(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ガス拡散型電解フローセル用のカソード電極、及びガス拡散型電解フローセル
(51)【国際特許分類】
C25B 11/085 20210101AFI20240326BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20240326BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20240326BHJP
C25B 3/03 20210101ALI20240326BHJP
C25B 3/26 20210101ALI20240326BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20240326BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20240326BHJP
C25B 11/065 20210101ALI20240326BHJP
【FI】
C25B11/085
B01J31/22 Z
C25B1/23
C25B3/03
C25B3/26
C25B9/23
C25B11/052
C25B11/065
(21)【出願番号】P 2021121815
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】関澤 佳太
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111841641(CN,A)
【文献】特開平01-205088(JP,A)
【文献】特表2018-510262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0248324(US,A1)
【文献】特開2007-070645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 11/00
C25B 1/23
C25B 3/00
C25B 9/23
B01J 31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を還元して二酸化炭素還元生成物を生成するガス拡散型電解フローセル用のカソード電極であって、
金属錯体触媒と、カーボン材料と、アルカリ金属塩と、を有する触媒層と、前記触媒層上に配置されるガス拡散層と、を備えることを特徴とするガス拡散型電解フローセル用のカソード電極。
【請求項2】
前記アルカリ金属塩は、カリウム塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス拡散型電解フローセル用のカソード電極。
【請求項3】
水又は水酸化物イオンを酸化して酸素を生成するアノード電極と、二酸化炭素を還元して二酸化炭素還元生成物を生成するカソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極により挟持されるイオン伝導性ポリマー膜と、を備えるガス拡散型電解フローセルであって、
前記カソード電極は、前記イオン伝導性ポリマー膜側から順に、触媒層と、ガス拡散層とを備え、
前記触媒層は、金属錯体触媒と、カーボン材料と、アルカリ金属塩と、を有することを特徴とするガス拡散型電解フローセル。
【請求項4】
前記アルカリ金属塩は、カリウム塩を含むことを特徴とする請求項3に記載のガス拡散型電解フローセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス拡散型電解フローセル用のカソード電極、及びガス拡散型電解フローセルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油や石炭といった化石燃料の枯渇が懸念され、持続的に利用できる再生可能エネルギーへの期待が高まっている。そのようなエネルギー問題、さらに環境問題の観点等から、太陽光等の再生可能エネルギーを用いて二酸化炭素を電気化学的に還元し、貯蔵可能な化学エネルギー源を作り出す人工光合成技術の開発が進められている。
【0003】
二酸化炭素を還元する方法の一つとして、水溶液中に溶解させた二酸化炭素を電気化学的に還元する方法が知られている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1、2)。なお、非特許文献2には、水溶液中のカリウムイオンの有無で二酸化炭素の還元性能に差がでることが明らかにされている。
【0004】
しかし、水溶液中に溶ける二酸化炭素の濃度は室温・常圧では希薄であることから、二酸化炭素還元に優先して、共存するプロトン(H+)の還元が進行し、水素(H2)が副生される。また、水溶液中での二酸化炭素の物質拡散は遅いため、二酸化炭素還元の反応電流密度の理論限界は<30mA・cm-2と小さい。
【0005】
これらの問題を解決する手法として、二酸化炭素ガスをカソードの触媒層に直接供給するガス拡散型電解フローセルが提案されている(例えば、特許文献3、非特許文献3、4)。
【0006】
ガス拡散型電解フローセルの場合、水に対するCO2の濃度比が大きいため、H2の副生が抑えられ、拡散速度の速い気相中で反応が進行するので、反応電流密度の限界が大幅に増大する。このため、高いセル電位を印加した場合、大きな反応電流密度を生じさせ、高い選択性で二酸化炭素還元生成物が得られることが知られている。
【0007】
また、ガス拡散型電解フローセルは、アノードとカソードをイオン伝導性ポリマー膜で分離しているので、アノードの酸化生成物とカソードの二酸化炭素還元生成物が混合することなく得られるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-171963号公報
【文献】特開2019-127646号公報
【文献】特開2019-510884号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】Arai, T.; Sato, S.; Sekizawa, K.; T. M.; Morikawa, T., “Solar-driven CO2 to CO reduction utilizing H2O as an electron donor by earth-abundant Mn-bipyridine complex and Ni-modified Fe-oxyhydroxide catalysts activated in a single-compartment reactor”, Chem. Commun., Vol.55, (2019), pp.237-240
【文献】S. Sato, et al., ACS Catal. 2018, 8, 4452-4458
【文献】Ren, S.; Joulie, D.; Salvatore, D.; Torbensen, K.; Wang, M.; Robert, M.; Berlinguette, C. P., “Molecular electrocatalysts can mediatefast, selective CO2 reduction in a flow cell”, Science, Vol.365, No.6451(2019), pp.367-369
【文献】Cheng, W.-H.; Richter, M. H.; Sullivan, I.; Larson, D. M.; Xiang, C.; Brunschwig, B. S.; Atwater, H. A., “CO2 Reduction to CO with 19% Efficiency in a Solar-Driven Gas Diffusion Electrode Flow Cell under Outdoor Solar Illumination”, ACS Energy Letters, Vol.5, (2020), pp.470-476
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のガス拡散型電解フローセルにおいては、アノードやカソードの反応過電圧が大きいこと等に起因して、低いセル電位で、二酸化炭素還元生成物を得ることは困難である。
【0011】
そこで、本発明の目的は、低いセル電位で、二酸化炭素還元生成物を得ることができるガス拡散型電解フローセル用のカソード電極及びガス拡散型電解フローセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、二酸化炭素を還元して二酸化炭素還元生成物を生成するガス拡散型電解フローセル用のカソード電極であって、金属錯体触媒と、カーボン材料と、アルカリ金属塩と、を有する触媒層と、前記触媒層に配置されるガス拡散層と、を備える。
【0013】
また、前記ガス拡散型電解フローセル用のカソード電極において、前記アルカリ金属塩はカリウム塩を含むことが好ましい。
【0014】
また、本発明は、水又は水酸化物イオンを酸化して酸素を生成するアノード電極と、二酸化炭素を還元して二酸化炭素還元生成物を生成するカソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極により挟持されるイオン伝導性ポリマー膜と、を備えるガス拡散型電解フローセルであって、前記カソード電極は、前記イオン伝導性ポリマー膜側から順に、触媒層と、ガス拡散層とを備え、前記触媒層は、金属錯体触媒と、カーボン材料と、アルカリ金属塩と、を有する。
【0015】
また、前記ガス拡散型電解フローセルにおいて、前記アルカリ金属塩はカリウム塩を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低いセル電位で、二酸化炭素還元生成物を得ることができるガス拡散型電解フローセル用のカソード電極及びガス拡散型電解フローセルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係るガス拡散型電解フローセルの一例を示す概略構成図である。
【
図2】実施例1及び比較例1の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率及びセル電位の経時変化を示す図である。
【
図3】比較例2の二酸化炭素電解における生成物量の経時変化を示す図である。
【
図4】実施例2及び比較例3の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率及びセル電位の経時変化を示す図である。
【
図5】実施例3の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率及びセル電位の経時変化を示す図である。
【
図6】実施例4の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率及びセル電位の経時変化を示す図である。
【
図7】実施例5及び比較例4の二酸化炭素電解におけるセル電位の経時変化を示す図である。
【
図8】実施例5及び比較例4の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率の経時変化を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係るガス拡散型電解フローセルの一例を示す概略構成図である。
図1に示すガス拡散型電解フローセル1は、二酸化炭素ガスがカソード電極22に直接供給される装置である。二酸化炭素ガスとは、二酸化炭素を含むガスであり、好ましくは二酸化炭素及び水蒸気を含むガスである。
図1に示すガス拡散型電解フローセル1は、アノード部10、カソード部12、イオン伝導性ポリマー膜14を備えている。アノード部は、アノード電極16、アノード溶液流路18を備えている。アノード電極16は、イオン伝導性ポリマー膜14とアノード溶液流路18との間に、それらと接するように配置されている。アノード溶液流路18は、アノード電極16にアノード溶液を供給するものであり、アノード集電板20に設けられたピット(溝部又は凹部)により形成されている。カソード部12は、カソード電極22、ガス流路24を備えている。カソード電極22は、ガス流路24とイオン伝導性ポリマー膜14との間に配置されている。カソード電極22は、イオン伝導性ポリマー膜14側から順に、触媒層26と、ガス拡散層28とを備えている。ガス流路24は、カソード電極22に二酸化炭素ガスを供給するものであり、カソード集電板30に設けられたピット(溝部又は凹部)により形成されている。イオン伝導性ポリマー膜14は、アノード電極16とカソード電極22により挟持されている。すなわち、アノード電極16とカソード電極22とはイオン伝導性ポリマー膜14により分離されている。
【0020】
アノード集電板20には、例えば、溶液導入口と溶液導出口(いずれも図示せず)とが接続されている。そして、アノード溶液が、溶液導入口を介してアノード溶液流路18内に導入され、アノード電極16と接触しながらアノード溶液流路18内を通り、アノード溶液導出口から排出される。アノード集電板20は、化学反応性が高く、導電性が高い材料を用いることが好ましい。そのような材料としては、TiやSUS等の金属材料、カーボン等が挙げられる。
【0021】
カソード集電板30には、例えば、ガス導入口とガス導出口(いずれも図示せず)とが接続されている。そして、二酸化炭素ガスが、ガス導入口を介してガス流路24内に導入され、ガス拡散層28を介して触媒層26に接触しながらガス流路24内を通り、ガス導出口から排出される。カソード集電板30は、アノード集電板20と同様に、化学反応性が低く、導電性が高い材料を用いることが好ましい。そのような材料としては、TiやSUS等の金属材料、カーボン等が挙げられる。
【0022】
図1に示す符号32は、アノード電極16とカソード電極22との間を電気的に接続し、電力を供給する電源である。電源32は、特に限定されるものではなく、化学的電池(一次電池、二次電池等を含む)、定電圧源、太陽電池セル等が挙げられる。電源32として太陽電池セルを用いることにより、ガス拡散型電解フローセル1と、アノード電極16とカソード電極22に供給される電力を生成する太陽電池セルと、を備える人工光合成装置とすることができる。本実施形態に係る人工光合成装置は、ガス拡散型電解フローセル1のアノード電極16とカソード電極22が太陽電池セルを介して接続され、太陽光をエネルギー源として駆動される。
【0023】
次に、
図1に示すガス拡散型電解フローセル1の動作例について説明する。ここでは、二酸化炭素還元により一酸化炭素(CO)を生成する場合について、主として説明するが、二酸化炭素還元生成物としては一酸化炭素に限られるものではなく、例えば、メタン(CH
4)、エタン(C
2H
6)、エチレン(C
2H
4)等であってもよい。また、反応過程としては、主に水素イオン(H
+)を生成する場合と、主に水酸化物イオン(OH
-)を生成する場合とが考えられるが、これら反応過程のいずれかに限定されるものではない。
【0024】
まず、主に水(H2O)を酸化して水素イオン(H+)を生成する場合の反応過程について述べる。アノード電極16とカソード電極22との間に電源32から電流が供給されると、アノード溶液と接するアノード電極16で水(H2O)の酸化反応が生じる。具体的には、下記の(1)式に示すように、アノード溶液中に含まれるH2Oが酸化されて、酸素(O2)と水素イオン(H+)とが生成する。
2H2O → 4H++O2+4e- ・・・(1)
【0025】
カソード電極22側では、ガス流路24からガス拡散層28を介して触媒層26に供給された二酸化炭素ガスが、電源32からカソード電極22に供給される電流に基づく電子(e-)と、例えば、イオン伝導性ポリマー膜14を介してアノード電極16からカソード電極22側に移動してきたH+とにより、還元されて、下記の(2)式に示すように、COが生成する。また、副反応として、下記式(3)のように水素イオンが電子を受け取り、水素が生成する。このとき、水素は一酸化炭素と同時に生成してもよい。
CO2+2H++2e- → CO+H2O ・・・(2)
2H++2e- → H2 ・・・(3)
【0026】
次に、主に二酸化炭素(CO2)を還元して水酸化物イオン(OH-)を生成する場合の反応過程について述べる。アノード電極16とカソード電極22との間に電源32から電流が供給されると、カソード電極22側では、ガス流路24からガス拡散層28を介して触媒層26に供給された二酸化炭素ガス(水蒸気を含む)が、下記の(4)式に示すように還元されて、一酸化炭素(CO)と水酸化物イオン(OH-)とが生成する。また、副反応として、下記式(5)のように水が電子を受け取ることにより、水素が生成する。このとき、水素は一酸化炭素と同時に生成してもよい。これらの反応により生成した水酸化物イオン(OH-)は、例えば、イオン伝導性ポリマー膜14を介してアノード電極16側に移動し、下記の(6)式に示すように、水酸化物イオン(OH-)が酸化されて酸素(O2)が生成する。
2CO2+2H2O+4e- → 2CO+4OH- ・・・(4)
2H2O+2e- → H2+2OH- ・・・(5)
4OH- → 2H2O+O2+4e- ・・・(6)
【0027】
以下、アノード電極16、カソード電極22、イオン伝導性ポリマー膜14の構成について詳述する。
【0028】
アノード電極16は、前述したように、アノード溶液中の水(H2O)の酸化反応を促し、酸素(O2)や水素イオン(H+)を生成する、もしくはカソード部12で生じた水酸化物イオン(OH-)の酸化反応を促し、酸素や水を生成する電極(酸化電極)である。
【0029】
アノード電極16は、酸化反応の過電圧を低減させることが可能な点で、Ni、Ti、Fe、Cからなる群より選択される少なくとも1つの材料から構成される基材を備えることが好ましい。Ni、Ti、又はFeの金属材料は、Ni、Ti、Feの金属を少なくとも1つ含む合金も含まれる。また、基材は、イオン伝導性ポリマー膜14とアノード溶液流路18との間でアノード溶液やイオンを移動させることが可能な構造であることが好ましく、例えば、多孔体、メッシュ、又は繊維焼結体であることが好ましい。
【0030】
アノード電極16は、アノード触媒を含むことが好ましい。アノード触媒は、酸化反応の過電圧を低減させることが可能な点で、例えば、Ni、Fe、Co、Mn、Ru、Irからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む金属、当該金属を含む酸化物、当該金属を含む水酸化物、当該金属を含むオキシ水酸化物等が挙げられる。これらは1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。アノード触媒を用いる場合には、前述の基材上にアノード触媒を担持することが好ましい。
【0031】
アノード溶液は、例えば、酸化反応を高める点で、水酸化物イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン、四ホウ酸イオン、水素イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、及びセシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つのイオンを含むことが好ましい。
【0032】
カソード電極22を構成するガス拡散層28は、触媒層26と電源32との電気的導通を確保し、且つ二酸化炭素ガスを触媒層26に効率よく供給するものであれば特に制限されないが、カソード電極22側から移動してきた水の量を減らすことができる等の点で、疎水性多孔質カーボン基材であることが好ましい。
【0033】
カソード電極22を構成する触媒層26は、前述したように、二酸化炭素ガス中の二酸化炭素の還元反応を促し、二酸化炭素還元生成物等を生成する。触媒層26は、金属錯体触媒と、カーボン材料、アルカリ金属塩を含む。また、触媒層26は、イオン伝導体及びバインダーとなる高分子を含むことが好ましい。触媒層26は、二酸化炭素ガスの拡散性を向上させる等の点で、多孔質構造体であることが好ましい。触媒層26の厚みは、例えば5~200μmである。
【0034】
金属錯体触媒は、中心金属と、配位子とを有する。中心金属は、二酸化炭素の還元反応を触媒する金属であれば特に限定されないが、例えば、二酸化炭素の還元反応における過電圧を低減させることが可能となる点で、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ru、Reからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属であることが好ましく、Co、Mn又はRuであることがより好ましい。配位子は、2,2’-ビピリジン、2-フェニルピリジン、1,10-フェナントロリン等の構造を有する二座配位子、2,2’:6’,2”-ターピリジン等の構造を有する三座配位子、ポルフィリン、フタロシアニン、コロール、クロリン、2,2’:6’,2”:6”,2’’’-クオーターピリジン等の構造を有する四座配位子、およびこれら四座以下の配位子を基本骨格とし、有機的にピリジン等の配位性置換基が連結された五座以上の配位子等が挙げられる。
【0035】
具体的な金属錯体触媒としては、例えば、フタロシアニン類似体の構造を有するCo錯体触媒(下記式(1):cobalt-tetrapyridino-
porphyrazine、下記式(2):cobalt phthalocyanine)、2,2’-ビピリジンの構造を有するMn錯体触媒(下記式(3):Mn{4,4’-di(1-H-1-pyrrolylpropyl carbonate)-2,2’-bipyridine}(CO)
3(MeCN)
+)が挙げられる。
【化1】
【0036】
触媒層26に含まれるカーボン材料は、例えば、ケッチェンブラックやVULCAN(登録商標)XC-72等のカーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ等が挙げられる。カーボン材料は、上記金属錯体触媒等が担持される担体として使用されることが望ましい。上記金属錯体触媒等をカーボン材料に担持することで、例えば、還元反応性が高められる。
【0037】
触媒層26に含まれるアルカリ金属塩は、無機アルカリ金属塩でもよいし、有機アルカリ金属塩でもよいし、これらを併用してもよい。
【0038】
無機アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の各種の無機塩が使用でき、例えば、アルカリ金属の塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、あるいは水酸化物等を挙げることができる。また、アルカリ金属を含有する粘土に代表される層状化合物も使用することができる。
【0039】
有機アルカリ金属塩としては、例えば、脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩等の脂肪族有機酸のアルカリ金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩等の芳香族有機酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、アルカンスルホン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。アルカンスルホン酸アルカリ金属塩に使用するアルカンスルホン酸の好ましい例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、へプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。またかかるアルキル基の一部または全部がフッ素原子で置換したアルカリ金属塩でもよい。また、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩に使用する芳香族スルホン酸としては、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。アルカリ金属塩としては、アルコールに溶けやすい有機アルカリ金属塩が好ましい。有機アルカリ金属塩が溶解したアルコール溶媒を用いることにより、触媒層26に有機アルカリ金属塩を高分散させることが可能である。
【0040】
アルカリ金属塩の含有量は、例えば、触媒層26に使用するカーボン材料の総量に対して、5質量%~50質量%の範囲とすることが好ましい。
【0041】
触媒層26に含まれるイオン伝導体及びバインダーとなる高分子は、ナフィオン(登録商標)(デュポン社製)、フレミオン(旭硝子(株)製)等のカチオン交換樹脂、ネオセプタやセレミオン、サステニオン等のアニオン交換樹脂等が挙げられる。
【0042】
二酸化炭素の還元反応により生成される二酸化炭素還元生成物は、例えば、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレンからなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。なお、本実施形態においては、上記以外に、例えば、蟻酸、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、エチレングリコール等が生成される場合もある。
【0043】
触媒層26は、触媒活性を高めることができる点で、フェノール又はその塩を含んでいてもよい。また、アノード電極16は、水の酸化を低電位で進行させることができる等の点で、オキシ水酸化鉄、又はオキシ水酸化ニッケルを含んでいてもよい。
【0044】
イオン伝導性ポリマー膜14としては、例えばナフィオンやフレミオンのようなカチオン交換膜、ネオセプタやセレミオン、サステニオンのようなアニオン交換膜を使用することができる。アノード溶液にアルカリ性水溶液を使用し、主として水酸化物イオン(OH-)の移動を想定する場合、イオン伝導性ポリマー膜14はアニオン交換膜で構成することが好ましい。
【0045】
本実施形態のカソード電極22を用いることで、低いセル電位で、二酸化炭素還元生成物を得ることができる。上記効果を奏する理由としては、以下のことが推察される。
【0046】
本実施形態のカソード電極22のように、触媒層26にアルカリ金属塩が含まれることで、金属錯体触媒がCO2と反応する際、アルカリ金属塩(或いはアルカリ金属イオン)がCO2の酸素側に特異的に吸着して、活性化エネルギーを下げるため、CO2の還元反応による過電圧が低減され、低いセル電位で二酸化炭素電解が生じ、二酸化炭素還元生成物を得ることができる。また、アルカリ金属塩(或いはアルカリ金属イオン)がCO2の酸素側に特異的に吸着することで、CO2による金属錯体触媒の酸化が抑制され、金属錯体触媒の耐久性が向上する場合がある。例えば、フタロシアニンの構造を有するCo錯体触媒はCO2による酸化を受け易い金属錯体触媒であるが、アルカリ金属塩と共存させることで、フタロシアニンの構造を有するCo錯体触媒の酸化が抑制され、耐久性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態のガス拡散型電解フローセル1は、水溶液中に溶解させた二酸化炭素を電気化学的に還元する方法に比べて、水に対するCO2濃度比が大きいため、H2の副生が抑えられ、また、拡散速度の速い気相中で反応が進行するので、反応電流密度の限界を増大させることができる。したがって、大きな反応電流密度を生じさせ、二酸化炭素還元生成物を得ることができる。
【0048】
本実施形態のガス拡散型電解フローセル1によれば、例えば、セル電位2.0V未満、1.7V以下、或いは1.5V以下で、二酸化炭素電解による一酸化炭素やギ酸等の生成が可能である。ここで、セル電位が小さくなることは、電気エネルギーを化学エネルギーへと変化するエネルギー変換効率が高くなる。すなわち動作時のエネルギー損失が小さくなることを意味している。例えば、セル電位1.9Vの二酸化炭素電解で、COを生成する場合のエネルギー変換効率は67%に相当するが、セル電位1.5Vの二酸化炭素電解で、COを生成する場合のエネルギー変換効率は90%に達する。したがって、本実施形態のカソード電極22を備えるガス拡散型電解フローセル1を用いれば、電気エネルギーを一酸化炭素やギ酸等の貯蔵可能な化学エネルギーへ高効率に変換することができる。
【0049】
また、低いセル電位での二酸化炭素還元が可能であれば、太陽電池セルと組み合わせた人工光合成装置においても有効である。従来の人工光合成装置では、二酸化炭素電解に2Vより大きいセル電位が必要であることに起因して、開放電圧の大きな太陽電池セルが必要である。このため、開放電圧が大きいが(約2.7V)高価なGaInP/GaInAs/Ge三接合型宇宙用太陽電池セルを用いるか、安価だが開放電圧の小さい(約0.5V)多結晶シリコン太陽電池セルを6直列で用いる必要があった。前者の太陽電池セルは資源量の観点から実用化が難しく、後者の太陽電池セルでは直列数が多くなるため、電流密度が低下し、エネルギー変換効率が低くなる。しかし、本実施形態のカソード電極22を備えるガス拡散型電解フローセル1を用いれば、2.0V未満のセル電位で二酸化炭素電解が可能であるので、多結晶シリコン太陽電池セルを3~4直列で駆動できるため、コスト面で実用可能であり、且つエネルギー変換効率が高い人工光合成装置を構築することができる。
【0050】
ガス拡散型電解フローセルにおけるセル電位を低下させる好ましい態様としては、二酸化炭素の還元反応による過電圧を低下させることに加え、水又は水酸化物イオンの酸化における過電圧を低下させることが好ましい。水又は水酸化物イオンの酸化における過電圧を低下させるには、前述したように、アノード電極16に、Ni、Ti、Fe、Cからなる群より選択される少なくとも1つの材料から構成される基材を用いたり、Ni、Fe、Co、Mn、Ru、Irからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む金属、当該金属を含む酸化物、当該金属を含む水酸化物、当該金属を含むオキシ水酸化物をアノード触媒として用いたりすることが好ましい。
【0051】
ところで、二酸化炭素還元反応が、二酸化炭素と水素イオンの反応である場合、カソード電極22側は適度な水素イオン濃度が必要となるが、水素イオン濃度が高すぎる場合、H2の副生が進行し易くなるため、カソード電極22側の液性は中性から弱アルカリ性が好適である。他方、アノード電極16側の液性は、過電圧の低下、反応電流の増加の点で、アルカリ性が好適である。本実施形態では、中性の水蒸気を含む二酸化炭素ガスをカソード電極22側に供給し、アルカリ性のアノード溶液をアノード電極16側に供給することにより、カソード電極22側の液性を中性(例えばpH6~8)にし、アノード電極16側の液性をアルカリ性にすることができる。なお、二酸化炭素と水が共存すると、炭酸が生成する場合があり、これにより液性が中性から酸性となる場合があるが、本実施形態では、アノード部10とカソード部12とがイオン伝導性ポリマー膜14で隔離されているので、二酸化炭素によるアルカリ性のアノード溶液の中和が遮断され、アノード電極16側の液性をアルカリ性に保つことが可能である。
【0052】
さらに、中性の水蒸気を含む二酸化炭素ガスをカソード電極22側に供給し、アルカリ性のアノード溶液をアノード電極16側に供給して、アノード電極16側の液性をアルカリ性、カソード電極22側の液性を中性とすることで、イオン伝導性ポリマー膜14を隔てて、アノード部10とカソード部12の間に水素イオン濃度差が形成される。このような水素イオン濃度差の形成により、エネルギー的な利得が得られるため、セル電圧の低下に繋がると考えられる。
【0053】
アルカリ性のアノード溶液は、例えば、セル電圧の低下等の点で、pH12以上の水溶液であることがより好ましい。イオン伝導性ポリマー膜14は、水素イオン濃度差が形成され易く、ひいてはセル電圧の低下に繋がる等の点で、陰イオン伝導性ポリマー膜であることが好ましい。
【実施例】
【0054】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
<実施例1>
[カソード電極]
上記式(1)の化学構造を有するコバルトフタロシアニン錯体触媒(cobalt-tetrapyridino-porphyrazine、以下Co(PyPc)と称する)1mgを、カーボン材料(VULCAN(登録商標)XC-72)30mgと混合した後、ジメチルフォルムアミド溶液中で超音波分散を行った。その後、その溶液を一晩撹拌した後に、ろ過を行い、Co(PyPc)を担持したカーボン材料を作製した(以後、Co(PyPc)/Cと称する)。Co(PyPc)/C10mgと、アルカリ金属塩であるカリウムトリフレート塩(以下、KOtfと称する)5mgをエタノール/Nafion混合溶液に分散し、その溶液300μLを、ガス拡散層として用いた1.13cm2のマイクロポーラス層付カーボンペーパー(Avcarb社製、GDS3250)の上に塗布し、60℃で乾燥した。
【0056】
[アノード電極]
50mMのFeCl3水溶液に、発泡ニッケルを浸漬させた後、マッフル炉で空気中300℃で加熱することにより、ニッケルフォームにFeを担持した。その後、1MのKOH水溶液で1時間電解した後、1.13cm3に切り取った。これをアノード電極とした。
【0057】
[ガス拡散型電解フローセル]
陰イオン伝導性樹脂(Sustainion(登録商標) X37-50 Grade)を、アノード電極とカソード電極とで挟持した。カソード電極は、Co(PyPc)が陰イオン伝導性樹脂に接触するように配置した。この膜/電極接合体を、ガス流路が形成されたステンレス製のカソードガス集電板とアノード溶液流路が形成されたチタン製のアノード集電板とで挟持した。カソード集電板及びアノード集電板は、ガス流路及びアノード溶液流路が膜/電極接合体に接するように配置した。これをガス拡散型電解フローセルとした。
【0058】
[二酸化炭素電解]
上記ガス拡散型電解フローセルを用いて、二酸化炭素電解を行った。具体的には、ガス流路に二酸化炭素ガスを100mL/min、アノード溶液流路に1Mの水酸化カリウム水溶液を100mL/minの流速で供給し、ポテンショスタットを2極方式でアノード側及びカソード側に接続し、定電流電解を行い、二酸化炭素電解を行った。二酸化炭素電解は、電流密度を10、50、若しくは100mA/cm2に設定し、電圧-時間を測定した。
【0059】
<実施例2>
Co(PyPc)に代えて、上記式(2)の化学構造を有するコバルトフタロシアニン錯体触媒(cobalt phthalocyanine、以下Co(Pc))を用いたこと、アノード電極として発泡ニッケルを用いたこと以外は、実施例1と同様に試験した。
【0060】
<実施例3>
KOtfに代えて、ナトリウムトリフレート塩(以下、NaOtfと称する)を用いたこと、電流密度50mA/cm2で定電流電解を行ったこと以外は、実施例1と同様に試験した。
【0061】
<実施例4>
KOtfに代えて、ノナフルオロブタン酸カリウム(K(C4F9SO3))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験した。
【0062】
<実施例5>
[カソード電極]
上記式(3)の化学構造を有する錯体触媒[Mn{4,4’-di(1H-pyrrolyl-3-propyl carbonate)-2,2’-bipyridine}(CO)3(CH3CN)](PF6)11.6mg(14.7mmol)を、1.58mLのアセトニトリルに溶解させ、そこに0.5vol%ピロールアセトニトリル溶液33μL、0.2MFeCl3エタノール溶液154μLを加え、金属錯体ポリマー溶液を調製した。この溶液に、カーボン材料(VULCAN(登録商標)XC-72)16.5mNafion117アルコール-水混合溶液(Aldrich社製)68.8μL、KOtf5mgを加えた後、超音波分散を行った。この懸濁液を、ガス拡散層として用いた1.13cm2のマイクロポーラス層付カーボンペーパー(Avcarb社製、GDS3250)の上に、41μL滴下し、60℃で乾燥させる操作を10回繰り返した。そして、12時間以上暗所下で静置した後、水で洗浄した。
【0063】
上記作製したカソード電極を用いたこと、電流密度10mA/cm2で定電流電解を行ったこと以外は、実施例1と同様に試験した。
【0064】
<比較例1>
KOtfを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にカソード電極を作製し、実施例1と同様に試験した。
【0065】
<比較例2>
Co(PyPc)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にカソード電極を作製したこと、セル電圧を-1.9Vに設定したこと以外は、実施例1と同様に試験した。
【0066】
<比較例3>
KOtfを使用しなかったこと以外は、実施例2と同様に試験した。
【0067】
<比較例4>
KOtfを使用しなかったこと以外は、実施例5と同様に試験した。
【0068】
図2に、実施例1及び比較例1の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率及びセル電位の経時変化を示す。
図2に示すように、実施例1では、CO生成のファラデー効率(FE(CO))は、24時間、高い状態を維持していたが、比較例1では、CO生成のファラデー効率(FE(CO))は、すぐに低下し、4時間後には50%程度になった。また、100mA/cm
2の電流を流すためのセル電位は、実施例1では約-1.9V、比較例1では約-2.1Vであった。これらのことから、アルカリ金属塩としてカリウム塩が添加された実施例1は、カリウム塩が添加されていない比較例1と比べて、触媒の耐久性が向上し、また、低いセル電位で、COを生成させることができた。
【0069】
図3に、比較例2の二酸化炭素電解における生成物量の経時変化を示す。
図3に示すように、金属錯体触媒を使用していない比較例2では、二酸化炭素電解において、水素しか生成せず、COは生成しなかった。したがって、前述の実施例1の二酸化炭素電解において生成したCOは金属錯体触媒由来であることを示している。
【0070】
図4に、実施例2及び比較例3の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率及びセル電位の経時変化を示す。
図4に示すように、実施例2では、CO生成のファラデー効率(FE(CO))は、24時間、高い状態を維持していたが、比較例3では、CO生成のファラデー効率(FE(CO))は、すぐに低下し、8時間後には50%程度になった。また、100mA/cm
2の電流を流すためのセル電位は、実施例2では約-2.1V、比較例3では約-2.3Vであった。これらのことから、実施例2及び比較例3は実施例1とは異なる触媒を用いているが、アルカリ金属塩としてカリウム塩が添加された実施例2は、カリウム塩が添加されていない比較例3と比べて、触媒の耐久性が向上し、また、低いセル電位で、COを生成させることができた。
【0071】
図5に、実施例3の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率及びセル電位の経時変化を示す。
図5に示すように、実施例3では、CO生成のファラデー効率(FE(CO))は、24時間、高い状態を維持していた。また、50mA/cm
2の電流を流すためのセル電位は、約-1,8Vであった。この結果から、アルカリ金属塩としてナトリウム塩が添加された実施例3においても、低いセル電位で、COを生成させることができた。
【0072】
図6に、実施例4の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率及びセル電位の経時変化を示す。
図6に示すように、実施例4では、CO生成のファラデー効率(FE(CO))は、24時間、高い状態を維持していた。また、100mA/cm
2の電流を流すためのセル電位は、約-2.0Vであった。この結果から、カリウム塩としてノナフルオロブタン酸カリウム(K(C
4F
9SO
3))が添加された実施例4においても、低いセル電位で、COを生成させることができた。
【0073】
図7に、実施例5及び比較例4の二酸化炭素電解におけるセル電位の経時変化を示し、
図8に、実施例5及び比較例4の二酸化炭素電解におけるCO生成のファラデー効率の経時変化を示す。
図7及び8に示すように、Mn錯体触媒を用い、アルカリ金属塩としてカリウム塩を添加した実施例5は、Mn錯体触媒を用い、アルカリ金属塩としてカリウム塩を添加していない比較例4と比べて、低いセル電位で、COを生成させることができた。
【符号の説明】
【0074】
1 ガス拡散型電解フローセル10 アノード部、12 カソード部、14 イオン伝導性ポリマー膜、16 アノード、18 アノード溶液流路、20 アノード集電板、22 カソード、24 ガス流路、26 触媒層、28 ガス拡散層、30 カソード集電板、32 電源。