(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】マイクロフィルタ、製造方法、及びマイクロ濾過ユニット
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20240326BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240326BHJP
B01D 37/04 20060101ALI20240326BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240326BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20240326BHJP
G01N 1/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B01D39/16 C
B01D29/04 510A
B01D29/04 510D
B01D29/04 530A
B01D37/04
C12M1/00 A
C12M3/06
G01N1/04 G
G01N1/04 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020167426
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2021-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-09
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520384437
【氏名又は名称】普生股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】パンカジ クマー ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】劉原智
(72)【発明者】
【氏名】汪為豪
(72)【発明者】
【氏名】林孟徳
(72)【発明者】
【氏名】林宗慶
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】松井 裕典
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-147893(JP,A)
【文献】特開平10-118569(JP,A)
【文献】国際公開第2018/042944(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0037903(US,A1)
【文献】特表2018-529983(JP,A)
【文献】特開2015-50282(JP,A)
【文献】特開2010-144890(JP,A)
【文献】実開平1-176741(JP,U)
【文献】特開2007-39883(JP,A)
【文献】スイス国特許出願公開第711118(CH,A1)
【文献】中国特許出願公開第106122632(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L25/14
B01D24/00-37/08
B01D39/00-41/04
B01D53/22
B01D61/00-71/82
G01N1/00-1/44
C12M1/00-3/10
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフィルタを保持するマイクロ濾過ユニットであって、
前記マイクロフィルタは、
非エポキシベースのマイクロフィルムであって、前記非エポキシベースのマイクロフィルムの材料は、透明プラスチック材料である、前記非エポキシベースのマイクロフィルムと、
前記非エポキシベースのマイクロフィルムに設けられ、レーザアブレーションを介して前記非エポキシベースのマイクロフィルムを貫通する、複数のマイクロホールであって、
前記マイクロホールの径は前記非エポキシベースのマイクロフィルムの表面上に目標物を分離するために設計され、
前記非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、前記非エポキシベースのマイクロフィルム上に分離された目標物を定めて数を数えるために所定のセクションの中にパターン化された、前記複数のマイクロホールと
を備え、
頂部の入口オリフィス、上部側壁、及びサイドモジュールを含む、上部フレームであって、前記サイドモジュールは、一方の端部が前記上部フレームの前記上部側壁の下部に接続され、かつそこから延びた可撓性ストライプ、ならびに、前記可撓性ストライプの他方の端部と接続され、前記上部フレームの前記頂部と係合されることになる一方の端部、及び外部の試料入口シリンジの試料入口オリフィスに接続されることになる他方の端部を有する変換入口ヘッド部を含む、上部フレームと、
出口オリフィス及び下部の円筒形の側壁を含む、下部フレームとを備え、
前記上部フレーム及び前記下部フレームは、ねじ連結を介して互いに接続され
、前記マイクロフィルタは、前記上部フレームと前記下部フレームとの間に挟まれ、前記変換入口ヘッド部は、様々な試料入口オリフィスを有する前記外部試料入口シリンジに対応して係合するよう、様々な入口ヘッド部と交換可能で、それによって前記外部試料入口シリンジから送り込まれた試料の直線的な通過をもたらし、前記上部フレームの入口オリフィスを通って前記下部フレームの出口オリフィスに流
し、
前記上部フレームは、その内側外周の壁に配設された上部ガスケットをさらに備え、前記下部フレームは、その内側外周の壁に配設された下部ガスケットをさらに備え、前記マイクロフィルタは、前記上部ガスケット及び下部ガスケットに挟まれ、
前記上部ガスケット及び下部ガスケットは、試料の漏洩を防止し、前記マイクロフィルタを所定に位置に保持する、
マイクロ濾過ユニット。
【請求項2】
前記可撓性ストライプ及び前記変換入口ヘッド部を含む、前記上部側壁及び前記サイドモジュールは、1つの部品に一体化される、請求項
1に記載のマイクロ濾過ユニット。
【請求項3】
前記可撓性ストライプは、前記上部側壁の下部と取り外し可能に係合されるか、または前記変換入口ヘッド部と取り外し可能に係合される、請求項
1に記載のマイクロ濾過ユニット。
【請求項4】
前記上部フレーム11の前記サイドモジュールは、前記試料入口オリフィスが、より広い開口部からより狭い開口部に調整するのを可能にする、請求項
1に記載のマイクロ濾過ユニット。
【請求項5】
前記サイドモジュールは、前記試料入口シリンジと一体化される、請求項
1に記載のマイクロ濾過ユニット。
【請求項6】
前記マイクロフィルタの径は13mm、及び濾過領域の径は9mmである、請求項
1に記載のマイクロ濾過ユニット。
【請求項7】
負圧を前記出口オリフィスに加えるために、制御された吸引ポンプをさらに備え、それによって試料の直線的な通過が圧力差によって導かれる、請求項
1に記載のマイクロ濾過ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフィルタに関する。このマイクロフィルタは、非エポキシベースの材料で作られ、かつマイクロホールのパターン化された配列を作り出すために孔を開けられた、マイクロフィルムであることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
マイクロフィルタ構造は、半透性媒体となるよう、マイクロホールを伴って構築された固体膜であってよい。一般的にマイクロフィルタ構造は、微小な対象物を複合試料から分離するために適用される。
【0003】
適用分野によって、ポリマー、金属、または複合材など、多くの様々な材料が、マイクロフィルタを製造するために使用されている。例えば、一般的にエポキシベースのマイクロフィルムは、生体分子を分離するために使用されている。スチールベースのマイクロフィルタは、インクジェットノズルにおいて一般的である。エポキシベースのマイクロフィルタは、リソグラフィ法を使用して容易に処理される。しかし、エポキシベースの薄いフィルムは脆く、かつ製作が困難である。
【0004】
マイクロフィルタ構造は、電子産業、化学産業、食品産業、及びバイオテクノロジー産業など、様々な分野の用途に利用されている。マイクロフィルタの適用例として、マイクロシーブを使用した、微小分子と巨大分子との間の固体の分粒、生物医学的な濾過または精製プロセスにおける、液体からの微小粒子の分離、印刷または薬物送達における微小スプレイ生成のための、液体もしくは気体入口の均一配分、及び蒸着マスクを利用したMEMS構造の製作、が挙げられる。
【0005】
バクテリア、ウィルス、細胞、小胞などの生体分子は、構造的な柔軟性を保有する。特定の目標物のため、正確なマイクロフィルタが、膜圧を最適化するために必要とされる。円筒形のマイクロホールの均一な配列は、効率的な濾過収率と、唾液、血液、尿、透析液など、様々な体液からの、円滑な生体分子の分離とをもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トラックエッチング、レーザドリリング、フォトリソグラフィなど、マイクロフィルタを製造する方法が、マイクロフィルタの製作のために研究されている。トラックエッチング法は、マイクロフィルムに円筒形のホールを生成するために、一般的に使用されるが、マイクロホールの不均一性及びパターン再現性について制限を受ける。リソグラフィ法は、均一なマイクロホールのパターン生成には良好であるが、限定された材料の数にしか適用できない。比較すると、レーザドリリング法は、大きな均一性を伴い、多くの数の材料に適用可能であるが、マイクロホールのサイズの範囲は、レーザスポットの径に限定される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、マイクロホールでパターン化された非エポキシベースの透明マイクロフィルタ、このマイクロフィルタを製作するための方法、及び濾過プロセスを実施するためのマイクロ濾過ユニットまたはマイクロフィルタのホルダユニットを開示する。
【0008】
まず、本発明はマイクロフィルタを提供する。このマイクロフィルタは、非エポキシベースのマイクロフィルムと、非エポキシベースのマイクロフィルムの表面に設けられ、かつレーザアブレーションを介して非エポキシベースのマイクロフィルムを貫通する、複数のマイクロホールとを備える。非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、所定のセクションの中にパターン化され、マイクロフィルムの表面に分離された目標物を定め、分離された目標物の数を数える。1つの実施形態において、このレーザはUVレーザである。
【0009】
1つの実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムは、エポキシド鎖を有さない透明ポリマーから成る。好ましい実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの材料は、透明プラスチック材料である。非エポキシベースのマイクロフィルムにおけるポリマー材料の例として、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、及びポリスチレンなど、任意の熱可塑性材料を含み得る。特定の実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの材料は、UV領域において、非蛍光特性または低蛍光特性を有する。マイクロフィルムの蛍光特性は、蛍光顕微鏡を使用して調査する場合、分離した構成要素の分析に干渉することがある。
【0010】
特定の実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムは、いかなる不均等部分もない平坦な面を有する。代替の実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムは、薄いフィルムによってさらにコーティングされ、濾過プロセスを促進する。1つの実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの上面は、薄いフィルムを有する。好ましい実施形態において、この薄いフィルムは、金属フィルムまたは金属酸化物フィルムである。このような実施形態において、マイクロフィルタの表面は、目標物とフィルタ面との間の相互作用を変える。例えば、金属または金属酸化物の薄いフィルムがコーティングされ、マイクロフィルタ表面の親水性を改善し得る。
【0011】
1つの実施形態において、マイクロホールは円形のマイクロホールである。マイクロホールの径は、スクリーニングする目標物のサイズに依拠する。別の実施形態において、各マイクロホールの平均径は10μm以下である。好ましい実施形態において、マイクロホールの径範囲は、5~9μmである。より好ましい実施形態において、マイクロホールの径範囲は、6~8μmである。代替の実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムは、概ね7μmの径を有する複数の円形マイクロホールを用いてパターン化される。
【0012】
1つの実施形態において、マイクロホールは、非エポキシベースのマイクロフィルムを貫通する円筒形の壁を有する。すなわち、マイクロホールの上面及び底面は同じ径である。別の実施形態において、マイクロホールは、非エポキシベースのマイクロフィルムを貫通するテーパーが付いた壁を有する。すなわち、マイクロホールの上面及び底面は、テーパーが付いた壁の径とは異なる。代替の実施形態において、マイクロホールの形状は、スクリーニングする目標物によって、矩形または六角形とすることができる。代替の実施形態において、マイクロホールは、マイクロフィルムにおいて直線、互い違い、または六角座標系の均一な配列でパターン化される。
【0013】
特定の実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの厚さは25μm以下である。好ましい実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの厚さ範囲は5~25μmである。マイクロフィルタは、濾過中に圧力を支えるために、良好な強度及び柔軟性を保有する。本発明の別の態様では、非エポキシベースのマイクロフィルムの厚さが、マイクロホールの最小アスペクト比を保つよう選択される。特定の実施形態において、マイクロフィルムの厚さは、マイクロホールの径と等しくてよい。代替の実施形態において、マイクロフィルムの厚さとマイクロホールの径とのアスペクト比は、3μm以下とするべきである。マイクロホールのテーパーが付いた角度は、マイクロフィルム厚が増加するにつれて増加し得る。
【0014】
特定の実施形態において、マイクロホールの数は、濾過圧を最適化するよう、かつ濾過中の膜の圧迫を避けるよう設計される。サブミクロンの対象物のために最適化された濾過領域における、マイクロホールの数は、少なくとも50,000個であることが判っている。代替の実施形態において、濾過時間を減少させるために、マイクロホールの数は増加され得る。特定の実施形態において、隣接する2つマイクロホール間の間隙は約20μmで最適化される。代替の実施形態において、隣接する2つのマイクロホール間の間隙は、スクリーニングする目標物または適用分野に依拠し得る。1つの実施形態において、隣接する2つマイクロホール間の間隙は1~100μmである。好ましい実施形態において、隣接する2つマイクロホール間の間隙は2~50μmである。より好ましい実施形態において、隣接する2つマイクロホール間の間隙は5~25μmである。
【0015】
非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、異なるセクションの中にパターン化することができる。マイクロホールの数は、異なるセクションの中に配分される。特定の実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、所定のセクション、例えば16のセクションの中にパターン化され、分離された目標物を定め、分離された目標物の数を迅速に数える。代替の実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの濾過領域は、目標物を正確に定めるために、さらなるセクションに分割することができる。分離された目標物の数は、異なるセクションで正確に数えることができる。1つの実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、1~50のセクションに分割される。好ましい実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、5~30のセクションに分割される。より好ましい実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、10~20のセクションに分割される。
【0016】
本発明の別の態様は、マイクロフィルタの製作方法であり、以下のステップを含む、:非エポキシベースのマイクロフィルムにレーザアブレーションを使用して、所定のパターンにマイクロホールを形成するステップ;及び非エポキシベースのマイクロフィルムの表面を所定のセクションの中にパターン化するステップ、である。1つの実施形態において、このレーザはUVレーザである。特定の実施形態において、UVレーザは、非エポキシベースのマイクロフィルムを貫通したマイクロホールを製作するために使用される。UVレーザは波長が短く、非エポキシベースのマイクロフィルムに微細な穴を生成する。エキシマレーザ(UVレーザ)は、非エポキシベースのマイクロフィルムに、低い熱集積で高い正確性をもたらすという利点を有する。レーザのエネルギー及びパルスは、特定のポリマーで形成される非エポキシベースのマイクロフィルムのために、最適化させる必要がある。代替の実施形態において、CO2、Nd:YAGなどの異なる種類のレーザが、マイクロホールの生成に使用され得る。
【0017】
1つの実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムは、エポキシド鎖を有さない透明ポリマーから成る。好ましい実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの材料は、透明プラスチック材料である。
【0018】
特定の実施形態において、エキシマレーザは、焦点レンズを使用して非エポキシベースのマイクロフィルムに直接投射し得る。焦点レンズの使用は、マイクロホールのテーパー角の形成を制御することを可能にする。非エポキシベースのマイクロフィルムの正確な動きを使用して、マイクロフィルタの製作のために、マイクロホールのデザインは膜に転写される。代替の実施形態において、レーザマスクが使用され、複数のレーザビームを非エポキシベースのマイクロフィルムに投射して、マイクロホールの複数の配列を生成する。この方法は、非エポキシベースのマイクロフィルムにおいて、マイクロホールの孔開けの高い処理能力を提供する。
【0019】
特定の実施形態において、マイクロフィルタは、生体液から生体分子を濾過するために使用され得る。1つの実施形態において、生体液の試料は、血液、尿、透析液、唾液などであってよい。いくつかの実施形態において、マイクロフィルタは、循環性腫瘍細胞(CTC)、コロニー形成細胞(CFC)、好中球など、マイクロホールよりも大きいサイズを有する有核細胞を、血液からスクリーニングするために使用され得る。1つの実施形態において、試料は生体液であり、目標物は生体分子である。
【0020】
非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、異なるセクションの中にパターン化させることができる。マイクロホールの数は、異なるセクションの中に配分される。特定の実施形態において、非エポキシベースのマイクロフィルムの表面は、所定のセクション、例えば16のセクションの中にパターン化され、分離された目標物を定め、かつ分離された目標物の数を迅速に数える。
【0021】
本発明の別の態様は、マイクロフィルタのホルダユニット、すなわちマイクロ濾過ユニットである。マイクロ濾過ユニットは、上部フレーム及び底部フレームを備える。これら2つのフレームは、円筒形の側壁を有する。上部フレームは、試料入口オリフィスを、より広い開口部からより狭い開口部に調整するのを可能にする、サイドモジュールと接続される。これら2つのフレームは、ねじ連結を介して互いに接続される。マイクロフィルタは、マイクロフィルタのホルダユニットの、上部フレームと底部フレームとの間に挟まれる。マイクロフィルタのホルダユニットは、マイクロフィルタの上部及び底部において、試料の直線的な通過をもたらすように設計される。マイクロホールよりも大きいサイズを有する試料における分子は、マイクロフィルタの表面の上部にとどまり、一方で、より小さい残りの分子は、マイクロフィルタを通って濾過される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)は径13mmのマイクロフィルム及び径9mmの濾過領域を有する、マイクロフィルタ構造を示す図であり、(b)はマイクロフィルムを貫通して設計され、孔を開けられたマイクロホールを示す、マイクロフィルタの部分拡大図である。
【
図2a】本発明のマイクロ濾過ユニットの全体構造を示す図である。
【
図2b】本発明のマイクロ濾過ユニットの上部フレームを示す図である。
【
図2c】マイクロフィルタが、両フレームのねじ連結によって上部ガスケットと下部ガスケットの間に挟まれる、本発明のマイクロ濾過ユニットの下部フレームを示す図である。
【
図2d】上部フレーム及び下部フレームのアセンブリを示す、マイクロ濾過ユニットの側断面図である。
【
図2e】本発明のマイクロ濾過ユニットの、使用中のアセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、多くの異なる形態で実行され得るので、本明細書に記載される例に限定するものと解釈するべきではない。説明する例は、特許請求の範囲に記載されたような本発明の範囲を限定しない。
【0024】
図1に示されるように、本発明は、エポキシド鎖を有さない透明ポリマーから成るマイクロフィルムを備える。したがって、マイクロフィルムは非エポキシベースのマイクロフィルムであり、非エポキシベースのマイクロフィルムの材料は、透明プラスチック材料である。
図1(a)は、径13mmのマイクロフィルム及び経9mmの濾過領域を有する、マイクロフィルタ構造を示す。マイクロフィルタにおけるマイクロフィルムの表面は、所定のセクション、例えば(
図1(a)に示されるように)16のセクションの中にパターン化され、分離された目標物を定め、分離された目標物の数を迅速に数える。加えて、マイクロフィルムは、薄いフィルムによってさらにコーティングされ、濾過プロセスを促進する。非エポキシベースのマイクロフィルムの厚さは、25μm以下である。
【0025】
図1(b)は、マイクロフィルムを貫通して通るよう設計された、孔を開けられたマイクロホールを示す。孔を開けられたこれらのマクロホールは、目標物を濾過または分離するために使用される。したがって孔を開けられたマイクロホールの径は、スクリーニングする目標物のサイズに依拠する。目標物は、マイクロフィルムの表面上に分離される。
【0026】
マイクロフィルムには、概ね7μm径の、円形の穴を開けられた多くのマイクロホールが存在する。加えて、孔を開けられたマイクロホールの形状は、スクリーニングする目標物によって、矩形または六角形である。孔を開けられたマイクロホールは、マイクロフィルムにおいて直線、互い違い、または六角座標系の均一な配列でパターン化される。マイクロフィルムにおける穴を開けられたマイクロホールは、円筒形の壁、またはテーパーが付いた壁を有する。
【0027】
穴を開けられたマイクロホールの数は、少なくとも50,000個であり、穴を開けられた2つの隣接するマイクロホール間の間隙は、約20μmで最適化される。穴を開けられたマイクロホールの数は、異なるセクションの中に配分される。
【0028】
マイクロ濾過ユニットは、底部において負圧をかけることによって動作される。試料は、圧力差によって、マイクロ濾過ユニットの上部入口を通過してマイクロ濾過ユニットの底部出口に抜ける。マイクロ濾過ユニットにはマイクロフィルタが存在し、このマイクロフィルタは、穴が開けられた複数のマイクロホールを伴う薄いフィルムである。マイクロフィルタにおけるマイクロホールよりも大きいサイズを有する試料の分子は、マイクロフィルタの表面において分離され、一方でより小さい分子は、マイクロホールを濾過されて出口に抜ける。負圧は、制御された吸引ポンプを使用して加えられる。
【0029】
マイクロフィルタは、UVレーザ、可視レーザ、及び赤外レーザなど、様々なレーザを用いて、非エポキシベースのマイクロフィルムの孔開けを使用して製作される。マイクロホールは、上記のレーザを用いて生成され、より短い波長は、マイクロホールに良好な品質及びサブミクロン径をもたらす。Krf&XeBrなどのエキシマレーザは、微細な円筒形のマイクロホール構造をもたらす。
【0030】
マイクロフィルタは、医療診断及び予後診断に使用される。マイクロフィルタは、より大きい有核細胞を血液から分離する。有核細胞の計数及び集積は、病態を示す。分離された細胞は、培養、免疫染色、PCR(ポリマー連鎖反応)、NGS(次世代シーケンシング)など、下流側分析のためにさらに利用される。
【0031】
マイクロフィルタは、循環性腫瘍細胞(CTC)を識別することによって、非侵襲性腫瘍の転移診断のために使用される。腫瘍細胞は、正常細胞よりもサイズが大きい。腫瘍細胞は、血液をマイクロフィルタに通すことによって分離される。マイクロフィルタの表面で分離されたCTCは、識別され、免疫蛍光染色によって数を数えられ、蛍光顕微鏡で観察される。
【0032】
本発明の別の例において、マイクロ濾過ユニットは、母体血からコロニー形成細胞(CFC)を集積することによって、非侵襲性出生前診断のために使用される。CFC細胞は、正常血液の構成要素よりも大きい。分離されたCFCは、FISH、NGSなどを用いて、遺伝解析のために分析される。
【0033】
本発明の別の例において、マイクロフィルタは、血液から微小凝集物を離すために使用される。特に保存血液は、貯蔵中に微小凝集物を有し得る。マイクロフィルタは、患者に輸血する前に、微小凝集物を除去するために使用される。
【0034】
図2a、
図2b、
図2c、
図2d、及び
図2eを共に参照されたい。マイクロ濾過ユニット10は:頂部の入口オリフィス111、上側壁112、及びサイドモジュール113を含む、上部フレーム11であって、サイドモジュール113は、一方の端部が上部フレームの上部側壁の下部と接続され、かつそこから延びた可撓性ストライプと、
図2eに示されるように、このストライプの他方の端部と接続され、かつ使用するときに上部フレーム11の頂部を覆うための一方の端部、及び外部の試料入口シリンジ(図示せず)の試料入口オリフィスに接続されることになる他方の端部を有する、変換入口ヘッド部1132とを有する、上部フレーム11;ならびに、出口オリフィス121及び下部円筒形の側壁122を含む、下部フレーム12を備える。上部フレーム11及び下部フレーム12は、ねじ連結を介して互いに接続され、マイクロフィルタ(図示せず)は、上部フレーム11と下部フレーム12との間に挟まれ、変換入口ヘッド部は、様々な試料入口オリフィスを伴う外部試料入口シリングと対応して係合するよう、様々な入口ヘッド部と交換可能である。それによって、外部試料入口シリングから送り込まれた試料に直線的な通過をもたらし、試料を、上部フレーム11の入口オリフィスを通して、下部フレーム12の出口オリフィスに流す。マイクロフィルタは、複数のマイクロホールを伴う非エポキシベースのマイクロフィルムである。
【0035】
本発明のマイクロ濾過ユニットにおいて、上部フレーム11のサイドモジュール113は、試料入口オリフィスを、より広い開口部からより狭い開口部に調整するのを可能にする。
【0036】
本発明のマイクロ濾過ユニットにおいて、上部フレーム11は、その内側外周の壁に配設された上部ガスケット114をさらに備え、下部フレーム12は、その内側外周の壁に配設された下部ガスケット123をさらに備え、マイクロフィルタは、これら2つのガスケットに挟まれる。
【0037】
本発明のマイクロ濾過ユニットは、マイクロフィルタの下方及び上方にそれぞれ設置された2つのガスケットをさらに備え、試料の漏洩を防止し、マイクロフィルタを所定に位置に保持する。ガスケットの材料はゴムである。
【0038】
本発明のマイクロ濾過ユニットにおいて、上部フレーム、ならびに可撓性ストライプ及び変換入口ヘッド部を含むサイドモジュールは、1つの部品に一体化される。
【0039】
1つの実施形態において、可撓性ストライプは、上部側壁の下部と取り外し可能に係合されるか、または変換入口ヘッド部と取り外し可能に係合される。この係合は、マジックテープ(登録商標)または他の係合可能要素など、雄及び雌の対のコネクタ(図示せず)を介して実施される。
【0040】
本発明のマイクロ濾過ユニットにおいて、マイクロフィルタの径は13mm、及び濾過領域の径は9mmである。
【0041】
本発明のマイクロ濾過ユニットは、負圧を出口オリフィスに加えるために、制御された吸引ポンプ(図示せず)をさらに備え、それによって試料の直線的な通過が、圧力差によって導かれる。