(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】取付ユニット及び異物侵入抑制装置
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240326BHJP
E04D 13/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
E04D13/00 J
(21)【出願番号】P 2020079981
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】593054860
【氏名又は名称】スワロー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 正則
(72)【発明者】
【氏名】野澤 良介
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208451(JP,A)
【文献】特開2019-058078(JP,A)
【文献】特開2018-105002(JP,A)
【文献】実開平05-075345(JP,U)
【文献】登録実用新案第3135777(JP,U)
【文献】国際公開第2012/043656(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0012573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
A01M 1/00-99/00
H02S 20/20-20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に固定された設置物が有する取付部に取り付けられる取付ユニットであって、
前記設置面から離れ
て位置
する前記取付部をクランプするクランプ手段と、
前記クランプ手段に支持され、保持物の第1部分を保持する第1保持手段と、
前記クランプ手段に支持され、前記保持物における前記第1部分よりも前記設置面に近い第2部分を保持する第2保持手段と、を備える、
取付ユニット。
【請求項2】
前記取付部の板部が嵌合することにより前記取付ユニットを前記取付部に位置決めする嵌合穴を有する位置決め手段を備え、
前記嵌合穴内の側面に
は凸部が形成される、
請求項1に記載の取付ユニット。
【請求項3】
前記第2保持手段は、
前記保持物の前記第2部分を保持するスライド保持部材と、
前記スライド保持部材を前記設置面に交わる方向にスライド可能に支持するスライド案内部と、
前記スライド保持部材を前記スライド案内部に固定する固定部材と、を備える、
請求項1又は2に記載の取付ユニット。
【請求項4】
前記クランプ手段は、
前記取付部を挟み込むように配置されるねじ螺合部及び突き当て部と、
前記ねじ螺合部に螺合され、前記取付部を前記突き当て部に向けて押すクランプねじと、を備え、
前記スライド保持部材には、前記スライド保持部材のスライド方向に沿って延び、前記固定部材である固定ねじの軸部が通過するスライド許容孔が形成される、
請求項3に記載の取付ユニット。
【請求項5】
前記スライド許容孔は前記スライド保持部材が前記クランプねじに近づくように前記設置面から離れる方向へスライドしたときに前記スライド許容孔内に前記クランプねじの軸部が進入可能となるように開口して形成され、
前記第2保持手段は、
前記固定ねじの前記軸部の周囲に位置し、前記固定ねじの頭部に接する位置に設けられるリング部材を備え、
前記スライド保持部材は、
前記スライド許容孔が形成される基板部と、
前記基板部に交わる方向に延び、前記リング部材に接触することにより前記固定ねじの前記軸部が前記スライド許容孔から抜け出ることを規制する抜け止め部と、を備える、
請求項4に記載の取付ユニット。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の取付ユニットと、
ネットである前記保持物と、を備え、
前記取付部は太陽光発電モジュールの外枠フレームである、
異物侵入抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付ユニット及び異物侵入抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の防鳥具は、ソーラーパネルの筐体にネットを接着するネット固定具と、屋根にネットを押えつけて固定するネット押えテープと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成においては、ネット押えテープによりネットの下端を屋根に固定するため、屋根に凹凸があったり屋根面が汚れていたり等の屋根の状態によりネットを取り付けることが困難となる。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、より簡単に保持物を取り付けることができる取付ユニット及び異物侵入抑制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る取付ユニットは、設置面に固定された設置物が有する取付部に取り付けられる取付ユニットであって、前記設置面から離れて位置する前記取付部をクランプするクランプ手段と、前記クランプ手段に支持され、保持物の第1部分を保持する第1保持手段と、前記クランプ手段に支持され、前記保持物における前記第1部分よりも前記設置面に近い第2部分を保持する第2保持手段と、を備える。
【0007】
また、上記取付ユニットにおいて、前記取付部の板部が嵌合することにより前記取付ユニットを前記取付部に位置決めする嵌合穴を有する位置決め手段を備え、前記嵌合穴内の側面には凸部が形成される、ようにしてもよい。
【0008】
また、上記取付ユニットにおいて、前記第2保持手段は、前記保持物の前記第2部分を保持するスライド保持部材と、前記スライド保持部材を前記設置面に交わる方向にスライド可能に支持するスライド案内部と、前記スライド保持部材を前記スライド案内部に固定する固定部材と、を備える、ようにしてもよい。
【0009】
また、上記取付ユニットにおいて、前記クランプ手段は、前記取付部を挟み込むように配置されるねじ螺合部及び突き当て部と、前記ねじ螺合部に螺合され、前記取付部を前記突き当て部に向けて押すクランプねじと、を備え、前記スライド保持部材には、前記スライド保持部材のスライド方向に沿って延び、前記固定部材である固定ねじの軸部が通過するスライド許容孔が形成される、ようにしてもよい。
【0010】
また、上記取付ユニットにおいて、前記スライド許容孔は前記スライド保持部材が前記クランプねじに近づくように前記設置面から離れる方向へスライドしたときに前記スライド許容孔内に前記クランプねじの軸部が進入可能となるように開口して形成され、前記第2保持手段は、前記固定ねじの前記軸部の周囲に位置し、前記固定ねじの頭部に接する位置に設けられるリング部材を備え、前記スライド保持部材は、前記スライド許容孔が形成される基板部と、前記基板部に交わる方向に延び、前記リング部材に接触することにより前記固定ねじの前記軸部が前記スライド許容孔から抜け出ることを規制する抜け止め部と、を備える、ようにしてもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る異物侵入抑制装置は、前記取付ユニットと、ネットである前記保持物と、を備え、前記取付部は太陽光発電モジュールの外枠フレームである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取付ユニット及び異物侵入抑制装置において、より簡単に保持物を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る異物侵入抑制装置の概略側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る取付ユニットの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るネットの正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る(a)は取付ユニットの正面図であり、(b)は取付ユニットの平面図であり、(c)は取付ユニットの側面図であり、(d)は(c)の一部を拡大した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る(a)はスライド保持部材の可動範囲を示す取付ユニットの正面図であり、(b)はスライド保持部材の可動範囲を示す取付ユニットの側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る(a)~(f)は、それぞれ形状の異なる取付部へ取り付けられる取付ユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る取付ユニット及び異物侵入抑制装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、異物侵入抑制装置1は、屋根面である設置面90に設置される太陽光発電モジュール80と設置面90の隙間S1に異物I1が侵入することを抑制する。
【0015】
異物侵入抑制装置1は、ネット10と、取付ユニット20と、を備える。
図3に示すように、ネット10は、ポリエチレン等の樹脂により格子状に形成され、可撓性を有している。
詳しくは、ネット10は、幅方向Wに延びる複数の横線状部11と、高さ方向Hに延びる複数の縦線状部12と、を備える。複数の横線状部11は高さ方向Hに沿って並べられている。複数の縦線状部12は幅方向Wに沿って並べられている。各縦線状部12と各横線状部11は交点にて連結されている。
ネット10の格子を構成する正方形は20mm×20mmである。この正方形のサイズは、鳥類、枝又は落葉等の異物I1が通過しないように、かつ通気性が確保されるように設定される。
【0016】
図1に示すように、ネット10の上部及び下部は、太陽光発電モジュール80の取付部81に取り付けられる取付ユニット20により保持される。取付部81は設置面90から離れた位置で設置面90上に固定されている。ネット10は、作業者から見て凹状に撓んだ状態で取付ユニット20により保持される。
縦線状部12の先端部12a(ネット10の設置面90に近い端部)は設置面90に接触する。縦線状部12の先端部12aは鳥類等の動物を威嚇するために隙間S1とは反対側の外側に向けて延びている。縦線状部12は幅方向Wに沿って並べられているため、ネット10の先端部12aはくし状に外側に向けて延びている。
縦線状部12の先端部12aは、設置面90に接触していてもよいし、設置面90との間に隙間を有していてもよい。
【0017】
図1に示すように、取付ユニット20は、クランプ金具30と、スライド保持部材40と、クランプねじ21と、固定ねじ22と、リング部材23と、を備える。
【0018】
クランプ金具30は、クランプねじ21と協働して取付部81を挟持し、スライド保持部材40を高さ方向Hにスライド可能に保持する。
図2に示すように、クランプ金具30は、基板部31と、一対の側壁部32と、一対の突き当て部33と、スライド案内部34と、ねじ螺合部35と、第1保持部37と、を備える。
基板部31は、高さ方向Hに交わる方向に沿う矩形、例えば、奥行き方向Dに長い長方形板状をなす。奥行き方向Dは、作業者から見て、太陽光発電モジュール80と設置面90の隙間S1に向かう方向である。一対の側壁部32は、それぞれ、基板部31の奥行き方向Dに延びる両縁部に設けられる。一対の側壁部32は、基板部31に直交して基板部31の上側に位置する。一対の側壁部32は、基板部31におけるねじ螺合部35から遠い端部に位置する。
一対の突き当て部33は、一対の側壁部32におけるねじ螺合部35に近い端部に位置する。一対の突き当て部33は、一対の側壁部32に直交し、互いに離れるように外側に延びる。一対の突き当て部33はねじ螺合部35に対面する。
【0019】
一対の側壁部32には、ねじ螺合部35に向けて開口する嵌合穴32aが形成される。嵌合穴32a内に
図6(a),(d),(f)に示す取付部81a,81d,81fの板部82a,82d,82fが嵌合することにより取付ユニット20が取付部81に対して傾いた状態となることが抑制される。
図4(d)に示すように、嵌合穴32a内には凸部32b及び凹部32cが形成される。
凸部32bは、
図6(f)に示す取付部81fの板部82fを位置決めする。凸部32bは、嵌合穴32aの上面に設けられ、この上面の奥行き方向Dの中央部に設けられる。凸部32bは矩形、例えば、平行四辺形板状をなす。凸部32bにおけるねじ螺合部35に近い側面は、
図6(f)に示す取付部81fの板部82fの先端が接触し、下側に向かうにつれてねじ螺合部35に近づくように傾斜する。
図4(d)に示すように、凹部32cは、嵌合穴32aの下面に設けられる。凹部32cは矩形、例えば、平行四辺形の穴形状をなす。凸部32b及び凹部32cは高さ方向Hに対向する位置に設けられる。凹部32cの奥行き方向Dの幅は、凸部32bの奥行き方向Dの幅よりも大きく設定される。
【0020】
図4(d)に示すように、第1保持部37は、基板部31の下面にネット10の上部の横線状部11を保持する。第1保持部37は、傾斜部37aと、ネット受け部37bと、を備える。ネット受け部37bは幅方向Wから見て略L字板状をなし、基板部31の下側に位置する。ネット受け部37bは横線状部11が位置する空間を有し、傾斜部37aに向けて開口する開口部を有する。傾斜部37aは、ネット受け部37bの開口部に近い位置に設けられる。傾斜部37aは、奥行き方向Dにおいてネット受け部37bの開口部に近づくにつれて下側に向かうように傾斜する。傾斜部37aとネット受け部37bの間の隙間は、横線状部11をその厚さGから挿入可能な大きさに設定される。傾斜部37aとネット受け部37bの間の隙間は、横線状部11の厚さGよりも大きく、かつ、横線状部11の高さJよりも小さく設定される。
【0021】
図2に示すように、ねじ螺合部35は、矩形板状に形成され、基板部31における側壁部32が位置する端部とは反対側の端部に位置し、基板部31に直交して上側に向けて延びる。
図4(c)に示すように、ねじ螺合部35には、クランプねじ21の軸部21aが螺合する貫通孔35aが形成される。クランプねじ21の軸部21aは、ねじ螺合部35の貫通孔35aに螺合される。クランプねじ21の軸部21aの先端は取付部81(
図1参照)に接触することにより、クランプねじ21の軸部21aと突き当て部33の間に取付部81がクランプされる。これにより、取付ユニット20は取付部81に固定される。
【0022】
図2に示すように、スライド案内部34は、スライド保持部材40を高さ方向Hに沿ってスライド可能に支持する。スライド案内部34は、基板部34aと、一対の側壁部34bと、を備える。基板部34aは、奥行き方向Dに直交する方向に下側に延びる矩形板状をなす。基板部34aには、
図4(c)に示すように、固定ねじ22の軸部22aが螺合する貫通孔34cが形成される。固定ねじ22は、スライド保持部材40をスライド案内部34に固定する。
図2に示すように、一対の側壁部34bは、基板部34aに直交する方向に延び、基板部34aの高さ方向Hに沿う両縁部に位置する。一対の側壁部34bはスライド保持部材40を幅方向Wから挟み込むように位置する。
【0023】
スライド保持部材40は、スライド保持部材40の下端においてネット10の下部を保持する。スライド保持部材40は、本例では樹脂により形成されているが、これに限らず、金属により形成されていてもよい。スライド保持部材40は、作業者によりスライド案内部34に対する位置が調整可能であり、調整された位置で固定ねじ22の頭部22bとスライド案内部34の間で固定される。
【0024】
図2に示すように、スライド保持部材40は、基板部41と、補強用リブ44と、一対の第2保持部42と、一対の抜け止め部45と、を備える。
基板部41は、奥行き方向Dに直交する方向に延びる矩形板状、例えば、高さ方向Hに長い長方形板状をなす。基板部41には、上側に開口する高さ方向Hに長いスライド許容孔41aが形成される。
図2及び
図4(a)に示すように、スライド許容孔41aが形成される領域の基板部41の幅W1は、第2保持部42に対応する領域の基板部41の幅W2よりも大きく設定される。基板部41の幅W1の領域と基板部41の幅W2の領域は傾斜して連結される。幅W2は、複数の縦線状部12の配置間隔よりも小さく設定される。
図4(c)に示すように、第2保持部42は、補強用リブ44よりも奥行き方向Dに沿う高さが高く形成されている。第2保持部42と補強用リブ44は傾斜して連結される。
【0025】
図2に示すように、スライド許容孔41a内には、スライド保持部材40の位置に関わらず固定ねじ22の軸部22aが位置し、スライド保持部材40が上側にスライドされたときにクランプねじ21の軸部21aが進入する。
図4(a),(c)に示すように、スライド許容孔41aの幅W3は、固定ねじ22の軸部22aの径及びクランプねじ21の軸部21aの径よりも大きく、かつ、固定ねじ22の頭部22bの径及びクランプねじ21の頭部21bの径よりも小さく形成されている。
図2に示すように、一対の補強用リブ44は、基板部41に直交する方向に延び、基板部41の幅W1の領域の高さ方向Hに沿う両縁部に位置する。補強用リブ44は、スライド保持部材40の強度を高める。
一対の第2保持部42は、基板部41に直交する方向に延び、基板部41の幅W2の領域の高さ方向Hに沿う両縁部に位置する。一対の第2保持部42は、基板部41の下端との間にネット10の横線状部11が通過可能な隙間42aを形成する。隙間42aは横線状部11が挿入可能となるように下側に向けて開口する。
【0026】
図2に示すように、リング部材23は、固定ねじ22の軸部22aの外周であって、固定ねじ22の頭部22bと基板部41の間に位置する。リング部材23は、例えば、平座金からなり、例えば、固定ねじ22の緩み止めの機能を有していてもよい。リング部材23の外径は、スライド許容孔41aの幅W3よりも大きい。
一対の抜け止め部45は、基板部41に直交する方向に延び、スライド許容孔41aの開口部(スライド許容孔41aの上部)の両側に位置する。一対の抜け止め部45の間の隙間は、固定ねじ22の軸部22aの径よりも大きく、かつリング部材23の外径よりも小さく形成されている。一対の抜け止め部45は、リング部材23に接触することにより固定ねじ22がスライド許容孔41aから抜け出ることを防止する。
【0027】
図1に示すように、太陽光発電モジュール80の取付部81は、太陽光発電モジュール80の本体部82を支持する外枠フレームである。
図6(a)~(f)に示すように、取付部81a~81fは種類又は位置によって断面形状が異なる。本実施形態の取付ユニット20は、取付部81a~81fの形状に関わらず、取付部81a~81fに取り付け可能である。
例えば、
図6(a)に示すように、取付部81aの板部82aの先端は、嵌合穴32aに挿入され、嵌合穴32aの底面32zに当接する。嵌合穴32aの底面32zは、奥行き方向Dにおける嵌合穴32a内の最も深い面である。凸部32bは、板部82aの上面に接触する。クランプねじ21が取付部81aの背面81zを突き当て部33に向けて押すことにより、取付ユニット20が取付部81aに固定される。このとき、取付部81aは突き当て部33に接触していない。凸部32b及び凹部32cが形成されることにより板部82aは上面と下面で異なる位置で安定的に保持される。凹部32cが形成されることにより、板部82aを嵌合穴32a内に挿入することがスムーズとなる。
図6(d)に示す取付部81dは、
図6(a)に示す取付部81aと同様である。すなわち、
図6(d)に示すように、取付部81dの板部82dの先端が嵌合穴32aの底面32zに当接し、クランプねじ21が取付部81dの背面81zを突き当て部33に向けて押すことにより、取付ユニット20が取付部81dに固定される。
図6(d)に示す取付部81dは、
図6(a)に示す取付部81aよりもクランプねじ21によりクランプされる部材の厚さが薄いため、クランプねじ21の軸部21aが突き当て部33に近い位置となるようにクランプねじ21が回転される。
図6(b)に示す取付部81b、
図6(c)に示す取付部81c及び
図6(e)に示す取付部81eは、
図6(a),(d)に示す板部82a,82dを有しておらず、クランプねじ21と突き当て部33の間にクランプされる。このとき、取付部81b,81c,81eは突き当て部33に面接触する。
図6(f)に示すように、取付部81fの板部82fは、
図6(a),(d)に示す板部82a,82dよりも奥行き方向Dに短く、かつ上側に位置する。取付部81fの板部82fの先端は凸部32bの側面に接触する。クランプねじ21が取付部81fの背面81zを突き当て部33に向けて押すことにより、取付ユニット20が取付部81fに固定される。このとき、取付部81fは突き当て部33に接触していない。
【0028】
次に、異物侵入抑制装置1の取り付け作業について説明する。
作業者は、取付ユニット20の突き当て部33とねじ螺合部35の間に取付部81a~81fを位置させ、さらに、取付部81a,81d,81fについては板部82a,82d,82fを嵌合穴32aに挿入する。そして、図示しない工具を通じてクランプねじ21を回転させ、クランプねじ21と突き当て部33の間に取付部81a~81fをクランプする。
【0029】
次に、作業者は、
図4(d)及び
図5(b)に示すように、ネット10の上部の横線状部11を取付ユニット20の第1保持部37に保持させる。詳しくは、作業者は、ネット10を凹状に撓ませた状態で、横線状部11を傾斜部37aとネット受け部37bの間の隙間から第1保持部37内に挿入する。そして、作業者は、ネット10の下部を手前側に位置させ、ネット10の先端部12aを設置面90に接触又は接近させる。
【0030】
次に、作業者は、図示しない工具を通じて固定ねじ22を緩めて、
図5(a),(b)に示すように、スライド保持部材40をスライド案内部34に対して高さ方向Hにスライド可能な状態とする。
図5では、上限位置にあるスライド保持部材40を破線で示し、下限位置にあるスライド保持部材40を実線で示す。スライド保持部材40は、上限位置と下限位置の間の移動範囲MAにわたって移動可能となる。
作業者は、スライド保持部材40をスライドさせて、第2保持部42が形成する隙間42aにネット10の下部の横線状部11を挿入させる。その後、作業者は、図示しない工具を通じて固定ねじ22を締めて、スライド保持部材40をスライド案内部34に固定する。
以上により、取付ユニット20は、取付部81a~81fに固定された状態で、ネット10の上部及び下部を支持する。取付ユニット20は、ネット10の幅Wに沿って複数設けられてもよい。取付ユニット20は設置面90に接着する必要がないため、設置面90が凹凸を有している等の設置面90の状態に関わらず、ネット10を安定的に支持することができる。
【0031】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)取付ユニット20は、設置面90から離れた位置で設置面90上に固定された取付部81をクランプするクランプ手段の一例である突き当て部33、ねじ螺合部35及びクランプねじ21と、上記クランプ手段に支持され、保持物の一例であるネット10の第1部分の一例である上部を保持する第1保持手段の一例である第1保持部37と、上記クランプ手段に支持され、ネット10における上部よりも設置面90に近い第2部分の一例である下部を保持する第2保持手段の一例であるスライド保持部材40と、を備える。
この構成によれば、取付ユニット20は、取付部81にクランプした状態で、第1保持部37を介してネット10の上部を保持し、スライド保持部材40を介してネット10の下部を保持する。このように、上記構成では、ネット10を保持するスライド保持部材40が設置面90に設置されないため、設置面90の状態に関わらず、より簡単にネット10を取付ユニット20により保持することができる。
例えば、ネットを保持する保持部材を設置面に接着する比較例では、凹凸の起伏が激しい瓦屋根であったり、設置面の塗装が剥がれていたり、設置面が汚れていたりする等の設置面の状態によっては保持部材を設置面に固定することが困難となり、また、ネットを安定的に保持することが困難であった。上記構成の取付ユニット20では、設置面90に取付ユニット20を接着する必要がないことから、設置面90の状態に関わらず、より簡単に、かつ安定的にネット10を保持することができる。また、接着剤が乾くまでの時間を待つ必要がなくなり、作業時間を短縮できる。
【0032】
(2)取付ユニット20は、取付部81fの板部82fが嵌合することにより取付ユニット20を取付部81fに位置決めする嵌合穴32aを有する位置決め手段の一例である側壁部32を備える。嵌合穴32a内の側面である上面の中央部には、取付部81fの板部82fの先端が当接可能に設けられる凸部32bが形成される。
この構成によれば、取付部81fの板部82fが凸部32bに当接することにより、取付ユニット20は取付部81fに対してより安定的に位置決めされる。
【0033】
(3)上記第2保持手段は、ネット10の下部を保持するスライド保持部材40と、スライド保持部材40を設置面90に交わる高さ方向Hにスライド可能に支持するスライド案内部34と、スライド保持部材40をスライド案内部34に固定する固定部材の一例である固定ねじ22と、を備える。
この構成によれば、スライド保持部材40をスライドすることによりスライド保持部材40の位置を調整することができ、調整された位置でスライド保持部材40が固定ねじ22により固定される。これにより、スライド保持部材40がネット10の下部を確実に保持することができる。
【0034】
(4)上記クランプ手段は、取付部81を挟み込むように配置される突き当て部33及びねじ螺合部35と、ねじ螺合部35に螺合され、取付部81を突き当て部33に向けて押すクランプねじ21と、を備える。スライド保持部材40には、スライド保持部材40のスライド方向に沿って延び、固定部材の一例である固定ねじ22の軸部22aが通過するスライド許容孔41aが形成される。
この構成によれば、スライド許容孔41aにより固定ねじ22に対してスライド保持部材40がスライド可能となる。
【0035】
(5)スライド許容孔41aは、スライド保持部材40がクランプねじ21に近づくように設置面90から離れる方向へスライドしたときにスライド許容孔41a内にクランプねじ21の軸部21aが進入可能となるように開口して形成される。上記第2保持手段は、固定ねじ22の軸部22aの周囲に位置し、固定ねじ22の頭部22bに接する位置に設けられるリング部材23を備える。スライド保持部材40は、スライド許容孔41aが形成される基板部41と、基板部41に交わる方向に延び、リング部材23に接触することにより固定ねじ22の軸部22aがスライド許容孔41aから抜け出ることを規制する抜け止め部45と、を備える。
この構成によれば、作業中に、スライド保持部材40が固定ねじ22、ひいてはクランプ金具30から外れることが抑制される。よって、取付ユニット20によりネット10を張る作業性を向上させることができる。
また、スライド許容孔41a内にクランプねじ21の軸部21aが進入可能となることで、スライド保持部材40の移動範囲MAを大きくしつつ、取付ユニット20をコンパクトに構成することができる。
【0036】
(6)異物侵入抑制装置1は、取付ユニット20と、ネット10と、を備える。取付部81は太陽光発電モジュール80の外枠フレームである。
この構成によれば、取付ユニット20により簡単にネット10を取り付けることができ、ネット10により太陽光発電モジュール80と設置面90の間の隙間S1に鳥等の異物I1が侵入することが抑制される。
【0037】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0038】
(変形例)
上記実施形態においては、異物侵入抑制装置1は、太陽光発電モジュール80と設置面90の隙間S1に適用されたものであったが、太陽光発電モジュール80以外のエアコンディショナの室外機等の設置物と設置面90の隙間に適用されてもよい。さらに、異物侵入抑制装置1は、例えば地面又は床下と設置物の隙間に適用されてもよい。
上記実施形態においては、取付ユニット20は2箇所でネット10を保持していたが、ネット10以外のもの、例えば、融雪装置等を保持してもよい。
【0039】
上記実施形態においては、スライド許容孔41aは、上側に開口するように基板部41に形成されていたが、これに限らず、上側に開口しない長孔として形成されてもよい。
また、上記実施形態におけるスライド許容孔41aが省略されて、スライド保持部材40はレールに沿ってスライド案内部34に対してスライドしてもよい。
【0040】
上記実施形態においては、スライド保持部材40は、スライド案内部34によりスライド可能に支持されていたが、これに限らず、スライド不能にクランプ金具30に固定されてもよい。この場合、スライド保持部材40は、クランプ金具30と一体の金属により形成されてもよい。
【0041】
上記実施形態におけるリング部材23は固定ねじ22の頭部22bに一体形成されてもよい。すなわち、リング部材23は固定ねじ22の頭部22bの一部として形成されてもよい。
上記実施形態におけるリング部材23及び抜け止め部45は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…異物侵入抑制装置、10…ネット(保持物の一例)、11…横線状部、12…縦線状部、12a…先端部、20…取付ユニット、21…クランプねじ(クランプ手段の一例)、21a,22a…軸部、21b,22b…頭部、22…固定ねじ(第2保持手段の一例)、23…リング部材、30…クランプ金具、31…基板部、32…側壁部(位置決め手段の一例)、32a…嵌合穴、32b…凸部、32c…凹部、32z…底面、33…突き当て部(クランプ手段の一例)、34…スライド案内部(第2保持手段の一例)、34a…基板部、34b…側壁部、34c,35a…貫通孔、35…ねじ螺合部(クランプ手段の一例)、37…第1保持部(第1保持手段の一例)、37a…傾斜部、37b…ネット受け部、40…スライド保持部材(第2保持手段の一例)、41…基板部、41a…スライド許容孔、42…第2保持部、44…補強用リブ、45…抜け止め部、80…太陽光発電モジュール、81,81a~81f…取付部、81z…背面、82a,82d,82f…板部、90…設置面、H…高さ方向、D…奥行き方向、W…幅方向、I1…異物、S1,42a…隙間、MA…移動範囲