(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】動物の骨からの異種移植片の製造
(51)【国際特許分類】
A61L 27/36 20060101AFI20240326BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61L27/36 420
A61L27/38 111
(21)【出願番号】P 2022576530
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2020001062
(87)【国際公開番号】W WO2021250439
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-01-27
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(73)【特許権者】
【識別番号】521345877
【氏名又は名称】ユルドゥズ テクニク ウニヴェルシテシ
【氏名又は名称原語表記】YILDIZ TEKNIK UNIVERSITESI
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウストゥンダグ, セム ビュレント
(72)【発明者】
【氏名】イエルリカヤ, ダブート
(72)【発明者】
【氏名】シムセク, ブルク トゥグバ
(72)【発明者】
【氏名】トゥフェク, アーメット ゴクトゥグ
(72)【発明者】
【氏名】ダイカー, ヌレッティン
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第96/012509(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108653819(CN,A)
【文献】特表2008-500094(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0049742(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0098875(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0224371(US,A1)
【文献】特表平02-504627(JP,A)
【文献】特表2002-506677(JP,A)
【文献】国際公開第2013/008959(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)海綿組織を有する動物の骨を粉砕することによる0.5~1.5センチメートルの大きさの海綿骨断片の取得、
b)前記海綿骨断片中の有機相の部分的除去、
c)前記海綿骨の前記有機相のさらなる除去/分離、
d)前記海綿骨断片の洗浄、
i)1atmを超える圧力及び100℃~300℃の範囲の温度で
の、溶媒で
前記海綿骨
断片の水熱及び/又はソルボサーマル処理
、
e)前記海綿骨断片の洗浄、及び
f)前記海綿骨断片の乾燥、
を含むことを特徴とする、異種骨移植片を製造するための方法。
【請求項2】
前記溶媒が、有機溶剤、無機溶媒、イオン溶液、及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、精製水、次亜塩素酸ナトリウム、クロロホルム、アセトン、又はそれらの混合物から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水熱及び/又はソルボサーマル処理ステップが6時間~24時間の期間継続される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)において、前記海綿骨断片を精製水で1時間~2時間の期間に10~15回の範囲の反復数で洗浄し、精製水で30分~60分の期間に3~5回の範囲の反復数で煮沸する、請求項
1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)において、前記海綿骨を、有機成分を溶解することができる溶媒と7日~15日の期間で接触させる、請求項
1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有機成分を溶解することができる前記溶媒が、有機溶剤、無機溶媒、イオン溶液、及びそれらの混合物から選択される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(d)の前記洗浄工程が、精製水で1時間~2時間の期間に10~15回の範囲の反復数で繰り返される、請求項
1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(e)の前記洗浄工程が、精製水で1~7日の期間に3回以上繰り返して実行される、請求項
1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(f)の前記乾燥工程が、1~2日の期間で50℃から100℃の範囲の温度で実行される、請求項
1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の骨から異種移植片を製造するための方法に関する。特に、本発明は、そのような方法におけるサイズ及び多孔度の維持に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な理由で、人々は骨組織を失ったり、骨組織に損傷を負ったりする。一部の先天性疾患が、骨組織の欠乏又は変形を引き起こすこともある。特に歯科では、抜歯後、歯を支えている歯槽骨の吸収が引き起こされ、その後その部位の歯肉が退縮する。歯槽骨の喪失は、引き続いて隣接する部位の健康な歯の喪失を引き起こすこともある。さらに、歯科インプラントがしっかりと装着されるように、その部位の骨形成は支持されるべきである。口蓋骨の再形成及び処置には、さらなる材料(骨移植片など)の使用が必要である。歯科用途では、このような目的のために合成又は天然の材料が使用される。これらの材料は、天然の骨の形成に必要な細胞が固定、成長、及び増殖できる環境を実現し、それによって骨の再生及び形成を可能にする。口腔及び顎顔面手術の方法では、このような材料は顎骨の欠損部分に配置される。配置される移植片材料は、歯及び歯科インプラントを支える新しい骨の形成を媒介し、発端となる。
【0003】
外科的支持材料としての骨移植片の様々な応用分野及び形態は、https://www.geistlich-pharma.com/en/dental/membranes/geistlich-bio-gide-shape/application/及びRichardson他(J Clin Periodontol 1999;26:421~428)及びPalachur他(J Indian Soc Periodontol.2014 May;18(3):336~43)に開示されている。
【0004】
現在、歯科用途ではこのような問題に対して、リン酸カルシウムを含有する合成的に製造されたバイオセラミック材料が使用されている。しかし、天然の骨構造におけるヒドロキシアパタイトに比べてカルシウム及びリンの比率(Ca/P比)が低く、結晶化度が高いために生分解時間が長いので、これらのリン酸カルシウム含有材料の魅力は低い。現時点では、天然の骨組織に類似しているため、異種骨移植片の使用も好まれることがある。動物の海綿骨から骨移植片を得るには、様々な技術が知られている。しかし、これらの方法は、実現される純度のレベル、骨の天然構造を維持できないこと、及び生分解時間のために不適切である。
【0005】
米国特許第5,167,961号は、高純度の骨材料を調製する工程を開示している。米国特許出願公開第2003/0074065号は、骨異種移植片に関する。国際公開第2013/008959号は、異種移植片由来の骨移植片代替物、及びその製造方法を記載している。
【0006】
先行技術で広く使用されている方法では、化学工程によって動物海綿骨が有機成分から分離され、250℃~600℃の範囲の温度で熱処理が加えられる。海綿骨移植片が得られ、これはよく脱細胞され、有機成分から分離されている。結果として得られた海綿骨は、その天然の多孔質構造及び無機部分を維持していたが、骨の内部表面積は減少していた。
【0007】
海綿骨骨格は、海綿骨を様々な化学薬品及び精製水で煮沸し、その後1000℃などの高温で焼成することによって得られる。クロロホルム及び次亜塩素酸ナトリウムなどの化学物質で骨を処理した後、高温で熱処理した結果、ヒドロキシアパタイトと同様に構造中にクロロアパタイト型も観察された(Jung他、J Biomed Mater Res Part B 2013:101B:855~869)。非常に高温で実施する熱処理(焼成)によって、天然の骨構造中のヒドロキシアパタイトの構造が崩壊し、結晶化度が増加する。したがって、所望したレベルの生分解性を有する骨移植片を得ることはできない。
【0008】
骨を部分的に脱脂する煮沸工程に加えて、予め粉末にした骨を700℃以上の高温で焼成し、さらなる化学処理は行わなかった。化学工程ではこれ以上取り除くことはできない有機相を分離するために、骨に高温での熱処理を行う。したがって、炭酸塩基が構造内に形成され、それらを除去するにははるかに高い温度が必要である。さらに、熱処理を使用すると、移植片の粒径が成長し(結晶化度が増加する)、したがって生分解時間が延長する。
【0009】
骨を微粉砕する前後に、骨に化学処理を行う。前記化学工程の後、粉末化した骨に高温で熱処理を行う。化学工程中に微粉砕された骨は、その多孔質構造を保護することができない。粉末化した材料から再び多孔質構造を有する移植片を得るには、追加の費用がかかる。高温での熱処理によって、ヒドロキシアパタイトの天然形態がTCP(リン酸三カルシウム)に変化し始め、これは骨移植片には望ましくない。
【0010】
これまでに製造された異種骨移植片では、骨の天然構造は限られた範囲でしか維持され得ず、熱処理から生じる結晶化度の増加に伴い、生分解時間は必然的に延長する。以前の方法で使用された長期にわたる化学工程は、費用が嵩み、骨の天然構造が喪失する原因となる。骨の天然構造の喪失は、耐久性が低下し、細胞に適した環境を作り出すことができない骨移植片をもたらす。さらに、脱細胞中に実施される高温での熱処理は、得られた骨移植片の結晶化度を高くし、その生分解を非常に遅らせる原因となる。これら全ての理由から、動物の骨から多孔性異種移植片を製造するための方法をさらに改善する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主な目的は、先行技術の問題の解決方法を提供することである。本発明の別の目的は、海綿組織の元の多孔性を破壊することなく、海綿組織を有する動物の骨を異種骨移植片に変換する方法を提供することである。本発明の別の目的は、元の結晶構造を破壊することなく、海綿組織を有する動物の骨を異種骨移植片に変換する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、異種骨移植片を製造するための方法を提供する。前記方法は、1atmを超える圧力及び100℃~300℃の範囲の温度で、溶媒で海綿骨の水熱及び/又はソルボサーマル処理を行うステップを含む。したがって、異種骨移植片の調製に使用した海綿骨のCa/P比、元の結晶構造、及び多孔度は、激しい化学工程及び高温を回避することによって維持される。
【0013】
以下に簡単な説明を記載した図面は、本発明をよりよく理解するために与えられているだけであり、したがって、記載がなければ、特許請求した主題の範囲を決定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の工程ステップ、及びこの工程ステップの前後に実施できる工程ステップを表す概略図である。
【
図2】本発明の水熱/ソルボサーマル処理ステップを実施するのに適した例示的なオートクレーブ反応器の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
先行技術において、異種骨移植片の製造で使用される方法の問題(高温での熱処理による、製造された材料の結晶化度の増加、その結果として、所望の期間における生分解の不足、熱処理工程中の骨の構造中のヒドロキシアパタイトの脱ヒドロキシル化及び天然の骨構造の分解によるTCP(リン酸三カルシウム)相の出現及び天然骨構造の分解、熱処理から生じる、天然の骨と比較して低いCa/P比など)は、他の化学的及び機械的工程に加えて、水熱/ソルボサーマル処理ステップを有する本発明の方法によって克服される。水熱/ソルボサーマル処理によって、天然のヒドロキシアパタイト結晶の構造を維持し、急速に生分解する異種骨移植片を得ることができる。本発明の方法は、以下の工程ステップ:
i)1atmを超える圧力及び100℃~300℃の範囲の温度で、溶媒で海綿骨の水熱及び/又はソルボサーマル処理を行う工程ステップを含む。
【0016】
前記工程ステップは、溶媒として水が使用される場合は熱水と捉えられ、別の溶媒が使用される場合はソルボサーマルと捉えられる。工程に1つ又は複数の溶媒が存在する場合、熱水及びソルボサーマル処理ステップと呼ばれることがある。水熱/ソルボサーマル処理ステップに適した溶媒には、水(精製水が好ましい)、次亜塩素酸ナトリウム、クロロホルム、アセトン、並びにその他の有機、無機、及びイオン溶液(塩溶液など)などの様々な溶媒、又はそれらの混合物を含めることができる。言い換えると、水熱/ソルボサーマル処理ステップに適した溶媒は、以下の有機溶剤、無機溶媒、イオン溶液、及びそれらの混合物から選択することができる。水熱/ソルボサーマル処理は、6時間~24時間の期間継続することが好ましい。水熱/ソルボサーマル処理ステップにおいて、粒径が変化しないのは、先行技術で到達しなければならなかった高温が回避され、分解することなく海綿骨断片の天然の結晶構造、寸法、及び多孔度が、維持され得るからである。
【0017】
先行技術の方法における激しい化学工程及び/又は高温を必要とする工程ステップの代わりに上記のステップ(i)を適応させることによって、当業者は海綿構造を有する動物の骨からの異種移植片の製造を可能にする方法を完全に設計することができる。
【0018】
好ましくは、本発明は、ステップ(i)の前に以下のステップを順番に含むことができる:
a)海綿組織を有する動物の骨(例えば、大腿骨の頭部-大腿骨頭)を粉砕することによる海綿骨断片の取得。それに応じて、骨の海綿質部分を軟骨及び皮質骨から分離することができるので、海綿骨断片を、好ましくは0.5~1.5センチメートル程度で得ることができる。
b)海綿骨断片中の有機相の部分的除去(例えば、脂肪、血液、及びその他の望ましくない有機相の部分的除去/分離)。それに応じて、例えば、海綿骨断片は精製水で1~2時間の間に10~15回洗浄してもよく、精製水で30~60分間の間に3~5回煮沸してもよい。
c)海綿骨の有機相のさらなる除去/分離。それに応じて、海綿骨は、有機成分(例えば、タンパク質、脂肪、DNA、細胞など)を溶解することができる溶媒と接触させることができ、このステップは、「化学処理ステップ」及び「脱細胞」と呼ばれることがある。このステップでは、海綿骨を、次亜塩素酸ナトリウム、クロロホルム、アセトン、若しくはそれらの混合物などの、有機相(脂肪、タンパク質など)を溶解し、海綿骨から有機相を除去する溶媒、さらに、又は他の有機、無機、及びイオン溶液(塩溶液など)若しくはそれらの混合物とも、例えば、7~15日間の期間接触させ、好ましくは継続的に撹拌する。
d)海綿骨断片の洗浄。洗浄ステップによって、海綿骨断片は、ステップ(c)で述べた溶媒及び他の可能な残留物から取り出される。前記洗浄工程は、例えば精製水で1~2時間の間に10~15回繰り返してもよい。
【0019】
上記のステップに加えて、本発明は、ステップ(i)の後に以下のステップを順番に含むことができる:
e)海綿骨断片の洗浄。こうして、海綿骨断片にまだ存在している可能性のあるいかなる残留物も除去される。前記洗浄工程は、例えば、水、例えば、精製水で実施することができる。洗浄工程は、例えば、1日~7日の期間で、例えば3回以上繰り返してもよい。
f)乾燥による海綿骨断片の脱水。前記乾燥工程は、例えば、50℃~100℃の範囲の温度で、例えば、1~2日の範囲の期間で実施することができる。
【0020】
図1は、本発明による方法の可能なステップを示す図である。ステップ1では、例示的な動物の大腿骨の頭部の元の状態が例示されている。ステップ2は、大腿骨の頭を小片に断片化することによって、腱、軟骨、及び皮質骨から海綿骨を分離することを表している。ステップ3は、海綿骨断片を部分的に脱脂するために、海綿骨断片を精製水で数回洗浄し、精製水で煮沸することを表している。ステップ4では、化学工程による海綿骨断片の脱細胞及び脂肪などの有機残留物の除去が表されている。ステップ5は、海綿骨断片を精製水で洗浄することによる、化学残留物及び溶解した有機材料のさらなる除去を表している。ステップ6は、本発明による方法の水熱/ソルボサーマル処理ステップを指示しており、骨断片が100℃~300℃の範囲の温度で、1atmを超える圧力下で、好ましくは6時間~24時間の期間で処理されることを表している。ステップ7では、水熱/ソルボサーマル処理ステップの後に海綿骨断片に残留物を形成する可能性のある過剰ないかなる有機物も除去する洗浄工程(例えば、精製水で)を表している。ステップ8では、得られた精製された海綿骨断片を乾燥させることによって、天然の結晶構造及び多孔度を維持した異種骨移植片を得ることを表している。
【0021】
図2は、本発明の水熱/ソルボサーマル処理ステップを実施するのに適した例示的なオートクレーブ反応器の概略断面図である。水熱/ソルボサーマルステップの反応器として、公知の市販の装置を使用することができる。例えば、出願日の時点で、「テフロン(登録商標)ライニング水熱オートクレーブ反応器」の名称でTOPTIONから入手可能である(
図2を参照のこと。情報源:https://www.toptiontech.com/info/how-to-use-hvdrothermal-autoclave-reactor-9587371.html)。前記反応器は、外殻(70)及び基部(90)によって取り囲まれ、1つ又は複数の溶媒(80)を海綿骨断片と接触させる貯留槽として機能するライナー(60)を含んでいてもよい。ライナー(60)は、例えば、PTFEで作られている。ライナー(60)に配置された入口開口部を覆うカップリングカバー(40)及びカップリングカバーを把持する保持器(30)が存在していてもよい。カップリングカバー(40)は、ライナー(60)を腐食させないように、ライナー(60)と同じ材料で作られていることが好ましい。水熱/ソルボサーマル処理ステップで到達し得る高圧に対して保持器(30)を外殻(70)と緊密に結合するために、反応器は、保持器(30)と外殻(70)を外側から囲み、例えば、ボルト(10)によって保持器(30)に、及びねじ付き周囲によって外殻に取り付けられる、カバー(50)を含んでいてもよい。ボルト(10)と保持器(30)との間にフィルターパッド(20)が配置されていてもよい。高圧に耐えられるように、保持器(30)、カバー(50)、外殻(70)、及びベース(90)はスチールで作られていてもよい。
【0022】
水熱/ソルボサーマル法は、反応器がPTFEで裏打ちされていない場合、300℃を超える温度で実施することもできるが、100℃~300℃の範囲の温度で優れた結果が得られるため、より高い温度は必要ない。したがって、PTFEで裏打ちされているため容易に洗浄することができる反応器の使用に支障はない。このように、この方法によって、水熱/ソルボサーマル処理ステップの後、反応器を容易に洗浄することができる。
【0023】
この方法では、タンパク質及びその他の有機成分を除去するために海綿骨断片に使用した化学工程の数は少なく、損傷も少ない。さらに、この方法の基礎を形成する水熱/ソルボサーマル処理ステップ(ステップi)における反応器温度は、先行技術の方法で必要とされる温度よりも低い。したがって、天然の無機構造を維持し、有機成分を含まない白色の海綿骨断片(異種骨移植片)を得ることができる。得られた海綿骨断片は、先行技術で形成されたものよりも結晶化度が低い(粒径が比較的小さい)。
【0024】
本発明の方法によって形成される海綿骨断片を使用して製造される骨移植材料の塊及び粒子形態は、歯科及び様々な整形外科用途での使用に適している。
【0025】
本発明の方法の水熱/ソルボサーマル処理ステップによって製造された異種骨移植片材料は、適切な設備及び材料を供給することによって工業的に生産可能であり、したがって産業上利用可能である。本発明の改善のおかげで、先行技術の欠点が解消され、前述の問題が解決された。
【符号の説明】
【0026】
10 ボルト
20 フィルターパッド
30 保持器
40 カップリングカバー
50 カバー
60 ライナー
70 外殻
80 溶媒
90 基部