したがって、保護シート70は、取り外し可能に第1シート材40に接合されている。
【0028】
保護シート70の対向面71においては、略長方形状の非接着部73Aが長手方向に4つ延びている。4つの当該非接着部73Aの長手方向第2端側の縁は、対向面71の長手方向第2端側の外縁までは至っていない。その結果として、対向面71の長手方向第2端側の端部には、幅方向の全域に接着部74が広がっている。
【0029】
4つの非接着部73Aのうち幅方向両側の2つは、対向面71の幅方向の縁にそれぞれ配置されている。なお、当該2つの非接着部73Aは、対向面71の幅方向の両端ではなくその付近に配置されることもある。また、4つの非接着部73Aは、対向面71の幅方向に対して等間隔で配置されている。なお、非接着部73Aの対向面71の幅方向に配置されるピッチPは、対向面71の第1端側の幅方向の長さXの整数比にならないよう、予め決定されている。略長方形状の非接着部73Aの幅方向の最大長さWは、対向面71の第1端側の幅方向の長さXの10%以上になっている。本実施形態では、非接着部73Aの幅方向の最大長さWは、対向面71の第1端側の幅方向の長さXに対しておよそ15%である。
【0030】
保護シート70材質は、合成樹脂であり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等である。本実施形態において、保護シート70は、第1シート材40等と同一のPETが用いられている。保護シート70の厚みは、70マイクロメートルから80マイクロメートルである。また、保護シート70は、全体において第2シート材50よりも曲げ剛性が大きい。
【0031】
次に、第1実施形態の作用について説明する。
口腔用器具10にカバー20を装着する際、まず、カバー20を保護シート70が下側に位置するように配置する。その状態で、第2シート材50における突出部56を掴んで、突出部56を上側に持ち上げる。突出部56の動きと連動して、第2シート材50の捲り部59も上側へと持ち上がる。捲り部59が上側へ持ち上げられることで、捲り部59の下側に重なっていた第1シート材40の一部が表面に現れる。
【0032】
また、捲り部59が上側へ持ち上がることで、第2シート材50も全体的に上側へ持ち上げられる。このとき、第1シート材40は、第2シート材50と重なった状態で上側へ持ち上がろうとすることもある。しかしながら、第1シート材40は、第1シート材40の下側に配置されている保護シート70の接着力により下側へと引き付けられている。その結果、第2シート材50が上側へ持ち上げられても、第1シート材40は上側へ引き付けられず、第1シート材40と第2シート材50とが開口し、空間が生じる。
【0033】
また、第1シート材40の幅方向の両端部は第2シート材50と接合されており、且つ、保護シート70の幅方向の両端部には非接着部73Aが配置されている。そのため、第1シート材40の幅方向の両端部は、第2シート材50が持ち上げられると一緒になって上側へ持ち上げられ、その結果、第1シート材40と第2シート材50とが開口することになる。
【0034】
次に、口腔用器具10のセンサ15を下側に向け、第1シート材40と第2シート材50との間にできた空間より内部に差し込む。このとき、捲り部59を持ち上げることで露出した第1シート材40の上にセンサ15を載せて口腔用器具10を挿入する。このように挿入することで、口腔用器具10の挿入箇所を間違えることなく、確実に第1シート材40と第2シート材50との間に口腔用器具10を挿入できる。
【0035】
そして、口腔用器具10の先端が、第1シート材40及び第2シート材50の長手方向第2端に位置するまで、当該口腔用器具10を差し込む。このように、口腔用器具10を差し込んでいく際には、第1シート材40及び第2シート材50の間の空間の形状が、口腔用器具10の形状に応じた柱形状になる。
【0036】
口腔用器具10をカバー20の内部に差し込んだら、図1に示すように第2シート材50の貫通孔57内に、口腔用器具10の突起部12を引っかける。これにより、口腔用器具10に対し、カバー20の口腔用器具10の先端側への移動が規制される。その後、保護シート70を抑えつつ、口腔用器具10を第1シート材40、第2シート材50及び支持部材60と共に上側へと持ち上げることで、保護シート70が第1シート材40から剥離される。その結果、口腔用器具10のセンサ15に対向する面には、第1シート材40のみが配置された状態となり、センサ15による口腔内の測定が可能になる。
【0037】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)本実施形態において、第2シート材50は、第1シート材40の外縁41から長手方向における当該第1シート材40の外側へ突出している突出部56を有している。突出部56を掴んで上側へ持ち上げることで、第1シート材40から第2シート材50を離しやすく、当該2つのシート材によるカバー20は開口しやすくなる。その結果、当該空間に口腔用器具10の挿入が簡便になり、口腔用器具10にカバー20を装着しやすくなる。
【0038】
(1-2)本実施形態の口腔用器具10のセンサ15の測定感度を低下させないためにも、口腔用器具10のセンサ15を覆う第1シート材40の厚さは薄い方が好ましい。本実施形態によれば、第1シート材40の厚さはおよそ10マイクロメートル~20マイクロメートルであり、カバー20を構成する他のシート材よりも十分薄くなっている。そのため、口腔用器具10のセンサ15の感度が保たれやすい。
【0039】
(1-3)本実施形態において、第2シート材50の曲げ剛性が比較的に大きい。このように、第2シート材50として相応の剛性のシートを採用することで、手指などで第2シート材50を掴みやすい。また、第2シート材50の曲げ剛性が比較的に大きいことから、突出部56を持ち上げた際に、第2シート材50が座屈しにくく、第1シート材40との開口時に長手方向に空間ができやすくなっている。したがって、長手方向の空間に口腔用器具10が差し込みやすくなる。
【0040】
(1-4)本実施形態において、第2シート材50の本体部55には捲り部59が設けられている。口腔用器具10を差し込む際に、捲り部59が上側へ持ち上げられることで、第1シート材40において、第2シート材50と重なっていない箇所が表面に現れる。そして、当該箇所に口腔用器具10を滑り込ませることでカバー20に口腔用器具10を装着させやすい。
【0041】
(1-5)本実施形態において、第2シート材50における第1シート材40と反対側には、シート状の支持部材60が接合されている。また、支持部材60は第2シート材50よりも曲げ剛性が大きくなっている。したがって、第2シート材50の突出部56を上側へ持ち上げたとき、支持部材60が接合されている箇所の第2シート材50は、座屈せずに上側へ持ち上がりやすい。このように、第2シート材50のうちの支持部材60が接合されている領域全体が上側に持ち上がれば、第1シート材40と第2シート材50との開口部の空洞が長手方向へ広がり、口腔用器具10を差し込みやすい。
【0042】
(1-6)第2シート材50の当該境界縁61で、突出部56を上側へ持ち上げようとした際に、捲り部59における第2端側の境界縁61で第2シート材50が座屈してしまう場合がある。当該境界縁61で第2シート材50が座屈すると、第2シート材50の突出部56のみが持ち上がって、本体部55が第1シート材40から剥離しないおそれがある。本実施形態において、支持部材60は、長手方向において境界縁61を跨いで配置されている。したがって、第2シート材50が境界縁61で座屈することを抑制できる。
【0043】
(1-7)本実施形態において、突出部56における第2シート材50の長手方向第2端側の幅方向の長さはスリット58により、第2シート材50における第1シート材40の外縁41上の長さよりも短くなっている。突出部56の第2シート材50の長手方向第2端側の幅方向の長さが短くなっていると、突出部56の長手方向第2端側の近傍を集中的に持ち上げやすい。そして、本実施形態において、突出部56は第2シート材50の幅方向の中央部に設けられている。第2シート材50の幅方向中央部を集中して開口させることによって、第1シート材40と第2シート材50の開口部の空洞が第1方向へ広がりやすい。
【0044】
(1-8)本実施形態において、第1シート材40に保護シート70が取り外し可能に接合されている。保護シート70は、測定時には第1シート材40から剥がされる。すなわち、測定前まで保護シート70で第1シート材40を保護することができ、当該第1シート材40にごみ等が付着しにくく衛生的である。
【0045】
(1-9)本実施形態において、保護シート70は、対向面71において非接着部73Aと接着部74とを有している。接着部74と非接着部73Aを混在させることで、全体として保護シート70の接着力を調整できる。すなわち、非接着部73Aの面積を予め調整しておくことで、第1シート材40から保護シート70をより剥がしやすくなる。
【0046】
(1-10)本実施形態において、保護シート70における非接着部73Aが当該保護シート70の幅方向の両端部に配置されている。非接着部73Aが保護シート70の幅方向の端部に配置されていると、突出部56を持ち上げたときに、第2シート材50及び第1シート材40の幅方向両端部が非接着部73Aのある端部より持ち上がって、当該2つのシート材の開口形状が上下方向に立体的な形状になりやすい。開口部の形状が立体的なほど、第1シート材40と第2シート材50の間に口腔用器具10を差し込みやすい。
【0047】
(1-11)本実施形態において、対向面71の非接着部73Aは、長手方向に延びる略長方形状である。このように非接着部73Aが長手方向に延びる形状である場合、対向面71の幅方向の両縁に沿って非接着部73Aが配置されやすい。したがって、第2シート材50を上側へ持ち上げたときに、第1シート材40及び第2シート材50の幅方向の両端の接合部は保護シート70と接着されておらず、持ち上がりやすい。その結果、袋状のカバー20の両端が持ち上がることで、開口部の形状が立体的になりやすい。
【0048】
(1-12)本実施形態において、非接着部73Aの幅方向の最大長さWは、対向面71の幅方向の最大長さに対しておよそ15%の長さである。保護シート70は、接着部74相当の接着力を有するロール状に巻かれたシートに、非接着部73Aとしてのフィルムを等間隔で配置したロール状に巻かれたシートを回転させながら貼り付ける、いわゆるロール・ツー・ロール方式で作成されることがある。しかしながら、当該方式での製造は高い設備据付が要求されており、わずかな据え付けのずれによって製品に寸法エラーが生じる場合がある。一方で、保護シート70において、非接着部73Aの幅方向の最大長さWが、対向面71の第1端側の幅方向の長さXの15%であると、幅方向に多少の寸法エラーが発生しても、非接着部73Aが対向面71の幅方向の両端部に配置される可能性が高くなる。
【0049】
(1-13)保護シート70における対向面71の幅方向の両端に非接着部73Aがある場合、口腔用器具10を挿入する際に、当該非接着部73Aを起点として、保護シート70全体が第1シート材40から剥離してしまうおそれがある。本実施形態において、保護シート70は、接着部74の一部が対向面71の幅方向の全域に広がっている箇所を有している。当該接着部74は、対向面71の幅方向の全域に広がっているため、幅方向からの意図しない剥離を抑制できる。
【0050】
次に第2実施形態について説明する。
なお、以下の第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略及び簡略化する。そして、第1実施形態における保護シート70を第1保護シート70と呼称する。また、第1実施形態における対向面71を第1対向面71、第1実施形態における接着部74を第1接着部74と呼称する。
【0051】
図5及び図6に示すように、第2実施形態のカバー200は、第1シート材40、第2シート材50、及び第1保護シート70を備えている。第2シート材50における第1シート材40とは反対側には、シート状の第2保護シート80が取り外し可能に接合されている。第2保護シート80は、長手方向に長い略長方形状である。第2保護シート80の長手方向の寸法は、第1保護シート70の長手方向の寸法よりもわずかに大きくなっている。第2保護シート80の幅方向の寸法は、第1保護シート70の幅方向の寸法よりもわずかに大きくなっている。すなわち、第2保護シート80の方が第1保護シート70よりも全体的に寸法が大きくなっている。
【0052】
第2保護シート80は、第2シート材50と対向する第2対向面81を有している。第2保護シート80における第2対向面81は、他のシート材に対する接着力を有する第2接着部83を備えている。本実施形態では、第2保護シート80における第2シート材50側の面全体が、第2接着部83になっている。すなわち、第2接着部83は、第2対向面81の外縁を含めた第2対向面81の全面に設けられている。一方で、第2保護シート80における第2対向面81と反対側の面は、他のシート材に対する接着力を有していない。
【0053】
第2保護シート80の第2接着部83における接着力は、第1保護シート70の第1接着部74の接着力より大きくなっている。なお、第2保護シート80の第2接着部83の接着力は、シート材に破れ等を生じさせることなく手指で第2保護シート80を剥がすことができるような接着力である。そのため、第2保護シート80は、取り外し可能に第2シート材50に接合されている。
【0054】
第2保護シート80の材質は、合成樹脂であり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等である。本実施形態において、第2保護シート80は、第1保護シート70と同一のPETが用いられている。また、第2保護シート80は、透明になっている。すなわち、この実施形態では、第2保護シート80を介して第2シート材50の外縁が透けて見えるようになっている。第2保護シート80の厚みは、80マイクロメートルから90マイクロメートルとすることができる。すなわち、第2保護シート80の厚みは、第1保護シート70の厚み以上になっている。したがって、第2保護シート80の曲げ剛性は、第1保護シート70の曲げ剛性以上になっている。なお、第2実施形態のカバー200において、第1実施形態の支持部材60は設けられていない。
【0055】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
口腔用器具10にカバー200を装着する際、まず、カバー200を第1保護シート70が下側に位置するように配置する。そして、第2保護シート80における長手方向の第1端側を、第1保護シート70に対して上側に持ち上げる。その際、第2保護シート80の第2接着部83の接着力により、第2シート材50の突出部56も第2保護シート80と共に上側へ持ち上がる。
【0056】
その後、持ち上げた第2保護シート80の長手方向の第1端側の先端が、長手方向の第2端側に位置するように移動させると、第2シート材50の捲り部59が捲れる。その結果、第1シート材40と第2シート材50との間に空間が生じる。
【0057】
次に、口腔用器具10のセンサ15を下側に向け、第1シート材40と第2シート材50との間にできた空間に口腔用器具10を差し込む。そして、口腔用器具10の先端が、第1シート材40及び第2シート材50の長手方向第2端に位置するまで、当該口腔用器具10を差し込む。このように口腔用器具10を差し込むことで、第1シート材40及び第2シート材50の間の空間の形状が、口腔用器具10の形状に応じた柱形状になる。ここで、第1シート材40と第2シート材50との空間が柱形状に広がるため、第2保護シート80の幅方向の両端は第2シート材50から剥離する。
【0058】
その後、口腔内に挿入して口腔用器具10を使用する際には、第1保護シート70を第1シート材40から剥離し、第2保護シート80を第2シート材50から剥離する。その結果、口腔用器具10のセンサ15に対向する面には、第1シート材40のみが配置された状態となり、センサ15による口腔内の測定が可能になる。なお、第2保護シート80が第2シート材50に接着した状態でも、口腔内の測定が可能であるが、被測定者の口腔内で第2保護シート80が接触することによる不快感を低減するため、第2保護シート80を外してから測定を行うことが好ましい。
【0059】
次に、第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態のカバー200は、第1実施形態の(1-1)から(1-4)、及び(1-7)から(1-13)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0060】
(2-1)本実施形態において、第2シート材50に第2保護シート80が取り外し可能に接合されている。第2保護シート80は、測定時には第2シート材50から剥がされる。すなわち、測定前まで第2保護シート80で第2シート材50を保護することができ、当該第2シート材50にごみ等が付着しにくく衛生的である。
【0061】
(2-2)本実施形態において、第2保護シート80の方が第1保護シート70よりも全体的に寸法が大きくなっている。そのため、例えば、カバー200を保管する際に、第2保護シート80が表側となるように保管することで、第2保護シート80でカバー200の他のシートを覆うことができる。したがって、カバー200の保管時において、第2保護シート80によって、他のシートにごみ等が付着することを抑制できる。
【0062】
(2-3)本実施形態において、第2保護シート80は、第1保護シート70以上の曲げ剛性を有している。すなわち、第2保護シート80は、第2シート材50よりも大きな曲げ剛性を有している。このように相応の剛性を有する第1保護シート70及び第2保護シート80で第1シート材40と第2シート材50とを挟み込みことで、これらシート材が屈曲しにくく、且つしわができにくい。
【0063】
(2-4)本実施形態において、第2保護シート80の第2接着部83における接着力は、第1保護シート70の第1接着部74よりも大きな接着力である。したがって、第1保護シート70及び第2保護シート80を互いに引き剥がした場合、第1保護シート70が第1シート材40から剥がれる可能性が高い。したがって、口腔内の測定を行うにあたって必須である、第1シート材40を剥離することを、忘れてしまうことを防げる。
【0064】
(2-5)本実施形態において、第2保護シート80の第2対向面81の全面は第2接着部83であり、第2対向面81は外縁まで接着力を有している。また、第2保護シート80は、カバー200における他のシートよりも寸法が大きい。そのため、口腔用器具10にカバー200を取り付ける際に、測定者の手が第2保護シート80の外縁に触れやすくなっている。測定者は、第2保護シート80の第2接着部83に触れることで、当該第2接着部83の接着力により、第2保護シート80の剥がし忘れに気づきやすくなる。
【0065】
次に第3実施形態について説明する。
なお、以下の第3実施形態の説明において、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略及び簡略化する。そして、第1実施形態における保護シート70を第1保護シート70と呼称する。また、第1実施形態における対向面71を第1対向面71、第1実施形態における接着部74に対する接着部を第1接着部74と呼称する。
【0066】
図7及び図8に示すように、第3実施形態のカバー300は、第1シート材40、第2シート材50、及び第1保護シート70を備えている。
第2シート材50の本体部55における長手方向第1端側の外縁からは、長手方向第1端側に向けて突出部56が突出している。すなわち、突出部56は、第1シート材40からはみ出すように外側に突出している。突出部56は、長手方向第2端側から第1端側に向かって、全体として幅方向の長さが徐々に長くなっている。
【0067】
第2シート材50は、第2シート材50を貫通する切れ込み54を有している。切れ込み54は、突出部56に位置している。具体的には、切れ込み54は、突出部56における長手方向第1端側の幅広になった箇所に位置している。なお、切れ込み54は、第2シート材50の縁と連続していない。切れ込み54は、向かい合って長手方向に延びる2辺と、当該2辺の長手方向第1端を繋いで幅方向に延びる1辺とで構成されている。すなわち、切れ込み54で区画された領域は、長方形状になっている。
【0068】
第2シート材50における第1シート材40とは反対側には、シート状の第2保護シート80が取り外し可能に接合されている。第2保護シート80は、長手方向に長い略長方形状である。第3実施形態における第2保護シート80は、第2実施形態の第2保護シート80と同様である。また、第3実施形態のカバー300において、第1実施形態の支持部材60は設けられていない。
【0069】
図7に示すように、第1シート材40において第2シート材50とは反対側には、第1保護シート70が接合されている。第1保護シート70の長手方向の長さは、第2シート材50の長手方向の長さよりもわずかに長くなっている。第1保護シート70の幅方向の長さは、第1シート材40及び第2シート材50の本体部55の幅方向の長さと略同一である。第1保護シート70において、第1シート材40と対向する第1対向面71は、第1シート材40と同じ外形をしている。すなわち、第1保護シート70の長手方向第一端側の両角部は、第1シート材40と同様の丸みを帯びている。
【0070】
第1保護シート70は、第1シート材40に接合された状態において当該第1シート材40と対向する第1対向面71と、第1シート材40と対向しない非対向面72とを有している。第1保護シート70の第1対向面71は、他のシート材に対する接着力を有する第1接着部74と、他のシート材に対する接着力を有していない非接着部73とで構成されている。第1保護シート70の非対向面72の大部分は、他のシート材に対する接着力を有していない非接着部73である。なお、第1接着部74の他のシート材に対する接着力は、シート材に破れ等を生じさせることなく手指で第1保護シート70を剥がすことができるような接着力である。したがって、第1保護シート70は、取り外し可能に第1シート材40に接合されている。
【0071】
第1保護シート70の第1対向面71は、4つの非接着部73を有している。当該非接着部73は、第1対向面71の幅方向の一方側の縁から他方側の縁まで幅方向に沿って直線状に延びている。また、4つの非接着部73は、第1対向面71において、長手方向に互いに離れている。なお、4つの非接着部73は、第1対向面71において略等間隔で離れている。
【0072】
第1対向面71において、互いに離れて配置された非接着部73の間は、第1接着部74になっている。また、第1対向面71において、長手方向第1端側の端部及び長手方向第2端側の端部は、第1接着部74になっている。すなわち、第1対向面71は、5つの第1接着部74を有している。5つの第1接着部74のうち、最も長手方向第1端側に位置する第1接着部74の一部は、非対向面72の長手方向第2端側の一部まで広がっている。したがって、最も長手方向第1端側に位置する第1接着部74は、第1対向面71における長手方向第1端側の縁を含む箇所に位置している。各5つの第1接着部74は、いずれも、第1対向面71の幅方向の一方側の縁から他方側の縁まで、幅方向に沿って直線状に延びている。
【0073】
次に、第3実施形態の作用について説明する。
口腔用器具10にカバー300を装着する際、まず、カバー300を第1保護シート70が下側に位置するように配置する。その状態で、第2シート材50における突出部56を掴んで、突出部56を上側に持ち上げる。突出部56の動きと連動して、第2シート材50の捲り部59も上側へと持ち上がる。捲り部59が上側へ持ち上げられることで、捲り部59の下側に重なっていた第1シート材40の一部が表面に現れる。
【0074】
また、捲り部59が上側へ持ち上がることで、第2シート材50も全体的に上側へ持ち上げられる。このとき、第1シート材40は、第2シート材50と重なった状態で上側へ持ち上がろうとすることもある。しかしながら、第1シート材40は、第1シート材40の下側に配置されている第1保護シート70の接着力により下側へと引き付けられている。本実施形態では、最も長手方向第1端側に位置する第1接着部74は、第1シート材40の長手方向第1端側の外縁41に接合されている。その結果、第2シート材50が上側へ持ち上げられても、第1シート材40は上側へ引き付けられず、第1シート材40と第2シート材50とが開口し、空間が生じる。
【0075】
次に、口腔用器具10のセンサ15を下側に向け、第1シート材40と第2シート材50との間にできた空間より内部に差し込む。そして、口腔用器具10の先端が、第1シート材40及び第2シート材50の長手方向第2端に位置するまで、当該口腔用器具10を差し込む。
【0076】
口腔用器具10をカバー300の内部に差し込んだら、第2シート材50の切れ込み54に、口腔用器具10の突起部12を押し当てる。このとき、第2シート材50のうちの切れ込み54の3辺で区画された領域は、突起部12に下側から押圧され、上側に持ち上がる。これにより、第2シート材50に穴が生じる。そして、当該穴に、突起部12が挿入される。その後、口腔内に挿入して口腔用器具10を使用する際には、第1保護シート70を第1シート材40から剥離し、第2保護シート80を第2シート材50から剥離する。その結果、口腔用器具10のセンサ15に対向する面には、第1シート材40のみが配置された状態となり、センサ15による口腔内の測定が可能になる。
【0077】
次に、第3実施形態の効果について説明する。第3実施形態のカバー300は、第1実施形態の(1-1)から(1-4)、及び(1-7)から(1-8)の効果、及び第2実施形態の(2-1)から(2-5)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0078】
(3-1)上記実施形態において、第1接着部74は、第1対向面71のうちの長手方向第1端側の縁に位置している。換言すると、第1シート材40の開口端である長手方向第1端側の外縁41は、第1接着部74に接着されている。そのため、突出部56を掴んで第2シート材50を上側へ持ち上げようとした場合、第1シート材40の開口端は上側へ引き付けられない。その結果、第1シート材40と第2シート材50との開口が保持されやすい。
【0079】
(3-2)上記実施形態において、非接着部73は、第1対向面71の幅方向の一方側の縁から他方側の縁まで幅方向に沿って直線状に延びている。この構成によれば、幅方向において、第1保護シート70が第1シート材40を引き付ける力に偏りが生じにくい。したがって、口腔用器具10をカバー300に装着する際に、第1シート材40がねじれにくい。
【0080】
(3-3)上記実施形態において、非接着部73は、複数設けられている。また、複数の非接着部73は、第1対向面71において、長手方向に互いに離れている。このように、第1対向面71において、第1接着部74と非接着部73とを混在させることで、全体として第1保護シート70の接着力を調整できる。また、非接着部73が互いに離れていることで、第1対向面71における第1接着部74の位置が分散される。そのため、第1シート材40が全体的に第1保護シート70に接着された状態となる。
【0081】
(3-4)第2シート材50は、第2シート材50の縁と連続しない切れ込み54を備えている。切れ込み54は、突出部56に位置している。上述したように、切れ込み54を突起部12で押し上げることで、切れ込み54で区画される領域が持ち上がり、第2シート材50に穴が生じる。当該穴に突起部12を挿入することで、カバー300が口腔用器具10に対して動きにくくなる。また、切れ込み54で区画される領域の第2シート材50は、当該領域外の第2シート材50と繋がっている。そのため、カバー300を口腔用器具10に装着する際等に、切れ込み54で区画される領域の第2シート材50が脱落することを防止できる。
【0082】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・突起部12の形状は三角柱状に限定されない。突起部12は、第2シート材50の貫通孔57を引っかけることができれば、どのような形状でも構わない。なお、突起部12は、上面視した場合に、第2シート材50の貫通孔57と同様の形状であることが最も好ましい。
【0083】
・第1シート材40の形状は、適宜変更してもよい。例えば、正方形や楕円形などでもよい。また、第1シート材40の形状に合わせて第2シート材50の本体部55の形状も適宜変更してもよい。つまり、第1シート材40と第2シート材50とを接合したカバー20は、一端が開口可能な袋状になっていれば、どのような形状であっても採用し得る。
【0084】
・第2シート材50を突出部56より持ち上げたときに、第2シート材50の捲り部59をある程度座屈せずに持ち上げることができれば、第2シート材50の曲げ剛性は、第1シート材40の曲げ剛性以下でもよい。
【0085】
・第2シート材50において、捲り部59の位置及び形状は適宜変更してよい。例えば、第2シート材50にスリット58が設けられておらず、捲り部59が本体部55の幅方向全域に広がっていてもよい。この場合、捲り部59における幅方向の両縁、すなわち第2シート材50の幅方向の両縁のうちの長手方向第1端側が、第1シート材40に接合されていなければ、捲り部59を第2シート材50から剥離して持ち上げることができる。また、突出部56を持ち上げた際に、第1シート材40及び第2シート材50がうまく開口するならば、捲り部59は備えられていなくてもよい。
【0086】
・突出部56における第1シート材40の外縁41上の長さは、適宜変更してもよい。例えば、第1シート材40の外縁41の長さよりも長くてもよい。その場合、第2シート材50における幅方向中央付近の突出部56を手指で持ち上げて、口腔用器具10の差込口である開口面積が大きくなるようにするとよい。
【0087】
・第2シート材50の突出部56の形状は上記実施形態の例に限られない。第2シート材50の形状を変更しても、第1シート材40の長手方向第1端側より突出していればよい。
【0088】
・突出部56の長手方向第1端側に貫通する貫通孔57の形状は適宜変更してもよい。貫通孔57に対して口腔用器具10の突起部12が挿通できれば、例えば円形等でもよい。また、貫通孔57が突出部56に備えられていなくてもよい。その場合、突出部56の口腔用器具10との対向する箇所に接着テープ等を貼り付けたり手指で押さえたりすることにより、カバー20の先端側への移動を防止するような構造でもよい。
【0089】
・第1実施形態において、支持部材60の第2シート材50へ接合する位置は適宜変更してもよい。その場合、支持部材60は、第2シート材50が座屈せずに持ち上がるための補強となるよう、第2シート材50の幅方向に対して中央付近にあると好ましい。また、支持部材60の形状も三角形や楕円形等、その他適宜変更してよい。
【0090】
・第1実施形態において、第2シート材50の曲げ剛性が十分大きければ、カバー20は支持部材60を備えてなくてもよい。
・保護シート70における非対向面72の一部又は全部が接着部74となっていてもよい。非対向面72の面積が小さかったり、接着部74の接着力が小さかったりするのであれば、非対向面72と接する突出部56を簡便に剥がすことができる。
【0091】
・保護シート70における対向面71は、すべての領域が接着部74となっていてもよい。その場合、対向面71の接着部74の接着力が第1シート材40から剥がれ落ちず、尚且つ手指で剥がそうとした際には簡便に剥がせる接着力であることが好ましい。
【0092】
・保護シート70の形状は適宜変更してもよい。保護シート70の形状は、測定時に第1シート材40においてセンサ15と対向する箇所を覆うことができるとよい。また、測定前までカバー20同士を重ねておき、測定時に対象物と接する第1シート材40が覆われているならば、保護シート70はなくてもよい。
【0093】
・非接着部73A及び非接着部73Bは接着力を有する弱接着部でもよい。弱接着部の接着力は、接着部74よりも接着力が十分小さく、非接着部73A及び非接着部73Bのように簡単に保護シート70が第1シート材40から剥がすことができる接着力であればよい。
【0094】
・対向面71における非接着部73Aは、対向面71の幅方向の一方側にのみ配置されていてもよい。また、非接着部73Aは、対向面71の幅方向の縁に配置されていなくてもよい。
【0095】
・対向面71における非接着部73Aは略長方形状でなくてもよい。例えば、正方形や真円等でもよい。ただし、楕円形や波型等のように長手方向に対して延びている形状の方が好ましい。
【0096】
・対向面71における非接着部73Aの数は適宜変更してもよい。例えば、対向面71の幅方向の両端に2つ、または幅方向の一端の1つのみでもよいし、4つより多くてもよい。また、非接着部73Aが対向面71の幅方向に配置される間隔も等間隔でなく適宜変更してもよい。
【0097】
・対向面71における非接着部73Aの幅方向の最大長さWは適宜変更してもよい。例えば、対向面71の第1端側の幅方向の長さXの10%より短くてもよい。また、非接着部73Aが対向面71の幅方向に配置されるピッチPが、対向面71の第1端側の幅方向の長さXの整数比となっていてもよい。その場合、保護シート70を製造する際に製造誤差が小さくなるよう配慮し、非接着部73Aが対向面71の幅方向の両端部に配置されるとよい。
【0098】
・対向面71において、非接着部73Aが長手方向の第1端側から第2端側の全域に延びており、対向面71幅方向の全域に接着部74は広がっていなくてもよい。幅方向に対して非接着部73Aと交互に配置される接着部74の接着力が十分大きければ第1シート材40から保護シート70が剥がれ落ちることを抑制できる。
【0099】
・保護シート70、第1シート材40、第2シート材50及び支持部材60の材質は、上記実施形態の例に限られない。例えば、保護シート70の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド等の合成樹脂であってもよいし、紙、不織布であってもよい。また、保護シート70、第1シート材40、第2シート材50及び支持部材60の材質はそれぞれ異なっていてもよい。
【0100】
・第1シート材40と第2シート材50との開口の数が複数であってもよい。例えば、第1シート材40及び第2シート材50における長手方向第2端側及び幅方向の両端部において、接合が部分的になされており、当該接合部分で挟まれた箇所が複数開口していても、全体として袋状であればよい。
【0101】
・カバー20における第1シート材40と第2シート材50とは対向配置されていれば、上記実施形態の構造に限らない。例えば、1枚のシートを二つ折りにして、対向配置されたシートの折り目を境界として、それぞれ第1シート材40と第2シート材50としてもよい。この場合、例えば、二つ折りにした1枚のシートのうち、折られていない辺のうち、2辺の縁部を接合することで、袋状のカバー20を構成できる。
【0102】
・口腔用器具10の構成は、上記実施形態の例に限られない。少なくとも、口腔内に差し込んで使用する器具であればよい。このような口腔用器具としては、湿潤計、咬合力計、舌圧計、超音波エコー、電磁波治療機器、体温計、歯科用の各種治具が挙げられる。
【0103】
・第2実施形態において、第2保護シート80の形状は第2実施形態の例に限定されない。第2保護シート80が、第1保護シート70よりも大きければ、例えば楕円形状であってもよい。
【0104】
・第2実施形態において、第2保護シート80の第2接着部83は第2対向面81の一部に設けられていてもよい。すなわち、第2接着部83が、第2対向面81の外縁に設けられていなくてもよい。
【0105】
・第2実施形態において、第2保護シート80の第2接着部83における接着力が、第1保護シート70における第1接着部74の接着力以下でもよい。第2保護シート80の第2接着部83の接着力は、口腔用器具10をカバー200に挿入する際に、第2保護シート80と第2シート材50とが共に接合した状態で持ち上がる程度であると好ましい。
【0106】
・第2実施形態において、第2保護シート80の厚みは上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1保護シート70よりも曲げ剛性が大きい材質を第2保護シート80に適用した場合、第2保護シート80の方が第1保護シート70よりも厚みが小さくなっていてもよい。
【0107】
・第2実施形態において、第2保護シート80の方が、第1保護シート70よりも曲げ剛性が小さくてもよい。第2保護シート80の曲げ剛性は、第2シート材50を持ち上げるときに第2シート材50の補強となる程度の曲げ剛性を有していると好ましい。
【0108】
・第2実施形態におけるカバー200が、第1実施形態における支持部材60を備えていてもよい。この場合、支持部材60は、第2シート材50と第2保護シート80との間に位置する。
【0109】
・第2実施形態において、第2保護シート80の色は、第1保護シート70の色と異なっていてもよい。ここでの異なる色は、視認したときに、色相、彩度、明度が異なると判別がつく状態の色を示している。第1保護シート70と第2保護シート80とで異なる色である場合、カバー200の上下面が判別しやすく、口腔用器具10に対して正しくカバー200を装着できる。
【0110】
・第2実施形態において、第2保護シート80は、透明でなくてもよい。一方で、第2保護シート80が透明である場合、口腔用器具10を第2シート材50と第1シート材40との間に差し込む様子を確認しやすく、カバー200の装着が簡便になる。また、第2保護シート80は、完全な透明でなく、口腔用器具10を第2シート材50と第1シート材40との間に差し込む様子を確認できる程度に半透明であってもよい。
【0111】
・第3実施形態において、切れ込み54は、例えば、ミシン目のように連続した小穴であってもよい。また、切れ込み54は、第2シート材50の厚みに対して局所的に薄くなっており、完全に第2シート材50を貫通するものでなくてもよい。どのような場合においても、切れ込み54は、手指の力等で簡単に切り取れるとよい。
【0112】
・第3実施形態において、切れ込み54の形状は上記実施形態の例に限定されない。例えば、切れ込み54で区画された領域の第2シート材50の形状が、略円形状であってもよい。また、切れ込み54が、直線状に設けられていてもよい。この場合、突起部12を直線状の切れ込み54の隙間に差し込むことができる。
【0113】
・第3実施形態において、切れ込み54を省略してもよい。この場合、掴み部11と共に突起部12を掴めば、カバー300が口腔用器具10から外れにくい。
・第3実施形態において、非接着部73は、第1対向面71において幅方向に直線状に延びていなくてもよい。また、第1対向面71における第1接着部74及び非接着部73の数及び配置は上記実施形態の例に限定されない。例えば、非接着部73は、第1対向面71に1つだけ設けられていてもよい。さらに、非接着部73を省略し、第1対向面71の全面を第1接着部74としてもよい。
【符号の説明】
【0114】
10…口腔用器具
11…掴み部
12…突起部
13…延伸部
15…センサ
16…電極
20…カバー
40…第1シート材
41…外縁
50…第2シート材
51…両縁
55…本体部
56…突出部
57…貫通孔
58…スリット
59…捲り部
60…支持部材
61…境界縁
70…保護シート
71…対向面
72…非対向面
73A…非接着部
73B…非接着部
74…接着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8