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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 33/10 20060101AFI20240326BHJP
   A01D 27/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A01D33/10
A01D27/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020200382
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088118
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】504352788
【氏名又は名称】オサダ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 大嗣
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】吉村 達也
(72)【発明者】
【氏名】長田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 和晃
(72)【発明者】
【氏名】大宮 秀郷
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-127265(JP,A)
【文献】特開2017-118843(JP,A)
【文献】特開2018-110536(JP,A)
【文献】特開平9-222919(JP,A)
【文献】特開平10-210834(JP,A)
【文献】特開2006-129737(JP,A)
【文献】特開平2-299512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 33/10
A01D 27/00
A01F 12/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の農作物を収穫して搬送する搬送部と、
収穫された前記農作物を収納容器に回収する回収部と、
前記収納容器を保持する保持部を有し、前記収納容器を前記圃場に排出するクレーンと、
前記クレーンを駆動するアクチュエータと、
前記収納容器の排出アシスト機能を開始させる排出アシスト開始スイッチと、
前記アクチュエータの動作を制御して、前記保持部を昇降させると共に、前記保持部を機体から離れる方向または前記機体に近づく方向に横移動させるクレーン制御部とを備え、
前記クレーン制御部は、前記排出アシスト開始スイッチが操作されることにより、前記排出アシスト機能として、前記保持部を前記機体から離れる方向に横移動させた後、前記保持部を上昇させ、その後、前記保持部を下降させるように前記アクチュエータを制御する収穫機。
【請求項2】
前記排出アシスト機能において、前記保持部を横移動させる前に、前記保持部を下降させる請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記保持部は、前記クレーンの前記機体から離れる方向の端部領域に、保持された前記収納容器が前記端部領域を中心に振れ動くことができる態様で設けられ、
前記保持部が前記機体から離れる方向に横移動された後上昇された際に、前記収納容器は前記圃場から離間した状態で振れ動く請求項1または2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記排出アシスト開始スイッチの操作を有効とするか無効とするかに設定することができる排出アシスト有効無効スイッチをさらに備え、
前記クレーン制御部は、前記排出アシスト有効無効スイッチが有効状態に設定された状態において、前記排出アシスト開始スイッチが操作された場合に、前記排出アシスト機能を実行する請求項1から3のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記排出アシスト機能において、前記クレーン制御部は、前記保持部を所定の第一時間前記機体から離れる方向に横移動させた後、前記保持部を所定の第二時間上昇させ、その後、前記クレーンを前記第二時間下降させる請求項1から4のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項6】
前記第二時間を設定する昇降時間調整スイッチをさらに備える請求項5に記載の収穫機。
【請求項7】
前記アクチュエータを駆動するエンジンをさらに備え、
前記排出アシスト機能が実行されている間、前記エンジンの回転数は所定の回転数に固定される請求項5または6に記載の収穫機。
【請求項8】
前記保持部は前記クレーンのアーム部に設けられ、
前記アクチュエータは、前記保持部を昇降させる昇降シリンダと、前記保持部を横移動させるように、前記アーム部を前記機体から離れる方向と近づく方向とに伸縮させる伸縮シリンダとを備える請求項1から7のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項9】
前記保持部は前記クレーンのアーム部に設けられ、
前記アクチュエータは、前記保持部を昇降させる昇降シリンダと、前記保持部を横移動させるように、前記アーム部を前記機体から離れる方向と近づく方向とに伸縮させる伸縮シリンダとを備え、
前記排出アシスト機能において、前記クレーン制御部は、前記保持部を前記機体から離れる方向に横移動させるために前記伸縮シリンダを所定の第一距離だけ伸長させた後、前記保持部を上昇させるために前記昇降シリンダを所定の第二距離だけ伸長させ、その後、前記保持部を下降させるために前記昇降シリンダを前記第二距離だけ収縮させる請求項1から4のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項10】
前記クレーン制御部は、
前記機体に異常が発生している場合、
前記アクチェータを駆動するエンジンが停止している場合、
前記エンジンから伝達される駆動力を変速する主変速装置を変速操作するための主変速レバーが中立位置に操作されていない場合、
前記機体が停止していない場合、
前記農作物の回収作業中である場合、
前記機体が前記圃場に対し水平でない場合、の内、少なくともいずれか一つを含む条件下においては前記排出アシスト機能を実行しない請求項1から9のいずれか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫された農作物を収納容器に回収し、収納容器を排出するクレーンを備える収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、収穫機は、作物(農作物)を収穫し、収穫された収穫作物を収納袋等の収納容器に収納(回収)する。圃場において作物の収穫作業を行う際に、収穫機は、作物を収穫しながら、収穫作物を収納容器に収納していき、収納容器が収穫作物で一杯になると、収納容器を圃場に排出し、別の収納容器に収穫作物を収納していく。収穫機はクレーンを備え、オペレータがクレーンを操作して、収納容器が排出される。具体的には、オペレータは、クレーンを操作して、収納容器を持ち上げた状態で、収納容器を機体から離れる方向に移動させた後、収納容器を圃場の上に降ろすことにより排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-323738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クレーンを操作して収納容器を排出する作業は、繊細なクレーンの操作が必要であり、不慣れなオペレータにとっては、適切に収納容器を排出することが困難である。
【0005】
また、収納容器には収穫作物が収納されており、排出の際に収納された収穫作物を傷めないように、収納容器を圃場の上にゆっくりと降ろす必要がある。収納容器をゆっくりと圃場に降ろすためには、さらに繊細なクレーンの操作が必要となり、また、クレーン自体も、十分な下降速度の調整が可能となるだけの余力が必要となる。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために、収納容器の排出作業を、容易かつ精度良く行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態における収穫機は、圃場の農作物を収穫して搬送する搬送部と、収穫された前記農作物を収納容器に回収する回収部と、前記収納容器を保持する保持部を有し、前記収納容器を前記圃場に排出するクレーンと、前記クレーンを駆動するアクチュエータと、前記収納容器の排出アシスト機能を開始させる排出アシスト開始スイッチと、前記アクチュエータの動作を制御して、前記保持部を昇降させると共に、前記保持部を機体から離れる方向または前記機体に近づく方向に横移動させるクレーン制御部とを備え、前記クレーン制御部は、前記排出アシスト開始スイッチが操作されることにより、前記排出アシスト機能として、前記保持部を前記機体から離れる方向に横移動させた後、前記保持部を上昇させ、その後、前記保持部を下降させるように前記アクチュエータを制御する。
【0008】
このような構成により、収納容器を排出する際に、クレーンに所定の動作を行わせて、収納容器を圃場に排出することを補助することができ、不慣れなオペレータであっても、収納容器の排出作業を、容易かつ精度良く行うことができる。
【0009】
また、前記排出アシスト機能において、前記保持部を横移動させる前に、前記保持部を下降させても良い。
【0010】
クレーンと収納容器とをつなぐ保持部の長さが短すぎると、クレーンが収納容器に引っ張られて、クレーンを適切に動作させることができない場合がある。また、圃場からクレーンまでの高さが不適切であると、収納容器の排出時に、収納容器が適切に圃場に降ろされない場合がある。上記のような構成により、保持部にたるみを持たせてクレーンの動作の妨げとなることを抑制すると共に、保持部の下降に伴って、適切に収納容器を圃場に着地させるように調整することができる。
【0011】
また、前記保持部は、前記クレーンの前記機体から離れる方向の端部領域に、保持された前記収納容器が前記端部領域を中心に振れ動くことができる態様で設けられ、前記保持部が前記機体から離れる方向に横移動された後上昇された際に、前記収納容器は前記圃場から離間した状態で振れ動くことが好ましい。
【0012】
このような構成により、収納容器が揺れ動き(振れ動き)ながら圃場に向けて下降する際に、収納容器が圃場の適切な位置に着地するように、オペレータが収納容器の動きを容易に補助することができ、収納容器の排出作業を、より容易かつ精度良く行うことができる。
【0013】
また、前記排出アシスト開始スイッチの操作を有効とするか無効とするかに設定することができる排出アシスト有効無効スイッチをさらに備え、前記クレーン制御部は、前記排出アシスト有効無効スイッチが有効状態に設定された状態において、前記排出アシスト開始スイッチが操作された場合に、前記排出アシスト機能を実行しても良い。
【0014】
このような構成により、排出アシスト開始スイッチが操作されただけではクレーンの動作が開始されず、排出アシスト開始スイッチを誤って操作する等により、予期せずクレーンの動作が開始されることが抑制される。
【0015】
また、前記排出アシスト機能において、前記クレーン制御部は、前記保持部を所定の第一時間前記機体から離れる方向に横移動させた後、前記保持部を所定の第二時間上昇させ、その後、前記クレーンを前記第二時間下降させても良い。
【0016】
クレーンの動作をクレーンの動作時間で制御することにより、クレーンの動作を緻密に制御することができ、収納容器の排出作業を、より容易かつ精度良く行うことができる。
【0017】
また、前記第二時間を設定する昇降時間調整スイッチをさらに備えても良い。
【0018】
収納容器の大きさや保持部の長さ等によって、収納容器が圃場に着地するタイミングが異なる。上記構成によると、保持部を昇降させる時間を調整することができるため、収納容器が適切に圃場に着地するように、クレーンの動作時間・昇降距離を、収納容器の大きさや保持部の長さ、圃場の状態等に応じて調整することができる。
【0019】
また、前記アクチュエータを駆動するエンジンをさらに備え、前記排出アシスト機能が実行されている間、前記エンジンの回転数は所定の回転数に固定されることが好ましい。
【0020】
アクチュエータはエンジンにより駆動され、アクチュエータの動作量およびこれに依存する保持部の移動量は、エンジンの回転数とクレーンの動作時間により決まる。そのため、エンジンの回転数を固定することにより、クレーンを予定の移動量だけ動作させるためのクレーンの動作時間を容易に決定することができる。その結果、クレーンの動作を容易に制御することができ、収納容器の排出作業を、より容易かつ精度良く行うことができる。
【0021】
また、前記保持部は前記クレーンのアーム部に設けられ、前記アクチュエータは、前記保持部を昇降させる昇降シリンダと、前記保持部を横移動させるように、前記アーム部を前記機体から離れる方向と近づく方向とに伸縮させる伸縮シリンダとを備えても良い。
【0022】
このような構成により、容易にクレーンの動作を制御して、収納容器の移動を制御することができ、収納容器の排出作業を、より容易かつ精度良く行うことができる。
【0023】
また、前記保持部は前記クレーンのアーム部に設けられ、前記アクチュエータは、前記保持部を昇降させる昇降シリンダと、前記保持部を横移動させるように、前記アーム部を前記機体から離れる方向と近づく方向とに伸縮させる伸縮シリンダとを備え、前記排出アシスト機能において、前記クレーン制御部は、前記保持部を前記機体から離れる方向に横移動させるために前記伸縮シリンダを所定の第一距離だけ伸長させた後、前記保持部を上昇させるために前記昇降シリンダを所定の第二距離だけ伸長させ、その後、前記保持部を下降させるために前記昇降シリンダを前記第二距離だけ収縮させても良い。
【0024】
このような構成により、クレーンの動作および収納容器の移動を、クレーンの動作時間で制御するのではなく、アクチュエータである昇降シリンダおよび伸縮シリンダの動作量で直接的に制御することができるため、クレーンの動作をより容易に制御し、収納容器の排出作業を、より容易かつ精度良く行うことができる。
【0025】
また、前記クレーン制御部は、前記機体に異常が発生している場合、前記アクチェータを駆動するエンジンが停止している場合、前記エンジンから伝達される駆動力を変速する主変速装置を変速操作するための主変速レバーが中立位置に操作されていない場合、前記機体が停止していない場合、前記農作物の回収作業中である場合、前記機体が前記圃場に対し水平でない場合、の内、少なくともいずれか一つを含む条件下においては前記排出アシスト機能を実行しない構成としても良い。
【0026】
排出アシスト機能は、機体の状況によっては適切に実行できない場合がある。そのため、所定の条件が成立している場合のみ排出アシスト機能を実行し、所定の条件が成立していない場合には排出アシスト機能を実行しないようにすることが適切である。これにより、適切に排出アシスト機能を実行できない状態で排出アシスト機能が実行されることが抑制され、収納容器の排出作業を、より容易かつ精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】人参収穫機を示す左側面図である。
図2】人参収穫機を示す右側面図である。
図3】運転部を示す平面図である。
図4】人参収穫機を示す背面図である。
図5】排出アシスト機能を実行する機能ブロックを例示する図である。
図6】クレーン操作ボックスの構成を例示する図である。
図7】排出アシスト機能におけるクレーンの動作スケジュールを例示する図である。
図8】排出アシスト機能におけるクレーンの動作を順に説明する図である。
図9】排出アシスト機能におけるクレーンの動作を順に説明する図である。
図10】排出アシスト機能におけるクレーンの動作を順に説明する図である。
図11】排出アシスト機能におけるクレーンの動作を順に説明する図である。
図12】排出アシスト機能におけるクレーンの動作を順に説明する図である。
図13】排出アシスト機能におけるクレーンの動作を順に説明する図である。
図14】排出アシスト機能のフローチャートを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、図1図3に示す、矢印Fの方向を「機体の前方」、矢印Bの方向を「機体の後方」、矢印Lの方向を「機体の左方」、矢印Rの方向を「機体の右方」とする。
【0029】
〔人参収穫機の全体構成〕
まず、図1図3を用いて収穫機の全体構成を説明する。なお、以下の説明では、収穫機の1つである人参収穫機を例に説明する。
【0030】
図1図2は、人参収穫機(「収穫機」に相当)を示す。人参収穫機は、走行機体1(「機体」に相当)と、エンジンEと、運転者が搭乗する運転部2と、圃場から作物(農作物)を引き抜いて機体後方に向けて搬送する搬送部3と、収穫された作物を回収する回収部4と、搬送部3で搬送された作物を回収部4に向けて搬送する後搬送部5と、作物を主部(収穫対象部)とその他の部分(葉部等)とに切断するカッタ6とを備える。
【0031】
走行機体1は、クローラ走行装置7と、クローラ走行装置7に支持される機体フレーム8とを備える。走行機体1上には、支持フレーム9が設けられる。支持フレーム9には、搬送部3等が支持される。
【0032】
運転部2は、走行機体1における右側に偏倚した位置に設けられる。エンジンEは、運転部2の下方に設けられる。搬送部3は、走行機体1における左側に偏倚した位置に設けられる。回収部4は、運転部2の後方に設けられる。後搬送部5は、搬送部3の下方から回収部4まで設けられる。カッタ6は、搬送部3と後搬送部5との間に設けられる。
【0033】
搬送部3は、油圧モータ(図示省略)により搬送駆動される。また、搬送部3は、前下がりに傾斜する状態で設けられる。搬送部3は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心X1周りで揺動して昇降可能に構成される。搬送部3は、搬送部3の前端部に設けられ、圃場の作物の周囲の土を解す土解し刃10と、圃場から作物を引き抜いて機体後方に向けて搬送する搬送ベルト11とを備える。
【0034】
このような構成によれば、走行機体1が前進走行するのに伴って、土解し刃10が圃場に潜り込んだ状態で振動して土解し刃10によって作物の周囲の土が解されながら、搬送ベルト11によって圃場から作物が引き抜かれて機体後方に向けて搬送されることになる。そして、作物がカッタ6によって収穫対象部(以下、単に「作物」とも称す)と葉部等とに切断された後、収穫対象部が後搬送部5に供給されると共に、葉部等が搬送部3の後端部から排出されて圃場に落下することになる。そして、後搬送部5において、収穫対象部が回収部4まで搬送されながら、補助者によって選別されることになる。最終的には、回収部4において、収穫対象部が回収袋(フレキシブルコンテナバッグ)等の収納容器20に回収されることになる。
【0035】
図3に示すように、運転部2には、運転座席13と、フロントパネル14と、サイドパネル15とが設けられる。フロントパネル14には、メータパネル16および操作レバー17等が設けられる。メータパネル16は、エンジン回転数や車速、燃料の残量等の各種情報が表示されるように構成される。操作レバー17は、走行機体1を操向操作すると共に、搬送部3を昇降操作するためのものである。操作レバー17は、フロントパネル14の右端部に配置される。すなわち、操作レバー17は、運転座席13に対して右側に配置される。
【0036】
サイドパネル15には、主変速レバー18および操作パネル19等が設けられる。主変速レバー18は、エンジンEから伝達される駆動力を変速する主変速装置(図示省略)を変速操作するためのものである。操作パネル19は、搬送部3の搬送方向や搬送速度を調整する各種スイッチ等が設けられる。主変速レバー18および操作パネル19は、運転座席13に対して左側に配置される。
【0037】
〔クレーン〕
次に、図1を参照しながら、図4を用いて、収納容器20を排出するクレーンについて説明する。
【0038】
クレーン12は、人参収穫機の右側領域において、回収部4の近傍に設けられる。クレーン12は機体フレーム8や支持フレーム9等に支持されることにより、走行機体1に支持される。クレーン12は、収穫された作物が回収された収納容器20を圃場に排出する際に用いられる。
【0039】
クレーン12は、機体フレーム8に立設される支柱部22と、支柱部22の上端領域に支持されて走行機体1から離れる方向に伸びるアーム部23とを備える。クレーン12は、クレーン12を昇降させる昇降シリンダ25と、クレーン12を伸縮させる伸縮シリンダ26とを備える。昇降シリンダ25は、支柱部22とアーム部23とに亘って設けられ、昇降シリンダ25が伸長することによりクレーン12のアーム部23が上昇し、昇降シリンダ25が収縮することによりアーム部23が下降する。伸縮シリンダ26が伸長することによりアーム部23が走行機体1から走行機体1の横側方に離れる方向に伸び、伸縮シリンダ26が収縮することによりアーム部23が走行機体1に向けて縮む。
【0040】
クレーン12は、アーム部23の遊端側端部領域(「遊端領域」とも称す)である、アーム部23の走行機体から離れる方向の端部領域に、収納容器20を着脱可能に保持する保持部27を備える。保持部27の一端はアーム部23の端部領域に支持され、一端の支持部を中心に揺動することができる。保持部28はチェーン等の変形可能な素材または伸縮可能な素材等で構成され、他端にフック27aを備える。クレーン12は、フック27aを、収納容器20に設けられる被係合部20aに係合させることにより、収納容器20を保持する。
【0041】
なお、回収部4は、後搬送部5により搬送される作物を収納容器20に回収する際に、収納容器20が載置されるテーブルリフト4aを備える。テーブルリフト4aは、圃場に対して水平な使用状態と、走行機体1に沿った収納状態に状態変更することができる。作物を回収する際には、収納容器20は、後搬送部5の終端部分の直下に配置されるように、使用状態のテーブルリフト4a上に載置される。この状態で、後搬送部5により終端部分まで搬送された作物は、後搬送部5の終端部分から収納容器20の内部に落下することにより、収納容器20に回収される。
【0042】
〔排出アシスト機能の装置構成〕
次に、収納容器20を排出する際に、クレーン12があらかじめ定めた所定の動作を行う排出アシスト機能の装置構成について、図4を参照しながら、図5図7を用いて説明する。
【0043】
排出アシスト機能は、作物が回収された収納容器20を圃場に排出する際に、クレーン12に所定の動作をさせることにより、オペレータの負荷を軽減しながら、オペレータが行う収納容器20の排出作業を補助する機能である。
【0044】
まず、排出アシスト機能を実行するための機能ブロックの構成例について説明する。
【0045】
図5図6に示すように、クレーン12を備える収穫機は、排出アシスト有効無効スイッチ30、クレーン操作ボックス31、クレーン制御部32を備える。排出アシスト有効無効スイッチ30は、排出アシスト機能が実行可能な有効状態と、排出アシスト機能が実行できない無効状態とに切り替えることのできるスイッチであり、排出アシスト有効無効スイッチ30が有効状態に切り替えられているときにのみ、排出アシスト機能を実行することができる。排出アシスト有効無効スイッチ30は、任意の位置に設けることができるが、例えば、運転部2のフロントパネル14に設けられる。
【0046】
クレーン操作ボックス31は、走行機体1の後部領域における右側領域に設けられる。クレーン操作ボックス31は、クレーン操作レバー34と排出アシスト開始スイッチ35とを備える。クレーン操作レバー34は、排出アシスト機能が実行されていない際に、手動によりクレーン12を操作するために用いられる。排出アシスト開始スイッチ35は、排出アシスト機能を開始する際に操作されるスイッチであり、ダイヤル機能と押下機能を備える。排出アシスト開始スイッチ35が押下されることにより、排出アシスト機能が開始される。また、排出アシスト開始スイッチ35は、ダイヤルを調整することにより、排出アシスト機能におけるクレーン12の操作量、特にクレーン12(アーム部23)の昇降量を設定することができる。なお、クレーン12の操作量は、排出アシスト開始スイッチ35とは別のスイッチにより行われても良い。クレーン12の操作量を調整するスイッチは、クレーン操作ボックス31に設けられても良いが、運転部2の操作パネル19等に設けられても良い。また、クレーン12の操作量は、クレーン操作ボックス31に設けられる排出アシスト開始スイッチ35等のスイッチと、操作パネル19等の運転部2に設けられるスイッチのいずれでも調整できる構成としても良い。
【0047】
クレーン12は、クレーン12(アーム部23)を昇降あるいは収縮させるためのアクチュエータとして、昇降シリンダ25と伸縮シリンダ26とを備える。昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26はエンジンEにより駆動される。昇降シリンダ25が伸縮することにより、昇降シリンダ25はクレーン12のアーム部23を昇降させることができ、これに伴い、保持部27を圃場に対して昇降させることができる。伸縮シリンダ26が伸縮することにより、伸縮シリンダ26はクレーン12のアーム部23を伸縮させることができ、これに伴い、保持部27を走行機体1に対して左右方向に移動(横移動)させることができる。
【0048】
クレーン制御部32は、CPUやECU等のプロセッサを備える。クレーン制御部32は、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26を制御して、クレーン12のアーム部23を昇降させると共に伸縮させる。排出アシスト機能において、クレーン制御部32は、あらかじめ定められた動作スケジュール38に沿って、クレーン12を動作させる。動作スケジュール38に沿ってクレーン12を動作させることにより、クレーン12は、あらかじめ定められたタイミングで、あらかじめ定められた距離だけ保持部27が昇降および横移動するように動作する。動作スケジュール38は、クレーン12を動作させる距離を、クレーン12を動作させる時間で規定する。そのため、動作スケジュール38は、排出アシスト機能が開始されてからの時間経過に応じて、アーム部23の昇降・伸縮のタイミングと動作時間が設定される。クレーン制御部32は記憶部37を備え、動作スケジュール38は記憶部37に格納される。
【0049】
図7に例示するように、動作スケジュール38は、時間経過に伴う、クレーン12(保持部27)の昇降とその方向、およびクレーン12(保持部27)の横移動とその方向とを、タイムスケジュールとして規定される。なお、排出アシスト機能を実行する際には、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26を駆動するエンジンEの回転数が所定の回転数に固定される。そのため、動作スケジュール38は、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26を動作させる時間を規定することにより、保持部27の昇降距離と横移動距離とがあらかじめ定められる。
【0050】
〔排出アシスト機能におけるクレーン動作〕
次に、排出アシスト機能におけるクレーン12の動作について、図4図5を参照しながら、図7図14を用いて説明する。
【0051】
後搬送部5により搬送され、回収された作物で収納容器20がいっぱいになると(図8に示す状態I)、収納容器20がクレーン12を用いて圃場に排出される。この際、排出アシスト機能を用いることができる。排出アシスト機能を用いる場合には、あらかじめ排出アシスト有効無効スイッチ30が有効状態に切り替えられる(図14のステップ#1)。また、排出アシスト機能を実行する前に、あらかじめ、後述のような、クレーン12のアーム部23を上昇させた後に下降させるために昇降シリンダ25を伸縮させる時間(後述の上昇時間T3および下降時間T4)が設定される。この時間は、排出アシスト開始スイッチ35のダイヤルを回動することにより調整することができる。昇降シリンダ25を伸縮させる時間は、伸長および収縮において同じ時間である(図14のステップ#2)。
【0052】
次に、時間t0において、排出アシスト開始スイッチ35が操作されて排出アシスト機能が開始される(図14のステップ#3)。排出アシスト機能が実行される際には、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26を駆動するエンジンEの回転数が所定の回転数、例えば2000rpmに固定され、排出アシスト機能が開始される。なお、エンジンEの回転数は任意の回転数に固定されれば良いが、2000rpmとすることにより、回転数を低く抑えながら、DPF(Diesel particulate filter)を適切に動作させることができる(図14のステップ#4)。
【0053】
排出アシスト機能においては、まず、クレーン制御部32は、動作スケジュール38に則って、時間t0から時間t1までのあらかじめ設定された下降時間T1、昇降シリンダ25を収縮させるように制御して、クレーン12のアーム部23を下降させる。これにより、クレーン12の保持部27(アーム部23の遊端領域)は、圃場に対して、下降時間T1に対応するあらかじめ定められた所定の距離だけ下降し、保持部27はたわむ(ゆるむ)。例えば、下降時間T1は2秒であり、下降される距離は30cmである(図14のステップ#5・図9に示す状態II)。
【0054】
次に、クレーン制御部32は、動作スケジュール38に則って、時間t1から時間t2までの、例えば、0.1秒間、クレーン12を停止させる。その後、クレーン制御部32は、動作スケジュール38に則って、時間t2から時間t3までのあらかじめ設定された伸長時間T2(「第一時間」に相当)、伸縮シリンダ26を伸長させるように制御して、クレーン12のアーム部23を伸長させる。これにより、クレーン12の保持部27(アーム部23の遊端領域)は、走行機体1から離れる方向に、伸長時間T2に対応するあらかじめ定められた所定の距離だけ横移動する。ここで、クレーン12を停止する期間を必ずしも設ける必要はないが、この停止期間により、オペレータはクレーン12の動作の切り替わりを確認でき、オペレータは次の作業の準備の目安とすることができる。また、先に、アーム部23が下降されて、保持部27がたわまされているため、アーム部23が伸長して保持部27が引っ張られても、引っ張られる距離がたわみにより吸収されて、適切にアーム部23が伸長される。例えば、伸長時間T2は7秒であり、横移動される距離は80cmである(図14のステップ#6・図10に示す状態III)。
【0055】
次に、クレーン制御部32は、動作スケジュール38に則って、時間t3から時間t4までの、例えば、0.1秒間、クレーン12を停止させる。その後、クレーン制御部32は、動作スケジュール38に則って、時間t4から時間t5までの上昇時間T3(「第二時間」に相当)、昇降シリンダ25を伸長させるように制御して、クレーン12のアーム部23を上昇させる。これにより、クレーン12の保持部27(アーム部23の遊端領域)は、圃場から離れる方向に、上昇時間T3に対応する所定の距離だけ上昇する。
【0056】
アーム部23の上昇に伴い、収納容器20はアーム部23に引っ張られてテーブルリフト4aを離れ、アーム部23の保持部27が支持された部分(アーム部23の遊端領域)を中心に、収納容器20は圃場からも離間して揺れ動く(図14のステップ#7・図11に示す状態IV)。
【0057】
次に、クレーン制御部32は、動作スケジュール38に則って、時間t5から時間t6までの下降時間T4(「第二時間」に相当)、昇降シリンダ25を収縮させるように制御して、クレーン12のアーム部23を下降させる。
【0058】
なお、上昇時間T3と下降時間T4とは、上昇時間T3の上昇の間に収納容器20がテーブルリフト4aおよび圃場から離間し、下降時間T4の下降に伴って収納容器20が圃場に着地できるように、時間t0から時間t1までの下降時間T1を考慮して決定される。例えば、上昇時間T3および下降時間T4は1.5秒であり、排出アシスト開始スイッチ35により、0.5秒以上2.5秒以内の間で0.5秒刻みで調整される。また、上述のように、上昇時間T3と下降時間T4とは同じ時間としても良いが、上昇時間T3と下降時間T4とは異なる時間とされても良く、その場合、それぞれの時間が別々に設定できる構成とされても良い。また、上昇時間T3および下降時間T4の調整は、排出アシスト開始スイッチ35とは別の昇降時間調整スイッチ(図示せず)により調整されても良い。
【0059】
クレーン12のアーム部23が下降される間も、収納容器20は揺れ動く。その間に、オペレータは、収納容器20を圃場の排出位置の上方に導くように支え、そのまま、アーム部23が下降して収納容器20が圃場に着地するまで支える。これにより、オペレータは、クレーン12の操作を行うことなく、動作スケジュール38に則って稼働するクレーン12の動きに合わせて、収納容器20の動きを簡単に補助するだけで、収納容器20を圃場の所定の位置に精度良く排出することができる。つまり、収納容器20が揺れ動きながら下降して圃場に着地するまでに、収納容器20の揺れ動きを利用して収納容器20を圃場の所定の位置の上方に保持し、そのまま収納容器20を圃場の所定の位置に着地させることにより、収納容器20の排出作業を、容易かつ精度良く行うことができる(図14のステップ#8・図12に示す状態V)。
【0060】
なお、時間t0から時間t1において、アーム部23を適切な距離だけ下降させることにより、収納容器20の上昇中に収納容器20が圃場に接地せずに揺れ動き、その後、収納容器20が下降することにより、収納容器20を圃場に着地させることができる。つまり、収納容器20が適切に揺れ動いた後、収納容器20が着地するまで下降されるように、時間t0から時間t1において、アーム部23の位置が適切に制御される。
【0061】
最後に、クレーン12の保持部27から収納容器20の被係合部20aを外し、クレーン12から収納容器20を開放することにより、収納容器20の排出作業が完了する(図14のステップ#9・図13に示す状態VI)。その後、フック42に保持されていた、作物が回収されていない収納容器20を回収部4に配置すると共にクレーン12の保持部27に装着し、排出アシスト有効無効スイッチ30を無効状態にして、収穫作業走行を再開させる。
【0062】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、排出アシスト機能の実行中に、オペレータや周囲の者に排出アシスト機能の実行中であることを知らせる、警告が行われても良い。警告は、例えば、クレーン制御部32の制御により行われる。また、警告は、任意の構成で行われることができるが、例えば、走行機体1に設けられるスピーカー41からブザーや音声が吹鳴される構成でも良く、メータパネル16に文字が表示される構成であっても良い。なお、スピーカー41による警告は、その他の場合にも行われ得るが、排出アシスト機能の実行中に吹鳴されるブザーは、他の場合に吹鳴されるブザーと区別できる音にすることが好ましい。
【0063】
(2)上記各実施形態において、所定の条件が成立している場合にのみ、アシスト機能が実行される構成としても良い。この場合、アシスト機能は、所定の条件が成立していない場合、排出アシスト開始スイッチ35が操作されてもアシスト機能が開始されない。
【0064】
所定の条件としては、排出アシスト有効無効スイッチ30が有効状態に切り替えられていることの他に、各種の異常が発生していないこと、エンジンEが始動中であること、主変速レバー18が中立位置に操作されていること、車体(走行機体1)が停止していること、非作業中であること、走行機体1が水平であること等である。
【0065】
人参収穫機は、走行機体1の状態を検出し、各種の異常を検知するセンサが設けられる。各種の異常が発生していないこととは、この様な各種のセンサが異常を検知していない状態である。異常がある場合は適切な排出アシスト機能が実行されない場合もあるため、各種の異常が発生していないことを条件に排出アシスト機能を実行することにより、適切に排出アシスト機能を実行するができる。
【0066】
また、クレーン12は、エンジンEにより駆動される。そのため、エンジンEが始動中であることを条件に排出アシスト機能を実行することにより、排出アシスト機能を精度良く実行するができる。
【0067】
収納容器20は圃場に排出されるため、走行機体1が走行していると、適切に収納容器20の排出を行うことができない場合がある。そのため、排出アシスト機能を実行するための条件として、車体が停止していることが含まれる。また、車体が停止されるためには、主変速レバー18が中立位置に操作されている必要がある。そのため、排出アシスト機能を実行するための条件として、主変速レバー18が中立位置に操作されていることが含まれる。
【0068】
ここで、車体が停止しているとは、車速が0である場合のみならず、車速が所定の速度以下、例えば、0.1m/s以下である場合を含めても良い。なお、車速は、図示しない任意の車速センサにより計測することができる。
【0069】
収納容器20が排出される際には、作物の回収を行うことができない。そのため、排出アシスト機能を実行するための条件として、非作業中であることが含まれる。
【0070】
走行機体1が傾斜していると、適切に収納容器20の排出作業を行うことができない。そのため、排出アシスト機能を実行するための条件として、走行機体1が水平であることが含まれる。なお、水平とは、走行機体1の圃場に対する傾きが所定の角度以内、例えば、走行機体1の左右方向に3°以内であることをいう。
【0071】
さらに、排出アシスト開始スイッチ35が操作された際に、上記条件が成立していない場合、排出アシスト機能が実行されないと共に、所定の警告が行われても良い。警告は、任意の構成で行われることができるが、例えば、走行機体1に設けられるスピーカー41からブザーや音声が吹鳴される構成でも良く、メータパネル16に文字が表示される構成であっても良い。また、音声や文字の表示において、具体的に成立していない条件を提示する形態で警告が行われても良い。
【0072】
(3)上記各実施形態では、エンジンEの回転数を所定の回転数に固定して動作時間で制御することにより、クレーン12の保持部27を昇降させ、横移動させる移動量が制御されたが、回転数を固定することなく、任意の回転数で、クレーン12の保持部27の移動量が制御されても良い。この場合、エンジンEの回転数とクレーン12の保持部27の移動量との関係から、クレーン制御部32は、クレーン12の保持部27を昇降・横移動させる時間を調整し、所定の移動量だけ昇降・横移動させるようにアクチュエータの動作時間を制御する。
【0073】
このように、クレーン制御部32は、エンジンEの回転数に応じて、クレーン12が所定の移動量だけ動作するようにアクチュエータの動作時間を制御することにより、エンジンEの回転数を所定の回転数に固定しなくても、適切にクレーン12の動作を制御することができる。そのため、より容易にクレーン12の動作を制御し、収納容器20の排出作業を、精度良く行いながら容易に行うことができる。
【0074】
(4)上記各実施形態において、クレーン12の保持部27を昇降させ、横移動させる移動量は、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26の駆動時間で制御する構成に限らず、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26の伸縮距離で制御しても良い。この場合、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26に、伸縮距離を計測するセンサ(図示せず)が設けられる。このような構成により、エンジンEの回転数に依存することなく、保持部27を昇降させ、横移動させる移動量を容易にかつ精度良く制御することができる。
【0075】
すなわち、昇降シリンダ25を伸縮させると、昇降シリンダ25が伸縮する距離に応じた距離だけ、保持部27は昇降する。同様に、伸縮シリンダ26を伸縮させると、伸縮シリンダ26が伸縮する距離に応じた距離だけ、保持部27は横移動する。そのため、排出アシスト機能における保持部27の昇降距離、および横移動距離を、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26の駆動時間ではなく、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26の伸縮距離により制御することができる。
【0076】
具体的には、図7に示す動作スケジュール38において、クレーン制御部32は、時間t0から時間t1に、昇降シリンダ25を下降時間T1だけ収縮させる制御に代わり、昇降シリンダ25を所定の距離だけ収縮させる制御を行う。また、クレーン制御部32は、時間t2から時間t3に、伸縮シリンダ26を伸長時間T2だけ伸長させる制御に代わり、伸縮シリンダ26を所定の距離(「第一距離」に相当)だけ伸長させる制御を行う。また、クレーン制御部32は、時間t4から時間t5に、昇降シリンダ25を上昇時間T3だけ伸長させる制御に代わり、昇降シリンダ25を所定の距離(「第二距離」に相当)だけ伸長させる制御を行う。また、クレーン制御部32は、時間t5から時間t6に、昇降シリンダ25を下降時間T4だけ収縮させる制御に代わり、昇降シリンダ25を所定の距離(「第二距離」に相当)だけ収縮させる制御を行う。
【0077】
(5)上記各実施形態において、クレーン12は、昇降シリンダ25および伸縮シリンダ26に限らず、他のアクチュエータを備えても良い。この場合、アクチュエータは、クレーン12の保持部27を圃場に対して昇降させると共に、保持部27を走行機体1に対して左右方向に移動(横移動)させることができる構成であれば良い。
【0078】
(6)排出アシスト機能は上述のようなハードウェアで実施されても良いが、任意の機能ブロックまたは方法により実施されても良く、一部または全部の機能をソフトウェアで実施されても良い。例えば、クレーン制御部32は、一部または全部の機能がソフトウェアで実施されても良い。排出アシスト機能を実行するプログラムは、記憶部37等の所定の記憶装置に格納され、クレーン制御部32等が備える任意のプロセッサにより実行される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、人参収穫機や大根収穫機を始め、作物を収穫すると共に収納容器に収穫した作物を回収し、クレーンで収納容器を排出する各種の収穫機に適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
3 搬送部
4 回収部
12 クレーン
20 収納容器
23 アーム部
25 昇降シリンダ(アクチュエータ)
26 伸縮シリンダ(アクチュエータ)
27 保持部
30 排出アシスト有効無効スイッチ
32 クレーン制御部
35 排出アシスト開始スイッチ
E エンジン
T2 伸長時間(第一時間)
T3 上昇時間(第二時間)
T4 下降時間(第二時間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14