(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電池パック及びそれを用いた電気機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20240326BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240326BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240326BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/44 P
H01M10/48 301
H02J7/00 S
H02H7/18
(21)【出願番号】P 2022511669
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007392
(87)【国際公開番号】W WO2021199817
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2020062071
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡史
(72)【発明者】
【氏名】坂本 光隆
(72)【発明者】
【氏名】塙 浩之
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-131770(JP,A)
【文献】特開2019-004631(JP,A)
【文献】特開2012-182909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H01M 10/44
H02J 7/00
H02H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続され、外部の電気機器本体に接続される接続部と、
前記電池セルの放電又は充電を制御する制御部と、を備えた電池パックであって、
前記制御部は、前記電池パックに関する所定の異常状態である場合、前記電池セルの放電又は充電を停止又は禁止するとともに、前記所定の異常状態であると判別した後に前記所定の異常状態でなくなったとしても、前記電池セルの放電又は充電の停止又は禁止を維持するように構成され、
前記制御部は、前記電池パックを前記電気機器本体から取り外して充電装置に接続しても前記電池セルの充電を禁止するよう構成されることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記所定の異常状態は、前記電池セルの電圧、前記電池セルに流れる電流、前記電池セルの温度の少なくともいずれかに関する1つ又は複数の物理量が所定の条件を満たした場合であることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記電池セルの電圧が所定値より低い状態が所定時間内に複数回発生した場合、又は、前記電池セルに流れる電流が所定値以上の状態が所定時間内に複数回発生した場合を含むことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記制御部は、前記電池セルの充電を禁止する充電禁止信号を出力する、又は、前記電池セルの放電を禁止する放電禁止信号を出力するよう構成され、
前記電池パックは、前記充電禁止信号が伝達される充電禁止信号出力回路、又は、前記放電禁止信号が伝達される放電禁止信号出力回路を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記接続部は、前記充電禁止信号出力回路を介して伝達された前記充電禁止信号を前記充電装置に出力する充電禁止信号出力端子、又は、前記放電禁止信号出力回路を介して伝達された前記放電禁止信号を前記電気機器本体に出力する放電禁止信号出力端子と、を有することを特徴とする請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記制御部は、
一度前記充電禁止信号を出力すると、前記充電禁止信号の出力を維持する、又は、前記充電装置が接続されると前記充電禁止信号を再度出力する、又は、
一度前記放電禁止信号を出力すると、前記放電禁止信号の出力を維持する、又は、前記電気機器本体が接続されると前記放電禁止信号を再度出力する、ように構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記電池セルと前記接続部の間にヒューズを設け、
前記ヒューズによる過電流の遮断と、前記制御部の電気制御による充電及び放電の禁止の二系統の遮断機能を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記接続部には、前記制御部から充電禁止信号及び放電禁止信号を出力する信号端子を含み、
前記制御部は、前記異常状態が一時的な状態にある場合は前記充電禁止信号及び放電禁止信号を解除可能とし、前記異常状態が連続的に発生する状態にある場合は前記充電禁止信号を解除不能としたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
複数の前記電池セルが直列に接続されたセルユニットとして少なくとも第1及び第2のセルユニットを有し、前記第1のセルユニットが前記第2のセルユニットよりも高電圧側に接続された状態で前記第1及び第2のセルユニットが互いに直列に接続される直列接続状態と、前記第1及び第2のセルユニットが互いに並列に接続される並列接続状態と、に切り替えられるよう構成され、
前記電気機器本体の端子形状によって、前記直列接続状態又は前記並列接続状態のいずれかが選択されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続され、外部の電気機器本体に接続される接続部と、
前記電池セルを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記接続部のチャタリングに起因する短い時間の短絡を検出すると、前記電池セルの充電及び放電を禁止すると共に、前記電気機器本体として充電装置に接続しても前記禁止の状態を維持することを特徴とする電池パック。
【請求項11】
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続され、外部の電気機器本体に接続される接続部と、
前記電池セルを制御する制御部と、を備え、
前記外部の電気機器本体に接続された状態で異常状態になると、前記制御部は、
電池パックを使用不能状態するよう使用禁止信号を出力し、前記電気機器本体から取り外されて別の電気機器本体又は充電装置に接続されると前記出力された前記使用禁止信号を維持する、又は、前記使用禁止信号を再出力するよう構成したことを特徴とする電池パック。
【請求項12】
複数の電池セルが直列に接続されたセルユニットとして少なくとも第1及び第2のセルユニットを有する電池パックであって、
前記セルユニット間で短絡が生じた場合、前記セルユニットの放電経路又は充電経路を完全に遮断する前に、前記放電経路又は前記充電経路を所定の条件で遮断するよう構成したことを特徴とする電池パック。
【請求項13】
前記電池パックを制御する制御部と、
前記放電経路又は前記充電経路に設けられたヒューズと、を有し、
前記セルユニット間で短絡が生じた場合、前記放電経路又は充電経路を前記ヒューズによって完全に遮断する前に、前記制御部によって前記放電経路又は前記充電経路を遮断するよう構成し、前記制御部による遮断はユーザの操作によって解除不能に構成されることを特徴とする請求項12に記載の電池パック。
【請求項14】
請求項1から1
1のいずれか一項に記載の前記電池パックと、
前記電池パックを着脱可能な電池パック装着部と、前記接続部に接続される機器側端子部と、前記電池パックから供給される電力により駆動される負荷部と、を有する前記電気機器本体と、
を備えた電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低出力と高出力の切り替え可能な電池パック及び/又は電気機器に関し、異なる容量の電池セルを組み合わせて小型化を図ったものである。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電気機器の電源として、リチウムイオン電池等の二次電池を用いた電池パックが広く用いられている。電池パックは電気機器本体に着脱可能に構成され、放電によって電圧が低下したら電池パックを電気機器本体から取り外して、外部充電装置を用いて充電される。従来の電池パックでは、短絡等の異常が発生すると電池パックの使用の継続を停止させる安全機構が設けられている。代表的な安全機構として、電力伝達経路内に設けられるヒューズ(電力ヒューズ)がある。ヒューズは、電力経路に過剰に電流が流れた際に電力経路に介在された金属部品を遮断させることによって、過大電流による負荷部、電源部等の破損を防ぐ電子部品である。従来の電池パックにおいては、電力経路に定格以上の電流が流れた際に、ジュール熱によりヒューズに含まれる合金部品が溶断するようにする。このヒューズによる電力遮断は、電気的な制御では復帰できない不可逆的なものである。
【0003】
電池パックの通常起こりうる軽微な異常の一つとして、いわゆる“過放電”と“過充電”状態がある。“過放電”は、電池パックを電気機器本体としての電動工具本体で使用している際に、規定の下限電圧又は下限容量以下にまで放電した状態である。この状態に到達した場合は、電池パックに内蔵される電気回路の制御によって電池パックの使用(放電)ができない状態にされる(放電禁止状態)。この制御を行うために電池パックと電気機器本体の間には、例えばLD信号(異常信号)のやりとりが行われる。放電禁止状態は電気機器本体としての外部充電装置にて充電して電池セルの電圧が回復することで、電池パックの制御部のマイコンによって放電禁止状態が自動的に解除される。
【0004】
“過充電”とは、電池パックを電気機器本体としての外部充電装置を用いて充電している際に、規定の上限電圧又は上限充電容量に到達した状態である。この状態に到達した場合は、電池パックに内蔵される電気回路の制御によって電池パックの充電ができない状態(充電禁止状態)にされる。この制御を行うために電池パックと電気機器本体の間には、例えばLS信号(異常信号)のやりとりが行われる。充電禁止状態は電池パックを電気機器本体としての電動工具本体に装着して使用して電池セルの電圧が満充電状態から低下すると、電池パックの制御部のマイコンによって充電禁止状態が自動的に解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電池パックにおいては、電気的な制御では復帰できない不可逆的な電力遮断(ヒューズによる遮断)と、電気的な制御によって復帰可能な可逆的な電力遮断(LD信号、LS信号による遮断制御)の2種類の遮断が行われていた。発明者らの検討によると、不可逆的な電力遮断を行う異常状態に至る前に、短絡箇所において致命的な短絡現象が起こる前の過渡的な現象、例えば、短絡対象の2つの部位がわずかに接触して離れたりする、いわゆるチャタリングのような予兆現象が生ずることがわかった。そこで発明者らはそのような予兆現象の発生を検知して、ヒューズによる不可逆的な電力遮断を行う前に、電池パックをヒューズ手段とは別の方法により使用不可状態にできれば、電池パックや電気機器本体の破損を一層抑制できると考えた。
【0007】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであって、その目的は不可逆的な電力遮断を行う前の、予兆的な異常現象を早期に検出して、電池パックの使用を阻止できるようにした電池パック及びそれを用いた電気機器を提供することにある。本発明の他の目的は、電池パックの製造コストの上昇を抑えつつ予兆的な異常現象発生を検出する機能を付加した電池パック及びそれを用いた電気機器を提供することにある。本発明の他の目的は、複数の接続端子を備えた電池パックにおいて、接続端子部における短絡状態を精度良く検出できるようにした電池パック及びそれを用いた電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。本発明の一つの特徴によれば、電池セルと、電池セルに電気的に接続され外部の電気機器本体に接続される接続部と、電池セルの放電又は充電を制御する制御部と、を備えた電池パックであって、制御部は、電池パックに関する所定の異常状態である場合、電池セルの放電又は充電を停止又は禁止する。またその後に所定の異常状態であると判別した後に所定の異常状態でなくなったとしても、制御部は電池セルの放電又は充電の停止又は禁止を維持したままとする。この所定の異常状態は、電池セルの電圧、電池セルに流れる電流、電池セルの温度の少なくともいずれかに関する1つ又は複数の物理量が所定の条件を満たした場合である。また、所定の条件は、電池セルの電圧が所定値より低い状態が所定時間内に複数回発生した場合、又は、電池セルに流れる電流が所定値以上の状態が所定時間内に複数回発生した場合である。このように制御部は、電気機器本体に接続された状態で所定の異常状態である場合に充電及び放電を停止又は禁止するとともに、その後に所定の異常状態が解消されても充電及び放電の停止又は禁止の状態を維持する。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、制御部は電池セルの充電を禁止する充電禁止信号を出力する、又は、電池セルの放電を禁止する放電禁止信号を出力するよう構成され、電気機器本体から取り外されて充電装置に接続しても電池セルの充電を禁止する。電池パックは、充電禁止信号が伝達される充電禁止信号出力回路、又は、放電禁止信号が伝達される放電禁止信号出力回路を備える。また、電池パックの接続部(端子部)は、充電禁止信号出力回路を介して伝達された充電禁止信号を充電装置に出力する充電禁止信号出力端子、又は、放電禁止信号出力回路を介して伝達された放電禁止信号を電気機器本体に出力する放電禁止信号出力端子を有する。さらに電池パックの制御部は、(1)一度充電禁止信号を出力すると充電禁止信号の出力を維持する、又は、充電装置が接続されると充電禁止信号を再度出力する、(2)一度放電禁止信号を出力すると放電禁止信号の出力を維持する、又は、電気機器本体が接続されると放電禁止信号を再度出力する、の(1)か(2)のいずれかの制御を行うように構成した。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、電池セルと接続部(端子部)の間にヒューズを設け、ヒューズによる過電流の遮断と、制御部の電気制御による充電及び放電の禁止の二系統の遮断機能を有する。また、接続部には、制御部から充電禁止信号及び放電禁止信号を出力する信号端子を含み、制御部は、異常状態が一時的な状態にある場合は充電禁止信号及び放電禁止信号を解除可能とし、異常状態が連続的に発生する状態にある場合は充電禁止信号を解除不能とした。さらに、複数の電池セルが直列に接続されたセルユニットとして少なくとも第1及び第2のセルユニットを有し、第1のセルユニットが第2のセルユニットよりも高電圧側に接続された状態で第1及び第2のセルユニットが互いに直列に接続される直列接続状態と、並列接続状態に切り替えられるよう構成され、電気機器本体の端子形状によって、直列接続状態又は並列接続状態のいずれかが選択される。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、電池セルと、電池セルに電気的に接続され外部の電気機器本体に接続される接続部(端子部)と、電池セルを制御する制御部と、を備えた電池パックにおいて、制御部は、接続部のチャタリングに起因する短い時間の短絡を検出すると、電池セルの充電及び放電を禁止すると共に、電気機器本体として充電装置に接続しても禁止の状態を維持するようにした。また、この電池パックにおいて、外部の電気機器本体に接続された状態で異常状態になると、制御部は、電池セルの充電及び放電を禁止すると共に、ユーザの操作によって禁止の状態を解除できないように構成した。また、複数の電池セルが直列に接続されたセルユニットとして少なくとも第1及び第2のセルユニットを有する電池パックにおいて、セルユニット間で短絡が生じた場合、セルユニットの放電経路又は充電経路を完全に遮断する前に、放電経路又は前記充電経路を所定の条件で遮断するよう構成した。この電池パックは、制御部と、放電経路又は充電経路に設けられたヒューズと、を有する。セルユニット間で短絡が生じた場合、放電経路又は充電経路をヒューズによって完全に遮断する前に、制御部によって放電経路又は前記充電経路を遮断するよう構成する。制御部による遮断はユーザの操作によって解除不能に構成される。これらのような電池パックは、電池パックを着脱可能な電池パック装着部と、接続部に接続される機器側端子部と、電池パックから供給される電力により駆動される負荷部と、を有する電気機器本体に装着することで電気機器が構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電池パックの接続部(端子部)付近で発生するチャタリングのような予兆現象を早期に検出することにより、ヒューズによる電力遮断よりも早い段階で、制御部の制御によって電池パックを使用禁止状態にできる。この結果、電池パックの完全な端子短絡に至ることを未然に防ぐことが可能となる。さらに、予兆現象の検知制御を、電池パックの制御部で実行されるソフトウェアによって実現したので、電気機器本体側の構成を変えることがなく、本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係る電池パック100が装着される電動工具本体1の斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る電池パック100の斜視図である。
【
図3】
図2の電池パック100の展開斜視図である。
【
図4】(A)は正極端子(162と172)、負極端子(167と177)の形状を示す部分斜視図と高電圧出力時の接続回路を示す図であり、(B)は高電圧電気機器のターミナル部30と、電池パック100側の端子との接続状況を示すための部分斜視図である。
【
図5】(A)は正極端子(162と172)、負極端子(167と177)の形状を示す部分斜視図と低電圧出力時の接続回路を示す図であり、(B)は低電圧電気機器のターミナル部80と、電池パック100側の端子との接続状況を示すための部分斜視図である。
【
図6】本実施例の電池パック100の回路図である。
【
図7】本実施例の電池パック100と高電圧用の電気機器本体(電動工具本体1)の接続時の回路図である。
【
図8】本実施例の電池パック100と外部充電装置300の接続時の回路図である。
【
図9】本実施例の電池パック100におけるチャタリング現象発生時の各信号波形を示す図である。
【
図10】本実施例の電池パック100におけるチャタリング現象の検出手順を示すフローチャートである
【
図11】本実施例の電池パック100におけるチャタリング現象検出後の制御手順を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第2の実施例に係る電池パック100Aの回路図である。
【
図13】従来のヒューズによる電力遮断状態を説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。本明細書においては、電気機器の一例として電池パックにて動作する電動工具を用いて説明するものとする。
【0015】
図1は本発明の実施例に係る電池パック100が装着される電動工具本体1の斜視図である。電気機器の一形態である電動工具には様々な種類のものがあり、広く用いられている定格電圧18Vの電池パックを用いる電動工具に加えて、より高出力が得られる定格電圧36Vの電池パック100を用いる電動工具が市販されている。また、出願者によって定格電圧18Vの電動工具本体と定格電圧36Vの電動工具本体1のいずれにも装着可能な複数電圧対応の電池パックが市販されている。
【0016】
図1で示す電動工具本体1はインパクト工具と呼ばれるものであって、ビット等の先端工具9を出力軸に装着し、先端工具に回転力や軸方向の打撃力を加えることにより締め付け作業を行う。電動工具本体1は、外形を形成する外枠たるハウジング2を備える。ハウジング2は、略筒状の胴体部2aと、胴体部2aの軸方向中央付近から直交方向(下方)に延在するハンドル部2bが形成される。ハウジング2の前方側には出力軸たるアンビル(図では見えない)が設けられ、出力軸に断面形状が六角形状の六角穴(図示せず)が形成され、出力軸の先端には先端工具9を装着するためのワンタッチ式の先端工具保持部8が設けられる。ここでは先端工具9としてプラスのドライバービットが装着されている。ハンドル部2bの一部であって作業者が把持した際に人差し指があたる付近には、トリガ状のトリガスイッチ4が設けられる。トリガスイッチ4の近傍には、出力軸の回転方向を切り換える為の正逆切替レバー5が設けられる。ハンドル部2bの下方には電池パック100を装着するための電池パック装着部2cが形成される。
【0017】
電池パック装着部2cには、左右両側の内壁部分に前後方向に平行に延びる溝部を含むレール部11a、11bが形成され、それらの間にターミナル部30が設けられる。ターミナル部30は、合成樹脂等の不導体材料の一体成形により製造され、そこに金属製の複数の端子、例えば正極入力端子32、負極入力端子37、LD端子(異常信号端子)38が鋳込まれる。さらに、電池パック100の下側正極端子172(
図4で後述)と下側負極端子177(
図4で後述)を短絡させるためのU字状のショートバーが鋳込まれており、ショートバーの一端が短絡用端子39aとなり、他端が短絡用端子39bとなる。ここでは正極入力端子32の下側に離間するように短絡用端子39aが配置され、負極入力端子37の下側に離間するように短絡用端子39
bが配置される。尚、ここでは後述する他の信号用の接続端子については省略して図示していない。
【0018】
ターミナル部30は、装着方向(前後方向)の突き当て面となる垂直面30aと、水平面30bが形成され、水平面30bは電池パック100の装着時に、上段面113(
図2で後述)と隣接、対向する面となる。水平面30bの前方側には、電池パック100の隆起部115と当接する湾曲部12が形成され、湾曲部12の左右中央付近には突起部14が形成される。突起部14は左右方向に2分割で形成される電動工具本体1のハウジングのネジ止め用のボスを兼ねると共に、電池パック100の装着方向への相対移動を制限するストッパの役目も果たす。
【0019】
図2は本発明の実施例に係る電池パック100の斜視図である。電池パック100は、上ケース110と下ケース101からなるケースに、定格電圧3.6Vのリチウムイオン電池セルを10本収容したものである。電池パック100の前方の段差部112から上段面113にて後方側に延びる部分がスロット群配置領域120になる。上ケース110の下段面111と上段面113は階段状に形成され、それらの接続部分から後方側に延びる複数のスロット121~128が形成される。スロット121~128は電池パック装着方向に所定の長さを有するように切り欠かれた部分であって、この切り欠かれた部分の内部には、電動工具本体1又は外部の充電装置(図示せず)の機器側端子と嵌合可能な複数の接続端子が配設される。スロット121~128は、電池パック100の右側側面に近い側のスロット121が充電用正極端子(C+端子)の挿入口となり、スロット122が放電用正極端子(+端子)の挿入口となる。また、左側側面に近い側のスロット127が負極端子(-端子)の挿入口となる。正極端子と負極端子(電力端子群)の間には、電池パック100と電動工具本体1や外部の充電装置(図示せず)への信号伝達用の複数の信号端子が配置され、ここでは信号端子用の4つのスロット123~126が電力端子群の間に設けられる。尚、スロット123は予備の端子挿入口であり、本実施例では端子は設けられない。
【0020】
スロット124は電池パック100の識別情報となる信号を電動工具本体又は充電装置に出力するためのT端子用の挿入口である。スロット125は外部の充電装置(図示せず)からの制御信号が入力されるためのV端子用の挿入口である。スロット126はセルに接触して設けられた図示しないサーミスタ(感温素子)による電池の温度情報を出力するためのLS端子用の挿入口である。負極端子(-端子)の挿入口となるスロット127の左側には、さらに電池パック100内に含まれる電池保護回路(図示せず)による異常停止信号を出力するLD端子用のスロット128が設けられる。
【0021】
電池パック100の上段面113の側面には、2本のレール部(レール溝)118a、118bが形成される。レール部118a、118bは、長手方向が電池パック100の装着方向と平行になるように形成される。レール部118a、118bの溝部分は、前方側端部が開放端となり、後方側端部が隆起部115の前側壁面と接続された閉鎖端となる。上段面113の後方側には、隆起するように形成された隆起部115が形成される。隆起部115の中央付近に窪み状のストッパ部119が形成される。ストッパ部119は、電池パック100を、電池パック装着部2cに装着した際に突起部14(
図1参照)の突き当て面となる。電池パック100が電動工具本体1の所定の位置に装着されると電動工具本体1に配設された複数の端子(機器側端子)と電池パック100に配設された複数の接続端子が接触して導通状態となる。電池パック100を電動工具本体1から取り外すときは、左右両側にあるラッチ116a、116bを押すことにより、爪状の係止部117a(図では見えない)、117bが内側に移動して係止状態が解除されるので、その状態で電池パック100を装着方向と反対側に移動させる。
【0022】
本実施例の電池パック100は、電池パック100側の端子構成と、36V用の電動工具本体1の機器側のターミナル部30の端子構成を工夫することにより、18V用の従来の電動工具本体にも36V用の電動工具本体1にも装着できるようにした。この装着の際に、電池パック100を18V用の電動工具本体に装着すると電池パック100の出力が自動的に18Vとなり、36V用の電動工具本体1に装着すると電池パック100の出力が自動的に36Vとなるように構成した。通常、電池パックの出力電圧は固定であるが、電池パック100では電池セルを収容するケース内に複数のセルユニットを設け、それらを直列接続として出力するか、並列接続として出力するかを接続手段により選択可能とすることにより、異なる電圧の機器に対応可能とした。この電池パックは、複数の電気機器を使用する際に、それぞれ別種類の電池パックを準備する必要がなくなる。また、電圧の切り替えに際して特別な操作が不要であって、操作ミス発生の虞がない。
【0023】
図3は
図2の電池パック100の展開斜視図である。電池パック100の筐体は、上下方向に分離可能な上ケース110と下ケース101によって形成され、下ケース101の内部空間には、10本の電池セルが収容される。10本の電池セルは、5本ずつ直列接続してなるセルユニットが2組設けられる。これら2つのセルユニットを直列接続した状態とすることで36Vの定格出力(高電圧出力)が得られ、並列接続した状態とすることで18Vの定格出力(低電圧出力)が得られる。出力電圧の自動切り替えを実現するために、第1のセルユニットと第2のセルユニットの正極にそれぞれ接続される2つの正極端子(162、172)を設け、第1のセルユニットと第2のセルユニットの負極にそれぞれ接続される2つの負極端子(167、177)を設け、電池パック100を低電圧用の電気機器本体に装着すると、電池パックから第1のセルユニットと第2のセルユニットの並列接続出力(低電圧)が出力される。同様に、電池パック100を高電圧用の電気機器本体(例えば電動工具本体1)に装着すると、電池パック100から第1のセルユニットと第2のセルユニットの直列接続出力(高電圧)が出力される。
【0024】
上ケース110と下ケース101は4本のネジ(図示せず)によって固定される。複数の電池セル(図示せず)は、5本ずつ2段にスタックさせた状態で、合成樹脂等の不導体で構成されたセパレータ145にて固定される。セパレータ145は電池セルの両端部となる左右両側だけが開口するようにして複数の電池セルを保持する。
【0025】
セパレータ145の上側には、回路基板150が固定される。回路基板150の前後方向の中央よりもやや前側には、スロット群配置領域160が設けられ、そこに複数の接続端子(161、162、164~168、171、172、177)が横方向に並べて半田付けによって固定すると共に、これら接続端子と図示しない回路パターンとの電気的な接続を行う。回路基板150にはさらに、電池保護ICやマイクロコンピュータ、PTCサーミスタ、抵抗、コンデンサ、ヒューズ、発光ダイオード等の様々な電子素子(ここでは図示していない)を搭載する。回路基板150の材質は、素材に対して絶縁性のある樹脂を含浸した基板上に、銅箔など導電体によってパターン配線を印刷したプリント基板と呼ばれるものであり、単層基板、両面基板、多層基板を用いることができる。本実施例では、両面基板を用いて回路基板150の上面(表面であって
図3から見える上側の面)と下面(裏面)に配線パターンが形成される。
【0026】
本実施例の電池パック100の接続端子群のうち、正極端子と負極端子だけは2つずつ設けられる。それ以外の接続端子、即ち、スロット124~126、128のT端子、V端子、LS端子、LD端子(いずれも図示せず)の数は1つずつであって、従来から用いられる電圧固定電池パックと同様の端子形状である。正極端子(161、162、171、172)と負極端子(167、177)は、左右方向に大きく離れた箇所に配置され、それらの間には3つの信号端子(T端子164、V端子165、LS端子166)が設けられる。本実施例では電力端子用の部品として、水平方向に延びる腕部が上側の左右に1組、下側の左右に1組の合計2組設けられたものを用いる。尚、信号端子(164~166、168)においても上下に2つの腕部を有するが、これらは同一部材により形成され電気的に同電位である。
【0027】
負極端子対(167、177)の左側にはLD端子168が設けられる。LD端子168も上側と下側の2組の腕部を有するように形成される。すべての信号端子(164~166、168)は、回路基板150の形成された複数の取付孔にそれぞれの脚部を表面から裏面にまで貫通させて、裏面側で半田付けにより固定される。以上のように、回路基板150上に図示しない電子素子が搭載され、複数の接続端子が半田付けにより固定されたあとに図示しないネジによってセパレータ145に固定される。
【0028】
下ケース101は、上面が開口された略直方体の形状であって、底面と、底面に対して鉛直方向に延びる前面壁、後面壁、右側側壁、左側側壁により構成される。下ケース101の内部空間はセパレータ145を収容するのに好適な形状とされる。下ケースの前面壁のほぼ中央には、スリット104が設けられる。上ケース110のスリット134は、充電装置にて充電を行う際に電池パック100の内部空間に下ケース101のスリット104から外気を取り込み、電池パック100の内部を冷却した後に、上ケース110のスリット134を介して充電装置に冷却風を流入させるための流入口として用いられ、下ケース101のスリット104は冷却風の吸気口として用いられる。尚、冷却風の流れは逆であっても良い。
【0029】
電池セル側からの出力の回路基板150への接続(電池セルと回路基板150との接続)は、上方向に板状に延びる接続用の引出しタブ261、266、271、276を介して行われる。また直列接続された電池セルの中間接続点からのリード線の端部294、296~299が上方向に延びるように配置され、回路基板150上に半田付けされる。さらに、直列接続された電池セルの中間接続点からの中間引出しタブ262、263が回路基板150に接続されるべく、上方向に延びるように配置される。セパレータ145の上側には、回路基板150を固定する為のネジボス146、147が形成される。
【0030】
セパレータ145は10本の電池セルを5本ずつ、上下2段にスタックしたものである。セパレータ145の円筒状の空間内に電池セルが挿入される。10本の電池セルは、いわゆる18650サイズと呼ばれる直径18mm、長さ65mmの複数回充放電可能なリチウムイオン電池セルが用いられる。各電池セルの軸線はそれぞれ平行になるように積み重ねられ、隣接するセルの向きを交互に逆になるように配置して、隣接する電池セルの正極端子と負極端子を金属製の接続板(図では見えない)を用いて接続される。このようにして5本の電池セルが相互に接続されてセルユニットを構成する。ここではセルユニットを2組収容する。
【0031】
上側セルユニット130の正極は、引出しタブ261が形成された引出し板を用いて回路基板150に接続され、上側セルユニット130の負極は、引出しタブ266が形成された引出し板を用いて回路基板150に接続される。同様にして下側セルユニット140の正極は、引出しタブ271が形成された引出し板270を用いて回路基板150に接続され、下側セルユニット140の負極は、引出しタブ276が形成された引出し板を用いて回路基板150に接続される。ここで、引き出し板270と引出しタブ271の間には、ヒューズ182(後述する
図6参照)の役割を果たす幅狭部272が形成される。幅狭部272は閾値I
1以上の大電流が所定時間以上継続した場合に溶けおちることにより切断状態となることにより、引き出し板270と引出しタブ271との電気的な接続状態を解消する。尚、
図3では見えないが上側セルユニット130用の引出しタブ261にも、幅狭部が形成されることによりヒューズ152(後述する
図6参照)の機能を果たす。
【0032】
図4(A)は本実施例の正極端子(162と172)、負極端子(167と177)の形状を示す部分斜視図と高電圧出力時の接続回路を示す図であり、(B)は高電圧用電気機器本体のターミナル部30と、電池パック100側の端子との接続状況を示すための部分斜視図である。
図4(A)に示すように、本実施例の電池パック100の接続端子群のうち、正極端子と負極端子だけは2つずつ設けられる。スロット122(
図3参照)には、上側正極端子162と下側正極端子172が並んで配置される。上側正極端子162と下側正極端子172は金属板のプレス加工によって形成され、脚部を回路基板150に貫通させて、貫通された側を半田付け等により固定する。上側正極端子162と下側正極端子172は距離を隔てて配置され、物理的に非接触状態にあり、電池パック100内では電気的に非導通状態にある。同様にしてスロット127(
図3参照)には、上側負極端子167と下側負極端子177が並んで配置される。上側負極端子167と下側負極端子177も距離を隔てて配置され、物理的に非接触状態にあり、電池パック100内では電気的に非導通状態にある。上側正極端子162と上側負極端子167、下側正極端子172と下側負極端子177は同じ金属部品である。
【0033】
電池パック100の内部には、5本のリチウムイオンの電池セルが直列に接続された下側セルユニット140と電池セルが直列に接続された上側セルユニット130が収容され、上側セルユニット130の正極が第一正極端子に相当する上側正極端子162に接続され、上側セルユニット130の負極が第一負極端子に相当する下側負極端子177に接続される。同様に、下側セルユニット140の正極が第二正極端子に相当する下側正極端子172に接続され、下側セルユニット140の負極が第二負極端子に相当する上側負極端子167に接続される。尚、ここでいうセルユニットの上側、下側とは、電池セルが下ケース101内の上段にあるか下段にあるかという物理的な位置を指すのでは無くて、2つのセルユニットを直列接続した際に、グランド側に位置する方のセルユニットを“下側セルユニット”と呼び、直列接続した際に高い電圧側に位置する方のセルユニットを“上側セルユニット”と呼ぶものであり、電気的な電位を基準としている。
【0034】
このような電池パック100の形態において、電動工具本体1側の正極入力端子32を上側正極端子162に接続し、負極入力端子37を上側負極端子167に接続するとともに、点線39で示すように電動工具本体1側のターミナル部30に含まれるショートバーにて下側正極端子172と下側負極端子177を電気的に接続すれば、下側セルユニット140と上側セルユニット130の直列接続の出力、即ち定格電圧36Vが電池パック100から電動工具本体1の負荷装置40に出力されることになる。
【0035】
図4(B)は定格電圧36Vの電動工具本体1のターミナル部30と、電池パック100側の接続端子(162、167、172,177)との接続関係を示す図である。ターミナル部30は、電動工具本体1の電池パック装着部2cに設けられる。ターミナル部30には、電池パック100のスロット121~128(
図2参照)に対応する機器側端子(32、39a、34~36、37、39b、38)が設けられ、合成樹脂製の基台31に鋳込まれるようにして固定される。短絡回路39は金属板でできたショートバーであり、
図4で示したように正極入力端子32や負極入力端子37等の他の機器側端子と共に、合成樹脂製の基台31にU字状に折り曲げた金属板を鋳込むことで構成できる。U字状に折り曲げた金属板の一方側の端部が短絡用端子39aとなり、他方側の端部が短絡用端子39bとなる。基台31の上側の接続端子部と、下側の板状の端子部であって同じ参照符号の部分は電気的に導通されている金属板により構成される。ここではスロット123(
図3参照)に対応する位置には機器側端子は設けられない。電力用の入力端子として、受電用の正極入力端子32と負極入力端子37は他の端子と比べて小さいサイズで構成され、短絡用端子39a、39bの上側にそれぞれ設けられる。正極入力端子32と短絡用端子39aは導通していない。また、負極入力端子37と短絡用端子39bは導通していない。
【0036】
電池パック100の装着時において、正極入力端子32は上側正極端子162だけに嵌合し、負極入力端子37は上側負極端子167だけに嵌合する。また、電動工具本体1のターミナル部30には、下側正極端子172と下側負極端子177を短絡させる小さい短絡用端子39a、39bが設けられるので、電池パック100の装着時には下側正極端子172と下側負極端子177が短絡回路39によって電気的に接続される。
【0037】
正極入力端子32は、上側正極端子162と嵌合する部分であって平板状に形成された端子部と、電動工具本体1側の回路基板側との結線を行うものであって基台31の上方に突出する端子部により構成される。正極入力端子32は合成樹脂製の基台31に鋳込まれる。負極入力端子37も正極入力端子32と同様であって、端子板の高さが、他の端子(34~36、38)板に比べて半分よりやや小さい程度の高さとされる。他の端子(34~36、38)は信号伝達用の端子である。ターミナル部30の合成樹脂製の基台31の前側と後側には、ハウジングによって挟持されるための凹部31aと31bが設けられる。
【0038】
図4(B)において、電池パック100を装着する際には、電池パック100を電動工具本体1に対して差し込み方向(スライド方向)に沿って相対移動させると、正極入力端子32と短絡用端子39aが同一のスロット122(
図4参照)を通って内部まで挿入され、上側正極端子162と下側正極端子172にそれぞれ嵌合される。このとき、正極入力端子32が上側正極端子162の嵌合部間を押し広げるようにして上側正極端子162の腕部162aと162bの間に圧入され、短絡用端子39aが下側正極端子172の腕部172aと172bの間を押し広げるようにして圧入される。同様にして、負極入力端子37と短絡用端子39bが同一のスロット127(
図2参照)を通って内部まで挿入され、それぞれ上側負極端子167と下側負極端子177に嵌合される。この際、負極入力端子37が嵌合部間を押し広げるようにして上側負極端子167の腕部167aと167bの間に圧入される。さらに、短絡用端子39bが下側負極端子177の腕部177aと177bの間を押し広げるようにして圧入される。このように
図4(B)の接続形態の実現によって、下側セルユニット140と上側セルユニット130の直列接続の出力、即ち定格電圧36Vが電池パック100から出力されることになる。
【0039】
図5(A)及び(B)は、従来の定格電圧18Vの電動工具本体(図示せず)に本実施例の電池パック100を装着した際の接続状態を示す図である。ターミナル部80は、電動工具本体の電池パック装着部に設けられる。ターミナル部80には、正極入力端子82、負極入力端子87等の接続端子が、合成樹脂製の基台81に鋳込まれるようにして固定される。その他の機器側端子(84~86、88)は、
図4のターミナル部30に固定された機器側端子(34~36、38)と同じである。電池パック100が電動工具本体に取り付けられるときは、正極入力端子82の端子部は、上側正極端子162と下側正極端子172の開口端部の双方を押し広げるように嵌合圧入されて、正極入力端子82の端子部の上側一部の領域が上側正極端子162と接触し、下側一部の領域が下側正極端子172と接触する。このように正極入力端子82の端子部を上側正極端子162の腕部162a、162bと下側正極端子172の腕部172a、172bに同時に嵌合させることによって、2つの正極端子(162と172)が短絡状態となる。同様にして負極入力端子87の端子部は、上側負極端子167と下側負極端子177の開口端部の双方を押し広げるように嵌合圧入されて、負極入力端子87の端子部の上側一部の領域が上側負極端子167と接触し、下側一部の領域が下側負極端子177と接触する。このように負極入力端子87の端子部を上側負極端子167の腕部167a、167bと下側負極端子177の腕部177a、177bに同時に嵌合させることによって、2つの負極端子(167と177)が短絡状態となり、電動工具本体には下側セルユニット140と上側セルユニット130の並列接続の出力、即ち定格電圧18Vが出力される。なお、上述した端子部は接続部に相当する。
【0040】
以上のように本実施例の電池パック100は、18V用の電動工具本体か36V用の電動工具本体1のいずれかに装着することにより、電池パック100の出力が自動的に切り替わる。この電圧切替えは、電動工具本体側のターミナル部の形状によって自動的に行われるので、電圧設定ミスの生ずる虞が無い。
【0041】
電池パック100を外部充電装置(図示せず)を用いて充電する場合は、従来の18V用電池パックと同じ充電装置にて充電が可能である。電池パック100のスロット121には、上側正極端子162と下側正極端子172と同等の形状の充電用の正極端子161、171(
図3参照)が設けられるので、放電用の正極端子(162、172)の代わりに、充電用の正極端子161、171を外部充電装置(図示せず)の正極端子に接続するようにすれば良い。このように電池パック100は、下側セルユニット140と上側セルユニット130を並列接続させた状態として18V用の充電装置を用いて充電を行うことができる。
【0042】
図6は本実施例の電池パック100の内部回路を示すブロック図である。ここでは上側セルユニット130及び下側セルユニット140に対する、制御部190と保護IC151、181の接続状況を説明するための基本的な構成部分だけを図示しており、その他の関連する回路、特に、
機器本体側の信号端子とのやりとりを行うための回路等の図示を省略している。電池パック100は、
図4にて示したように上側正極端子(上+)162と、下側正極端子(下+)172と、上側負極端子(上-)167と、下側負極端子(下-)177と、LS端子166、LD端子168を有して構成される。電池パック100にはこれら以外に、充電用の上側正極端子(上C+)161及び下側正極端子(下C+)171と、その他の信号端子群(T端子、V端子)が設けられるが、ここではそれらの図示を省略している。上側正極端子162と下側負極端子177には、上側セルユニット130の出力が接続される。即ち、上側セルユニット130の正極(+出力)が上側正極端子162に接続され、上側セルユニット130の負極(-出力)が下側負極端子177に接続される。同様にして、下側セルユニット140の正極(+出力)が下側正極端子172に接続され、下側セルユニット140の負極(-出力)が上側負極端子167に接続される。
【0043】
LS端子166は充電禁止信号出力端子に相当し、LD端子168は放電禁止信号出力端子に相当する。また、制御部190とLD端子168とを電気的に接続する放電禁止信号出力回路を有する。放電禁止信号出力回路は、
図6において、制御部190、制御部190とスイッチング素子191を接続するライン(第2回路部)、スイッチング素子191とLS端子166を接続するライン(第3回路部)スイッチング素子191、LD端子168を含んで構成されている。この放電禁止信号出力回路は、後述するように、チャタリング現象が生じた際に電池パック100の放電を停止(禁止)するよう放電禁止信号187(LD信号250)を出力し、その後、別の電気機器本体に接続しても電池パック100の放電ができないように放電の禁止状態を維持する。また、制御部190とLS端子166とを電気的に接続する充電禁止信号出力回路を有している。充電禁止信号出力回路は、
図6において、制御部190、制御部190とLS端子166とを接続するライン(第1回路部)、LS端子を含んで構成されている。この充電禁止信号出力回路は、後述するように、電池パック100を電気機器本体に接続した状態で放電中にチャタリング現象が生じた場合、充電禁止信号188を出力し、電池パック100を充電装置300に接続しても充電できないようにする。即ち、制御部190は、チャタリング現象を検出すると放電禁止信号187(LD信号250)を出力すると共に充電禁止信号188(LS信号255)も出力するように構成されている。
【0044】
上側セルユニット130と下側セルユニット140にはそれぞれ、電池セルの電圧を監視するための保護IC151、181が設けられ、これら保護IC151、181にはマイコンを有する制御部190が接続される。保護IC151は、上側セルユニット130の各電池セルの両端電圧を入力することにより、過充電保護機能、過放電保護機能の他、セルバランス機能、カスケード接続機能、断線検出機能を実行するもので、“リチウムイオン電池用保護IC”として市販されている集積回路である。また、保護IC151は、上側セルユニット130のいずれかの電池セルの電圧が所定の下限値まで低下して過放電状態になった場合は、過放電を示す信号(ハイ信号)156を制御部190に出力する。また、図示しない外部の充電装置に電池パック100が装着されて、充電が行われている際に、保護IC151は上側セルユニット130のいずれかの電池セルの電圧が所定の上限値を超えたことを検出して過充電状態となった場合は、過充電状態を示す過充電信号(ハイ信号)155を制御部190に出力する。
【0045】
下側セルユニット140には保護IC181が接続される。保護IC181は下側セルユニット140内の各電池セルの電圧を監視し、いずれかの電池セルの電圧が所定の下限値まで低下した状態(過放電状態)を検出した場合に過放電信号186(ハイ信号)を制御部190に出力する。また、図示しない外部の充電装置に電池パック100が装着されて、充電が行われている際に、保護IC181は下側セルユニット140のいずれかの電池セルの電圧が所定の上限値を越えたことを検出した場合に、過充電状態を示す過充電信号185(ハイ信号)を制御部190に出力する。
【0046】
下側セルユニット140の回路中、即ち下側正極端子172と上側負極端子167の間の回路中には、制御部190がさらに設けられる。つまり、上側セルユニット130と並列に設けられる回路には保護IC151が配置されるのに対して、下側セルユニット140と並列に設けられる回路には、保護IC181とマイコン(Micro Controller Unit)を有する制御部190が配置される。制御部190には、保護IC151からの出力(過放電信号156、過充電信号155)と、保護IC181からの出力(過放電信号186、過充電信号185)が入力される。制御部190は、上側セルユニット130と下側セルユニット140の電圧を監視する。上側セルユニット130と下側セルユニット140に含まれる各電池セルの電圧調整は、それぞれの保護IC151、181が行う。制御部190は、電流値やセル温度の監視を行うと共に、上側セルユニット130と下側セルユニット140の状態を監視して双方の動作状況を統合して制御、例えばセルユニット間の電圧バランスの調整を行う。
【0047】
下側セルユニット140のグランド側には電流値を測定するためのシャント抵抗189が設けられ、電流検出回路184はシャント抵抗189の両端電圧を測定することにより電流値を検出する。電流検出回路184の出力は制御部190に入力される。制御部190は、電動工具本体1に緊急的な停止が必要となった場合には、LD端子168を介して放電禁止信号187を電気機器本体側に伝達する。また制御部190は、LS端子166を介して図示しない充電装置に充電禁止信号188を出力する。
【0048】
制御部190には、図示しない記憶装置が設けられ、図示しないマイコンによって動作するソフトウェアやパラメータ等を適宜記憶する。また制御部190には、セル温度検出手段193が接続される。セル温度検出手段193には図示しない複数の温度センサの出力が接続される。温度センサとしては、サーミスタを用いることができ、サーミスタの一つ以上を上側セルユニット130に接する又は近接する箇所に設け、別のサーミスタを下側セルユニット140に接する又は近接する箇所に設けている。セル温度検出手段193は、温度変化に対するサーミスタの電気抵抗の変化を利用して、上側セルユニット130と下側セルユニット140のそれぞれの温度を測定し、制御部190に出力する。
【0049】
制御部190の駆動用の電源は、下側セルユニット140に接続される電源回路(電源部)180によって生成され、基準電圧VDDが制御部190に供給される。本実施例の電池パック100は、18Vと36Vの電圧切替式なので、上側セルユニット130側の保護回路に制御部190(マイコン)を搭載すると、2つのセルユニットの直列接続時と並列接続時において、制御部190のグランド電位が変わってしまう。そこで、下段側(グランド側)に電源回路180を設けるようにして電源回路180のグランド電位が変化しないようにした。この制御部190の配置により、出力電圧を定格18Vと36Vの切替式としても制御部190を安定して稼働できる。制御部190は、自身にかかる電源電圧(VDD)の保持と、解除を切り替えることができ、通常動作状態(ノーマルモード)と動作機能制限状態(いわゆるスリープモード)と動作停止状態(いわゆるシャットダウン)を有する。
【0050】
制御部190には、上側正極端子162に接続される上側電圧検出回路157の出力が入力される。この出力は、電池パック100が電動工具本体1や外部充電装置(図示せず)に装着されていない場合は、上側セルユニット130の電位を示す。一方、低電圧(18V)用の電動工具本体1に装着された場合、上側正極端子162と下側正極端子172が接続されるため、上側セルユニット130と下側セルユニット140の各々の正極が同電位となり、各々の負極が同電位となる。このことから制御部190は、上側正極端子162の電位と、下側正極端子172の電位を比較することによって、電池パック100が非装着の状態であるか、低電圧機器本体に装着されているか、高電圧機器本体に装着されているかを判別できる。尚、下側正極端子172の電位検出のためには、下側セルユニット140内の電池セルのうち最上位の電池セルの正極電位を制御部190が取得できるように構成すると良い。電池パック100からの電力供給を止めなければならない状況、例えば、放電時の過大電流、放電時のセル電圧の低下(過放電)、セル温度の異常上昇(過温度)等が生じた際には、制御部190を介して電動工具本体側に放電禁止信号187を伝達することで、電動工具本体の動作を素早く停止できる。放電禁止信号187の伝達は、制御部190のI/Oポートからハイ信号を出力することによりスイッチング素子191を導通させることによってLD端子168をグランド電位に落とすことによって行われる。
【0051】
制御部190の状態には、ノーマル、スリープ、シャットダウンの3段階がある。ノーマルは制御部190が常時起動している状態である。スリープは外部回路や制御部190自身の機能の動作を最小限に制限し、制御部190が自ら間欠的に起動するモードであり、例えば10ミリ秒の起動後に240ミリ秒停止するというような動作を繰り返す。シャットダウンは、基準電圧VDDが全く供給されない状態であって、制御部190が完全に停止している状態である。制御部190は、電池パック100が電動工具本体に装着されている時だけでなく、装着されていないときも動作可能である。但し、電池パック100が装着されていない時や、装着時であっても電動工具が一定時間以上使用されていない時、例えば、電気機器本体のトリガ操作が終了してから2時間程度トリガ操作が行われなかった場合は、制御部190はスリープ状態に移行する。電動工具本体のトリガスイッチ4が再び引かれてモータ3(
図7参照)に電流が流れると、制御部190は、電流検出回路184によって検出される電流値の増加を検知してノーマル状態に復帰する。
【0052】
図7は電池パック100が装着される電動工具本体1(高電圧用電気機器)の回路図である。右側が電池パック100であり、具体的な回路構成は
図6で示したものと同一であるので繰り返しの説明は省略する。
図4で示したように定格36Vの電動工具本体1のターミナル部30(
図4参照)には、下側正極端子172と下側負極端子177を短絡させる短絡回路39が含まれる。このように電動工具本体1に短絡回路39を有するターミナル部30(
図4参照)を設けることによって、2つの正極端子(162、172)と2つの負極端子(167、177)を有する本実施例の電池パック100を装着するだけで、上側セルユニット130と下側セルユニット140の直列接続回路を確立することができる。つまり、電動工具本体1の正極入力端子32には、上側に位置する上側正極端子162だけが接続され、負極入力端子37には上側に位置する負極端子167だけが接続される。また、下側に位置する下側正極端子172と、下側に位置する下側負極端子177は、短絡回路39によって接続される。
【0053】
電動工具本体1には、モータ3の回転制御を行うための制御部20が含まれる。制御部20にはマイコンが含まれ、制御部20には駆動用の基準電圧VDD1(5V又は3.3V)が供給される。基準電圧VDD1は、正極入力端子32と負極入力端子37の両端電圧を入力とする電源回路21により供給される。電圧検出回路22は正極入力端子32と負極入力端子37の間の電圧(電池パック100の電圧)を測定するもので、その出力は制御部20に出力される。制御部20の入力ポートには電圧検出回路22から正極入力端子32の電圧(V+)が入力される。制御部20は、出力ポート(A/D出力端子)を介してスイッチング素子25をオンにするための信号を出力する。スイッチング素子25は、放電禁止信号187(LD信号)を受信した際に、制御部20のマイコンの制御によってモータ3を停止させるためのスイッチである。スイッチ(SW)状態検出回路23は、トリガスイッチ4の状態がオンかオフかを検出する回路であり、トリガスイッチ4のレバーが少しでも引かれるとオン信号を制御部20に出力する。制御部20は各種の制御用の信号や、センサ類からの入力信号、電池パック100への制御信号等の様々な信号の入出力が行われる。電流検出回路24は、シャント抵抗26の両端電圧を測定することによってモータ3に流れる電流値の大きさを制御部20に出力する。
【0054】
LD端子38は、抵抗器28を介して制御部20の入出力ポートに接続される。抵抗器28と制御部20の間は、抵抗器27を介して基準電圧VDD1に接続される。電池パック100側の制御部190が放電禁止信号187を出力する(ハイにする)と、スイッチング素子191が導通することによって、LD端子168、38(後述するLD信号)がグランド電位に落とされる。この結果、抵抗器28に接続される制御部20の入力電位が、抵抗器27と28による基準電圧VDD1の分圧電位に変化するので、制御部20は、電池パック100から放電禁止が指示されたことを検出できる。LD端子38は放電禁止信号入力端子に相当する。
【0055】
図8は本実施例の電池パック100が外部充電装置300に接続された際の入出力回路図である。電池パック100側の構成は
図6で示した回路と同一であるが、装着される相手側機器(電気機器本体)が充電装置300となる。充電装置300はマイコン等を有する制御部320を含み、電源回路310の出力にて電池パック100を定格18Vの電池パックと同様に充電する。充電装置300の正極端子332と負極端子337は、
図5で示した正極入力端子82と負極入力端子87と同一形状であるため、電池パック100が外部充電装置300に接続されると上側セルユニット130と下側セルユニット140が並列接続された状態になる。電源回路310は、商用交流電源301を整流して所定の直流、電圧を得るものである。図中には記載していないが、電源回路310の出力から制御部320の動作用の基準電圧VDD
2を生成する定電圧電源回路も含まれる。電源回路310から電池パック100に出力される電流の大きさは、シャント抵抗311を用いて電流検出回路315にて検出され、制御部320のマイコンに出力される。また、電池電圧検出回路317が設けられ、正極端子332と負極端子337の間の電圧が測定され、制御部320のマイコンに出力される。充電装置300にはLS端子336が設けられ、電池パック100側のLS端子166と接続される。LS端子336は充電禁止信号入力端子に相当する。
【0056】
充電禁止信号188は、電池パック100の制御部190のマイコンから出力され、通常の充電中において、電池電圧が満充電に至るまでは充電禁止信号188は出力されないが(Low信号状態)、電池電圧が満充電に到達すると充電禁止信号188が出力される(High信号状態)。LS端子336の電位が高くなると(High信号状態)、制御部320のマイコンは電源回路310の出力を停止させることにより電池パック100への充電を停止する。本実施例では、電池パック100がヒューズ152、182による溶断に至る前に異常状態であると制御部190のマイコンが判断した際にも、充電禁止信号188を連続的に出力するように構成した。このように充電禁止信号188をHighレベルに保つことによって電池パック100の充電を行わないようにすることができる。この充電を行わない動作は、電池セル側から見るとヒューズ152、182が溶断された状態と同じである。尚、充電装置300ではLD端子168の出力信号を利用しないため、充電装置300側から出力される放電禁止信号を受信するLD端子は設けられない。しかしながら、LD端子168の出力信号を制御部320のマイコンが受信できるように構成するようにしても良い。尚、制御部320が電池電圧検出回路317を介して電池パック100の電圧を監視し、電池パック100の電圧が満充電に到達すると、制御部320が充電を停止するように制御しても良い。
【0057】
図9は本実施例の電池パック100におけるチャタリング現象発生時の各信号波形を示す図である。
図9(A)~(D)の横軸は時間(単位:ミリ秒)であり、それぞれの横軸の時間を合わせて図示している。
図9(A)は電流値230の波形図であり、縦軸は電流(単位:A)である。電流値230は、電流検出回路184を用いて制御部190のマイコンにより検出される。時刻t1において作業者が電動工具本体1のトリガスイッチ4をオンにすると、矢印230aに示すように大きく上昇し(モータ53の始動電流)、その後は矢印230bに示すように負荷に応じた電流量に落ち着く。このように電流値230が流れている最中に何らかの理由、例えば電力端子部の短い時間間隔のショート状態が発生すると、例えば、矢印231~233のように短い時間で電流値の急上昇の状態が発生する(例えば複数回)。これらのパルス状電流231~233は、第1の閾値電流I1を越えているが、第2の閾値電流I2は越えていない。ここで、第1の閾値電流I1は、本実施例におけるパルス状の異常電流の発生を検知するための電流閾値(例えば200A)であり、第2の閾値電流I2は、
図6で示した回路中のヒューズ152、182の溶融に影響する定格遮断電流(例えば250A)である。ここでは、時刻t2からパルス状電流231が流れ、第1の閾値電流I1を越えた状態の電流が持続時間DT
1
だけ続く。同様にして、時刻t3及びt4から短時間短絡等に起因するパルス状電流232、233が持続時間DT
2
、DT
3
だけ流れる。そして、後述するように、時刻t6において、電池パック100からLD信号250が出力されて電気機器本体(電動工具本体1)の制御部20が電池パック100の放電を停止(遮断)することで電流値230がゼロになる。尚、作業者が時刻t6又は時刻t5~t6の間でトリガスイッチ4をオフにしても電流値230がゼロになる。
【0058】
図9(B)は、セルユニットの両端子間の電圧値240(単位:ボルト)
の波形図である。ここでは、上側端子電圧検出回路157によって測定された端子電圧を示しており、電池パック100が36V電気機器本体に接続されている場合は、上側セルユニット130と下側セルユニット140の合計電圧を示し、電池パック100が18V電気機器本体に接続されている場合は、上側セルユニット130と下側セルユニット140の並列接続状態の電圧を示す。電圧値240は、電流値230の大きさに応じて電圧降下によって低下する。時刻t1において作業者が電動工具本体1のトリガスイッチ4をオンにすると、矢印240aに示すように最初大きく低下し、その後は矢印230bに示す電流値230に応じて電圧低下して、矢印240bのような電圧値240に落ち着く。尚、矢印240bの状態での電圧値240は電池パック100がこれ以上充電することができない満充電状態ではないため(満充電状態に対して電圧又は容量が小さいため)、電池パック100が正常の状態(例えば電池セルの温度は正常な範囲(充電可能な温度範囲))で充電装置300に接続すれば充電が開始される。このように時に、矢印231~233に対応する短い時間間隔のショート状態が発生すると、電圧値240も矢印241~243のように短い時間の急低下状態が発生する。即ち、時刻t2から所定時間DT
1だけ電圧閾値V1(第1の閾値電圧)よりも低下状態が続き、その後、時間IT1だけ経過した時刻t3に再び電圧値240が電圧閾値V1よりも低下する。時刻t3から所定時間DT
2
だけ電圧閾値V1よりも低下状態が続いたら、電圧値240が電圧閾値V1より高い状態に復帰する。その後、時間IT2だけ経過した時刻t4に再び電圧値240が電圧閾値V1よりも低下する。時刻t4から所定時間DT
3
だけ電圧閾値V1よりも低下状態が続いたら時刻t5において、電圧値240が電圧閾値V1より高い状態に復帰する。そして、後述するように、時刻t6において、電池パック100からLD信号250が出力されて電気機器本体(電動工具本体1)の制御部20が電池パック100の放電を停止(遮断)することで電流値がゼロにとなり、無負荷時の電池電圧に戻る。尚、作業者が時刻t6又は時刻t5~t6の間でトリガスイッチ4をオフにしても無負荷時の電池電圧に戻る。ここで、電圧閾値V1は制御部190の動作電圧(VDD)より低い電圧としても良い。又は、過放電の閾値(電池セル1つ当たり2.5V)より小さい値(例えば1.5V)を電圧閾値V1としても良い。
【0059】
図9(C)は、本実施例におけるLD信号の出力状態を示す。LD信号とは制御部190のマイコンが電気機器本体側へ放電禁止信号187を伝達するための信号であり、電気機器本体側のLD端子38又は88、電池パック100側のLD端子168に接続される。ここでは、LD端子の電位(LD信号250)がHighの時が電池パック100からの放電を許可する状態である。LD信号250は接続される電気機器本体(電動工具本体1)側の制御部20のマイコンに伝達されるか、又は、電気機器本体側の電力経路中に接続されたスイッチング素子のゲート信号に接続される。時刻t
5において3つ目の電圧値240の低下(矢印243)が所定時間以上(例えば時刻t
3から所定時間DT
3)経過したら、制御部190のマイコンはLD信号250をHighからLowに切り替えることによって(放電禁止信号187をLowからHighに切り替えることによって)電池パック100のその後の使用を禁止する。尚、一旦電池パック100の使用を禁止すると、例えば電池パック100の温度が正常範囲であっても使用することができない。時刻t
5でLD信号250をHighからLowに切り替えて、その後の時刻t
6で放電を停止(電池パック100の使用を禁止)している。この時刻t
5と時刻t
6との間の時間は、LD信号250が出力されてから電気機器本体の制御部20がLD信号250を受信(認識)して放電(電流)を遮断(停止)するまでの時間(遅延時間)である。時刻t
5で直ちに放電(電流)を遮断するように構成しても良い。
【0060】
LD信号250の切り替えに対応させて、
図9(D)のように時刻t
5において、LS信号255をLowからHighにする。LS信号255は、充電装置300の充電動作を許可するための信号であり、Low状態にあるときは充電が可能であるが、High状態にあるときは充電装置300の充電動作が禁止される。LS信号255は充電禁止信号188と同じ信号である。尚、放電禁止信号と充電禁止信号の出し方やHighとLow状態の割り当ては任意であり、どのような信号にて電力負荷を有する電気機器本体への電力供給を禁止し、どのような信号にて充電装置からの電力供給を阻止するかは任意である。例えば、一旦、使用禁止状態となり、LD信号250やLS信号255が禁止状態に切り替えられたら、その後は常に禁止状態を示す信号を出力し続ける(維持する)ようにしても良いし(
図9の状態)、禁止信号を出力してから所定時間後に出力を停止し、別の電気機器本体(電動工具本体や充電装置)に接続された際に再度禁止信号を出力するようにしても良い。或いは、制御部190をシャットダウンさせて、ユーザではシャットダウンを解除できないようにしても良い。
【0061】
チャタリング現象以上の長い時間間隔の大きな電流上昇及び大きな電圧降下が生じた場合、即ち
図13に示したような短絡状態が発生した時は、
図10での制御とは別に、ヒューズ152、又は/及び、182が溶融することにより電池パック100からの電力供給を停止(遮断)させる。
図13は、従来のヒューズ152、182による電力遮断状態を説明するための波形図である。ヒューズ152、182は、定格以上の大電流が電池パック100及び外部の電気機器本体側に流れることによる電力経路及び電池セルの加熱や破損、発火を防ぐために設けられる電気部品であり、普段は抵抗がほとんどない導体として動作する。何らかの異常によって矢印236aのように電力経路に定格I
2以上の電流235が流れ、矢印236bに示すように時刻t
11まで定格I
2以上の電流235が流れ続けると、ジュール熱により内蔵する合金部品が溶断することにより、電力経路が切断されて、不導状態にすることにより電池パック100及び外部の電気機器本体を保護する。ヒューズ(電力ヒューズ)には定格があり、その遮断特性は、第2の閾値電流I
2を越えた大きさと、その継続時間によって変化し、時刻t
10から時刻t
11に至る時間間隔がどの程度かは一定ではない。しかしながら、ヒューズ152、182の特性に関しては本願発明の本質部分ではないので、これ以上の説明は省略する。
【0062】
図10は本実施例の電池パック100におけるチャタリング現象の検出手順を示すフローチャートである。
図10に示す一連の手順は、制御部190に含まれるマイコンが予め格納されたプログラムによってソフトウェア的に実行可能である。ここで用いられる変数は、下記である。DT:電池電圧が第1の閾値電圧(所定値V
1)未満となっている状態の持続時間 IT:最後に第1の閾値未満となった電圧降下が消滅した時からの時間 n:電池電圧が第1の電圧閾値V
1未満となった電圧降下回数
【0063】
最初にマイコンは、上側電圧回路157の出力を用いて上側セルユニット130のユニット電圧が、第1の閾値電圧V
1を下回っているか否かを判定する(ステップ211)。ここで、ユニット電圧が第1の閾値電圧V
1を上回っている場合は、降下状態の持続時間を測定するためにカウンタDTを0にクリアし、(ステップ212)、合計電圧が第1の閾値電圧V
1未満の場合は、持続時間DTを1単位時間だけインクリメントすることにより持続時間DTのカウントを行う(ステップ213)。尚、上側電圧回路157によって上側セルユニット130と下側セルユニット140の合計電圧を検出し、この合計電圧に基づいて
図10の処理を実行しても良い。又、上側電圧回路157とは別の全体電圧回路を設けても良いし、下側電圧回路を設けて、下側電圧回路の検出結果に基づいて
図10の処理を実行しても良い。
【0064】
次に、所定の時間間隔のパルス状になった電圧の落ち込みの持続時間DT(
図9参照)が判定閾値DT
maxに到達したか否かを判定する(ステップ214)。ここで持続時間DTが判定閾値DT
maxに到達していない場合は、単なる尖塔状のノイズであることがあり得るため、カウントせずにステップ217に進む。持続時間DTが判定閾値DT
maxに到達した場合は、チャタリング現象又はヒューズにより遮断されるべき異常が発生していると判定され、パルス状の電圧降下の回数をカウントするカウンタnを1つインクリメントする(ステップ215)と共に、電圧降下のパルスが消滅した時からの時間間隔を測定するためのカウンタITをゼロにクリアする(ステップ216)。
【0065】
ステップ217では、最後に電圧降下した時、即ち最後の電圧降下が消滅した時からの時間ITを単位時間1だけインクリメントし、次に、その時間が所定の閾値T2を越えたか否かを判定する(ステップ218)。時間ITが閾値T2を越えていない場合はステップ220に進み、時間ITが閾値T2(例えば1秒)を越えた場合、即ちパルス241~243の間隔が所定の間隔を越えた場合であって、いわゆるチャタリング現象を構成するパルス群が形成(発生)されなかった場合は電圧降下回数nをゼロクリアする(ステップ219)。チャタリング現象は短時間で複数回繰り返して発生するため、閾値T2以内に複数回のパルスが発生した場合にはチャタリング現象が発生したと判断する。
【0066】
ステップ220では、カウントされた電圧降下回数nが所定の閾値回数N以上か否かを判定する。
図9の実施例は、閾値回数N=3として所定の時間間隔内(閾値T2内)に3回のパルス241~243が出現したら、電池パック100を使用不可にするべく“充電/放電禁止モード”を設定し、そのモード情報を制御部190に含まれる不揮発性メモリ(図示せず)に記憶させる(ステップ221)。
【0067】
以上の制御を制御部190のマイコンが起動している間に連続して実行することで、マイコンは電池パック100から外部電気機器本体への電力供給経路中にチャタリング現象が発生したことを検出し、短絡に繋がるようなチャタリングの場合は電池パック100のその後の使用を禁止する。
【0068】
図11は本実施例の電池パック100におけるチャタリング現象検出後の制御手順、即ち、
図10のステップ221が実行された後の制御部190の制御手順を示すフローチャート225である。
図11のフローは、
図10のステップ221が実行された後に制御部190に含まれるマイコンによって実行されるもので、
図10のフローチャートとは平行して実行され、マイコンが起動している間は継続して実行される。最初に、マイコンは、自らの動作モードとして“充電/放電禁止モード”に設定されているかどうかを判定する(ステップ226)。“充電/放電禁止モード”かどうかは、マイコンが制御部190に含まれる不揮発性メモリ(図示せず)の特定領域のフラグを読み取ることで判定できる。従って、電池パック100が取り外されて、マイコンがシャットダウン状態となっても、再び電池パック100のマイコン起動時に
図11のフローチャートが実行されることにより、“充電/放電禁止モード”が設定されていたらその禁止モードが継続して設定されることになる。
【0069】
まず、ステップ226にて、“充電/放電禁止モード”が設定されていない場合は、ステップ226を繰り返すことにより待機し、設定されている場合は、充電禁止信号(LS信号)188をLS端子166(
図6参照)に出力し(ステップ227)、放電禁止信号(LD信号)187(LD信250)をLD端子168(
図6参照)に出力し(ステップ228)、ステップ226に戻る。このようにして、本実施例の実施によってチャタリング現象が判定されたら、電池パック100はマイコンを使ったソフトウェアによる制御によってLS信号及びLD信号を停止状態に保つことにより使用禁止状態、即ち、ヒューズ152、182が切れた時と同等の状態を維持する。この制御によって、本実施例の電池パック100は、ヒューズ152、182が溶断する前の段階にて短絡発生の初期状態を検出でき、電池パック100の使用を停止することができる。
【0070】
本実施例では、電池パック100を電気機器本体として電動工具本体1に接続した状態で制御部190が異常(チャタリング現象)を検出すると、電池パック100が“充電/放電禁止モード”に設定されることを説明した。しかしながら、電池パック100を電気機器本体として充電装置に接続した状態で異常を検出した場合にも電池パック100が“充電/放電禁止モード”に設定されるようにしても良い。そして、電池パック100が接続された電気機器本体の種類(電動工具本体や充電装置)にかかわらず、電池パック100が“充電/放電禁止モード”に設定された場合は、一旦取り外して再び外部の電気機器本体(電動工具本体等)や、充電装置に接続しても禁止状態が維持されることになる。つまり、電池パック100の充電及び放電禁止状態は、ユーザによる操作では解除できないことになる。この状態がいわゆる“永久使用停止状態”、“使用の永久禁止状態”である。尚、メーカ側の修理により、接続端子(ヒューズ)の状態を確認することにより電池パック100が継続使用不能か継続使用可能かを判定して、継続使用可能な場合は、制御部190に含まれる不揮発性メモリ(図示せず)の特定領域のフラグをクリアすることにより電池パック100を使用可能状態に戻すようにしても良い。この使用可能状態に戻すにはメーカだけが所有する専用の機器を必要とし、ユーザ側ではクリアできないようにすることが重要である。
【0071】
第1の実施例では、放電禁止信号187(LD信号250)及び充電禁止信号188(LS信号255)をそれぞれ、LD端子168、LS端子166を介して、接続された外部の電気機器本体に出力するように構成したが、電池パック100自身で放電及び充電を禁止するように構成しても良い。この場合、放電経路にスイッチング素子25に相当する放電禁止用のスイッチング素子を設け、放電禁止信号187(LD信号250)によって当該スイッチング素子を遮断、即ち放電経路を遮断すれば良い。更に、充電経路にも同様に充電禁止用のスイッチング素子を設け、チャタリング現象による放電禁止信号187(LD信号250)が制御部190から出力された際に充電禁止信号188(LS信号)を出力し、充電禁止用のスイッチング素子を遮断する。この構成により、チャタリング現象が生じて放電を停止した後に、電池パック100を充電装置300に接続しても、電池パック100内の充電禁止用スイッチング素子が遮断されているため充電不能とすることができる。このような電池パック100自身で放電及び充電を禁止するように構成した電池パックの構成を
図12を用いて説明する。
【実施例2】
【0072】
図12は本発明の第2の実施例に係る電池パック100Aの回路図である。第2の実施例では、ヒューズ152、182と共に作用する第2の遮断機能として、制御部190のマイコンによって設定される“セルフコントロールプロテクター”を用いた遮断手段153、183を設けた。第2の実施例では第2の遮断機能のすべてをソフトウェアで制御するのではなくて、第2の遮断機能の起動だけをソフトウェアで制御し、第2の遮断機能の起動後はソフトウェアによる制御を不要としたものである。遮断手段153は、上側正極端子162と上側セルユニット130との電力経路を遮断するものであり、遮断の実行を制御部190からの指示信号により行う。ここで“セルフコントロールプロテクター”は、内部に電力経路を遮断させるヒューズエレメントが設けられ、そのヒューズエレメントの直下にヒータが配置された電子素子であり、制御部190のマイコンからの電気信号によってヒータへの通電を制御することによりヒューズエレメントの溶融による回路遮断をソフトウェアの制御で実行できる。この“セルフコントロールプロテクター”としては、例えばデクセリアルズ株式会社(Dexerials Corporation)の表面実装型ヒューズを用いることができる。遮断手段183は下側正極端子172と下側セルユニット140との電力経路を遮断するヒューズであり、遮断手段153と同様に制御部190からの指示信号により遮断の実行を行うことができる。このように電力経路中に従来からのヒューズ152、182と直列に“セルフコントロールプロテクター”を用いた遮断手段153、183を設けたので、第1の実施例で判定された“充電/放電禁止モード”を用いたソフトウェア制御にて電力供給経路を物理的に遮断することができる。
【0073】
遮断手段153、183による遮断の手順は
図10で示したフローチャートと同じである。第1の実施例では
図10のステップ221において、“充電/放電禁止モード”の設定として、そのモード情報を制御部190に含まれる不揮発性メモリ(図示せず)に記憶させていたが、その記憶の代わりに、又は、その記憶と共にマイコンは遮断手段153、183のヒータへの通電を行う制御信号を出力することによって、遮断手段153、183に含まれるヒューズエレメントを溶断させる。
【0074】
第2の実施例では、ハード的な動作だけの従来型のヒューズ152、183による第1のヒューズ機能と、ソフトウェアによって動作させる第2のヒューズ機能を併用したので、チャタリング現象等の従来のヒューズ152、183による遮断に至らないような予兆的な短絡現象においても、効果的に電気回路や電池セルを保護することが可能となる。
【0075】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本実施例の電池パックは電圧切替え方式のものに限定されずに、従来から広く用いられる電圧固定式の電池パックにおいても同様に適用できる。また、使用する電池セルのサイズや種類は、実施例中で述べた18650サイズのリチウムイオン電池だけに限られずに、その他サイズや種類であっても良い。また、電池パック(電池セル)の電圧又は電池セルに流れる電流に基づいて異常状態(チャタリング現象)を判別したが、電池パック(電池セル)の温度に基づいても異常状態を判別するようにしても良い。チャタリングによる短絡が生じると大電流が流れるため、それに伴って電池セルの温度が上昇するため、温度情報に基づいても判別することができる。また、異常状態としてはチャタリング現象に限らず、電池パックの使用を禁止すべき状態であれば適用することができる。例えば電池セルの異常高温が考えられる。
【符号の説明】
【0076】
1…電動工具本体(電気機器本体)、2…ハウジング、2a…胴体部、2b…ハンドル部、2c…電池パック装着部、3…モータ、4…トリガスイッチ(トリガSW)、5…正逆切替レバー、8…先端工具保持部、9…先端工具、11a,11b…レール部、12…湾曲部、14…突起部、20…制御部、21…電源回路、22…電圧検出回路、23…スイッチ状態検出回路、24…電流検出回路、25…スイッチング素子、26…シャント抵抗、27,28…抵抗器、30…ターミナル部、30a…垂直面、30b…水平面、31…基台、31a,31b…凹部、32…正極入力端子、37…負極入力端子、38…LD端子、39…短絡回路、39a,39b…短絡用端子、40…負荷装置、53…モータ、80…ターミナル部、81…基台、82…正極入力端子、87…負極入力端子、90…負荷装置、100,100A…電池パック、101…下ケース、104…スリット、110…上ケース、111…下段面、112…段差部、113…上段面、115…隆起部、116a,116b…ラッチ、117a,117b…係止部、118a,118b…レール部、119…ストッパ部、120…スロット群配置領域、121~128…スロット、130…上側セルユニット、134…スリット、140…下側セルユニット、145…セパレータ、146,147…ネジボス、150…回路基板、151…(上側セルユニット用の)保護IC、152…ヒューズ、153…遮断手段、155…過充電信号、156…過放電信号、157…上側電圧検出回路、160…スロット群配置領域、162…上側正極端子、162a,162b…(上側正極端子の)腕部、164…T端子、165…V端子、166…LS端子、167…上側負極端子、167a,167b…(上側負極端子の)腕部、168…LD端子、172…下側正極端子、172a,172b…(下側正極端子の)腕部、177…下側負極端子、177a,177b…(下側負極端子の)腕部、180…電源回路、181…(下側セルユニット用の)保護IC、182…ヒューズ、183…遮断手段、184…電流検出回路、185…過充電信号、186…過放電信号、187…放電禁止信号、188…充電禁止信号、189…シャント抵抗、190…制御部、191…スイッチング素子、193…セル温度検出手段、230…電流値、231~233…パルス状電流、235…電流値、240…電圧値、241…パルス、250…LD信号、255…LS信号、261,262,266…引出しタブ、270…引き出し板、271,276…引出しタブ、272…幅狭部、294,296~299…(リード線の)端部、300…外部充電装置、301…商用交流電源、310…電源回路、311…シャント抵抗、315…電流検出回路、317…電池電圧検出回路、320…制御部、332…正極端子、336…LS端子、337…負極端子、I1…(チャタリング現象判定用の)閾値電流、I2…(ヒューズによる)遮断閾値電流、T2…閾値、V1…電圧閾値、VDD,VDD1,VDD2…基準電圧