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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】画像認識システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B65G1/137 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022154424
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2018210401の分割
【原出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2022173411
(43)【公開日】2022-11-18
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森 広幸
(72)【発明者】
【氏名】芝村 二郎
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0195200(US,A1)
【文献】特開2015-078047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を取得する撮像装置と、
前記画像情報に対する画像認識処理を行う画像認識部と、
作業者が移動元位置から移動先位置まで物品を移動させる移動作業の対象物品について、前記対象物品の前記移動作業の正否の判定基準情報を取得する基準取得部と、を有し、
前記撮像装置は、複数の前記移動元位置がある移動元領域と、複数の前記移動先位置がある移動先領域と、を含む作業エリアを撮像し、
前記画像認識部は、
経時的に取得された前記画像情報に含まれる、前記対象物品の位置及び前記対象物品を移動させる前記作業者の手の位置の少なくとも一方を画像認識して、前記対象物品の前記移動元位置及び前記移動先位置を判定し、判定結果が前記判定基準情報に鑑みて正しいか
否かを判定し、
前記撮像装置は複数設置され、
それぞれの前記撮像装置の撮像範囲に複数の前記作業エリアが含まれると共に、隣接して設置された複数の前記撮像装置の撮像範囲が互いに重複するように設置されている、画像認識システム。
【請求項2】
前記対象物品の前記移動元位置を示す移動元表示部と、前記対象物品の前記移動先位置を示す移動先表示部と、を更に備え、
前記移動元表示部及び前記移動先表示部は、前記作業エリアに設置され、
前記画像認識部は、前記画像情報に含まれる前記移動元表示部の表示及び前記移動先表示部の表示を画像認識して、前記対象物品の前記移動元位置及び前記移動先位置を判定し、
前記基準取得部は、前記画像認識部が判定した前記移動元位置及び前記移動先位置を示す情報を、前記判定基準情報として取得する、請求項1に記載の画像認識システム。
【請求項3】
前記基準取得部は、前記作業者に対する前記対象物品の移動指示を示す指示情報を前記判定基準情報として取得し、
前記指示情報は、前記対象物品の前記移動元位置を示す移動元情報と、前記対象物品の前記移動先位置を示す移動先情報と、を含んでいる、請求項1に記載の画像認識システム。
【請求項4】
前記基準取得部は、前記対象物品の種類を示す種類情報を取得し、
前記画像認識部は、前記画像情報に含まれる前記対象物品の種類を画像認識して、前記対象物品の種類を判定し、判定結果が前記種類情報に鑑みて正しいか否かを判定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像認識システム。
【請求項5】
前記基準取得部は、前記移動作業によって同じ前記移動先位置に移動させる前記対象物品の数量を示す数量情報を取得し、
前記画像認識部は、前記画像情報に含まれる、同じ前記移動先位置に移動された前記対象物品の数量を画像認識して、当該対象物品の数量を判定し、その判定結果が前記数量情報に鑑みて正しいか否かを更に判定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像認識システム。
【請求項6】
前記移動元位置は、収容棚又は搬送装置に設定された収容位置、前記収容棚に収容されている収容容器、及び、前記搬送装置により搬送されている搬送容器のいずれかであり、
前記移動先位置は、前記収容位置、前記収容容器、及び、前記搬送容器のいずれかである、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像認識システム。
【請求項7】
1つの前記作業エリアに対して、撮像方向が互いに異なる複数の前記撮像装置が設置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像認識システム。
【請求項8】
前記作業エリアにおけるそれぞれの前記移動元位置について前記作業者の影にならずに撮像できる前記撮像装置が少なくとも1つは存在し、前記作業エリアにおけるそれぞれの前記移動先位置について前記作業者の影にならずに撮像できる前記撮像装置が少なくとも1つは存在するように、複数の前記撮像装置の設置場所と撮像方向とが設定されている、請求項7に記載の画像認識システム。
【請求項9】
複数の前記作業エリアのそれぞれが、複数の前記撮像装置の撮像範囲が互いに重複する範囲に含まれている、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報を取得する撮像装置と、前記画像情報に対する画像認識処理を行う画像認識部と、を備えた画像認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下、背景技術について説明する。以下の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。かかる画像認識システムの従来例が、特開2014-091608号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の画像認識システムは、ピッキング設備に備えられている。このピッキング設備では、流動棚40に収容されている供給ケース12から物品を取り出し、その物品を集品用コンベヤ45に載置されている集品ケース11に収容するように、作業者が移動元位置(供給ケース12)から移動先位置(集品ケース11)に物品を移動させる移動作業を行っている。
【0003】
上述した特許文献1の画像認識システムは、1つの移動元位置を撮像する移動元用の撮像装置(供給側カメラ30a)と、1つの移動先位置を撮像する移動先用の撮像装置(集品側カメラ30b)と、を備えている。そして、画像認識部は、移動元用の撮像装置により経時的に取得された画像情報に含まれる、対象物品の取り出し前の画像と取り出し後の画像とを比較して、取り出された対象物品の数量を判定すると共に、移動先用の撮像装置により経時的に取得された画像情報に含まれる、対象物品を収容する前の画像と収容した後の画像とを比較して、収容された対象物品の数量を判定する。また、画像認識部は、これらの判定結果が、ピッキングオーダー情報に鑑みて正しいか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-091608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した画像認識システムでは、移動元位置や移動先位置において物品数の増減を判定してピッキングオーダー情報に鑑みて正しいか否かを判定しているが、移動すべき移動元位置とは別の移動元位置から特定の移動先位置に対象物品を移動させた場合や、特定の移動先位置から移動すべき移動先位置とは別の移動先位置に対象物品を移動させた場合に、その対象物品の移動が正しいか否かを判定してはいない。そのため、例えば、特定の移動先位置における物品数の増加がピッキングオーダー情報に鑑みて正しいか場合であっても、それが正しい移動元位置から取り出された物品であるか否かまでを判定することはできていなかった。
【0006】
そこで、移動元位置から移動先位置への対象物品の移動が正しく行われたか否かを判定できる画像認識システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、画像認識システムの特徴構成は、画像情報を取得する撮像装置と、前記画像情報に対する画像認識処理を行う画像認識部と、作業者が移動元位置から移動先位置まで物品を移動させる移動作業の対象物品について、前記対象物品の前記移動作業の正否の判定基準情報を取得する基準取得部と、を有し、前記撮像装置は、複数の前記移動元位置がある移動元領域と、複数の前記移動先位置がある移動先領域と、を含む作業エリアを撮像し、前記画像認識部は、経時的に取得された前記画像情報に含まれる、前記対象物品の位置及び前記対象物品を移動させる前記作業者の手の位置の少なくとも一方を画像認識して、前記対象物品の前記移動元位置及び前記移動先位置を判定し、判定結果が前記判定基準情報に鑑みて正しいか否かを判定し、前記撮像装置は複数設置され、それぞれの前記撮像装置の撮像範囲に複数の前記作業エリアが含まれると共に、隣接して設置された複数の前記撮像装置の撮像範囲が互いに重複するように設置されている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、画像認識部は、経時的に取得された画像情報に含まれる、対象物品の位置及び対象物品を移動させる作業者の手の位置の少なくとも一方を画像認識することで、移動する対象物品の移動元位置及び移動先位置の双方を認識することができる。そして、このように認識した移動元位置及び移動先位置の双方が、判定基準情報に鑑みて正しいか否かを判定することができる。つまり、対象物品のそれぞれについての移動元位置と移動先位置との組み合わせが正しいか否かを判定することができる。従って、この特徴構成によれば、移動元位置から移動先位置への対象物品の移動が正しく行われたか否かを判定できる画像認識システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ピッキング設備の平面図
図2】ピッキング設備の側面図
図3】制御ブロック図
図4】点灯消灯制御のフローチャート
図5】判定制御のフローチャート
図6】対象収容ケースからの対象物品の取り出しが正しい場合の動画像の一例を表示している表示装置を示す図
図7】作業者が対象物品を移動中である場合の動画像の一例を表示している表示装置を示す図
図8】集品ケースへの対象物品の収容が正しい場合の動画像の一例を表示している表示装置を示す図
図9】対象収容ケースからの対象物品の取り出しが正しくない場合の動画像の一例を表示している表示装置を示す図
図10】集品ケースへの対象物品の収容が正しくない場合の動画像の一例を表示している表示装置を示す図
図11】別実施形態におけるピッキング設備の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
画像認識システムを備えたピッキング設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、ピッキング設備には、供給ケースC1を収容する流動棚1と、集品ケースC2を搬送する第1搬送装置2と、空になった供給ケースC1を搬送する第2搬送装置3と、を備えている。流動棚1と第1搬送装置2との間に、ピッキング作業箇所Pが形成されている。上下方向Z視で、第1方向Xに対して直交する方向を第2方向Yとして説明する。また、第1方向Xの一方側を第1方向第1側X1、その反対側を第1方向第2側X2として説明する。また、第2方向Yの一方側を第2方向第1側Y1、その反対側を第2方向第2側Y2として説明する。
【0011】
図1に示すように、ピッキング作業箇所Pは、第1方向Xに並ぶ状態で複数形成されている。ピッキング作業箇所Pでは、物品Wの種類及び物品Wの数量を指定する形態で生成された複数の物品処理情報(以降、オーダー情報OD(図3参照)と称する)に基づいて、作業者Mがピッキング作業を行う。そして、ピッキング作業箇所Pでは、ピッキング作業(移動作業)として、オーダー情報ODで指定された種類及び数量の物品Wを、供給ケースC1から取り出して集品ケースC2に収容する作業が行われる。このようなピッキング作業が、1つのオーダー情報ODに対して1回又は複数回行われる。
【0012】
図1に示すように、ピッキング設備は、複数のピッキング作業箇所Pに応じて複数の作業エリアAに区分けされている。1つの作業エリアAには、1つのピッキング作業箇所Pが設定されると共に、流動棚1の一部、第1搬送装置2の一部、及び第2搬送装置3の一部が含まれている。
【0013】
図1及び図2に示すように、供給ケースC1及び集品ケースC2の夫々は、上方側に開口する箱状に形成されている。本実施形態では、供給ケースC1及び集品ケースC2の上下方向Z視の形状は矩形状に形成されている。図1に示すように、集品ケースC2は、集品ケースC2の長手方向が第1方向Xに沿う姿勢で第1搬送装置2により搬送される。尚、集品ケースC2の開口をケース開口5と称する。
【0014】
流動棚1は、ピッキング作業箇所Pに対して第2方向第1側Y1に隣接する位置に設置されている。流動棚板6は、図2に示すように上下方向Zに複数段並び、且つ、図1に示すように、第1方向Xに複数列並ぶ状態で設けられている。図2に示すように、流動棚板6の夫々における先端部(第2方向第2側Y2の端部)の上方には、間口7が形成されている。本実施形態では、上下方向Zに3段並ぶ流動棚板6を備えた流動棚1が、1つの作業エリアAにつき第1方向Xに4列並ぶ状態で設けられている。
【0015】
流動棚板6の夫々は、上下方向Z視で第2方向Yに沿う姿勢で配置されている。そして、複数の流動棚板6が、第1方向Xに並ぶと共に互いに平行に設けられている。流動棚板6の夫々は、第2方向第2側Y2に向かうに従って下方に向かうように傾斜した姿勢で配置されている。流動棚板6に載置された供給ケースC1は、第2方向Yに沿って第2方向第2側Y2に向けて自重により移動する。
【0016】
流動棚1は、流動棚板6上に第2方向Yに1列に並ぶ状態で複数の供給ケースC1を収容可能に構成されている。本実施形態では、1つの供給ケースC1には、1つの種類の物品Wが収容されている。流動棚板6上にある1つ又は複数の供給ケースC1のうちの最も第2方向第2側Y2にある供給ケースC1を対象供給ケースCT1として、ピッキング作業では対象供給ケースCT1から物品Wが取り出される。空になった供給ケースC1は、作業者Mによって流動棚1から取り出されて、第2搬送装置3に載せられる。
【0017】
図1及び図2に示すように、流動棚板6の夫々における先端(第2方向第2側Y2の端部)に、第1表示器11が設けられている。図1に示すように、第1表示器11は、取り出す物品Wの数量を表示する第1表示部12と、点灯及び消灯可能な第1点灯部13と、押し操作可能な第1スイッチ部14と、を有している。本実施形態では、第1点灯部13が、押し操作可能に構成されており、当該第1点灯部13が第1スイッチ部14としての機能も有している。また、本実施形態では、第1点灯部13は、第1方向Xに隣接する別の作業エリアAに設置されている第1点灯部13とは異なる色で点灯するように構成されている。例えば、第1点灯部13が点灯する色は、第1方向Xに並ぶピッキング作業箇所P毎に交互に異なる色(例えば赤と緑等)に設定されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、第1搬送装置2は、ピッキング作業箇所Pに対して第2方向第2側Y2に隣接する位置に設置されている。第1搬送装置2は、第1方向Xに1列に並ぶ状態で複数の供給ケースC1を第1方向Xに沿って第1方向第1側X1に向けて搬送する。作業エリアAに搬送される集品ケースC2には、物品Wが収容されていない、又は、第1搬送装置2の搬送方向上流側(第1方向第2側X2)にある別の作業エリアAにおいて行われたピッキング作業により収容された物品Wが1つ又は複数収容されている。第1搬送装置2は、第2スイッチ部21を備えている。この第2スイッチ部21は、作業エリアAの夫々に設置されている。本実施形態では、第2スイッチ部21は、テープスイッ
チにより構成されている。
【0019】
図1に示すように、第1搬送装置2は、搬送する集品ケースC2に対応する位置に第2表示器16を備えている。第2表示器16は、第1搬送装置2に搬送される集品ケースC2と一体的に第1方向Xに沿って第1方向第1側X1に向けて移動する。本実施形態では、第2表示器16は、第1方向Xにおいて集品ケースC2の幅内となる位置で、且つ、集品ケースC2に対して第2方向第2側Y2の位置にあり、集品ケースC2に固定されている。
【0020】
第2表示器16は、点灯及び消灯可能な第2点灯部17と、オーダー情報ODを識別する識別情報であるオーダーID情報を表示する第2表示部18と、制御部19(図3参照)と、通信部20(図3参照)と、を有している。本実施形態では、第2点灯部17は、第2表示器16が存在する作業エリアAに応じた色を点灯可能に構成されている。例えば、第2点灯部17は、第1方向Xに並ぶ作業エリアA毎に交互に異なる色(例えば赤と緑等)に点灯するように、制御部19によって制御される。また、第2表示器16は、通信部20により、後述する制御装置Hとの間で無線通信可能に構成されている。尚、同じ作業エリアAに存在する第1点灯部13と第2点灯部17とは同じ色に点灯するようになっている。
【0021】
第2搬送装置3は、第1搬送装置2に対して第2方向第2側Y2に隣接する位置に設置されている。第2搬送装置3は、作業者Mによって載せられた供給ケースC1を第1方向Xに沿って第1方向第1側X1に向けて搬送する。
【0022】
本実施形態では、流動棚1が収容棚に相当し、供給ケースC1が、収容棚に収容されている収容容器に相当し、対象供給ケースCT1が、移動元位置に相当する。また、本実施形態では、第1搬送装置2が、搬送装置に相当し、集品ケースC2が、搬送装置に搬送されている搬送容器に相当すると共に、移動先位置に相当する。作業者Mは、移動元位置(供給ケースC1)から移動先位置(集品ケースC2)まで物品Wを移動させる移動作業(ピッキング作業)を行う。また、第1点灯部13が、移動元表示部に相当し、第2点灯部17が、移動先表示部に相当する。以下、移動作業の対象となっている物品Wを対象物品WTと称する。
【0023】
図1及び図2に示すように、ピッキング設備には、画像情報を取得する撮像装置23が設置されている。撮像装置23は、複数の対象供給ケースCT1がある移動元領域A1と、複数の集品ケースC2がある移動先領域A2と、を含む作業エリアAを撮像するように設置されている。第1表示器11及び第2表示器16は、作業エリアAに設置されている。本実施形態では、第1表示器11は、移動元領域A1に設置されており、第2表示器16は、移動先領域A2に設置されている。
【0024】
また本実施形態では、作業エリアAには、移動元領域A1と移動先領域A2とに加えて、対象供給ケースCT1から集品ケースC2に対象物品WTを移動させる場合に当該対象物品WTが移動する移動領域A3も含まれており、撮像装置23は、この移動領域A3も撮像する。本実施形態では、撮像装置23は、1つの作業エリアAに対して1台設置されており、1台の撮像装置23が、1つの作業エリアAの移動元領域A1、移動先領域A2、及び移動領域A3の動画像を撮像する。撮像装置23は、流動棚1、第1搬送装置2、及び作業者Mより上方側で、且つ、撮像する作業エリアAに対して第1方向第1側X1に設置されており、作業エリアAを上方側で且つ第1方向第1側X1から斜め下方に向かって撮像する。撮像装置23は、撮像した撮像情報を後述する制御装置Hに送信する。
【0025】
移動元領域A1には、複数の対象供給ケースCT1、複数の対象供給ケースCT1から
対象物品WTを取り出すための間口7、及び複数の第1表示器11がある。また、移動先領域A2には、複数の集品ケースC2、及び複数の第2表示器16がある。また、移動領域A3には、基本的に1人の作業者Mが存在している。撮像装置23は、これら複数の対象供給ケースCT1、複数の間口7、複数の第1表示器11、複数の集品ケースC2、複数の第2表示器16、及び作業者Mを撮像する。ピッキング作業では、作業者Mは対象物品WTを手に持って移動させる。本実施形態では、撮像装置23は、ピッキング作業箇所Pでピッキング作業を行っている作業者Mの手も撮像する。
【0026】
〔制御装置〕
図3に示すように、ピッキング設備には、流動棚1及び第1搬送装置2を制御する制御装置Hが備えられている。制御装置Hは、例えばCPUと記憶装置を備えたコンピュータにて構成されている。制御装置Hには、オーダー情報ODを管理する管理装置Kが接続されている。管理装置Kは、仕分け先からの注文に基づいて、集品すべき物品Wの種類とその数量とを定める形態で仕分け先に対応付けて作成されたオーダー情報ODを管理するデータベース、及び、各オーダー情報ODをどのようなタイミング又は順序で処理するかを管理するスケジューラ等を備えて構成されている。オーダー情報ODには、オーダー情報ODを識別するためのオーダーID情報と、仕分け先を示す仕分け先情報と、その仕分け先に出荷する物品Wの種類を示す種類情報と、物品Wの種類毎の数量を示す数量情報と、が含まれている。第1搬送装置2に搬送されている集品ケースC2の夫々に対して、仕分け先が設定されている。制御装置Hは、オーダー情報ODに含まれる種類情報に応じて、対象物品WTを取り出す対象供給ケースCT1を設定し、オーダー情報ODに含まれる仕分け先情報に応じて、対象物品WTを投入する集品ケースC2を設定する。
【0027】
制御装置Hは、オーダー情報ODに基づいて、第1点灯制御と第2点灯制御と第1消灯制御と第2消灯制御とを実行して、流動棚1に備えられている第1表示器11及び第1搬送装置2に備えられている第2表示器16を制御する。
【0028】
第1点灯制御は、管理装置Kからのオーダー情報ODに基づいて、そのオーダー情報ODに示される物品Wの種類に対応する流動棚板6に設置されている第1表示器11の第1点灯部13を点灯させると共に、当該第1表示器11の第1表示部12に、対象供給ケースCT1から取り出すべき対象物品WTの個数を数値で表示させるように、第1表示器11を制御する。第2点灯制御は、管理装置Kからのオーダー情報ODに基づいて、そのオーダー情報ODに対して設定された集品ケースC2に対応する第2表示器16の第2点灯部17を点灯させると共に、当該第2表示器16の第2表示器16にオーダーID情報を表示させるように、第2表示器16を制御する。
【0029】
第1消灯制御は、第1スイッチ部14が押し操作されるのに伴って、当該第1スイッチ部14と同じ第1表示器11に備えられている第1点灯部13を消灯させると共に第1表示部12の表示を停止させるように、第1表示器11を制御する。第2消灯制御は、第2スイッチ部21が押し操作されるに伴って、当該第2スイッチ部21と同じ作業エリアAにある第2表示器16の第2点灯部17を消灯させると共に第2表示部18の表示を停止させるように、第2表示器16を制御する。
【0030】
図4に示す点灯消灯制御のフローチャートに示すように、制御装置Hは、オーダー情報ODに基づいて第1点灯制御と第2点灯制御とを実行する(S1)。そして、対象物品WTを対象供給ケースCT1から取り出す作業を終えた作業者Mによって第1点灯部13(第1スイッチ部14)が押し操作されるに伴って、第1消灯制御を実行(S2,S3)し、対象物品WTを集品ケースC2に収容する作業を終えた作業者Mによって第2スイッチ部21が押し操作されるに伴って、第2消灯制御を実行する(S4,S5)。
【0031】
〔画像認識システム〕
図3に示すように、ピッキング設備には、画像認識システムSが備えられている。次に、画像認識システムSについて説明する。画像認識システムSは、画像情報を取得する撮像装置23と、画像情報に対する画像認識処理を行う画像認識部24と、ピッキング作業の対象物品WTについて、対象物品WTのピッキング作業の正否の判定基準情報を取得する基準取得部25と、を有している。また、画像認識システムSには、対象物品WTの移動元位置を示す第1点灯部13と、対象物品WTの移動先位置を示す第2点灯部17と、が含まれている。また、画像認識システムSは、撮像情報を表示するための表示装置26を更に備えている。画像認識部24と基準取得部25とは、制御装置Hにプログラム形式で備えられている。
【0032】
制御装置H(画像認識部24)は、画像情報に含まれる第1点灯部13の表示及び第2点灯部17の表示を画像認識して、対象物品WTの対象供給ケースCT1及び集品ケースC2を判定する。本実施形態では、画像情報に含まれる点灯状態の第1点灯部13の表示を画像認識して、当該点灯状態の第1点灯部13に対応する対象供給ケースCT1を、対象物品WTを取り出す対象供給ケースCT1として判定する。また、画像情報に含まれる点灯状態の第2点灯部17の表示を画像認識して、当該点灯状態の第2点灯部17に対応する集品ケースC2を、対象物品WTを収容する集品ケースC2として判定する。
【0033】
制御装置H(基準取得部25)は、画像認識部24の画像認識結果に示される、第1点灯部13に対応する対象供給ケースCT1及び第2点灯部17に対応する集品ケースC2を、判定基準情報として取得する。制御装置H(画像認識部24)は、経時的に取得された画像情報に含まれる、対象物品WTを移動させる作業者Mの手の位置を画像認識して、対象物品WTの移動元となった対象供給ケースCT1及び移動先となった集品ケースC2を判定する。そして、その判定結果が判定基準情報に鑑みて正しいか否かを判定する。
【0034】
説明を加えると、制御装置Hは、撮像情報に基づいて作業者Mの手の位置を画像認識し、第1点灯部13が点灯している状態で、その第1点灯部13に対応する対象供給ケースCT1から物品Wを取り出すように作業者Mの手が移動したと判定した場合は、取り出すべき対象供給ケースCT1から対象物品WTが取り出されたとして、正しい取り出しと判定する。これに対して、制御装置Hは、撮像情報に基づいて作業者Mの手の位置を画像認識し、第1点灯部13が点灯している状態で、その第1点灯部13に対応する対象供給ケースCT1とは異なる対象供給ケースCT1から物品Wを取り出すように作業者Mの手が移動したと判定した場合は、取り出すべき対象供給ケースCT1以外の対象供給ケースCT1から対象物品WTが取り出されたとして、正しくない取り出しと判定する。また、制御装置Hは、第1点灯部13が点灯している状態で、物品Wの取り出しについて正しいか否かを判定できなかった場合は、不明な取り出しと判定する。
【0035】
また、制御装置Hは、撮像情報に基づいて作業者Mの手の位置を画像認識し、第2点灯部17が点灯している状態で、その第2点灯部17に対応する集品ケースC2に物品Wを収容するように作業者Mの手が移動したと判定した場合は、収容すべき集品ケースC2に対象物品WTが収容されたとして、正しい収容と判定する。これに対して、制御装置Hは、撮像情報に基づいて作業者Mの手の位置を画像認識し、第2点灯部17が点灯している状態で、その第2点灯部17に対応する集品ケースC2とは異なる集品ケースC2に物品Wを収容するように作業者Mの手が移動したと判定した場合は、収容すべき集品ケースC2以外の集品ケースC2に対象物品WTが収容されたとして、正しくない収容と判定する。また、制御装置Hは、第2点灯部17が点灯している状態で、物品Wの収容について正しいか否かを判定できなかった場合は、不明な収容と判定する。
【0036】
また、制御装置H(基準取得部25)は、対象物品WTの種類を示す種類情報を取得す
る。本実施形態では、制御装置Hは、オーダー情報ODから種類情報を取得する。制御装置H(画像認識部24)は、画像情報に含まれる対象物品WTの種類を認識して、対象物品WTの種類を判定し、その判定結果が種類情報に鑑みて正しいか否かを判定する。本実施形態では、制御装置Hは、第2点灯部17が点灯している状態で、その第2点灯部17に対応する集品ケースC2に物品Wを収容するように作業者Mの手が移動したと判定した場合に、画像認識により、集品ケースC2に収容された対象物品WTの種類を判定する。そして、判定した種類と種類情報が示す種類とが一致する場合は、正しい種類と判定し、判定した種類と種類情報が示す種類とが一致しない場合は、正しくない種類と判定する。また、画像認識により、集品ケースC2に収容された対象物品WTの種類を判定できない場合は、種類は不明と判定する。
【0037】
更に、制御装置H(基準取得部25)は、移動作業によって同じ集品ケースC2に移動させる対象物品WTの数量を示す数量情報を取得する。本実施形態では、オーダー情報ODから数量情報を取得する。制御装置H(画像認識部24)は、画像情報に含まれる、同じ集品ケースC2に移動された対象物品WTの数量を画像認識して、当該対象物品WTの数量を判定し、その判定結果が数量情報に鑑みて正しいか否かを更に判定する。本実施形態では、制御装置Hは、第2点灯部17が点灯している状態で、その第2点灯部17に対応する集品ケースC2に物品Wを収容するように作業者Mの手が移動したと判定した場合に、画像認識により、集品ケースC2に収容された対象物品WTの数量を判定する。そして、判定した数量と数量情報が示す数量とが一致する場合は、正しい数量と判定し、判定した数量と数量情報が示す数量とが一致しない場合は、正しくない数量と判定する。また、画像認識により、集品ケースC2に収容された対象物品WTの数量を判定できない場合は、数量は不明と判定する。
【0038】
図5に示すフローチャートと図6から図10の表示装置26の表示を示す図とに基づいて具体例を説明する。制御装置Hは、撮像装置23によって撮像された撮像情報を表示装置26にリアルタイムで表示させることが可能であると共に、表示装置26の第3表示領域D3や第4表示領域D4によって撮像時期を指定することで、その指定した時期に撮像装置23によって撮像された撮像情報を表示装置26に表示させることが可能となっている。
【0039】
制御装置Hは、撮像情報に基づいて、第1点灯部13の点灯を認識した場合は、対象物品WTを取り出す対象供給ケースCT1を判定する(S11、S12)。このとき、図6に示すように、点灯した第1点灯部13を認識したことを示す第1シンボルB1と、点灯を認識した第1点灯部13に対応する間口7を示す第2シンボルB2と、を付した状態で、撮像装置23が撮像した画像情報を記憶する。また、この撮像情報に関連付けた状態で、対象物品WTを取り出す対象供給ケースCT1を判定したことを示す情報を記憶する。第1点灯部13の点灯を認識した状態を表示装置26に表示させる場合は、図6に示すように、第1表示領域D1には、そのときに撮像装置23によって撮像された撮像情報に加えて、第1シンボルB1及び第2シンボルB2を表示させると共に、第2表示領域D2に、対象物品WTを取り出す対象供給ケースCT1を判定したことを示す情報を、文字列で表示する。
【0040】
制御装置Hは、第1点灯部13が点灯している状態において、移動元領域A1において作業者Mの手の動きを認識した場合(S13:Yes)に、作業者Mが取り出すべきと判定した対象供給ケースCT1から対象物品WTを取り出したと判定した場合(S14:Yes)は、正しい取り出しと判定する(S15)。このとき、図6に示すように、作業者Mの手の位置を示す第3シンボルB3と、正しい取り出しが行われたことを示す第4シンボルB4と、を付した状態で、撮像装置23が撮像した画像情報を記憶する。また、この撮像情報に関連付けた状態で、正しい取り出しを判定したことを示す情報を記憶する。正
しい取り出しと判定した状態を表示装置26に表示させる場合は、図6に示すように、第1表示領域D1には、そのときに撮像装置23によって撮像された撮像情報に加えて、第3シンボルB3及び第4シンボルB4を表示させると共に、第2表示領域D2に、正しい取り出しを判定したことを示す情報を、文字列で表示する。なお、図示の例では、正しい取り出しが行われたことを示す第4シンボルB4は、「OK」の文字列を含むシンボル画像とされている。
【0041】
制御装置Hは、第1点灯部13が点灯している状態において、移動元領域A1において作業者Mの手の動きを認識した場合(S13:Yes)に、作業者Mが取り出すべきと判定した対象供給ケースCT1とは異なる対象供給ケースCT1から対象物品WTを取り出したと判定した場合(S14:No)は、正しくない取り出しと判定する(S16)。このとき、図9に示すように、作業者Mの手の位置を示す第3シンボルB3と、正しくない取り出しが行われたことを示す第8シンボルB8と、を付した状態で、撮像装置23が撮像した画像情報を記憶する。また、この撮像情報に関連付けた状態で、正しくない取り出しを判定したことを示す情報を記憶する。正しくない取り出しと判定した状態を表示装置26に表示させる場合は、図9に示すように、第1表示領域D1には、そのときに撮像装置23によって撮像された撮像情報に加えて、第3シンボルB3及び第8シンボルB8を表示させると共に、第2表示領域D2に、正しくない取り出しを判定したことを示す情報を、文字列で表示する。なお、図示の例では、正しくない取り出しが行われたことを示す第8シンボルB8は、「NG」の文字列を含むシンボル画像とされている。
【0042】
制御装置Hは、撮像情報に基づいて、第2点灯部17の点灯を認識した場合は、対象物品WTを収容する集品ケースC2を判定する(S18、S19)。このとき、図8に示すように、点灯した第2点灯部17を認識したことを示す第5シンボルB5と、点灯を認識した第2点灯部17に対応する集品ケースC2のケース開口5を示す第6シンボルB6と、を付した状態で、撮像装置23が撮像した画像情報を記憶する。また、この撮像情報に関連付けた状態で、対象物品WTを収容する集品ケースC2を判定したことを示す情報を記憶する。第2点灯部17の点灯を認識した状態を表示装置26に表示させる場合は、図8に示すように、第1表示領域D1には、そのときに撮像装置23によって撮像された撮像情報に加えて、第5シンボルB5及び第6シンボルB6を表示させると共に、第2表示領域D2に、対象物品WTを収容する集品ケースC2を判定したことを示す情報を、文字列で表示する。
【0043】
制御装置Hは、第2点灯部17が点灯している状態において、移動先領域A2において作業者Mの手の動きを認識した場合(S20:Yes)に、作業者Mが収容すべきと判定した集品ケースC2に対象物品WTを収容したと判定した場合(S21:Yes)は、正しい取り出しと判定(S22)すると共に、集品ケースC2に収容された対象物品WTの種類と数量とを判定する。このとき、図8に示すように、作業者Mの手の位置を示す第3シンボルB3と、正しい収容が行われたことを示す第7シンボルB7と、を付した状態で、撮像装置23が撮像した画像情報を記憶する。また、この撮像情報に関連付けた状態で、正しい収容を判定したことを示す情報と、対象物品WTの種類や個数が正しいか否か又は不明であるかを示す情報を記憶する。正しい収容と判定した状態を表示装置26に表示させる場合は、図8に示すように、第1表示領域D1には、そのときに撮像装置23によって撮像された撮像情報に加えて、第3シンボルB3及び第7シンボルB7を表示させると共に、第2表示領域D2に、正しい取り出しを判定したことを示す情報や、対象物品WTの種類や個数が正しいか否か又は不明であるかを示す情報を、文字列で表示する。なお、図示の例では、正しい取り出しが行われたことを示す第7シンボルB7は、「OK」の文字列を含むシンボル画像とされている。
【0044】
制御装置Hは、第2点灯部17が点灯している状態において、移動先領域A2において
作業者Mの手の動きを認識した場合(S20:Yes)に、作業者Mが収容すべきと判定した集品ケースC2とは異なる集品ケースC2に対象物品WTを収容したと判定した場合(S21:No)は、正しくない収容と判定する(S24)。このとき、図10に示すように、作業者Mの手の位置を示す第3シンボルB3と、正しくない収容が行われたことを示す第9シンボルB9と、を付した状態で、撮像装置23が撮像した画像情報を記憶する。また、この撮像情報に関連付けた状態で、正しくない収容を判定したことを示す情報を記憶する。正しくない収容と判定した状態を表示装置26に表示させる場合は、図10に示すように、第1表示領域D1には、そのときに撮像装置23によって撮像された撮像情報に加えて、第3シンボルB3及び第9シンボルB9を表示させると共に、第2表示領域D2に、正しくない収容を判定したことを示す情報を、文字列で表示する。なお、図示の例では、正しくない取り出しが行われたことを示す第9シンボルB9は、「NG」の文字列を含むシンボル画像とされている。
【0045】
なお、制御装置Hは、移動元領域A1及び移動先領域A2の双方において作業者Mの手の動きを認識しておらず、移動領域A3において作業者Mの手の動きを認識している場合には、図7に示すように、作業者Mの手の位置を示す第3シンボルB3を付した状態で、撮像装置23が撮像した画像情報を記憶する。図示の例では、制御装置Hは、撮像情報に基づいて、第2点灯部17の点灯を認識している。そのため、制御装置Hは、点灯した第2点灯部17を認識したことを示す第5シンボルB5と、点灯を認識した第2点灯部17に対応する集品ケースC2のケース開口5を示す第6シンボルB6と、を更に付した状態で、撮像装置23が撮像した画像情報を記憶する。
【0046】
2.その他の実施形態
次に、画像認識システムのその他の実施形態について説明する。
【0047】
(1)上記実施形態では、画像認識部24が判定した移動元位置及び移動先位置を示す情報を、基準取得部25が判定基準情報として取得する構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、基準取得部25が、作業者Mに対する対象物品WTの移動指示を示す指示情報を判定基準情報として取得する構成としてもよい。この場合において、例えば、管理装置Kから取得するオーダー情報ODを指示情報(判定基準情報)としてもよい。この場合、図3に示すように、基準取得部25は、管理装置Kからオーダー情報OD(指示情報)を取得する。そして、基準取得部25は、オーダー情報ODに含まれる種類情報を、対象物品WTの移動元位置を示す移動元情報として取得し、オーダー情報ODに含まれる仕分け先情報を、対象物品WTの移動先位置を示す移動先情報として取得する。より具体的には、基準取得部25は、オーダー情報ODに含まれる種類情報に基づいて、当該種類の物品Wが収容された対象供給ケースCT1等を移動元位置とすることができる。また、基準取得部25は、オーダー情報ODに含まれる仕分け先情報に基づいて、当該仕分け先に対応する集品ケースC2等を移動先位置とすることができる。
【0048】
また、作業者Mに対して移動作業の内容を示す作業指示が音声で伝えられる場合には、当該作業指示を指示情報(判定基準情報)としてもよい。この場合、ピッキング設備には、作業指示の音声を集音するマイクと、マイクが集音した音声を認識して対象物品WTの移動元位置及び移動先位置を示す情報を取得する音声認識部と、を備えるとよい。そして、基準取得部25は、音声認識部が取得した移動元位置及び移動先位置を示す情報を判定基準情報として取得するとよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、第1点灯部13を移動元表示部とし、第2点灯部17を移動先表示部をとした構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、移動元表示部や移動先表示部を、投影面にプロジェクションマッピングによる画像が投影されることにより移動元位置又は移動先位置を表示する表示部としてもよく、投影面にレーザー光が
照射されることにより移動元位置又は移動先位置を表示する表示部としてもよい。これらの場合において、投影面は、移動元位置となる対象供給ケースCT1や当該対象供給ケースCT1が置かれた収容棚の作業者側を向く面等、或いは、移動先位置となる集品ケースC2や当該集品ケースC2を搬送する第1搬送装置2の作業者側を向く面等とされると好適である。
【0050】
(3)上記実施形態では、1つの作業エリアAに対して1台の撮像装置23を備えた構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、1つの作業エリアAに対して複数の撮像装置23を備えてもよい。この場合、例えば図11に示すように、1つの作業エリアAに対して、撮像方向が互いに異なるように複数の撮像装置23を設置してもよい。この場合、撮像装置23により撮像する必要がある複数箇所のそれぞれについて、作業者Mの影にならずに撮像できる撮像装置23が少なくとも1つは存在するように、複数の撮像装置23の設置場所を撮像方向が設定されていると好適である。
【0051】
(4)上記実施形態では、1台の撮像装置23の撮像範囲が、1つの作業エリアAに対応するように設定された構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、1台の撮像装置23の撮像範囲に複数の作業エリアAが含まれるように、撮像装置23が設置されていてもよい。この場合、例えば、複数の作業エリアAに対して1つの撮像装置23が設置された構成でもよい。或いは、1台の撮像装置23の撮像範囲に隣接する複数の作業エリアAが含まれると共に、隣接して配置された複数台の撮像装置23の撮像範囲が、互いに重複する領域を有するように設置された構成でもよい。これらの構成によれば、作業者Mが各自の作業エリアAから出て別の作業エリアAで作業を行うことがあった場合にも、そのような作業者Mの移動に追従して画像認識を行うことが可能となる。
【0052】
(5)上記実施形態では、画像認識部24が、対象物品WTの移動元位置、移動先位置、種類、及び数量を判定し、これらの判定結果が正しいか否かを判定する構成を例として説明したが、これには限定されない。画像認識部24は、少なくとも移動元位置及び移動先位置を判定し、これらの判定結果が正しいか否かを判定する構成とされればよい。例えば、画像認識部24が、対象物品WTの種類及び数量の一方又は双方について判定しない構成であってもよい。また、画像認識部24が、上記の事項に加えて、或いは、上記の事項のいずれかに代えて、上記の事項以外について判定する構成であってもよい。例えば、画像認識部24が、対象物品WTの破損の有無等について判定する構成であってもよい。
【0053】
(6)上記実施形態では、第2表示器16が集品ケースC2に固定されていることで、第2表示器16が集品ケースC2と一体的に移動する構成を例として説明した。しかし、第2表示器16を集品ケースC2と一体的に移動させるための構成は適宜変更してもよい。例えば、第2表示器16を第1搬送装置2に支持させる、或いは、集品ケースC2を搬送する搬送部とは別の搬送部を備えることで、第2表示器16を集品ケースC2と一体的に移動させる構成としてもよい。
【0054】
(7)上記実施形態では、撮像装置23が撮像した撮像情報、及び、画像認識部24が判定した情報を制御装置Hが記憶し、後から撮像装置23の撮像した撮像情報、及び、画像認識部24が判定した情報を確認可能な構成を例として説明した、これには限定されない。例えば、撮像情報や判定した情報を制御装置Hに記憶させずに、画像認識部24が判定した情報に基づいて、非常制御を実行する構成してもよい。この非常制御として、例えば、正しくない取り出しや収容が行われた場合に、非常ランプを点灯させることや、非常ブザーを鳴らす等の非常装置を作動させるとよい。なお、このように、非常制御を実行する場合でも、撮像情報や判定した情報を制御装置Hに記憶させてもよい。
【0055】
(8)上記実施形態では、画像認識システムSが、収容棚の供給ケースC1に収容されて
いる物品Wを搬送装置に支持されている集品ケースC2に収集するピッキング作業を行うピッキング設備に備えられた構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、画像認識システムSが、集品ケースC2を支持した台車を作業者Mが移動させて、収容棚の供給ケースC1に収容されている物品Wを台車の集品ケースC2に収集するピッキング作業を行うピッキング設備に備えられてもよい。また、例えば、画像認識システムSが、搬送装置に支持されている供給ケースC1に収容されている物品Wを、収容棚の集品ケースC2に収集するアソート作業を行うアソート設備に備えられてもよい。
【0056】
(9)上記実施形態では、対象供給ケースCT1(供給ケースC1)を移動元位置とし、集品ケースC2を移動先位置とした。しかし、移動元位置や移動先位置は適宜変更してもよい。例えば、収納棚又は搬送装置に設定された収容位置(容器が存在しない場所等)、又は、搬送装置により搬送されている搬送容器等を、移動元位置としてもよい。また、例えば、収納棚又は搬送装置に設定された収容位置(容器が存在しない場所等)、又は、収容棚に収容されている収容容器等を、移動先位置としてもよい。
【0057】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0058】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した画像認識システムの概要について説明する。
【0059】
画像認識システムは、画像情報を取得する撮像装置と、前記画像情報に対する画像認識処理を行う画像認識部と、作業者が移動元位置から移動先位置まで物品を移動させる移動作業の対象物品について、前記対象物品の前記移動作業の正否の判定基準情報を取得する基準取得部と、を有し、前記撮像装置は、複数の前記移動元位置がある移動元領域と、複数の前記移動先位置がある移動先領域と、を含む作業エリアを撮像し、前記画像認識部は、経時的に取得された前記画像情報に含まれる、前記対象物品の位置及び前記対象物品を移動させる前記作業者の手の位置の少なくとも一方を画像認識して、前記対象物品の前記移動元位置及び前記移動先位置を判定し、判定結果が前記判定基準情報に鑑みて正しいか否かを判定する。
【0060】
この構成によれば、画像認識部は、経時的に取得された画像情報に含まれる、対象物品の位置及び対象物品を移動させる作業者の手の位置の少なくとも一方を画像認識することで、移動する対象物品の移動元位置及び移動先位置の双方を認識することができる。そして、このように認識した移動元位置及び移動先位置の双方が、判定基準情報に鑑みて正しいか否かを判定することができる。つまり、対象物品のそれぞれについての移動元位置と移動先位置との組み合わせが正しいか否かを判定することができる。従って、この特徴構成によれば、移動元位置から移動先位置への対象物品の移動が正しく行われたか否かを判定できる画像認識システムを実現できる。
【0061】
また、前記対象物品の前記移動元位置を示す移動元表示部と、前記対象物品の前記移動先位置を示す移動先表示部と、を更に備え、前記移動元表示部及び前記移動先表示部は、前記作業エリアに設置され、前記画像認識部は、前記画像情報に含まれる前記移動元表示部の表示及び前記移動先表示部の表示を画像認識して、前記対象物品の前記移動元位置及び前記移動先位置を判定し、前記基準取得部は、前記画像認識部が判定した前記移動元位置及び前記移動先位置を示す情報を、前記判定基準情報として取得すると好適である。
【0062】
この構成によれば、基準取得部は、画像認識部が認識した画像情報に含まれる表示に基
づいて判定した移動元位置及び移動先位置を示す情報を、判定基準情報として取得する。そのため、対象物品の移動元位置及び前記移動先位置の判定結果に基づいて、作業者が移動元表示部の表示及び移動先表示部の表示に従って正しく対象物品の移動作業を行ったか否かを適切に判定することができる。
【0063】
ここで、前記基準取得部は、前記作業者に対する前記対象物品の移動指示を示す指示情報を前記判定基準情報として取得し、前記指示情報は、前記対象物品の前記移動元位置を示す移動元情報と、前記対象物品の前記移動先位置を示す移動先情報と、を含んでいると好適である。
【0064】
この構成によれば、基準取得部は、指示情報を判定基準情報として取得するため、対象物品の移動元位置及び前記移動先位置の判定結果が、指示情報に鑑みて正しいか否かを適切に判定することができる。
【0065】
また、前記基準取得部は、前記対象物品の種類を示す種類情報を取得し、前記画像認識部は、前記画像情報に含まれる前記対象物品の種類を画像認識して、前記対象物品の種類を判定し、判定結果が前記種類情報に鑑みて正しいか否かを判定すると好適である。
【0066】
この構成によれば、対象物品の移動元位置及び前記移動先位置だけでなく、移動された対象物品の種類までが正しいか否かを判定することができる。従って、作業者が対象物品の移動作業を正しく行ったか否かを更に適切に判定することができる。
【0067】
また、前記基準取得部は、前記移動作業によって同じ前記移動先位置に移動させる前記対象物品の数量を示す数量情報を取得し、前記画像認識部は、前記画像情報に含まれる、同じ前記移動先位置に移動された前記対象物品の数量を画像認識して、当該対象物品の数量を判定し、その判定結果が前記数量情報に鑑みて正しいか否かを更に判定すると好適である。
【0068】
この構成によれば、対象物品の移動元位置及び前記移動先位置だけでなく、移動された対象物品の数量までが正しいか否かを判定することができる。従って、作業者が対象物品の移動作業を正しく行ったか否かを更に適切に判定することができる。
【0069】
また、前記移動元位置は、収容棚又は搬送装置に設定された収容位置、前記収容棚に収容されている収容容器、及び、前記搬送装置により搬送されている搬送容器のいずれかであり、前記移動先位置は、前記収容位置、前記収容容器、及び、前記搬送容器のいずれかであると好適である。
【0070】
この構成によれば、移動元位置及び移動先位置が様々な構成である場合において、それぞれの構成において作業者が対象物品の移動作業を正しく行ったか否かを適切に判定することができる。
【0071】
また、1つの前記撮像装置の撮像範囲に、複数の前記作業エリアが含まれていると好適である。
【0072】
この構成によれば、作業エリアの夫々に対して撮像装置を備える場合に比べて、撮像装置の数を減らすことが可能である為、画像認識システムの製造コストを抑えることができる。また、作業者が各自の作業エリアから出て作業を行うことがあった場合にも、そのような作業者の移動に追従して画像認識を行うことが可能となる。
【0073】
また、1つの前記作業エリアに対して、撮像方向が互いに異なる複数の前記撮像装置が
設置されていると好適である。
【0074】
この構成によれば、作業エリアを異なる撮像方向から撮像することで、対象物品の位置及び対象物品を移動させる作業者の手の位置を画像認識する精度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示に係る技術は、画像情報を取得する撮像装置と、画像情報に対する画像認識処理を行う画像認識部と、を備えた画像認識システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1:流動棚(収容棚)
2:第1搬送装置(搬送装置)
13:第1点灯部(移動元表示部)
17:第2点灯部(移動先表示部)
23:撮像装置
24:画像認識部
25:基準取得部
A:作業エリア
A1:移動元領域
A2:移動先領域
CT1:対象供給ケース(移動元位置、収容容器)
C2:集品ケース(移動先位置、搬送容器)
M:作業者
OD:オーダー情報(指示情報)
W:物品
WT:対象物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11