(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】充電システムおよび充電ステーション
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240326BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240326BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240326BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240326BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20240326BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20240326BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240326BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240326BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20240326BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H02J13/00 311U
B60L50/60
B60L53/67
B60L53/68
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y20/30
(21)【出願番号】P 2022533789
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2021021768
(87)【国際公開番号】W WO2022004307
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2020111320
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】大野 正夫
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-529038(JP,A)
【文献】特表2013-514599(JP,A)
【文献】特開2012-070479(JP,A)
【文献】特表2010-539866(JP,A)
【文献】特開2017-093245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
13/00
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
G06Q 10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z 99/00
G16Y 10/40
20/20
20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の充電ステーションと、
前記充電ステーションと通信可能な上位ユニットと、
を備え、
前記充電ステーションは、
車両に搭載されたバッテリを充電可能な複数の充電器と、
充電スケジュールに従って前記充電器による充電を制御する充電制御部と、を有し、
前記上位ユニットは、
前記充電スケジュールを作成するスケジュール管理部を有し、
前記スケジュール管理部は、
現在充電中の車両に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を
、SOCの削減対象であるSOC削減対象車両において削減し、早期の充電開始を要求する車両についての充電に充てる前記充電スケジュールを作成し、
早期の充電開始を要求する車両には、早期の充電開始によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求し、
前記SOC削減対象車両ごとに、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標である削減許容SOCに基づいて、前記SOC削減対象車両における削減される充電電力量である削減電力量を導出し、
前記SOC削減対象車両ごとに、前記削減電力量に基づいて、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価である補填受取対価を導出し、
前記SOC削減対象車両には、
導出された前記補填受取対価の受け取りを提示する充電システム。
【請求項2】
車両に搭載されたバッテリを充電可能な複数の充電器と、
充電スケジュールに従って前記充電器による充電を制御する充電制御部と、
前記充電スケジュールを作成するスケジュール管理部と、
を備え、
前記スケジュール管理部は、
現在充電中の車両に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を
、SOCの削減対象であるSOC削減対象車両において削減し、早期の充電開始を要求する車両についての充電に充てる前記充電スケジュールを作成し、
早期の充電開始を要求する車両には、早期の充電開始によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求し、
前記SOC削減対象車両ごとに、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標である削減許容SOCに基づいて、前記SOC削減対象車両における削減される充電電力量である削減電力量を導出し、
前記SOC削減対象車両ごとに、前記削減電力量に基づいて、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価である補填受取対価を導出し、
前記SOC削減対象車両には、
導出された前記補填受取対価の受け取りを提示する充電ステーション。
【請求項3】
1または複数の充電ステーションと、
前記充電ステーションと通信可能な上位ユニットと、
を備え、
前記充電ステーションは、
車両に搭載されたバッテリを充電可能な複数の充電器と、
充電スケジュールに従って前記充電器による充電を制御する充電制御部と、を有し、
前記上位ユニットは、
前記充電スケジュールを作成するスケジュール管理部を有し、
前記スケジュール管理部は、
現在充電中の車両に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を
、SOCの削減対象であるSOC削減対象車両において削減し、早期の充電終了を要求する車両について充電を早期に終了する前記充電スケジュールを作成し、
早期の充電終了を要求する車両には、早期の充電終了によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求し、
前記SOC削減対象車両ごとに、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標である削減許容SOCに基づいて、前記SOC削減対象車両における削減される充電電力量である削減電力量を導出し、
前記SOC削減対象車両ごとに、前記削減電力量に基づいて、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価である補填受取対価を導出し、
前記SOC削減対象車両には、
導出された前記補填受取対価の受け取りを提示する充電システム。
【請求項4】
車両に搭載されたバッテリを充電可能な複数の充電器と、
充電スケジュールに従って前記充電器による充電を制御する充電制御部と、
前記充電スケジュールを作成するスケジュール管理部と、
を備え、
前記スケジュール管理部は、
現在充電中の車両に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を
、SOCの削減対象であるSOC削減対象車両において削減し、早期の充電終了を要求する車両について充電を早期に終了する前記充電スケジュールを作成し、
早期の充電終了を要求する車両には、早期の充電終了によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求し、
前記SOC削減対象車両ごとに、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標である削減許容SOCに基づいて、前記SOC削減対象車両における削減される充電電力量である削減電力量を導出し、
前記SOC削減対象車両ごとに、前記削減電力量に基づいて、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価である補填受取対価を導出し、
前記SOC削減対象車両には、
導出された前記補填受取対価の受け取りを提示する充電ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のバッテリの充電が可能な充電システムおよび充電ステーションに関する。本出願は2020年6月29日に提出された日本特許出願第2020-111320号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、所定の充電行為が充電スケジュールに登録されていない場合、EV管理センターがその旨を車載器に通知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電ステーションでは、一般的には、充電の要求があった車両から順番に充電が開始される。このため、新たに充電の要求が行われるタイミングによっては、充電の開始が遅くなり、運転者の望む時間内に充電が終了しない事態が起こり得る。
【0005】
本開示は、早期に充電を終了させることが可能な充電システムおよび充電ステーションを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る充電システムは、1または複数の充電ステーションと、充電ステーションと通信可能な上位ユニットと、を備え、充電ステーションは、車両に搭載されたバッテリを充電可能な複数の充電器と、充電スケジュールに従って充電器による充電を制御する充電制御部と、を有し、上位ユニットは、充電スケジュールを作成するスケジュール管理部を有し、スケジュール管理部は、現在充電中の車両に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を、SOCの削減対象であるSOC削減対象車両において削減し、早期の充電開始を要求する車両についての充電に充てる充電スケジュールを作成し、早期の充電開始を要求する車両には、早期の充電開始によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求し、SOC削減対象車両ごとに、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標である削減許容SOCに基づいて、SOC削減対象車両における削減される充電電力量である削減電力量を導出し、SOC削減対象車両ごとに、削減電力量に基づいて、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価である補填受取対価を導出し、SOC削減対象車両には、導出された補填受取対価の受け取りを提示する。
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る充電ステーションは、車両に搭載されたバッテリを充電可能な複数の充電器と、充電スケジュールに従って充電器による充電を制御する充電制御部と、充電スケジュールを作成するスケジュール管理部と、を備え、スケジュール管理部は、現在充電中の車両に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を、SOCの削減対象であるSOC削減対象車両において削減し、早期の充電開始を要求する車両についての充電に充てる充電スケジュールを作成し、早期の充電開始を要求する車両には、早期の充電開始によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求し、SOC削減対象車両ごとに、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標である削減許容SOCに基づいて、SOC削減対象車両における削減される充電電力量である削減電力量を導出し、SOC削減対象車両ごとに、削減電力量に基づいて、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価である補填受取対価を導出し、SOC削減対象車両には、導出された補填受取対価の受け取りを提示する。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る充電システムは、1または複数の充電ステーションと、充電ステーションと通信可能な上位ユニットと、を備え、充電ステーションは、車両に搭載されたバッテリを充電可能な複数の充電器と、充電スケジュールに従って充電器による充電を制御する充電制御部と、を有し、上位ユニットは、充電スケジュールを作成するスケジュール管理部を有し、スケジュール管理部は、現在充電中の車両に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を、SOCの削減対象であるSOC削減対象車両において削減し、早期の充電終了を要求する車両について充電を早期に終了する充電スケジュールを作成し、早期の充電終了を要求する車両には、早期の充電終了によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求し、SOC削減対象車両ごとに、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標である削減許容SOCに基づいて、SOC削減対象車両における削減される充電電力量である削減電力量を導出し、SOC削減対象車両ごとに、削減電力量に基づいて、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価である補填受取対価を導出し、SOC削減対象車両には、導出された補填受取対価の受け取りを提示する。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る充電ステーションは、車両に搭載されたバッテリを充電可能な複数の充電器と、充電スケジュールに従って充電器による充電を制御する充電制御部と、充電スケジュールを作成するスケジュール管理部と、を備え、スケジュール管理部は、現在充電中の車両に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を、SOCの削減対象であるSOC削減対象車両において削減し、早期の充電終了を要求する車両について充電を早期に終了する充電スケジュールを作成し、早期の充電終了を要求する車両には、早期の充電終了によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求し、SOC削減対象車両ごとに、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標である削減許容SOCに基づいて、SOC削減対象車両における削減される充電電力量である削減電力量を導出し、SOC削減対象車両ごとに、削減電力量に基づいて、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価である補填受取対価を導出し、SOC削減対象車両には、導出された補填受取対価の受け取りを提示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、早期に充電を終了させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る充電システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、スケジュール管理部の動作の概要を説明する図である。
【
図3】
図3は、早期充電を実現するための一例を説明する図である。
【
図4】
図4は、充電システム全体の動作の大凡の流れを説明する図である。
【
図5】
図5は、スケジュール管理部における動作の詳細な流れを説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、特殊充電スケジュール作成処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る充電システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る充電システム1の構成を示す概略図である。充電システム1は、充電ステーション10、車両12、端末装置14および上位ユニット16を含む。
図1の例では、説明の便宜のため1個の充電ステーションが例示されている。なお、充電ステーションの数は、1個に限らず、2個以上の複数であってもよい。
【0013】
車両12は、駆動源に電力を供給するバッテリ20を搭載している電気自動車またはハイブリッド自動車などである。以後、電気自動車またはハイブリッド自動車などの車両12を、EVと呼ぶ場合がある。
図1の例では、3台の車両12が例示されている。しかし、車両12の数は、3台に限らず、複数あれば足り、2台でもよいし、4台以上でもよい。
【0014】
充電ステーション10には、複数の充電器30が設置されている。
図1の例では、3個の充電器30が例示されている。しかし、充電器30の数は、3個に限らず、複数あれば足り、2個でもよいし、4個以上でもよい。充電器30は、例えば、不図示の電力系統に接続される。充電器30は、電力系統の電力を変換して車両12のバッテリ20に供給することができる。すなわち、充電ステーション10は、所謂、EVパワーステーションであり、車両12のバッテリ20を充電可能となっている。以後、車両12のバッテリ20の充電を、車両12の充電と略記する場合がある。
【0015】
充電ステーション10は、充電器30の他に、通信部32、記憶部34、ユーザインターフェース36およびステーション制御部38を含む。なお、
図1では、ユーザインターフェース36をUIと略記している。
【0016】
通信部32は、有線または無線によって通信ネットワーク40に接続される。通信部32は、通信ネットワーク40を通じて、上位ユニット16との間の通信および端末装置14との間の通信を確立することができる。記憶部34は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成される。記憶部34には、例えば、充電ステーション10内で利用される各種の情報が記憶される。ユーザインターフェース36は、例えば、タッチパネルなどの入力機能を有する。入力機能は、ユーザ(例えば、車両12の運転者)の入力操作を受け付ける。また、ユーザインターフェース36は、例えば、ディスプレイなどの出力機能を有する。出力機能は、ユーザに各種の情報を提示する。
【0017】
ステーション制御部38は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。ステーション制御部38は、プログラムを実行することで、充電制御部42として機能する。
【0018】
充電システム1では、後述するが、充電スケジュールが作成される。充電スケジュールには、充電器30による車両12の充電に関する各種の情報が定義されている。充電に関する各種の情報は、例えば、充電開始時刻(充電開始予定時刻)、充電終了時刻(充電終了予定時刻)、充電時間、充電電力量、車両12を識別する車両識別子、充電器30の使用状況または充電器30の予約状況などが含まれる。
【0019】
充電制御部42は、作成された充電スケジュールに従って充電器30によるバッテリ20の充電を制御する。例えば、充電制御部42は、現在時刻が、予め定められた車両12の充電開始時刻となると、充電器30に車両12への電力の供給を開始させる。また、充電制御部42は、現在時刻が、予め定められた車両12の充電終了時刻となると、充電器30に車両12への電力の供給を終了させる。充電制御部42については、後に詳述する。
【0020】
端末装置14は、例えば、スマートフォンまたはタブレットなどの持ち運び可能な通信機器である。
図1の例では、3台の端末装置14が例示されている。しかし、端末装置14の数は、3台に限らず、複数あれば足り、2台でもよいし、4台以上でもよい。例えば、端末装置14の数は、車両12の数と同じである。具体的には、端末装置14は、車両12の運転者によって携帯されている。つまり、端末装置14の各々と、車両12の各々とが、個別に対応している。
【0021】
端末装置14は、通信部50、記憶部52、ユーザインターフェース54および端末制御部56を含む。なお、
図1では、ユーザインターフェース54をUIと略記している。
【0022】
通信部50は、有線または無線によって通信ネットワーク40に接続される。通信部50は、通信ネットワーク40を通じて、上位ユニット16との間の通信および充電ステーション10との間の通信を確立することができる。なお、端末装置14は、自装置に対応する車両12(自装置を携帯する運転者が運転する車両12)と通信可能であってもよい。
【0023】
記憶部52は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成される。記憶部52には、例えば、端末装置14内で利用される各種の情報が記憶される。ユーザインターフェース54は、例えば、タッチパネルなどの入力機能を有する。入力機能は、ユーザ(車両12の運転者など)の入力操作を受け付ける。また、ユーザインターフェース54は、例えば、ディスプレイなどの出力機能を有する。出力機能は、ユーザに各種の情報を提示する。
【0024】
端末制御部56は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。端末制御部56は、プログラムを実行することで端末装置14全体を制御する。
【0025】
上位ユニット16は、例えば、充電ステーション10に関する管理または情報処理などのサービスを提供する事業者によって設置される。上位ユニット16は、通信部60、記憶部62および上位制御部64を含む。
【0026】
通信部60は、有線または無線によって通信ネットワーク40に接続される。通信部60は、通信ネットワーク40を通じて、充電ステーション10との間の通信および端末装置14との間の通信を確立することができる。記憶部62は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成される。記憶部62には、例えば、上位ユニット16内で利用される各種の情報が記憶される。
【0027】
上位制御部64は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。上位制御部64は、プログラムを実行することで、スケジュール管理部70として機能する。
【0028】
スケジュール管理部70は、充電ステーション10における充電器30を用いた充電スケジュールを作成する。スケジュール管理部70は、端末装置14(換言すると、車両12)から新たに充電の要求(充電の予約)を受ける都度、充電スケジュールを更新する。スケジュール管理部70は、作成した充電スケジュールを充電ステーション10に送信する。充電ステーション10の充電制御部42は、受信した充電スケジュールに基づいて充電器30による車両12の充電を行う。スケジュール管理部70については、後に詳述する。
【0029】
図2は、スケジュール管理部70の動作の概要を説明する図である。
図2では、第1車両、第2車両および第3車両という3台の車両12を例示している。また、
図2では、時刻T10が現在時刻であるとする。第1車両および第2車両は、充電ステーション10において現在充電中であるとする。
図2において、黒塗り三角80は、充電開始時刻を示す。白抜き三角82は充電終了予定時刻を示す。例えば、時刻T11が第1車両の充電終了予定時刻であり、時刻T12が第2車両の充電終了時刻である。ハッチング四角84は、充電済の充電電力量を示している。白抜き四角86は、現在時刻から充電終了予定時刻までの残りの(未充電の)充電電力量を示している。この状況において、第3車両が新たに充電の要求を行ったとする。
図2において、ハッチング三角88は、充電開始予定時刻を示す。
【0030】
例えば、第3車両の充電を直ぐに開始すると、充電ステーション10内の消費電力が契約電力を超えるおそれがあるとする。この場合、スケジュール管理部70は、充電ステーション10内の消費電力が契約電力未満となることを条件として充電スケジュールを作成する。これにより、第3車両の充電開始予定時刻は、現在時刻より先の、例えば、時刻T13に決められる。そうすると、第3車両の充電終了予定時刻は、例えば、時刻T14となる。
【0031】
しかし、第3車両の運転者は、充電料金が割り増しになってでも、時刻T14よりも早期に充電を終了させたいと望むことがある。
【0032】
そこで、このような場合、新たに充電される車両12(第3車両)は、早期に充電を行うこと(以後、早期充電と呼ぶ場合がある。)を上位ユニット16に要求する。そして、スケジュール管理部70は、新たに充電される車両12から早期充電の要求があると、その車両12の充電開始予定時刻を当初の充電開始予定時刻よりも早めるようにする。例えば、
図2の破線四角90で示すように、第3車両の充電開始予定時刻を時刻T13から時刻T10(現在時刻)に早める。そうすると、第3車両の充電終了予定時刻を時刻T14から時刻T15に早めることができる。
【0033】
しかし、第3車両の充電開始予定時刻を単純に早めるだけだと、充電ステーション10内の消費電力が契約電力を超えるおそれがある。
【0034】
そこで、スケジュール管理部70は、現在充電中の第1車両および第2車両に充てる予定の将来の充電電力量の一部または全部を第3車両に充てることで、第3車両における早期充電を実現する。
【0035】
図3は、早期充電を実現するための一例を説明する図である。
図3では、現在時刻(時刻T10)において、第1車両および第2車両が充電中であり、第3車両が新たに早期充電を要求したとする。
【0036】
例えば、充電終了時におけるバッテリ20のSOC(State Of Charge:充電率)である予定SOCが、充電開始前に予め設定される。例えば、満充電の場合、予定SOCが100%に設定される。
【0037】
ここで、第1車両および第2車両の運転者は、充電終了時のSOCが、充電開始前に設定された予定SOCよりも少なくてもよいことを了承しているとする。以後、充電終了時のSOCが予定SOCよりも少なくても許容できるか否かの指標を、SOC削減許可と呼ぶ場合がある。つまり、スケジュール管理部70は、第1車両および第2車両の運転者から、SOC削減許可を肯定する意思の確認を得ているとする。
【0038】
また、第1車両および第2車両の運転者は、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくてもよいかを明示しているとする。以後、充電終了時のSOCがどの程度まで少なくても許容できるかを示す指標を、削減許容SOCと呼ぶ場合がある。つまり、スケジュール管理部70は、第1車両および第2車両の運転者から、削減許容SOCの情報を得ているとする。
【0039】
削減許容SOCは、例えば、最大30%の削減を許容するなどのように、予定SOCを基準とした削減量で示される。また、削減許容SOCは、例えば、充電終了時のSOCが70%以上であれば許容するなどのように、充電終了時のSOC自体で示されてもよい。
【0040】
また、SOC削減許可および削減許容SOCは、第1車両および第2車両の各々の運転者が携帯する端末装置14を通じて取得される。なお、SOC削減許可および削減許容SOCは、第1車両および第2車両の各々から直接的に取得されてもよい。
【0041】
例えば、第1車両では、予定SOCが100%であり、SOCが70%以上であれば充電の終了を許容できるとし、現在時刻のSOCが80%であったとする。この例では、第1車両の充電を現在時刻において終了することができる。このため、スケジュール管理部70は、
図3の白抜き三角82で示すように、第1車両の充電終了予定時刻を当初の時刻T11から現在時刻(時刻T10)に早める。
【0042】
そうすると、
図3のクロスハッチング四角92で示すように、第1車両の充電に充てる予定であった将来の充電電力量の余裕分(SOC20%分=100%-80%)が発生する。スケジュール管理部70は、
図3の矢印A10で示すように、第1車両についての余裕分の充電電力量を第3車両についての充電に充てる。これにより、第3車両は、現在時刻(T10)から時刻T11までの時間に充電することができる。
【0043】
また、第2車両では、予定SOCが100%であり、SOCが70%以上であれば充電の終了を許容できるとし、現在時刻のSOCが40%であるとする。この例では、現在以降に第2車両の充電に充てる予定の充電電力量のうち、最大でSOC30%(100%-70%)の充電電力量の余裕分を発生させることができる。
【0044】
また、第3車両では、
図3のクロスハッチング四角94で示すように、時刻T11から時刻T13までの充電電力量が不足する。この不足分は、第2車両における余裕分(SOC30%分)の充電電力量未満(例えば、SOC20%に相当する充電電力量)であるとする。
【0045】
そこで、第2車両における充電を時刻T11から時刻T13までの間、一旦中断させる。具体的には、クロスハッチング三角96aで示す時刻T11において、第2車両への電力の供給を一旦停止させるようにする。その後、クロスハッチング三角96bで示す時刻T13において、第2車両への電力の供給を再開させるようにする。これにより、
図3のクロスハッチング四角94で示すように、第2車両において充電電力量の余裕分が発生する。スケジュール管理部70は、
図3の矢印A12で示すように、第2車両についての将来の余裕分の充電電力量を第3車両の時刻T11から時刻T13までの時間の充電に充てる。これにより、第3車両は、時刻T11から時刻T13までの時間に充電することができる。
【0046】
このようにして、第3車両は、当初の充電開始予定時刻である時刻T13までの充電電力量を確保することができる。これにより、第3車両の充電開始予定時刻を現在時刻(時刻T10)まで前倒しすることが可能となる。その結果、第3車両の充電終了予定時刻を当初の充電終了予定時刻(時刻T14)よりも早い時刻T15に前倒しすることができる。
【0047】
すなわち、スケジュール管理部70は、早期充電の要求があった場合、現在充電中の車両12について、充電終了時におけるSOCを充電開始前に設定された予定SOC未満に削減する。つまり、スケジュール管理部70は、現在充電中の車両に充てる予定であった充電電力量の少なくとも一部を削減する。それとともに、スケジュール管理部70は、SOC(充電電力量)の削減によって発生する将来の充電電力量の余裕分を、早期の充電開始を要求する車両12についての充電に充てる。スケジュール管理部70は、上述のような内容の充電スケジュールを作成する。以後、上述のような内容の充電スケジュールを、説明の便宜のため、特殊充電スケジュールと呼ぶ場合がある。
【0048】
図4は、充電システム1全体の動作の大凡の流れを説明する図である。
図4では、
図2および
図3と同様の第1車両、第2車両および第3車両を例示している。また、
図4では、第1端末装置、第2端末装置、第3端末装置という3台の端末装置14を例示している。また、
図4では、第1車両と第1端末装置とが対応し、第2車両と第2端末装置とが対応し、第3車両と第3端末装置とが対応している。
【0049】
第1車両が充電要求をスケジュール管理部70に送信する際、スケジュール管理部70は、第1車両から削減許容SOCを取得する(C10)。その後、スケジュール管理部70が最新の充電スケジュールを作成し、その充電スケジュールに従って第1車両の充電が開始される(C12)。また、第2車両が充電要求をスケジュール管理部70に送信する際、スケジュール管理部70は、第2車両から削減許容SOCを取得する(C14)。その後、スケジュール管理部70は最新の充電スケジュールを作成し、その充電スケジュールに従って第2車両の充電が開始される(C16)。
【0050】
第1車両および第2車両が充電中において、第3端末装置(第3車両)は、新たに充電を行うべく、充電要求をスケジュール管理部70に送信する(C18)。
【0051】
スケジュール管理部70は、現在の充電スケジュールを考慮して、第3車両の充電を含む新たな充電スケジュールを作成し、第3端末装置(第3車両)に送信する(C20)。第3車両の運転者は、提示された充電スケジュールでは足りず、第3端末装置(第3車両)を通じてスケジュール管理部70に早期の充電開始を要求する(C22)。
【0052】
ここで、充電システム1では、早期の充電開始を要求する者(例えば、第3車両の運転者)には、通常の充電による充電料金に加え、早期充電の対価を追加的に支払ってもらうこととする。つまり、早期の充電開始を要求する車両12(端末装置14)には、早期の充電開始によるメリットを得るために必要な対価の支払いを要求する。この必要な対価は、例えば、充電料金の割り増し(増額)などの金銭的なものとする。なお、必要な対価の支払いは、金銭的なものに限らず、適宜設定することができる。以後、支払うべき必要な対価のことを、必要支払対価と呼ぶ場合がある。
【0053】
これに対し、充電システム1では、将来の充電電力量の削減に協力してくれる者(例えば、第1車両の運転者および第2車両の運転者)には、協力の対価を受け取ってもらうこととする。つまり、将来の充電電力量が削減される車両12(端末装置14)には、充電電力量の削減によるデメリットを補填する対価の受け取りを提示する。この補填する対価は、例えば、充電料金の割り引き(減額)などの金銭的なものとする。なお、補填する対価は、金銭的なものに限らず、適宜設定することができる。以後、補填する対価のことを、補填受取対価と呼ぶ場合がある。
【0054】
このように、協力者には補填受取対価を与え、早期充電の要求者には必要支払対価を義務付けることで、特殊充電スケジュールを円滑に実現することができる。
【0055】
スケジュール管理部70は、早期充電の要求を受けると、第3車両についての早期充電電力量を導出する(C24)。早期充電電力量は、前倒しする分の充電電力量を示す。より詳細には、早期充電電力量は、早期充電の要求元車両(第3車両)における現在時刻から当初の充電開始予定時刻までの間の充電電力量を示す。スケジュール管理部70は、早期充電電力量に基づいて必要支払対価を導出する(C26)。例えば、スケジュール管理部70は、早期充電電力量が多くなるに従って必要支払対価を漸増させてもよい。
【0056】
また、スケジュール管理部70は、充電終了時のSOCの削減が行われる車両12(以後、削減対象車両という場合がある)毎の削減電力量を導出する(C28)。スケジュール管理部70は、例えば、車両12毎の削減許容SOC、早期充電電力量および現在の充電スケジュールを参照して車両12毎の削減電力量を導出する。削減電力量は、削減対象車両における将来予定されていた充電電力量のうち削減される充電電力量を示す。スケジュール管理部70は、車両12毎の削減電力量に基づいて車両12毎の補填受取対価を導出する(C30)。例えば、スケジュール管理部70は、削減電力量が多くなるに従って補填受取対価を漸増させてもよい。
【0057】
スケジュール管理部70は、導出した補填受取対価を第1車両および第2車両に送信し(C32)、導出した必要支払対価を第3車両に送信する(C34)。そして、スケジュール管理部70は、充電スケジュールを更新する(C36)。そうすると、第1車両の充電は、当初の充電終了予定時刻よりも早く終了される(C38)。それに伴い、第3車両の充電が、当初の充電開始予定時刻よりも早く開始される(C40)。また、第1車両の当初の充電終了予定時刻となると、第2車両の充電が一旦中断される(C42)。このとき、第3車両の充電は継続される。その結果、第3車両の充電が、当初の充電終了時刻よりも早く終了される。
【0058】
上述の
図4では、充電システム1全体の動作の大凡の流れを説明していた。次に、スケジュール管理部70にフォーカスしてスケジュール管理部70の詳細な動作を説明する。
【0059】
図5は、スケジュール管理部70における動作の詳細な流れを説明するフローチャートである。例えば、運転者は、端末装置14のユーザインターフェース54を介して車両12の充電要求(充電予約)を行う。スケジュール管理部70は、通信ネットワーク40を通じて充電要求を受信すると、
図5の一連の処理を開始する。以後、充電要求の要求元の端末装置14および車両12を、要求元端末装置および要求元車両と呼ぶ場合がある。
【0060】
まず、スケジュール管理部70は、要求元車両におけるバッテリ20の現在のSOCを取得する(S100)。例えば、スケジュール管理部70は、要求元端末装置を通じて要求元車両の現在のSOCを取得する。なお、スケジュール管理部70は、要求元端末装置から要求元車両を特定し、特定した要求元車両から直接的に現在のSOCを取得してもよい。
【0061】
次に、スケジュール管理部70は、要求元端末装置を通じて、運転者が希望する予定SOCを取得する(S110)。例えば、満充電を希望する場合、予定SOCは100%とされる。次に、スケジュール管理部70は、現在のSOCから予定SOCまでに必要な充電電力量を導出する(S120)。
【0062】
次に、スケジュール管理部70は、導出した充電電力量に基づいて充電スケジュールを作成する(S130)。ここでは、スケジュール管理部70は、現在の充電スケジュールの状況を考慮して、要求元車両の充電を新たに行うと仮定した場合の新たな充電スケジュールを作成する。新たな充電スケジュールには、要求元車両の充電開始予定時刻および充電終了予定時刻が含まれる。
【0063】
次に、スケジュール管理部70は、導出した新たな充電スケジュールを要求元端末装置に送信する(S140)。これにより、要求元端末装置は、充電要求の結果として、充電開始予定時刻および充電終了時刻を含む充電スケジュールを受信する。
【0064】
要求元端末装置は、ユーザインターフェース54を通じて運転者に充電スケジュール(充電開始予定時刻および充電終了予定時刻)を提示する。運転者は、提示された充電スケジュールを了承するか否かを、ユーザインターフェース54を通じて入力する。要求元端末装置は、充電スケジュールを了承するか否かの入力結果をレスポンスとして通信部50を通じて上位ユニット16に送信する。これにより、スケジュール管理部70は、要求元端末装置からのレスポンスを取得する(S150)。
【0065】
スケジュール管理部70は、レスポンスを取得すると、レスポンスの内容が充電スケジュールを了承するものであるか否かを判断する(S160)。
【0066】
レスポンスの内容が充電スケジュールを了承するものである場合(S160におけるYES)、スケジュール管理部70は、SOC削減許可の有無を取得する(S170)。例えば、スケジュール管理部70は、要求元端末装置にSOC削減許可の有無を問い合わせる。要求元端末装置は、SOC削減許可の有無の入力を運転者に促し、その入力結果をスケジュール管理部70に送信する。SOC削減許可の有無は、要求元車両に関連付けて記憶される。
【0067】
SOC削減許可が肯定の場合(S180におけるYES)、スケジュール管理部70は、削減許容SOCを取得する(S190)。例えば、スケジュール管理部70は、要求元端末装置に削減許容SOCを問い合わせる。要求元端末装置は、削減許容SOCの入力を運転者に促し、その入力結果をスケジュール管理部70に送信する。一方、SOC削減許可が否定の場合(S180におけるNO)、スケジュール管理部70は、ステップS190の処理を行わない。
【0068】
次に、スケジュール管理部70は、ステップS160で充電スケジュールが了承されているため、ステップS130で作成した充電スケジュールを充電ステーション10に送信する(S200)。そして、スケジュール管理部70は、作成した充電スケジュールを最新の充電スケジュールに更新し(S210)、一連の処理を終了する。また、充電スケジュールを受信した充電ステーション10は、受信した充電スケジュールを最新の充電スケジュールに更新する。これにより、最新の充電スケジュールに従った充電が行われる。
【0069】
また、ステップS160において、レスポンスの内容が充電スケジュールを了承するものではない場合(S160におけるNO)、スケジュール管理部70は、早期充電の要求の有無を取得する。例えば、スケジュール管理部70は、要求元端末装置に早期充電の要求の有無を問い合わせる。要求元端末装置は、早期充電の要求の有無の入力を運転者に促し、その入力結果をスケジュール管理部70に送信する。
【0070】
早期充電が要求された場合(S230におけるYES)、スケジュール管理部70は、特殊充電スケジュール作成処理を行い(S240)、一連の処理を終了する。特殊充電スケジュール作成処理については、後に詳述する。
【0071】
早期充電が要求されない場合(S230におけるNO)、スケジュール管理部70は、ステップS240を行わずに一連の処理を終了する。この場合、ステップS130で作成された充電スケジュールは破棄され、現在の充電スケジュールが維持される。
【0072】
図6は、特殊充電スケジュール作成処理の流れを説明するフローチャートである。まず、スケジュール管理部70は、要求元端末装置から許容支払対価を取得する(S300)。許容支払対価は、早期の充電開始によるメリットを得るために運転者が支払うことを許容できる対価の最大値を示す。例えば、例えば、スケジュール管理部70は、要求元端末装置に許容支払対価を問い合わせる。要求元端末装置は、許容支払対価の入力を運転者に促し、その入力結果をスケジュール管理部70に送信する。
【0073】
次に、スケジュール管理部70は、ステップS130で導出された充電スケジュール(当初の充電スケジュール)を参照し、要求元車両の充電開始予定時刻から現在時刻を減算して前倒時間を導出する。そして、スケジュール管理部70は、前倒時間に基づいて早期充電電力量を導出する(S310)。次に、スケジュール管理部70は、早期充電電力量に基づいて必要支払対価を導出する(S320)。
【0074】
次に、スケジュール管理部70は、許容支払対価の量(絶対値)が必要支払対価の量(絶対値)以上であるか否かを判断する(S330)。許容支払対価が必要支払対価未満の場合(S330におけるNO)、スケジュール管理部70は、早期充電が不可の旨を要求元端末装置に送信し(S340)、一連の処理を終了する。
【0075】
許容支払対価が必要支払対価以上の場合(S330におけるYES)、スケジュール管理部70は、現在充電中の車両12を対象としてSOC削減許可車両を抽出する(S350)。次に、スケジュール管理部70は、抽出されたSOC削減許可車両の各々の削減許容SOCを合計して総削減許可電力量を導出する(S360)。
【0076】
次に、スケジュール管理部70は、総削減許可電力量が早期充電電力量以上であるか否かを判断する(S370)。総削減許可電力量が早期充電電力量未満の場合(S370におけるNO)、スケジュール管理部70は、早期充電が不可の旨を要求元端末装置に送信し(S340)、一連の処理を終了する。
【0077】
総削減許可電力量が早期充電電力量以上の場合(S370におけるYES)、スケジュール管理部70は、SOC削減対象車両を決定する(S380)。具体的には、スケジュール管理部70は、抽出されたSOC削減許可車両の中から、所定の優先順位に従って、SOC削減対象車両を決定する。所定の優先順位は、例えば、充電終了予定時刻が現在から近い順とされる。なお、所定の優先順位は、この例に限らず、任意に設定することができる。スケジュール管理部70は、例えば、優先順位の高いSOC削減許可車両から順に削減許容SOCを加算していき、その加算値が早期充電電力量以上となったときのSOC削減許可車両までをSOC削減対象車両とする。
【0078】
次に、スケジュール管理部70は、SOC削減対象車両ごとに、削減許容SOCに基づいて削減電力量を導出する(S390)。次に、スケジュール管理部70は、SOC削減対象車両毎の削減電力量に基づいて、SOC削減対象車両ごとに補填受取対価を導出する(S400)。
【0079】
次に、スケジュール管理部70は、SOC削減対象車両の各々について削減電力量に基づいて充電終了時のSOCを減少させるとともに、要求元車両の充電開始予定時刻を早める内容の充電スケジュール(特殊充電スケジュール)を作成する(S410)。
【0080】
次に、スケジュール管理部70は、SOC削減対象車両に対応する端末装置14の各々に、ステップS400で導出された補填受取対価の情報を送信する(S420)。SOC削減対象車両に対応する端末装置14は、受信した補填受取対価の情報を、ユーザインターフェース54を通じて運転者に提示する。
【0081】
並行して、スケジュール管理部70は、要求元端末装置に、ステップS320で導出された必要支払対価の情報を送信する(S420)。要求元端末装置は、受信した必要支払対価の情報を、ユーザインターフェース54を通じて運転者に提示する。
【0082】
次に、スケジュール管理部70は、ステップS410で作成した充電スケジュール(特殊充電スケジュール)を充電ステーション10に送信する(S430)。そして、スケジュール管理部70は、充電スケジュールを、ステップS410で作成した充電スケジュールに更新し(S440)、一連の処理を終了する。また、充電スケジュールを受信した充電ステーション10は、充電スケジュールを、受信した充電スケジュールに更新する。これにより、要求元車両の充電開始予定時刻が、当初の充電スケジュールに比べ、前倒しされる。
【0083】
以上のように、第1実施形態の充電システム1のスケジュール管理部70は、現在充電中の車両12に充てる予定であった将来の充電電力量の少なくとも一部を削減し、早期の充電開始を要求する車両12についての充電に充てる充電スケジュールを作成する。
【0084】
これにより、第1実施形態の充電システム1では、充電ステーション10における消費電力量の増加を抑制しつつ、車両12の充電を早期に終了させることができる。
【0085】
また、第1実施形態の充電システム1のスケジュール管理部70は、早期の充電開始を要求する車両12には必要支払対価を要求し、将来の充電電力量が削減される車両12には補填受取対価を提示する。
【0086】
このため、第1実施形態の充電システム1では、早期の充電開始を要求する車両12と将来の充電電力量が削減される車両12との双方の不平不満を抑えることができる。その結果、第1実施形態の充電システム1では、早期の充電開始を要求する車両12と将来の充電電力量が削減される車両12との間の充電電力量の融通を、円滑に行うことができる。
【0087】
なお、第1実施形態では、1個の充電ステーション10の充電スケジュールを上位ユニット16のスケジュール管理部70が作成する態様について説明していた。しかし、スケジュール管理部70は、複数の充電ステーション10の各々の充電スケジュールを並行して作成してもよい。
【0088】
また、複数の充電ステーション10間で充電スケジュールの逼迫度合いに差が生じることがある。このような場合、上位ユニット16のスケジュール管理部70は、新たに充電される車両12を、混雑の少ない充電ステーション10に案内してもよい。これにより、早期充電の要求が無駄に多く発生することを抑制できる。
【0089】
また、スケジュール管理部70は、SOC削減許可車両から削減許容SOCを取得していた。しかし、スケジュール管理部70は、削減許容SOCだけでなく、例えば、充電電力量が削減される際に運転者が受け取りを要望する対価の下限値(要望受取対価)を取得してもよい。例えば、スケジュール管理部70は、削減許容SOCの条件を満たし、かつ、得られる対価の量(絶対値)が要望受取対価の量(絶対値)以上である場合に限り、SOC削減許可車両をSOC削減対象車両としてもよい。
【0090】
(第2実施形態)
第1実施形態では、スケジュール管理部70が上位ユニット16に設けられていた。しかし、スケジュール管理部70は、上位ユニット16に設けられる態様に限らない。
【0091】
図7は、第2実施形態に係る充電システム200の構成を示す概略図である。第2実施形態の充電システム200では、
図7に示すように、スケジュール管理部70が充電ステーション10に設けられている。具体的には、第2実施形態のステーション制御部38は、プログラムを実行することで、充電制御部42として機能するとともに、スケジュール管理部70としても機能する。なお、第2実施形態の充電システム200では、上位ユニット16が設置されていなくてもよい。
【0092】
第2実施形態のスケジュール管理部70は、上位ユニット16に設けられる第1実施形態と同様の内容の充電スケジュール(特殊充電スケジュール)を作成することができる。
【0093】
このため、第2実施形態の充電ステーション10は、第1実施形態と同様に、充電ステーション10における消費電力量の増加を抑制しつつ、車両12の充電を早期に終了させることができる。
【0094】
なお、第2実施形態のスケジュール管理部70は、第1実施形態と同様に、早期の充電開始を要求する車両12には必要支払対価を要求し、将来の充電電力量が削減される車両12には補填受取対価を提示してもよい。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0096】
例えば、各実施形態において、充電要求は、端末装置14のユーザインターフェース54を介して行われていた。しかし、充電要求は、充電ステーション10のユーザインターフェース36を介して行われてもよい。また、充電要求は、車両12のナビゲーション装置などの車載機器を介して行われてもよい。
【0097】
また、各実施形態では、補填受取対価がSOC削減対象車両に提示された後、自動的に特殊充電スケジュールが適用されていた。これは、充電開始前に予めSOCの削減を許可する意思が示されていたためである。しかし、スケジュール管理部70は、補填受取対価をSOC削減対象車両に提示した時点で、SOCの削減を許可する意思を再度確認してもよい。この態様によれば、例えば、SOC削減対象車両の運転者は、充電終了時のSOCと補填受取対価とを比較して、将来の充電電力量の削減に協力するか否かを再検討することができる。また、この態様では、補填受取対価の提示後に協力が取り消された場合、SOC削減対象車両が再決定されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1、200:充電システム 10:充電ステーション 12:車両 16:上位ユニット 20:バッテリ 30:充電器 42:充電制御部 70:スケジュール管理部