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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】自転車牽引ワゴン
(51)【国際特許分類】
   B62B 1/04 20060101AFI20240326BHJP
   B60P 3/07 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B62B1/04
B60P3/07 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020162370
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055020
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000205292
【氏名又は名称】オージーケー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森元 善之
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-125978(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03923998(DE,A1)
【文献】実開昭52-085270(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0185369(US,A1)
【文献】実開昭50-061559(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
B60P 3/00- 9/00
B62K 27/12
B60D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワゴン本体(3)と、このワゴン本体(3)の下部に設けた受け台(4)及び車輪(5)と、ワゴン本体(3)の上部に設けた把手部材(6)と、この把手部材(6)に設けられかつ自転車(K)に固定の連結具(7)に着脱自在に連結される牽引具(8)とを有する自転車牽引ワゴンであって、
前記牽引具(8)は、把手部材(6)に横軸廻り角度変更可能に連結される後牽引部材(R)と、この後牽引部材(R)を略水平姿勢(H)と略水平姿勢(H)から変更して略後上がり姿勢(S)とに配置するために自転車(K)の連結具(7)に連結される前牽引部材(F)とを有しており、
前記牽引具(8)の前牽引部材(F)は、後牽引部材(R)を略水平姿勢(H)に配置するために連結具(7)に連結される水平牽引部(F1)と、この水平牽引部(F1)に対して交差配置されていて後牽引部材(R)を略後上がり姿勢(S)に配置するために連結具(7)に連結される縦牽引部(F2)とを有することを特徴とする自転車牽引ワゴン。
【請求項2】
前記把手部材(6)と後牽引部材(R)との間に、略水平姿勢(H)の後牽引部材(R)の後端から把手部材(6)が後方下向き傾斜姿勢となる角度と、略後上がり姿勢(S)の後牽引部材(R)の後端から把手部材(6)が後方下向き傾斜姿勢となる角度とに連結角度を設定する角度設定手段(11)を設けていることを特徴とする請求項1に記載の自転車牽引ワゴン。
【請求項3】
前記受け台(4)は、前後方向略中央に横軸(18)を有しており、
前記ワゴン本体(3)には受け台(4)の横軸(18)を回動自在に支持する軸支部(19)が形成され、この軸支部(19)と横軸(18)との間に、受け台(4)を受け姿勢(M)と受け台(4)の後半が上方に回動した収納姿勢(N)とに設定する姿勢設定手段(21)を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車牽引ワゴン。
【請求項4】
前記牽引具(8)の後牽引部材(R)は、2本の腕部(Ra)が把手部材(6)と連結される略山形もしくはU字形状に形成され、かつ2本の腕部(Ra)はそれぞれ中途部に衝撃緩衝部(12)が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の自転車牽引ワゴン。
【請求項5】
前記牽引具(8)の前牽引部材(F)は縦ピン(14)に回動自在に嵌合する嵌合部(P)が形成されており、
前記自転車(K)の連結具(7)は、自転車(K)に固定される支持部材(15)と、
この支持部材(15)に支持されていて前牽引部材(F)の嵌合部(P)が嵌合する縦ピン(14)と、この縦ピン(14)の自由端に近接して縦ピン(14)から前牽引部材(F)の嵌合部(P)が抜けるのを規制する抜け止め部材(16)とを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の自転車牽引ワゴン。
【請求項6】
前記ワゴン本体(3)と把手部材(6)との間に、ワゴン本体(3)に対する把手部材(6)の高さを変更する高さ調整手段(17)を設けていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の自転車牽引ワゴン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に牽引したり、自転車から分離して単独使用したりすることができる自転車牽引ワゴンに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車の荷台に着脱自在に連結されるワゴンは、特許文献1に開示されたショッピングカーのように、ワゴン本体と、このワゴン本体の下部に設けた受け台及び車輪と、ワゴン本体の上部に設けられかつ高さ変更可能な把手部材と、この把手部材に設けられかつ自転車に固定の連結具に着脱自在に連結される牽引具とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭51-149555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、ワゴン本体に対して把手部材の高さが変更可能であるので、持ち手の背丈に応じて、また自転車の荷台の高さに応じて、把手部材の高さを設定できるが、駐輪したときも自転車に対するワゴンの牽引姿勢は同じであるため、駐輪時のワゴンの取り扱いが不便になっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした自転車牽引ワゴンを提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、牽引具を略水平姿勢と略後上がり姿勢とに配置可能にすることにより、牽引姿勢のワゴンを自転車に近づけかつ持ち上げることができる自転車牽引ワゴンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、ワゴン本体3と、このワゴン本体3の下部に設けた受け台4及び車輪5と、ワゴン本体3の上部に設けた把手部材6と、この把手部材6に設けられかつ自転車Kに固定の連結具7に着脱自在に連結される牽引具8とを有する自転車牽引ワゴンであって、
前記牽引具8は、把手部材6に横軸廻り角度変更可能に連結される後牽引部材Rと、この後牽引部材Rを略水平姿勢Hと略水平姿勢Hから変更して略後上がり姿勢Sとに配置するために自転車Kの連結具7に連結される前牽引部材Fとを有しており、
前記牽引具8の前牽引部材Fは、後牽引部材Rを略水平姿勢Hに配置するために連結具7に連結される水平牽引部F1と、この水平牽引部F1に対して交差配置されていて後牽引部材Rを略後上がり姿勢Sに配置するために連結具7に連結される縦牽引部F2とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、牽引具を略水平姿勢から略後上がり姿勢に変更配置して、牽引姿勢のワゴンを自転車に近づけかつ持ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態を示す側面図である。
図2】自転車牽引ワゴンの断面側面図である。
図3】同自転車牽引ワゴンの斜視図である。
図4】同自転車牽引ワゴンの背面図である。
図5】同自転車牽引ワゴンの平面図である。
図6】ワゴン本体の上部及び把手部材の断面背面図である。
図7】把手部材の角度設定手段を示す分解説明図である。
図8】ワゴン本体の上部、把手部材及び牽引具の断面側面図である。
図9】牽引具を略後上がり姿勢にした断面側面図である。
図10】受け台の姿勢設定手段を示す断面平面図である。
図11】姿勢設定手段の分解説明図である。
図12】自転車にワゴンを牽引している状態を示す側面図である。
図13】自転車に牽引ワゴンを持ち上げた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~13において、自転車Kの荷台に牽引した自転車牽引ワゴン1を示しており、自転車牽引ワゴン1は大別して、ワゴン本体3と、このワゴン本体3の下部に設けた受け台4及び車輪5と、ワゴン本体3の上部に設けた把手部材6と、この把手部材6に設けられかつ自転車Kに固定の連結具7に着脱自在に連結される牽引具8とを有する。ワゴン本体3には受け台4の上側に布製の折り畳み可能なバッグ9が設けられ、このバッグ9内で受け台4上に荷物10が載置される。
【0010】
図1~6において、ワゴン本体3は左右2本の縦パイプ材3aの下端を横パイプ3bで連結し、上部を横梁3cで連結して四角枠状に形成しており、横パイプ3bの両端に車輪5の車軸5aを装着している。
前記横梁3cは、各縦パイプ材3aの上端にT字体31の下端を嵌合連結し、2つのT字体31の中央端を対向させて、それぞれに円筒体32を嵌合連結し、2本の円筒体32に連結筒33の両端を嵌合連結しており、横梁3cの内部を貫通するように高さ調整手段17が配置されている。
【0011】
把手部材6は図4、6に示す如く正面視略門形であり、左右の腕部6aには小径パイプ材35が下方へ延設され、この小径パイプ材35がT字体31に上下位置調整可能に挿通され、縦パイプ材3aの内部にまで達しており、上下方向に間隔をおいて複数のピン孔35aが穿孔されている。このピン孔35aと係合するロックピン37は前記T字体31内に配置されている。
【0012】
左右各T字体31及び円筒体32内には、ロックピン37を固定したロックコマ38が左右方向摺動自在に挿入され、一対のロックコマ38間には弾発部材(コイルスプリング)39が配置され、連結筒33には高さ操作部材40が突入されている。
各ロックコマ38には、円筒体32と連結筒33とを連結する締結ピン33aとの干渉を回避するために長孔38aが形成され、一対で対称となる傾斜面38bが形成されている。この両傾斜面38bには高さ操作部材40に形成した一対のカム面40aが当接されている。
【0013】
前記高さ操作部材40は連結筒33に出入方向移動自在に配置されていて、連結筒33から突出している外面を指で押して、一対のカム面40aを突入させると、傾斜面38bを介して、弾発部材39に抗して両ロックコマ38を対向内方向に移動し、ロックピン37をピン孔35aから抜くことができる。
ロックピン37がピン孔35aから抜かれると、把手部材6の小径パイプ材35はT字体31及び縦パイプ材3a内で上下移動可能になり、把手部材6の上下位置を調整可能になり、把手部材6の高さ調整後に、ロックピン37を対応するピン孔35aに係合して、把手部材6をワゴン本体3に固定する。
【0014】
前記高さ操作部材40は一対のカム面40aを有するので、左右2本のロックコマ38及びロックピン37を同時に反対方向に摺動して、把手部材6に対して係合・離脱を行わせることができる。
前記高さ操作部材40、ロックコマ38、ロックピン37、弾発部材39及び小径パイプ材35のピン孔35a等によって、把手部材6の高さを調整する高さ調整手段17が構成されている。
【0015】
図1~9において、把手部材6の上部の中央に設けられた牽引具8は、把手部材6に横軸廻り角度変更可能に連結される後牽引部材Rと、自転車Kの連結具7に連結される前牽引部材Fとを有し、後牽引部材Rの前部中央に前牽引部材Fの後部を連結して構成されている。
前記牽引具8の後牽引部材Rは、図4、5に示すように平面視略山形(略U字形、門形もしくはコ字形でもよい。)であり、把手部材6と同様に、ワゴン1を自転車Kの荷台に牽引せずに、使用者が歩行時にワゴン1を牽引するために手で持つ把持部となり得る。
【0016】
前記後牽引部材Rは、2本の腕部Raの先端に軸部Rbを有し、この軸部Rbが把手部材6の上部と同心的に連結されており、2本の腕部Raにはそれぞれ中途部に衝撃緩衝部
12が設けられている。
把手部材6の上部は中央に連結筒41が設けられ、この連結筒41に後牽引部材Rの2本の腕部Raの先端が挿入される腕開口41aと角度操作部材42が挿入される操作開口41bとが形成されている。
【0017】
連結筒41内には一対の角度設定コマ43と、この一対の角度設定コマ43を互いに反対方向へ付勢する付勢手段(コイルスプリング)44と、一対の角度設定コマ43に対向して前記軸部Rbとが配置され、角度操作部材42のカム面42aが角度設定コマ43内まで突入している。
一対の角度設定コマ43にはそれぞれ中途部に傾斜面43aが形成され、一対の傾斜面43aは対称配置され、角度操作部材42のカム面42aと当接されており、角度操作部材42の押し入れによって、カム面42aと傾斜面43aとが摺動して、付勢手段44に抗して一対の角度設定コマ43を近づける方向に移動する。
【0018】
この各角度設定コマ43の端面にはY形状の係合突起45が突設され、軸部Rbには係合突起45と係脱自在に係合するY形状の係合凹部46が形成されている。前記係合突起45のY形状は、例えば、交差角が120度となっている。
各角度設定コマ43は連結筒41に対して廻り止めされた状態で左右方向に摺動可能であり、係合凹部46に対して係合突起45が係合することにより、把手部材6の上部に対して後牽引部材Rを固定し、係合凹部46に対して係合突起45を離脱することにより、把手部材6の上部に対して後牽引部材Rを角度変更でき、腕開口41aの範囲内で例えば120度回動した位置で止めて、係合凹部46に係合突起45を係合させると、後牽引部材Rを変更した角度で固定できる。
【0019】
前記把手部材6と後牽引部材Rとの間の一対の角度設定コマ43、付勢手段44、軸部Rb、角度操作部材42等によって、角度設定手段11が構成されており、略水平姿勢Hの後牽引部材Rの後端から把手部材6が後方下向き傾斜姿勢となる角度と、略後上がり姿勢Sの後牽引部材Rの後端から把手部材6が後方下向き傾斜姿勢となる角度とに連結角度を設定できる。
【0020】
前牽引部材Fは後牽引部材Rの前部中央に連結固定されており、後牽引部材Rを略水平姿勢Hに配置するために連結具7に連結される水平牽引部F1と、この水平牽引部F1に対して交差配置されていて後牽引部材Rを略後上がり姿勢Sに配置するために連結具7に連結される縦牽引部F2とを有している。
水平牽引部F1は厚肉材で形成されていて、連結具7の縦ピン14に回動自在に嵌合する水平嵌合部P1が形成されており、縦牽引部F2は水平牽引部F1に略直交方向に貫通した板材で形成されていて、連結具7の縦ピン14に回動自在に嵌合する縦嵌合部P2が形成されている。
【0021】
自転車Kは図12、13に示されており、その荷台Kaの後端に連結具7が着脱可能に取り付けられている。
連結具7は、図8、9に示されるように、自転車Kに固定される支持部材15と、この支持部材15に支持されていて前牽引部材Fの嵌合部P(水平嵌合部P1及び縦嵌合部P2)が嵌合する縦ピン14と、この縦ピン14の自由端に近接して縦ピン14から前牽引部材Fの嵌合部Pが抜けるのを規制する抜け止め部材16とを有している。
【0022】
支持部材15は裏当て板52と相まって荷台Kaを挟持することにより自転車Kに固定される台板15aと、この台板15aの上面に固定される箱形状の上支持体15bとを有しており、台板15aの後部に立設された縦ピン14は上端が嵌合部Pを嵌脱する自由端になっている。
抜け止め部材16は上支持体15b内に前後移動可能に配置されており、かつスプリング53によって後方へ付勢されており、抜け止め部材16の後部は縦ピン14の自由端に対向して遠近移動可能に配置され、抜け止め部材16の前部には上支持体15bから上方に突出した指掛け部16aが形成されている。
【0023】
縦ピン14に前牽引部材Fの嵌合部Pを嵌合させて、抜け止め部材16の後部を縦ピン14の自由端に近接すると、嵌合部Pが縦ピン14から抜けるのを阻止し、指掛け部16
aに手指を掛けてスプリング53に抗して前方移動すると、抜け止め部材16の後部は縦ピン14の自由端から引き離され、嵌合部Pが縦ピン14から抜けるのを許容できるようになる。
【0024】
縦ピン14に前牽引部材Fの水平牽引部F1を嵌合した状態から縦牽引部F2の嵌合に変更するには、抜け止め部材16を移動するだけであるので、牽引具8を略水平姿勢Hから略後上がり姿勢Sに変更するのが容易にできる。
図2、10、11において、ワゴン本体3の下部に設けた受け台4は、荷物載置姿勢で平面視略四角形の台枠4aと、この台枠4aの前後方向略中央に横軸18とを有しており、台枠4aの後部に支え棒55が枢支されている。
【0025】
前記ワゴン本体3には受け台4の横軸18を回動自在に支持する一対の軸支部19が形成され、この両軸支部19と横軸18との間に、受け台4を受け姿勢Mと受け台4の後半が上方に回動した収納姿勢Nとに設定する姿勢設定手段21を設けている。
前記各軸支部19は各縦パイプ材3aの下端に固定の支持筒19aの外端に係止溝61aを形成した係止体61がピン固定されており、この支持筒19aの内端側に軸部材62が挿入され、この軸部材62の端面に係止溝61aと係合する係止突起62aが形成されている。
【0026】
台枠4aには一対の軸部材62に嵌合する筒部4bと、両筒部4b間に配置される連結筒63とを有し、連結筒63は2つの縦半割部材を対向して固定ピン65で連結しており、一方の縦半割部材には開口63aが形成され、この開口63aには姿勢操作部材66が挿入されている。
前記連結筒63内には一対の軸部材62とこれを互いに反対方向へ付勢する付勢手段(コイルスプリング)67とが配置され、付勢手段67に近い軸部材62の端部にはそれぞれ傾斜面62bが対称形成され、姿勢操作部材66のカム面66aと当接されており、姿勢操作部材66の押し入れによって、カム面66aと傾斜面62bとが摺動して、付勢手段67に抗して一対の軸部材62を近づける方向に移動する。
【0027】
各軸部材62は対向内方向に移動すると、係止突起62aが係止溝61aから離脱し、台枠4a及び左右軸部材62は支持筒19aに対して回動可能になる。
各軸部材62には台枠4aの筒部4bを貫通するガイドピン68を逃がす長孔62cと、前記固定ピン65を逃がす切り欠き62dが形成され、軸部材62は筒部4bに対して軸方向に移動可能であるが相対回転は阻止されている。
【0028】
前記係止体61の係止溝61aと軸部材62の係止突起62aとは、それぞれの軸心を通って長く形成されており、係止溝61aは角度を変えて2本形成されている。1本の係止溝61aは係止突起62aを係合したとき、図1、2実線で示す如く、ワゴン1の牽引姿勢の状態で受け台4を略水平な受け姿勢M(若干尻上がり姿勢)にし、他の1本の係止溝61aは係止突起62aを係合したとき、図1、2仮想線で示す如く、ワゴン1の牽引姿勢の状態で受け台4を後半が上方に回動した収納姿勢Nにする。
【0029】
従って、前記受け姿勢Mにおいても収納姿勢Nにおいても、係止体61と軸部材62とは係合して廻り止めされるので、受け台4はワゴン本体3に対して回動することなく安定した姿勢に保持される。
受け台4が受け姿勢Mのときに支え棒55を接地すると、受け台4は水平に近づき、ワゴン本体3は鉛直に近づく。支え棒55は台枠4aの後部に回動可能に装着されており、台枠4aには支え棒55が接地したとき、それ以上の回動(屈曲)を阻止するストッパ部4cが設けられている。
【0030】
バッグ9は上部が横梁3cに、左右側部が縦パイプ材3aに、下部が受け台4にそれぞれ装着されており、受け台4を収納姿勢Nにしたときには、バッグ9の下部も折り畳まれる。
前述した実施形態においては、自転車牽引ワゴン1は、ワゴン本体3と、このワゴン本体3の下部に設けた受け台4及び車輪5と、ワゴン本体3の上部に設けた把手部材6と、この把手部材6に設けられかつ自転車Kに固定の連結具7に着脱自在に連結される牽引具8とを有する自転車牽引ワゴンであって、前記牽引具8は、把手部材6に横軸廻り角度変
更可能に連結される後牽引部材Rと、この後牽引部材Rを略水平姿勢Hと略水平姿勢Hから変更して略後上がり姿勢Sとに配置するために自転車Kの連結具7に連結される前牽引部材Fとを有するので、牽引具8を略水平姿勢Hから略後上がり姿勢Sに変更配置して、牽引姿勢のワゴン1を自転車Kに近づけかつ持ち上げることができる。
【0031】
前記牽引具8を略水平姿勢Hにしたとき、ワゴン1は車輪5が接地して牽引姿勢となる。牽引具8を略後上がり姿勢Sにしたとき、ワゴン1は車輪5が浮き上がって自転車Kの荷台Kaに載置された状態になるが、このときにも把手部材6の高さによっては車輪5が接地した状態にもなる。
また、自転車牽引ワゴン1は、前記牽引具8の前牽引部材Fは、後牽引部材Rを略水平姿勢Hに配置するために連結具7に連結される水平牽引部F1と、この水平牽引部F1に対して交差配置されていて後牽引部材Rを略後上がり姿勢Sに配置するために連結具7に連結される縦牽引部F2とを有するので、前牽引部材Fに水平牽引部F1と縦牽引部F2とを交差配置するだけで、ワゴン1を牽引姿勢から自転車Kに近づけかつ持ち上げた姿勢に変更できる。
【0032】
さらに、自転車牽引ワゴン1は、前記把手部材6と後牽引部材Rとの間に、略水平姿勢Hの後牽引部材Rの後端から把手部材6が後方下向き傾斜姿勢となる角度と、略後上がり姿勢Sの後牽引部材Rの後端から把手部材6が後方下向き傾斜姿勢となる角度とに連結角度を設定する角度設定手段11を設けているので、角度設定手段11によって略後上がり姿勢Sの後牽引部材Rの後端から把手部材6を後方下向き傾斜姿勢に確実かつ安定的に維持できる。
【0033】
さらにまた、自転車牽引ワゴン1は、前記牽引具8の後牽引部材Rは、2本の腕部Raが把手部材6と連結される略山形もしくはU字形状に形成され、かつ2本の腕部Raはそれぞれ中途部に衝撃緩衝部12が設けられているので、ワゴン1を自転車Kから分離したときに、牽引具8は把手部材6と同様に把持することができ、また、ワゴン1を自転車Kに牽引したときに、衝撃緩衝部12によってワゴン1から自転車Kに伝わる衝撃を緩衝できる。
【0034】
そして、前記牽引具8の前牽引部材Fは縦ピン14に回動自在に嵌合する嵌合部Pが形成されており、前記自転車Kの連結具7は、自転車Kに固定される支持部材15と、この支持部材15に支持されていて前牽引部材Fの嵌合部Pが嵌合する縦ピン14と、この縦ピン14の自由端に近接して縦ピン14から前牽引部材Fの嵌合部Pが抜けるのを規制する抜け止め部材16とを有するので、連結具7と牽引具8との連結・解除を簡単かつ容易に行うことができる。
【0035】
そしてまた、自転車牽引ワゴン1は、前記ワゴン本体3と把手部材6との間に、ワゴン本体3に対する把手部材6の高さを変更する高さ調整手段17を設けているので、自転車Kに牽引するときは連結具7の高さに応じて、また、自転車Kから外して持ち運びするときは持ち手の背丈に応じて、把手部材6の高さを調整することができる。
そしてさらに、自転車牽引ワゴン1は、前記受け台4は、前後方向略中央に横軸18を有しており、前記ワゴン本体3には受け台4の横軸18を回動自在に支持する軸支部19が形成され、この軸支部19と横軸18との間に、受け台4を受け姿勢Mと受け台4の後半が上方に回動した収納姿勢Nとに設定する姿勢設定手段21を設けているので、受け台4を収納姿勢Nにしてもその姿勢を確実かつ安定的に維持できる。
【0036】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
例えば、牽引具8は前牽引部材Fに水平牽引部F1のみを設けて、前牽引部材Fと後牽引部材Rとの間に把手部材6と後牽引部材Rとの間に設けた角度設定手段11のように、前牽引部材Fに対して後牽引部材Rを略90度角度変更して略水平姿勢Hから略後上がり姿勢Sにする角度設定手段を設けてもよい。
【0037】
また、牽引具8の前牽引部材Fと後牽引部材Rとを、又は牽引具8と連結具7とをユニバーサルジョイント構造で連結してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 自転車牽引ワゴン
3 ワゴン本体
3c 横梁
4 受け台
6 把手部材
7 連結具
8 牽引具
11 角度設定手段
12 衝撃緩衝部
14 縦ピン
15 支持部材
16 抜け止め部材
17 高さ調整手段
21 姿勢設定手段
37 ロックピン
43 角度設定コマ
62a 係止突起
F 前牽引部材
F1 水平牽引部
F2 縦牽引部
H 略水平姿勢
K 自転車
Ka 荷台
M 受け姿勢
N 収納姿勢
P 嵌合部
P1 水平嵌合部
P2 縦嵌合部
R 後牽引部材
S 略後上がり姿勢
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13