(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ベリファイシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240326BHJP
G06V 30/00 20220101ALI20240326BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06V30/00 S
(21)【出願番号】P 2021027526
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】513237940
【氏名又は名称】サンネット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】弁理士法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】市川 聡
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-058813(JP,A)
【文献】特表2010-511218(JP,A)
【文献】特開2005-007214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06V 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナロ
グデータ
の文字から、前記アナロ
グデータ
の文字に対応するテキストデータを取得
し、当該テキストデータに対して行われる正誤の確認作業の作業特性を判断するベリファイ
作業特性判断システムであって、
第一次作業者によって
記録される
第一次テキストデータを取得するための第一次テキストデータ取得手段と、
第二次作業者によって
記録される
第二次テキストデータを取得するための第二次テキストデータ取得手段と、
第一次作業者の作業者特性を判断する作業者特性判断手段
を備えたベリファイ
作業特性判断システムであって、
前記第一次テキストデータ取得手段は、
アナロ
グデータ
の文字より取得した画像情報でなる文字イメージデータと
前記文字イメージデータより取得した認識テキストデータとが比較され、
前記認識テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致すると判断されたもの
をそのまま第一次テキストデータ
として取得し、
前記認識テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致しないと判断されたもの
を前記文字イメージデータと一致するよう正され
た状態で第一次テキストデータとされる
として取得し、
前記第二次テキストデータ取得手段は、
前記文字イメージデータと
前記第一次テキストデータとが比較され、
前記第一次テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致すると判断されたもの
をそのまま第二次テキストデータ
として取得し、
前記第一次テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致しないと判断されたもの
を前記文字
イメージデータと一致するよう
修正されて第二次テキストデータ
として取得し、
前記作業者特性判断手段は、
前記第二次テキストデータ取得手段において前記第一次テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致すると判断されたもの
に対して
前記第一次作業者
により正しい
正誤確認が行われたと
判断し、
前記第一次テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致しないと判断されたもの
に対しては前記第一次作業者
により誤った
正誤確認が行われたと
判断し、
前記第一次作業者の誤った
正誤確認は
前記第一次作業者の集中力喪失により生じたものと
判断して
前記集中力喪失が生じた時刻、環境または作業対象に関する情報から前記作業者特性が判断され、
前記第一次作業者の作業に適した時間帯又は作業継続時間についての指針
を、
前記集中力喪失が生じた時刻に応じて判断する作業指針判断手段を備える
ベリファイ
作業特性判断システム。
【請求項2】
請求項1に記載のベリファイ
作業特性判断システムであって、
前記第一次作業者の作業に適した環境についての指針
を、
集中力喪失が生じた環境に応じて判断する作業指針判断手段を備える
ことを特徴とするベリファイ
作業特性判断システム。
【請求項3】
請求項1に記載のベリファイ
作業特性判断システムであって、
前記第一次作業者の作業に適した作業対象についての指針
を、
集中力喪失が生じた作業対象に応じて判断する作業指針判断手段を備える
ことを特徴とするベリファイ
作業特性判断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
データ入力の作業で用いるベリファイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
市場にはテキストデータ化されていない文字(アナログデータの文字)で構成される書類が大量にあるところ、文字情報を記録したり加工したりするには、文字のテキストデータ化が必須である。このため、アナログデータで成る文字情報の正確なテキストデータ化を請け負うサービスが、「データ入力」の名称で、事業として成立している。
【0003】
データ入力の作業として、ベリファイ対象の画像データをもとに、OCR機器(光学式文字認識機器)を用いてテキストデータを取得し、さらに、OCR機器で取得したテキストデータの正誤の確認(ベリファイ)を人間が行う、という方法が採られている。すなわち、ベリファイ対象の画像でデータとOCR機器によって得たテキストデータとを、一つの画面に並べて表示し、ベリファイ作業者がこれを目視により比較し、誤りがあればテキストデータを正す、という方法である。OCR機器によるテキストデータ化の精度は90%以上と高い(対象が手書き文字の場合を除く)。しかし、データ入力のサービスではアナログデータと100%一致するテキストデータを求められるため、現在の技術では、ベリファイ作業者の目視によるベリファイが不要になることは考えにくい。
【0004】
データ入力のサービスでは、ベリファイ対象の情報漏洩を避けるために、伝票等のデータ入力の対象を項目(氏名、生年月日、品名、といった項目)毎に分断する、という策が採られている。分断した項目を、項目の種類についての情報を知らせることなくベリファイ作業者に渡す方法である。
【0005】
ベリファイ対象をこのように分断する結果、属性(数字、アルファベット、漢字、といった文字の種類)が同じもののみ、桁数が同じもののみ、といったようにベリファイの対象を選択することができる。ベリファイ作業にはベリファイの対象によって難易度の高低がある。例えば、文字の桁数が少ない方が作業が容易である。また、数字は種類が少ないために、アルファベットや漢字に比べて作業が容易である。また、アルファベットは英語圏の者でも作業ができるという特徴がある。ベリファイを分断する結果、ベリファイ対象を、ベリファイ作業者の能力等に応じて分配することができるようになった。
【0006】
ベリファイ作業に従事し得る者は、インターネット等の情報ネットワークの発展によって格段に広がったといえる。ベリファイ対象のデータは、インターネット等の情報ネットワークを通じて、作業者の手元に送ることができる。このため、ベリファイ作業は、以前のようにベリファイ対象のコピー(紙に印刷したもの)を手元に置いて行う必要がなくなった。また、ベリファイ作業者は、作業結果のデータを情報ネットワークを用いて管理者に送ることができる。管理者はそのようなデータを保管するとともに、ベリファイ作業者の作業を管理することができる。また、ベリファイ作業を行う場所や時刻は、作業者の都合に合うよう選択できる。
【0007】
ベリファイ対象の分断によってベリファイ対象を文字属性や文字の桁数に応じて分配できるようになったために、ベリファイ能力の低い者であっても、例えば、属性が数字で、かつ、桁数の少ないものを対象にすることによって作業者になり得る。
【0008】
特許文献1には、上記のようなデータ入力作業において、ベリファイ対象の表示方法に関し作業の効率化を図ったシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願では、データ入力における前述の背景技術を活かして、ベリファイ作業者の作業の特性を判断するシステムを提供することを課題とする。
【0011】
ベリファイ作業者の作業の特性が判断される結果、ベリファイ対象として、ベリファイ作業者の作業の特性に応じたものを対象にすることができるシステムを提供することを課題とする。また、作業の特性に応じたベリファイ作業の評価を行うシステムを提供することを課題とする。また、ベリファイ作業に対し、作業の特性に応じたポイントを付与することができるシステムを提供することを課題とする。また、障がいの特性に応じた働き方を可能とせしめ、障がい者の労働の機会を広げることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)第一次作業者による第一次ベリファイと第二次作業者による第二次ベリファイを備え、第一次ベリファイではベリファイ対象より取得した画像情報でなる文字イメージデータが前記文字イメージデータより取得した認識テキストデータと比較されて第一次テキストデータが得られ、第一次テキストデータは、前記認識テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致するデータは前記認識テキストデータがそのまま維持され前記認識テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致しないデータは一致するよう正されて得られ、第二次ベリファイでは前記文字イメージデータは前記第一次テキストデータと比較されて第二次テキストデータが得られ、第二次テキストデータは、前記第一次テキストデータのうち文字イメージデータと一致するデータは前記第一次テキストデータがそのまま維持され前記第一次テキストデータのうち前記文字イメージデータと一致しないデータは一致するよう正されて得られ、前記第二次テキストデータがベリファイ対象テキストデータとされるベリファイシステムであって、前記第一次テキストデータの正誤情報を取得し、前記第一次テキストデータの正誤情報から第一次作業者の作業の特性を判断する作業者特性判断手段を備えるベリファイシステムによって課題を解決する。
(2)前記正誤情報より前記第一次作業者の集中力喪失情報が取得され、前記集中力喪失情報によって第一次作業者の作業の特性が判断されることを特徴とする(1)に記載のベリファイシステムによって課題を解決する。
(3)前記正誤情報により前記第一次作業者の間違えやすい文字に関する情報が取得され、前記間違えやすい文字に関する情報によって第一次作業者の作業の特性が判断されることを特徴とする(1)に記載のベリファイシステムによって課題を解決する。
(4)前記作業者特性判断手段によって判断された作業者特性に応じて得られる作業指針判断手段を備えることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のベリファイシステムによって課題を解決する。
(5)予め定められた、作業者の特性に応じたベリファイ作業の適正な件数又は適正な対象情報と、前記作業者特性判断手段によって判断された作業者特性情報を用いて前記適正なベリファイ作業の件数又は対象を変更する手段を備えることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のベリファイシステムによって課題を解決する。
(6)前記作業者特性判断手段によって判断された作業者特性を評価する手段を備えることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のベリファイシステムによって課題を解決する。
(7)前記正誤情報より前記第一次作業者の行った正しい判断の件数情報を取得する手段を備え、ベリファイ対象毎に予め定めた点数情報と、前記第一次作業者の行った正しい判断の件数情報を用いて、ベリファイ作業を点数化する手段を備えることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載のベリファイシステムによって課題を解決する。
【0013】
第一次テキストデータとは、エントリー作業の結果得られたテキストデータのことである。第一次テキストデータの正誤は、第二次ベリファイ作業すなわち狭義のベリファイ作業によって判明する。狭義のベリファイ作業者が、エントリー作業の結果得られたテキストデータと、これに対応する画像データとを比較し、不一致と判断した場合に、第一次テキストデータは「誤」と判断される。「第一次テキストデータの正誤情報」とは、第一次ベリファイ作業者がそのような誤答をした日時の情報、誤答をした対象文字の情報をいう。
【0014】
集中力喪失情報とは、ベリファイ作業における集中力維持を継続できる時間に関する情報、集中力を維持できる時刻や天候との関係に関する情報、等をいう。
【0015】
作業指針とは、ベリファイ作業に適した時間帯、継続時間、環境、作業対象、といった指針をいう。
【0016】
ベリファイ作業者の特性に応じて、作業者毎に適正なベリファイ作業の件数又は対象を予め定めることにより、効率の良いベリファイ作業を実現できる。また、作業者の特性に応じて、そのような定めを変更することができれば、実情に合わせることができ、一層望ましい。
【0017】
ベリファイ作業者の評価のやり方を、ベリファイ作業者の特性に合ったものにすることにより、ベリファイ作業者の作業意欲の向上、ひいてはベリファイ作業の結果の精度の向上につなげることができる。
【0018】
ベリファイ作業者の作業の対価の判断を、作業者特性に応じて行うことにより、ベリファイ作業者が増えることを期待できる。
【発明の効果】
【0019】
べリファイ対象として、作業者の作業特性に応じたものを対象にできるシステムを提供できる。これにより、ベリファイ対象のレベルを上げることや下げることができ、特性から不向きとされるベリファイ対象を避けるようにできる。これにより、個性ある者の職業の場を増やすことができる。また、労働意欲の維持やアップが実現できる。
【0020】
作業者の作業特性に応じたベリファイ作業の評価を行うシステムを提供できる。これにより作業者の能力向上や下降を具体的に把握でき、作業者の作業能力のさらなる向上のために解決するべき課題を具体的に把握できる。このことは、作業者の教育につながり、教育の結果能力が向上し、ベリファイ作業者をさらに増やすことができる。
【0021】
ここにいう「特性」には、障がい者の障がいによる特性も含まれる。例えば、同じ作業を長時間継続して行うことを得意とするが、対人関係を築くことに問題があるといった特性である。このような特性の者はベリファイ作業には向いている。人と接触せずに作業ができる場所や時間帯に限定して作業を行わせることにより、ベリファイ作業を仕事とすることができる。また例えば、集中力を維持できる間は正確なベリファイ作業ができるが、集中力を維持できる時間が短い、といった特性である。このような特性の者にあっては、細切れに休憩を取るように作業時間を設定することにより、ベリファイ作業を仕事とすることができる。このように障がいの特性に応じた働き方ができることにより、障がい者の労働の機会を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施例1の管理者端末のハードウェア的な構成を示す。
【
図2】実施例1のベリファイシステムの構成を示す。
【
図8】実施例1の集中力喪失時判断プログラムを示す。
【
図10】実施例1の作業計画記録プログラムを示す。
【
図11】実施例2の作業者特性に応じたベリファイ対象判断プログラム1を示す。
【
図12】実施例2の作業者特性に応じたベリファイ対象判断プログラム2を示す。
【
図13】実施例2の作業者特性に応じたベリファイ対象判断プログラム3を示す。
【
図14】実施例3の作業者特性に応じた評価基準の例を示す。
【
図15】ベリファイ対象に応じたポイントの例を示す。
【
図16】実施例5のポイント情報取得プログラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好適な実施形態として実施例1から実施例5を説明する。
実施例1では、作業者特性は集中力喪失情報によって判断される。また、作業者特性判断手段により判断された作業者の作業の特性が、作業者の作業指針の判断に用いられる。
実施例2では作業者特性が、作業者に予め定められた、適正な作業対象又は適正な作業量を変更する手段に用いられる。
実施例3では作業者特性が、作業者を評価する手段に用いられる。
実施例4では、作業者特性は、作業者が間違えやすい文字に関する情報によって判断される。
実施例5では、作業者の作業に応じたポイント情報を取得するシステムを説明する。
【0024】
実施例1から実施例5の説明において、各実施例で共通する内容については実施例1で説明し、実施例2から実施例5では説明を省略した。
【0025】
この明細書における用語の意味内容は次の通りである。
【0026】
「対象書類」とは、ベリファイ対象の記された書類をいう。商品の発注書、顧客名簿、源泉徴収票、等、文字の記載されたあらゆる書類が対象書類となる。
【0027】
「ベリファイ対象」とは、ベリファイする対象をいう。例えば、対象書類が商品の発注書の場合、ベリファイ対象は、発注書に記載された商品名、商品番号、商品の単価、発注数、発注日、等である。
【0028】
「文字イメージデータ」とは、ベリファイ対象である文字の画像データをいう。
【0029】
「認識テキストデータ」は、ベリファイ対象の文字データを解析・認識して得た、文字のテキストデータをいう。「認識テキストデータ」は例えばOCR機器を用いて取得される。
【0030】
「項目」とは、ベリファイ対象の各項目をいう。例えば、氏名、生年月日、マイナンバー、品名、品番、商品名、商品番号、商品の単価、発注数、発注日といったものである。
【0031】
「文字属性」とは、ベリファイ対象の文字の種類であって、例えば、「漢字・かな」、「英数記号」、「数字」といった、文字の種類である。
【0032】
「ベリファイ」とは、テキストデータの内容を確定させることをいう。
【0033】
「ベリファイ作業者」とは、データ内容を確定させるための入力を行う者をいう。明細書において、「ベリファイ作業者」の語は、「(広義の)ベリファイ作業者」と「(狭義の)ベリファイ作業者」の二通りに用いられる。「(広義の)ベリファイ作業者」には「第一次ベリファイ作業者」と「第二次ベリファイ作業者」の二種類がある。「第一次ベリファイ作業者」の行う「第一次ベリファイ」は「エントリー」とも称す。「第二次ベリファイ作業者」の行う「第二次ベリファイ」は「(狭義の)ベリファイ」とも称す。
【0034】
「ベリファイ対象の基本情報」とは、ベリファイ対象の記されていた伝票やベリファイ作業の依頼者の情報といった、ベリファイ対象を特定するための基本的な情報である。
【0035】
「クリックする」とは、PCの画面上でマウスカーソルを動かすポインティングデバイス等のボタンを押下して離す操作をいう。
【0036】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照し説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は、管理者端末1のハードウェア的な構成を表したものである。管理者端末1は、
図1に示すようにシステム全体を制御するための制御部2を備えている。この制御部2には、データバス等のバスライン9を介して、入力装置6、表示装置7、通信制御装置8、記憶装置10が接続されている。
【0038】
制御部2は、CPU3、ROM4、RAM5を備えている。CPU3は、ROM4や記憶装置等の各種記憶部に記憶されたプログラムに従って、各種の情報処理や制御を行う。ROM4は、CPU3が各種制御や演算を行うための各種プログラムやデータが予め格納されたリードオンリーメモリである。RAM5は、CPU3にワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。このRAM5には、本実施形態による各種処理を行うための各種エリアが確保可能になっている。
【0039】
入力装置6には、キーボード、マウス、タッチパネル等が配置される(図示せず)。キーボードには、文字入力のためのキー、数字を入力するためのテンキー、各種機能を実行するための機能キー、カーソルキー、等の各種キーが配置されている。マウスは、ポインティングデバイスであり、表示装置7に表示されたキーやアイコン等をクリックすることで対応する機能の指定を行う入力装置である。タッチパネルは、表示装置7の表面に配置される入力機器で、表示装置7に画面表示された各種操作キーに対応したユーザのタッチ位置を特定し、当該タッチ位置に対応して表示された操作キーの入力を受け付ける。
【0040】
表示装置7は、CRTや液晶ディスプレイ等が使用される。この表示装置には、キーボードやマウスによる入力結果が表示されたり、イメージ情報が表示されたりする。
【0041】
通信制御装置8は、管理者端末1と他のパーソナルコンピュータ等の各種外部電子機器との間をネットワーク接続するための制御装置である。通信制御装置8は、これら各種外部電子機器から管理者端末1にアクセスすることが可能になっており、外部電子機器から検索条件文を入力することができる。
【0042】
記憶装置10は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータ等の各種情報を読み書きするための駆動装置で構成されている。この記憶装置10に使用される記憶媒体としては、主としてハードディスクが使用される。記憶装置10は、データ格納部11、プログラム格納部12、及び図示しないその他の格納部(例えば、この記憶装置10内に格納されているプログラムやデータ等をバックアップするための格納部)等を有する。データ格納部11には、後述の通り本実施形態においてシステムが必要とするデータが格納されている。プログラム格納部12には、後述の通り本実施形態における各種処理プログラムが格納されている。
【0043】
本実施形態の管理者端末1は、コンピュータシステムで構成するだけでなく、LANのサーバ、コンピュータ通信のホスト、インターネット上に接続されたコンピュータシステム等によって構成することも可能である。また、ネットワーク上の各機器に機能分散させ、ネットワーク全体で管理者端末1と同様の構成とすることも可能である。
【0044】
ベリファイシステムは、
図2に示す通り、管理者のコンピュータと、エントリー作業者(第一次ベリファイ作業者)のコンピュータと、ベリファイ作業者(第二次ベリファイ作業者)のコンピュータがネットワークまたはLAN等の情報通信網で接続されている。ベリファイシステムは、コンピュータシステムで構成するだけでなく,LANのサーバ、コンピュータ通信のホスト、インターネット上に接続されたコンピュータシステム等によって構成することも可能である。
【0045】
図1に示す通り、記憶装置10はデータ格納部11とプログラム格納部12とを備える。
データ格納部11は、
(a)作業者情報記録装置、
(b)ベリファイ対象記録装置、
(c)作業状況情報記録装置、
(d)作業者特性情報記録装置、
(e)忌避事項情報記録装置、
(f)作業計画情報記録装置、
(g)評価基準記録装置、
(h)ベリファイ対象に応じたポイント記録装置、を備える。
プログラム格納部12は、
(i)作業開始処理、
(j)作業状況記録処理、
(k)集中力喪失時判断処理、
(l)作業計画記録処理、
(m)ベリファイ対象判断処理、
(n)ポイント情報取得処理、を備える。
【0046】
(a)作業者情報記録装置には、ベリファイ作業者の基本情報(住所地、氏名、性別、年齢、その他の特徴等)が記録されている。また、これまでのベリファイ作業の記録が記録されている。
【0047】
(b)ベリファイ対象記録装置には、ベリファイ対象の基本情報(依頼者情報、対象書類、ベリファイの納品時期、その他の特徴等)が記録されている。また、対象書類の項目毎の文字属性が記載されている。また、ベリファイ作業に用いる文字イメージデータと認識テキストデータが記録されている。
【0048】
(c)作業状況情報記録装置には、
図6に例示する(h)作業状況記録処理のプログラムで得られた作業状況情報が記録されている。作業状況情報は
図7に例示されている。
【0049】
(d)作業者特性情報記録装置には、(c)作業状況情報記録装置に記録された作業状況情報から判断された作業者特性情報が記録されている。作業者特性情報の一つに、(i)集中力喪失時判断処理のプログラムで得られた集中力喪失時に関する作業者特性がある。
【0050】
(e)忌避事項情報記録装置には、作業者特性に応じた忌避事項が列挙された情報が記録されている。忌避事項情報は
図9に例示されている。
【0051】
(f)作業計画情報記録装置には、ベリファイ作業者の行うベリファイ作業についての作業計画の情報が記録されている。例えば、
図10に例示する(j)作業計画記録処理のプログラムで得られた作業計画情報が記録される。
【0052】
(g)評価基準記録装置には、作業者特性に応じた評価基準が列挙されている。作業者特性に応じた評価基準は
図14に例示されている。
【0053】
(h)ベリファイ対象に応じたポイント記録装置には、ベリファイ作業に応じたポイントが列挙されている。ベリファイ作業に応じたポイントは
図15に例示されている。
【0054】
(i)作業開始処理プログラムは、第一次ベリファイの作業開始機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、管理者のコンピュータのCPUが処理する。作業開始処理プログラムは
図5に例示されている。
【0055】
(j)作業状況記録処理プログラムは、作業状況記録機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、管理者のコンピュータのCPUが処理する。作業状況記録処理プログラムは
図6に例示されている。
【0056】
(k)集中力喪失時判断処理プログラムは、集中力喪失時判断機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、管理者のコンピュータのCPUが処理する。集中力喪失時判断処理プログラムは
図8に例示されている。
【0057】
(l)作業計画記録処理プログラムは、作業計画記録機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、管理者のコンピュータのCPUが処理する。作業計画記録処理プログラムは
図10に例示されている。
【0058】
(m)作業者特性に応じたベリファイ対象判断処理プログラムは、作業者特性に応じたベリファイ対象判断機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、管理者のコンピュータのCPUが処理する。作業者特性に応じたベリファイ対象判断処理プログラムは
図11、
図12、
図13に例示されている。
【0059】
(n)ポイント情報取得処理プログラムは、ポイント情報を取得機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、管理者のコンピュータのCPUが処理する。は
図16に例示されている。
【0060】
図3により、ベリファイ作業の流れを説明する。S2とS4で後述する通り、ベリファイは、エントリー作業者によるものと(狭義の)ベリファイ作業者によるものとの、二段階で行われる。両者の行う作業はいずれも(広義の)ベリファイ作業であり、両作業者はいずれも(広義の)ベリファイ作業者ということができる。従って、ここに、エントリー作業者によるベリファイ作業を第一次ベリファイ作業と称し、エントリー作業者を第一次ベリファイ作業者と称する。また同様の趣旨で、(狭義の)ベリファイ作業者によるベリファイ作業を第二次ベリファイ作業と称し、(狭義の)ベリファイ作業者を、第二次ベリファイ作業者と称す。
【0061】
S1:管理者は第一次ベリファイ作業者が行うベリファイの作業画面に、第一次ベリファイ作業の対象データを表示する。
管理者はベリファイ対象の文字を画像データ化し、文字イメージデータaとしてベリファイ対象記録装置(b)に記録する。管理者は、OCRを利用して文字イメージデータaから認識テキストデータbを取得し、ベリファイ対象記録装置(b)に記録する。管理者は、文字イメージデータaと認識テキストデータbを、第一次ベリファイ作業者のコンピュータの作業用ディスプレイに並べて表示する。
【0062】
S2:第一次ベリファイ作業者は第一次ベリファイ作業を行う。第一次ベリファイ作業者は、文字イメージデータaと認識テキストデータbを比較し、文字イメージデータaと認識テキストデータbが同一の場合には認識テキストデータbに手を加えずに、文字イメージデータaと認識テキストデータbが異なる場合には、認識テキストデータbを、文字イメージデータaと同じになるようテキストデータb´に変更して、手を加えなかった認識テキストデータbと変更して得たテキストデータb´とを、第一次ベリファイ作業の結果として作業状況情報記録装置(c)に記録する。
【0063】
S3:管理者は第二次ベリファイ作業者が行うベリファイの作業画面に、第二次ベリファイ作業の対象データを表示する。
管理者は第一次ベリファイ作業の結果として作業状況情報記録装置(c)に記録されたテキストデータ(bとb´)をテキストデータcとして、ベリファイ対象記録装置(b)に記録された文字イメージデータaと共に、第二次ベリファイ作業者のコンピュータの作業用ディスプレイに並べて表示する。
【0064】
S4:第二次ベリファイ作業者は第二次ベリファイ作業を行う。第二次ベリファイ作業者は、文字イメージデータaとテキストデータcを比較し、文字イメージデータaとテキストデータcが同一の場合にはテキストデータcに手を加えずに、文字イメージデータaとテキストデータbが異なる場合には、テキストデータcを、文字イメージデータaと同じになるようテキストデータc´に変更して、手を加えずなかったテキストデータcと変更して得たテキストデータc´とを、第二次ベリファイ作業の結果として作業状況情報記録装置(c)に記録する。
【0065】
S5:第二次ベリファイ作業者は、文字イメージデータaとテキストデータbが異なる場合には、第一次ベリファイ作業に誤りがあった旨を作業状況情報記録層(c)に記録する。
【0066】
S6:管理者は第二次ベリファイ作業の結果として作業状況情報記録装置(c)に記録されたテキストデータ(cとc´)をテキストデータdとして記録する。
ベリファイ作業は終了する。
【0067】
なお、
図3では、一つのベリファイ対象について、S1、S2、S3、S4、S5、S6の順に作業が行われるかのように説明したが、実際にはS1からS2に示す作業が数百件といった件数行われて第一次ベリファイ作業の結果として記録され、その後時間を空けてS3からS6に示す作業が同様に数百件といった件数行われて第二次ベリファイ作業の結果として記録される、という順序で行われる。
【0068】
図4により、実施例1のベリファイシステムの概要を説明する。
ベリファイシステムの管理者はベリファイ作業を行うベリファイ作業者を多数ストックしており、各々のベリファイ作業者の情報を取得し記録している(S7)。また、管理者はベリファイ対象の情報を取得し記録している(S8)。
【0069】
管理者は第一次ベリファイ作業者に第一次ベリファイ作業を指示する。第一次ベリファイ作業者は管理者が管理するシステムを用いてベリファイ作業を行う。第一次ベリファイ作業は、
図3のS1からS2に示す通りに行われる。第一次ベリファイ作業者がベリファイ作業を開始する際には(S9)、第一次ベリファイ作業開始プログラム(
図5)が機能する。第一次ベリファイ作業が開始すると、作業状況記録プログラム(
図6)が機能し、作業状況が取得され記録される(S10)。
【0070】
管理者は第二次ベリファイ作業者に第二次ベリファイ作業を指示する。第二次ベリファイ作業者は管理者が管理するシステムを用いてベリファイ作業を行う。第二次ベリファイ作業は、
図3のS3からS6に示す通りに行われる。第二次ベリファイ作業において、第一次ベリファイ作業の作業結果の正誤情報が取得され記録される(
図3のS5、
図4のS11)。
【0071】
作業状況記録装置(c)に記録された情報に基づき作業者の特性を判断し記録する(S12)。作業者特性の一例が、集中力喪失時に関する特性である(
図8)。作業者特性の他の例が、作業者の間違えやすい文字に関する情報である。作業者特性は、作業計画を作成する際(S13)や、作業者に適切なベリファイ対象の判断の根拠(S14)に用いられる。具体的には次のとおりである。
【0072】
作業計画の作成(S13)において、
図9及び
図10に示す通り。集中力持続時間や正答率の高低の観点から「忌避事項」を列挙しておき、忌避事項に該当する作業は計画できないようにする。
【0073】
作業者に適切なベリファイ対象を判断するにあたり(S14)、作業者の正答率が高くなった場合にはベリファイ作業者の能力が向上したと判断し、ベリファイ対象のレベルを上げる(
図11、
図12)。正答率が低くなった場合にはベリファイ作業者の能力が降下したと判断し、ベリファイ対象のレベルを下げる(
図13)。
【0074】
図5により、ベリファイ作業開始プログラムについて説明する。以下、各実施例において、プログラム処理の主体は、いずれも管理者のコンピュータのCPUである。ベリファイ作業者はインターネット等の情報通信網を介して管理者コンピュータにベリファイ作業を開始する情報を送る。管理者コンピュータのCPUは作業開始の情報(指示)を受け取る(S15)。CPUは、記憶装置の(f)作業計画情報記録装置を参照し作業計画の有無を判断する(S16)。作業計画がない場合には作業を開始する(S20)。作業計画がある場合には作業開始の指示が作業計画に合致するか判断する(S17)。すなわち、例えば作業時刻は作業計画と合致するかどうかといった判断を行う。作業開始の指示が作業計画に合致する場合には作業を開始する(S20)。作業開始の指示が作業計画に合致しない場合には注意喚起する(S18)。具体的には、例えば作業計画に合致しない理由を掲載し、合致するよう改善を求める。CPUは、注意喚起を行った次に、作業計画を変更するか否か、作業者の意思を確認する(S19)。具体的には、例えば作業計画を変更するか否かを問う選択画面を表示し、作業者の回答を取得する。作業者が作業計画を変更しないことを選択した場合、作業を開始する(S20)。作業者が作業計画を変更することを選択した場合、例えば作業変更用の画面を表示し、作業者は作業計画を変更する(省略)。CPUは、再び作業計画を合致するかどうかを確認し(S17)、合致すれば作業を開始する(S20)。ベリファイ作業が開始すると、CPUはその旨を記録し、このプログラムは終了する。
【0075】
図6により、第一次ベリファイ作業の作業状況記録プログラムについて説明する。CPUは作業開始情報を取得すると(S21)、作業を開始した日時を、記憶装置の(c)作業状況情報記録装置に記憶する(S22)。第一次ベリファイが行われると、ベリファイの内容とベリファイ日時を、ベリファイ情報として、c)作業状況情報記録装置に記憶する(S23)。作業が終了すると、CPUは作業者はから作業終了情報を取得する(S25)。CPUは作業終了日時を記録する(S26)。
【0076】
図7に、記録された作業状況情報の例を示す。
「ベリファイ対象番号」と「文字イメージデータa」と「認識テキストデータb」は、ベリファイ対象記録層(b)に記録された情報である。
「開始日時」、「エントリー日時」、「エントリー結果c」は、第一次ベリファイ作業の作業状況記録プログラムによって記録される。
「エントリーに要した時間」は、時間計算用のソフトウェア(図示せず)により「開始日時」と「エントリー日時」より、ベリファイ対象毎に計算される。
【0077】
「ベリファイ結果d」は、第二次ベリファイ作業の作業状況が記録されると記録される(
図3、S6)。第二次ベリファイ作業において、第一次ベリファイ作業に誤りがあった旨の記録がされると(
図3、S5)、
図7の表の「c(誤)→d(正)」のデータと「エントリー正誤」のデータが埋まる。「c(誤)→d(正)」のデータにより、第一次ベリファイ作業者がどのような文字を、どのようにまちがえたかが示される。
【0078】
図8により、集中力喪失時判断プログラムについて説明する。CPUは(c)作業状況情報記録装置に記録された情報から、古い情報から順に誤答を検索し、最も古い誤答情報を取得する(S27)。
【0079】
CPUは(c)作業状況情報記録装置に記録された情報から、S27で取得した誤答の次に起きた誤答の誤答情報を取得する(S28)。CPUはS27からS28の間の経過時間を取得する(S29)。CPUはS29で取得した経過時間が2秒以内か判断する(S30)。経過時間が2秒以内の場合、短時間に誤記が続いているので、「要注意」として(c)作業状況情報記録装置に記録する(S31)。S28からS30を繰り返す。
【0080】
S29で取得した経過時間が2秒を超えた場合、CPUは「要注意」として記録された事項が3回以上か判断する(S26)。「要注意」として3回以上記録されている場合、CPUは、集中力を喪失したと判断し(S33)、判断した時刻をd)作業者特性情報記録装置に記録する(S34)。CPUは、集中力継続時間をd)作業者特性情報記録装置に記録する(S35)。
【0081】
作業者特性に応じた忌避事項を特定し(e)忌避事項情報記録装置に記録する。忌避事項とは、
図9に例示する通りである。例えば、集中力持続時間がN分である場合、作業時間がN分を超えて継続することは忌避事項とする。また例えば、作業者が、N時からМ時には正答率が80%を下回るという作業の特性を備える場合には、作業時間をN時からМ時に設定することを忌避事項とする。また例えば、作業者が記号の入力が苦手という作業特性を備える場合には、ベリファイ対象として記号が含まれたものを設定することを忌避事項とする。また例えば、作業者が気圧の低い日は誤答が多いという作業特性を備える場合、気圧の低い日に作業を開始することを忌避事項とする。また例えば、作業者が周囲に人がいる場所で作業をすると誤答が多いという作業特性を備える場合、周囲に人がいる場所で作業を開始することを忌避事項とする。
【0082】
図10により、作業計画記録プログラムについて説明する。作業計画を作成するにあたり設定しようとする内容が忌避事項に該当するか否かを判断する(S36)。忌避は、(f)作業計画情報記録装置に記録される(S38)。作業計画は、主に管理者が設定する。作業計画を作業者が計画する場合もある。
【実施例2】
【0083】
作業者特性が、作業者に予め定められた、適正な作業対象又は適正な作業量を変更する手段に用いられる例を説明する。
【0084】
図11により、作業者特性に応じたベリファイ対象判断プログラム1について説明する)。作業者に予め定められた適正な作業対象が「けた数4の数字」である場合の例である。ベリファイ作業者は、「けた数4の数字」についてある程度の期間、ある程度の量のベリファイ経験を積んだ結果、「けた数4の数字」については非常に高い精度で正しい判断をできるようになった。そこで、けた数4の「数字」について、1000回継続して正答率が99%より高いか否か判断する(S39)。高い場合には、ベリファイ可能な対象のレベルを上げて、けた数6の「数字」をベリファイ可能な対象に加える(S40)。
【0085】
自己の経験と努力により、ベリファイ対象のレベルが上がることは、作業者にとって自信につながり、また賃金のアップにつながる。この結果労働意欲が上がり、よい循環が生まれることが期待できる。
【0086】
図12により、作業者特性に応じたベリファイ対象判断プログラム2について説明する。作業者に予め定められた適正な作業対象が「けた数8の数字」である場合の例である。「けた数8の数字」について、高い正答率を得た場合には、属性のレベルを「数字」から「英語」の混じった「英数字」に上げることができる。そこで、「けた数8の数字」について、1000回継続して正答率が99%より高いか否か判断する(S41)。高い場合には、属性「英数字」をベリファイ可能な対象に加える(S42)。
【0087】
図13により、作業者特性に応じたベリファイ対象判断プログラム3について説明する。作業者に予め定められた適正な作業対象が「けた数4の英数記号」であったところ、作業者の能力が低下した場合の例である。「けた数4の英数記号」について、1000回継続して正答率が97%より低いか否か判断する(S43)。低い場合には、ベリファイ可能な対象のレベルを下げて、属性「英数記号」をベリファイ可能な対象から外す(S44)。誤答が増えると、ベリファイ作業が仕事として成立しないことになるため、そのような作業者については適正な作業対象のレベルを下げ、また作業量を減らす。
【実施例3】
【0088】
図14により、作業者特性が作業者を評価する手段に用いられる例(実施例3)を説明する。
図14に例示するような、作業者特性に応じた評価基準をパターン化して予め定めておき、本願に係るベリファイシステムによって作業者特性を把握し、作業者特性に応じて作業者を評価する。具体的にはそのような評価を、作業者に対し、インターネットを通じて定期的に伝える。
【0089】
例えば、「同一作業の継続が得意」という特性を持った作業者の場合、誤答なしで継続する時間を長くすることは比較的容易であると考えられる。そこで、例えば「同一作業の継続が得意」という特性を持った作業者には、自信を持たせるために、表に示す通り、誤答なしの時間が長くなったことを評価対象にする。すなわち、Aが最も優れているとするAからEの五段階評価で、誤答なしの時間が8分長くなった場合はA評価、誤答なしの時間が6分長くなった場合はB評価、誤答なしの時間が4分長くなった場合はC評価、誤答なしの時間が3分長くなった場合はD評価、誤答なしの時間が1分長くなった場合はE評価とする。
【0090】
また例えば、「集中力維持時間が短い」という作業者特性を持った作業者の場合、作業時間についてはあまり長い時間を求めることなく、短い時間内での誤答の数が増えることを評価対象にすることにより、作業者に自信を持たせることができる。すなわち、Aが最も優れているとするAからEの五段階評価で、8分間の誤答がゼロ個の場合はA評価、8分間の誤答が1個の場合はB評価、8分間の誤答が2個の場合はC評価、8分間の誤答が3個の場合はD評価、8分間の誤答が4個の場合はE評価とする。
【0091】
また例えば、「数字の3と8を見分けることが苦手」という作業者特性を持った作業者の場合、そのような苦手な点が解消しさえすれば正答率が格段に上昇することが考えられるため、「数字の3の誤答の有無」を評価対象にすることにより、効果のある結果を期待できる。すなわち、Aが最も優れているとするAからEの五段階評価で、100個のベリファイ対象について数字の3の誤答がゼロ個の場合はA評価、100個のベリファイ対象について数字の3の誤答が1から3個の場合はB評価、100個のベリファイ対象について数字の3の誤答が4から6個の場合はC評価、100個のベリファイ対象について数字の3の誤答が7から9個の場合はD評価、100個のベリファイ対象について数字の3の誤答が10から13個の場合はE評価とする。
【実施例4】
【0092】
実施例4では、作業者特性は作業者が間違えやすい文字に関する情報によって判断される。(c)作業状況情報記録装置(
図1)に記録された作業状況情報(
図7)の「c(誤)→d(正)」のデータにより、第一次ベリファイ作業者がどのような文字をどのように間違えたか、という観点でのデータが蓄積される。
【0093】
「c(誤)→d(正)」に蓄積されたデータによって、例えばある作業者に関し「7」を誤って「1」と判断する頻度が高いことが判明した場合があると仮定する。その作業者に対し、「「7」を誤って「1」と判断する頻度が高い」旨を通知し、そのような誤りを起こさないように注意喚起する。
【0094】
また例えば、「9」と「6」と「3」の三つの数字を取り違えて入力するケースが多い場合がある場合は次の通りである。これら三つの数字は、数字入力用のキーボードであるテンキーのくすり指で入力する数字である点が共通するため、その作業者に対し、くすり指で入力する際には注意深く入力する必要がある旨通知し、注意喚起する。
【実施例5】
【0095】
実施例5では、作業者の作業に応じたポイント情報を取得するシステムを説明する。ベリファイ対象に応じてあらかじめポイントを設定し、(h)ベリファイ対象に応じたポイント記録装置(
図1)に記録する。
【0096】
ベリファイ対象に応じたポイントを
図15に例示する。ポイントは次の観点で設定する。OCR機器によるテキストデータ化の精度が高い場合には、ベリファイ作業者が行うべきテキストデータの修正が少なくてすむためポイントを低く設定し、OCR機器によるテキストデータ化の精度が低い場合には、ポイントを高く設定する。この観点で、例えばベリファイ対象が活字の場合、数字のみで成る場合はベリファイ対象1つあたり1ポイント、英語と数字が混在して成る場合はベリファイ対象1つあたり2ポイント、ひらがな・カタカナ・漢字を含んで成る場合(日本語の場合)はベリファイ対象1つあたり3ポイントと定める。また例えばベリファイ対象が手書き文字の場合、数字のみで成る場合はベリファイ対象1つあたり1.5ポイント、英語と数字が混在して成る場合はベリファイ対象1つあたり.3ポイント、ひらがな・カタカナ・漢字を含んで成る場合(日本語の場合)はベリファイ対象1つあたり6ポイントと定める。
【0097】
ポイント情報取得プログラムについて説明する(
図16)。CPUは、作業者から作業終了情報を取得する(S45)。CPUは、(c)作業状況情報記録装置に記録された情報に基づき、当該作業に要した時間を取得し、記録する(S46)。CPUは、(c)作業状況情報記録装置に記録された情報に基づき、当該作業のベリファイ対象情報を取得する(S47)。CPUは、(c)作業状況情報記録装置に記録された情報に基づき、当該作業の間に.作業者が行った正しい判断の件数を取得する(S48)。CPUは、(h)ベリファイ対象に応じたポイント記録装置に記録された情報に基づいてS47で取得したベリファイ対象に応じたポイントを取得し、このポイントにS48で取得した件数を乗じる。乗じて得た値を当該作業のポイント情報として(c)作業状況情報記録装置に記録する(S49)。その後、記録されたポイントは、様々な手段で作業者に知らせることができる。例えば作業終了時に作業者の作業画面に表示する。また、作業者の求めに応じて作業画面に表示する。
【0098】
作業が作業者の能力向上のための訓練である場合、作業のポイント情報は、作業者の能力を表す指標として用いられる。作業者は、ポイントを知ることで、能力向上の契機とすることができる。また、作業が作業者の労働である場合には、ポイント情報は金銭に換算され、作業者の労賃として用いられる。作業者がポイントを知ることにより、労働意欲の向上につながる。