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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】子宮頸がんの治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/12 20060101AFI20240326BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K39/12 ZNA
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P43/00 121
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022564262
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 KR2021005237
(87)【国際公開番号】W WO2021215896
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】63/015,076
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516351304
【氏名又は名称】ジェネクシン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENEXINE, INC.
【住所又は居所原語表記】172 Magokjungang-ro, Gangseo-gu, Seoul 07789 REPUBLIC OF KOREA
(73)【特許権者】
【識別番号】520434824
【氏名又は名称】エムエスディー インターナショナル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スン, ヨン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ウ, ジュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジョン スプ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, ジン ウォン
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/175676(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/144775(WO,A1)
【文献】Critical Reviews in Oncology / Hematology,2018年,Vol. 128,pp. 30-42
【文献】Cancer Treatment Reviews,2019年,Vol. 78,pp. 8-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮頸がんを予防または治療するための製薬学的組成物であって、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)ワクチンおよびチェックポイント阻害剤を含み、
前記HPVワクチンは、配列番号15のポリヌクレオチドまたは配列番号15に対して95%以上の配列同一性を有する変異体を含むHPVワクチンを含み、
前記変異体が、細胞免疫反応を誘導し、
前記チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、製薬学的組成物。
【請求項2】
前記HPVワクチンの用量は、0.5mg~5mgである、請求項に記載の製薬学的組成物。
【請求項3】
前記HPVワクチンは、筋肉内注射用である、請求項に記載の製薬学的組成物。
【請求項4】
前記チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項5】
前記HPVワクチンは、配列番号15のポリヌクレオチドまたは配列番号15に対して95%以上の配列同一性を有する変異体を含むHPVワクチンを含み、
前記変異体が、細胞免疫応答を誘導し、
前記チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブである、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項6】
前記チェックポイント阻害剤の用量は、50mg~500mgである、請求項に記載の製薬学的組成物。
【請求項7】
前記チェックポイント阻害剤は、静脈内注射用である、請求項に記載の製薬学的組成物。
【請求項8】
前記HPVワクチンおよび前記チェックポイント阻害剤は、複数回投与される、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項9】
前記HPVワクチンおよび前記チェックポイント阻害剤は、同時に、別々に、または順次に投与される、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項10】
前記HPVワクチンは、1、2、4、7、13、および19週目に、およびさらに選択的に46週目に投与される、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項11】
前記チェックポイント阻害剤は、3週間隔で投与される、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項12】
前記子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである、請求項11に記載の製薬学的組成物。
【請求項13】
前記子宮頸がんは、転移性、再発性、または進行性がんであり、前記子宮頸がんを予防または治療するための対象体は、抗がん治療を受けたことがあるか、受けている、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項14】
前記HPVは、HPV16、HPV18、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項15】
前記子宮頸がんを予防または治療するための対象体は、PD-L1陽性またはPD-L1陰性である、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項16】
前記HPVは、HPV16であり;前記子宮頸がんを予防または治療するための対象体は、PD-L1陽性である、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項17】
前記子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんである子宮頸がんであり;前記HPVは、HPV16であり;および/または前記子宮頸がんを予防または治療するための対象体は、PD-L1陽性である、請求項1に記載の製薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus,HPV)誘導がんを予防または治療するための(a)ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)ワクチン;および(b)チェックポイント阻害剤を含む製薬学的組成物およびヒト乳頭腫ウイルス(HPV)感染によって誘発された子宮頸がんの治療に関する。
【背景技術】
【0002】
持続的ウイルス感染は、たびたびウイルス特異的CD8 T細胞の機能的不活性化を誘導して、増殖し、免疫刺激サイトカインを生成し、ウイルス感染細胞を溶解させる能力を損傷させる。子宮頸がんは、全世界的に女性のがん死亡の主な原因の1つであり、事例の約75%が最も頻度の高い高危険ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)類型、すなわちHPV16およびHPV18への持続的感染によって誘発される。HPV持続性は、一般的に立証可能なHPV特異的T細胞免疫の欠如と関連しており、前悪性および悪性患者で発見されたウイルス特異的T細胞は、一般的に機能不全であり、時には、さらに抑制性であると報告される。これらの発見は、ウイルス特異的T細胞の機能障害がHPV誘導子宮頸がんの出現と関連があることを示唆する。
【0003】
子宮頸がんは、高危険HPV感染、ウイルス持続性、持続感染細胞の前悪性病変へのクローン性増殖および分化、および浸潤性がんへの漸進的変形の過程を通じて発生する。
【0004】
世界保健機関(WHO)によれば、子宮頸がんは、女性のがんの中で4番目に多いがんであり、2018年に570,000件と推定される新しい事例が発生し、これは、全体女性がん死亡の7.5%を占める。前悪性子宮頸部上皮内新生物2および3(CIN2および3)、特にHPV16に対して陽性の新生物が浸潤性がんに発展する確率が略30%である高危険病変として見なされる。したがって、持続的HPV感染の重症合併症を予防し、HPV関連新生物を根絶できる効果的な治療ワクチンに対する緊急の必要性がある。
【0005】
HPV E6およびE7タンパク質は、腫瘍抑制タンパク質であるp53および網膜芽細胞腫(pRb)それぞれに結合し、分解を促進することによって、ウイルス腫瘍タンパク質として作用する。これらのウイルス腫瘍タンパク質は、これらのタンパク質が腫瘍形成を誘導するだけでなく、HPV感染した前悪性および悪性細胞で構成的に発現するので、CIN2/3および子宮頸がんに対する治療ワクチンに対する理想的な標的セットである。子宮頸部病変の退行は、体液性でなく、細胞性免疫反応の存在と関連があるので、強力なE6/E7特異的T細胞免疫を選択的に誘導できる治療ワクチンが非常に好ましい。
【0006】
HPVによって誘発された子宮頸がんの効果的な予防/治療を提供するために進行中の努力の1つとして、(1)HPV16のE6タンパク質のN末端部分、(2)HPV16のE6タンパク質のC末端部分、(3)HPV16のE7タンパク質のN末端部分、(4)HPV16のE7タンパク質のC末端部分、(5)HPV18のE6タンパク質のN末端部分、(6)HPV18のE6タンパク質のC末端部分、(7)HPV18のE7タンパク質のN末端部分、および(8)HPV18のE7タンパク質のC末端部分から選択された3個以上のアミノ酸配列を含み、この融合タンパク質は、p53に結合しないか、HPV16またはHPV18のE6タンパク質と二量体を形成せず、融合タンパク質は、pRbに結合しないか、HPV16またはHPV18のE7タンパク質と二量体を形成しない融合タンパク質が、同時係属中の米国出願番号15/503,997に記述されている。同時係属中の米国出願番号15/503,997の全体内容は、参照として本願に含まれる。
【0007】
HPV類型16および18に由来するE6およびE7の3D構造を変換させるように構成された融合ポリペプチド、および免疫エンハンサーペプチドを含む融合タンパク質、および融合タンパク質をコード化するポリヌクレオチドは、共同係留中の米国出願番号13/816,716に開示される。同時係属中の米国出願番号13/816,716の一つの例示具現例による融合タンパク質は、HPV類型16および18に由来するE6およびE7の3D構造を変換させるために組み換えられた融合ポリペプチドを含むことができる。より具体的に、融合ポリペプチドは、HPV類型16に由来するE6タンパク質の1番目~85番目のアミノ酸、E7タンパク質の1番目~65番目のアミノ酸、E6タンパク質の71番目~158番目のアミノ酸、E7タンパク質の51番目~98番目のアミノ酸、HPV類型18に由来するE6タンパク質の1番目~85番目のアミノ酸、E7タンパク質の1番目~65番目のアミノ酸、E6タンパク質の71番目~158番目のアミノ酸、E7タンパク質の51番目~105番目のアミノ酸が順に結合した融合ポリペプチドである。同時係属中の米国出願番号13/816,716の一具現例において融合ポリペプチドおよび免疫エンハンサーペプチドをコード化する核酸分子に関連する。例示的免疫エンハンサーペプチドとしては、CD40リガンド、Flt3リガンド、フラジェリン、および/またはOX40が挙げられる。融合タンパク質、最適シグナル配列(例えば、tPa)、および免疫エンハンサーペプチド(例えば、Flt3リガンド)をコード化するポリヌクレオチドの具現例は、同時係属中の米国出願番号13/816,716の実施例1を参照して製造することができる。同時係属中の米国出願番号13/816,716の全体内容は、参照として本願に含まれる。
【0008】
身体固有の免疫系を向上させて、身体ががん細胞に対する免疫反応を増幅させることができるようにする免疫療法は、免疫系ががん細胞を発見して攻撃することができるように免疫系が作動する方式を増進させたり変更することができる。
【0009】
がん治療法についてチェックポイント阻害抗体を使用した研究は、以前にはがん治療に対して耐性を有すると見なされたがんにおける先例のない反応率を発生させた。CTLA-4、PD-1およびPD-L1に対する拮抗作用チェックポイント遮断抗体を使用した治療法は、がんおよび他の疾患に対する免疫療法の最も有望な新しい方案の1つである。大多数の抗がん剤とは対照的に、チェックポイント阻害剤は、腫瘍細胞を直接に標的化せず、かえって免疫系の内因性抗腫瘍活性を向上させるために、リンパ球受容体またはそれのリガンドを標的とする。免疫チェックポイント抗体は、主に罹患した細胞、組織または病原体に対する免疫反応を調節することによって作用するので、それは、他の治療方式、例えば、抗体薬物コンジュゲートの抗腫瘍効果を向上させるために抗体薬物コンジュゲートとともに使用できる。
【0010】
プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)(CD279としても知られている)は、B細胞およびNK細胞で発現する、免疫グロブリンスーパーファミリーの細胞表面膜タンパク質をコード化する。抗PD1抗体は、黒色腫、非小細胞肺がん、膀胱がん、前立腺がん、大腸がん、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん、白血病、リンパ腫および腎細胞がんの治療に使用されてきた。例示的抗PD1抗体としては、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)(KEYTRUDA、MERCK)、ニボルマブ(nivolumab)(BMS-936558,BRISTOL-MYERS SQUIBB)、セミプリマブ(cemiplimab)(LIBTAYO)、およびピディリズマブ(pidilizumab)(CT-011,CURETECH LTD.)が挙げられる。
【0011】
プログラム細胞死1リガンド1(PD-L1)(CD274としても知られている)は、活性化T細胞、B細胞、骨髄細胞およびマクロファージで発見されるPD-1に対するリガンドである。PD-1とPD-L1の複合体は、CD8+ T細胞の増殖を阻害し、免疫反応を減少させる。抗PD-L1抗体は、非小細胞肺がん、黒色腫、大腸がん、腎細胞がん、膵臓がん、胃がん、卵巣がん、乳がん、および血液がんの治療に使用されてきた。例示的抗PD-L1抗体としては、MDX-1105(MEDAREX)、デュルバルマブ(durvalumab)(MEDI4736,MEDIMMUNE)、アベルマブ(avelumab)(BAVENCIO)、アテゾリズマブ(atezolizumab)(TECENTRIQ、MPDL3280A、GENENTECH)およびBMS-936559(BRISTOL-MYERS SQUIBB)が挙げられる。
【0012】
細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)(CD152としても知られている)は、また、T細胞上で排他的に発現する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA-4は、T細胞活性化を阻害する作用をし、ヘルパーT細胞活性を阻害し、調節T細胞免疫抑制活性を向上させると報告される。例示的抗CTLA4抗体としては、イピリムマブ(ipilimumab)(Bristol-Myers Squibb)およびトレメリムマブ(tremelimumab)(PFIZER)が挙げられる。
【0013】
ペムブロリズマブ(KEYTRUDA、Merck and Co.Inc.)は、FDA承認テストによって測定される非化学療法中にまたは後に、腫瘍がPD-L1(CPS ≧1)を発現する疾患に進行する再発性または転移性子宮頸がん患者に対して最近承認された。主要な効能結果は、盲検下独立中央判定によって評価されるところ、RECIST 1.1による客観的反応率(ORR)、および反応期間であった。11.7ヶ月の追跡時間中央値で、77人の患者でORRが14.3%(95%CI:7.4、24.1)であり、2.6%完全反応および11.7%部分反応を含む。独立判定によって応答した11人の患者に基づて推定された反応期間中央値は到達せず(範囲4.1、18.6+ヶ月);91%は、6ヶ月またはそれ以上の反応期間を有した。腫瘍がPD-L1発現を示さない患者では反応が観察されなかった(CPS 1)。臨床実験(KEYNOTE-158)に登録された子宮頸がん患者のうち少なくとも10%で最も頻度の高い有害反応は、疲労、痛み、発熱、末端浮腫、筋骨格系疼痛、下痢/大腸炎、腹痛、吐き気、嘔吐、便秘、食欲減退、出血、尿路感染(UTI)、感染、発疹、甲状腺機能低下症、頭痛、および呼吸困難であった。ペムブロリズマブは、8%の患者で有害反応に起因して中断された。深刻な有害反応が39%の患者で発生した。報告された最も頻度の高い深刻な有害反応は、貧血(7%)、瘻孔(4.1%)、出血(4.1%)、および感染(UTI除外)(4.1%)であった。
【0014】
しかしながら、約70%がHPV16および/または18感染によって誘発される子宮頸がん、および/またはPD-L1陰性の患者における子宮頸がんの効果的な治療および/または治療の向上に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本開示の態様は、共通期間(common time period)にわたってHPVワクチン療法と抗PD1チェックポイント阻害抗体療法の組み合わせ投与を含み、広範囲な実験後に、抗PD1チェックポイント阻害抗体療法と比較して、子宮頸がん、特に進行性、転移性、再発性子宮頸がんの成長に対して抑制効果を増加させることが明らかになった。本発明の組み合わせ治療は、PD-1陽性患者、HPV-16陽性および/またはHPV-17陽性患者でHPVワクチン単独または抗PD1チェックポイント阻害抗体単一療法よりも治療効能の向上を示す。驚くべきことに、本発明の組み合わせ治療は、抗PD1抗体単一療法で全く反応しないPD-1陰性患者における治療効能をさらに示す。
【0016】
本開示の目的は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを予防または治療するためのヒト乳頭腫ウイルス(HPV)ワクチンおよびチェックポイント阻害剤を含む製薬学的組成物を含む。
【0017】
本開示の他の目的は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを予防または治療するための医薬の製造におけるヒト乳頭腫ウイルス(HPV)ワクチンおよびチェックポイント阻害剤を含む製薬学的組成物の用途を含む。
【0018】
本開示のさらに他の目的は、単一療法として使用されたとき、HPVワクチンまたはチェックポイント阻害剤単独よりもさらに大きな治療効果を生成するために、対象体に共通期間にわたってHPVワクチンおよびチェックポイント阻害剤を投与する段階を含む、それを必要とする対象体でヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを治療する方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本開示は、子宮頸がんを有する対象体に本願に記述された融合タンパク質またはDNAワクチンおよび免疫調節化合物を同時にまたは順次に投与する段階を含む、子宮頸がんの組み合わせ治療に関する。具現例において、子宮頸がんは、HPV感染によって誘発される。
【0020】
本開示は、それを必要とする対象体で子宮頸がんを治療したり治療を向上させるために、有効量のHPVワクチンおよびチェックポイント阻害剤を組み合わせて投与する段階を含む、がんの組み合わせ治療に関する。具現例において、子宮頸がんは、HPV感染によって誘発される。
【0021】
本開示は、それを必要とする対象体で子宮頸がんを治療したり治療を向上させる方法において組み合わせたHPVワクチンおよびチェックポイント阻害剤の用途に関し、方法は、有効量のHPVワクチンおよび有効量のチェックポイント阻害剤を子宮頸がんの治療の向上または治療を必要とする対象体に投与する段階を含む。具現例において、子宮頸がんは、HPV感染によって誘発される。具現例において、個体は、PD-L1陽性または陰性である。また、具現例において、個体は、PD-L1陰性である。さらに他の具現例において、個体は、PD-L1陽性であり、HPV16に感染する。具現例において、子宮頸がんは、進行性、再発性、または転移性子宮頸がんである。具現例において、子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである。具現例において、個体は、PL-L1陽性であってもよく、HPV16に感染していてもよく、扁平上皮細胞がんを患っている。
【0022】
本開示は、子宮頸がんを治療したり治療を向上させるための併用療法組成物に関し、併用療法組成物は、有効量のHPVワクチンおよび有効量のチェックポイント阻害剤を含み、HPVワクチンおよびチェックポイント阻害剤は、それを必要とする個体に同時に、別々に、または順次に投与される。具現例において、子宮頸がんは、HPV感染によって誘発される。具現例において、個体は、PD-L1陽性または陰性である。また、具現例において、個体は、PD-L1陰性である。さらに他の具現例において、個体は、PD-L1陽性であり、HPV16に感染する。具現例において、子宮頸がんは、進行性、再発性、または転移性子宮頸がんである。具現例において、子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである。具現例において、個体は、PL-L1陽性であってもよく、HPV16に感染していてもよく、扁平上皮細胞がんを患っている。
【0023】
本開示は、子宮頸がんを治療したり治療を向上させるための併用療法組成物に関し、併用療法組成物は、本質的に有効量のHPVワクチンおよび有効量のチェックポイント阻害剤からなり、HPVワクチンおよびチェックポイント阻害剤は、それを必要とする個体に同時に、別々に、または順次に投与される。具現例において、子宮頸がんは、HPV感染によって誘発される。具現例において、個体は、PD-L1陽性または陰性である。また、具現例において、個体は、PD-L1陰性である。さらに他の具現例において、個体は、PD-L1陽性であり、HPV16に感染する。具現例において、子宮頸がんは、進行性、再発性、または転移性子宮頸がんである。具現例において、子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである。具現例において、個体は、PL-L1陽性であってもよく、HPV16に感染していてもよく、扁平上皮細胞がんを患っている。
【0024】
本開示は、(a)ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)ワクチン;および(b)ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを予防または治療するためのチェックポイント阻害剤を含む製薬学的組成物に関し、(a)HPVワクチン療法構成要素は、HPVワクチンの追加ブーストを含んで対象体に投与されるように適応し、(b)チェックポイント阻害剤療法構成要素は、チェックポイント阻害剤療法の追加ブーストを含んで対象体に投与されるように適応し、前記構成要素(a)および(b)のそれぞれの治療的有効量で、組み合わせ投与は、構成要素(a)または(b)単独の投与による個体の免疫反応のいかなる増加よりもHPV誘導がんを治療するための対象体の免疫反応を増加させる能力を有する。具現例において、対象体は、PD-L1陽性または陰性である。また、具現例において、個体は、PD-L1陰性である。さらに他の具現例において、個体は、PD-L1陽性であり、HPV16に感染する。具現例において、子宮頸がんは、進行性、再発性、または転移性子宮頸がんである。具現例において、子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである。具現例において、個体は、PL-L1陽性であってもよく、HPV16に感染していてもよく、扁平上皮細胞がんを患っている。
【0025】
本開示は、本質的に(a)HPVワクチンの追加ブーストを含んで対象体に投与されるように適応したHPVワクチン療法構成要素、および(b)チェックポイント阻害剤療法の追加ブーストを含んで対象体に投与されるように適応したチェックポイント阻害剤療法構成要素からなる、それを必要とする対象体でヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを治療するための製薬学的組成物に関し、前記構成要素(a)および(b)のそれぞれの治療的有効量で、組み合わせ投与は、構成要素(a)または(b)単独の投与による個体の免疫反応のいかなる増加よりもHPV誘導がんを治療するための対象体の免疫反応を増加させる能力を有する。具現例において、対象体は、PD-L1陽性または陰性である。また、具現例において、個体は、PD-L1陰性である。さらに他の具現例において、個体は、PD-L1陽性であり、HPV16に感染する。具現例において、子宮頸がんは、進行性、再発性、または転移性子宮頸がんである。具現例において、子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである。具現例において、個体は、PL-L1陽性であってもよく、HPV16に感染していてもよく、扁平上皮細胞がんを患っている。
【0026】
本開示は、さらに、(a)第2用量レベルで投与される、配列番号9のポリヌクレオチドを含む多数のHPVワクチン療法構成要素、および(b)1つの用量レベルで投与される多数のチェックポイント阻害剤療法構成要素を含む、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)がん患者を治療するための2つの別の治療構成要素を含む製薬学的組成物に関し、HPVワクチン療法構成要素(a)は、チェックポイント阻害剤療法構成要素(b)とともに投与され、構成要素(a)および(b)のそれぞれは、第1および第2用量レベルの有効量で、チェックポイント阻害剤療法構成要素(b)の効能を増加させることによって患者の免疫反応を増加させ、単一療法として投与された構成要素(a)および(b)のそれぞれよりも向上した免疫反応の利益を提供するようにそれぞれ構成される。
【0027】
本開示は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを予防または治療するための医薬の製造における(a)ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)ワクチン;および(b)チェックポイント阻害剤を含む製薬学的組成物の用途に関する。
【0028】
本開示は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを治療する方法において製薬学的組み合わせの用途に関し、前記方法は、単一療法として使用されたとき、いずれか1つのHPVワクチンまたはチェックポイント阻害剤単独よりもさらに大きい治療効果を生成するために、共通期間にわたってそれを必要とする対象体にHPVワクチンおよびチェックポイント阻害剤を投与する段階を含む。
【0029】
前述の方法、組み合わせ治療、用途、組成物および製薬学的組成物の態様において、HPVワクチンは、DNAワクチンでありうる。具現例において、チェックポイント阻害剤は、単クローン性抗体でありうる。単クローン性抗体の例示具現例は、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、または抗PD1/PD-L1抗体、またはそれらの組み合わせでありうる。具現例において、チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブでありうる。具現例において、HPVワクチンは、配列番号15のポリヌクレオチドまたは配列番号15に対して約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%の配列同一性を有する変異体を含むDNAワクチンである。
【0030】
前述の方法、組み合わせ治療、用途、組成物および製薬学的組成物の態様において、対象体、個体、または患者は、進行性、手術不可能な、転移性子宮頸がんを有していてもよい。がんは、再発性でありうる。具現例において、がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである。具現例において、がんは、扁平上皮細胞がんである。
【0031】
前述の方法、組み合わせ治療、用途、組成物および製薬学的組成物の態様において、対象体、個体、または患者は、HPV16および/またはHPV18陽性である。さらに他の具現例において、個体は、PD-L1陽性であり、HPV16に感染する。具現例において、個体は、PL-L1陽性であってもよく、HPV16に感染していてもよく、扁平上皮細胞がんを患っている。
【0032】
前述の方法、組み合わせ治療、用途、組成物、および製薬学的組成物の態様において、対象体、個体、または患者は、抗がん治療を受けたことがあるか、受けている。抗がん治療は、公知の治療中の1つでありうる。具現例において、対象体、個体、または患者は、少なくとも1回の化学療法を受けたことがあるか、受けている。
【0033】
前述の方法、組み合わせ治療、用途、組成物、および製薬学的組成物の態様において、対象体、個体、または患者は、PD-L1陽性またはPD-1L陰性でありうる。さらに他の具現例において、対象体、個体、または患者は、HPV16陽性でありうる。さらに他の具現例において、対象体は、PD-L1-陽性およびHPV16陽性であってもよく、子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんである。
【0034】
前述の方法、組み合わせ治療、用途、組成物、および製薬学的組成物の態様において、HPVワクチンは、GX-188またはGX-188変異体でありうる。GX-188Eは、tPAおよびFlt3LにカップリングされたHPV16および18のE6/E7融合タンパク質をコード化する配列(配列番号9)を含む配列番号15の配列を含むデオキシリボ核酸構成物である(図1参照)。具現例において、約2mgのGX-188Eは、1、2、4、7、13、19週目に筋肉内に投与され、46週目に選択的用量が投与されうる。
【0035】
前述の方法、組み合わせ治療、用途、組成物、および製薬学的組成物の態様において、チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブであり、チェックポイント阻害剤の用量は、3週ごとに約200mgでありうる。具現例において、ペムブロリズマブは、静脈内に投与されうる。
【0036】
具現例によれば、少なくとも13週の共通期間内に対象体に投与するための2つの異なる治療を組み合わせることによって対象体でHPV誘導がんを治療する方法が開示され、方法は、HPVワクチン療法およびチェックポイント阻害抗体療法を含み、チェックポイント阻害抗体は、第1固定用量で複数回投与され、ワクチンは、第2固定用量で複数回投与され;HPVワクチンの第1投与およびチェックポイント阻害剤の第1投与は、少なくとも13週期間の日に発生し、HPVワクチンの後続投与およびチェックポイント阻害剤の後続投与は、共通期間内に発生する。
【0037】
組み合わせ治療の一態様において、チェックポイント阻害剤の第1固定用量は、50mg~500mgであり、HPVワクチンの第2固定用量は、0.5mg~5mgである。方法によれば、HPVワクチンは、筋肉内に投与され、チェックポイント阻害剤は、静脈内に投与される。具現例において、チェックポイント阻害剤は、抗PD1抗体または抗PD-L1抗体であり、HPVワクチンは、配列番号15の核酸構成物または配列番号15に対して85%以上の配列同一性を有する機能的変異体を含む。さらに他の具現例において、HPV誘導がんは、転移性、再発性または進行性子宮頸がんであり、対象体は、抗がん治療を受けることがあるか、受けており;HPVは、HPV16、HPV18、またはそれらの組み合わせであり;対象体は、PD-L1陽性またはPD-L1陰性である。さらに他の具現例において、個体は、PD-L1陽性であり、HPV16に感染する。さらに他の具現例において、個体は、PL-L1陽性であり、HPV16に感染していてもよく、扁平上皮細胞がんを患っている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、GX-188を運搬するベクターの構造の概略図である。
図2A図2Aは、C57BL/6マウスを使用する子宮頸がん動物モデルでテストされた薬物の投与スケジュールおよび抗腫瘍効果の評価を示す。D0、D7、D14、D21、D28、D35、D42、およびD49は、開始日(D0)からの経過日の数を示す。テスト薬物は、抗mPD1単クローン性抗体(mAb)、GX-188E、およびGX-188E+抗mPD1 mAbであった。HPV類型16のE7を発現するように形質転換されたC57BL/6マウス肺上皮細胞からの細胞株であるTC-1/Lucが、実験1で記述されたように、C57BL/6マウスで腫瘍を誘導するために使用される。
図2B図2B図2Eは、対照群(図2B)、抗mPD1 mAb単独(図2C)、GX-188E単独(図2D)、および抗mPD1 mAb+GX-188Eの組み合わせ(図2E)による抗腫瘍効能を示す。GX-188E単独投与グループは、遅延した腫瘍細胞成長による平均生存期間の明確な増加を示したが、最終生存率は17%であった(1匹/6匹)。GX-188E+抗mPD-1 mAb組み合わせグループは、腫瘍細胞成長の遅延および生存期間の明確な増加を示し、一方、生存率も、50%に増加した(3匹/6匹)。
図2C図2B図2Eは、対照群(図2B)、抗mPD1 mAb単独(図2C)、GX-188E単独(図2D)、および抗mPD1 mAb+GX-188Eの組み合わせ(図2E)による抗腫瘍効能を示す。GX-188E単独投与グループは、遅延した腫瘍細胞成長による平均生存期間の明確な増加を示したが、最終生存率は17%であった(1匹/6匹)。GX-188E+抗mPD-1 mAb組み合わせグループは、腫瘍細胞成長の遅延および生存期間の明確な増加を示し、一方、生存率も、50%に増加した(3匹/6匹)。
図2D図2B図2Eは、対照群(図2B)、抗mPD1 mAb単独(図2C)、GX-188E単独(図2D)、および抗mPD1 mAb+GX-188Eの組み合わせ(図2E)による抗腫瘍効能を示す。GX-188E単独投与グループは、遅延した腫瘍細胞成長による平均生存期間の明確な増加を示したが、最終生存率は17%であった(1匹/6匹)。GX-188E+抗mPD-1 mAb組み合わせグループは、腫瘍細胞成長の遅延および生存期間の明確な増加を示し、一方、生存率も、50%に増加した(3匹/6匹)。
図2E図2B図2Eは、対照群(図2B)、抗mPD1 mAb単独(図2C)、GX-188E単独(図2D)、および抗mPD1 mAb+GX-188Eの組み合わせ(図2E)による抗腫瘍効能を示す。GX-188E単独投与グループは、遅延した腫瘍細胞成長による平均生存期間の明確な増加を示したが、最終生存率は17%であった(1匹/6匹)。GX-188E+抗mPD-1 mAb組み合わせグループは、腫瘍細胞成長の遅延および生存期間の明確な増加を示し、一方、生存率も、50%に増加した(3匹/6匹)。
図3図3は、患者登録適格性および第一目標および第二目標を示す。54人の患者が登録され、15人の患者が治療を受けている。安全性分析について、GX-188Eまたは抗mPD1 mAb(ペムブロリズマブ)のうちいずれか1つの少なくとも1回用量を受けた54人の患者を含ませた。効能分析について、少なくとも45日の治療を受けた48人の患者がプロトコルによってGX-188Eに対する反応に対して評価されうると見なされた。この中間分析は、少なくとも1つの基準線後の腫瘍評価データを得た後に行われた。
図4図4は、抗PD1 mAb(ペムブロリズマブ)単一療法と比較して、GX-188Eプラス抗PD1 mAb(ペムブロリズマブ)の併用療法の基準線特徴を示す。
図5図5は、任意の等級(31.5)および等級3-4(5.6%)であるGX-188E+抗PD1 mAb(ペムブロリズマブ)組み合わせ治療の安全性プロファイルが、任意の等級(65.3%)および等級3-4(12.2%)であるKeynote-158単一療法を使用する抗PD1 mAb(ペムブロリズマブ)単一療法に相当することを示す。また、等級3治療関連有害事象(TRAE)を経験した3人の患者のうち1人が、等級4を示した。試験薬物関連死亡は発生しなかった。全体的に、抗PD1 mAb(ペムブロリズマブ)と組み合わせたGX-188Eが安全であり、忍容性があった。
図6A図6Aおよび図6Bは、RECISTによる最良総合反応率(BORR)を示す。6個の完全反応(CR)が確認され、CRの全ての場合は、PD-L1陽性、HPV16+および扁平上皮細胞がん患者で観察される。PD-L1陰性、HPV18+または腺がん患者で臨床反応が観察される。
図6B図6Aおよび図6Bは、RECISTによる最良総合反応率(BORR)を示す。6個の完全反応(CR)が確認され、CRの全ての場合は、PD-L1陽性、HPV16+および扁平上皮細胞がん患者で観察される。PD-L1陰性、HPV18+または腺がん患者で臨床反応が観察される。
図7図7は、腫瘍負荷の基準線からの標的病変の縦方向変化を示す。現在、追跡期間中央値は、6.1ヶ月(範囲;1.7~24.2ヶ月)であった。CR:完全反応;PR:部分反応;SD:安定疾患;PD:進行性疾患。
図8図8は、最良総合反応がCRおよびPRである患者(N=16人)の反応期間および16個の反応中8個が進行中であることを示す。PFS中央値は、2.7ヶ月(範囲;1.3~24.2ヶ月)であり、OS中央値は到達しなかった。
図9A図9A図9Dは、CRを有する患者(図9Aおよび図9B)、およびPRを有する患者(図9Cおよび9D)で10および19週に基準線およびペムブロリズマブ治療とともにGX-188E後における標的病変のTスキャンを示す。図9Aで、以前に2回の化学療法を受けたことがあり、右肺門リンパ節転移がある、HPV16、PD-L1陽性、扁平上皮細胞がんがある63歳の子宮頸がん患者。軸上の肺CTは、転移性リンパ節症を示した(矢印)。図9Bは、組み合わせ治療後、2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を示す。図9Cで、2回の化学療法を受けたことがある、HPV18、PD-L1陽性、腺がんがある41歳の子宮頸がん患者。骨盤CTは、骨盤腔に卵子、低密度転移性腫瘤(矢印)を示した。図9Dは、組み合わせ治療後に2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を示す。
図9B図9A図9Dは、CRを有する患者(図9Aおよび図9B)、およびPRを有する患者(図9Cおよび9D)で10および19週に基準線およびペムブロリズマブ治療とともにGX-188E後における標的病変のTスキャンを示す。図9Aで、以前に2回の化学療法を受けたことがあり、右肺門リンパ節転移がある、HPV16、PD-L1陽性、扁平上皮細胞がんがある63歳の子宮頸がん患者。軸上の肺CTは、転移性リンパ節症を示した(矢印)。図9Bは、組み合わせ治療後、2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を示す。図9Cで、2回の化学療法を受けたことがある、HPV18、PD-L1陽性、腺がんがある41歳の子宮頸がん患者。骨盤CTは、骨盤腔に卵子、低密度転移性腫瘤(矢印)を示した。図9Dは、組み合わせ治療後に2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を示す。
図9C図9A図9Dは、CRを有する患者(図9Aおよび図9B)、およびPRを有する患者(図9Cおよび9D)で10および19週に基準線およびペムブロリズマブ治療とともにGX-188E後における標的病変のTスキャンを示す。図9Aで、以前に2回の化学療法を受けたことがあり、右肺門リンパ節転移がある、HPV16、PD-L1陽性、扁平上皮細胞がんがある63歳の子宮頸がん患者。軸上の肺CTは、転移性リンパ節症を示した(矢印)。図9Bは、組み合わせ治療後、2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を示す。図9Cで、2回の化学療法を受けたことがある、HPV18、PD-L1陽性、腺がんがある41歳の子宮頸がん患者。骨盤CTは、骨盤腔に卵子、低密度転移性腫瘤(矢印)を示した。図9Dは、組み合わせ治療後に2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を示す。
図9D図9A図9Dは、CRを有する患者(図9Aおよび図9B)、およびPRを有する患者(図9Cおよび9D)で10および19週に基準線およびペムブロリズマブ治療とともにGX-188E後における標的病変のTスキャンを示す。図9Aで、以前に2回の化学療法を受けたことがあり、右肺門リンパ節転移がある、HPV16、PD-L1陽性、扁平上皮細胞がんがある63歳の子宮頸がん患者。軸上の肺CTは、転移性リンパ節症を示した(矢印)。図9Bは、組み合わせ治療後、2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を示す。図9Cで、2回の化学療法を受けたことがある、HPV18、PD-L1陽性、腺がんがある41歳の子宮頸がん患者。骨盤CTは、骨盤腔に卵子、低密度転移性腫瘤(矢印)を示した。図9Dは、組み合わせ治療後に2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を示す。
図10図10は、標的病変サイズの合計において基準線からの最大変化を示すグラフである。標的病変で基準線からの最大変化は、患者で1つ以上の評価可能な基準線後のイメージ(n=45個)を有する患者でRECIST v1.1によって評価された。それぞれのバーは、1人の患者を示し、点線は、PD(+20%)またはPR(-30%)に対するRECIST v1.1基準を示す。48人の患者のうち、3人の患者(患者ID 1607、1608、1802)は、標的病変が盲検下独立中央判定(BICR)により評価できないものと評価されたので、このグラフに含まれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
用語の定義
別途表示されない限り、または文脈から暗示されない限り、下記の用語および語句は、以下に提供された意味を含む。明示的に別途表示されないか、または文脈からあらわれない限り、下記の用語および語句は、それが属する技術分野において獲得した意味を排除しない。本願に提供された態様の範疇が請求範囲のみによって限定されるので、定義は、特定具現例を記述する目的で提供され、本願に提供された態様を制限しようとする意図ではない。別途定義されない限り、本願において使用されたすべての技術的および科学的用語は、本願に提供された態様の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるような意味を有する。
【0040】
本願において使用される用語「GX-188変異体」、「GX-188類似体」、「GX-188変異体構成物」、「GX-188類似体構成物」または任意の類似用語は、構成物の少なくとも1つの用量の投与後に生体内でGX-188(図1または配列番号9)の投与後に誘導された細胞免疫反応に似ている細胞免疫反応を構成物が誘導するものを示す。細胞免疫反応は、もし変異体構成物がGX-188によって誘導された細胞免疫反応と同一またはそれよりもさらに高い細胞免疫反応を誘導できるものであれば、類似なものでありうる。他の具現例において、細胞免疫反応は、もし変異体構成物がGX-188によって誘導された免疫反応より少なくとも約0.9倍(例えば、90%)、約0.8倍、約0.7倍、約0.6倍、約0.5倍、または約0.4倍さらに高い細胞免疫反応を誘導すると、類似なものでありうる。一具現例において、細胞免疫反応は、CD8 T細胞反応、CD4 T細胞反応、サイトカイン分泌、またはそれらの任意の組み合わせである。さらに他の具現例において、細胞免疫反応は、増加した数の多機能性T細胞を含む。特定具現例において、多機能性T細胞は、流動細胞分析によって測定されるとき、IFN-γ、IL-2、TNF-α、MIP-β、CD107a/b、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれた少なくとも3個、少なくとも4個、または少なくとも5個のマーカーを示す。GX-188変異体の例は、GX-188E(配列番号15)でありうる。
【0041】
本願において使用されるような用語「GX-188E」は、配列番号15のヌクレオチド配列を有する核酸構成物または配列番号15に対して少なくとも約80%以上、約81%以上、約82%以上、約84%以上、約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%の配列同一性を有するそれの変異体である。
【0042】
2つのポリペプチド間の「配列同一性」という用語は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列を第2ポリペプチドの配列と比較することによって測定される。本願で議論される場合、任意の特定ポリペプチドがさらに他のポリペプチドに対して少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%同一であるか否かは、限定されるものではないが、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,Wis.53711)のような技術分野に知られている方法およびコンピュータプログラム/ソフトウェアを使用して測定することができる。BESTFITは、2つの配列間の相同性の最良セグメントを探すために、Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics 2:482-489(1981)のローカル相同性アルゴリズムを使用する。特定配列が、例えば、本発明による参照配列と95%同一であるかを測定するために、BESTFITまたは任意の他の配列整列プログラムを使用するとき、媒介変数は、もちろん、同一性の百分率が参照ポリペプチド配列の全長にわたって計算され、相同性のギャップが参照配列のアミノ酸の総数の最大5%に許容されるように設定される。
【0043】
用語「約」は、本願において概略的に、概略、周辺の、または~の領域にあることを意味するために使用される。用語「約」が数字範囲とともに使用されるとき、用語は、設定された数字値の上下の境界を拡張させることによってその範囲を修飾する。一般的に、用語「約」は、本願において10パーセントの上または下の(さらに高いかまたはさらに低い)変動によって明示された値の上下の数字値を修飾するために使用される。
【0044】
用語「有意味な」または「有意味に」は、統計的有意味性を示し、一般的に2つの標準偏差(2SD)またはさらに大きい差異を示す。
【0045】
本願において使用されるような用語「含む(comprising)」または「含む(comprise)」は、方法または組成物に必須であるが、必須であるかどうかにかかわらず、明示されていない要素を含むように開放された組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成要素と関連して使用される。
【0046】
用語「からなる」は、本願において記述される組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成要素を示し、具現例の説明で引用されていない任意の要素を排除する。
【0047】
本願において使用されるような用語「本質的になる」は、与えられた具現例に必要な要素を示す。用語は、その具現例の基本的および新規なまたは機能的な特徴に実質的に影響を及ぼさない要素の存在を許容する。
【0048】
単数形態を示す用語「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに異なるものを示さない限り、複数の対象物を含む。同様に、単語「または」は、文脈が明らかに異なるものを示さない限り、「および」を含むものと意図される。たとえ本願に記述されたものと似ているか、同等な方法および物質が本開示の実施または教示に使用できるが、好適な方法および物質が以下で記述される。略語、「e.g 」は、ラテン語の例を挙げると(exempli gratia)に由来したものであり、本願において非制限的な例を示すために使用される。したがって、略語「e.g」は、用語「例えば」と同義語である。
【0049】
具現例において、「免疫調節化合物」は、限定されるのではないが、サイトカイン、例えばインターフェロン、単クローン性抗体、例えばPD-1/PD-L1経路阻害剤(PD-1/PD-L1阻害剤)、抗CTLA4抗体、シクロホスファミド、サリドマイド、レバミゾール、レナリドミド、またはそれらの組み合わせを含む。具現例において、免疫調節化合物は、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体と抗CTLA4抗体の組み合わせ、抗PD-L1抗体と抗CTLA抗体の組み合わせである。用語「PD-1/PD-L1経路阻害剤」は、PD-L1のPD-1への結合を阻害または遮断する化合物であり、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、および抗PD-1/PD-L1抗体を含むことができる。
【0050】
免疫調節化合物は、ペムブロリズマブまたはMDX-1106(Merck)、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、THALOMID(サリドマイド)、シクロホスファミド、レバミゾール、レナリドミド、CC-4047(ポマリドミド)、CC-11006(Celgene)、およびCC-10015(Celgene)のような抗PD1抗体または抗PD-L1抗体、およびWO2007028047、WO2002059106、およびWO2002094180のうちいずれか1つに記述された免疫調節化合物から選択できる。免疫調節化合物は、抗PD1抗体でありうる。具現例において、抗PD1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0051】
用語「がん」および「がん性」は、細胞集団が調節されない細胞成長によって特徴づけられる哺乳類での生理的状態を示したり記述する。がんの例としては、限定されるのではないが、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が挙げられる。そのようながんのより具体例としては、扁平上皮細胞がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、肺の扁平上皮がん、腹膜のがん、肝細胞がん、消化管がん、膵臓がん、膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、肝腫、乳がん、結腸がん、大腸がん、子宮内膜または子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、肝がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がんおよび多様な類型の頭頸部がんが挙げられる。
【0052】
用語「腫瘍」および「新生物」は、前がん性病変を含み、陽性(非がん性)または悪性(がん性)である、過度な細胞成長または増殖から始まった任意の組織塊を示す。腫瘍は、子宮頸部腫瘍でありうる。特定具現例において、子宮頸部腫瘍は、陽性腫瘍または悪性腫瘍である。特定具現例において、子宮頸部腫瘍は、扁平上皮細胞がん(SCC)、腺がん、腺扁平上皮がん、小細胞がん、神経内分泌腫瘍(NET)、ガラス質細胞がん、絨毛腺腺がん(VGA)、非がん性悪性腫瘍、黒色腫、リンパ腫、または子宮頸部上皮内新生物(CIN)である。一部の具現例において、子宮頸部腫瘍は、CIN1、CIN2、CIN3、または子宮頸がんである。
【0053】
用語「がん細胞」、「腫瘍細胞」、および文法的同等語は、腫瘍細胞集団の大部分を含む非腫瘍形成細胞、および腫瘍形成幹細胞(がん幹細胞)を両方とも含み、腫瘍または前がん性病変に由来する細胞の総集団を示す。
【0054】
本願に記述された融合タンパク質をコード化するポリヌクレオチドの「有効量」は、具体的に記載された目的を行うのに十分な量である。「有効量」は、記載された目的と関連して実験的におよび日常的方式で決定できる。
【0055】
本願において使用されるような用語「治療的有効量」は、必要な投与量で必要な期間の間所望の治療結果を達成するのに効果的な量を示す。治療的結果は、例えば、症状の減少、生存期間の延長、腫瘍のサイズおよび/または体積の減少、腫瘍の成長の阻害などでありうる。治療的結果は、「治癒」である必要はない。
【0056】
「治療する」または「治療」または「治療するための」または「緩和させる」または「緩和させるための」のような用語は、診断された病理的状態または障害を治癒、鈍化、症状を減少、進行を停止させる、腫瘍組織のサイズまたは体積を減少させる、および/または腫瘍成長を中断させる治療的尺度を示す。したがって、治療を必要とする対象体は、すでに障害と診断を受けたか、障害を有するもの疑われる対象体を含む。
【0057】
「対象体」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳類」は、診断、予測、または治療法が好ましい任意の対象体、特に哺乳類対象体を意味する。哺乳類対象体としては、限定されるのではないが、ヒト、家畜動物、農場動物、動物園動物、スポーツ動物、イヌ、ネコのような愛玩用動物、ギニアピッグ、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、ウシ;類人猿、サル、オランウータン、およびチンパンジーのような霊長類;イヌおよびオオカミのようなイヌ科動物;ネコ、ライオン、およびトラのようなネコ科動物;ウマ、ロバ、およびシマウマのような馬科動物;クマ、ウシ、ブタ、およびヒツジのような食用動物;シカおよびキリンのような有蹄類;マウス、ラット、ハムスターおよびギニアピッグのようなげっ歯類;などが挙げられる。特定具現例において、哺乳類は、ヒト対象体である。
【0058】
用語「組み合わせ治療/療法」、「組み合わせた治療」、「組み合わせの」または「組み合わせて」は、同時におよび/または異なる時間に、規定された期間内に、少なくとも前記2つの区別される治療剤を使用する、少なくともワクチンおよびチェックポイント阻害剤治療を意味する。
【0059】
用語「チェックポイント阻害剤」および/または「抗体」は、部分的にまたは全体的に免疫系が身体のT細胞を使用してがんを攻撃するのを防止できる身体のチェックポイントを取り除くために、および、投与方法と関係なく、個体(または動物)に投与するために商用化され、および/または販売されるかにかかわらず、設計された任意の1つ以上の商業的薬物および/または非商業的薬物を意味する。
【0060】
用語「PD-1」は、チェックポイント阻害抗体の一例を意味する。
【0061】
用語「基準線」は、実験の1日目の腫瘍体積(TV)を意味する。
【0062】
用語「ベクター」は、転写単位を含有する用語であり(「発現ベクター」としても知られている)、本願において使用されるように、投与されたとき、生体内で標的細胞に進入してコード化されたタンパク質を発現できるウイルスおよび/または非ウイルス発現ベクターを示す。外因性タンパク質の生体内での伝達および発現に適したウイルスベクターは、よく知られており、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ワクチニアベクター、水痘ベクター、単純ヘルペスウイルスベクターなどが挙げられる。ウイルスベクターは、好ましくは、正常細胞で複製欠損で作られる。例えば、米国特許第6,669,942号;第6,566,128号;第6,794,188号;第6,110,744号および第5,133,029号参照。ベクターは、非経口で、例えば、静脈内に、動脈内に、筋肉内に、皮下に、またはその他で投与されうる。投与は、また、経口で、鼻腔で、直腸で、経皮でまたはエアロゾル吸入で行うことができる。ベクターは、ボーラスとして投与されたり、徐々に注入されることができる。本出願においてベクターは、好ましくは、皮下に投与される。
【0063】
組成物および治療
GX-188の組成物は、注射によって非経口で、例えば、皮下に、皮内に、皮膚内に、皮膚下にまたは筋肉内に投与されうる。本願において使用される用語「GX-188組成物」、「GX-188の組成物」、「GX-188剤形」および「GX-188含有剤形」は、配列番号9または15の配列を含むポリヌクレオチド 構成物または配列番号9または配列番号15に対して約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、または約99%以上の配列同一性を有するそれの変異体を含む組成物または剤形を示す。
【0064】
他のモードの投与に適したさらなる剤形としては、坐剤および場合によっては、口腔、鼻腔、頬、舌下、腹腔内、膣内、肛門、硬膜外、脊椎、および頭蓋内剤形が挙げられる。坐剤の場合、伝統的な結合剤および担体は、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含むことができ;そのような坐剤は、0.5%~10%(重量/重量)、好ましくは、1%~2%(重量/重量)の範囲で活性成分を含有する混合物から形成されることができる。経口用剤形は、例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような一般的に使用される賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、持続放出剤形または粉末の形態を取ることができ、10%~95%(重量/重量)、好ましくは、25%~70%(重量/重量)の活性成分を含有することができる。
【0065】
GX-188含有剤形は、投与剤形と符合する方式で、および、治療効果があり、免疫原性となる量で投与されうる。投与される量は、例えば、個体の免疫系が免疫反応を装着する能力、および所望の免疫程度を含み、治療される対象体によって変わる。好適な投与量の範囲は、ワクチン接種当たり数百マイクログラムの活性成分程度であり、好ましい範囲は、約1μg~20mg、例えば、約5μg~10mgの範囲である。具現例において、用量は、約0.5μg~1000μg、1μg~1000μgの範囲、または1μg~500μgの範囲、特に約10μg~100μgの範囲でありうる。さらに他の態様において、投与量は、0.1mg~20mgの範囲でありうる。さらに他の態様において、投与量は、0.5mg~10mgの範囲でありうる。また、さらに他の態様において、投与量は、1mg~5mgの範囲でありうる。また、さらに他の態様において、投与量は、0.5mg~20mg、1mg~20mg、0.5mg~5mg、1.5mg~10mg、2mg~5mg、2.5mg~5mg、3mg~5mg、または2mg~10mgの範囲でありうる。さらに他の具現例において、GX-188の投与量は、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2mg、約2.1mg、約2.2mg、約2.3mg、約2.4mg、約2.5mg、約2.6mg、約2.7mg、約2.8mg、約2.9mg、約3mg、約3.1mg、約3.2mg、約3.3mg、約3.4mg、約3.5mg、約3.6mg、約3.7mg、約3.8mg、約3.9mg、約4mg、約4.1mg、約4.2mg、約4.3mg、約4.4mg、約4.5mg、約4.6mg、約4.7mg、約4.8mg、約4.9mg、または約5mgであってもよく、ほぼ毎週、隔週に1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回の間隔で投与されうる。GX-188剤形は、5日、10日、15日、20日、または30日、または40日の間隔で投与されうる。
【0066】
一態様によれば、初期投与およびブースター接種に対する好適な療法は、また、可変的であるが、初期投与と続いて後続接種または他の投与によって典型化される。例えば、一具現例において、GX-188は、1週目、2週目、4週目、7週目、13週目、および19週目に、および選択的にさらに46週目に約2mgの固定用量で投与されうる。投与は、筋肉内経路を通じて行われることができる。さらに他の具現例において、GX-188は、1週目、2週目、4週目、8週目、14週目、および20週目に、および選択的にさらに46週目に約2mgの固定用量で投与されうる。他の具現例において、投与量は、各投与時に変わることができる。
【0067】
免疫調節剤は、別個の剤形として投与されうる。具現例において、抗PD1抗体は、静脈内に同時にまたはGX-188投与と異なる時間に投与されうる。抗PD1抗体は、約1mg~1000mgの用量で投与されうる。具現例において、抗PD1抗体の用量は、約10mg~500mg、約50mg~500mg、約100mg~500mg、約100mg~300mg、約150mg~300mg、約180mg~250mg、約190mg~250mg、約185mg~225mg、約185mg~220mg、約195mg~250mg、約195mg~225mg、約190mg~230mg、約200mg~400mg、約200mg~300mg、約250mg~300mg、約280mg~350mg、約300mg~500mg、約300mg~400mg、約300mg~1000mg、約300mg~900mg、約300mg~800mg、約300mg 700mg、または約300mg~600mgの範囲でありうる。抗PD1抗体は、1週間に1回、週2回、週3回、週4回、毎週、10日ごとに、1週間おきに1回、20日ごとに、3週ごとに、4週ごとに、月に1回、1カ月おきに1回、または3カ月に1回などの間隔で投与されうる。具現例において、抗PD1抗体は、ペムブロリズマブであり、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、17週、18週、19週、20週、21週、22週、23週、24週、25週またはそれ以上の期間の間GX-188の最初の投与前に開始して、同時に、またはその後に週3回静脈内に200mgの用量で投与されうる。期間は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、またはそれ以上のようなカレンダーのケ月単位で測定されうる。または、治療療法は、例えば、約200mgの固定された投与量で10用量、11用量、12用量、13用量、14用量、15用量、16用量、17用量、18用量、19用量、20用量、21用量、22用量、23用量、24用量、25用量、26用量、27用量、28用量、29用量、30用量、31用量、32用量、33用量、34用量、35用量、またはそれ以上のような投与回数を含んでもよい。
【0068】
配列番号10の配列またはそれの機能的変異体を含む融合タンパク質は、中性または塩形態としてワクチンに剤形化されうる。製薬学的に許容される塩としては、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基で形成される)が挙げられるが、それは、無機酸、例えば、塩酸またはリン酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸を使用して形成される。遊離カルボキシル基を使用して形成された塩は、また、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化鉄のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基に由来することができる。配列番号10の配列を含む融合タンパク質の機能的変異体は、配列番号10に対して約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、または約99%以上の配列同一性のポリペプチドでありうる。
【0069】
具現例によれば、進行性、手術不可能な、転移性子宮頸がん患者にGX-188および抗PD1抗体の投与は、腫瘍のサイズおよび/または体積の減少のような有意味な治療効果、およびT細胞反応、PD-L1、CEA、および/またはTA4レベルによって測定されるところ、改善された抗がん免疫反応を示す。例えば、GX-188変異体および抗PD1抗体の投与は、HPV特異的T細胞反応によって効果的に誘導された。ペムブロリズマブ単一療法がPD-1陰性患者に対して効果を示さなかったが、その一方で、GX-188とペムブロリズマブの併用療法は、PD1陰性の子宮頸がん患者を治療するのにまたは治療を向上させるのに効果的である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、本発明は、実施例を参照してより詳細に記述される。当該技術に熟達した者にとって、下記の実施例は、単に本発明を例示するものであり、本発明の範疇は、これらの実施例によって限定されないことが明らかだろう。
【実施例
【0071】
実施例1.前臨床研究
GX-188Eおよび抗PD1抗体を使用した併用療法の子宮頸がんに及ぼす抗腫瘍効能を動物モデルで評価した。HPV類型16のE7を発現するように形質転換されたC57BL/6マウス肺上皮細胞からの細胞株であるTC-1細胞をGX-188効能評価用動物モデルの生産のための細胞株として選択した。
【0072】
C57BL/6マウスで1×10 TC-1腫瘍細胞(慶北国立大学病院のJaetae Lee教授によって提供される)の皮下移植による腫瘍形成後に、1、2、および4週目にマウスに4μgのGX-188Eまたは剤形緩衝液(PBS)を電気穿孔(OrbijectorTM,Elimtek Co.,Ltd)を通じて筋肉内に投与した。併用療法および抗マウスPD-1抗体(抗mPD-1 mAb)単独グループに対して、250μgの抗mPD1抗体(BioXcell、クローンRMP1-14)をTC-1細胞の移植後2週後に開始して1週間隔で5回腹腔内に投与した。腫瘍細胞challenge後、週2回腫瘍のサイズを測定し、生存率を調査した(図2A)。
【0073】
対照群(PBS)グループのすべての動物が死亡し、それに使用された腫瘍challenge条件が適切であったことを確認した。抗mPD-1抗体のみを投与したとき、一部の動物は、対照群グループにおける腫瘍細胞成長と比較して、弱い効果、すなわち遅延した腫瘍細胞成長を示した。しかしながら、すべての動物が結局死亡したので、抗mPD-1抗体は、生存率にいかなる変化も誘導しなかった。GX-188Eのみを投与したとき、遅延した腫瘍細胞成長に起因して平均生存期間に明確な増加があったが、最終生存率は17%(1匹/6匹)であった。他方では、GX-188Eと抗mPD-1抗体の組み合わせを投与したとき、腫瘍細胞成長の遅延および生存期間に明確な増加があり、その一方で、生存率も、50%(3匹/6匹)に増加した(図2B図2E)。
【0074】
結果に基づいて、本発明者らは、GX-188Eによって誘導された抗原特異的細胞免疫反応がすでに形成された腫瘍細胞を効果的に除去することができ、それが遅延した腫瘍細胞成長および増加した生存期間につながることを立証した。さらに、免疫調節化合物とGX-188E治療ワクチンの組み合わせを受けたグループは、GX-188E単独グループと同等のレベルの遅延した腫瘍細胞成長および生存期間の延長を示し、また、それは、長期的な観点から生存率の増加につながった。
【0075】
所定のチェックポイント阻害剤の作用メカニズムに基づいて推論すると、この研究の発見は、以前の研究の結果と似ており、それは、抗PD1抗体がT細胞の抗腫瘍殺活性を延長させたことを示した。したがって、結果は、チェックポイント阻害剤がGX-188Eを含むHPV標的化免疫治療ワクチンの効能を向上させるための好適なシナジーパートナーであることを示唆する。
【0076】
この研究結果は、抗PD1抗体を免疫治療ワクチンGX-188Eと組み合わせることがGX-188Eの効能を向上させたことを示し、それは、チェックポイント阻害剤が免疫治療ワクチンとの併用療法に使用するための好適な候補になりうることを示唆した。
【0077】
実施例2:臨床研究
GX-188E(配列番号15)は、HPV16/18 E6/E7をコード化するHPV治療DNAワクチンである。12人の前がん患者をGX-188Eで免疫化し、I相の9人の患者のうち7人およびII相の52人の患者のうち35人がワクチン接種後36週内に子宮頸部病変の退行を示した。臨床的利益は、GX-188Eワクチン接種による向上したHPV特異的IFN-γ反応と関連があった。前がん患者における概念の臨床的証明を勘案して、本発明者らは、子宮頸がん患者で、GX-188Eワクチン接種がHPV特異的T細胞の頻度を増加させることによってチェックポイント阻害剤に対する臨床応答者の割合を増加させると推測した。
【0078】
II相臨床試験で、本発明者らは、最初またはその後の化学療法が失敗したHPV16および/または18陽性再発/進行性子宮頸がん患者でペムブロリズマブと組み合わせたGX-188Eの安全性および効能を評価した。
【0079】
A.研究設計および参加者
研究は、前向き、非盲検、II相研究であった。プロトコルは、各研究サイトで機関監査委員会または倫理委員会によって承認を受け、各患者から書面同意書を受けた。研究をヘルシンキ宣言およびすべての適用される法律によって行った。
【0080】
54人の患者を登録し、研究組み合わせで治療した。試験対象患者基準は、書面同意書に署名した18歳以上の女性患者;0-1の米国東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータスを提供し、組織学的に再発性/進行性HPV陽性(HPV16および/またはHPV18)子宮頸がんが確認されたヒト;再発性/進行性がんに対して利用可能な治療法で治療後に疾患が進行したヒトを含む。患者は、もし活性中枢神経系転移または活性自己免疫疾患、同種固形臓器または骨髓移植、または免疫欠乏の診断履歴がある場合、研究から排除させた。すべての患者は、スクリーニング時/基準線における分子および組織学的分析のためにそれらの保管したまたは新鮮な腫瘍生検サンプルを提出した。IFN-γELISpot検定のためにスクリーニング時および1、4、7、10、16、22、および49週目に末梢血サンプルを患者から採血した。
【0081】
B.過程
GX-188Eを三角筋または外側広筋のうちいずれか1つに筋肉内に2mgを投与した後、直ちに1、2、4、7、13、および19週目に共局在電気穿孔(TriGrid Delivery System,Ichor medical systems,Inc.)を行って、46週目に1つの選択的用量を投与した。ペムブロリズマブを標準臨床および機関慣行に基づいて、すべての過程および評価が完了した後、それぞれ3週治療周期の1日目に静脈内注入を使用して投与した。
【0082】
GX-188Eによって誘導された細胞免疫反応を調査するために、HPV16/18 E6/E7特異的T細胞反応を’研究設計および参加者’に表示した時間に分析した。IFN-γELISpot分析(BD Bioscience,CA,USA)のために、冷凍保存し、解凍した末梢血単核細胞(PBMC)をKim TJ,Jin H-T,Hur S-Y,et al.Clearance of persistent HPV infection and cervical lesion by therapeutic DNA vaccine in CIN3 patients.Nature communications 2014;5(1):1-14に以前に記述されたように適応させ、さらに処理した。HPV E6/E7に対するT細胞反応をシグナルと基準線レベルとを比較することによって測定し、ワクチン接種後に反応が基準線における反応より5倍以上である場合、陽性と見なした。
【0083】
C.結果
患者を略9週ごとに反応に対して放射線学的に評価した(RECIST v1.1およびiRECISTの両方によって)、研究用生成物の安全性を、実験室テスト結果および身体検査結果を記録し、報告し、分析することによって評価し、それは、患者の基底疾患、有害反応、および活力兆候を考慮した。患者が経験した有害事象(AE)、例えば、薬物毒性を包括的に評価した。研究者らは、米国国立がん研究所による有害事象に対する共通用語基準(CTCAE v4.03)に基づいてAEの重症度を評価した。
【0084】
D.統計学的分析
少なくとも1つの用量の研究用治療を受けたすべての患者を安全性集団に含ませ、安全性プロファイルについて分析した。AEをMedDRA有害事象辞書によってコード化した。結果を表で作成し、それらの頻度、影響を受けた臓器システム、および研究治療との関係を調査した。最良総合反応率を含む効能結果を技術統計を使用して分析した。客観的反応をRECIST v1.1および免疫治療剤に対する固形腫瘍反応評価基準(iRECIST)によって評価した。客観的反応(PRまたはCR)、安定疾患(SD)、および疾患進行(PD)のすべての測定に対して確証スキャンを獲得した。
【0085】
E.結果
54人の患者を登録させ、48人の患者を安全性について評価した(図3)。45日の治療を受けない3人の患者は、プロトコルによるGX-188Eワクチン接種に対する反応評価に対して不適格であると見なした。したがって、48人の患者を治療効能について評価した。GX-188Eおよびペムブロリズマブ組み合わせを受けた患者の基準線特徴を図4に示し、組織学およびHPV類型を除いて、以前に報告されたペムブロリズマブ単一療法で治療されたものと類似していた。
【0086】
54人の患者を治療し、安全性について評価したが、任意の等級に対して31.5% TRAE(治療関連有害事象)および5.6の等級3-4 TRAEを示した(図5)。全身的臓器分類によって分類されるところ、最も頻度の高いTRAEは、胃腸疾患(9.3%)および皮膚および皮下組織疾患(7.4%)であった。3人の患者(5.6%)が等級3 TRAEを経験し、そのうちの1人の患者がアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの等級4上昇に関連したアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの等級3上昇があった。この患者は、免疫関連有害事象(irAE)と評価されたTRAEによって治療を中断した。全体的に、抗PD1抗体(ペムブロリズマブ)投与と組み合わせたGX-188Eワクチン接種は、安全であり、忍容性があるものと見なされた。図6Aおよび図6Bは、研究サイトで放射線専門家によって評価された抗腫瘍反応の要約を示す。
【0087】
図5図6A、および図6Bで、略語は、下記の意味を示す:
TRAE:治療関連有害事象;
BOR:最良総合反応;
DOR:反応期間;
CR:完全反応;
PR:部分反応;
SD:安定疾患;
PD:進行性疾患;
NE:評価不可能;
DCR:疾患制御率;
PD-L1:プログラム死リガンド1;
SCC:扁平上皮細胞がん;および
AC:腺がん。
【0088】
図6Aから分かるように、BORRは、33.3%(16人/48人)であり、DCRは、50%(24人/48人)であった。BORRを示した16人の患者のうち、6人の患者がCRを有することが確認され、いずれも、持続的であり、進行中であり、反応持続期間は、カットオフ時点で1.3~24.2ヶ月であり;すべてのCR患者は、PD-L1陽性であり、HPV16および扁平上皮細胞がんを有した。反応をHPV16および/または18陽性患者で全て観察したが、HPV16陽性が好意的な反応を示した(35.3%対比28.6%)。予想外に、反応は、PD-L1陽性腫瘍だけでなく、PD-L1陰性腫瘍でも観察された:BORRおよびDCRは、PD-L1陽性腫瘍患者でそれぞれ41.7%(15人/36人)および61.1%(22人/36人)であり、PD-L1陰性腫瘍患者でそれぞれ8.3%(1人/12人)および16.7%(2人/12人)であった。
【0089】
図7および図8に示されたように、10週目に腫瘍減少を示した患者は、時間の経過について反応が改善される傾向を示した。追跡期間中央値は、6.1ヶ月(範囲、カットオフ日基準1.7~24.2ヶ月)であり、その時間まで24人の患者(50.0%)で進行性疾患(PD)が発生した。
【0090】
63歳患者からの腫瘍イメージを図9Aに示す。患者は、HPV16およびPD-L1陽性扁平上皮細胞がんを有し、以前に2回の化学療法を受けたことがあり、リンパ節に転移した。治療後、患者は、CRおよび腫瘍マーカーTA4の正常レベルまでの有意味な減少を示した。図9Cは、HPV18およびPD-L1陽性腺がんがあり、以前に2回の化学療法を受けたことがあり、骨盤腫瘤およびリンパ節転移がある41歳患者からの腫瘍イメージを示す。治療後に、患者は、PRを示し、時間の経過につれてさらに他の腫瘍マーカーCEAで有意味な減少を示した。図9Bおよび図9Dは、組み合わせ治療後に2つの腫瘍マーカー(CEAおよびTA4)のレベルを示す;点線は、腫瘍マーカーの正常レベルに対するカットオフ基準を表示する。
【0091】
図10で、標的病変のサイズで基準線(図7に示される)からの最大変化がPD-L1発現状態を含むウォーターフォールプロットで要約される。PD-L1陽性患者は、BORRの観点からPD-L1陰性患者が反応したものよりもさらに良好にGX-188Eプラスペムブロリズマブの併用療法に反応した(15/36人に対して1/12人)(図6A)。
【0092】
重要なことには、1人のPD-L1陰性患者で30%より高い標的サイズ減少が観察されたのに対し、ペムブロリズマブ単独の以前の研究でPD-L1陰性患者では反応が観察されなかった。抗原特異的T細胞反応と関連して、IFN-γELISpot検定の結果は、基準線からの倍数変化として示された(不図示)。反応評価が可能な23人の患者のうち18人(78.3%)がDNAワクチン誘導T細胞反応を示し、これは、ペムブロリズマブと組み合わせたGX-188Eが過度に前処理されたがん患者でもHPV E6/E7特異的T細胞反応を効果的に誘導したことを示す。
【0093】
A.議論
臨床研究結果は、ペムブロリズマブと組み合わせたHPVワクチン接種が再発性/進行性、手術不可能な、転移性子宮頸がん患者で効果的な抗腫瘍反応を誘導したことを示した。臨床利益は有望であった(全体患者で33.3%BORR、PD-L1陽性患者で41.7%BORR)。本発明者らの知っている限り、これは、再発性/進行性子宮頸がん患者に対してがんワクチンとチェックポイント阻害剤を使用する併用療法に対する最初の報告である。腫瘍抗原特異的T細胞ががんワクチンによって誘導された後に、それは、腫瘍組織に移動し、浸潤して、冷たい腫瘍を熱い腫瘍に(cold to hot tumor)転換させる。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、IFN-γを分泌し、それは、免疫攻撃に対する適応抵抗メカニズムとして、腫瘍細胞からPD-L1の発現を誘導する。チェックポイント阻害剤が消耗したTILの腫瘍細胞溶解性機能を活性化することによって抗腫瘍反応を誘導するので、腫瘍特異的TILの存在は、チェックポイント阻害剤に対する抗腫瘍反応の先行条件である。チェックポイント阻害剤に対する相対的に乏しい臨床反応とのTILおよびPD-L1陰性性の不在の相関関係によって証明された通り、PD-L1陰性性を有する非免疫原性の冷たい腫瘍は、TILおよびPD-L1発現を増加させるためにさらなる戦略を必要とすると示唆される。
【0094】
がんワクチンは、腫瘍特異的T細胞反応を誘導する最も効率的な方法と見なされる。GX-188Eワクチン接種は、HPV前がん患者でAg特異的T細胞反応を効果的に誘導した。GX188Eワクチン接種は、TILの頻度を増加させ、引き続いて、腫瘍でPD-L1発現を向上させる可能性がある。これがGX188Eワクチン接種が抗PD1抗体とともに臨床効能をどのように向上させたかに関する可能な説明である。
【0095】
結果は、HPV16感染、PD-L1陽性、および扁平上皮細胞がんと比較して、HPV18感染、PD-L1陰性、および腺がんがある再発性/進行性子宮頸がんが乏しい臨床反応を招く傾向があることを示す。
【0096】
要約すれば、過度に前処理された再発性/進行性子宮頸がん患者でGX-188Eおよびチェックポイント阻害剤(ペムブロリズマブを含むPD-1/PD-L1経路阻害剤)を組み合わせた治療が安全であり、忍容性があり、以前に報告されたペムブロリズマブ単一療法に類似の安全性プロファイルを示す。このような結果は、GX-188Eワクチン接種がいかなる有意味な有害事象を付加しなかったが、過度に前処理された子宮頸がん患者でHPV特異的T細胞反応を効果的に誘導したことを示した。本願の組み合わせ治療は、PD-L1陽性患者で略41.7、HPV16陽性患者で35.3%、および扁平上皮細胞がんで33.3%の高い反応率を示した。また、本願の組み合わせ治療は、ペムブロリズマブ単一療法が効果的ではないとは対照的に、PD-L1陰性患者で効果的であった。しかも、本願の組み合わせ治療は、HPV18および腺がんにおいても臨床反応を立証した。
【0097】
したがって、抗PD1抗体と組み合わせたGX-188Eを使用する本願の組み合わせ治療は、現在利用可能な標準治療法が失敗したHPV16/18陽性再発性または進行性子宮頸がん患者の治療に安全であり、効果的であり、子宮頸がんだけでなく、口腔咽頭および肛門性器がんのようなHPV16/18関連がんに対する新しい標準療法となる可能性がある。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを予防または治療するためのヒト乳頭腫ウイルス(HPV)ワクチンおよびチェックポイント阻害剤を含む製薬学的組成物。
(項目2)
HPVワクチンは、配列番号15のポリヌクレオチドまたは配列番号15に対して85%以上の配列同一性を有する機能性変異体を含むHPVワクチンを含む、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目3)
HPVワクチンの用量は、0.5mg~5mgである、項目2に記載の製薬学的組成物。
(項目4)
HPVワクチンは、筋肉内注射用である、項目2に記載の製薬学的組成物。
(項目5)
チェックポイント阻害剤は、プログラム死(PD)-1/PD-L1阻害剤である、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目6)
チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体または抗PD-1L抗体である、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目7)
チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目8)
チェックポイント阻害剤の用量は、50mg~500mgである、項目5に記載の製薬学的組成物。
(項目9)
チェックポイント阻害剤は、静脈内注射用である、項目5に記載の製薬学的組成物。
(項目10)
HPVワクチンおよびチェックポイント阻害剤は、複数回投与される、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目11)
HPVワクチンおよびチェックポイント阻害剤は、同時に、別々に、または順次に投与される、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目12)
HPVワクチンは、1、2、4、7、13、および19週目に、およびさらに選択的に46週目に投与される、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目13)
チェックポイント阻害剤は、3週間隔で投与される、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目14)
HPV誘導がんは、子宮頸がんである、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目15)
子宮頸がんは、扁平上皮細胞がんまたは腺がんである、項目14に記載の製薬学的組成物。
(項目16)
HPV誘導がんは、転移性、再発性、または進行性がんであり、対象体は、抗がん治療を受けたことがあるか、受けている、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目17)
HPVは、HPV16、HPV18、またはそれらの組み合わせである、項目1に記
載の製薬学的組成物。
(項目18)
HPV誘導がんを予防または治療するための対象体は、PD-L1陽性またはPD-L1陰性である、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目19)
HPVは、HPV16であり;HPV誘導がんを予防または治療するための対象体は、PD-L1陽性である、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目20)
HPV誘導がんは、扁平上皮細胞がんである子宮頸がんであり;HPVは、HPV16であり;および/またはHPV誘導がんを予防または治療するための対象体は、PD-L1陽性である、項目1に記載の製薬学的組成物。
(項目21)
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導がんを予防または治療するための医薬の製造における(a)ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)ワクチン;および(b)チェックポイント阻害剤を含む製薬学的組成物の用途。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
【配列表】
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