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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】包装容器のガス濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20240326BHJP
   G01M 3/38 20060101ALI20240326BHJP
   G01N 21/39 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01M3/38 K
G01N21/39
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020116390
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014186
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-107197(JP,A)
【文献】特表2010-521676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G01M 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、
特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが前記包装容器の幅方向または長さ方向の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計と、
前記包装容器の厚さ方向の少なくとも一方に配された吸着部を有し、
該吸着部が前記包装容器の外装フィルムを吸着して引張することにより、順次測定される前記包装容器の内部に前記レーザー発部と前記レーザー受光部間におけるレーザー光路が確保されて前記包装容器内の特定ガスの濃度が測定されるように構成されていることを特徴とする包装容器のガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記包装容器のガス濃度測定装置は、前記包装容器内のガス濃度を測定するための測定台を有し、前記包装容器は、前記測定台の上面載置部が上方に向かって凹状部を形成する湾曲面部に載置されるように構成されている請求項1に記載の包装容器のガス濃度測定装置。
【請求項3】
前記吸着部は、前記包装容器の厚さ方向の両側にそれぞれ配された一対の吸着体を有している請求項1または2に記載の包装容器のガス濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器内の特定ガスの濃度を測定することができる包装容器のガス濃度測定装置、および包装容器の特定ガスの漏洩の有無(包装リーク)を検出することができる包装容器のガス漏洩検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物、特に食品の場合には、保存期間、賞味期限を長くするために、包装時に包装容器内に残留する空気を排除して窒素、二酸化炭素等の不活性ガスを充填するガス置換包装が行われている。例えば特許文献1には、包装容器内に被包装物を投入すると共に包装容器に挿入したノズルから不活性ガスを充填して不活性ガスと包装容器内の酸素との置換作用を行なう不活性ガス充填方法が開示されている。
【0003】
そして、製品検査において、被包装物を包装済みの包装容器内に残存する酸素濃度を計測する方法として、本件出願人が、例えば特許文献2にレーザー式ガス濃度測定装置による計測方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3742042号公報
【文献】特許第5124719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、製品検査に使用して好適なレーザー式ガス濃度測定方法を利用した包装容器のガス濃度測定装置および包装容器のガス漏洩検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものは、被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが前記包装容器の幅方向または長さ方向の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計と、前記包装容器の厚さ方向の少なくとも一方に配された吸着部を有し、該吸着部が前記包装容器の外装フィルムを吸着して引張することにより、順次測定される前記包装容器の内部に前記レーザー発部と前記レーザー受光部間におけるレーザー光路が確保されて前記包装容器内の特定ガスの濃度が測定されるように構成されていることを特徴とする包装容器のガス濃度測定装置である(請求項1)。
【0007】
前記包装容器のガス濃度測定装置は、前記包装容器内のガス濃度を測定するための測定台を有し、前記包装容器は、前記測定台の上面載置部が上方に向かって凹状部を形成する湾曲面部に載置されるように構成されていることが好ましい(請求項2)。前記吸着部は、前記包装容器の厚さ方向の両側にそれぞれ配された一対の吸着体を有していてもよい。(請求項3)
【0008】
また、上記課題を解決するものは、被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが前記包装容器の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計を組み込んだ包装容器包囲体を有し、該包装容器包囲体は、前記包装容器に対して相対的に接近して包囲可能および離隔可能に構成されていることを特徴とする包装容器のガス濃度測定装置である。
【0009】
さらに、上記課題を解決するものは、被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが前記包装容器の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計を組み込んだ一方側包装容器包囲体と、該一方側包装容器包囲体に対向配置された他方側包装容器包囲体を有し、前記一方側包装容器包囲体および前記他方側包装容器包囲体は、前記包装容器に対してそれぞれ接近して前記一方側包装容器包囲体および前記他方側包装容器包囲体にて包囲可能および離隔可能に構成されていることを特徴とする包装容器のガス濃度測定装置である。
【0010】
さらに、上記課題を解決するものは、被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計と、前記包装容器内の空間を把握するための距離センサを有し、該距離センサによって測定領域内の前記空間を把握して前記包装容器内の特定ガスの濃度が測定されるように構成されていることを特徴とする包装容器のガス濃度測定装置である。
【0011】
さらに、上記課題を解決するものは、被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器の特定ガスの漏洩の有無を検出する包装容器のガス漏洩検出装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが前記包装容器の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計を組み込んだ包装容器包囲体を有し、該包装容器包囲体は、前記包装容器に対して相対的に接近して包囲可能および離隔可能に構成されると共に、包装容器プレス部を有し、該包装容器プレス部にて前記包装容器をプレスし包囲した状態で前記包装容器包囲体内の特定ガスの有無を検出するように構成されていることを特徴とする包装容器のガス漏洩検出装置である。
【0012】
さらに、上記課題を解決するものは、被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器の特定ガスの漏洩の有無を検出する包装容器のガス漏洩検出装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが前記包装容器の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計を組み込むと共に底部に開口を有した箱体を有し、該箱体は、前記包装容器に対して相対的に接近および離隔可能に構成されると共に包装容器プレス部を有し、前記包装容器は、被包装物充填用容器と該被包装物充填用容器の開口をシールするフィルムとを有し、該フィルムの上方に前記箱体が配置され前記包装容器プレス部にて前記フィルムをプレスした状態で前記箱体内の特定ガスの有無を検出するように構成されていることを特徴とする包装容器のガス漏洩検出装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の包装容器のガス濃度測定装置によれば、製品検査に使用して好適なレーザー式ガス濃度測定方法を利用したガス濃度測定装置を構成できる。
請求項2に記載の包装容器のガス濃度測定装置によれば、包装容器と上部載置面との間の空気を外に逃がし包装容器と上部載置面との間の密閉性を高めることで、外装フィルムの吸着性をより高めることができる。
請求項3に記載の包装容器のガス濃度測定装置によれば、包装容器の外装フィルムをより確実に吸着して引張することができ、レーザー発部とレーザー受光部間における包装容器内のレーザー光路をより確実に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の包装容器のガス濃度測定装置の一実施例の正面概略図である。
図2図1の平面概略図である。
図3】本発明の包装容器のガス濃度測定装置の他の実施例の正面概略図である。
図4図3の平面概略図である。
図5】本発明の包装容器のガス濃度測定装置の他の実施例の正面概略図である。
図6図5の平面概略図である。
図7】本発明の包装容器のガス濃度測定装置の他の実施例の正面概略図である。
図8図7の平面概略図である。
図9】本発明の包装容器のガス濃度測定装置の他の実施例の正面概略透視図である。
図10図9に示した包装容器のガス濃度測定装置の作用を説明するための正面概略透視図である。
図11】本発明の包装容器のガス濃度測定装置の他の実施例の正面概略透視図である。
図12図11に示した包装容器のガス濃度測定装置の作用を説明するための正面概略透視図である。
図13】本発明の包装容器のガス濃度測定装置の他の実施例の正面概略透視図である。
図14】本発明の包装容器のガス漏洩検出装置の一の実施例の正面概略透視図である。
図15図13に示した包装容器のガス漏洩検出装置の作用を説明するための正面概略透視図である。
図16】本発明の包装容器のガス漏洩検出装置の他の実施例の正面概略透視図である。
図17】本発明の包装容器のガス濃度測定装置または包装容器のガス漏洩検出装置におけるレーザー式ガス濃度計を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、特定波長のレーザー光を照射する発信器30を有するレーザー発生部1と、発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32を有するレーザー受光部2とを備え、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの幅方向または長さ方向の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計Mと、包装容器Hの厚さ方向の少なくとも一方に配された吸着部3を有し、吸着部3が包装容器Hの外装フィルムFを吸着して引張することにより、順次測定される包装容器Hの内部にレーザー発部1とレーザー受光部2間におけるレーザー光路が確保されて包装容器H内の特定ガスの濃度が測定されるように構成されていることで、製品検査に使用して好適なレーザー式ガス濃度測定方法を利用したガス濃度測定装置G1を実現した。
【実施例1】
【0016】
本発明の包装容器のガス濃度測定装置を図1図2または図17に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G1は、被包装物sを充填しガス置換して包装された包装容器H内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器30を有するレーザー発生部1と、発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32を有するレーザー受光部2とを備え、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの長さ方向の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計Mと、包装容器Hの厚さ方向の少なくとも一方に配された吸着部3を有し、吸着部3が包装容器Hの外装フィルムFを吸着して引張することにより、順次測定される包装容器Hの内部にレーザー発部1とレーザー受光部2間におけるレーザー光路が確保されて包装容器H内の特定ガスの濃度が測定されるように構成されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0017】
この実施例のガス濃度測定装置被包装物G1は、被包装物(この実施例では切り餅)sを充填しガス置換して包装された包装容器(この実施例では包装袋)H内の特定ガスの濃度を順次測定するものである。
【0018】
具体的には、この実施例の包装容器Hのガス濃度測定装置G1は、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスによりガス置換をして包装された包装容器H1内の特定ガスである残存酸素の濃度をレーザー式ガス濃度計Mによって測定するものであり、単独のガス濃度測定装置として使用され、またはロータリー式ガス充填包装機等の各種包装機の検査工程に設置して使用される。
【0019】
レーザー式ガス濃度計Mは、特定波長のレーザー光を照射する発信器30を有するレーザー発生部1と、発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32を有するレーザー受光部2とを備えており、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの長さ方向(図1中水平方向の両側)にそれぞれ対向して配されるように構成されている。
【0020】
レーザー式ガス濃度計Mは、半導体レーザーを光源とする赤外線吸収分光法を利用するもので、測定対象の分子に固有周波数の光を与えると光エネルギーを吸収しこれを測定することによりガス濃度の表示を行なうものである。レーザー式ガス濃度計Mは、図17に示すような構成を有しており、レーザー発生部1とレーザー受光部2とを備えている。
【0021】
具体的には、レーザー発生部1は、特定波長のレーザー光を発生させてファイバーケーブル75を介して測定ガスに照射する機能を有し、発信器30、レーザーダイオードに安定電源を供給する電源ユニット71、レーザーダイオードから出力されるレーザー光の波長およびその強度を安定するための冷却器ユニット72、冷却器ユニット72の冷却器の温度を一定にするための温度コントローラ73を有している。
【0022】
レーザー受光部2は、ファイバーケーブル82を介して測定ガスにより吸収されたレーザー光の強度を測定してその強度からガス濃度を出力させる機能を有し、受信器32、上記レーザー発生部1から照射されたレーザー光が測定ガスを通過して吸収されたレーザー光を測定して酸素濃度に変換して表示を行なう計測・表示ユニット81を有している。
【0023】
発信器30から照射する特定波長のレーザー光は、酸素ガスの場合、波長(固有周波数)760~770nmの範囲から選択される。発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32としては図17に示すように反射プリズムを用いる場合もある。77は発信器30から照射され測定ガスを透過して受信器(反射プリズム)32を経てキャッチしたレーザー光を電流に変換して計測・表示ユニット81に出力する検出部である。
【0024】
吸着部3は、包装容器Hの厚さ方向の少なくとも一方(この実施例では、包装容器Hの厚さ方向の下方)に配され、包装容器Hの外装フィルムFを吸着して引張するための部位である。この実施例の吸着部3は、真空ポンプ等の吸引源に接続された吸着パットにて構成されており、測定台4に載置された包装容器Hを下方から吸着することにより、順次測定される包装容器Hのレーザー発部1とレーザー受光部2間(この実施例では水平方向に沿った空間k)における包装容器H内部にレーザー光路が水平方向に沿って確保されて包装容器H内の特定ガス(残存酸素)の濃度が測定されるように構成されている。
【0025】
なお、レーザー発部1とレーザー受光部2の間の空間kに、流量調整弁(図示しない)、流量計(図示しない)を介して窒素ガスを充填したタンク(図示しない)を取り付けて、窒素ガスを供給することにより残存酸素率をほぼ0%として測定精度をより高めるようにしてもよい。また、レーザー発部1とレーザー受光部2の間の空間kに、吸引手段による吸引によって真空雰囲気下となるように構成してもよい。さらに、レーザー発部1とレーザー受光部2の間の空間kが解放された一定の空間であれば、その空間の大気の酸素濃度を除外することにより、包装容器H内のレーザー光路内の酸素濃度を測定することもできる。
【0026】
また、この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G1をロータリー式ガス充填包装機等の各種包装機の検査工程に設置して使用する場合は、包装容器Hを、例えばコンベアにて順次間欠移動させ、レーザー発部1とレーザー受光部2間に包装容器(測定ワーク)Hが停止する度に、吸着部3が包装容器Hの外装フィルムFを吸着して引張することにより、包装容器H内にレーザー光路が確保され、その状態でレーザー式ガス濃度計Mにより酸素濃度が順次測定されるように構成してもよい。
【0027】
図3または図4に示した包装容器のガス濃度測定装置G2(他の実施例)について説明する。
この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G2と前述した包装容器のガス濃度測定装置G1との基本的な相違点は、ガス濃度測定装置G1の測定台4の上面載置部が平坦面であるのに対して、ガス濃度測定装置G2の測定台4の上面載置部は湾曲面部に構成されている点と、ガス濃度測定装置G1の吸着部3が吸着パッドにて構成されているのに対して、ガス濃度測定装置G2の吸着部は吸引用貫通穴6を備えた吸着盤にて構成されている点である。ガス濃度測定装置G1と同一構成部分について同一符号を付し説明を省略する。
【0028】
具体的には、この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G2は、測定台4の上面載置部が上方に向かって凹状部を形成する湾曲面部5に構成されている。これにより、包装容器Hが湾曲面部5上に載置されることで、包装容器Hと上面載置部との間の空気を外に逃がし包装容器Hと上面載置部との間の密閉性を高めることで、外装フィルムFの吸着性をより高めることができる。また、この実施例のガス濃度測定装置G2の吸着部3は、吸引用貫通穴6を備えた吸着盤にて構成されており、吸着盤は真空ポンプなどの吸引源に接続されている。
【0029】
図5または図6に示した包装容器のガス濃度測定装置G3(他の実施例)について説明する。
この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G3と前述した包装容器のガス濃度測定装置G2との相違点は、ガス濃度測定装置G2の被包装物Sが切り餅であるのに対して、ガス濃度測定装置G3の被包装物Sはピーナッツ菓子である点と、ガス濃度測定装置G2とガス濃度測定装置G3が共に吸着部3が吸引用貫通穴6を備えた吸着盤にて構成されているが、ガス濃度測定装置G3は包装容器H(ピーナッツ菓子用包装袋)が幅広であることから、吸引用貫通穴6をより多く備えた幅広の吸着盤にて構成されている点である。ガス濃度測定装置G2と同一構成部分について同一符号を付し説明を省略する。
【0030】
図7または図8に示した包装容器のガス濃度測定装置G4(他の実施例)について説明する。
この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G4と前述した包装容器のガス濃度測定装置G1との相違点は、ガス濃度測定装置G1の被包装物Sが切り餅であるのに対して、ガス濃度測定装置G4の被包装物Sは花かつおミニパックである点と、ガス濃度測定装置G4の吸着部3が、測定台4に載置された包装容器Hを下方から吸着するように構成され、真空ポンプ等の吸引源に接続された吸着パット(第1吸着体)3Aと、包装容器Hの上方から吸着するように構成され、真空ポンプ等の吸引源に接続され吸引用貫通穴6を備えた吸着盤(第2吸着体)3Bを有している点である。ガス濃度測定装置G1と同一構成部分について同一符号を付し説明を省略する。
【0031】
具体的には、この実施例の第1吸着体3Aは、真空ポンプ等の吸引源に接続された吸着パットにて構成されており、包装容器Hを下方から吸着するように構成させている。他方、第2吸着体3Bは、真空ポンプ等の吸引源に接続された吸引用貫通穴6を備えた吸着盤にて構成されており、包装容器Hを上方から吸着するように構成されている。
【0032】
そして、順次搬送されてくる包装容器Hに対して、包装容器Hの厚さ方向の両側に配された一対の吸着体(第1吸着体3A,第2吸着体3B)からなる吸着部3がそれぞれ吸着することにより、第2吸着体3Bが包装容器Hの外装フィルムFを上方からも引張して、レーザー発部1とレーザー受光部2間における包装容器H内のレーザー光路が確保されて包装容器H内の特定ガス(酸素)の濃度が測定されるように構成されている。
【0033】
このように、この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G4は、吸着部3が包装容器Hの厚さ方向の両側に配された一対の吸着体(第1吸着体3A,第2吸着体3B)を有していることで、包装容器Hの外装フィルムFをより確実に吸着して引張することができ、レーザー発部1とレーザー受光部2間における包装容器H内部のレーザー光路をより確実に確保できるように構成されている。
【0034】
図9または図10に示した包装容器のガス濃度測定装置G5(他の実施例)について説明する。
この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G5は、被包装物sを充填しガス置換して包装された包装容器H内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器30を有するレーザー発生部1と、発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32を有するレーザー受光部2とを備え、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計Mを組み込んだ包装容器包囲体7を有し、包装容器包囲体7は、包装容器Hに対して相対的に接近して包囲可能および離隔可能に構成されている。以下、各構成について順次説明するが、レーザー式ガス濃度計Mについては、前述した包装容器のガス濃度測定装置G1と同様であり説明を省略する。
【0035】
包装容器包囲体7は、包装容器Hを包囲するためのものであり、包装容器Hに接近した際に、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの両側に対向して配されるようにレーザー式ガス濃度計Mを組み込んだ状態に構成されている。これにより、包装容器Hに対して一体的に接近して包囲可能および離隔可能とすることができる。
【0036】
具体的には、この実施例の包装容器包囲体7は、図示しない往復駆動手段(例えばサーボモータやシリンダー等)により上下に昇降するように構成されており、包装容器Hに対して相対的に接近して包囲(図10の状態)可能および離隔(図9の状態)可能に構成されている。
【0037】
包装容器のガス濃度測定装置G5は、ガス濃度測定装置として単独に使用してもよいが、この実施例では、ロータリー式ガス充填包装機等の包装機の検査工程に設置して使用した例が示されている。
【0038】
すなわち、包装容器Hがコンベア8にて順次間欠搬送(搬送方向は図9中奥側から手前側の方向)され、包装容器包囲体7の昇降部位に至ると、図10に示すように、包装容器包囲体7が降下して包装容器Hを包囲すると共に、レーザー発部1とレーザー受光部2間に包装容器Hの上部付近が位置してそれぞれ当接する。この状態で包装容器Hの上部付近内のヘッドスペースh(包装物Sが存在しない)のガス濃度(この実施例では酸素濃度)をレーザー式ガス濃度計Mにより順次測定するように構成されている。
【0039】
なお、包装容器包囲体7内は、流量調整弁(図示しない)、流量計(図示しない)を介して窒素ガスを充填したタンク(図示しない)を取り付けて、窒素ガスを供給することにより残存酸素率をほぼ0%として測定精度をより高めるようにしてもよい。また、包装容器包囲体7内を吸引手段によって吸引して真空雰囲気下とするように構成してもよい。
【0040】
図11または図12に示した包装容器のガス濃度測定装置G6(他の実施例)について説明する。
この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G6は、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器H内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器30を有するレーザー発生部1と、発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32を有するレーザー受光部1とを備え、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計Mを組み込んだ一方側包装容器包囲体9と、一方側包装容器包囲体9に対向配置された他方側包装容器包囲体10を有し、一方側包装容器包囲体9および他方側包装容器包囲体10は、包装容器Hに対してそれぞれ接近して一方側包装容器包囲体9および他方側包装容器包囲体10にて包囲可能および離隔可能に構成されている。以下、各構成について順次説明するが、レーザー式ガス濃度計Mについては、前述した包装容器のガス濃度測定装置G1と同様であり説明を省略する。
【0041】
一方側包装容器包囲体9および他方側包装容器包囲体10は、図12に示すように、両者が接合することで包装容器Hを包囲するためのものである。
【0042】
一方側包装容器包囲体9は、包装容器Hに接近した際に、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの両側に対向して配されるようにレーザー式ガス濃度計Mを組み込んで構成されている。方側包装容器包囲体10は、一方側包装容器包囲体9に対向配置された凹状体に構成されている。そして、一方側包装容器包囲体9および他方側包装容器包囲体10が、包装容器Hに対して逆方向からそれぞれ接近して包囲(図12の状態)可能および離隔(図11の状態)可能に構成されている。
【0043】
この実施例の一方側包装容器包囲体9および他方側包装容器包囲体10は、図示しない往復駆動手段(例えばサーボモータやシリンダー等)によりそれぞれ上下に昇降するように構成されている。
【0044】
包装容器のガス濃度測定装置G6は、ロータリー式ガス充填包装機等の包装機の検査工程に設置して使用してもよいが、この実施例では、ガス濃度測定装置として単独に使用した例が示されている。
【0045】
すなわち、一方側包装容器包囲体9および他方側包装容器包囲体10の昇降部位に包装容器(この実施例では包装袋)Hが配置されると、図12に示すように、一方側包装容器包囲体9が降下し、他方側包装容器包囲体10が上昇して両者が接合して包装容器Hを包囲する。この時、一方側包装容器包囲体9内に設けられたガイド11が包装容器(包装袋)Hの両端をそれぞれプレスする。これにより、包装容器Hの上部付近内にヘッドスペース(包装物Sが存在しない空間)が形成され、この状態で、レーザー発部1とレーザー受光部2が包装容器Hの上部付近にそれぞれ当接して、ヘッドスペースh内のガス濃度(この実施例では酸素濃度)がレーザー式ガス濃度計Mにより測定されるように構成されている。
【0046】
なお、一方側包装容器包囲体9と他方側包装容器包囲体10が接合して包装容器Hを包囲する空間内は、流量調整弁(図示しない)、流量計(図示しない)を介して窒素ガスを充填したタンク(図示しない)を取り付けて、窒素ガスを供給することにより残存酸素率をほぼ0%として測定精度をより高めるようにしてもよく、或いは吸引手段によって吸引して真空雰囲気下とするように構成してもよい。
【0047】
図13に示した包装容器のガス濃度測定装置G7(他の実施例)について説明する。
この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G7は、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器H内の特定ガスの濃度を順次測定するガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器30を有するレーザー発生部1と、発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32を有するレーザー受光部2とを備えたレーザー式ガス濃度計Mと、包装容器H内の空間(この実施例ではヘッドスペース)hを把握するための距離センサ12を有し、該距離センサ12によって測定領域R内の空間(ヘッドスペース)hを把握して前記包装容器H内の特定ガスの濃度が測定されるように構成されている。以下、各構成について順次説明するが、レーザー式ガス濃度計Mについては、前述した包装容器のガス濃度測定装置G1と同様であり説明を省略する。
【0048】
具体的には、この実施例の包装容器のガス濃度測定装置G7では、包装容器Hの測定領域(個々の包装容器Hの内部全域)R内のヘッドスペースhを距離センサ12が移動して三次元的に把握し、このヘッドスペースh内に残存する酸素をレーザー式ガス濃度計Mが測定するように構成されている。
【0049】
図14または図15に示した包装容器のガス漏洩検出装置G8について説明する。
この実施例の包装容器のガス漏洩検出装置G8は、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器Hの特定ガスの漏洩の有無を検出する包装容器Hのガス漏洩検出装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器30を有するレーザー発生部1と、発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32を有するレーザー受光部1とを備え、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計Mを組み込んだ包装容器包囲体7を有し、包装容器包囲体7は、包装容器Hに対して相対的に接近して包囲可能および離隔可能に構成されると共に、内部に包装容器プレス部13を有し、包装容器プレス部13にて包装容器Hをプレスし、かつ包囲した状態で包装容器包囲体7内の特定ガスの有無を検出するように構成されている。以下、各構成について順次説明するが、レーザー式ガス濃度計Mについては、前述した包装容器のガス濃度測定装置G1と同様であり説明を省略する。
【0050】
包装容器包囲体7は、包装容器Hを包囲するためのものであり、包装容器Hに接近して包囲する際に、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの上方両側に対向して配されるようにレーザー式ガス濃度計Mを組み込んだ状態で構成されている。これにより、包装容器Hに対して一体的に接近して包囲可能および離隔可能とすることができる。
【0051】
この実施例の包装容器包囲体7は、図示しない往復駆動手段(例えばサーボモータやシリンダー等)により上下に昇降するように構成されており、包装容器Hに対して相対的に接近して包囲(図15の状態)可能および離隔(図14の状態)可能に構成されている。
【0052】
包装容器のガス漏洩検出装置G8は、包装容器のガス漏洩検出装置として単独に使用してもよいが、この実施例では、ロータリー式ガス充填包装機等の包装機の検査工程に設置して使用した例が示されている。
【0053】
すなわち、包装容器Hがコンベア8にて順次間欠搬送(搬送方向は図14中奥側から手前側の方向)され、包装容器包囲体7の昇降部位に至ると、図15に示すように、包装容器包囲体7が降下して包装容器Hを包囲すると共に、包装容器プレス部13により包装容器Hをプレスする。このプレスにより、包装容器Hにガス漏洩する部位が存在すると、包装容器H内のガス(この実施例では置換ガスである窒素)が外部に流出する。窒素は大気より軽いため、包装容器包囲体7内を上昇し、レーザー式ガス濃度計Mにより検出されることで、包装容器包囲体7内の特定ガスの有無が検出されるように構成されている。なお、包装容器包囲体7内を吸引手段によって吸引して真空雰囲気下とすることで検出精度を高めるように構成してもよい。
【0054】
図16に示した包装容器のガス漏洩検出装置G9(他の実施例)について説明する。
この実施例の包装容器のガス漏洩検出装置G9は、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器Hの特定ガスの漏洩の有無を検出する包装容器のガス漏洩検出装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器30を有するレーザー発生部1と、発信器30から発振されるレーザー光を受光する受信器32を有するレーザー受光部とを備え、レーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計Mを組み込むと共に底部に開口を有した箱体14を有し、箱体14は、包装容器Hに対して相対的に接近および離隔可能に構成されると共に包装容器プレス部13を有し、包装容器Hは、被包装物充填用容器H1と被包装物充填用容器H1の開口をシールするフィルムH2とを有し、フィルムH2の上方に箱体14が配置(フィルムH2の上面に箱体が載置される場合も含む。)され、包装容器プレス部13にてフィルムH2をプレスした状態で箱体14内の特定ガスの有無を検出するように構成されている。以下、各構成について順次説明するが、レーザー式ガス濃度計Mについては、前述した包装容器のガス濃度測定装置G1と同様であり説明を省略する。
【0055】
箱体14は、包装容器Hの上方に配置するためのものであり、配置した際にレーザー発生部1とレーザー受光部2とが包装容器Hの上方両側に対向して配されるようにレーザー式ガス濃度計Mを組み込んで構成されている。これにより、包装容器Hに対して一体的に接近して載置可能および離隔可能とすることができる。
【0056】
この実施例の箱体14は、図示しない往復駆動手段(例えばサーボモータやシリンダー等)により上下に昇降するように構成されており、包装容器Hに対して相対的に接近して載置可能および離隔可能に構成されている。
【0057】
包装容器のガス漏洩検出装置G8は、包装容器のガス漏洩検出装置として単独に使用してもよいが、この実施例では、ロータリー式ガス充填包装機等の包装機の検査工程に設置して使用した例が示されている。
【0058】
すなわち、包装容器Hがコンベア(図示しない)にて順次間欠搬送(搬送方向は図16中左から右方向)され、箱体14の昇降部位に至ると、箱体14が降下して被包装物充填用容器H1と被包装物充填用容器H1の開口をシールするフィルムH2とを有する包装容器HのフィルムH2の上方に配置されると共に、図示しない昇降手段により昇降するように構成された包装容器プレス部13により包装容器HのフィルムH2をプレスする。このプレスにより、包装容器HのフィルムH2にガス漏洩する部位が存在すると、包装容器H内のガス(この実施例では置換ガスである窒素)が外部に流出する。窒素は大気より軽いため、箱体14内を上昇し、レーザー式ガス濃度計Mにより検出されることで、特定ガスの漏洩の有無が検出されるように構成されている。なお、箱体14内を吸引手段によって吸引して真空雰囲気下とすることで検出精度を高めるように構成したものも本発明の範疇に包含される。
【符号の説明】
【0059】
G1,G2,G3,G4,G5,G6,G7
包装容器のガス濃度測定装置
G8,G9 包装容器のガス漏洩検出装置
M レーザー式ガス濃度計
H 包装容器
h ヘッドスペース
s 被包装物
R 測定領域
1 レーザー発信部
2 レーザー受信部
3 吸着部
4 測定台
5 湾曲面部
6 吸引用貫通穴
7 包装容器包囲体
8 コンベア
9 一方側包装容器包囲体
10 他方側包装容器包囲体
11 ガイド
12 距離センサ
13 包装容器プレス部
14 箱体
30 発信器
32 受信器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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