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特許7460178CRISPR-Cas12j酵素およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】CRISPR-Cas12j酵素およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20240326BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240326BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240326BHJP
   C07K 14/435 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N9/16 Z ZNA
C12N15/62 Z
C07K19/00
C07K14/435
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K38/46
A61K48/00
C12N15/11 Z
【請求項の数】 88
(21)【出願番号】P 2021527197
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2019118702
(87)【国際公開番号】W WO2020098772
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】201811355943.0
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506284418
【氏名又は名称】中国▲農▼▲業▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】頼錦盛
(72)【発明者】
【氏名】周英思
(72)【発明者】
【氏名】李英男
(72)【発明者】
【氏名】張継紅
(72)【発明者】
【氏名】王瑩瑩
(72)【発明者】
【氏名】呂夢▲る▼
(72)【発明者】
【氏名】張湘博
(72)【発明者】
【氏名】趙海銘
(72)【発明者】
【氏名】宋偉彬
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-070825(JP,A)
【文献】特開2014-045774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 9/16
C07K 19/00
C07K 14/435
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号17で示されるアミノ酸配列、または配列番号17で示される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、タンパク質であって、
ガイドRNAのガイドで標的配列の特定の部位と結合して切断する活性を有する、タンパク質
【請求項2】
CRISPR/Casシステムにおけるエフェクタータンパク質である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
配列番号17で示されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項4】
請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質および修飾部分を含む、結合体。
【請求項5】
前記修飾部分は、別のタンパク質またはポリペプチド、検出可能な標識、およびこれらの任意の組み合わせから選ばれる、請求項4に記載の結合体。
【請求項6】
前記修飾部分は、リンカーを介して前記タンパク質のN末端またはC末端に連結している、請求項4に記載の結合体。
【請求項7】
前記修飾部分は前記タンパク質のN末端またはC末端に融合している、請求項4に記載の結合体。
【請求項8】
前記別のタンパク質またはポリペプチドは、エピトープタグ、レポータータンパク質、核局在化シグナル(NLS)配列、ターゲティング部分、転写活性化ドメイン、転写抑制ドメイン、ヌクレアーゼドメイン、ヌクレオチドデアミナーゼ活性、メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写物放出因子活性、ヒストン修飾活性、ヌクレアーゼ活性、1本鎖RNA切断活性、2本鎖RNA切断活性、1本鎖DNA切断活性、2本鎖DNA切断活性および核酸結合活性から選ばれる活性を有するドメイン、ならびにこれらの任意の組み合わせから選ばれる、請求項5に記載の結合体。
【請求項9】
エピトープタグを含む、請求項に記載の結合体。
【請求項10】
NLS配列を含む、請求項に記載の結合体。
【請求項11】
前記NLS配列は配列番号81で示される、請求項10に記載の結合体。
【請求項12】
前記NLS配列は前記タンパク質の末端に位置するか、隣接するか、あるいは近い、請求項10に記載の結合体。
【請求項13】
融合タンパク質であって、請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質および別のタンパク質またはポリペプチドを含む、融合タンパク質。
【請求項14】
別のタンパク質またはポリペプチドが、リンカーを介して前記タンパク質のN末端またはC末端に任意選択的に連結している、請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
前記別のタンパク質またはポリペプチドは、エピトープタグ、レポータータンパク質、核局在化シグナル(NLS)配列、ターゲティング部分、転写活性化ドメイン、転写抑制ドメイン、ヌクレアーゼドメイン、ヌクレオチドデアミナーゼ活性、メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写物放出因子活性、ヒストン修飾活性、ヌクレアーゼ活性、1本鎖RNA切断活性、2本鎖RNA切断活性、1本鎖DNA切断活性、2本鎖DNA切断活性および核酸結合活性から選ばれる活性を有するドメイン、ならびにこれらの任意の組み合わせから選ばれる、請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
エピトープタグを含む、請求項15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
NLS配列を含む、請求項15に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
前記NLS配列は配列番号81で示される、請求項17に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
前記NLS配列は前記タンパク質の末端に位置するか、隣接するか、あるいは近い、請求項17に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
配列番号98のアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
(i) 請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質、請求項5に記載の結合体、請求項13に記載の融合タンパク質、およびこれらの任意の組み合わせから選ばれる、タンパク質成分、ならびに
(ii) 5’から3’への方向において、直接反復配列と、標的配列とハイブリダイズできるガイド配列とを含む、ガイドRNAを含み、ここで、前記ガイドRNAは請求項1に記載のタンパク質と複合体を形成することができ、前記タンパク質成分とガイドRNAは相互に結合して複合体になっている、複合体。
【請求項22】
前記直接反復配列は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなる:
(i) 配列番号57で示される配列
求項21に記載の複合体。
【請求項23】
前記直接反復配列は、RNAである、請求項21に記載の複合体。
【請求項24】
前記ガイド配列は直接反復配列の3’末端に連結している、請求項21に記載の複合体。
【請求項25】
前記ガイド配列は前記標的配列の相補配列を含む、請求項21に記載の複合体。
【請求項26】
前記ガイドRNAは、CRISPR-CasシステムにおけるガイドRNAである、請求項21に記載の複合体。
【請求項27】
トランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含まない、請求項21に記載の複合体。
【請求項28】
(i) 請求項1に記載のタンパク質、前記タンパク質を含む結合体または融合タンパク質から選ばれる、タンパク質成分、ならびに
(ii) 前記直接反復配列および前記ガイド配列を含む、ガイドRNA
を含む請求項21に記載の複合体。
【請求項29】
単離された核酸分子であって、
(i) 請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質、または請求項4に記載の結合体、または請求項13に記載の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
含む、核酸分子。
【請求項30】
(i)に記載のヌクレオチド配列はコドン最適化を経て原核細胞または真核細胞における発現に使用される、請求項29に記載の核酸分子。
【請求項31】
請求項29に記載の単離された核酸分子を含むベクター。
【請求項32】
請求項29に記載の単離された核酸分子または請求項31に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項33】
組成物であって、
(i) 請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質、請求項4に記載の結合体、請求項13に記載の融合タンパク質、前記タンパク質または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列、およびこれらの任意の組み合わせから選ばれる、第一成分、ならびに
(ii) ガイドRNAを含むヌクレオチド配列、または前記ガイドRNAを含むヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列である、第二成分を含み、
前記ガイドRNAは5’から3’への方向において直接反復配列および標的配列とハイブリダイズできるガイド配列を含み、前記ガイドRNAは請求項1に記載のタンパク質と複合体を形成することができ、
前記ガイドRNAは(i)に記載のタンパク質、結合体または融合タンパク質と複合体を形成することができる、組成物。
【請求項34】
前記ガイド配列は前記直接反復配列の3’末端に連結している、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記ガイド配列は前記標的配列の相補配列を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
トランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含まない、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
天然に存在しないものまたは修飾されたものである、請求項33に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物における少なくとも一つの成分は天然に存在しないものまたは修飾されたものである、請求項33に記載の組成物。
【請求項39】
前記第一成分は天然に存在しないものまたは修飾されたものであり、ならびに/あるいは、前記第二成分は天然に存在しないものまたは修飾されたものである、請求項33に記載の組成物。
【請求項40】
前記標的配列がDNAである場合、前記標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3’末端に位置し、かつ前記PAMは5’-ATGで示される配列を有する、請求項33に記載の組成物。
【請求項41】
1つまたは複数のベクターを含む組成物であって、前記1つまたは複数のベクターは、
(i) 請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質または請求項13に記載の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列である、第一核酸、ならびに
(ii) ガイドRNAを含むヌクレオチド配列をコードする、第二核酸を含み、
前記第一核酸と第二核酸は同一か異なるベクターに存在し、
前記ガイドRNAは5’から3’への方向において直接反復配列および標的配列とハイブリダイズできるガイド配列を含み、前記ガイドRNAは請求項1に記載のタンパク質と複合体を形成することができ、
前記ガイドRNAは(i)に記載のタンパク質または融合タンパク質と複合体を形成することができる、組成物。
【請求項42】
前記第一核酸が、操作可能に第一調節エレメントに連結している、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記第二核酸が、操作可能に第二調節エレメントに連結している、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記直接反復配列は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなる:
(i) 配列番号57で示される配列
求項41に記載の組成物。
【請求項45】
前記ガイド配列は前記直接反復配列の3’末端に連結している、請求項41に記載の組成物。
【請求項46】
前記ガイド配列は前記標的配列の相補配列を含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項47】
トランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含まない、請求項41に記載の組成物。
【請求項48】
天然に存在しないものまたは修飾されたものである、請求項41に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物における少なくとも一つの成分は天然に存在しないものまたは修飾されたものである、請求項41に記載の組成物。
【請求項50】
前記第一調節エレメントはプロモーターである、請求項42に記載の組成物。
【請求項51】
前記第一調節エレメントは誘導型プロモーターである、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記第二調節エレメントはプロモーターである、請求項43に記載の組成物。
【請求項53】
前記第二調節エレメントは誘導型プロモーターである、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記標的配列がDNAである場合、前記標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3’末端に位置し、かつ前記PAMは5’-ATGで示される配列を有する、請求項41に記載の組成物。
【請求項55】
前記標的配列がRNAである場合、前記RNA配列はPAMドメインの制限がない請求項33-53のいずれかに記載の組成物。
【請求項56】
前記標的配列は原核細胞または真核細胞由来のDNAまたはRNA配列であるか、あるいは、前記標的配列は天然に存在しないDNAまたはRNA配列である請求項33-55のいずれかに記載の組成物。
【請求項57】
前記標的配列は細胞内に存在する、請求33-56のいずれかに記載の組成物。
【請求項58】
前記標的配列は細胞核内または細胞質内に存在する、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記細胞は真核細胞である、請求項57に記載の組成物。
【請求項60】
前記細胞は原核細胞である、請求項57に記載の組成物。
【請求項61】
前記タンパク質は1つまたは複数のNLS配列が連結しているか、あるいは、前記結合体または融合タンパク質は1つまたは複数のNLS配列を含む、請求項33-57のいずれかに記載の組成物。
【請求項62】
前記NLS配列は前記タンパク質のN末端またはC末端に連結している、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
前記NLS配列は前記タンパク質のN末端またはC末端に融合している、請求項61に記載の組成物。
【請求項64】
請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質、請求項4に記載の結合体、請求項13に記載の融合タンパク質、請求項21-28のいずれかに記載の複合体、請求項29に記載の単離された核酸分子、請求項31に記載のベクター、請求項33-60のいずれかに記載の組成物からなる群から選ばれる1つまたは複数を含むキット。
【請求項65】
請求項33-40のいずれかに記載の組成物、ならびに前記組成物の使用説明書を含む、請求項64に記載のキット。
【請求項66】
請求項41-60のいずれかに記載の組成物、ならびに前記組成物の使用説明書を含む、請求項64に記載のキット。
【請求項67】
送達担体、ならびに請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質、請求項4に記載の結合体、請求項13に記載の融合タンパク質、請求項21-28のいずれかに記載の複合体、請求項29に記載の単離された核酸分子、請求項31に記載のベクター、請求項33-60のいずれかに記載の組成物からなる群から選ばれる1つまたは複数を含む、送達組成物。
【請求項68】
前記送達担体は粒子である、請求項67に記載の送達組成物。
【請求項69】
前記送達担体は脂質粒子、糖粒子、金属粒子、タンパク質粒子、リポソーム、エクソソーム、マイクロバブル、パーティクルガンまたはウイルスベクターから選ばれる、請求項67に記載の送達組成物。
【請求項70】
標的遺伝子を修飾するための、インビトロ、非ヒト、非診断かつ非治療的な方法であって、請求項21-28のいずれかに記載の複合体または請求項33-60のいずれかに記載の組成物を前記標的遺伝子と接触させるか、前記標的遺伝子を含む細胞の中に送達することを含み、前記標的配列は前記標的遺伝子に存在する、方法。
【請求項71】
前記細胞は植物細胞から選ばれる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記標的遺伝子はインビトロの核酸分子に存在する、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記修飾は前記標的配列の断裂である、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記修飾は、さらに、外因性核酸を前記断裂に挿入することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
請求項28に記載の複合体、請求項33に記載の組成物または請求項41に記載の組成物を前記標的遺伝子と接触させるか、前記標的遺伝子を含む細胞の中に送達することを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
遺伝子産物の発現を改変するための、インビトロ、非ヒト、非診療的かつ非治療的方法であって、請求項21-28のいずれかに記載の複合体または請求項33-60のいずれかに記載の組成物を前記遺伝子産物をコードする核酸分子と接触させるか、前記核酸分子を含む細胞の中に送達することを含み、前記標的配列は前記核酸分子に存在する、方法。
【請求項77】
前記遺伝子産物の発現改変は、増強または低下である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記遺伝子産物はタンパク質である、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
請求項28に記載の複合体、請求項33に記載の組成物または請求項41に記載の組成物を前記遺伝子産物をコードする核酸分子と接触させるか、前記核酸分子を含む細胞の中に送達することを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記のタンパク質、結合体、融合タンパク質、複合体、または組成物は送達担体に含まれる、請求項70-79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記送達担体は脂質粒子、糖粒子、金属粒子、タンパク質粒子、リポソーム、エクソソーム、ウイルスベクターから選ばれる、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
標的遺伝子または標的遺伝子産物をコードする核酸分子における1つまたは複数の標的配列を改変することによって細胞または細胞系を修飾することに使用される請求項70-80のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
インビトロの、または単離された、細胞または細胞系であって、請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質、請求項4に記載の結合体、請求項13に記載の融合タンパク質、請求項21-28のいずれかに記載の複合体、請求項29に記載の核酸分子、請求項31に記載のベクター、請求項33-60のいずれかに記載の組成物を含む、細胞または細胞系。
【請求項84】
前記細胞または細胞系は、請求項28に記載の複合体、請求項33に記載の組成物または請求項60に記載の組成物を含む、請求項83に記載の細胞または細胞系。
【請求項85】
前記細胞は幹細胞または幹細胞系である、請求項83に記載の細胞または細胞系。
【請求項86】
核酸編集のための、請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質、請求項4に記載の結合体、請求項13に記載の融合タンパク質、請求項21-28のいずれかに記載の複合体、請求項29に記載の単離された核酸分子、請求項31に記載のベクター、または請求項33-60のいずれかに記載の組成物の、インビトロでの使用。
【請求項87】
前記核酸編集は遺伝子修飾、遺伝子ノックアウト、遺伝子産物の発現の改変、突然変異の修復、および/またはポリヌクレオチドの挿入を含む、請求項86に記載の使用。
【請求項88】
製剤の製造における、請求項1-3のいずれかに記載のタンパク質、請求項4に記載の結合体、請求項13に記載の融合タンパク質、請求項21-28のいずれかに記載の複合体、請求項29に記載の核酸分子、請求項31に記載のベクター、または請求項33-60のいずれかに記載の組成物の使用であって、前記製剤は以下のためである、使用:
(i) インビトロにおける遺伝子またはゲノムの編集;
(ii)単離された1本鎖DNAの検出;
(iii) 標的遺伝子座における標的配列の編集による生物またはヒト以外の生物の修飾;
(iv) 標的遺伝子座における標的配列の欠陥による病症の治療。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸編集の分野に関し、特に、クラスター化規則的間隔短鎖回文リピート(CRISPR)の技術分野に関する。具体的に、本発明はCasエフェクタータンパク質に関し、このようなタンパク質の融合タンパク質、およびこれらをコードする核酸分子を含む。また、本発明は核酸編集(たとえば、遺伝子またはゲノム編集)のための複合体および組成物であって、本発明のタンパク質または融合タンパク質、あるいはこれらをコードする核酸分子を含むものに関する。また、本発明は核酸編集(たとえば、遺伝子またはゲノム編集)のための方法であって、その使用に本発明のタンパク質または融合タンパク質が含まれる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CRISPR/Cas技術は、幅広く使用される遺伝子編集技術で、RNAでガイドしてゲノムにおける標的配列と特異的に結合してDNAを切断して二本鎖を断裂させ、生物の非相同末端結合または相同組み換えを利用して定点基因編集を行う。
CRISPR/Cas9システムは、最も使用されるII型CRISPRシステムで、3'-NGGのPAMモチーフを認識し、標的配列に対して平滑末端切断を行う。V型CRISPR/Casシステムは、近年、新しく発見されたCRISPRシステムで、5'-TTNのモチーフを有し、標的配列に対して粘着末端切断を行い、たとえばCpf1、C2c1、CasX、CasYが挙げられる。しかし、既存の異なるCRISPR/Casはそれぞれ異なる利点と欠点がある。たとえば、Cas9、C2c1およびCasXはいずれもRNAのガイドに2本のRNAが必要であるが、一方、Cpf1は1本のガイドRNAのみが必要で、そして多重遺伝子編集に使用することができる。CasXは980アミノ酸の大きさを有するが、よく見られるCas9、C2c1、CasYおよびCpf1は、通常、大きさが1300アミノ酸程度である。また、Cas9、Cpf1、CasX、CasYのPAM配列はいずれも複雑で多様化しているが、C2c1は厳格に5'-TTNを認識するため、その標的部位がほかのシステムよりも予測しやすいことで、潜在のオフターゲット効果を低減させる。
このように、現在、入手できるCRISPR/Casシステムはいずれも欠点によって制限されることに鑑み、より確実で、多くの面で優れた性能を有する新規なCRISPR/Casシステムの開発は生物技術の発展に重要な意義がある。
【0003】
発明の概要
本願の発明者は、大量の実験および試行錯誤を経て、意外に、新規なRNAにガイドされるエンドヌクレアーゼを見出した。この知見に基づき、本発明者は、新規なCRISPR/Casシステムおよびそのシステムに基づいた遺伝子編集方法を開発した。
【0004】
Casエフェクタータンパク質
そのため、第一の側面では、本発明は、配列番号1-20、107、108のいずれかで示されるアミノ酸配列またはそのオーソログ、ホモログ、バリアントまたは機能的断片を有し、ここで、前記オーソログ、ホモログ、バリアントまたは機能的断片は基本的にその由来の配列の生物学的機能を維持する、いくつかのタンパク質を提供する。
【0005】
本発明において、上記配列の生物学的機能はガイドRNAと結合する活性、エンドヌクレアーゼ活性、ガイドRNAのガイドで標的配列の特定の部位と結合して切断する活性を含むが、これらに限定されない。
【0006】
一部の実施形態において、前記オーソログ、ホモログまたはバリアントはその由来の配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ。
【0007】
一部の実施形態において、前記オーソログ、ホモログまたはバリアントは配列番号1-20、107、108のいずれかで示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持ち、かつ基本的にその由来の配列の生物学的機能(たとえば、ガイドRNAと結合する活性、エンドヌクレアーゼ活性、ガイドRNAのガイドで標的配列の特定の部位と結合して切断する活性)を維持する。
【0008】
一部の実施形態において、前記タンパク質はCRISPR/Casシステムにおけるエフェクタータンパク質である。
【0009】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号1-20、107、108のいずれかで示される配列;
(ii) 配列番号1-20、107、108のいずれかで示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号1-20、107、108のいずれかで示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
【0010】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号1で示される配列;
(ii) 配列番号1で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号1で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
【0011】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号2で示されるアミノ配列を有する。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号2で示される配列;
(ii) 配列番号2で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号2で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号2で示されるアミノ配列を有する。
【0012】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号3で示される配列;
(ii) 配列番号3で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号3で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号3で示されるアミノ配列を有する。
【0013】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号4で示される配列;
(ii) 配列番号4で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号4で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号4で示されるアミノ配列を有する。
【0014】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号5で示される配列;
(ii) 配列番号5で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号5で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号5で示されるアミノ配列を有する。
【0015】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号6で示される配列;
(ii) 配列番号6で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号6で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号6で示されるアミノ配列を有する。
【0016】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号7で示される配列;
(ii) 配列番号7で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号7で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号7で示されるアミノ配列を有する。
【0017】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号8で示される配列;
(ii) 配列番号8で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号8で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号8で示されるアミノ配列を有する。
【0018】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号9で示される配列;
(ii) 配列番号9で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号9で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号9で示されるアミノ配列を有する。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号10で示される配列;
(ii) 配列番号10で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号10で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号10で示されるアミノ配列を有する。
【0019】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号11で示される配列;
(ii) 配列番号11で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号11で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号11で示されるアミノ配列を有する。
【0020】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号12で示される配列;
(ii) 配列番号12で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号12で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号12で示されるアミノ配列を有する。
【0021】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号13で示される配列;
(ii) 配列番号13で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号13で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号13で示されるアミノ配列を有する。
【0022】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号14で示される配列;
(ii) 配列番号14で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号14で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号14で示されるアミノ配列を有する。
【0023】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号15で示される配列;
(ii) 配列番号15で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号15で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号15で示されるアミノ配列を有する。
【0024】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号16で示される配列;
(ii) 配列番号16で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号16で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号16で示されるアミノ配列を有する。
【0025】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号17で示される配列;
(ii) 配列番号17で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号17で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号17で示されるアミノ配列を有する。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号18で示される配列;
(ii) 配列番号18で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号18で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号18で示されるアミノ配列を有する。
【0026】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号19で示される配列;
(ii) 配列番号19で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号19で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号19で示されるアミノ配列を有する。
【0027】
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号20で示される配列;
(ii) 配列番号20で示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号20で示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は配列番号20で示されるアミノ配列を有する。
【0028】
誘導されるタンパク質
本発明のタンパク質は、誘導化され、たとえば、別の分子(たとえば、別のポリペプチドやタンパク質)に連結されてもよい。通常、タンパク質の誘導化(たとえば、標識)は、当該タンパク質の所望の活性(たとえば、ガイドRNAと結合する活性、エンドヌクレアーゼ活性、ガイドRNAのガイドで標的配列の特定の部位と結合して切断する活性)に不利な影響を与えないものである。そのため、本発明のタンパク質は、このような誘導化の形態を含むことも望ましい。たとえば、本発明のタンパク質を1つまたは複数の別の分子団、たとえば、別のタンパク質またはポリペプチド、検出試薬、薬用試薬などに機能的に(化学的カップリング、遺伝子融合、非共役結合またはほかの手段を介して)連結してもよい。
特に、本発明のタンパク質を別の機能性単位に連結してもよい。たとえば、それを核局在化シグナル(NLS)配列と連結することにより、本発明のタンパク質の細胞核に入る能力を向上させることができる。たとえば、それをターゲティング部分と連結することにより、本発明のタンパク質に標的指向性を付与することができる。たとえば、それを検出可能な標識と連結することにより、本発明のタンパク質が検出しやすいようにすることができる。たとえば、それをエピトープタグと連結することにより、本発明のタンパク質の発現、検出、追跡および/または精製がしやすいようにすることができる。
【0029】
結合体
そのため、第二の側面では、本発明は、上記のようなタンパク質および修飾部分を含む結合体を提供する。
一部の実施形態において、前記修飾部分は、別のタンパク質またはポリペプチド、検出可能な標識またはこれらの任意の組み合わせから選ばれる。
一部の実施形態において、前記別のタンパク質またはポリペプチドは、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、核局在化シグナル(NLS)配列、ターゲティング部分、転写活性化ドメイン(たとえば、VP64)、転写抑制ドメイン(たとえば、KRABドメインやSIDドメイン)、ヌクレアーゼドメイン(たとえば、Fok1)、ヌクレオチドデアミナーゼ活性、メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写物放出因子活性、ヒストン修飾活性、 ヌクレアーゼ活性、1本鎖RNA切断活性、2本鎖RNA切断活性、1本鎖DNA切断活性、2本鎖DNA切断活性および核酸結合活性から選ばれる活性を有するドメイン、ならびにこれらの任意の組み合わせから選ばれる。
【0030】
一部の実施形態において、本発明の結合体は、1つまたは複数のNLS配列、たとえば、SV40ウイルス大T抗原のNLSを含む。一部の例示的な実施形態において、前記NLS配列は配列番号81で示される。一部の実施形態において、前記NLS配列は本発明のタンパク質の末端(たとえば、N末端またはC末端)に位置するか、隣接するか、あるいは近い。一部の例示的な実施形態において、前記NLS配列は本発明のタンパク質のC末端に位置するか、隣接するか、あるいは近い。
一部の実施形態において、本発明の結合体は、エピトープタグ(epitope tag)を含む。このようなエピトープタグは、当業者に熟知のもので、その実例はHis、V5、FLAG、HA、Myc、VSV-G、Trxなどを含むが、これらに限定されず、そして当業者には、どのように所望の目的(たとえば、精製、検出または追跡)によって適切なエピトープタグを選択するかというのが既知のことである。
【0031】
一部の実施形態において、本発明の結合体は、レポーター遺伝子配列を含む。このようなレポーター遺伝子配列は、当業者に熟知のもので、その実例はGST、HRP、CAT、GFP、HcRed、DsRed、CFP、YFP、BFPなどを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、本発明の結合体は、DNA分子または細胞内における分子と結合できるドメイン、マルトース結合タンパク質(MBP)、Lex AのDNA結合ドメイン(DBD)、GAL4のDBDなどを含む。
一部の実施形態において、本発明の結合体は、検出可能な標識、たとえば蛍光色素、たとえばFITCやDAPIを含む。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、任意に、リンカーを介して前記修飾部分とカップリング、結合または融合している。
一部の実施形態において、前記修飾部分は、直接本発明のタンパク質のN末端またはC末端に連結している。
一部の実施形態において、前記修飾部分は、リンカーを介して本発明のタンパク質のN末端またはC末端に連結している。このようなリンカーは本分野で熟知のもので、その実例は1個または複数個(たとえば、1個、2個、3個、4個または5個)のアミノ酸(たとえば、GluまたはSer)またはアミノ酸誘導体(たとえば、Ahx、β-Ala、GABAまたはAva)のリンカー、あるいはPEGなどを含むが、これらに限定されない。
【0032】
融合タンパク質
第三の側面では、本発明は、本発明のタンパク質と、別のタンパク質またはポリペプチドとを含む融合タンパク質を提供する。
一部の実施形態において、前記別のタンパク質またはポリペプチドは、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、核局在化シグナル(NLS)配列、ターゲティング部分、転写活性化ドメイン(たとえば、VP64)、転写抑制ドメイン(たとえば、KRABドメインやSIDドメイン)、ヌクレアーゼドメイン(たとえば、Fok1)、ヌクレオチドデアミナーゼ活性、メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写物放出因子活性、ヒストン修飾活性、 ヌクレアーゼ活性、1本鎖RNA切断活性、2本鎖RNA切断活性、1本鎖DNA切断活性、2本鎖DNA切断活性および核酸結合活性から選ばれる活性を有するドメイン、ならびにこれらの任意の組み合わせから選ばれる。
【0033】
一部の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、1つまたは複数のNLS配列、たとえば、SV40ウイルス大T抗原のNLSを含む。一部の実施形態において、前記NLS配列は本発明のタンパク質の末端(たとえば、N末端またはC末端)に位置するか、隣接するか、あるいは近い。一部の例示的な実施形態において、前記NLS配列は本発明のタンパク質のC末端に位置するか、隣接するか、あるいは近い。
一部の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、エピトープタグを含む。
一部の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、レポーター遺伝子配列を含む。
一部の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、DNA分子または細胞内における分子と結合できるドメインを含む。
一部の実施形態において、本発明のタンパク質は、任意に、リンカーを介して前記別のタンパク質またはポリペプチドと融合している。
一部の実施形態において、前記別のタンパク質またはポリペプチドは、直接本発明のタンパク質のN末端またはC末端に連結している。
一部の実施形態において、前記別のタンパク質またはポリペプチドは、リンカーを介して本発明のタンパク質のN末端またはC末端に連結している。
一部の例示的な実施形態において、本発明の融合タンパク質は配列番号82-101から選ばれるアミノ配列を有する。
【0034】
本発明のタンパク質、本発明の結合体または本発明の融合タンパク質はその生成方法によって限定されず、たとえば、遺伝子工学的方法(組み換え技術)によって生成してもよく、化学合成方法によって生成してもよい。
【0035】
直接反復配列
第四の側面では、本発明は、単離された核酸分子であって、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるもので:
(i) 配列番号41-60のいずれかで示される配列;
(ii) 配列番号41-60のいずれかで示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号41-60のいずれかで示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列;
かつ、(ii)-(v)のいずれかに記載の配列は基本的にその由来の配列の生物学的機能を維持し、前記配列の生物学的機能とは、CRISPR-Casシステムにおける直接反復配列としての活性である核酸分子を提供する。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はCRISPR-Casシステムにおける直接反復配列である。
一部の実施形態において、前記核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号41のいずれかで示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) (a)に記載の配列の相補配列。
【0036】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号41で示される配列;
(ii) 配列番号41で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号41で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号41で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号41で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号42で示される配列;
(ii) 配列番号42で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号42で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号42で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号42で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0037】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号43で示される配列;
(ii) 配列番号43で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号43で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号43で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号43で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0038】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号44で示される配列;
(ii) 配列番号44で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号44で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号44で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号44で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0039】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号45で示される配列;
(ii) 配列番号45で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号45で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号45で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号45で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0040】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号46で示される配列;
(ii) 配列番号46で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号46で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号46で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号46で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0041】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号47で示される配列;
(ii) 配列番号47で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号47で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号47で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号47で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0042】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号48で示される配列;
(ii) 配列番号48で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号48で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号48で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号48で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0043】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号49で示される配列;
(ii) 配列番号49で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号49で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号49で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号49で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0044】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号50で示される配列;
(ii) 配列番号50で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号50で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号50で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号50で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0045】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号51で示される配列;
(ii) 配列番号51で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号51で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号51で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号51で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0046】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号52で示される配列;
(ii) 配列番号52で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号52で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号52で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号52で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0047】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号53で示される配列;
(ii) 配列番号53で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号53で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号53で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号53で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0048】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号54で示される配列;
(ii) 配列番号54で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号54で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号54で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号54で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0049】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号55で示される配列;
(ii) 配列番号55で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号55で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号55で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号55で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0050】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号56で示される配列;
(ii) 配列番号56で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号56で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号56で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号56で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0051】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号57で示される配列;
(ii) 配列番号57で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号57で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号57で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号57で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0052】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号58で示される配列;
(ii) 配列番号58で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号58で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号58で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号58で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0053】
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号59で示される配列;
(ii) 配列番号59で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号59で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号59で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号59で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(i) 配列番号60で示される配列;
(ii) 配列番号60で示される配列に対して1個または複数個の塩基の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の塩基の置換、欠失または付加)を有する配列;
(iii) 配列番号60で示される配列に対して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を持つ配列;
(iv) 厳格な条件において(i)-(iii)のいずれかに記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(v) (i)-(iii)のいずれかに記載の配列の相補配列。
一部の実施形態において、前記単離された核酸分子は、以下から選ばれる配列を含むか、または以下から選ばれる配列からなるものである:
(a) 配列番号60で示されるヌクレオチド配列;
(b) 厳格な条件において(b)に記載の配列とハイブリダイズする配列;あるいは
(c) 配列番号60で示されるヌクレオチド配列の相補配列。
【0054】
CRISPR/Cas複合体
第五の側面では、本発明は、
(i) 本発明のタンパク質、結合体または融合タンパク質、およびこれらの任意の組み合わせから選ばれる、タンパク質成分、ならびに
(ii) 5'から3'への方向において上記のような単離された核酸分子および標的配列とハイブリダイズできるガイド配列を含む、核酸成分を含み、
ここで、前記タンパク質成分と核酸成分は相互に結合して複合体になっている
複合体を提供する。
一部の実施形態において、前記ガイド配列は前記核酸分子の3'末端に連結している。
一部の実施形態において、前記ガイド配列は前記標的配列の相補配列を含む。
一部の実施形態において、前記核酸成分はCRISPR-CasシステムにおけるガイドRNAである。
一部の実施形態において、前記核酸分子はRNAである。
一部の実施形態において、前記複合体はトランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含まない。
一部の実施形態において、前記ガイド配列は長さが少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも14個である。一部の実施形態において、前記ガイド配列は長さが10-30個、または15-25個、または15-22個、または19-25個、19-22個のヌクレオチドまたは14-28個のヌクレオチドである。
一部の実施形態において、前記ガイド配列は長さが55-70個のヌクレオチド、たとえば55-65個、たとえば60-65個、たとえば62-65個、たとえば63-64個のヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記ガイド配列は長さが15-30個のヌクレオチド、たとえば15-25個、たとえば20-25個、たとえば22-24個、たとえば23個のヌクレオチドである。
【0055】
コード核酸、ベクターおよび宿主細胞
第六の側面では、本発明は、単離された核酸分子であって、
(i) 本発明のタンパク質または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(ii) 第四の側面に記載の単離された核酸分子を含むか、あるいは
(iii) (i)および(ii)のヌクレオチド配列を含む
核酸分子を提供する。
一部の実施形態において、(i)-(iii)のいずれかに記載のヌクレオチド配列はコドン最適化を経て原核細胞における発現に使用される。一部の実施形態において、(i)-(iii)のいずれかに記載のヌクレオチド配列はコドン最適化を経て真核細胞における発現に使用される。
第七の側面では、本発明は、第六の側面に記載の単離された核酸分子を含むベクターを提供する。本発明のベクターはクローニングベクターでも、発現ベクターでもよい。一部の実施形態において、本発明のベクターは、たとえば、プラスミド、コスミド、ファージ、cosプラスミドなどである。一部の実施形態において、前記ベクターは被験者(たとえば、哺乳動物、たとえばヒト)の体内において本発明のタンパク質、融合タンパク質、第四の側面に記載の単離された核酸分子または第五の側面に記載の複合体を発現することができる。
第八の側面では、本発明は、上記のような単離された核酸分子またはベクターを含む宿主細胞を提供する。このような宿主細胞は、原核細胞、たとえば大腸菌細胞、ならびに真核細胞、たとえば酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞および動物細胞(たとえば哺乳動物細胞、たとえばマウス細胞、ヒト細胞など)を含むが、これらに限定されない。本発明の細胞は、細胞系、たとえば293T細胞でもよい。
【0056】
組成物およびベクター組成物
また、第九の側面では、本発明は、
(i) 本発明のタンパク質、結合体、融合タンパク質、前記タンパク質または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列、およびこれらの任意の組み合わせから選ばれる、第一成分、ならびに
(ii) ガイドRNAを含むヌクレオチド配列、または前記ガイドRNAを含むヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列である、第二成分を含み、
前記ガイドRNAは5'から3'への方向において直接反復配列および標的配列とハイブリダイズできるガイド配列を含み、
前記ガイドRNAは(i)に記載のタンパク質、結合体または融合タンパク質と複合体を形成することができる
組成物を提供する。
一部の実施形態において、前記直接反復配列は第四の側面で定義された単離された核酸分子である。
一部の実施形態において、前記ガイド配列は前記直接反復配列の3'末端に連結している。一部の実施形態において、前記ガイド配列は前記標的配列の相補配列を含む。
一部の実施形態において、前記組成物はtracrRNAを含まない。
一部の実施形態において、前記組成物は天然に存在しないものまたは修飾されたものである。一部の実施形態において、前記組成物における少なくとも一つの成分は天然に存在しないものまたは修飾されたものである。一部の実施形態において、前記第一成分は天然に存在しないものまたは修飾されたもので、ならびに/あるいは、前記第二成分は天然に存在しないものまたは修飾されたものである。
一部の実施形態において、前記標的配列がDNAである場合、前記標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3'末端に位置し、かつ前記PAMは5'-ATGで示される配列を有する。
一部の実施形態において、前記標的配列がDNAである場合、前記標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3'末端に位置し、かつ前記PAMは5'-TTNで示される配列を有し、ここで、NはA、G、T、Cから選ばれる。
一部の実施形態において、前記標的配列がDNAである場合、前記標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3'末端に位置し、かつ前記PAMは5'-KTRで示される配列を有する。
一部の実施形態において、前記標的配列がRNAである場合、前記標的配列はPAMドメインの制限がない。
一部の実施形態において、前記標的配列は原核細胞または真核細胞由来のDNAまたはRNA配列である。一部の実施形態において、前記標的配列は天然に存在しないDNAまたはRNA配列である。
一部の実施形態において、前記標的配列は細胞内に存在する。一部の実施形態において、前記標的配列は細胞核内または細胞質(たとえば、細胞内小器官)内に存在する。一部の実施形態において、前記細胞は真核細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は原核細胞である。
一部の実施形態において、前記タンパク質は、1つまたは複数のNLS配列が連結している。一部の実施形態において、前記結合体または融合タンパク質は、1つまたは複数のNLS配列を含む。一部の実施形態において、前記NLS配列は、前記タンパク質のN末端またはC末端に連結している。一部の実施形態において、前記NLS配列は、前記タンパク質のN末端またはC末端に融合している。
【0057】
また、第十の側面では、本発明は、1つまたは複数のベクターを含み、前記1つまたは複数のベクターは、
(i) 本発明のタンパク質または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、任意に、操作可能に第一調節エレメントに連結している、第一核酸、ならびに
(ii) ガイドRNAを含むヌクレオチド配列をコードし、任意に、操作可能に第二調節エレメントに連結している、第二核酸を含み、
ここで、
前記第一核酸と第二核酸は同様か異なるベクターに存在し、
前記ガイドRNAは5'から3'への方向において直接反復配列および標的配列とハイブリダイズできるガイド配列を含み、
前記ガイドRNAは(i)に記載のエフェクタータンパク質または融合タンパク質と複合体を形成することができる
組成物を提供する。
一部の実施形態において、前記直接反復配列は第四の側面で定義された単離された核酸分子である。
一部の実施形態において、前記ガイド配列は前記直接反復配列の3'末端に連結している。一部の実施形態において、前記ガイド配列は前記標的配列の相補配列を含む。
一部の実施形態において、前記組成物はtracrRNAを含まない。
一部の実施形態において、前記組成物は天然に存在しないものまたは修飾されたものである。一部の実施形態において、前記組成物における少なくとも一つの成分は天然に存在しないものまたは修飾されたものである。
一部の実施形態において、前記第一調節エレメントはプロモーター、たとえば誘導型プロモーターである。
一部の実施形態において、前記第二調節エレメントはプロモーター、たとえば誘導型プロモーターである。
一部の実施形態において、前記標的配列がDNAである場合、前記標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3'末端に位置し、かつ前記PAMは5'-ATGで示される配列を有する。
一部の実施形態において、前記標的配列がDNAである場合、前記標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3'末端に位置し、かつ前記PAMは5'-TTNで示される配列を有し、ここで、NはA、G、T、Cから選ばれる。
一部の実施形態において、前記標的配列がDNAである場合、前記標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3'末端に位置し、かつ前記PAMは5'-KTRで示される配列を有する。
一部の実施形態において、前記標的配列がRNAである場合、前記標的配列はPAMドメインの制限がない。
一部の実施形態において、前記標的配列は原核細胞または真核細胞由来のDNAまたはRNA配列である。一部の実施形態において、前記標的配列は天然に存在しないDNAまたはRNA配列である。
一部の実施形態において、前記標的配列は細胞内に存在する。一部の実施形態において、前記標的配列は細胞核内または細胞質(たとえば、細胞内小器官)内に存在する。一部の実施形態において、前記細胞は真核細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は原核細胞である。
一部の実施形態において、前記タンパク質は、1つまたは複数のNLS配列が連結している。一部の実施形態において、前記結合体または融合タンパク質は、1つまたは複数のNLS配列を含む。一部の実施形態において、前記NLS配列は、前記タンパク質のN末端またはC末端に連結している。一部の実施形態において、前記NLS配列は、前記タンパク質のN末端またはC末端に融合している。
一つの実施形態において、1種のベクターはプラスミドで、前記プラスミドとはその中にたとえば標準分子クローニング技術によって別のDNA断片を挿入することができる環状2本鎖DNAループを指す。もう1種のベクターはウイルスベクターで、ここで、ウイルスから誘導されたDNAまたはRNA配列がウイルス(たとえば、レトロウイルス、複製欠損型レトロウイルス、アデノウイルス、複製欠損型アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)をパッケージングするためのベクターに存在する。ウイルスベクターは、さらに、1種の宿主細胞に形質移入するためのウイルスが持つポロヌクレオチドを含む。一部のベクター(たとえば、細菌複製開始点を有する細菌ベクターおよび付加型哺乳動物ベクター)はそれらが導入された宿主細胞において自己複製することができる。ほかのベクター(たとえば、非付加型哺乳動物ベクター)は宿主細胞に導入されると、当該宿主細胞のゲノムに組み込み、かつこれによって当該宿主ゲノムとともに複製される。そして、一部のベクターはそれらが操作可能に連結した遺伝子の発現をガイドすることができる。ここで、このようなベクターは「発現ベクター」と呼ばれる。組み換えDNA技術で使用される一般的な発現ベクターは、通常、プラスミドの形態である。
組み換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸発現に適する形態である本発明の核酸分子を含んでもよいが、これはこれらの組み換え発現ベクターが発現に使用される宿主細胞によって選ばれる1つまたは複数の調節エレメントを含み、前記調節エレメントは操作可能に発現される核酸配列に連結していることを意味する。
【0058】
送達および送達組成物
本発明のタンパク質、結合体、融合タンパク質、第四の側面に記載の単離された核酸分子、本発明の複合体、第六の側面に記載の単離された核酸分子、第七の側面に記載のベクター、第九の側面および第十の側面に記載の組成物は、本分野で既知の任意の方法によって送達することができる。このような方法は、エレクトロポレーション、リポフェクション、ヌクレオフェクション、マイクロインジェクション、ソノポレーション効果、パーティクルガン、リン酸カルシウムによる形質移入、カチオントランスフェクション、リポソーム形質移入、デンドリマー形質移入、熱ショック形質移入、ヌクレオフェクション、マグネトフェクション、リポフェクション、インパレフェクション、光学的形質移入、試薬増強性核酸の取り込み、およびリポソーム、免疫リポソーム、ウイルス粒子、人工ウイルス体などよる送達を含むが、これらに限定されない。
そのため、もう一つの側面では、本発明は、送達担体、ならびに本発明のタンパク質、結合体、融合タンパク質、第四の側面に記載の単離された核酸分子、本発明の複合体、第六の側面に記載の単離された核酸分子、第七の側面に記載のベクター、第九の側面および第十の側面に記載の組成物から選ばれる1つまたは複数を含む、送達組成物を提供する。
一部の実施形態において、前記送達担体は粒子である。
一部の実施形態において、前記送達担体は脂質粒子、糖粒子、金属粒子、タンパク質粒子、リポソーム、エクソソーム、マイクロバブル、パーティクルガンまたはウイルス粒子(たとえば、複製欠損型レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス)から選ばれる。
【0059】
キット
もう一つの側面では、本発明は、上記のような成分のうちの1つまたは複数を含むキットを提供する。一部の実施形態において、前記キットは、本発明のタンパク質、結合体、融合タンパク質、第四の側面に記載の単離された核酸分子、本発明の複合体、第六の側面に記載の単離された核酸分子、第七の側面に記載のベクター、第九の側面および第十の側面に記載の組成物から選ばれる1つまたは複数の成分を含む。
一部の実施形態において、本発明のキットは、第九の側面に記載の組成物を含む。一部の実施形態において、前記キットは、さらに、前記組成物の使用説明書を含む。
一部の実施形態において、本発明のキットは、第十の側面に記載の組成物を含む。一部の実施形態において、前記キットは、さらに、前記組成物の使用説明書を含む。
一部の実施形態において、本発明のキットに含まれる成分は任意の適切な容器の中で提供されてもよい。
一部の実施形態において、前記キットは、さらに、1つまたは複数の緩衝液を含む。緩衝液は任意の緩衝液でもよく、炭酸ナトリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、Tris緩衝液、MOPS緩衝液、HEPES緩衝液およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態において、当該緩衝液は塩基性のものでる。一部の実施形態において、当該緩衝液は約7~約10のpHを有する。
一部の実施形態において、当該キットは、さらに、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを含み、当該1つまたは複数のオリゴヌクレオチドはベクターに挿入するためのガイド配列に相応し、操作可能に当該ガイド配列および調節エレメントを連結するようになっている。一部の実施形態において、当該キットは相同組み換え鋳型のポリヌクレオチドを含む。
【0060】
方法および用途
もう一つの側面では、本発明は、標的遺伝子を修飾する方法であって、第五の側面に記載の複合体、第九の側面に記載の組成物または第十の側面に記載の組成物を前記標的遺伝子と接触させるか、前記標的遺伝子を含む細胞の中に送達することを含み、前記標的配列は前記標的遺伝子に存在する方法を提供する。
一部の実施形態において、前記標的遺伝子は細胞内に存在する。一部の実施形態において、前記細胞は原核細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は真核細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、前記細胞はヒト細胞である。一部の実施形態において、前記細胞はヒト以外の霊長類動物、ウシ、ブタまたはげっ歯類動物の細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は哺乳動物以外の真核細胞、たとえば家禽または魚などである。一部の実施形態において、前記細胞は植物細胞、たとえば栽培植物(たとえばタピオカ、トウモロコシ、モロコシ、コムギまたはイネ)、藻類、木または野菜が有する細胞である。
一部の実施形態において、前記標的遺伝子は体外の核酸分子(たとえば、プラスミド)に存在する。一部の実施形態において、前記標的遺伝子はプラスミドに存在する。
一部の実施形態において、前記修飾とは前記標的配列の断裂、たとえばDNAの2本鎖の断裂またはRNAの2本鎖の断裂である。
一部の実施形態において、前記断裂によって標的遺伝子の転写が低下する。
一部の実施形態において、前記方法は、さらに、編集鋳型を前記標的遺伝子と接触させるか、あるいは前記標的遺伝子を含む細胞の中に送達することを含む。このような実施形態において、前記方法は、外因性鋳型ポリヌクレオチドとの相同組み換えによって前記断裂した標的遺伝子を修復し、ここで、前記修復は前記標的遺伝子の1つまたは複数のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含む1つの突然変異につながる。一部の実施形態において、前記突然変異は、当該標的配列の遺伝子発現を含むタンパク質における1つまたは複数のアミノ酸の改変につながる。
そのため、一部の実施形態において、前記修飾は、さらに、編集鋳型(たとえば外因性核酸)を前記断裂に挿入することを含む。
一部の実施形態において、前記のタンパク質、結合体、融合タンパク質、単離された核酸分子、複合体、ベクターまたは組成物は送達担体に含まれる。
一部の実施形態において、前記送達担体は脂質粒子、糖粒子、金属粒子、タンパク質粒子、リポソーム、エクソソーム、ウイルス粒子(たとえば、複製欠損型レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス)から選ばれる。
一部の実施形態において、前記方法は、標的遺伝子または標的遺伝子産物をコードする核酸分子における1つまたは複数の標的配列を改変することによって細胞、細胞系または生物体を修飾することに使用される。
【0061】
もう一つの側面では、本発明は、遺伝子産物の発現を改変する方法であって、第五の側面に記載の複合体、第九の側面に記載の組成物または第十の側面に記載の組成物を前記遺伝子産物をコードする核酸分子と接触させるか、前記核酸分子を含む細胞の中に送達することを含み、前記標的配列は前記核酸分子に存在する方法を提供する。
一部の実施形態において、前記核酸分子は細胞内に存在する。一部の実施形態において、前記細胞は原核細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は真核細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、前記細胞はヒト細胞である。一部の実施形態において、前記細胞はヒト以外の霊長類動物、ウシ、ブタまたはげっ歯類動物の細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は哺乳動物以外の真核細胞、たとえば家禽または魚などである。一部の実施形態において、前記細胞は植物細胞、たとえば栽培植物(たとえばタピオカ、トウモロコシ、モロコシ、コムギまたはイネ)、藻類、木または野菜が有する細胞である。
一部の実施形態において、前記核酸分子は体外の核酸分子(たとえば、プラスミド)に存在する。一部の実施形態において、前記核酸分子はプラスミドに存在する。
一部の実施形態において、前記遺伝子産物の発現は改変(たとえば、増強または低下)されている。一部の実施形態において、前記遺伝子産物の発現は増強されている。一部の実施形態において、前記遺伝子産物の発現は低下されている。
一部の実施形態において、前記遺伝子産物はタンパク質である。
一部の実施形態において、前記のタンパク質、結合体、融合タンパク質、単離された核酸分子、複合体、ベクターまたは組成物は送達担体に含まれる。
一部の実施形態において、前記送達担体は脂質粒子、糖粒子、金属粒子、タンパク質粒子、リポソーム、エクソソーム、ウイルス粒子(たとえば、複製欠損型レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス)から選ばれる。
一部の実施形態において、前記方法は、標的遺伝子または標的遺伝子産物をコードする核酸分子における1つまたは複数の標的配列を改変することによって細胞、細胞系または生物体を修飾することに使用される。
【0062】
もう一つの側面では、本発明は核酸編集における第一の側面に記載のタンパク質、第二の側面に記載の結合体、第三の側面に記載の融合タンパク質、第四の側面に記載の単離された核酸分子、第五の側面に記載の複合体、第六の側面に記載の単離された核酸分子、第七の側面に記載のベクター、第九の側面に記載の組成物、第十の側面に記載の組成物、本発明のキットまたは送達組成物の使用に関する。
一部の実施形態において、前記核酸編集は遺伝子またはゲノムの編集、たとえば遺伝子修飾、遺伝子ノックアウト、遺伝子産物の発現の改変、突然変異の修復、および/またはポリヌクレオチドの挿入を含む。
【0063】
もう一つの側面では、本発明は製剤の製造における第一の側面に記載のタンパク質、第二の側面に記載の結合体、第三の側面に記載の融合タンパク質、第四の側面に記載の単離された核酸分子、第五の側面に記載の複合体、第六の側面に記載の単離された核酸分子、第七の側面に記載のベクター、第九の側面に記載の組成物、第十の側面に記載の組成物、本発明のキットまたは送達組成物の使用であって、前記製剤は以下のための使用に関する:
(i) インビトロにおける遺伝子またはゲノムの編集;
(ii) インビトロにおける1本鎖DNAの検出;
(iii) 標的遺伝子座における標的配列の編集による生物またはヒト以外の生物の修飾;
(iv) 標的遺伝子座における標的配列の欠陥による病症の治療。
【0064】
細胞および細胞の子世代
一部の場合、本発明の方法によって細胞に導入された修飾により、細胞およびその子世代が改変されることで、その生物産物(たとえば抗体、デンプン、エタノールまたはほかの所望の細胞放出物)の生成が改良される。一部の場合、本発明の方法によって細胞に導入された修飾により、細胞およびその子世代が生産する生物産物が変化する改変を含むようになる。
そのため、もう一つの側面では、本発明は、さらに、上記のような方法によって得られる細胞またはその子世代に関し、ここで、前記細胞はその野生型に存在しない修飾を含有する。
また、本発明は、上記のような細胞またはその子世代の細胞産物に関する。
また、本発明は体外、インビトロまたは体内の細胞または細胞系またはこれらの子世代に関し、前記細胞または細胞系またはこれらの子世代は、第一の側面に記載のタンパク質、第二の側面に記載の結合体、第三の側面に記載の融合タンパク質、第四の側面に記載の単離された核酸分子、第五の側面に記載の複合体、第六の側面に記載の単離された核酸分子、第七の側面に記載のベクター、第九の側面に記載の組成物、第十の側面に記載の組成物、本発明のキットまたは送達組成物を含む。
一部の実施形態において、前記細胞は原核細胞である。
一部の実施形態において、前記細胞は真核細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、前記細胞はヒト細胞である。一部の実施形態において、前記細胞はヒト以外の哺乳動物細胞、たとえばヒト以外の霊長類動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、サル、ウサギ、げっ歯類(たとえばラットまたはマウス)の細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は哺乳動物以外の真核細胞、たとえば家禽・鳥類(たとえばニワトリ)、魚類または甲殻動物(たとえばハマグリ、エビ)の細胞である。一部の実施形態において、前記細胞は植物細胞、たとえば単子葉植物または双子葉植物が有する細胞、あるいは栽培植物または食糧作物、たとえばタピオカ、トウモロコシ、モロコシ、ダイズ、コムギ、オートムギまたはイネが有する細胞、たとえば藻類、木または生産植物、果実または野菜(たとえば、木類、たとえば柑橘の木、ナッツの木、ナス属植物、ワタ、タバコ、トマト、ブドウ、コーヒー、ココアなど)である。
一部の実施形態において、前記細胞は幹細胞または幹細胞系である。
【0065】
用語の定義
本発明において、別途に説明しない限り、本明細書で使用される科学および技術名詞は当業者に理解される通常の意味を有する。そして、本明細書で使用される分子遺伝学、核酸化学、化学、分子生物学、生化学、細胞培養、微生物学、細胞生物学、ゲノム学および組み換えDNAなどの操作手順はいずれも関連分野で幅広く使用される通常の手順である。同時に、本発明がより良く理解されるように、以下に関連用語の定義および解釈を提供する。
本発明において、表記「Cas12j」とは、本発明者が、初めて、発見して同定した1種のCasエフェクタータンパク質で、以下から選ばれるアミノ酸配列を有するものである:
(i) 配列番号1-20、107、108のいずれかで示される配列;
(ii) 配列番号1-20、107、108のいずれかで示される配列に対して1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失または付加(たとえば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の置換、欠失または付加)を有する配列;あるいは
(iii) 配列番号1-20、107、108のいずれかで示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ配列。
本発明のCas12jはガイドRNAのガイドによって標的配列の特定の部位と結合して切断するエンドヌクレアーゼであって、同時にDNAおよびRNAの制限酵素活性を有する。
本明細書で用いられるように、用語「クラスター化規則的間隔短鎖回文リピート(CRISPR)-CRISPR-関連(Cas) (CRISPR-Cas)システム」または「CRISPRシステム」は入れ替えて使用することができ、かつ当業者に理解される通常の意味を有し、通常、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現に関わる転写産物またはほかのエレメントを含むか、あるいは前記Cas遺伝子活性の転写産物またはほかのエレメントををガイドすることができる。このような転写産物またはほかのエレメントは、Casエフェクタータンパク質をコードする配列およびCRISPR RNA(crRNA)を含むガイドRNA、ならびにCRISPR-Cas9システムに含まれるトランス活性化型crRNA(tracrRNA)配列、あるいはCRISPR遺伝子座由来のほかの配列または転写産物を含んでもよい。
本明細書で用いられるように、用語「Casエフェクタータンパク質」、「Casエフェクター酵素」は入れ替えて使用することができ、かつCRISPR-Casシステムにおいて現れる任意の1つの長さが800アミノ酸超のタンパク質を指す。一部の場合、このようなタンパク質はCas遺伝子座から同定されたタンパク質を指す。
本明細書で用いられるように、用語「ガイドRNA(guide RNA)」、「成熟crRNA」は入れ替えて使用することができ、かつ当業者に理解される通常の意味を有する。一般的に、ガイドRNAは直接(direct)反復配列およびガイド配列(guide sequence)を含むか、あるいは基本的に直接反復配列およびガイド配列(内因性CRISPRシステムの背景においてスペーサー(spacer)とも呼ばれる)からなるか、直接反復配列およびガイド配列からなる。一部の場合、ガイド配列は標的配列に対して十分な相補性を有することで、前記標的配列とハイブリダイズしてCRISPR/Cas複合体と前記標的配列の特異的結合をガイドする任意のポリヌクレオチド配列である。一部の実施形態において、最適なアラインメントの場合、ガイド配列とその相応する標的配列の間の相補の程度は少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%である。最適なアラインメントの決定は当業者の能力の範囲内である。たとえば、公開および購入可能なアラインメントのアルゴリズムおよびプログラムが存在し、たとえばClustalW、matlabにおけるスミス-ウォーターマンアルゴリズム(Smith-Waterman)、Bowtie、Geneious、BiopythonおよびSeqManがあるが、これらに限定されない。
一部の場合、前記ガイド配列は長さが少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個または少なくとも50個のヌクレオチドである。一部の場合、前記ガイド配列は長さが50個、45個、40個、35個、30個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、15個、10個以下またはそれよりも少ないヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記ガイド配列は長さが10-30個、または15-25個、または15-22個、または19-25個または19-22個のヌクレオチドである。
一部の場合、前記直接反復配列は長さが少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも56個、少なくとも57個、少なくとも58個、少なくとも59個、少なくとも60個、少なくとも61個、少なくとも62個、少なくとも63個、少なくとも64個、少なくとも65個または少なくとも70個のヌクレオチドである。一部の場合、前記直接反復配列は長さが70個、65個、64個、63個、62個、61個、60個、59個、58個、57個、56個、55個、50個、45個、40個、35個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、15個、10個以下またはそれよりも少ないヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記直接反復配列は長さが55-70個のヌクレオチド、たとえば55-65個、たとえば60-65個、たとえば62-65個、たとえば63-64個のヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記直接反復配列は長さが15-30個のヌクレオチド、たとえば15-25個、たとえば20-25個、たとえば22-24個、たとえば23個のヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記直接反復配列は長さが32nt以上、たとえば32nt-37ntである。
本明細書で用いられるように、用語「CRISPR/Cas複合体」とは、ガイドRNA(guide RNA)または成熟crRNAとCasタンパク質が結合してなるリボ核タンパク質複合体で、標的配列にハイブリダイズしてかつCasタンパク質と結合したガイド配列を含む。当該リボ核タンパク質複合体は、当該ガイドRNAまたは成熟crRNAとハイブリダイズするポリヌクレオチドを認識して切断することができる。
そのため、CRISPR/Casを形成する場合、「標的配列」とは、標的指向性を有するガイド配列にターゲティングされるポリヌクレオチド、たとえば当該ガイド配列に対して相補性を有する配列として設計され、中では、標的配列とガイド配列の間のハイブリダイゼーションはCRISPR/Cas複合体の形成を促進する。必ずしも完全な相補性が必要ではなく、ハイブリダイゼーションを起こしてCRISPR/Cas複合体の形成を促進するのに十分な相補性があればよい。標的配列は任意のポリヌクレオチド、たとえばDNAまたはRNAを含んでもよい。一部の場合、前記標的配列は細胞の細胞核または細胞質に位置する。一部の場合、当該標的配列は真核細胞の1つの細胞内小器官、たとえばミトコンドリアまたは葉緑体の中に位置する。当該標的配列を含む標的遺伝子座への組み換えに使用可能な配列または鋳型は「編集鋳型」または「編集ポリヌクレオチド」または「編集配列」と呼ばれる。一部の実施形態において、前記編集鋳型は外因性核酸である。一部の実施形態において、当該組み換えは相同組み換えである。
本発明において、表記「標的配列」または「標的ポリヌクレオチド」は細胞(たとえば、真核細胞)にとって任意の内因性または外因性のポリヌクレオチドでもよい。たとえば、当該標的ポリヌクレオチドは真核細胞の細胞核に存在するポリヌクレオチドでもよい。当該標的ポリヌクレオチドは遺伝子産物(たとえば、タンパク質)をコードする配列または非コード配列(たとえば、調節ポリヌクレオチドまたはジャンクDNA)でもよい。一部の場合、当該標的配列はプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と関連するとされる。PAMの正確な配列および長さに対する要求は使用されるCasエフェクター酵素によって決まるが、PANは典型的にプロトスペーサー(すなわち、標的配列)に隣接する2-5塩基対の配列である。当業者は、所定のCasエフェクタータンパク質とともに使用されるPAM配列を同定することができる。
一部の場合、標的配列または標的ポリヌクレオチドは複数の疾患関連遺伝子およびポリヌクレオチドならびにシグナル伝達生化学経路関連遺伝子およびポリヌクレオチドを含んでもよい。このような標的配列または標的ポリヌクレオチドの非限定的な実例は、それぞれ2012年12月12日および2013年1月2日に提出された米国仮特許出願61/736,527および61/748,427、2013年12月12日に提出された国際出願PCT/US2013/074667で挙げられたものを含み、その全部は引用を通して本明細書に取り入れる。
一部の場合、標的配列または標的ポリヌクレオチドの実例はシグナル伝達生化学経路に関連する配列、たとえばシグナル伝達生化学経路関連遺伝子またはポリヌクレオチドを含む。標的ポリヌクレオチドの実例は疾患関連遺伝子またはポリヌクレオチドを含む。「疾患関連」遺伝子またはポリヌクレオチドとは非疾患対照の組織または細胞と比べ、疾患が影響する組織由来の細胞において異常なレベルまたは異常な形態で転写または翻訳産物が生成する任意の遺伝子またはポリヌクレオチドである。変わった発現が疾患の出現および/または進行に関連する場合、異常に高いレベルで発現される遺伝子でもよく、あるいは、異常に低いレベルで発現される遺伝子でもよい。また、疾患関連遺伝子は1つまたは複数の突然変異あるいは1つまたは複数の疾患の病因学の遺伝子に直接関与するか、それと連鎖不平衡の遺伝変異がある遺伝子も指す。転写または翻訳産物は既知のものでも未知のものでもよく、かつ正常レベルでも異常レベルでもよい。
本明細書で用いられるように、用語「野生型」は当業者に理解される通常の意味を有し、生物、菌株、遺伝子の典型的な形態または自然界に存在する場合、突然変異体またはバリアントと異なる形態の特徴を表し、自然における由来から単離され、かつ人工的に修飾されていないものでもよい。
本明細書で用いられるように、用語「天然に存在しない」または「工学化された」は入れ替えて使用することができ、かつ人工的関与を表す。これらの用語が核酸分子またはポリペプチドの記述に使用される場合、当該核酸分子またはポリペプチドは少なくとも基本的に自然界に存在するか、自然界で発見されたそれと結合する別の少なくとも1つの成分から遊離したものである。
本明細書で用いられるように、用語「オーソログ(orthologue、ortholog)」、「成熟crRNA」は当業者に理解される通常の意味を有する。さらなる掲示として、本明細書に記載のようなタンパク質の「オーソログ」とは異なる種に属するタンパク質で、当該タンパク質はそのオーソログであるタンパク質と同様または近似の機能を執行する。
本明細書で用いられるように、用語「同一性」は2つのポリペプチドの間または2つの核酸の間の配列のマッチ具合を表すためのものである。比較する2つの配列におけるある位置がいずれも同様の塩基またはアミノ酸の単独のサブユニットに占められている場合(たとえば、2つのDNA分子のいずれのある位置もアデノシンで占められている場合、または2つのポリペプチドのいずれのある位置もリシンで占められている場合)、各分子は当該位置において同一である。2つの配列の間の「百分率同一性」はこの2つの配列が共有するマッチ位置数を比較の位置数で割って100を掛ける関数である。たとえば、2つの配列の10個の位置のうち6個マッチすると、この2つの配列は60%の同一性を有する。たとえば、DNA配列CTGACTとCAGGTTは50%の同一性を有する(合計6個の位置のうち3個マッチする)。通常、2つの配列をアラインメントして最大の同一性になる場合、比較する。このようなアラインメントは、たとえばコンピュータープログラム、たておばAlignプログラム(DNAstar, Inc.)によって簡便にできるNeedlemanら(1970)J. Mol. Biol. 48:443-453の方法によって実現することができる。また、ALIGNプログラム(バージョン2.0)が組み込まれたE. MeyersおよびW. Miller(Comput. Appl Biosci.,4:11-17 (1988))アルゴリズムにより、PAM120重み残基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティおよび4のギャップペナルティで2つのアミノ酸配列の間の百分率同一性を測定することができる。また、GCGソフトパッケージ(www.gcg.comから入手可能)が組み込まれたGAPプログラムにおけるNeedlemanおよびWunsch (J MoI Biol. 48:444-453 (1970))アルゴリズムにより、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスおよび16、14、12、10、8、6または4のギャップ重み(gap weight)および1、2、3、4、5または6の長さ重みで2つのアミノ酸配列の間の百分率同一性を測定することができる。
本明細書で用いられるように、用語「ベクター」とは、ポリヌクレオチドをその中に挿入できる核酸輸送ツールである。ベクターは挿入されるポリヌクレオチドがコードするタンパク質を発現させる場合、ベクターは発現ベクターと呼ばれる。ベクターは、担持する遺伝物質エレメントが宿主細胞において発現されるように、形質転換、形質導入または形質移入によって宿主細胞に導入することができる。ベクターは当業者に公知のもので、プラスミド、ファージミド、コスミド、人工染色体、たとえば酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)またはP1由来の人工染色体(PAC)、ファージ、たとえばλファージまたはM13ファージおよび動物ウイルスなどを含むが、これらに限定されない。ベクターとして使用できる動物ウイルスは、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(たとえば単純ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、パポーバウイルス(たとえばSV40)を含むが、これらに限定されない。ベクターは複数の発現を制御するエレメントを含んでもよく、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択エレメントおよびレポーター遺伝子を含むが、これらに限定されない。さらに、ベクターは複製開始部位を含んでもよい。
本明細書で用いられるように、用語「宿主細胞」とは、ベクターに導入するための細胞で、たとえば大腸菌や枯草菌などの原核細胞、たとえば酵母細胞やアスペルギルス菌などの真菌細胞、たとえばS2ショウジョウバエ細胞やSf9などの昆虫細胞、あるいはたとえば線維芽細胞、CHO細胞、COS細胞、NSO細胞、HeLa細胞、BHK細胞、HEK293細胞またはヒト細胞などの動物細胞を含むが、これらに限定されない。
当業者には、発現ベクターの設計はたとえば形質転換される宿主細胞の選択、所望の発現レベルなどの要素によって決まることがわかる。ベクターは宿主細胞に導入されることによって転写物、タンパク質、またはペプチドが生成することができ、本明細書に記載のタンパク質、融合タンパク質、単離された核酸分子など(たとえば、CRISPR転写物、たとえば核酸転借物、タンパク質、または酵素)が含まれる。
本明細書で用いられるように、用語「調節エレメント」とはプロモーター、エンハンサー、内部リボソーム進入部位(IRES)、およびほかの発現制御エレメント(たとえば転写終止シグナル、たとえばポリアデニル化シグナルやポリU配列)を含み、その詳細はゴーデル(Goeddel),『遺伝子発現技術:酵素学の方法(GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY)』185,アカデミックプレス(Academic Press),サンディエゴ(San Diego),カリフォルニア州(1990)を参照する。一部の場合、調節エレメントはヌクレオチド配列の多くの種類の宿主細胞における構成的発現をガイドする配列および当該ヌクレオチド配列の一部の宿主細胞のみにおける発現をガイドする配列(たとえば、組織特異的調節配列)を含む。組織特異的プロモーターは主に関心のある所望の組織における発現をガイドし、前記組織は、たとえば筋肉、ニューロン、骨、皮膚、血液、特定の器官(たとえば肝臓、膵臓腺)、または特殊な細胞種類(たとえばリンパ球)である。一部の場合、調節エレメントは時系列依存性の様態(たとえば細胞周期依存性あmたは発育段階依存性の様態)で発現をガイドすることもできるが、当該様態は組織または細胞種類特異的なものでもそうでなくてもよい。一部の場合、用語「調節エレメント」には、エンハンサーエレメント、たとえばWPRE、CMVエンハンサー、HTLV-IのLTRにおけるR-U5'断片( (Mol.Cell.Biol.,第8(1)卷,第466-472頁,1988)、SV40エンハンサー、およびウサギβ-グロビンのエクソン2と3の間のイントロン配列(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,第78(3)卷,第1527-31頁,1981)が含まれる。
本明細書で用いられるように、用語「プロモーター」は当業者に公知の意味を有し、遺伝子の上流に位置する、下流の遺伝子の発現を開始させることができる非コードヌクレオチド配列を指す。構成的(constitutive)プロモーターは、遺伝子産物をコードまたは限定するポリヌクレオチドと操作可能に連結している場合、細胞の大半または全部の生理条件において、細胞における遺伝子産物の生成につながるヌクレオチド配列である。誘導型プロモーターは、遺伝子産物をコードまたは限定するポリヌクレオチドと操作可能に連結している場合、基本的に、前記プロモーターに相応する誘導物が細胞に存在するときのみ、前記遺伝子産物の細胞内における生成につながるヌクレオチド配列である。組織特異的プロモーターは、遺伝子産物をコードまたは限定するポリヌクレオチドと操作可能に連結している場合、基本的に、細胞が当該プロモーターに相応する組織の種類の細胞であるときのみ、遺伝子産物の細胞内における生成につながるヌクレオチド配列である。
本明細書で用いられるように、用語「操作可能に連結する」とは、関心のあるヌクレオチド配列が当該ヌクレオチド配列の発現が許容される様態で1つまたは複数の調節エレメントに連結すること(たとえば、体外転写/翻訳システムにあるか、当該ベクターが宿主細胞に導入されたとき、当該宿主細胞の中にある)である。
本明細書で用いられるように、用語「相補性」とは、核酸がもう1つの核酸配列と従来のワトソン-クリックまたはほかの従来と異なる様態で1つまたは複数の水素結合を形成する能力である。相補百分率は、1つの核酸分子における1つの第二核酸配列と水素結合(たとえば、ワトソン-クリック型塩基対)を形成する残基の百分率を表す(たとえば、10個のうち、5、6、7、8、9、10個の場合、50%、60%、70%、80%、90%、および100%相補となる)。「完全に相補」は、1つの核酸配列の全部の連続残基が1つの第二核酸配列の同様の数の連続残基と水素結合を形成することを表す。本明細書で用いられる「基本的に相補」とは、1つの8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50個またはそれ以上のヌクレオチドを有する領域における少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の相補の程度、あるいは厳格な条件においてハイブリダイズする2つの核酸を指す。
本明細書で用いられるように、ハイブリダイズの「厳格な条件」とは、標的配列に対して相補性を有する1つの核酸が主に当該標的配列とハイブリダイズし、かつ基本的に非標的配列とハイブリダイズしない条件である。厳格な条件は、通常、配列依存性で、かつ多くの要素によって変わる。一般的に、当該配列が長いほど、当該配列が得意的にその標的配列とハイブリダイズする温度が高くなる。厳格な条件の非限定的な実例は、ティッセン(Tijssen)(1993)の『生化学および分子生物学における実験室技術-核酸プローブによるハイブリダイゼーション(Laboratory Techniques In BiochemistryAnd Molecular Biology-Hybridization With Nucleic Acid Probes)』,第I部分,第二章,「ハイブリダイゼーション原理の概述および核酸プローブの分析策(Overview of principles of hybridization andthe strategy of nucleic acid probe assay)」,エルゼビア(Elsevier),ニューヨークに記載されている。
本明細書で用いられるように、用語「ハイブリダイズ」とは、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して複合体を形成する反応で、当該複合体はこれらのヌクレオチド残基の間の塩基の水素結合によって安定化している。水素結合はワトソン-クリック型塩基マッチング、フーグスティーン結合または任意のほかの配列特異的な様態で生じてもよい。当該複合体は1つの2本鎖体になる2本の鎖、多鎖複合体になる3本または複数本の鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。ハイブリダイゼーション反応は、1つのより幅広い過程(たとえばPCRの開始、または酵素によるポリヌクレオチドの切断)における1つの工程を構成してもよい。1つの所定の配列とハイブリダイズできる配列は当該所定の配列の「相補物」と呼ばれる。
本明細書で用いられるように、用語「発現」とは、DNA鋳型からポリヌクレオチドに転写される(たとえばmRNAまたはほかの転写物に転写される)過程および/または転写されたmRNAがその後にペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に翻訳される過程である。転写物およびコードするポリペプチドは「遺伝子産物」と総称してもよい。ポリヌクレオチドがゲノムDNA由来である場合、発現は真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含んでもよい。
本明細書で用いられるように、用語「リンカー」とは、複数のアミノ酸残基がペプチド結合を介して連結してなる線形ポリペプチドである。本発明のリンカーは、人工的に合成されるアミノ酸配列、または天然に存在するポリペプチド配列でもよいが、たとえばヒンジ領域の機能を有するポリペプチドが挙げられる。このようなリンカーポリペプチドは本分野でよく知られるものである(たとえば、Holliger, P.ら(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 :6444-6448 ;Poljak, R. J.ら(1994) Structure 2:1121-1123を参照する)。
本明細書で用いられるように、用語「治療」とは、病症を治療または治癒すること、病症の症状の発作を遅延させること、および/または病症の進行を遅延させることである。
本明細書で用いられるように、用語「被験者」は様々な動物、たとえば哺乳動物、たとえばウシ科動物、ウマ科動物、ヒツジ科動物、ブタ科動物、イヌ科動物、ネコ科動物、ウサギ科動物、げっ歯類動物(たとえば、マウスまたはラット)、ヒト以外の霊長類動物(たとえば、アカゲザルまたはカニクイザル)またはヒトを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記被験者(たとえばヒト)は病症(たとえば、疾患関連遺伝子欠陥による病症)に罹患している。
【0066】
発明の有益な効果
既存技術と比べ、本発明のCasタンパク質およびシステムは顕著な有利な面がある。たとえば、本発明のCasエフェクタータンパク質は厳格なミスマッチ許容度を有することで、より低いオフターゲット率を有するようになることが可能である。たとえば、本発明のCasエフェクタータンパク質はより厳格なPAM認識形態を有することで、オフターゲット効果が顕著に低下する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、cas12jタンパク質のpre-crRNAに対する加工のゲル電気泳動の結果である。
図2A-2B】図2A-2Bは、cas12jタンパク質のPAMドメイン分析の結果である。
図3図3は、CRISPR/Cas12jシステムのDNA切断形態の同定結果である。
図4図4は、Cas12j.4、Cas12j.19、Cas12j.22の体外切断部位分析の結果である。
図5図5は、Cas12j.19の異なる温度における体外酵素切断活性検出の結果である。
図6図6は、CRISPR/Cas12j.19システムにおける異なるスペーサーの長さの酵素切断活性に対する影響の結果である。
図7図7は、CRISPR/Cas12j.19システムにおける異なる反復(repeat)の長さの酵素切断活性に対する影響の結果である。WTは未短縮の反復配列を表す。
図8図8は、CRISPR/Cas12j.19システムのスペーサーのミスマッチに対する許容の結果である。WTは未突然変異のスペーサー配列を表す。
【0068】
配列情報
本発明に係る一部の配列の情報を以下の表1に示す。
【0069】
具体的な実施形態
以下、以下の例を挙げて本発明を説明するための(本発明を限定するものではない)実施例を参照して本発明を説明する。
特別に明言しない限り、基本的に、本分野で熟知のおよび各参考文献に記載の通常の方法によって実施例に記載の実験および方法を実施した。たとえば、本発明で使用される免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノム学および組み換えDNAなどの通常の技術は、サムブルック(Sambrook)、フリッチュ(Fritsch)およびマニアティス(Maniatis),『モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL)』,第2版(1989);『分子生物学カレント・プロトコル(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY)』(F.M.オースベル(F.M.Ausubel)ら編,(1987));『酵素学における方法(METHODS IN ENZYMOLOGY)』シリーズ(アカデミックプレス):『PCR 2:実用手法(PCR 2:A PRACTICAL APPROACH)』(M.J.マクファーソン(M.J.MacPherson)、B.D.ヘイムズ(B.D.Hames)およびG.R.テイラー(G.R.Taylor)編(1995))、ハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)編(1988)『抗体:実験室マニュアル(ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL)』,および『動物細胞培養(ANIMAL CELL CULTURE)』(R.I.フレシュニー(R.I.Freshney)編(1987))を参照する。
また、実施例において、具体的な条件が記載されていないものは、通常の条件またはメーカーのお薦めの条件で行われた。使用された試薬または装置はメーカーが未記載の場合、いずれも市販品として入手できる通常の製品である。当業者には、実施例は例を挙げる形で本発明を説明するが、本発明の保護を請求される範囲を制限するものではないことがわかる。本明細書で言及した全部の公開案およびほかの参考資料はその全文として引用によって本明細書に取り込まれる。
【0070】
以下の実施例に係る一部の試薬の由来は以下の通りである。
LB液体培地:10gトリプトン(Tryptone)、5g酵母抽出物(Yeast Extract)、10g NaClを、容積が1Lになるようにし、滅菌した。抗生物質が必要な場合、培地が冷却した後、最終濃度が50μg/mlになるように入れた。
クロロホルム/イソペンタノール:240mlのクロロホルムに10mlのイソペンタノールを入れ、均一に混合した。
RNP緩衝液:100 mM 塩化ナトリウム、50 mM Tris-HCl、10 mM MgCl2、100 μg/ml BSA、pH 7.9。
原核発現ベクターpACYC-Duet-1およびpUC19はgenscript社から購入された。
大腸菌感受性EC100はEpicentre社から購入された。
【0071】
実施例1. Cas12j遺伝子およびCas12jガイドRNAの獲得
1. CRISPRおよび遺伝子のアノテーション:ProdigalによってNCBIおよびJGIデータベースの微生物ゲノムおよびメタゲノムのデータに対して遺伝子アノテーションを行ってすべてのタンパク質を得、同時にPiler-CRによってCRISPR座のアノテーションを行ったが、パラメーターはいずれもデフォルトであった。
2. タンパク質のろ過:配列一致性によってアノテーションタンパク質に対して冗長部分をなくし、配列が完全に一致するタンパク質を除去し、同時に長さが800アミノ酸超のタンパク質を大分子タンパク質とした。現在発見されたすべてのII型CRISPR/Casシステムのエフェクタータンパク質の多くは長さが900アミノ酸超であるため、計算の複雑度を降下させるために、CRISPRエフェクタータンパク質を探すとき、800アミノ酸超の大分子タンパク質のみを考えた。
3. CRISPR関連大分子タンパク質の獲得:各CRISPR座の上下流から10 Kbまで伸ばし、CRISPRの隣接領域内における非冗長大分子タンパク質を同定した。
4. CRISPR関連大分子タンパク質のクラスタリング:BLASTPによって非冗長大分子CRISPR関連タンパク質に対して内部の2つずつのアラインメントを行い、Evalue<1E-10のアラインメント結果を出力した。MCLによってBLASTPの出力結果に対してCRISPR関連タンパク質ファミリーのクラスタリング分析を行った。
5. CRISPR密集大分子タンパク質ファミリーの同定:BLASTPによってCRISPR関連タンパク質ファミリーのタンパク質に対してアラインメントを行うことにより、CRISPR関連タンパク質を除いた非冗長大分子タンパク質データベースを得、Evalue<1E-10のアラインメント結果を出力した。もし一つの非CRISPR関連タンパク質データベースで発見された相同タンパク質が100%未満の場合、このファミリーのタンパク質がCRISPR領域に密集していることが示され、このような方法によってCRISPR密集大分子タンパク質ファミリーを同定した。
6. タンパク質の機能およびドメインのアノテーション:Pfamデータベース、NRデータベースおよびNCBIから集めされたCasタンパク質を利用してCRISPR密集大分子タンパク質ファミリーに対してアノテーションを行い、新たなCRISPR/Casタンパク質ファミリーを得た。Mafftによって各CRISPR/Casファミリーのタンパク質に対して多重配列アラインメントを行い、さらにJPredおよびHHpredによって保存ドメインの分析を行い、RuvCドメインを含むタンパク質ファミリーを同定した。
これに基づき、本発明者は新たなCasエフェクタータンパク質、すなわち、Cas12jを得たが、その22種の活性モノログ配列で、それぞれCas12j.3(配列番号1)、Cas12j.4(配列番号2)、Cas12j.5(配列番号3)、Cas12j.6(配列番号4)、Cas12j.7(配列番号5)、Cas12j.8(配列番号6)、Cas12j.9(配列番号7)、Cas12j.10(配列番号8)、Cas12j.11(配列番号9)、Cas12j.12(配列番号10)、Cas12j.13(配列番号11)、Cas12j.14(配列番号12),Cas12j.15(配列番号13)、Cas12j.16(配列番号14)、Cas12j.17(配列番号15)、Cas12j.18(配列番号16)、Cas12j.19(配列番号17)、Cas12j.20(配列番号18)、Cas12j.21(配列番号19)、Cas12j.22(配列番号20)、Cas12j.1(配列番号107)、Cas12j.2(配列番号108)と名付け、20種のモノログのコードDNAはそれぞれ配列番号21-40で示される。Cas12j.3、Cas12j.4、Cas12j.5、Cas12j.6、Cas12j.7、Cas12j.8、Cas12j.9、Cas12j.10、Cas12j.11、Cas12j.12、Cas12j.13、Cas12j.14、Cas12j.15、Cas12j.16、Cas12j.17、Cas12j.18、Cas12j.19、Cas12j.20が相応する原型直接反復配列(pre-crRNAに含まれる反復配列)はそれぞれ41-60で示される。
【0072】
実施例2. Cas12j遺伝子のpre-crRNAに対する加工
1.Cas12jタンパク質の体外における発現および精製
Cas12jタンパク質の体外における発現および精製の手順は、具体的に、以下の通りである。
1.核局在化シグナルを持つCas12jタンパク質(配列番号82-101)をコードするDNA配列を人工合成した。
2.工程1で合成された2本鎖DNA分子を原核発現ベクターpET-30a(+)に連結し、組み換えプラスミドpET-30a-CRISPR/Cas12jを得た。
3.組み換えプラスミドpET-30a-CRISPR/Cas12jを大腸菌EC100に導入し、組み換え菌を得たが、当該組み換え菌をEC100-CRISPR/Cas12jと名付けた。
EC100-CRISPR/Cas12jの単一クローンを取り、100mLのLB液体培地(含50μg/mL
)に接種し、37℃、200rpmで12h振とう培養し、培養菌液を得た。
4.培養菌液を取り、体積比が1:100になるように50mLのLB液体培地(50μg/mLアンピシリン含有)に接種し、37℃、200rpmでOD600nm値が0.6になるまで振とう培養した後、IPTGを入れてその濃度を1mMにし、28℃、220rpmで4h振とう培養し、4℃、10000rpmで10min遠心し、菌体沈殿を収集した。
5.菌体沈殿を取り、100mLのpH 8.0、100mMのTris-HCl緩衝液を入れ、再懸濁後、超音波破砕し(超音波の出力が600Wで、サイクルプログラムは破砕4s、停止6sで、計20minである)、さらに4℃、10000rpmで10min遠心し、上清液甲を収集した。
6.上清液甲を取り、4℃、12000rpmで10min遠心し、上清液乙を収集した。
7.GE社製のニッケルカラムによって上清液乙を精製し(精製の具体的な手順はニッケルカラムの説明書を参照する)、さらにサーモフィッシャー社製のタンパク質定量キットによってCas12jタンパク質を定量した。
二.Cas12jタンパク質ガイドRNAの転写および精製:
1.ガイドRNA転写の鋳型を設計し、転写鋳型の構造はT7プロモーター+Cas12jの原型の半白(配列番号41-60)+スペーサー(配列番号104)で、プライマーの設計はPrimer5.0ソフトを使用し、フォワードプライマーとリバースプライマーが少なくとも18bpのオーバーラップ配列があるようにした。
2.以下のような反応系を調製し、軽くかき混ぜて均一に混合した後、短時間で遠心し、PCR装置に置いてゆっくりアニーリングさせた。
3.MinElute PCR精製キットによって鋳型の精製を行ったが、手順は以下の通りである。
1)PCR産物に5倍体積のPBを入れ、1本のMinEluteカラムを2ml収集管にセットし、室温で2min静置し、12000g/2minで遠心した。
2)廃液を捨て、750μlの緩衝液PE(使用前にエタノールを入れるように)を入れ、12000g/2minで遠心した。
3)廃液を捨て、3550μlの緩衝液PEを入れ、12000g/2minで遠心し、廃液を捨て、12000gで、2min空遠心した。
4)MinEluteカラムを新しい1.5ml遠心管に移し、蓋を開け、65℃で2min静置した。
5)20μlの予め加熱されたEB溶液を入れ、2min静置した後、12000g/2minで遠心したが、回収率を上げるために、遠心管の内容物にMinElute遠心カラムを2-3回通させてもよい。
6)Nanodropによって濃度を測定し、-20℃で凍結保存して使用に備えた。
4.ガイドRNAの精製:フェノール:クロロホルム:イソペンタノール(25:24:1)抽出による反応系におけるDNAseIの除去
1)転写後の反応系に80μlの無RNA水を入れ、体積を100μlに調整した。
2)2mlのPhase Lock Gel (PLG) Heavyを取り、15000gで2min遠心し、100μl のフェノール:クロロホルム:イソペンタノール(25:24:1)、100μlのDNAseI消化を経たRNAを入れ、手で軽くPhase-Lock管を5-10回弾くことにより、均一に混合した後、15℃/16000gで12min遠心した。
3)1つの新しい無RNAの1.5ml遠心管を取り、上記工程で遠心された上清を遠心管にゲルが吸われないように吸い取り、上清と等体積のイソプロパノールおよび1/10体積の酢酸ナトリウム溶液を入れ、チップでかき混ぜて均一に混合した後、-20℃の冷蔵庫で1hあるいは一晩静置した。
4)4℃/16000gで30min遠心し、上清を捨て、予め冷却された75%アルコールを入れ、沈殿をかき混ぜて均一に混合し、4℃/16000gで12min遠心し、上清を捨て、ドラフトチャンバーで2-3min静置し、RNA表面のエタノールを乾燥させ、100μlの無RNA水を入れ、 かき混ぜて均一に混合した。
5)Nanodropによって精製後のcrRNA濃度を測定し、そしてすべて250ng/μlに希釈し、200μlのPCR遠心管に分け、-80℃で凍結保存して使用に備えた。
4.Cas12fのprecrRNA転写はNEBのHiScribe T7高効率RNA合成キットを使用し、反応系は下記表で示される通りである。
PCR反応プログラムを、37℃/3hまたは31℃/持続に設定し、DNAseIを入れ、37℃/45minで行なわれた。
5.precrRNAの精製:
(1)フェノール:クロロホルム:イソペンタノール(25:24:1)抽出による反応系におけるDNAseIの除去
1)転写後の反応系に80μlの無RNA水を入れ、体積を100μlに調整した。
2)2mlのPhase Lock Gel (PLG) Heavyを取り、15000gで2min遠心し、100μl のフェノール:クロロホルム:イソペンタノール(25:24:1)、100μlのDNAseI消化を経たRNAを入れ、手で軽くPhase-Lock管を5-10回弾くことにより、均一に混合した後、15℃/16000gで12min遠心した。
3)1つの新しい無RNAの1.5ml遠心管を取り、上記工程2)で遠心された上清を遠心管にゲルが吸われないように吸い取り、上清と等体積のイソプロパノールおよび1/10体積の酢酸ナトリウム溶液を入れ、チップでかき混ぜて均一に混合した後、-20℃の冷蔵庫で1hあるいは一晩静置した。
4)4℃/16000gで30min遠心し、上清を捨て、予め冷却された75%アルコールを入れ、沈殿をかき混ぜて均一に混合し、4℃/16000gで12min遠心し、上清を捨て、ドラフトチャンバーで2-3min静置し、RNA表面のエタノールを乾燥させ、100μlの無RNA水を入れ、 かき混ぜて均一に混合した。
(2)ゲル電気泳動を行ってポリアクリルアミドゲルからprecrRNAを精製し、ZYMO RESEARCHのZR Small-RNATM PAGE回復キットによって精製してprecrRNAを回収した。手順は以下の通りである。
1)precrRNAバンドのサイズは90bp程度で、相応するバンドのRNA断片を切り出し、1.5mlの無RNAの遠心管に移した。
2)SquisherTM-singleでゲルを完全に崩し、400μlのRNA回復緩衝液を入れ、65℃水浴鍋で15min加熱した。
3)液体窒素で5min急激に凍結し、すぐに取り出して65℃水浴鍋で5min加熱した。
4)Zymo-SpinTM IVのカラムを収集管に取り出し、さらに溶解後のゲルをそれに入れ、12000gで5min遠心し、そして収集管における液体を残した。
5)Zymo-SpinTM IIICのカラムを新しい収集管に取り出し、前の工程で収集された液体をそれに入れ、2000gで2min遠心し、そして収集管における液体を残した。
6)収集管における液体の体積を推算し、2倍体積のRNA MAX緩衝液を入れ、上下を逆さまにして均一に混合した。
7)Zymo-SpinTM ICのカラムを新しい収集管に取り出し、工程6)の収集管における液体をそれに入れ、2min静置し、12000gで2min遠心した。
8)800μlのRNA洗浄緩衝液(使用前に説明書に従って一定の体積の無水エタノールを入れるように)を入れ、12000gで2min遠心し、収集管における液体を捨てた。
9)400μlのRNA洗浄緩衝液を入れ、12000gで2min遠心し、収集管における液体を捨て、さらに2min空遠心した。
10)65℃オーブンで1min静置し、20μlの無RNA水を入れ、nanodropによって収集されたprecrRNAの濃度を測定し、そしてすべて濃度を200ng/μlに調整し、PCR遠心管に分け、-80℃で凍結保存して使用に備えた。
6.体外pre-crRNA酵素切断系の構築
(1)以下のような反応系を調製し、軽くかき混ぜて均一に混合した後、短時間で遠心した。37℃で1時間置いた。
(2)以上の反応系に10 μlの2×RNAローディングダイを入れ、98℃で3 min反応させた。反応終了後、すぐに氷の上で2 min置いた。
(3)10% TBE-尿素ポリアクリルアミドゲルにおけるローディングウェルに10 μl仕込み、150V/40min反応させた。
(4)1×TBE電気泳動緩衝液にSYBR Gold核酸ゲル染色液(nucleic acid gel stain dye)を入れ、ゲルに入れ、室温で10-15min染色した後、ゲルをスキャンした。
ゲルスキャンの結果は図1に示すように、Cas12j.1、Cas12j.4、Cas12j.18、Cas12j.19、Cas12j.21、Cas12j.22が体外においてpre-crRNA切断活性を有することが示された。
【0073】
実施例3. Cas12jタンパク質のPAMドメインの同定
1.組み換えプラスミドpACYC-Duet-1+CRISPR/Cas12jを構築してシークエンシングした。シークエンシングの結果から、組み換えプラスミドpACYC-Duet-1+CRISPR/Cas12jに対して構造の説明をすると、ベクターpACYC-Duet-1の制限酵素Pml IおよびKpn I認識配列の間の小さい断片をCas12j遺伝子(配列番号21-40で示される配列における5'末端から1目から3'末端の最後までで示される2本鎖DNA分子)に置き換えた。組み換えプラスミドpACYC-Duet-1+CRISPR/Cas12jはCas12jタンパク質(配列番号1-20、107、108)および配列番号104で示されるCas12jガイドRNAを発現する。
2.組み換えプラスミドpACYC-Duet-1+CRISPR/Cas12jに発現カセットが含まれ、当該発現カセットのヌクレオチド配列はCas12j遺伝子がそれぞれ配列番号104と連結してなる。たとえば、配列番号102で示される。配列番号102で示される配列において、5'末端から1~44番目はpLacZプロモーターのヌクレオチド配列で、45~3056番目はCas12j.3遺伝子のヌクレオチド配列で、3057~3143番目はrrnB T1ターミネーターのヌクレオチド配列である(転写を終止するため)。5'末端から3144~3178番目はJ23119プロモーターのヌクレオチド配列で、3179~3241番目はCRISPRアレイのヌクレオチド配列で、3244~3268番目はrrnB-T2ターミネーターのヌクレオチド配列である(転写を終止するため)。
3.組み換え大腸菌の獲得:組み換えプラスミドpACYC-Duet-1+CRISPR/Cas12jを大腸菌EC100に導入し、組み換え大腸菌を得たが、EC100/pACYC-Duet-1+CRISPR/Cas12jと名付けた。組み換えプラスミドpACYC-Duet-1を大腸菌EC100に導入し、組み換え大腸菌を得たが、EC100/pACYC-Duet-1と名付けた。
4.PAMライブラリーの構築:配列番号103で示される配列を人工合成し、そしてpUC19ベクターに連結し、ここで、配列番号103で示される配列は5'末端の8個のランダムな塩基および標的配列を含む。PAMライブラリーの標的配列の5'末端の先端に8個のランダムな塩基を設計してプラスミドライブラリーを構築した。プラスミドをそれぞれCas12j遺伝子座を含む大腸菌およびCas.12j遺伝子座を含まない大腸菌に導入した。37℃で1時間処理した後、プラスミドを抽出し、そしてPAM領域の配列に対してPCR増幅およびシークエンシングを行った。
5.PAMライブラリーのドメインの獲得:それぞれ実験群および対照群における65,536種の組み合わせのPAM配列の出現回数を統計し、そして各群が有するPAM配列数で正規化した。任意の一つのPAM配列について、log2(対照群の正規化値/実験群の正規化値)が3.5超の場合、このPAMが顕著に消耗されたと見なす。Weblogoによって顕著に消耗されたPAM配列を予想したところ、各タンパク質のPAMドメインを発見したが、ここで、Cas12j.1は5’-TTVWで、Cas12j.4、Cas12j.12は5’-TTNで、Cas12j.18は5’-AYRで、Cas12j.19は5’-ATGで、Cas12j.21は5’-VTTGで、Cas12j.22は5’-KTRである。PAMドメイン分析の結果は図2A-2Bを参照する。
【0074】
実施例4. CRISPR/Cas12jシステムのDNA切断形態の同定
一.Cas12jタンパク質の体外における発現および精製
Cas12jタンパク質の体外における発現および精製の手順は、具体的に、以下の通りである。
1.核局在化シグナルを持つCas12jタンパク質(配列番号82-101)をコードするDNA配列を人工合成した。
2.工程1で合成された2本鎖DNA分子を原核発現ベクターpET-30a(+)に連結し、組み換えプラスミドpET-30a-CRISPR/Cas12jを得た。
3.組み換えプラスミドpET-30a-CRISPR/Cas12jを大腸菌EC100に導入し、組み換え菌を得たが、当該組み換え菌をEC100-CRISPR/Cas12jと名付けた。
EC100-CRISPR/Cas12jの単一クローンを取り、100mLのLB液体培地(含50μg/mL
)に接種し、37℃、200rpmで12h振とう培養し、培養菌液を得た。
4.培養菌液を取り、体積比が1:100になるように50mLのLB液体培地(50μg/mLアンピシリン含有)に接種し、37℃、200rpmでOD600nm値が0.6になるまで振とう培養した後、IPTGを入れてその濃度を1mMにし、28℃、220rpmで4h振とう培養し、4℃、10000rpmで10min遠心し、菌体沈殿を収集した。
5.菌体沈殿を取り、100mLのpH 8.0、100mMのTris-HCl緩衝液を入れ、再懸濁後、超音波破砕し(超音波の出力が600Wで、サイクルプログラムは破砕4s、停止6sで、計20minである)、さらに4℃、10000rpmで10min遠心し、上清液甲を収集した。
6.上清液甲を取り、4℃、12000rpmで10min遠心し、上清液乙を収集した。
7.GE社製のニッケルカラムによって上清液乙を精製し(精製の具体的な手順はニッケルカラムの説明書を参照する)、さらにサーモフィッシャー社製のタンパク質定量キットによってCas12jタンパク質を定量した。
二.Cas12jタンパク質ガイドRNAの転写および精製:
1.ガイドRNA転写の鋳型を設計し、転写鋳型の構造はT7プロモーター+Cas12jの原型の半白(配列番号41-60)+スペーサー(配列番号105)で、プライマーの設計はPrimer5.0ソフトを使用し、フォワードプライマーとリバースプライマーが少なくとも18bpのオーバーラップ配列があるようにした。
2.以下のような反応系を調製し、軽くかき混ぜて均一に混合した後、短時間で遠心し、PCR装置に置いてゆっくりアニーリングさせた。
3.MinElute PCR精製キットによって鋳型の精製を行ったが、手順は以下の通りである。
1)PCR産物に5倍体積のPBを入れ、1本のMinEluteカラムを2ml収集管にセットし、室温で2min静置し、12000g/2minで遠心した。
2)廃液を捨て、750μlの緩衝液PE(使用前にエタノールを入れるように)を入れ、12000g/2minで遠心した。
3)廃液を捨て、3550μlの緩衝液PEを入れ、12000g/2minで遠心し、廃液を捨て、12000gで、2min空遠心した。
4)MinEluteカラムを新しい1.5ml遠心管に移し、蓋を開け、65℃で2min静置した。
5)20μlの予め加熱されたEB溶液を入れ、2min静置した後、12000g/2minで遠心したが、回収率を上げるために、遠心管の内容物にMinElute遠心カラムを2-3回通させてもよい。
6)Nanodropによって濃度を測定し、-20℃で凍結保存して使用に備えた。
4.ガイドRNAの精製:フェノール:クロロホルム:イソペンタノール(25:24:1)抽出による反応系におけるDNAseIの除去
1)転写後の反応系に80μlの無RNA水を入れ、体積を100μlに調整した。
2)2mlのPhase Lock Gel (PLG) Heavyを取り、15000gで2min遠心し、100μl のフェノール:クロロホルム:イソペンタノール(25:24:1)、100μlのDNAseI消化を経たRNAを入れ、手で軽くPhase-Lock管を5-10回弾くことにより、均一に混合した後、15℃/16000gで12min遠心した。
3)1つの新しい無RNAの1.5ml遠心管を取り、上記工程で遠心された上清を遠心管にゲルが吸われないように吸い取り、上清と等体積のイソプロパノールおよび1/10体積の酢酸ナトリウム溶液を入れ、チップでかき混ぜて均一に混合した後、-20℃の冷蔵庫で1hあるいは一晩静置した。
4)4℃/16000gで30min遠心し、上清を捨て、予め冷却された75%アルコールを入れ、沈殿をかき混ぜて均一に混合し、4℃/16000gで12min遠心し、上清を捨て、ドラフトチャンバーで2-3min静置し、RNA表面のエタノールを乾燥させ、100μlの無RNA水を入れ、 かき混ぜて均一に混合した。
5.Nanodropによって精製後のcrRNA濃度を測定し、そしてすべて250ng/μlに希釈し、200μlのPCR遠心管に分け、-80℃で凍結保存して使用に備えた。
6.2本鎖DNA酵素切断系の構築:
(1)以下のような反応系を調製し、軽くかき混ぜて均一に混合した後、短時間で遠心した。37℃で15 min置いた。
(2)300ngの基質DNA(配列番号106)(100ng/μl)を入れ、3 μLで、軽くかき混ぜて均一に混合した後、短時間で遠心した。37℃で8時間置いた。
(3)RNaseを入れ、37℃で15min反応させ、反応系におけるRNA不純物を十分に消化させた。
(4)プロテアーゼKを入れ、58℃で15min反応させ、Cas12jタンパク質を消化させた。
(5)アガロースゲル電気泳動によって検出した。
ゲル電気泳動の結果は図3に示すように、Cas12j.4、Cas12j.19およびCas12j.22はいずれも有効に2本鎖DNAを切断することができたが、Cas12j.22の切断活性が弱かった。
【0075】
三.Cas12j.4、Cas12j.19、Cas12j.22の体外切断部位分析の結果
次に、この3つの2本鎖DNA切断活性を有するタンパク質の体外切断活性部位を分析した。前の工程の切断後のバンドを回収し、そして会社にSangerシークエンシングに送った。シークエンシング結果をseqmanソフトによってアライメントし、アライメント結果は図4に示すように、ピークの図から、Cas12j.4、Cas12j.19、Cas12j.22が異なる切断形態を有し、Cas12j.4およびCas12j.22の切断部位はPAM末端の18ntおよび25ntの箇所に位置し、切断後、7ntの粘着末端を形成し、Cas12j.19はPAMの遠端25ntの箇所に1つの切断部位があり、約1ntの末端を形成する。
【0076】
実施例5. Cas12j.19の異なる温度における体外酵素切断活性検出の結果
Cas12j.19(配列番号17)およびガイドRNA(配列番号105)を25℃で15分間インキュベートし、RNAとタンパク質の混合物を形成し、通常、RNPと呼ばれ、さらに反応系に2本鎖DNA(配列番号106)を入れ、そしてそれぞれ設定された異なる温度に置き、設定された温度は17℃、22℃、27℃、32℃、37℃、42℃、47℃、52℃、62℃、67℃、72℃で、8h反応させ、反応終了後、RNaseを入れ、37℃で15分間RNAを消化し、そしてプロテアーゼKを入れ、58℃で15分間反応させてタンパク質を消化し、アガロースゲル電気泳動によってそのDNA消耗に対する結果を検出した。結果は図5に示すように、Cas12j.19は27℃~42℃の間ですべて2本鎖DNA切断活性があるがわかる。
【0077】
実施例6. Cas12j.19の異なるスペーサーの長さの酵素切断活性に対する影響の結果
Cas12j.19の切断部位が標的配列の外にあるため、さらにCas12j.19ガイドRNA(配列番号105)の標的部位含有配列、通常、スペーサー配列とも呼ばれる配列の長さの切断活性に対する影響を測定した。ガイドRNAの標的部位含有配列を短縮させて(14~28nt)図6で示される短縮体を得、Cas12j.19および短縮されたガイドRNAを25℃で15分間インキュベートし、RNPを形成した後、反応系に2本鎖DNA(配列番号106)を入れ、37℃で8h反応させた。反応終了後、RNaseを入れ、37℃で15分間RNAを消化し、そしてプロテアーゼKを入れ、58℃で15分間反応させてタンパク質を消化し、アガロースゲル電気泳動によって酵素切断の結果を検出した。結果は図6に示すように、Cas12j.19が切断活性を発揮するのに必要なスペーサーの長さが少なくとも14ntであることがわかる。
【0078】
実施例7. Cas12j.19の異なる反復の長さの酵素切断活性に対する影響の結果
同様に、ガイドRNAの直接反復配列の反復の長さのCas12j.19の2本鎖DNA切断活性に対する影響を測定した。ガイドRNA(配列番号105)における直接反復配列を24~34ntに短縮させて図7における短縮体を得、Cas12j.19と相応する異なる反復長さのガイドRNAを25℃で15分間インキュベートし、RNPを形成した後、反応系に2本鎖DNAを入れ、37℃で8h反応させた。反応終了後、RNaseを入れ、37℃で15分間RNAを消化し、そしてプロテアーゼKを入れ、58℃で15分間反応させてタンパク質を消化し、アガロースゲル電気泳動によって酵素切断の結果を検出した。結果は図7に示すように、検出に必要な最短の直接反復配列の反復の長さは32ntであることがわかる。
【0079】
実施例8. Cas12j.19のスペーサーのミスマッチに対する許容の結果
ガイドRNAに標的部位が含まれる配列と元の標的配列の相補マッチはDNAの組み換えおよび切断に重要な意義がある。ガイドRNA(配列番号105)における標的配列含有部分を順に点突然変異を行い(すなわち、スペーサーの5’末端から1、3、5、7、9、11、13、15、17番目の塩基)、図8における突然変異体を得ることで、標的配列とミスマッチを形成する。Cas12j.19および相応する突然変異部位を含有するガイドRNAを25℃で15分間インキュベートし、RNPを形成した後、反応系に2本鎖DNA(配列番号106)を入れ、37℃で8h反応させた。反応終了後、RNaseを入れ、37℃で15分間RNAを消化し、そしてプロテアーゼKを入れ、58℃で15分間反応させてタンパク質を消化し、アガロースゲル電気泳動によって酵素切断の結果を検出した。結果は図8に示すように、スペーサー配列の5’末端の先端5nt内で、標的配列の塩基の突然変異がCas12j.19の2本鎖DNAの切断に重要な影響があることがわかる。また、13nt目の標的配列のミスマッチはCas12j.19の2本鎖DNAの切断活性に対する影響が大きかった。Cas12j.19の厳格なミスマッチ許容度により、より低いオフターゲット率を有するようになることが可能である。
【0080】
本発明の具体的な実施形態はすでに詳しく説明されたが、当業者には、すでに公開されたすべての教示は、細部に対して様々な修正および変更を行うことができ、そしてこれらの変化はいずれも本発明の保護範囲内に含まれることがわかる。本発明の全部分は付属の請求の範囲およびその任意の同等物によって与えられる。
図1
図2A-2B】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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