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特許7460114ロック機能付き包装箱、製函前ボックス及びブランクシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ロック機能付き包装箱、製函前ボックス及びブランクシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20240326BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65D5/66 301G
B65D5/42 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020009557
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021116089
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】旙澤 篤史
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-141276(JP,A)
【文献】特開2007-069976(JP,A)
【文献】米国特許第02918205(US,A)
【文献】独国実用新案第202005014662(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と、前記底面部を取り囲んで立ち上がる側板と、前記側板に沿って差し込まれる差し込みフラップを有する蓋部とを有し、
前記差し込みフラップを沿わせる側板の内面には、前記差し込みフラップを係止させるように、前記底面部の一部が分離して貼着した係止固定片が設けられ
前記差し込みフラップには、前記側板に重ねられた際に前記係止固定片を受け入れ、前記係止固定片に係止する被係止孔又は被係止凹所が形成されているロック機能付き包装箱。
【請求項2】
前記差し込みフラップを沿わせる前記側板は、前記側板に対して角度を成して折り曲げられる側板フラップを前記側板の上端縁に有し、
前記上端縁に前記差し込みフラップの差し込み孔又は差し込みスリットが形成されている請求項1に記載のロック機能付き包装箱。
【請求項3】
前記側板フラップには、前記差し込み孔又は前記差し込みスリットを形成している外縁を一部として形成され、前記外縁側を自由端として上下動可能な内フラップが形成されている請求項2に記載のロック機能付き包装箱。
【請求項4】
前記蓋部は、一の前記側板の上端縁に回動自在に連結しており、
前記係止固定片は、前記側板の上端縁に沿う上端面を有し、
前記差し込みフラップの先端部は、前記蓋部を回動して閉じる際に、前記側板の幅方向に視て前記上端面が配された範囲に最初に達する角部を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のロック機能付き包装箱。
【請求項5】
前記係止固定片は、前記側板の上端縁から下端縁に向かって窄む形状の先端部を有している請求項1から4のいずれか一項に記載のロック機能付き包装箱。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のロック機能付き包装箱を組み立て可能に折り畳まれ、
係止固定片が設けられる側板には、製函前の折り畳み時に底面部の一つが重ねられており、
前記底面部は、製函前の折り畳み時に前記側板に貼着した部分を有し、
前記貼着した部分は、製函時に当該底面部から切り離されて前記側板に貼着した状態を維持し、前記係止固定片を形成する切り込みに取り囲まれている製函前ボックス。
【請求項7】
係止固定片が設けられる側板には、製函前の折り畳み時に側板フラップの一つが重ねら
れており、
前記側板フラップは、製函前の折り畳み時に前記側板に貼着した部分を有し、
前記貼着した部分は、製函時に当該側板フラップから切り離されて前記側板に貼着した状態を維持し、前記係止固定片を形成する切り込みに取り囲まれている請求項2,3又は請求項2若しくは3に従属する請求項4のいずれか一項に従属する請求項6に記載の製函前ボックス。
【請求項8】
請求項2,3又は請求項2若しくは3に従属する請求項4のいずれか一項に記載のロック機能付き包装箱を組み立て可能に折り畳まれ、
係止固定片が設けられる側板には、製函前の折り畳み時に側板フラップの一つが重ねら
れており、
前記側板フラップは、製函前の折り畳み時に前記側板に貼着した部分を有し、
前記貼着した部分は、製函時に当該側板フラップから切り離されて前記側板に貼着した状態を維持し、前記係止固定片を形成する切り込みに取り囲まれている製函前ボックス。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の製函前ボックスを形成するブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機能付き包装箱、製函前ボックス及びこれらの形成するブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネット通販等の拡がりに伴い、包装箱に梱包された多くの商品が受取人のみならず、コンビニエンスストア等、受取人が指定した受け取りサービスを行う小売店や、公共スペースに設置された配送ボックス等に向けて、様々な業者により配送されている。最近は特に、梱包された物品の種類が多岐に亘る上、個人情報又はプライバシーの保護の要請が高まっているため、配送された包装箱の中が安易に覗き見られたりすることを防止するためのロック機能が付いた包装箱が開発されている。
ロック機能付包装箱の一例としては、包装箱の互いに重なり合う紙片の一方を谷折りにし他方を山折りにして引っ掛け合うものなどがある(例えば下記特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されたロック機能付包装箱は、山折の被係止部を有する板部材を側板の内側に固定し、板部材の被係止部に蓋部材の差し込みフラップに形成した谷折りの係止部を引っ掛けてロック機構とする構成を採用している(下記特許文献の図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-177305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のロック機能付包装箱は、製函時に係止部及び被係止部を折り曲げるという余計な動作が必要となり、また、折り曲げの強度が緩過ぎても堅過ぎても係止状態が作れないため、ロックが働かない場合が生じるという問題があった。また、そもそも、折り曲げを忘れてしまった場合、係止機構が意味をなさないという問題があった。
そこで、本発明は、蓋を閉じる通常の動作だけで簡単に閉蓋状態をロックすることができるブランクシート、製函前ボックス及び包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロック機能付包装箱は、底面部と、前記底面部を取り囲んで立ち上がる側板と、前記側板に沿って差し込まれる差し込みフラップを有する蓋部とを有し、前記差し込みフラップを沿わせる側板の内面には、前記差し込みフラップを係止させる係止固定片が貼り付けられ、前記差し込みフラップには、前記側板に重ねられた際に前記係止固定片を受け入れ、前記係止固定片に係止する被係止孔又は被係止凹所が形成されている。
この構成によれば、係止固定片を被係止孔又は凹所に確実に係止しやすくなる。
【0007】
本発明のロック機能付包装箱の前記差し込みフラップを沿わせる前記側板は、前記側板に対して角度を成して折り曲げられる側板フラップを前記側板の上端縁に有し、前記上端縁に前記差し込みフラップの差し込み孔又は差し込みスリットが形成されていてもよい。
この構成によれば、差し込み孔又は差し込みスリットによって差し込みフラップの挿入方向をガイドすることができる。
【0008】
本発明のロック機能付包装箱の前記側板フラップには、前記差し込み孔又は前記差し込みスリットを形成している外縁を一部として形成され、前記外縁側を自由端として上下動可能な内フラップが形成されていてもよい。
この構成によれば、内フラップが包装箱の収容部内に押し込むことができるので、差し込みフラップを挿入しやすくなる。
【0009】
本発明のロック機能付包装箱の前記蓋部は、一の前記側板の上端縁に回動自在に連結しており、前記係止固定片は、前記側板の上端縁に沿う上端面を有し、前記差し込みフラップの先端部は、前記蓋部を回動して閉じる際に、前記側板の幅方向に視て前記上端面が配された範囲に最初に達する角部を有していてもよい。
この構成によれば、予め係止固定片を避けつつ差し込みフラップの挿入を行わせることが可能となる。
【0010】
本発明のロック機能付包装箱の前記係止固定片は、前記側板の上端縁から下端縁に向かって窄む形状の先端部を有していてもよい。
この構成によれば、係止固定片を被係止孔若しくは被係止凹所との係止を確実に行うことができる。
【0011】
前記いずれか一に記載の包装箱を製函可能な本発明の製函前ボックスの係止固定片が設けられる側板には、製函前の折り畳み時に底面部の一つが重ねられており、前記底面部は、製函前の折り畳み時に前記側板に貼着した部分を有し、前記貼着した部分は、製函時に当該底面部から切り離されて前記側板に貼着した状態を維持し、前記係止固定片を形成する切り込みに取り囲まれていてもよい。
この構成によれば、底面部に切り込みを形成し、ブランクシートを折り畳む際に切り込みに取り囲まれた部分に接着剤を塗布するだけで係止固定片を設けることができる状態を作成することができる。
【0012】
本発明の製函前ボックスの係止固定片が設けられる側板には、製函前の折り畳み時に側板フラップの一つが重ねられており、前記側板フラップは、製函前の折り畳み時に前記側板に貼着した部分を有し、前記貼着した部分は、製函時に当該側板フラップから切り離されて前記側板に貼着した状態を維持し、前記係止固定片を形成する切り込みに取り囲まれていてもよい。
この構成によれば、側板フラップに切り込みを形成し、ブランクシートを折り畳む際に切り込みに取り囲まれた部分に接着剤を塗布するだけで係止固定片を設けることができる状態を作成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブランクシート、製函前ボックス及びロック機能付包装箱は、蓋を閉じる通常の動作だけで簡単に閉蓋状態でロックすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る包装箱を示した上面斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るロック機能付包装箱のブランクシートを示した平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る製函前ボックスを示した平面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る製函前ボックスを示した底面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るロック機能付包装箱の組立工程を示した平面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るロック機能付包装箱を示した底面図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るロック機能付包装箱の組立工程を示した平面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るロック機能付包装箱を閉じた状態のロック状態を示す断面図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係るロック機能付包装箱の開封工程を示す斜視図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係るロック機能付包装箱のブランクシートの一部を示した平面図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係るロック機能付包装箱のブランクシートの一部を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明のロック機能付包装箱及び包装箱の第1の実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。また、本実施形態において、本発明の各部を上、下、水平方向、側方等と称することがあるが、これらは特に断りのない限り、底面部を下面としてブランクシート、又は包装箱を視た場合の各部の相対的な位置関係を示すためのものであり、必ずしも包装箱の向き等を定めるものではない。
【0016】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の包装箱1は、側板により形成される筒体10と、筒体10の下端側開口部を閉じる底面部55と、上端側開口部を閉じる蓋部50とを有し、蓋部50と筒体10の内面との間にロック機構を有している。
【0017】
包装箱1は、図2に示すように、一枚のブランクシート2により形成される。
ブランクシート2は、側板3~6と、側板3の上端縁3aに連接した内側天板7Aと側板5の上端縁5aに連接した外側天板7Bと、側板3~6の各下端縁3c~6cに連設した第1から第4の底フラップ11~14とを主として有している。
ブランクシート2は、剛性のある紙製又は合成樹脂製の1枚のシートを型抜きし,スリットや破断線を入れて形成されている。
【0018】
側板3~6は、側板3,4,5,6間に形成された折り曲げ線となる側辺bを介して一方向に4つ連設している。特に限定されるわけではないが、本実施形態において、図1に示す筒体10を組み立てた際に対向する一対の側板3,5は、矩形で水平方向に幅広に形成されている。また、筒体10に組み立てた際に対向する他の一対の側板4,6は、矩形で側板3,5よりも小さい幅で水平方向に幅広に形成されている。
【0019】
連接方向の両端に位置する側板3,6のうちの一方の側辺3bには、両端に位置する側板3,6同士を連結させて図1に示す筒体10とするための接合代28が設けられている。本実施形態では、接合代28は、台形で小幅に形成されている。接合代28を用いて側板3,6を連結させることにより、図1に示す4つの側板3~6が空間を矩形に取り囲む筒体10を形成するようになっている。
【0020】
対向する一方の側板4,6の上端縁4a,6aには、図1に示す筒体10の上端側開口部の一部を覆う側板フラップ8,9が形成されている。
側板フラップ8は、側板5側の角部が隣接する板部に一部切り取られた形状を有している。
側板4と側板フラップ8との間の折り曲げ線4aの中央部分には、後述する差し込みフラップ21を受け入れる差し込みスリット15が形成されている。
【0021】
差し込みスリット15の中央部分には、差し込みスリット15の延在方向に沿って、ブランクシート2の厚さに相当する幅の細長い差し込み孔17が形成されている。差し込み孔17の前記幅方向に直交する長手方向の寸法は、後述の係止固定片30の幅に対応している。
側板フラップ8には、差し込みスリット15を下底辺とする略台形形状の内フラップ16が形成されている。
【0022】
内フラップ16は、差し込みスリット15の両端から側板フラップ8の先端縁8a側に延びる傾斜スリット16b,16bと、傾斜スリット16b,16bの先端間を結ぶ折り曲げ線16cとにより囲まれて形成されている。
内フラップ16は、折り曲げ線16cを中心として上下動できるようになっている。
側板6に連接している側板フラップ9は、側板フラップ8と左右対称に形成されている。
【0023】
互いに対向する他の側板3,5の上端縁3aには、図1に示す筒体10の上端側開口部を開閉する内側天板7Aが連設している。
内側天板7Aは、側板フラップ8,9の延出寸法の2倍程度の延出寸法で、図7に示すように側板3~6を筒体10に組み立てた際に内側天板7Aの先端縁19a(図2参照)が差し込みスリット15の遠い方の端部15dに達する程度に設定されている。
【0024】
図2に示すように、内側天板7Aの基端側の半部19Dであって、側板フラップ8の先端縁付近までは、側板3の幅寸法と同寸法に形成されている。内側天板7Aの先端側の半部19Eは、基端側の半部19Dよりも僅かに小さい幅寸法で形成されている。具体的には内側天板7Aの先端側の半部19Eは、図7に示すように側板3~6を筒体10に組み立てて側板フラップ8,9及び内側天板7Aで上端側開口部を覆った際に、差し込みスリット15及び差し込み孔17の全体が上面側に露出し得る程度小幅に設定されている。
【0025】
内側天板7Aの上端縁3aからの先端縁19a方向のほぼ中央部には、略逆U字型の切り込み18が形成され、切り込み18の両端を結ぶ折り曲げ線18cを中心として、上下動することが可能となっている。
【0026】
側板3に対向する側板5の上端縁5aに連設している外側天板7Bは、上端縁5aから先端縁20aまで側板5と同幅の略矩形に形成されており、内側天板7Aの上面を一部覆う延出寸法で形成されている。
外側天板7Bの延出方向のやや基端側には、基端縁に平行な折り曲げ線20dが形成されている。
【0027】
外側天板7Bの両側辺20b,20bであって、折り曲げ線20dを越えた部分には、隣接する側板フラップ8又は側板フラップ9側に延出する差し込みフラップ21が形成されている。
外側天板7Bには、上端縁5aの中央付近の互いに離間する2点p,pから、差し込みフラップ21の外端縁21yと側辺20bとの交点に向けて破断線22,22が形成されている。
【0028】
破断線22は、側板5の上端縁5aを超えて側板5内に食い込んでいる。側板5内では、破断線22は略矩形に形成されている。
差し込みフラップ21は、外側天板7Bの側辺20bを下底辺とし、突出方向にややすぼむ略台形に形成されている。
【0029】
差し込みフラップ21には、係止固定片30の相似形で係止固定片30よりもわずかに大きい被係止孔29が形成されている。具体的に被係止孔29は、略ベース型で、側辺20bに沿って設けられ製函時に側板4の上端縁4aと略重なる水平端縁29aと、水平端縁29aの両端から略垂直で外側天板7Bから離れる方向に延び、その後徐々に近接するように延びる係止端縁29bとに囲まれて形成されている。
【0030】
各側板3~6の下端縁3c~6cには、図6に示す底面部55を形成する第1底フラップ11から第4底フラップ14が連設している。
側板3の下端縁3cに連設している第1底フラップ11は、側板の3の下端縁3cを下底辺とする概略台形で傾斜辺40d,40fが一部段差部を有しているベース部40と、ベース部40の第2の内側傾斜辺40fから突出した連動結合部41と、第1の内側傾斜辺から突出した係止小片42とを有している。
連動結合部41は、第2底フラップ12と接合してこれらと連動するよう構成されている。
【0031】
ベース部40は、下端縁3cと、下端縁3cの一端から急峻に立ち上がる外側傾斜辺40bと、外側傾斜辺40bの先端から下端縁3cに略平行に延びる先端辺40aと、先端辺40aの端から下端縁3cに対して緩やかな傾斜を成す第1の内側傾斜辺40dと、第1の内側傾斜辺40dから延びる水平辺40eと、下端縁3cに向けて更に斜めに延びる第2の内側傾斜辺40fとに囲まれている。
第3底フラップ13は、第1底フラップ11と同形状に形成されている。第3底フラップ13の連動結合部41は、第4底フラップ14と接合してこれらと連動するよう構成されている。
【0032】
第2底フラップ12は、略台形に形成されている。
第2底フラップ12の内面側のほぼ中央部分には、係止固定片30を切り出して設ける切り込み30aが形成されている。係止固定片30を形成する切り込み30aは、ブランクシート2の状態で上方にすぼむ略ベース型に形成されている。
【0033】
切り込み30aは、側板4の下端縁4cで第2底フラップ12を折り曲げて側板4に対向させた際に、切り込み30aの水平に延びる辺が側板4の上端縁4aであって同上端縁4aの中央部分に位置するように形成されている。
第4底フラップ14は、第2底フラップ12と同形状に形成されている。第4底フラップ14にも、第2底フラップ12と同様の係止固定片30を形成する切り込み30aが形成されている。
【0034】
以上の構成を有するブランクシート2を折り畳まれた製函前の包装箱1aに作成する方法について説明する。
ブランクシート2の第1底フラップ11から第4底フラップ14を側板3~6の各下端縁3c~6cで側板3~6の内面側(すなわち図2に表示されている面の反対側)に折り曲げる。下端縁3c~6cで折り曲げられた第1底フラップ11と第3底フラップ13の連動結合部41を第2の内側傾斜辺40fにおいて更に第1底フラップ11及び第3底フラップ13の外面側に折り曲げ、各連動結合部41の面上(すなわち内面側)に接着剤を塗布しておく。
【0035】
その上で、側板3,4の間の側辺b及び側板5,6の間の側辺bにおいて、図3又は図4に示すように、側板3,6をそれぞれ側板4,5の内面に重ねるように折り曲げる。この際、接合代28の外面に接着剤を塗布しておく。また、第2底フラップ12に形成された係止固定片30を切り出す切りこみ30aの内側にも接着剤を塗布しておく。
【0036】
そうすると、第1底フラップ11の連動結合部41が第2底フラップ12の一部に重なって貼着し、第3底フラップ13の連動結合部41が第4底フラップ14の一部に重なって貼着する。また接合代28に側板6が重なって貼着する。また、第2底フラップ12及び第4底フラップ14の切り込み30aに囲まれた部分が側板4,6に貼着する。
【0037】
これにより、第1底フラップ11から第4底フラップ14は、側板3~6を立体に起こした際に、図6に示すように、それぞれの少なくとも一部が底面視反時計回りに隣り合う底フラップに重なり、底面部55の全体をしっかりと閉塞できる、いわゆるワンタッチ底となる。
【0038】
また、第1底フラップ11及び第3底フラップ13には互いに噛み合って固定する係止小片42が形成されているため、底面部55の形成時に係止小片42が互いに係合して容易には外れないボトムロック式の底面部55が形成される製函前ボックス1aが作成される。
【0039】
以上の製函前ボックス1aを製函して、蓋部を閉じて包装箱をロックするには、図3に示す製函前ボックス1aの側板3~6を、図5に示すように、各側辺b,b・・において直角に起こして筒体10を組む。その際、図6に示すように連動結合部41によって連結された隣接する第1から第4の底フラップ11~14が引き起こされ、矩形の底面部55を形成し、係止小片42同士が互いに噛み合って底面部が固定され、図7に示すように収容部Sが形成される。
【0040】
また、図5に示すように、切り込み30aの内側が側板4,6に貼着した状態で第2底フラップ12及び第4底フラップ14が側板4,6に対して直角に立ち上げられ、切り込み30aの内側が第2底フラップ12及び第4底フラップ14のそれぞれから分離して、係止固定片30が側板4,6に形成される。
そこで、収容部Sに不図示の被梱包物を入れ、図7に示すように、側板フラップ8,9及び内側天板7Aを各側板に対し約90°に折り曲げて上端側開口部の一部を覆う。
【0041】
この状態で、内側天板7Aが側板フラップ8,9上に重なるが、内側天板7Aの先端側19Eがやや幅狭に形成されているため、側板フラップ8,9の基端側の差し込みスリット15及び差し込み孔17が露出する。また、係止固定片30の水平端縁が側板4,6の上端縁4a,6aに重なった状態で差し込み孔17に対応する側板4,6の位置に貼着しているため、差し込み孔17から係止固定片30の切り出された上端面が露出する。
【0042】
そこで、図1に示すように、差し込みフラップ21を外側天板7Bの側辺20bに沿って折り曲げ、差し込みフラップ21を差し込み孔17から覗いた係止固定片30の内側から徐々に差し込もうとする。そうすると、差し込みフラップ21の角部が係止固定片30を取り囲んでいる内フラップ16の表面に接触して、内フラップ16を下方に少しずつ押込み、差し込みフラップ21の挿入隙間を形成しながら差し込みフラップ21が側板4,6の内側に進入する。
【0043】
外側天板7Bが内側天板7A及び側板フラップ8,9に重なると、図8に示すように、差し込みフラップ21が完全に差し込みスリット15内に挿入された状態となり、側板4,6の内面に貼着された係止固定片30が被係止孔29に嵌め込まれ、更に差し込みフラップ21の先端が第3底フラップ13,第1底フラップ11と側板4,6との間に嵌め込まれる。
【0044】
差し込みフラップ21は、外側天板7Bの側辺20bにおいて折り曲げられているため、元(すなわち平板状態)に戻ろうとする力が働く。したがって、差し込みフラップ21が差し込みスリット15内に挿しこまれると、側板4,6の内面を押し付ける方向、すなわち被係止孔29内に係止固定片30を嵌めようとする方向に力が働くため、被係止孔29と係止固定片30との嵌合が容易には外れない。
【0045】
また、包装箱1は、差し込みフラップ21の先端が第1又は第3底フラップ11,13と側板6,4との隙間にはまって第1又は第3底フラップ11,13に係合するので、係止固定片30と被係止孔29との嵌合が解除する方向に差し込みスリット15が動くことがさらに確実に防止される。また、差し込みフラップ21の先端で僅かに押し込んだ内フラップ16も下方に押し込まれた状態で差し込みフラップ21の被係止孔29が係止固定片30に嵌合するので、内フラップ16も差し込みフラップ21を側板4,6側に抑えた状態で保持する。
【0046】
以上のようにして、包装箱1のロック状態が形成される。
包装箱1を開口するにあたっては、図9に示すように、側板5に形成された破断線22に囲まれた部分を押して側板5の上部を破断し、破断により形成された孔から外側天板7Bの破断線22,22に沿って外側天板7Bを破ることによって開口することができる。
【0047】
以上のように、本発明のブランクシート2によれば、折り曲げ線及び切り込み30a等を形成するだけで、非常に容易に差し込みフラップ21を側板4,6に固定する係止機構を形成することができるという効果を奏する。
【0048】
また、製函前ボックス1a又は包装箱1は、シンプルな構成で、確実なロック状態を作ることができるという効果を奏する。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態において第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と頃なる構成等を主に説明する。
図10及び図11に示すように、本実施形態のブランクシート2a,2bは、蓋部2bが筒体10と別個に設けられている点で内側天板7A及び外側天板7Bを側板3,5に連接させた第1の実施形態と異なっている。また、本実施形態では、切り込み30aを側板フラップ8,9に設けた点で、係止固定片30を形成する切り込み30aを底フラップに形成した第1の実施形態と異なっている。
【0050】
ブランクシート2a,2bは、図1に示すような筒体10を形成する側板3~6と筒体10の下側を閉じる底フラップ11~14とを形成する箱用ブランクシート2aと、天板60及びスリーブ61を有する蓋部材用ブランクシート2bとにより構成されている。
【0051】
詳細には、箱用ブランクシート2aは、側板3~6の下端縁3c~6cに連接した底フラップ11~14と、互いに対向する側板4,6の上端縁4a,6aに連接した側板フラップ8,9とを有している。
【0052】
各側板フラップ8,9に、差し込みスリット15及び差し込みスリット15を一辺とする内フラップ16が形成されている点では第1の実施形態と同様であるが、本実施形態では、内フラップ16内に係止固定片30を形成可能な切り込み30aが形成されている。また、側板フラップ8,9は、第1の実施形態のように内側天板7Aや外側天板7Bに隣接しないため、概ね台形に形成されている。
【0053】
切り込み30aは、側板フラップ8,9を上端縁4a,6aで折り曲げて側板4,6の内面に折り重ねた際に、水平な線が上端縁4a,6aに略達して、仮想線で示す位置に係止固定片30が形成されるよう、設けられる係止固定片30と上下対称に形成されている。
【0054】
蓋部材用ブランクシート2bは、筒体10の上端側開口部を覆う天板60と、折り曲げ線となる対向する2辺を介して天板60に連接したスリーブ61,61と、他の対向する2辺に連接した差し込みスリット21,21とを有している。
【0055】
以上の構成を有する箱用ブランクシート2aは、切り込み30aの内面に接着剤を塗布した状態で側板フラップ8,9を側板4,6の内面に折り重ね、その上で底フラップ11~14及び側板3~6を第1の実施形態と同様に折り曲げ、製函前ボックスとする。
製函時には、製函前ボックスの側板3~6を立体にして、筒体10と底面部55を形成する。側板フラップ8,9は、手で引き起こす。
【0056】
そうすると、切り込み30aに囲まれた部分が側板4,6に貼着して残された状態で、それ以外の部分が引き起こされる。これにより、側板4,6に係止固定片30が形成される。
【0057】
以上により箱部分が形成されるので、蓋部材用ブランクシート1bのスリーブ61,61及び差し込み片21,21をそれぞれ天板60に対して約折り曲げ90°折り曲げ、差し込みフラップ21及びスリーブ60を箱内に挿入する。
【0058】
そうすると、差し込みフラップ21が第1の実施形態と同様にして差し込みスリット15内に挿入され、被係止孔30aが係止固定片30に嵌合してロックがかかる。
以上の構成を有する包装箱、製函前ボックス及びブランクシート2a,2bによっても、第1の実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0059】
なお、第1の実施形態において、底面部55をワンタッチ底の構成で例示したが、底部50の構成は、底板フラップに係止固定片30を形成する切り込み30aを形成しておき、切り込み30aを形成した底フラップを側板に重ね合わせた状態で折り畳み状態の製函前ボックス1aとすることができる限り、どのような構成であってもよい。
【0060】
また、係止固定片30は、ユーザーが係止固定片30の存在を認識してこれを避けつつ差し込みフラップ21を挿入することが出来るのが好ましいので、係止固定片30は、側板の上端縁にできるだけ近い位置に設けられることが好ましい。しかし、差し込みフラップ21が係止固定片30を超えて被係止孔29に嵌合できるよう挿入可能であれば、係止固定片30の形状及び配置は特に限定されるものではない。また差し込み孔17は必須ではなく、差し込み孔17に代えて凹所が形成されていてもよい。
【0061】
なお、上下方向に長い側板3~6を有する包装箱にあっては、底フラップ12,14に係止固定片30の切り込み30aを設けると底フラップ12,14の延出長さを大きくしなければならず、また十分に寸法を取れない場合もある。このような場合には、第2の実施形態のように、切り込み30aを側板フラップ8,9に設けることが非常に有効となる。
【0062】
また、差し込みフラップ21は、外側天板7Bの両側辺20b,20bに形成されていることが好ましいが、いずれか一方、又はいずれか一方と先端縁20a、又は両側辺20b,20bと先端縁20aに設けられていてもよい。その場合、形成した差し込みフラップ21に対応する側板に係止固定片30を設けておけば、上記実施形態と同様の機能及び効果を得ることができる。
【0063】
また、側板フラップ8,9は、差し込みスリット15を形成することにより、差し込みフラップ21を垂直方向に挿入させ易くなるため設けることが好ましいが、側板フラップ8,9は、必須ではない。
【0064】
また、内側天板7Aは、筒体10の閉蓋を確実にし得るため設けるのが好ましいが、外側天板7Bが筒体10の上端側開口部の全体を閉じることができるのであれば、必須ではない。
【符号の説明】
【0065】
1 包装箱
1a 製函前ボックス
2 ブランクシート
3,4,5,6 側板
15 差し込みスリット
16 内フラップ
17 差し込み孔
21 差し込みフラップ
29 被係止孔
30 係止固定片
40 底面部
50 蓋部
55 底面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11