IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ピーエムティーの特許一覧 ▶ 国立大学法人九州大学の特許一覧

<>
  • 特許-操作装置及び操作方法 図1
  • 特許-操作装置及び操作方法 図2
  • 特許-操作装置及び操作方法 図3
  • 特許-操作装置及び操作方法 図4
  • 特許-操作装置及び操作方法 図5
  • 特許-操作装置及び操作方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】操作装置及び操作方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240326BHJP
   C12M 1/32 20060101ALI20240326BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/32
C12Q1/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020102019
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021193918
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】599067053
【氏名又は名称】株式会社ピーエムティー
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】230110397
【弁護士】
【氏名又は名称】田中 雅敏
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】佐々 文洋
(72)【発明者】
【氏名】武居 修
(72)【発明者】
【氏名】茂木 一
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-165941(JP,A)
【文献】特開2004-170089(JP,A)
【文献】特開2003-185627(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163270(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/193718(WO,A1)
【文献】特開2011-224454(JP,A)
【文献】国際公開第2012/111684(WO,A1)
【文献】特開平09-229940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12Q 1/00-3/00
G01N 33/48-33/98
G01N 1/00-1/44
G01N 35/00-37/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の基板が載置される基板載置部と、
前記所定の基板上の対象試料に接触可能に駆動し、かつ、並べて配置された複数のプローブを有すると共に、前記基板載置部と対向して設けられ、同基板載置部に対して、相対的に移動可能に構成されたプローブアレイ部とを備え、
前記プローブアレイ部は、少なくとも、複数の前記プローブが第1の方向に並べて配置された第1のプローブアレイと、複数の前記プローブが前記第1の方向とは異なる第2の方向に並べて配置された第2のプローブアレイを有し、
前記プローブアレイ部は、前記基板載置部に対して、X軸方向及び前記X軸と直交するY軸方向に、相対的に進退移動可能に構成され、
前記第1の方向は、前記X軸方向または前記Y軸方向であり、
前記第2の方向は、前記X軸方向または前記Y軸方向のいずれか一方であり、前記第1のプローブアレイの配列方向と直交する方向であり、
前記第1のプローブアレイと前記第2のプローブアレイが略L字状に配置された
操作装置
【請求項2】
前記プローブの配列方向と略平行、かつ、複数の前記プローブが接触可能な位置及び長さで形成されると共に、前記プローブを洗浄、滅菌、または、同プローブに試薬を付着させるプローブ処理部を備える
請求項1に記載の操作装置
【請求項3】
前記プローブの配列方向と略平行に移動可能に構成され、複数の前記プローブと接触して、同プローブを洗浄、滅菌、または、同プローブに対象試料を付着させるプローブ接触部を備える
請求項1に記載の操作装置
【請求項4】
所定の基板が載置される基板載置部と、
前記所定の基板上の対象試料に接触可能に駆動し、かつ、並べて配置された複数のプローブを有すると共に、前記基板載置部と対向して設けられ、同基板載置部に対して、相対的に移動可能に構成されたプローブアレイ部とを備え、
前記プローブの配列方向と略平行に移動可能に構成され、複数の前記プローブと接触して、同プローブを洗浄、滅菌、または、同プローブに対象試料を付着させるプローブ接触部を備える
操作装置
【請求項5】
前記プローブアレイ部は、少なくとも、複数の前記プローブが第1の方向に並べて配置された第1のプローブアレイと、複数の前記プローブが前記第1の方向とは異なる第2の方向に並べて配置された第2のプローブアレイを有する
請求項4に記載の操作装置
【請求項6】
前記プローブアレイ部は、前記基板載置部に対して、X軸方向及び前記X軸と直交するY軸方向に、相対的に進退移動可能に構成され、
前記第1の方向は、前記X軸方向または前記Y軸方向であり、
前記第2の方向は、前記X軸方向または前記Y軸方向のいずれか一方であり、前記第1のプローブアレイの配列方向と直交する方向である
請求項5に記載の操作装置
【請求項7】
前記プローブアレイ部は、前記基板載置部に対して、X軸方向及び前記X軸と直交するY軸方向に、相対的に進退移動可能、かつ、前記X軸及び同X軸と直交するY軸のそれぞれと直交するZ軸の周りのθ方向に、相対的に回動可能に構成されると共に、前記X軸方向または前記Y軸方向のいずれか一方に、複数の前記プローブが並べて配置されたプローブアレイを有する
請求項4に記載の操作装置
【請求項8】
複数の前記プローブは、プローブ間のピッチが100nm以上~5mm以下の範囲で形成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の操作装置。
【請求項9】
複数の前記プローブは、個別に制御可能に構成され、同プローブの先端が、前記所定の基板に対して、近接または離間する垂直プローブである
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8に記載の操作装置。
【請求項10】
前記所定の基板は、100個/cm以上のウェルが形成されたマイクロウェルアレイである
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8または請求項9に記載の操作装置。
【請求項11】
所定の基板が載置される基板載置部に対して、前記基板載置部と対向して設けられ、かつ、並べて配置された複数のプローブを有するプローブアレイ部を相対的に移動させる移動工程と、
所望の位置で前記プローブを駆動させて、前記所定の基板上の対象試料に前記プローブを接触させる接触工程と、を含み、
前記プローブアレイ部は、少なくとも、複数の前記プローブが第1の方向に並べて配置された第1のプローブアレイと、複数の前記プローブが前記第1の方向とは異なる第2の方向に並べて配置された第2のプローブアレイを有し、
前記プローブアレイ部は、前記基板載置部に対して、X軸方向及び前記X軸と直交するY軸方向に、相対的に進退移動可能に構成され、
前記第1の方向は、前記X軸方向または前記Y軸方向であり、
前記第2の方向は、前記X軸方向または前記Y軸方向のいずれか一方であり、前記第1のプローブアレイの配列方向と直交する方向であり、
前記第1のプローブアレイと前記第2のプローブアレイが略L字状に配置された
操作方法
【請求項12】
所定の基板が載置される基板載置部に対して、前記基板載置部と対向して設けられ、かつ、並べて配置された複数のプローブを有するプローブアレイ部を相対的に移動させる移動工程と、
所望の位置で前記プローブを駆動させて、前記所定の基板上の対象試料に前記プローブを接触させる接触工程と、を含み、
前記接触工程は、前記プローブの配列方向と略平行に移動可能に構成され、複数の前記プローブと接触するプローブ接触部を介して、同プローブを洗浄、滅菌、または、同プローブに対象試料を付着させる工程を有する
操作方法
【請求項13】
前記プローブアレイ部は、X軸方向または前記X軸と直交するY軸方向に、複数の前記プローブが並べて配置されたプローブアレイが形成され、
前記移動工程は、前記基板載置部に対して、前記X軸方向及び前記Y軸方向に、前記プローブアレイ部を相対的に進退移動させ、かつ、前記X軸及び前記Y軸のそれぞれと直交するZ軸の周りのθ方向に前記プローブアレイ部を相対的に回動させる
請求項12に記載の操作方法
【請求項14】
前記所定の基板上で対象試料を培養する培養工程と、前記所定の基板上で培養した対象試料に対して画像分析を行う分析工程と、を含み、
前記培養工程と前記分析工程を、前記所定の基板に対して繰り返し行う
請求項11、請求項12または請求項13に記載の操作方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作装置及び操作方法に関する。詳しくは、細胞や微生物等の微小な試料を、大規模かつ効率よく培養、操作、及び分析することが可能であり、かつ、微量の試薬等を用いた実験操作も可能な操作装置及び操作方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
生物学実験において、細胞培養や試薬添加、微生物の単離、化学分析など微小な試料や、微量の試薬等に対する接触操作を伴う操作実験が行われている。
【0003】
このような操作実験は、例えば、感染症検査、健康診断、再生医療、DNA解析、創薬、または、有用微生物の探索等、幅広い分野に関わっている。
【0004】
また、こうした細胞等の微小な試料への接触操作を伴う実験は、実験者の手作業、または、ロボットシステムを介した自動化作業により行われていた。
【0005】
ここで、細胞等への接触操作を行う操作装置として、プレート等の基板上で培養した個々の細胞に、微小な先端を有するニードルを接触させるコロニーピッキング装置が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
また、近年、生物学的分野において、膨大なデータが取得可能なマイクロアレイ型の分析システムの活用が進んでいる。例えば、DNAアレイや、次世代DNAシーケンサー等の高密度アレイデバイスを用いて、バイオインフォマティクスやメタゲノム解析など、新しい学術分野が開拓されてきた。
【0007】
また、アレイデバイスと高感度CCDカメラを組み合わせて、細胞等の試料から、大量の情報を一括的に取得する手法では、10bitオーダーの情報の取得を実現している。
【0008】
この膨大な情報量に基づく多種多様な解析は、現在の生命科学の発展のみならず、工業、化学分野における同時多並列解析・反応などのニーズの高まりも相まって、科学技術の発展に欠かせないものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2011-50259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、マイクロアレイ型の分析システムによる分析作業において大量の情報を取得可能である一方、分析に供した細胞試料におけるアレイ要素(固定化スポット、溶液ウェル、培養チャンバー等)への個別の操作手段は、実験者の手作業、または、特許文献1に記載のコロニーピッキング装置を含むロボットシステムを使った作業に限られていた。
【0011】
とりわけ、細胞試料のピックアップ、分取、植菌、混合、微量な試薬の添加等といった試料への接触を必要とする操作では、ロボットシステムを用いた場合でも、1時間当たり数百回から数千回が、操作量の限度となっていた。
【0012】
即ち、細胞試料等への接触を伴う作業の操作量と、一回の操作で数十万オーダーの分析が可能なマイクロアレイ型の分析システムの情報量との間には、大きな隔絶があり、生物学的実験の大規模化かつ飛躍的な高速化を著しく制限する要因となっていた。
【0013】
また、マイクロアレイ型の細胞試料だけでなく、細胞切片を乗せたプレートやシャーレに形成したゲルプレート上で培養する細胞試料または微生物試料に対しても、試料への接触を伴う操作の作業効率を高めることが望まれている。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、細胞や微生物等の微小な試料を、大規模かつ効率よく培養、操作、及び分析することが可能であり、かつ、微量の試薬等を用いた実験操作も可能な操作装置及び操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の操作装置は、所定の基板が載置される基板載置部と、前記所定の基板上の対象試料に接触可能に駆動し、かつ、並べて配置された複数のプローブを有すると共に、前記基板載置部と対向して設けられ、同基板載置部に対して、相対的に移動可能に構成されたプローブアレイ部とを備える。
【0016】
ここで、プローブアレイ部が、所定の基板上の対象試料に接触可能に駆動し、かつ、並べて配置された複数のプローブを有することによって、複数のプローブを介して、対象試料への接触を伴う操作を効率よく行うことができる。なお、ここでいう対象試料とは、細胞または微生物等の生物試料に限らず、試薬や洗浄剤、殺菌剤等も含むものを意味する。
【0017】
また、プローブアレイ部が、基板載置部と対向して設けられ、基板載置部に対して、相対的に移動可能に構成されたことによって、プローブアレイ部と基板載置部が対向した状態で、プローブアレイ部と基板載置部との位置を変えることができる。これにより、プローブを基板上の所望の位置に接触させることが可能となる。
【0018】
また、複数のプローブが並べて配置されたことによって、基板上の所望の位置に対して、複数のプローブの各々を接触させる際に、基板載置部に対するプローブアレイ部の相対的な移動の移動距離を短くすることができる。
【0019】
また、プローブアレイ部が、少なくとも、複数のプローブが第1の方向に並べて配置された第1のプローブアレイと、複数のプローブが前記第1の方向とは異なる第2の方向に並べて配置された第2のプローブアレイを有する場合には、配列方向が異なる2つのプローブアレイを介して、対象試料への接触を伴う操作を、より一層効率よく行うことができる。なお、ここでのプローブアレイの数は、2つに限定されるものではなく、プローブアレイ部が、3つ以上のプローブアレイを有する構成も採用しうる。
【0020】
また、プローブアレイ部が、基板載置部に対して、X軸方向及びX軸と直交するY軸方向に、相対的に進退移動可能に構成され、第1の方向が、X軸方向またはY軸方向であり、第2の方向が、X軸方向またはY軸方向のいずれか一方であり、第1のプローブアレイの配列方向と直交する方向である場合には、X軸方向と、Y軸方向のそれぞれにプローブが配列された2つのプローブアレイを介して、対象試料への接触を伴う操作を、より一層効率よく行うことができる。
【0021】
即ち、例えば、基板をX軸方向及びY軸方向のマス目状に区分けして、複数の個別のマスに対して、第1のプローブアレイまたは第2のプローブアレイを連続的に作用させ、対象試料への接触を伴う操作を素早く行うことができる。また、第1のプローブアレイと第2のプローブアレイの2軸のプローブアレイを用いるため、例えば、基板のX軸方向に沿った接触操作を第1のプローブアレイに、基板のY軸方向に沿った接触操作を第2のプローブアレイに、それぞれ担わせることで、基板のX軸方向およびY軸方向に沿って、細胞試料のピックアップ、分取、植菌、混合、微量な試薬の添加等の操作を効率良く行うことができる。
なお、ここでいうマス目上の区分けとは、例えば、基板上に、互いに独立したウェルが複数形成されたマイクロウェルアレイにおける区分けだけでなく、基板上に明確な区分けのない培地等における仮想的な座標位置による区分けであってもよい。
【0022】
また、プローブアレイ部が、基板載置部に対して、X軸方向及びX軸と直交するY軸方向に、相対的に進退移動可能、かつ、X軸及びX軸と直交するY軸のそれぞれと直交するZ軸の周りのθ方向に、相対的に回動可能に構成されると共に、X軸方向またはY軸方向のいずれか一方に、複数のプローブが並べて配置されたプローブアレイを有する場合には、直線的な進退移動及び回転移動と、一軸方向に並べて配置されたプローブアレイを介して、対象試料への接触を伴う操作を、より一層効率よく行うことができる。
【0023】
即ち、例えば、基板をX軸方向及びY軸方向のマス目状に区分けして、複数の個別のマスに対して、プローブアレイを連続的に作用させ、対象試料への接触を伴う操作を素早く行うことができる。また、例えば、基板のX軸方向に沿った接触操作をプローブアレイに行わせて、プローブアレイ部または基板載置部を90度回転させ、基板のY軸方向に沿った接触操作をプローブアレイに行わせることで、基板のX軸方向およびY軸方向に沿って、細胞試料のピックアップ、分取、植菌、混合、微量な試薬の添加等の操作を効率良く行うことができる。
なお、ここでいうマス目上の区分けとは、例えば、基板上に、互いに独立したウェルが複数形成されたマイクロウェルアレイにおける区分けだけでなく、基板上に明確な区分けのない培地等における仮想的な座標位置による区分けであってもよい。
【0024】
また、第1のプローブアレイと第2のプローブアレイが略L字状に配置された場合には、対象試料への接触を伴う操作をより一層効率よく行うことができる。即ち、第1のプローブアレイと第2のプローブアレイが干渉せず、かつ、各プローブアレイが最も近づいた配置状態となる。この結果、基板上における複数の所望の位置にプローブを作用させる際に、プローブアレイ部と基板載置部を相対的に移動させる移動距離を短くすることができる。
【0025】
また、プローブの配列方向と略平行、かつ、複数のプローブが接触可能な位置及び長さで形成されると共に、プローブを洗浄、滅菌、または、プローブに試薬を付着させるプローブ処理部を備える場合には、プローブ処理部で複数のプローブをまとめて洗浄または滅菌することが可能となる。
【0026】
また、プローブの配列方向と略平行に移動可能に構成され、複数のプローブと接触して、プローブを洗浄、滅菌、または、プローブに対象試料を付着させるプローブ接触部を備える場合には、プローブ接触部で複数のプローブをまとめて洗浄、滅菌、または、プローブに対象試料を付着させることが可能となる。
【0027】
また、複数のプローブが、プローブ間のピッチが100nm以上~5mm以下の範囲で形成された場合には、細胞および微生物等の対象試料を扱った、接触を伴う操作を充分に行うことが可能となる。
【0028】
また、所定の基板が、100個/cm以上のウェルが形成されたマイクロウェルアレイである場合には、マイクロウェルアレイの多数のウェルに対して、対象試料への接触を伴う操作を、より一層効率よく行うことができる。また、例えば、マイクロウェルアレイの一部のウェルに植菌した細胞を培養して、培養後の細胞を分析し、別のウェルに細胞を再植菌して培養するといった、一連の培養分析と操作を、1つのマイクロウェルアレイ上で行うことが可能となる。
【0029】
また上記の目的を達成するために、本発明の操作方法は、所定の基板が載置される基板載置部に対して、前記基板載置部と対向して設けられ、かつ、並べて配置された複数のプローブを有するプローブアレイ部を相対的に移動させる移動工程と、所望の位置で前記プローブを駆動させて、前記所定の基板上の対象試料に前記プローブを接触させる接触工程を備える。
【0030】
ここで、並べて配置された複数のプローブを有するプローブアレイ部を相対的に移動させる移動工程と、所望の位置でプローブを駆動させて、所定の基板上の対象試料にプローブを接触させる接触工程によって、複数のプローブを介して、対象試料への接触を伴う操作を効率よく行うことができる。なお、ここでいう対象試料とは、細胞または微生物等の生物試料に限らず、試薬や洗浄剤、殺菌剤等も含むものを意味する。
【0031】
また、移動工程が、基板載置部と対向して設けられ、かつ、並べて配置された複数のプローブを有するプローブアレイ部を相対的に移動させることによって、プローブアレイ部と基板載置部が対向した状態で、プローブアレイ部と基板載置部との位置を変えることができる。これにより、プローブを基板上の所望の位置に接触させることが可能となる。
【0032】
また、プローブアレイ部が並べて配置された複数のプローブを有することによって、基板上の所望の位置に対して、複数のプローブの各々を接触させる際に、基板載置部に対するプローブアレイ部の相対的な移動の移動距離を短くすることができる。
【0033】
また、プローブアレイ部が、少なくとも、複数のプローブが第1の方向に並べて配置された第1のプローブアレイと、複数のプローブが第1の方向とは異なる第2の方向に並べて配置された第2のプローブアレイを有する場合には、配列方向が異なる2つのプローブアレイを介して、対象試料への接触を伴う操作を、より一層効率よく行うことができる。なお、ここでのプローブアレイの数は、2つに限定されるものではなく、プローブアレイ部が、3つ以上のプローブアレイを有する構成も採用しうる。
【0034】
また、第1の方向が、X軸方向またはY軸方向であり、第2の方向が、X軸方向またはY軸方向のいずれか一方であり、第1のプローブアレイの配列方向と直交する方向であり、移動工程が、基板載置部に対して、プローブアレイ部をX軸方向及びY軸方向に相対的に進退移動させる場合には、X軸方向と、Y軸方向のそれぞれにプローブが配列された2つのプローブアレイを介して、対象試料への接触を伴う操作を、より一層効率よく行うことができる。
【0035】
即ち、例えば、基板をX軸方向及びY軸方向のマス目状に区分けして、複数の個別のマスに対して、第1のプローブアレイまたは第2のプローブアレイを連続的に作用させ、対象試料への接触を伴う操作を素早く行うことができる。また、第1のプローブアレイと第2のプローブアレイの2軸のプローブアレイを用いるため、例えば、基板のX軸方向に沿った接触操作を第1のプローブアレイに、基板のY軸方向に沿った接触操作を第2のプローブアレイに、それぞれ担わせることで、基板のX軸方向およびY軸方向に沿って、細胞試料のピックアップ、分取、植菌、混合、微量な試薬の添加等の操作を効率良く行うことができる。
なお、ここでいうマス目上の区分けとは、例えば、基板上に、互いに独立したウェルが複数形成されたマイクロウェルアレイにおける区分けだけでなく、基板上に明確な区分けのない培地等における仮想的な座標位置による区分けであってもよい。
【0036】
また、プローブアレイ部が、X軸方向またはX軸と直交するY軸方向に、複数のプローブが並べて配置されたプローブアレイが形成され、移動工程が、基板載置部に対して、X軸方向及びY軸方向に、プローブアレイ部を相対的に進退移動させ、かつ、X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸の周りのθ方向にプローブアレイ部を相対的に回動させる場合には、直線的な進退移動及び回転移動と、一軸方向に並べて配置されたプローブアレイを介して、対象試料への接触を伴う操作を、より一層効率よく行うことができる。
【0037】
即ち、例えば、基板をX軸方向及びY軸方向のマス目状に区分けして、複数の個別のマスに対して、プローブアレイを連続的に作用させ、対象試料への接触を伴う操作を素早く行うことができる。また、例えば、基板のX軸方向に沿った接触操作をプローブアレイに行わせて、プローブアレイ部または基板載置部を90度回転させ、基板のY軸方向に沿った接触操作をプローブアレイに行わせることで、基板のX軸方向およびY軸方向に沿って、細胞試料のピックアップ、分取、植菌、混合、微量な試薬の添加等の操作を効率良く行うことができる。
なお、ここでいうマス目上の区分けとは、例えば、基板上に、互いに独立したウェルが複数形成されたマイクロウェルアレイにおける区分けだけでなく、基板上に明確な区分けのない培地等における仮想的な座標位置による区分けであってもよい。
【0038】
また、所定の基板上で対象試料を培養する培養工程と、所定の基板上で培養した対象試料に対して画像分析を行う分析工程とを備え、培養工程と分析工程を、所定の基板に対して繰り返し行う場合には、1つの基板上で、細胞等の培養と分析を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る操作装置及び操作方法は、細胞や微生物等の微小な試料を、大規模かつ効率よく培養、操作、及び分析することが可能であり、かつ、微量の試薬等を用いた実験操作も可能なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】(a)は、本発明の第1の実施の形態である操作装置の概略図であり、(b)は、プローブによる接触操作の動作を示す概略断面図である。
図2】(a)は、洗浄槽及び滅菌槽を有する操作装置の概略図であり、(b)は、機械洗浄部を有する操作装置の概略図である。
図3】(a)~(f)は、マイクロウェルアレイの特定のウェルで培養した細胞試料を、同じマイクロウェルアレイの複数のウェルに任意のパターンで播種する一連の流れを示す概略図である。
図4】操作装置を用いて、対象試料の分析操作と培養操作を繰り返し行うことを模式的に示した概略図である。
図5】(a)~(c)は、操作装置を用いて、ゲルプレートとマイクロウェルアレイとの間で実験操作を行う流れを模式的に示した概略図である。
図6】(a)~(d)は、マイクロウェルアレイの特定のウェルで培養した細胞試料を、同じマイクロウェルアレイの複数のウェルに任意のパターンで播種する一連の流れを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
[第1の実施の形態]
本発明を適用した操作装置の一例として、本発明の第1の実施の形態を説明する。なお、以下に示す内容はあくまで、本発明を適用した構造の一例にすぎず、本発明の実施の形態は以下に示す構造に限定されるものではない。
【0042】
図1(a)に示すように、本発明を適用した操作装置の一例である操作装置1は、所定の細胞培養器が載置されるステージ部2と、複数のプローブを有するプローブアレイ部3を備えている。なお、ここでいう所定の細胞培養器が、本願請求項における所定の基板に該当する。また、ここでいうステージ部2が本願請求項における基板載置部に該当する。さらに、ここでいうプローブアレイ部3が、本願請求項におけるプローブアレイ部に該当する。
【0043】
また、以下の説明では、図1(a)を基準に、紙面の左右方向をX軸方向と称し、紙面の上下方向をY軸方向と称する。また、図1(a)を基準に、紙面の左を左側、紙面の右を右側、紙面の上を上側、紙面の下を下側と称する。また、図1(b)を基準に、プローブ5から見たマイクロウェルアレイ4側を鉛直下方と称し、マイクロウェルアレイ4から見たプローブ5側を鉛直上方と称する。さらに、図1(b)を基準に、鉛直上方及び鉛直下方を結ぶ方向をZ軸方向または鉛直方向と称する。
【0044】
また、細胞培養器は、細胞培養(細胞試料または微生物試料を含む)が可能な基板であり、例えば、複数の独立したウェルが形成されたマイクロウェルアレイや、シャーレ、細胞のスライス切片を載せたスライド等である。ここでは、細胞培養器の一例としてマイクロウェルアレイ4を示す(図1(a)及び図1(b)参照)。
【0045】
マイクロウェルアレイ4は、凹状の複数のウェル40にゲル状培地41や、試薬ゲル42、殺菌剤ゲル43が充填されている。また、ウェル40は隔壁44で区分けされ、個々のゲル状培地41に植菌された細胞等が、クロスコンタミネーションが抑止可能に構成されている(図1(b)参照)。
【0046】
また、ステージ部2は、細胞培養器(マイクロウェルアレイ4)を載置可能であり、図示しないステージ駆動機構を介して、マイクロウェルアレイ4をX軸方向及びY軸方向に移動可能に構成されている(図1(a)及び図4参照)。
【0047】
また、ステージ駆動機構は、図示しないステージ駆動制御部により、その駆動が制御され、マイクロウェルアレイ4における個々のウェル40の位置と、後述するプローブアレイ部3の各プローブ50、60における接触部51、61との位置とを位置合わせ可能に構成されている。
【0048】
ここで、必ずしも、所定の基板として、細胞培養器が採用される必要はなく、操作対象となる試料も、生物由来の細胞や微生物に限定されるものではない。例えば、所定の基板は、生物由来の試料を用いず、複数の試薬や化学物質を反応させる基板であってもよい。
【0049】
また、必ずしも、ステージ駆動機構を介して、ステージ部2がマイクロウェルアレイ4をX軸方向及びY軸方向に移動可能に構成される必要はない。例えば、ステージ部2が固定され、ステージ部2上のマイクロウェルアレイ4に対して、プローブアレイ部3が駆動機構を介して、X軸方向及びY軸方向に移行可能に構成されていてもよい。更に、ステージ部2及びプローブアレイ部3の両方が、X軸方向及びY軸方向に移行可能に構成された態様であってもよい。
【0050】
また、個々のウェル40の位置と、各プローブ50、60における接触部51、61との位置との位置合わせ可能であれば、位置合わせを行う機構は特に限定されるものではない。例えば、ステージ駆動制御部により、ステージ部2の移動距離を厳密に制御する態様だけでなく、CCDカメラ等の撮像機構とステージ部2に設けたアライメントマークを組み合わせた位置制御や、XY平面上に座標情報を設定して、座標情報に基づく位置制御も採用可能である。
【0051】
また、マイクロウェルアレイ4のウェルの数は特に限定されるものではなく、処理または操作したい対象試料に合わせて、適宜選択することができる。
【0052】
また、プローブアレイ部3は、第1のプローブアレイ5と、第2のプローブアレイ6を有している。また、第1のプローブアレイ5は、X軸方向に沿って、一定のピッチで並べて配置された複数のプローブ50で構成されている。また、第2のプローブアレイ6は、Y軸方向に沿って、一定のピッチで並べて配置された複数のプローブ60で構成されている(図1(a)及び図4参照)。
【0053】
また、第1のプローブアレイ5及び第2のプローブアレイ6は、ステージ部2に載置されたマイクロウェルアレイ4のなす面(ステージ部2のX軸及びY軸のなす面)と略平行な面に設けられている。
【0054】
また、第1のプローブアレイ5及び第2のプローブアレイ6は、Z軸方向において、駆動する各プローブ50及びプローブ60が、ゲル状培地41に植菌された細胞等の対象試料に接触可能な高さ位置に設けられている。
【0055】
また、第1のプローブアレイ5と、第2のプローブアレイ6は、同一平面上で略L字状に配置されている(図1(a)参照)。
【0056】
ここで、複数のプローブ50及び複数のプローブ60の数は、特に限定されるものではなく、操作対象となる対象試料の内容によって、適宜設定変更することが可能である。また、複数のプローブ50及び複数のプローブ60の数は、同一の数に合わせることも、異なる数に設定することも可能である。
【0057】
また、複数のプローブ50のピッチ及び複数のプローブ60のピッチは、必ずしも一定のピッチに設定される必要はない。例えば、並べて配置した一群のプローブにおいて、プローブ間の距離が異なるように形成されたプローブアレイ群も採用可能である。また、複数のプローブ50のピッチ及び複数のプローブ60のピッチは特に限定されるものではないが、細胞または微生物等の試料を操作する点から、プローブ間のピッチが100nm以上~5mm以下の範囲で形成されることが好ましい。
【0058】
また、必ずしも、プローブアレイ部3が、第1のプローブアレイ50と、第2のプローブアレイ60の、2つのプローブアレイで構成される必要はない。例えば、1つのプローブアレイで構成される態様、または、3つ以上のプローブアレイで構成される態様も採用しうる。また、2つ以上のプローブアレイで構成される態様では、各プローブアレイを配置する位置は、適宜設計変更することが可能である。例えば、複数のプローブの配列方向を合わせて、複数のプローブアレイを並べて配置したり、複数のプローブの配列方向を異ならせて、複数のプローブアレイを配置したりすることも可能である。
【0059】
また、必ずしも、第1のプローブアレイ50と、第2のプローブアレイ60は、同一平面上で略L字状に配置される必要はない。但し、第1のプローブアレイ50と、第2のプローブアレイ60が干渉せず、かつ、各プローブアレイが最も近づいた配置状態となり、基板上における複数の所望の位置にプローブを作用させる際に、プローブアレイ部と基板載置部を相対的に移動させる移動距離を短くできる点から、第1のプローブアレイ50と、第2のプローブアレイ60は、同一平面上で略L字状に配置されることが好ましい。
【0060】
また、プローブ50は、マイクロウェルアレイ4上のゲル状培地41等に接触可能な、Z軸方向に沿って垂直駆動する接触部51と、接触部51を支持する本体部52で構成されている(図1(b)参照)。また、複数のプローブ50は、1本ずつが、個別に駆動可能に構成されている。
【0061】
また、本体部52は、プローブ50の駆動制御に関する駆動・情報処理等(制御回路・通信・電源・歪センサ・熱センサ・マイクロヒーター等の機能)を担う部材である。
【0062】
また、接触部51の表面は、シリコーン樹脂等のエラストマー、紙、ポリマーフィルム、テフロン(登録商標)等の柔軟性があり、熱・科学的耐久性に優れたソフトアクチュエータ素材で形成されている。
【0063】
また、プローブ60は、プローブ50と同様の構造で形成されている。即ち、プローブ60は、接触部と本体部(符号省略)で構成されている。
【0064】
ここで、接触部51(またはプローブ60の接触部)を形成する素材は、柔軟性があり、熱・化学的耐久性に優れた性質を有する素材であれば、上述したシリコーン樹脂等のエラストマー、紙、ポリマーフィルム、テフロン(登録商標)に限定されるものではない。
【0065】
また、接触部51及び本体部52(または接触部61及びプローブ60の本体部)は、プローブ50(プローブ60)のZ軸方向に沿った駆動が可能であり、かつ、その駆動が制御可能に構成されていれば、その構造は特に限定されるものではない。
【0066】
また、プローブ50及びプローブ60のZ軸方向に沿った駆動のための駆動源の構造は種々採用しうる。例えば、柔軟性のあるアクチュエータを、熱駆動、静電駆動、誘電エラストマー、電磁駆動、光駆動等で駆動させる方式や、ワイヤー等を介して機械的に駆動させる方式が採用しうる。
【0067】
図1(b)を介して、プローブ50(またはプローブ60)による接触操作の動作の概略を説明する。ここでは、対象試料として、マイクロウェルアレイ4のゲル状培地41に、菌体A、菌体B及び菌体Cの種類が異なる菌体が表されている。また、対象試料として、試薬ゲル42及び殺菌剤ゲル43が表されている。
【0068】
プローブ50の接触部51は、符号Zで示す方向(Z軸方向)に沿って垂直駆動が可能であり、接触部51が垂直下方に移動した位置で、ゲル状培地41等に接触することができる。
【0069】
また、マイクロウェルアレイ4は、符号Hで示す方向に移動可能であり、各ウェル40の位置と、接触部51の位置を合わせることができる。なお、符号Hで示す方向は、X軸方向またはY軸方向のいずれか一方であり、マイクロウェルアレイ4は、図1(b)において紙面の手前及び奥の方向(符号Hで示す方向と直交する方向)にも移動可能である。
【0070】
例えば、符号S1で示す矢印のように、個別のウェル40で単独培養している菌体Aを、プローブ50の接触部51が垂直下方に駆動してピックアップし、垂直情報に駆動した後、菌体Aを付着させた状態でマイクロウェルアレイ4が符号Hで示す方向に移動して、菌体Bまたは菌体Cが培養された下層接続型の共培養用のゲル状培地41の各位置で、接触部51を垂直下方に駆動させて植菌することができる。
【0071】
また、同様に、符号S2で示す矢印のように、個別のウェル40で単独培養している菌体Bを、プローブ50の接触部51を駆動させて、下層接続型の共培養用のゲル状培地41に植菌することもできる。
【0072】
また、各ウェル40で培養している菌体または菌体を摂取していないゲル状培地に対して、試薬ゲル42に接触させたプローブ50の接触部を接触させ、試薬を添加することもできる。
【0073】
また、菌体と摂取した各プローブ50の接触部51を、殺菌剤ゲル43に接触させ、接触部51に付着した菌体を滅菌する接触操作も可能である。さらには、図示しないが、殺菌剤ゲル43に接触させた接触部51を洗浄する洗浄液を含む洗浄用ゲルを別途設けることもできる。接触部51は、滅菌および洗浄を行うことで、再度、菌体への接触操作が可能となる。
【0074】
より詳細には、操作装置1は、上述した操作を含めて、次のような基本操作を組み合わせて実行することが可能である。なお、以下では、対象試料として菌体(微生物)を用いて説明を行っているが、他の細胞を用いた操作も可能である。
【0075】
(1)継代・再培養
菌体を培養したあるウェル(またはプレートやシャーレ等)から菌体をピックアップして、別のウェルで、菌体が未接種のゲル状培地に植菌する操作。
(2)充填
ランダムに初期植菌され、まばらに菌体が増殖したウェル(またはプレートやシャーレ等)から、別のウェルで菌体が未接種のゲル状培地に植菌する操作。
(3)試薬添加
試薬ゲルが充填されたウェルから微量な試薬をピックアップして、別のウェルの菌体や、菌体が未接種のゲル状培地に試薬を接触させ、添加する操作。
(4)選別
各種の分析工程(増殖解析、代謝解析、蛍光を用いた画像分析等)で特定されたウェル(またはプレートやシャーレ等)から菌体をピックアップして、別のウェルの菌体が未接種のゲル状培地に植菌する操作。
(5)共培養
特定された複数のウェル(またはプレートやシャーレ等)から菌体をピックアップして、1つの別のウェルで、菌体が未接種のゲル状培地に、複数の菌体を植菌する操作。
(6)プローブ洗浄
菌体の接触操作や、試薬移動に使用したプローブの接触部を、例えば、殺菌剤ゲルと、洗浄用ゲルに接触させ、プローブの接触部を乾燥させる等の操作により、再生する操作。
【0076】
ここで、必ずしも、試薬ゲルが充填されたウェル、即ち、試薬がゲル状に形成される必要はなく、ウェルに液体状の試薬を充填する態様も採用しうる。
【0077】
このように、操作装置1では、複数のプロー50及び複数のプローブ60を用いて、菌体または細胞等の各種使用への様々な接触操作を効率良く行うことが可能となっている。
【0078】
また、本発明を適用した操作装置1では、さらに以下のような機構を備えることもできる。
【0079】
図2(a)に示すように、マイクロウェルアレイ4は、第2のプローブアレイ6における複数のプローブ60の配列方向に沿って形成された洗浄槽7及び滅菌槽8を設けることもできる。なお、ここでいう洗浄槽7及び滅菌槽8が、本願請求項におけるプローブ処理部に該当する。
【0080】
この洗浄槽7には、プローブ60の接触部を洗浄する洗浄液が充填されている。また、滅菌槽8は、UVまたは加熱によりプローブ60の接触部を滅菌する機構を備えている。これらの洗浄槽7及び滅菌槽8は、第2のプローブアレイ6を構成する複数のプローブ60の接触部を接触させ、まとめて洗浄または滅菌することができる。さらには、洗浄槽7等と同様の構造物に試薬を充填して、各プローブにまとめて試薬を付着させる構造とすることもできる。
【0081】
また、図2(a)に示すように、洗浄槽7の代わりに、プローブ60の接触部に当接して、接触部に付着した菌体や試薬等を物理的に除去する機械洗浄部70を設けることもできる。機械洗浄部70は、プローブ60の接触部を挟んで擦る動きや、回転するブラシ等を採用しうる。また、機械洗浄部70は、図示しないガイドレール等を介して、複数のプローブ60の配列方向に沿って移動可能に構成されている。なお、ここでいう機械洗浄部70が、本願請求項におけるプローブ接触部に該当する。
【0082】
ここで、図2(a)では、第2のプローブアレイ6側にのみ、洗浄槽7及び滅菌槽8を設けた構成となっているが、第1のプローブアレイ5側にも同様に、第1のプローブアレイ5を構成する複数のプローブ50の接触部51を接触させ、まとめて洗浄または滅菌する洗浄槽及び滅菌槽を設けることができる。
【0083】
また、図2(a)では、第2のプローブアレイ6側にのみ、機械洗浄部70を設けた構成となっているが、第1のプローブアレイ5側にも同様に、複数のプローブ50の配列方向に沿って移動可能であり、接触部51に付着した菌体や試薬等を物理的に除去する機械洗浄部を設けることも可能である。
【0084】
このように、操作装置1に、1つのプローブアレイをまとめて洗浄、滅菌、または試薬を付着させることが可能な機構を設けることで、菌体や細胞との接触を伴う操作をより効率よく行うことができる。
【0085】
なお、本発明を適用した操作装置における滅菌の機構としては、上述した内容以外に、例えば、個々のプローブに対して、局所的にUVレーザを照射して滅菌する機構を採用することもできる。
【0086】
また、図2(b)に示すように、特定の菌体を培養したゲル状培地41から菌体を摂取した、プローブ60の1つの接触部に当接して、当該接触部で摂取した菌体または試薬を、その他の接触部に塗布する塗布機構9を設けることもできる。塗布機構9は、プローブ60の接触部を挟んで擦る動きや、回転するブラシ等を採用しうる。また、塗布機構9は、図示しないガイドレール等を介して、複数のプローブ60の配列方向に沿って移動可能に構成されている。なお、ここでいう塗布機構9が、本願請求項におけるプローブ接触部に該当する。
【0087】
ここで、図2(b)では、第2のプローブアレイ6側にのみ、塗布機構9を設けた構成となっているが、第1のプローブアレイ5側にも同様に、複数のプローブ50の配列方向に沿って移動可能であり、1つの接触部51に付着した菌体や試薬等を、他の接触部51に塗布する塗布機構を設けることも可能である。
【0088】
このように、操作装置1に、1つのプローブアレイにまとめて菌体または試薬を塗布する機構を設けることで、菌体や細胞との接触を伴う操作をより効率よく行うことができる。
【0089】
また、操作装置1では、CCDカメラ等の撮像機構を組み合わせた装置とすることもできる。これにより、撮像画像の情報に基づいた位置制御が可能となるため、ステージ部2(マイクロウェルアレイ4)と、プローブアレイ部3との位置合わせに関する精度を、より一層向上させることができる。
【0090】
また、操作装置1では、CCDカメラ等の撮像機構を組み合わせることで、培養状況の観察等を行うことが可能となる。即ち、ステージ部2と、プローブアレイ部3との位置合わせだけでなく、例えば、細胞自体の有無、形状、特定の波長の光照射により識別可能な細胞を判定することで、目的に応じた効率的な運用が可能となる。
【0091】
また、操作装置1は、温度調節機能やUVランプ等の滅菌機構を有する培養槽と組み合わせて使用する態様も考えられる。これにより、菌体や細胞の培養条件を備えた環境下で、対象試料に対する接触操作を伴う処理を行うことが可能となる。例えば、培養槽の内部に操作装置1を配置することができる。
【0092】
また、上述した操作装置1の内容はあくまで一例であり、その他の培養機器または分析機器と組み合わせて操作装置1を使用することができる。
【0093】
以下、さらに、操作装置1を用いた具体的な操作の一例を説明する。
図3では、操作装置1を用いて、マイクロウェルアレイ4の特定のウェルで培養した細胞試料を、同じマイクロウェルアレイ4の複数のウェルに任意のパターンで播種する一連の流れを示している。
【0094】
まず、図3(a)にプローブアレイ部3及びマイクロウェルアレイ4の初期配置の状態を示す。また、マイクロウェルアレイ4のウェル40aには、他のウェルに播種したい特定の細胞試料Aが培養されている。
【0095】
この初期配置の状態から、マイクロウェルアレイ4(ステージ部2)をY軸方向の上方に移動させ(図3(b)中の符号Yで示す方向)、第1のプローブアレイ5において、図中、左から2番目のプローブ50の接触部51と、ウェル40aの位置を合わせる。また、同位置にて、プローブ50をZ軸方向に沿って上下動し、接触部51をウェル40aに接触させ、細胞試料Aをピックアップする(図3(b)参照)。
【0096】
続いて、マイクロウェルアレイ4を、X軸方向の右方及びY軸方向の上方に移動させ(図3(c)中の符号X及び符号Yで示す方向)、細胞試料Aをピックアップした接触部51と、図中、マイクロウェルアレイ4の一番左下のウェル40bの位置を合わせる(図3(c)参照)。
【0097】
そして、ウェル40bを含むY軸方向に沿ったマイクロウェルアレイ4の一番左側の列の各ウェル40の1つずつに、細胞試料Aをピックアップした接触部51の位置が合うように、マイクロウェルアレイ4をY軸方向の下方に移動させる(図3(d)中の符号Yで示す方向)。1つずつのウェル40で、マイクロウェルアレイ4を停止させ、プローブ50をZ軸方向に沿って上下動し、接触部51をウェル40に接触させ、細胞試料Aを播種する(図3(d)参照)。
【0098】
次に、マイクロウェルアレイ4を、X軸方向の右方に移動させ(図3(e)中の符号Xで示す方向)、細胞試料Aが播種された一番左側の列の各ウェル40の位置と、第2のプローブアレイ6の複数のプローブ60の接触部61との位置を合わせる(図3(e)参照)。また、同位置にて、プローブ60をZ軸方向に沿って上下動し、接触部61を各ウェル40に接触させ、細胞試料Aをピックアップする(図3(e)参照)。これにより、複数のプローブ60に、まとめて細胞試料Aが付着した状態となる。
【0099】
さらに、マイクロウェルアレイ4を、X軸方向の左方に移動させ(図3(f)中の符号Xで示す方向)、設定した任意のウェルの位置で、複数のプローブ60でピックアップした細胞試料Aを播種していく(図3(f)参照)。
【0100】
図3(f)に示す例では、図中、マイクロウェルアレイ4における左側から2番目及び4番目の列で、複数のプローブ60のうち、上から1番目、3番目及び5番目のプローブ60をZ軸方向に沿って上下動し、接触部61を各ウェル40に接触させ、細胞試料Aを播種する。また、図中、マイクロウェルアレイ4における左側から3番目及び5番目の列で、複数のプローブ60のうち、上から2番目、4番目及び6番目のプローブ60をZ軸方向に沿って上下動し、接触部61を各ウェル40に接触させ、細胞試料Aを播種する。この結果、マイクロウェルアレイ4の各ウェルには、一番左側の列を除いて、細胞試料Aが千鳥状に播種されたものとなる(図3(f)参照)。
【0101】
なお、図3(a)~(f)で示した細胞試料Aの播種のパターンは任意に設定できるものであり、必ずしも、細胞試料Aが千鳥状に播種される態様に限定されるものではない。また、播種する細胞試料も1種類に限らず、複数の細胞資料を取り扱うことができる。
【0102】
このように、操作装置1を用いて、マイクロウェルアレイ4の多数のウェルに対して、細胞試料を効率良く播種することが可能となる。この操作装置1を用いた操作では、例えば、従前の微小な先端を有するニードルを接触させるコロニーピッキング装置を用いた操作と比べると、一連の作業の効率を格段に向上させることができる。
【0103】
また、図4では、操作装置1を用いて、対象試料の分析操作と、培養操作を繰り返し行うことを模式的に示している。図4に示すように、例えば、微生物試料をマイクロウェルアレイ4で培養して、蛍光タンパクの発現に基づく画像解析を行い(図4の左図参照)、解析後のマイクロウェルアレイ4において、特定の微生物を菌体未接種のウェルに植菌したり、同一のウェルに複数の菌体を接種し共培養(図4の右図参照)したりすることができる。
【0104】
さらに、培養後のマイクロウェルアレイ4において、培養した微生物試料に、プローブアレイ部3により試薬を接触させ、再度、画像解析等の分析操作を行うこともできる。
なお、図4中の符号X及び符号Yで示す矢印は、マイクロウェルアレイ4の移動する方向を示している。
【0105】
このように、同一のマイクロウェルアレイ4において、分析操作と培養操作を繰り返し行うことができ、別途の基板(マイクロウェルアレイ、シャーレ等)に対象試料を移す手間を省略して、実験操作を行うことが可能となる。
【0106】
なお、図4では、分析操作として、蛍光を用いた画像分析を例に挙げたが、分析操作はこれに限定されるものではない。例えば、対象試料の増殖速度の解析や、代謝物の量及び代謝速度等の代謝解析を行うこともできる。
【0107】
また、図5(a)~(c)では、操作装置1を用いて、シャーレに形成したゲルプレート410と、マイクロウェルアレイ4との間で、対象試料を植菌する操作を模式的に示している。
【0108】
図5(a)に示すように、ゲルプレート410上では、複数の微生物コロニー(または細胞組織切片)が培養されている。このゲルプレート410をステージ部(図示省略)に載置して、プローブアレイ部3で、特定の試料のピックアップを行う。
【0109】
例えば、ゲルプレート410をX軸方向またはY軸方向に移動させ、ゲルプレート410のコロニーA及びコロニーBを、第2のプローブアレイ6における2つのプローブ6の接触部61でピックアップする。
【0110】
続いて、ステージ部において、ゲルプレート410をマイクロウェルアレイ4に載せ替え、2つのプローブ60の接触部61でピックアップしたコロニーA及びコロニーBを、それぞれ、ウェル40aまたはウェル40bに植菌する(図5(b)参照)。
【0111】
さらに、図5(c)に示すように、マイクロウェルアレイ4において、プローブアレイ部3を用いて、コロニーA及びコロニーBを、それぞれ、ウェル40cまたはウェル40dに植菌することもできる。
【0112】
また、図5(c)に示すように、第2のプローブアレイ6における全てのプローブ6の接触部61にコロニーAを塗布して、再度、ゲルプレート410上の所望の位置に、コロニーAを植菌することもできる。
【0113】
このように、操作装置1を用いて、シャーレに形成したゲルプレート410と、マイクロウェルアレイ4との間で、対象試料を植菌する操作を行うことが可能である。
【0114】
また、本発明を適用した操作装置1では、複数のプローブによる接触操作により、任意のタイミングで操作対象となるスポットに試薬を添加することができる。例えば、操作対象となるスポットに、複数の化合物(試薬等)を混合して添加する際に、化合物の配合割合を調整した添加作業を容易に行うことができる。
【0115】
その場合、配合割合の調整は、プローブの接触回数で調整する態様や、プローブの内部に、試薬等の注入機構を別途設けて、添加する量を調整する態様が考えられる。このように、本発明の操作装置1は、化合物等、複数の標的同士の混合を効率良く行うことが可能となる。
【0116】
また、例えば、100行×100列のマイクロウェルアレイに、候補群Aと候補群Bを散布して、組合せ試験を実施し(例えば、列ごとに異なる細胞試料と、行ごとに異なる試薬を散布)、最も反応の高い組合せを効率的に探し出す操作も可能となる。
【0117】
[第2の実施の形態]
【0118】
続いて、本発明を適用した操作装置の一例である操作装置1Aについて説明する。なお、操作装置1Aの説明においては、上述した本発明の第1の実施の形態と重複する部材の構造及び機能については詳細な説明を省略する。
【0119】
図6(a)に示す操作装置1Aは、所定の細胞培養器が載置されるステージ部2Aと、複数のプローブ50Aを有するプローブアレイ部3Aを備えている。ここでは、細胞培養器の一例としてマイクロウェルアレイ4を示す。
【0120】
また、ステージ部2Aは、細胞培養器(マイクロウェルアレイ4)を載置可能であり、図示しないステージ駆動機構を介して、マイクロウェルアレイ4をX軸方向及びY軸方向に移動可能に構成されている(図6(a)参照)。また、ステージ部2Aは、ステージ駆動機構を介して、X軸及びY軸のそれぞれと直行するZ軸を中心に、マイクロウェルアレイ4を回動可能に構成されている。
【0121】
また、ステージ駆動機構は、図示しないステージ駆動制御部により、その駆動が制御され、マイクロウェルアレイ4における個々のウェル40の位置と、後述するプローブアレイ部3Aの各プローブ50Aにおける接触部51Aとの位置とを位置合わせ可能に構成されている。
【0122】
第2の実施の形態である操作装置1Aと、上述した第1の実施の形態である操作装置1との違いは、プローブアレイの数が1つ(1軸)となっている点と、ステージ部2AがZ軸を中心に回動可能に構成されている点である。
【0123】
ここで、必ずしも、ステージ駆動機構を介して、ステージ部2Aがマイクロウェルアレイ4をX軸方向及びY軸方向に移動可能、かつ、Z軸を中心に回動可能に構成される必要はない。例えば、ステージ部2Aが固定され、ステージ部2A上のマイクロウェルアレイ4に対して、プローブアレイ部3Aが駆動機構を介して、X軸方向及びY軸方向に移動可能、かつ、Z軸を中心に回動可能に構成されていてもよい。更に、ステージ部2A及びプローブアレイ部3Aの両方が、X軸方向及びY軸方向に移動可能、かつ、Z軸を中心に回動可能に構成された態様であってもよい。
【0124】
また、プローブアレイ部3は、プローブアレイ5Aを有している。プローブアレイ5Aは、X軸方向に沿って、一定のピッチで並べて配置された複数のプローブ50Aで構成されている(図6(a)参照)。また、プローブアレイ5Aは、ステージ部2Aに載置されたマイクロウェルアレイ4のなす面(ステージ部2AのX軸及びY軸のなす面)と略平行な面に設けられている。
【0125】
また、プローブアレイ5Aは、Z軸方向において、駆動する各プローブ50Aが、ゲル状培地41に植菌された細胞等の対象試料に接触可能な高さ位置に設けられている。また、プローブ50Aは、接触部51A(図6(a)参照)と本体部(図示省略)で構成されているなお、プローブアレイ5Aは、上述した第1のプローブアレイ5と同様の構造を有している。
【0126】
以下、さらに、操作装置1Aを用いた具体的な操作の一例を説明する。
図6では、操作装置1Aを用いて、マイクロウェルアレイ4の特定のウェルで培養した細胞試料を、同じマイクロウェルアレイ4の複数のウェルに任意のパターンで播種する一連の流れを示している。なお、図6(a)までの操作装置1A(プローブアレイ5A)による操作の流れは、図3(a)~図3(d)で示した操作装置1(第1のプローブアレイ5)による操作と同様であり、説明を省略する。
【0127】
図6(a)に示すように、ウェル40aに培養された細胞資料Aを、プローブ50Aの接触部51Aでピックアップして、ウェル40bを含む、Y軸方向に沿ったマイクロウェルアレイ4の一番左側の列の各ウェル40の1つずつに、細胞試料Aを播種する。なお、図6(a)に示す符号Yで示す矢印は、マイクロウェルアレイ4(ステージ部2A)がY軸方向に移動する方向を示している。
【0128】
次に、マイクロウェルアレイ4を、Z軸を中心に時計回りに回動動させ(図6(b)中の符号Rで示す方向)、細胞試料Aが播種された一番上側の列の各ウェル40の位置と、プローブアレイ5Aの複数のプローブ50Aの接触部51Aとの位置を合わせる。また、同位置にて、プローブ50AをZ軸方向に沿って上下動し、接触部51Aを各ウェル40に接触させ、細胞試料Aをピックアップする(図6(c)参照)。これにより、複数のプローブ50Aに、まとめて細胞試料Aが付着した状態となる。
【0129】
さらに、マイクロウェルアレイ4を、Y軸方向の上方に移動させ(図6(c)及び図6(d)中の符号Yで示す方向)、設定した任意のウェルの位置で、複数のプローブ50Aでピックアップした細胞試料Aを播種していく(図6(d)参照)。
【0130】
このように、操作装置1Aを用いても、マイクロウェルアレイ4の多数のウェルに対して、細胞試料を効率良く播種することが可能となる。この操作装置1Aを用いた操作では、例えば、従前の微小な先端を有するニードルを接触させるコロニーピッキング装置を用いた操作と比べると、一連の作業の効率を格段に向上させることができる。
【0131】
本発明を適用した操作装置では、数万~数十万オーダーの個別培養試料に対して、植菌、分取、選択的共培養、試薬添加等の微小な試料への接触を伴う操作を、並列的に、かつ、大規模なスケールで行うことができる。
【0132】
これにより、膨大な情報量が取得可能なマイクロアレイ型の分析システムと組み合わせて、分析と培養を数十万オーダーで実施しうる大規模並列培養分析実験系の構築が可能となる。
【0133】
また、マイクロアレイ型の分析システムとの併用だけでなく、細胞切片を乗せたプレートや、シャーレ上で培養する細胞試料または微生物試料に対しても、試料への接触を伴う操作の作業効率を飛躍的に高めることが可能となる。
【0134】
さらに、本発明を適用した操作装置では、微量な試料に対して、適切な操作が可能となるため、例えば、貴重な試薬の微量化や、培地の微量化等を図ることができ、実験操作における運用コストを抑える効果が期待できる。
【0135】
以上のように、本発明の操作装置は、細胞や微生物等の微小な試料を、大規模かつ効率よく培養、操作、及び分析することが可能であり、かつ、微量の試薬等を用いた実験操作も可能なものとなっている。
また、本発明の操作方法は、細胞や微生物等の微小な試料を、大規模かつ効率よく培養、操作、及び分析することが可能であり、かつ、微量の試薬等を用いた実験操作も可能な方法となっている。
【0136】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0137】
1 操作装置
2 ステージ部
3 プローブアレイ部
4 マイクロウェルアレイ
40 ウェル
41 ゲル状培地
42 試薬ゲル
43 殺菌剤ゲル
44 隔壁
5 第1のプローブアレイ
50 プローブ
51 接触部
52 本体部
6 第2のプローブアレイ
60 プローブ
61 接触部
7 洗浄槽
70 機械洗浄部
8 滅菌槽
9 塗布機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6