(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20240326BHJP
B41J 3/407 20060101ALN20240326BHJP
B41J 3/46 20060101ALN20240326BHJP
G06T 7/70 20170101ALN20240326BHJP
【FI】
A45D29/00
B41J3/407
B41J3/46
G06T7/70 A
(21)【出願番号】P 2022163668
(22)【出願日】2022-10-12
(62)【分割の表示】P 2020120316の分割
【原出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 大輔
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-123475(JP,A)
【文献】特開2019-438(JP,A)
【文献】特開2019-97721(JP,A)
【文献】特開2018-649(JP,A)
【文献】特開2018-280(JP,A)
【文献】特開2020-103448(JP,A)
【文献】国際公開第2020/110351(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D29/00-29/22
B41J 3/407
B41J 3/46
G06T 7/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象である爪の先端部分を載せる爪載せ台を有し、前記爪に対応する指を載置する指保持部と、
前記指保持部に載置され
た前記爪の横方向からの画
像を取得する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影可能とする位置に備えられ、前記爪の高さ位置の基準を示す基準マークが形成されている光学素子と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記爪の横方向からの画像において、前記爪の所定の部分が前記基準マークによって定められる範囲内に入る場合に、前記爪の位置が適切であると判断し、
前記爪の所定の部分が前記基準マークによって定められる範囲内に入っていない場合に、前記爪の位置が適切ではないと判断する、
ことを特徴とする
電子機器。
【請求項2】
前記基準マークは、第一の基準マークと、前記指保持部の横方向において前記第一の基準マークより低い位置に設けられる第二の基準マークと、を有し、
前記制御部は、前記爪の横方向からの画像において、前記爪の最も高い部分が前記第一の基準マークと前記第二の基準マークとの間にある場合に、前記爪の位置が適切であると判断し、前記爪の最も高い部分が前記第一の基準マークと前記第二の基準マークとの間にない場合に、前記爪の位置が適切ではないと判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の
電子機器。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記爪の横方向からの画像を前記光学素子を介して撮影することで取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記
光学素子は、複数の段部が設けられた形状である、
ことを特徴とする請求項
1に記載の
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪等にネイルデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている。
例えば特許文献1には、インクジェット方式により爪にネイルデザインの印刷を行う印刷装置が開示されている。
【0003】
ネイルプリントを印刷装置で行うようにすれば、ネイルサロン等を利用することなく、簡易にネイルを楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、印刷装置を用いて爪に印刷を行う場合、印刷ヘッドと爪とが近づきすぎると互いに干渉して爪や印刷ヘッドの表面を傷つけるおそれがある。一方印刷ヘッドと爪とが離れすぎていると高精細な印刷を行うことが難しくなる。
このため、印刷ヘッドと爪との距離が一定の許容範囲内となるように爪を配置する必要がある。
【0006】
しかし、印刷装置内は比較的暗いため、爪が適切な位置に配置されているかを把握するのが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、爪が適切な位置に配置されているか否かを判別しやすい電子機器を提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の電子機器は、
印刷対象である爪の先端部分を載せる爪載せ台を有し、前記爪に対応する指を載置する指保持部と、
前記指保持部に載置された前記爪の横方向からの画像を取得する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影可能とする位置に備えられ、前記爪の高さ位置の基準を示す基準マークが形成されている光学素子と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記爪の横方向からの画像において、前記爪の所定の部分が前記基準マークによって定められる範囲内に入る場合に、前記爪の位置が適切であると判断し、
前記爪の所定の部分が前記基準マークによって定められる範囲内に入っていない場合に、前記爪の位置が適切ではないと判断する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、爪が適切な位置に配置されているか否かを容易に判別することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における印刷装置及びこれと連携する端末装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の印刷装置に設けられる指保持部及びその周辺の要部構成を示す要部斜視図である。
【
図3】指保持部及びその周辺を左斜め上方向から見た要部斜視図である。
【
図4】表示部に表示される爪画像表示画面の一例を示す図である。
【
図5】印刷装置に設けられるミラーの一変形例を示す平面図である。
【
図6】印刷装置に設けられるミラーの一変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図4を参照しつつ、本発明に係る印刷装置の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する印刷装置を例に説明するが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。
【0012】
図1は、本実施形態における印刷装置及びこれと連携する端末装置の外観を示す斜視図である。本実施形態では、印刷装置1が端末装置7と連携して、爪Tに印刷を行う場合を例示する。
端末装置7は、例えばスマートフォン等の携帯端末装置である。なお、端末装置7はスマートフォンに限定されない。例えばタブレット型のパーソナルコンピュータ(以下において「PC」とする。)やノート型のPC、据置型のPC、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
図1に示すように、本実施形態の端末装置7は、操作部71、表示部72と、印刷装置との間でデータの送受信を行う図示しない通信部及び図示しない制御装置等を備えている。
【0013】
操作部71は、例えば各種の操作ボタンであり、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うものである。操作部71が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御装置に送信される。なお、本実施形態では表示部72の表面にタッチパネルが一体的に設けられていてもよく、この場合にはユーザはタッチパネルへのタッチ操作によっても各種の入力・設定等の操作を行うことができる。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部71は操作ボタンやタッチパネルである場合に限定されない。例えばキーボードやポインティングデバイス等が操作部71として設けられていてもよい。
【0014】
本実施形態では、ユーザが操作部71を操作することで、端末装置7から印刷装置1に対して印刷開始等の各種指示が出力されるようになっており、端末装置7は印刷装置1の操作部としても機能する。
また、ユーザが操作部71を操作することで、爪Tに印刷するネイルデザインを選択すること等ができるようになっている。
【0015】
表示部72は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、前述のように、表示部72の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合にはタッチパネルが操作部71として機能する。
【0016】
本実施形態では、ユーザが操作部71から入力・選択したネイルデザインや、各種の案内画面、警告表示画面等が表示部72に表示可能となっている。
また、本実施形態において表示部72には、印刷装置1の撮影部5によって撮影された指Uの爪Tの画像(爪Tを含む指Uの画像、以下「爪画像」という。)が表示されるようになっている。なお、本実施形態において撮影部5は、爪画像として、爪Tの上面を撮影した上面画像P1と、爪Tの側面を撮影した側面画像P2とを取得可能となっており、表示部72に表示される「爪画像」は、上面画像P1と側面画像P2とを含む。表示部72にはこれらの爪画像を表示させる爪画像表示画面72a(
図4参照)が表示される。
さらに、表示部72には、静止画像だけでなく、ライブビュー画像等の動画像が表示されてもよい。
【0017】
本実施形態において印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体11と、筐体11内に収容された撮影部5、指保持部2等を備えている。また図示は省略するが、印刷装置1には、この他、印刷対象(本実施形態では指Uの爪T)に印刷を施す印刷部、端末装置7等との間で通信を行う通信部及び装置各部を制御する制御装置等が設けられている。
【0018】
図1に示すように、筐体11の上面(天板)には操作部12が設置されている。
操作部12は、ユーザが各種入力を行うものである。
操作部12には、例えば、印刷装置1の電源をONする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、印刷開始を指示する印刷開始釦等、各種の入力を行うための操作釦が配置されている。
操作部12が操作されると操作信号が図示しない制御装置に出力され、制御装置が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。
なお、操作部12に代えて、端末装置7の操作部71から入力された操作信号に従って印刷装置1の各部が動作するようにしてもよい。
【0019】
また、筐体11の上面(天板)の内側には撮影部5が設けられている。
撮影部5は、図示しない撮影装置及び照明装置を備えて構成されている。撮影部5は、基板53上に搭載されて、筐体11内に取り付けられている(
図2参照)。
撮影装置は、例えば、200万画素程度以上の画素を有する固体撮像素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。また、照明装置は、例えば白色LED等の照明灯である。
撮影部5では、後述する指保持部2に保持された指Uの爪Tを照明装置によって照明する。そして撮影装置によってその指Uを撮影し、指Uの爪Tの画像である爪画像(爪Tを含む指Uの画像)を得るようになっており、撮影部5は、指保持部2に保持された指Uの爪Tの画像を取得する撮影手段である。
撮影部5は、指保持部2に保持された指Uを撮影可能な位置に設けられていればよく、具体的な配置は特に限定されない。本実施形態では、撮影部5は、筐体11の天面内側であって指保持部2に保持された指Uの爪T(爪Tの表面)と対向可能な位置に固定配置されている。
なお、撮影部5は、各種の移動機構によってXY方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0020】
後述するように撮影部5は、後述の爪載せ台25に載せた爪Tの横方向からの画像(これを「側面画像P2」という。)を取得可能となっている。
本実施形態の撮影部5は、前述のように筐体11の天面内側であって指保持部2に保持された指Uの爪T(爪Tの表面)と対向可能な位置に設けられているため、爪載せ台25に載せた爪Tの上方向からの画像(これを「上面画像P1」という。)を取得可能である。そして、後述するように本実施形態の印刷装置1には、指保持部2に保持された指Uの爪Tの上方向と横方向からの画像を撮影部5の撮影可能範囲内に収めることが可能な光学素子(本実施形態ではミラー18)が設けられている。これにより、撮影部5は光学素子(本実施形態ではミラー18)を介して爪Tの横方向からの画像(側面画像P2)をも取得可能となっている。なお、例えば撮影部5は装置の側方に設けられてもよく、この場合には、爪Tの横方向からの画像(側面画像P2)を直接的に取得し、爪Tの上方向からの画像(上面画像P1)を、光学素子(本実施形態ではミラー18)を介して取得するようにしてもよい。
また、撮影部5は、静止画像を撮影するものであってもよいし、端末装置7の表示部72等においてライブビュー表示可能な動画像を撮影可能となっていてもよい。
撮影部5によって取得された爪画像は、図示しない通信部を介して端末装置7に送られる。
また、撮影部5によって撮影された画像の画像データは、印刷装置1の制御装置等において取得され、装置内外に設けられた記憶手段に記憶されてもよい。
【0021】
印刷装置1の筐体11の前面側(
図1においてY方向の手前側)には、印刷装置1による印刷時に指を挿入する開口部である指挿入口15が形成されている。
指挿入口15の内部は、印刷時に挿入された指Uを載置・保持する指保持部2となっている。指保持部2は、印刷対象である爪Tに対応する指Uを保持するものである。
筐体11の内部は、仕切り板16によって上下に仕切られており、指保持部2は、仕切り板16における指挿入口15に対応する位置(本実施形態では、装置の左右方向(
図1及び
図3におけるX方向)のほぼ中央部)に設けられている。
【0022】
図2は、筐体内部であって指保持部及びその周辺の要部構成を示す斜視図である。
図3は、指保持部及びその周辺を装置の左(
図1におけるX方向左側)斜め上方向から見た要部斜視図である。
図2及び
図3示すように、指保持部2の下側には、保持された指Uの腹を受ける指支持部材21が設けられている。
指支持部材21は、指Uを下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。なお、指支持部材21は、指Uを下側から支持し得るものであればよく、その構成は特に限定されない。例えば、ばね等の弾性部材によって下方から付勢されていてもよい。また、例えば、指支持部材21は、内圧を変化させることにより膨縮可能に構成されており、膨張状態において指Uを押し上げ、その位置を固定する構成としてもよい。
【0023】
指保持部2の手前側(
図1におけるY方向の手前側)は枠状部24で囲われており、枠状部24の天面は、指保持部2に保持された指Uの上側が突き当てられ指Uの上方向の位置を規制する指押え241となっている。
指保持部2の奥側(
図1におけるY方向の奥側)は上方が開放されており、指保持部2内に挿入された指Uの爪Tの表面が露出するようになっている。
また、指保持部2は、爪Tの先端部分を載せる爪載せ台25を有している。具体的には、本実施形態の指保持部2の内部であって指挿入方向の奥側に、指Uの爪Tの先端部分を載せる爪載せ台25が設けられている。本実施形態において爪載せ台25は、指Uの挿入方向に沿って延在し、かまぼこ型に盛り上がる凸条部である。なお、爪載せ台25は爪Tの先を載せることができるものであればよく、その形状や配置等は図示例に限定されない。
指U及びその爪Tは、爪Tの先を爪載せ台25に載せた状態で下側から指支持部材21によって支持され、指Uの上側が指押え241によって押さえられることで所定の位置に位置決めされる。
【0024】
本実施形態では、爪載せ台25の手前側の端面に、指先の突き当て位置の指標となるターゲットマーク251が設けられている。ターゲットマーク251は、ユーザが指Uを指保持部2内に挿入する際の目標となるものであり、その形状等は特に限定されない。本実施形態では、例えば赤色等の丸印が、ターゲットマーク251として設けられている。ターゲットマーク251は印刷によって施されてもよいし、シール等を貼付したものであってもよい。またターゲットマーク251は画像上で識別しやすいように、光を反射させる反射板を貼り付けたものや蛍光性のインクで描画されたマーク等であってもよい。また必ずしも画像に写り込まなくても、例えば指先が触れたときに感じることができる凸部や凹部等であってもよい。
ターゲットマーク251は、指保持部2を上側から撮影した上面画像P1(
図4参照)に写り込み、指Uが指保持部2の奥の正しい位置まで挿入されると、指Uによって覆われて、画像に写らなくなる。これにより、画像を見ながらユーザが指Uを挿入する際に、ターゲットマーク251の見え方(指Uによる隠れ具合)を確認することで、指Uの挿入具合を確認することができる。
【0025】
また、本実施形態では、爪載せ台25の側面側には、爪Tの位置の識別部27が設けられている。識別部27は指保持部2の各部及び爪Tと区別することが可能であって爪Tの位置の基準となるものである。
後述するように、識別部27は爪載せ台25の側面であって上面画像P1(
図4参照)に写り込まないが側面画像P2(
図4参照)には写り込む位置に設けられている。
本実施形態では、前述のように爪載せ台25は、かまぼこ型の凸状部であり、爪載せ台25の幅方向(
図1における装置幅方向X)のほぼ中央部から左右いずれかの側(図示例ではX方向の左側)に、XY平面に対してほぼ垂直な壁面252を有する切り欠き部253が設けられ、この壁面252に赤色等の塗装を施すことで識別部27が形成されている。なお、識別部27を施す手法等は特に限定されず、各種の印刷、塗装、蒸着の他、シール等の貼着によって形成されてもよい。
【0026】
このようにXY平面に対してほぼ垂直な壁面252に識別部27を形成することにより、爪載せ台25の上面を撮影した上面画像P1には切り欠き部253は写り込むが、壁面252に形成された識別部27は写り込まない。また、爪載せ台25の側面を撮影した側面画像P2には切り欠き部253とともに壁面252に形成された識別部27が写り込む(後述の
図4参照)。本実施形態では、このような識別部27を爪載せ台25に設けることで、爪Tの高さ方向の位置を検出することができ、識別部27は爪Tの高さ方向の位置の基準となる。なお、例えば、識別部27に奥行方向(指挿入方向)の位置を示す目盛等を設けることで、識別部27を爪Tの奥行方向の位置の基準として用いてもよい。
なお、識別部27が形成される壁面252は、識別部27が側面画像P2には写り込むが上面画像P1には写り込まないように配置されるものであればよく、XY平面に対してほぼ垂直である場合に限定されない。例えば壁面252は切り欠き部253の底面に対してなす角度が、90度よりも小さくてもよい。この場合には識別部27が上面画像P1に写り込むことをより確実に防ぐことができる。
【0027】
本実施形態では、指保持部2の側方であって、切り欠き部253の設けられている側(図示例ではX方向における指保持部2の左側)には、所定の角度を有する傾斜面171を有する支持台17が設けられている。傾斜面171にはミラー18が取り付けられている。
なお、切り欠き部253の設けられる側は図示例には限定されず、切り欠き部253がX方向における指保持部2の右側に設けられる場合には、支持台17及びミラー18もX方向における指保持部2の右側に配置される。
また、支持台17の形状等についても図示例に限定されない。
【0028】
ミラー18は、指保持部2に保持された指Uの爪Tの上方向と横方向からの画像(すなわち、上面画像P1と側面画像P2)を、撮影手段である撮影部5により撮影可能とする光学素子である。すなわち、本実施形態の撮影部5は、指保持部2の上方に設けられており、爪Tの上面を撮影部5の撮影可能範囲内に収めることができる。そしてミラー18を設けることにより、指保持部2に保持された指Uの爪Tの側面を、ミラー18を介して撮影部5の撮影可能範囲内に収めることが可能となる。なお、撮影部5が指保持部2の側方に設けられている場合には、爪Tの上面を、撮影部5の撮影可能範囲内に収めることができる位置にミラーを配置する。
本実施形態の例では、
図2に示すように矩形のミラー18が設けられている。
傾斜面171の所定の角度は、ミラー18の取り付け位置や爪載せ台25及び爪載せ台25に先端が載せた爪Tの位置や角度等によって適宜調整される。傾斜面171が適切な傾斜角度に調整されることで、光学素子であるミラー18を介した爪Tの側面画像P2が、前述の撮影部5によって取得可能となる。
ミラー18は、例えば基材にアクリル等を用いた合成樹脂製のものが用いられる。なお、ミラー18の材質等は特に限定されず、例えば基材にガラスを用いたガラス製のミラーでもよい。また、ミラー18は板状のものに限定されず、シート状に形成されたミラーを傾斜面171上に貼着させたもの等でもよい。
【0029】
印刷装置1の筐体11内は暗く、特に指保持部2(爪載せ台25やその周辺)は爪Tを上側から撮影した爪画像(上面画像P1)から爪Tの領域を識別しやすくするために、爪Tや指Uの皮膚との判別がしやすい黒色等で形成されている。
このため、爪載せ台25を側方から撮影した場合に、爪載せ台25がその他の背景に紛れてしまい、爪載せ台25の高さ位置を正しく認識することができない。この場合、爪載せ台25に載せた爪Tや指Uは黒っぽい背景の中に識別しやすい状態で写り込むが、例えば爪載せ台25の上端面の位置等、爪Tの高さ位置の基準となるものが明確とならない。これにより、爪載せ台25を側方(横方向)から撮影した画像側面画像P2を取得しても、爪Tが適切な位置(特に高さ方向の位置)に配置されているか否かを確認することができない。
【0030】
この点本実施形態では、指保持部2の各部及び爪Tと区別することが可能であって爪Tの高さ方向の位置の基準となる識別部27が爪載せ台25に設けられている。識別部27は、撮影された画像について画像解析・画像認識等の画像処理を行う際に爪Tの高さ位置の基準となるものであるため、指保持部2の各部や爪Tと識別しやすい色が塗布等されて形成されることが好ましい。そこで識別部27の色は、前述した例の赤色の他、例えば爪Tや指Uの色である肌色の補色(反対色)である水色等であって指保持部2等に用いられている黒色との差が大きい色が好ましく、明るい水色等が好適に用いられる。なお、識別部27の色はここに例示した色に限定されない。印刷装置1の筐体11内の明るさ具合や部材の色等に応じて、適宜適切な色が適用される。識別部27の色は例えば蛍光色等であってもよい。
【0031】
次に、本実施形態の印刷装置の作用について説明する。
本実施形態の印刷装置1を用いてネイルプリントを行う場合には、ユーザは、印刷装置1の電源を入れて装置を起動させる。また端末装置7についても電源を入れて端末装置7の操作部71からネイルプリント処理の実行を選択する。これによりネイルプリントを行うための図示しないアプリケーションプログラムが起動する。
ユーザは爪Tに印刷したいネイルデザインを選択し、印刷を施す爪Tに対応する指Uを指保持部2に挿入する。
指保持部2に指Uが挿入される様子は、随時撮影部5によって撮影され、端末装置7に送信されて、表示部72にライブビュー画像として表示されることが好ましい。これにより、ユーザは、表示部72を見ることで、指Uの配置状況をリアルタイムで確認することができる。
【0032】
ユーザがターゲットマーク251を覆い隠す位置まで指Uを指保持部2に挿入し、爪載せ台25に爪先を乗せると、撮影部5によって指保持部2にセットされた指Uを撮影し、爪画像を取得する。取得された爪画像は、通信部を介して端末装置7に送信され、端末装置7の表示部72に適宜表示される。
図4は、表示部に表示される爪画像表示画面の一例を示す図である。
図4では、爪画像表示画面72aとして、1つの画面に、上面画像P1と側面画像P2とが並んで表示される例を示している。
【0033】
図4の右側に示す上面画像P1には、爪載せ台25に爪先が載せられた爪Tを含む指Uや指保持部2の上面が写り込んでおり、爪載せ台25の切り欠き部253も写り込んでいるが、壁面252に設けられている識別部27は写り込まない。
上面画像P1は、これを画像解析・画像処理することで、爪Tの領域(爪Tの輪郭)を検出するためのものであり、画像内に指保持部2内部の色(例えば黒色等)と異なる色(例えば赤色や水色等)の識別部27が写り込むと正確に爪Tの領域(爪Tの輪郭)を検出することが難しくなる。この点本実施形態では爪Tの領域検出に用いられる上面画像P1には識別部27が写らないため、良好に画像認識を行うことができる。
【0034】
他方、
図4の左側に示す側面画像P2は、ミラー18を介して撮影部5に取得される画像であり、爪載せ台25に爪先が載せられた爪Tを含む指Uや指保持部2の側面、及び爪載せ台25の切り欠き部253と切り欠き部253の壁面252に設けられている識別部27も写り込んでいる。このため、爪載せ台25の上端位置及びこの上端位置と爪Tの高さ位置との関係を爪画像(側面画像P2)から正確に検出することが可能となる。
【0035】
図4の側面画像P2に示す基準線h1は、爪載せ台25の上端の高さ位置であり、識別部27の上端位置を示す線である。基準線h2は、爪Tの最も高い部分(ふくらみがある場合には最も膨らんでいる部分)の高さ位置を示す線である。また基準線h3は、爪Tの高さ位置の上限を示す線であり、例えば基準線h1よりも3mm程度上に設定される。
なお、基準線h1~基準線h3は、端末装置7のアプリケーションプログラムによって適宜生成され、表示部72の表示画面(本実施形態では、
図4に示す爪画像表示画面72a中の側面画像)に合成されて表示される仮想の線である。基準線h1~基準線h3が表示されることは必須ではない。基準線h1~基準線h3は表示画面上には表示されずに、装置内での認識処理においてのみ仮想的に用いられるものであってもよい。
【0036】
爪Tの高さ位置が基準線h3を超えている場合には、表示部72にエラーメッセージ等を表示させたり、ランプや音声等による報知を行うことによって、ユーザに爪Tの高さ位置が適切でない旨を報知する。また、爪Tの高さ位置が基準線h1よりも低い場合には、爪Tが正しく爪載せ台25に載せられていないと考えられる。このため、この場合にも表示部72にエラー表示を表示させたり、ランプや音声等による報知を行うことによって、ユーザに爪Tの高さ位置が適切でない旨を報知する。
爪Tの高さ位置が適切でない場合には、さらに「爪の高さを下げてください。」「爪先を爪載せ台に載せてください。」等、爪Tの位置を調整するよう促すメッセージ等を表示部72に表示させてもよい。
なお、爪Tの位置が適切でない場合のエラーメッセージ等の表示や、爪Tの位置を調整するよう促すメッセージの表示等を行うことは必須ではない。例えば表示部72の爪画像表示画面72aをユーザが確認して、爪Tの位置が適切でないと判断した場合には自ら位置を修正してもよい。
【0037】
爪Tの最も高い部分を示す基準線h2が基準線h1~基準線h3の間(
図4において「α」で示す範囲)にある場合には適正であり、爪Tの高さ位置がこの範囲内にあると検出された場合に、印刷が可能な状態となる。この場合には、表示部72に爪位置が適切である旨を示すメッセージを表示させたり、ランプや音声等によってユーザに報知してもよい。
爪Tが適切な位置に配置され、爪領域を検出して印刷を施す領域が特定されると、当該範囲にネイルデザインを印刷するための印刷用データが生成され、印刷装置1の印刷部に出力される。これにより、爪Tの表面に所望のネイルデザインが印刷される。
爪Tが正しい高さ位置に配置されることにより、安全に高精細なネイルプリントを行うことができる。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、印刷装置1が、印刷対象である爪Tに対応する指Uを保持する指保持部2と、指保持部2に保持された指Uの爪Tの画像を取得する撮影部5と、を備え、指保持部2は、爪Tの先端部分を載せる爪載せ台25を有し、撮影部5は、爪載せ台25に載せた爪Tの横方向からの画像(側面画像P2)を取得可能であり、爪載せ台25の側面側に爪Tの位置の識別部27が設けられている。
このような構成により、側面画像P2を用いて爪Tの位置を確認しやすくなり、爪Tの配置の適否を正確に判断することができる。
【0039】
また、本実施形態では、指保持部2の各部及び爪Tと区別することが可能である識別部27を、爪Tの上面画像P1に写り込まないが側面画像P2には写り込む位置に設けている。
これにより、爪Tの領域(爪Tの輪郭)を検出するために用いる爪Tの上面画像P1には、爪Tや指Uに対してコントラストのよい色(黒色等)で形成された指保持部が写り込むが、これとは異なる色(例えば赤色や水色)等で形成される識別部27は写り込まない。このため、爪Tの領域(爪Tの輪郭)の検出が識別部27によって阻害されず、爪Tの高さ方向の位置と爪Tの輪郭形状とを両方とも正確に認識することができる。
この結果、爪T適切な領域内に高精細なネイルプリントを施すことが可能となる。
【0040】
また本実施形態では、光学素子として合成樹脂製のミラー18を設けている。
このため、比較的安価に本構成をとることができる。また、ミラー18を合成樹脂製とした場合には、配置する場所の形状等に応じて容易に加工することができる。さらに、ガラス製のミラーに比べて軽量であるため、傾斜面171等に容易に固定することができる。また、合成樹脂製のミラーはガラス製のものよりも割れにくいため、印刷装置1に強い衝撃が加わった場合等にも破損を回避することができ、安全性も向上する。
【0041】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0042】
例えば、本実施形態では、印刷装置1が撮影手段である撮影部5を1つ備え、光学素子であるミラー18を配置することで、爪Tを側方からとらえた側面画像を、ミラー18を介して撮影部5が取得できるようにしたが、撮影部5の構成はここに例示したものに限定されない。
例えば、撮影手段(撮影部)は印刷装置1に複数設けられていてもよく、この場合、撮影手段(撮影部)として爪載せ台25に載せた爪Tの上方向からの画像(上面画像P1)を取得する第1の撮影手段と、爪載せ台25に載せた爪Tの横方向からの画像(側面画像P2)を取得する第2の撮影手段とを設ける。
この場合には、爪Tの上面画像P1を取得する第1の撮影手段を筐体11の天面内側等に設け、爪Tの側面画像P2を取得する第2の撮影手段を、例えば本実施形態においてミラー18が配置されていた位置等、爪載せ台25において切り欠き部253が設けられている側の側方に配置する。
なお、第1の撮影手段、第2の撮影手段は、それぞれ1つに限定されず、それぞれ複数設けられていてもよい。
【0043】
このように、上面画像P1を取得する第1の撮影手段と側面画像P2を取得する第2の撮影手段とを設けた場合には、ミラー18等の光学素子を設ける必要がない。このため、爪Tの側面を撮影手段(撮影部)の撮影可能範囲内に収めることができるようにミラー18等の光学素子の角度や位置を調整する必要がなく、組付けの手間等を省くことができる。また、このように複数の撮影手段を設けて上面画像P1、側面画像P2を撮影することにより、上面画像P1、側面画像P2を、ともにミラー18等の光学素子を介さずに取得することができる。このため、光学素子が介在することによる画像の歪み等を生じず、よりクリアな爪画像(特に側面画像P2)を取得することができる。
なお、側面画像P2を取得する第2の撮影手段を配置する位置は、側面画像P2を撮影可能な位置であればよく、特に限定されない。
ただ、第2の撮影手段は、印刷部の印刷ヘッドの移動を阻害しない位置に配置されることが必要である。また、撮影手段(撮影部)を印刷装置の上側に配置する場合と異なり、指保持部2の側方等に配置する場合には、印刷部から飛散するインク(インクミスト等)がレンズ等に付着するおそれがある。このため、撮影手段(撮影部)の特にレンズ部分をインクミスト等から保護する庇やシャッタ等を設けてもよい。
【0044】
また、光学素子としてのミラーの形状は本実施形態で示したものに限定されない。
例えば、
図5に示すように、ミラーは高さ方向に複数の段を有する階段状の段部181aを上部に設けた異形状のミラー181であってもよい。
図5に示す例では、指Uの付根方向から爪先方向に向かって徐々に高くなる3段の段部181aがミラー181に設けられている。
図5において一番低い段部181aの高さ位置を示す基準線h4、最も高い段部181aの高さ位置を示す基準線h6、両者の中間の段部181aの高さ位置を示す基準線h5を想定した場合に、爪Tの最も高い部分が、基準線h4と基準線h5との間(
図5において「α」で示す範囲)にある場合には適正であり、この範囲よりも低い場合や高い場合には、爪Tの位置を調整するようにユーザに促す。なお、基準線h6は、爪Tや指Uの全体をミラーに写し出すことのできる上限位置を示している。
なお、ミラーを異形状とする場合、具体的な形状は
図5に示す例に限定されない。
【0045】
なお、基準線h4~基準線h6は、実施形態中において説明した基準線h1~基準線h3と同様に、端末装置7のアプリケーションプログラムによって適宜生成され、表示部72の表示画面(本実施形態では、爪画像表示画面72a中の側面画像)に合成されて表示される仮想の線である。基準線h4~基準線h6は表示画面上には表示されず、装置内での認識処理においてのみ仮想的に用いられるものであってもよい。
このように、ミラー181の形状を異形状とすることで、側面画像P2から爪Tの高さ位置を容易に検出することが可能となる。なお、このようにミラー181の形状を異形状とする場合には、ミラー181をアクリル等の合成樹脂製とすることで、ガラスで形成する場合よりも、複雑な形状等を容易に形成することができる。
【0046】
また、例えば、
図6に示すように、ミラー182には爪Tの高さ位置の基準を示すマーク(以下「基準マーク183」という。)が設けられていてもよい。基準マーク183を設ける場合の設け方や配置等は特に限定されない。例えば、
図6では、2つの丸穴である基準マーク183をミラー182に穿設する場合を例示している。
例えば、下の丸穴の上端に接する基準線h7と上の丸穴の上端に接する基準線h8とを想定した場合に、爪Tの最も高い部分が、基準線h7と基準線h8との間(
図6において「α」で示す範囲)にある場合には適正であり、この範囲よりも低い場合や高い場合には、爪Tの位置を調整するようにユーザに促す。
なお、基準線h7、基準線h8は、実施形態中において説明した基準線h1~基準線h3や上記の基準線h4~基準線h6と同様に、端末装置7のアプリケーションプログラムによって適宜生成され、表示部72の表示画面(本実施形態では、爪画像表示画面72a中の側面画像)に合成されて表示される仮想の線である。基準線h7、基準線h8は表示画面上には表示されず、装置内での認識処理においてのみ仮想的に用いられるものであってもよい。
【0047】
このように、ミラー182に基準マーク183を設けることで、側面画像P2から爪Tの高さ位置を容易に検出することが可能となる。なお、このようにミラー182に基準マーク183を設ける場合には、ミラー182をアクリル等の合成樹脂製とすることで、ガラスで形成する場合よりも、複雑な形状等を容易に形成することができる。
なお、基準マーク183の数や形状は特に限定されない。
例えば基準マーク183は、基準線h7、基準線h8に対応する位置に形成されたスリットであってもよい。また、基準マーク183は、下端が基準線h7の高さ位置にあり、上端が基準線h8の高さ位置にあるような大きさの1つの丸穴等であってもよい。
また、
図5に示すような異形状のミラーに、
図6に示すような基準マークを合わせて設けてもよい。この場合にはさらに爪Tの高さ位置の基準が分かりやすくなる。
【0048】
なお、
図5及び
図6において図示を省略しているが、ミラー181,182に移る画像には、実施形態において説明したミラー18と同様に、爪Tとともに爪載せ台25に設けられた識別部27が写り込むようになっている。
識別部27と異形状のミラー181や基準マーク183のもうけられたミラー182とを組み合わせることにより、爪Tの高さ位置の基準が分かりやすくなり、より正確に検出することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では識別部27が、壁面171の全面に赤色や水色等が塗装されて形成される場合を例示したが、識別部27は壁面171の全面に設けられる場合に限定されない。
識別部27は、側面画像P2を画像処理等した場合に、爪載せ台25の上端の位置を検出しやすくするものであればよい。このため、例えば、壁面171のうち、上端部に赤色等のラインが塗装されたものであってもよいし、壁面171のうち、上端部に赤色等で描かれた丸印等のマークであってもよい。
【0050】
また、本実施形態では、光学素子としてミラー18を設ける構成を例示したが、光学素子は指保持部2に保持された指Uの爪Tの側面を撮影部5の撮影可能範囲内に収めることが可能なものであればよく、ミラーに限定されない。
例えば、光学素子としてプリズム等を配置してもよい。この場合にも、爪Tの側面が撮影部5の撮影可能範囲内に収まるように、その配置や角度等が調整される。
【0051】
また、本実施形態では、
図4に例示したように、爪画像表示画面72aとして上面画像P1と側面画像P2が並んで一画面内に表示される場合を例示したが、爪画像表示画面72aにおける表示はこれに限定されない。
例えば、爪画像表示画面72aとして一画面内に上面画像P1、側面画像P2のいずれか一方が表示され、適宜切り替えることができるようになっていてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、爪画像表示画面72a等を表示させる表示部72が端末装置7に設けられている場合を例示したが、表示部72は7端末装置7に設けられている場合に限定されない。
例えば、印刷装置1の筐体11上面等に表示部を設けて、ここに爪画像表示画面72a等を表示させてもよい。
なお、爪画像表示画面72aとして上面画像P1、側面画像P2を表示させることは必須ではない。上面画像P1、側面画像P2は、装置側で爪Tの認識(爪Tの領域や爪Tの高さ位置等の認識)を行う際の画像処理にのみ用い、特に表示を行わないとしてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、印刷装置1と端末装置7とが連携してネイルプリントの各処理を行う場合を例示したが、印刷装置1が端末装置7と連携することは必須ではない。印刷装置1単体で各種の処理を行うものであってもよい。
【0054】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
印刷対象である爪に対応する指を保持する指保持部と、
前記指保持部に保持された指の爪の画像を取得する撮影手段と、
を備え、
前記指保持部は、前記前記爪の先端部分を載せる爪載せ台を有し、
前記撮影手段は、前記爪載せ台に載せた爪の横方向からの画像を取得可能であり、
前記爪載せ台の側面側には、前記爪の位置の識別部が設けられていることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記撮影手段は、前記爪載せ台に載せた前記爪の上方向からの画像を取得可能であり、
前記爪載せ台の前記識別部は、
前記指保持部の各部及び前記爪と区別することが可能に構成され、
前記爪の上方向からの画像に写り込まないが前記爪の横方向からの画像には写り込む位置であって、前記爪の高さ方向の位置の基準となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記指保持部に保持された指の爪の上方向と横方向からの画像を前記撮影手段の撮影可能範囲内に収めることが可能な光学素子が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記光学素子は、ミラーであることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記ミラーは、高さ方向に複数の段部が設けられた異形状であることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記光学素子はミラーであり、
前記ミラーには、前記爪の高さ位置の基準を示すマークが形成されていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項7>
前記撮影手段は、前記爪載せ台に載せた爪の上方向からの画像を取得する第1の撮影手段と、前記爪載せ台に載せた爪の横方向からの画像を取得する第2の撮影手段と、で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【符号の説明】
【0055】
1 印刷装置
18 ミラー
2 指保持部
25 爪載せ台
252 壁面
253 切り欠き部
27 識別部
5 撮影部
7 端末装置
72 表示部
T 爪
U 指