(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ロータリバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 11/085 20060101AFI20240326BHJP
F16K 5/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F16K11/085 Z
F16K5/04 E
(21)【出願番号】P 2022156909
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昌久
(72)【発明者】
【氏名】篠田 和希
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第04015881(EP,A1)
【文献】特開2009-097649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0354714(US,A1)
【文献】国際公開第2009/147932(WO,A1)
【文献】特開2021-055705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/00-5/22
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を取り囲むハウジングと、前記収容部に収容された弁本体部を有し、かつ軸部により前記ハウジングに回動可能に支持された弁体とを備え、
前記ハウジングの前記収容部に面した箇所には流体の流入口及び流出口が形成され、
前記弁本体部は、前記軸部の軸線に沿う方向に複数の分割体に分割され、
各分割体には、前記流体の通路であり、かつ同流体の流れ方向における上流端及び下流端が前記分割体の外面において開口する可動流路が形成され、
複数の前記分割体は、伝達部
が一体形成され、かつ前記軸部と一体で回動する駆動分割体と、被伝達部
が一体形成され、かつ前記駆動分割体の回動が前記伝達部を介して前記被伝達部に伝達されることにより回動する従動分割体とを備え、
前記駆動分割体及び前記従動分割体は前記軸線に沿う方向に隣接し、
前記伝達部及び前記被伝達部の一方は、前記軸線の周りで周方向に延びるキー溝により構成され、他方は、前記キー溝よりも前記周方向に短く形成され、かつ前記キー溝内に前記周方向へ移動可能に係合されたキーにより構成され、
前記駆動分割体の回動の前記従動分割体への伝達は、前記キー及び前記キー溝の一方が他方を、前記周方向へ押圧することによりなされるものであるロータリバルブ。
【請求項2】
前記被伝達部は、前記従動分割体における前記駆動分割体側の面において同駆動分割体から遠ざかる側へ凹む前記キー溝により構成され、
前記伝達部は、前記駆動分割体における前記従動分割体側の面から前記従動分割体側へ突出して前記キー溝内に入り込んだ前記キーにより構成され、
前記駆動分割体の回動の前記従動分割体への伝達は、前記キーが前記キー溝の一方の端部に接触する位置よりも、他方の端部から遠ざかる側へ移動することによりなされるものである請求項1に記載のロータリバルブ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記軸線に沿う方向へ延びる環状壁部を備え、
前記従動分割体は円柱状をなし、
前記従動分割体における前記可動流路の前記上流端及び前記下流端は、前記従動分割体の外周面において開口しており、
前記流入口及び前記流出口は、前記環状壁部において前記従動分割体の前記外周面に対向する箇所に形成され、
さらに、前記環状壁部と前記従動分割体の前記外周面との間であって、前記外周面に対向する前記流入口及び前記流出口のそれぞれの周囲には、前記外周面を押圧した状態で環状のパッキンが配置されている請求項1又は請求項2に記載のロータリバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動流路を介して流入口及び流出口を連通させることにより形成される流路を、弁体を回動させることにより切り替えるロータリバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリバルブとして、例えば、
図13~
図16に示すように、ハウジング101及び弁体107を有するロータリバルブ100が知られている。ハウジング101は収容部102を取り囲んでいる。ハウジング101のうち、収容部102に面した箇所には、流体FL1の流入口103及び流出口105が形成されるとともに、流体FL2の流入口104及び流出口106が形成されている。
【0003】
弁体107は、収容部102に収容された弁本体部108と、弁本体部108をハウジング101に回動可能に支持する軸部113とを備えている。弁本体部108には、流体FL1の通路である可動流路111と、流体FL2の通路である可動流路112とがそれぞれ形成されている。可動流路111の上流端111a及び下流端111bと、可動流路112の上流端112a及び下流端112bとは、弁本体部108の外周面109においてそれぞれ開口している。
【0004】
特に、
図13~
図16に示す上記ロータリバルブ100では、流入口103,104は、軸部113の軸線AL1に沿う方向に互いに離れ、かつ周方向に互いに離れた箇所に形成されている。流出口105は、軸線AL1を挟んで流入口103の反対側に形成されている。流出口106は、軸線AL1を挟んで流入口104の反対側に形成されている。可動流路111,112は、弁本体部108において軸線AL1に沿う方向に互いに離れた箇所に形成されている。
【0005】
上記ロータリバルブ100によれば、弁体107が、
図17(A),(B)に示す回動位相と、
図18(A),(B)に示す回動位相との間で、軸部113を中心として回動される。この回動に伴い、可動流路111が軸線AL1の周りを移動して、流入口103と流出口105との連通状態を切り替える。また、上記回動に伴い、可動流路112が軸線AL1の周りを移動して、流入口104と流出口106との連通状態を切り替える。
【0006】
前者の回動位相では、
図17(A)に示すように、流入口103と流出口105との間の連通状態が遮断される。そのため、流入口103へ送られてきた流体FL1は、可動流路111を流れることができない。これに対し、
図17(B)に示すように、流入口104と流出口106とが可動流路112を介して連通される。流入口104、可動流路112及び流出口106からなる流路が形成される。そのため、流入口104へ送られてきた流体FL2は、可動流路112を流れた後に流出口106から流出される。
【0007】
後者の回動位相では、
図18(A)に示すように、流入口103と流出口105とが可動流路111を介して連通される。流入口103、可動流路111及び流出口105からなる流路が形成される。そのため、流入口103へ送られてきた流体FL1は、可動流路111を流れた後に流出口105から流出される。これに対し、
図18(B)に示すように、流入口104と流出口106との間の連通状態が遮断される。流入口104へ送られてきた流体FL2は、可動流路112を流れることができない。
【0008】
なお、上記のように、流入口103,104、可動流路111,112及び流出口105,106からなる流路を、弁体107の回動により切り替えるようにしたロータリバルブ100は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、弁本体部108の外周面109における可動流路111の上流端111a及び下流端111bの各位置と、可動流路112の上流端112a及び下流端112bの各位置との関係が、弁体107の回動に拘わらず常に同じである。そのため、弁体107の回動に伴い切り替えることのできる流路のパターンを多くしようとした場合に、次の懸念がある。少ない数の可動流路111,112によって、上記流路のパターンを多くしようとすると、可動流路111,112の形状が複雑になる。これに対し、軸線AL1に沿う方向における可動流路111,112の数を多くすることで、上記流路のパターンを多くしようとすると、可動流路111,112の形状の複雑化を回避できる。反面、弁本体部108が軸線AL1に沿う方向に大型化する問題が生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためのロータリバルブの各態様を記載する。
[態様1]収容部を取り囲むハウジングと、前記収容部に収容された弁本体部を有し、かつ軸部により前記ハウジングに回動可能に支持された弁体とを備え、前記ハウジングの前記収容部に面した箇所には流体の流入口及び流出口が形成され、前記弁本体部は、前記軸部の軸線に沿う方向に複数の分割体に分割され、各分割体には、前記流体の通路であり、かつ同流体の流れ方向における上流端及び下流端が前記分割体の外面において開口する可動流路が形成され、複数の前記分割体は、伝達部を有し、かつ前記軸部と一体で回動する駆動分割体と、被伝達部を有し、かつ前記駆動分割体の回動が前記伝達部を介して前記被伝達部に伝達されることにより回動する従動分割体とを備え、前記伝達部及び前記被伝達部の一方は、前記軸線の周りで周方向に延びるキー溝により構成され、他方は、前記キー溝よりも前記周方向に短く形成され、かつ前記キー溝内に前記周方向へ移動可能に係合されたキーにより構成され、前記駆動分割体の回動の前記従動分割体への伝達は、前記キー及び前記キー溝の一方が他方を、前記周方向へ押圧することによりなされるものであるロータリバルブ。
【0012】
上記の構成によれば、駆動分割体は軸部と一体で回動する。これに対し、従動分割体は、駆動分割体の回動が伝達部を介して被伝達部に伝達された場合、すなわち、キー及び記キー溝の一方が他方を、周方向へ押圧した場合に、駆動分割体と一体になって回動する。そのため、駆動分割体の回動の前後で、駆動分割体の外面における可動流路の上流端及び下流端の各位置と、従動分割体の外面における可動流路の上流端及び下流端の各位置との関係は、変化しない。
【0013】
これに対し、キー及びキー溝の一方が他方を周方向へ押圧しない場合には、駆動分割体の回動は従動分割体に伝達されない。駆動分割体は回動するのに、従動分割体は回動しない。そのため、駆動分割体の回動の前後で、駆動分割体の外面における可動流路の上流端及び下流端の各位置と、従動分割体の外面における可動流路の上流端及び下流端の各位置との関係は、変化する。
【0014】
一方、上記回動の有無に応じ、駆動分割体及び従動分割体の少なくとも一方における可動流路を介して流入口と流出口とが連通されると、ロータリバルブの外部から流入口に送られてきた流体は、可動流路を流れ、流出口からロータリバルブの外部へ流出される。駆動分割体及び従動分割体のうち、可動流路が流入口と流出口とを連通しないものがあると、流体は可動流路を流れることができず、流出口からロータリバルブの外部へ流出できない。
【0015】
従って、駆動分割体が回動し、かつ従動分割体が回動しない場合の分、弁本体部が分割されていない場合に比べ、流入口及び流出口を可動流路によって連通させることにより形成される流路のパターンを多くすることが可能となる。
【0016】
また、駆動分割体に可動流路が形成されるとともに、駆動分割体に対し相対回動し得る従動分割体にも可動流路が形成される。駆動分割体の回動に伴い、その駆動分割体の可動流路と従動分割体の可動流路とを、一体で移動させることも可能であり、駆動分割体の可動流路のみを移動させることも可能である。
【0017】
その結果、弁本体部が分割されていない場合の可動流路の形状に比べ、各可動流路の形状を簡単にしても、流路のパターンを多くすることが可能である。また、軸線に沿う方向に多くの可動流路を設けなくても、流路のパターンを多くすることが可能である。
【0018】
[態様2]前記被伝達部は、前記従動分割体における前記駆動分割体側の面において同駆動分割体から遠ざかる側へ凹む前記キー溝により構成され、前記伝達部は、前記駆動分割体における前記従動分割体側の面から前記従動分割体側へ突出して前記キー溝内に入り込んだ前記キーにより構成され、前記駆動分割体の回動の前記従動分割体への伝達は、前記キーが前記キー溝の一方の端部に接触する位置よりも、他方の端部から遠ざかる側へ移動することによりなされるものである[態様1]に記載のロータリバルブ。
【0019】
上記の構成によれば、駆動分割体が回動すると、キーが軸線の周りを移動する。この移動が、キー溝の周方向における両端部間で行なわれる場合には、駆動分割体の回動は従動分割体に伝達されない。そのため、駆動分割体は回動するのに、従動分割体は回動しない。駆動分割体の外面における可動流路の上流端及び下流端の各位置と、従動分割体の外面における可動流路の上流端及び下流端の各位置との関係が変化する。
【0020】
これに対し、駆動分割体の回動に伴い、キーがキー溝の一方の端部に接触する位置よりも、他方の端部から遠ざかる側へ移動する際には、駆動分割体の回動が従動分割体に伝達される。従動分割体は、駆動分割体と一体になって回動する。駆動分割体の外面における可動流路の上流端及び下流端の各位置と、従動分割体の外面における可動流路の上流端及び下流端の各位置との関係は、変化しない。
【0021】
[態様3]前記ハウジングは、前記軸線に沿う方向へ延びる環状壁部を備え、前記従動分割体は円柱状をなし、前記従動分割体における前記可動流路の前記上流端及び前記下流端は、前記従動分割体の外周面において開口しており、前記流入口及び前記流出口は、前記環状壁部において前記従動分割体の前記外周面に対向する箇所に形成され、さらに、前記環状壁部と前記従動分割体の前記外周面との間であって、前記外周面に対向する前記流入口及び前記流出口のそれぞれの周囲には、前記外周面を押圧した状態で環状のパッキンが配置されている[態様1]又は[態様2]に記載のロータリバルブ。
【0022】
上記の構成によれば、流入口から、環状壁部と従動分割体の外周面との間の隙間に出た流体は、その隙間であって、流入口の周りの流体と混ざることをパッキンによって規制される。また、可動流路の下流端から上記隙間に出た流体は、その隙間であって、上記流出口の周りの流体と混ざることをパッキンによって規制される。
【0023】
ところで、従動分割体は、駆動分割体に対し直接連結されていない。キーがキー溝内に係合されているのみである。しかし、パッキンは従動分割体の外周面を押圧している。この押圧により、従動分割体とパッキンとの間に摩擦力が生ずる。そのため、弁本体部のうち駆動分割体のみを回動させたいときに、従動分割体が駆動分割体に追従して回動することが、上記摩擦力によって抑制される。
【発明の効果】
【0024】
上記ロータリバルブによれば、可動流路の形状の複雑化と、軸部の軸線に沿う方向における弁本体部の大型化とを招くことなく、流路のパターンを多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態におけるロータリバルブの斜視図である。
【
図2】
図1のロータリバルブに用いられる弁体の斜視図である。
【
図3】
図1のロータリバルブをアクチュエータ側から見た分解斜視図である。
【
図4】
図1のロータリバルブをカバー側から見た分解斜視図である。
【
図5】
図2における駆動分割体及び従動分割体を分離して示すことで、キー及びキー溝の関係を示す斜視図である。
【
図6】
図2における駆動分割体及び従動分割体を分離して示す斜視図である。
【
図7】弁体が第2の回動位相にされたロータリバルブの断面構造を示す図であり、
図1の7-7線断面図である。
【
図9】弁体が第1の回動位相にされたロータリバルブを示し、(A)は
図10(A)に、(B)は
図10(B)に、(C)は
図10(C)にそれぞれ対応する断面図である。
【
図10】(A)は
図7の10(A)-10(A)線断面図、(B)は10(B)-10(B)線断面図、(C)は10(C)-10(C)線断面図である。
【
図11】弁体が第3の回動位相にされたロータリバルブを示し、(A)は
図10(A)に、(B)は
図10(B)に、(C)は
図10(C)にそれぞれ対応する断面図である。
【
図12】弁体が第4の回動位相にされたロータリバルブを示し、(A)は
図10(A)に、(B)は
図10(B)に、(C)は
図10(C)にそれぞれ対応する断面図である。
【
図14】
図13のロータリバルブに用いられる弁体の斜視図である。
【
図17】(A)は
図16の17(A)-17(A)線断面図、(B)は17(B)-17(B)線断面図である。
【
図18】
図17(A),(B)の状態から弁体が回動されたロータリバルブを示し、(A)は
図17(A)に、(B)は
図17(B)にそれぞれ対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、ロータリバルブの一実施形態について、
図1~
図12を参照して説明する。
図1、
図2及び
図7に示すように、ロータリバルブ10は、ハウジング20、弁体50、アクチュエータ71及びパッキンを備えている。
【0027】
ここで、ロータリバルブ10の各部を説明するために、弁体50における軸部67の軸線AL1を基準とする。弁体50は、後述するように、軸線AL1を有する軸部67を中心として回動可能である。軸線AL1に沿う方向を「軸方向」という。軸線AL1を中心として同軸線AL1から放射状に延びる方向を「径方向」という。軸線AL1を中心として回動する方向を「周方向」というものとする。
【0028】
<ハウジング20>
図1に示すように、ハウジング20は、流体が流れるハウジング外流路の途中に配置される。
【0029】
ここで、流体には、液体及び気体のいずれか一方又は両者が含まれる。また、流体は、単一であってもよいし、複数であってもよい。複数の流体には、成分の異なる複数種類の流体が含まれるほか、同一種類の複数の流体も含まれる。同一種類の複数の流体には、同一の複数の流体が含まれるほか、成分は同一であるが、温度又はその他の要素、例えば粘度等の異なる複数の流体が含まれる。
【0030】
本実施形態では、ハウジング20は、流体FL1が流れるハウジング外流路11,13と、流体FL2が流れるハウジング外流路12,14との間に配置される。
ハウジング20は、ボディ21及びカバー41を備えている。
図3及び
図4に示すように、ボディ21は、軸方向に延び、かつ円筒状の内面を有する筒状の環状壁部22を備えている。軸方向における環状壁部22の一方の端部、
図3では上端部は、閉塞部23によって塞がれ、他方の端部、
図4では下端部は開放されている。閉塞部23の中心部分には、軸方向に貫通する軸受孔24が形成されている。
【0031】
カバー41は、環状壁部22を挟んで、軸方向における閉塞部23とは反対側、
図3では下側に配置され、環状壁部22の上記開放部分を塞いでいる。
図7及び
図8に示すように、ボディ21とカバー41とによって取り囲まれた箇所は、収容部45を構成している。
【0032】
図9(A)~(C)に示すように、環状壁部22の内面において、周方向に互いに等角度(90°)毎に離間した複数箇所(4箇所)には、溝部25がそれぞれ形成されている。各溝部25は、収容部45に面して開放された状態で、軸方向に延びている。
図3及び
図4に示すように、環状壁部22のうち、軸方向におけるカバー41側の端部には、環状溝部26が全周にわたって形成されている。
【0033】
カバー41の中心部分には、軸方向に延び、かつ収容部45に面して開口する軸受凹部42が形成されている。カバー41の閉塞部23側の面の周縁部には、環状突部43が全周にわたって形成されている。カバー41は、環状突部43を環状壁部22の環状溝部26に入り込ませた状態で、ボディ21に取り付けられている。
【0034】
図7に示すように、環状壁部22には、径方向に延びる接続管部27が、同環状壁部22を貫通した状態で形成されている。接続管部27はハウジング外流路11に接続されている。径方向における接続管部27の内方の端部は、溝部25内に位置しており、収容部45に面して開口する流入口28を有している。
【0035】
図8に示すように、環状壁部22には、径方向に延びる接続管部31が、同環状壁部22を貫通した状態で形成されている。接続管部31は、接続管部27に対し、軸方向に離れ、かつ周方向に離れた箇所に位置している。接続管部31はハウジング外流路12に接続されている。径方向における接続管部31の内方の端部は、溝部25内に位置しており、収容部45に面して開口する流入口32を有している。
【0036】
図7に示すように、環状壁部22において、軸線AL1を挟んで接続管部27の反対側には、径方向に延びる接続管部33が、同環状壁部22を貫通した状態で形成されている。径方向における接続管部33の内方の端部は、溝部25内に位置しており、収容部45に面して開口する流出口34を有している。接続管部33はハウジング外流路13に接続されている。
【0037】
図8に示すように、環状壁部22において、軸線AL1を挟んで接続管部31の反対側には、径方向に延びる接続管部35が、同環状壁部22を貫通した状態で形成されている。径方向における接続管部35の内方の端部は、溝部25内に位置しており、収容部45に面して開口する流出口36を有している。接続管部35はハウジング外流路14に接続されている。
【0038】
<弁体50>
図2及び
図7に示すように、弁体50は、収容部45に収容された円柱状の弁本体部51と、弁本体部51をハウジング20に回動可能に支持する軸部67とを備えている。弁本体部51は、軸方向に、駆動分割体52及び従動分割体61に分割されている。駆動分割体52は、伝達部を有し、かつ軸部67と一体で回動する。従動分割体61は、被伝達部を有し、かつ駆動分割体52の回動が伝達部を介して被伝達部に伝達された場合に回動する。駆動分割体52は、収容部45内における閉塞部23側に配置され、従動分割体61は、カバー41側に配置されている。
【0039】
図5~
図7に示すように、駆動分割体52は、収容部45に収容された状態で、環状壁部22の内面に対向する外周面53を有している。外周面53は、軸線AL1を中心とする円筒面によって構成されている。駆動分割体52には、流体FL1の通路である可動流路54が形成されている。本実施形態では、可動流路54は軸線AL1に近い箇所で屈曲している(
図9(A)参照)。流体FL1の流れ方向における可動流路54の上流端54a及び下流端54bは、外周面53において開口されている。駆動分割体52は、閉塞部23側へ向けて突出する管部55を自身の中心部に有している。
【0040】
図5、
図6及び
図8に示すように、従動分割体61は、収容部45に収容された状態で、環状壁部22の内面に対向する外周面62を有している。外周面62は、軸線AL1を中心とし、かつ駆動分割体52の外周面53と同一又は同程度の外径を有する円筒面によって構成されている。従動分割体61には、流体FL2の通路である可動流路63が形成されている。本実施形態では、可動流路63は軸線AL1に近い箇所で屈曲している(
図9(B)参照)。流体FL2の流れ方向における可動流路63の上流端63a及び下流端63bは、外周面62において開口されている。
【0041】
図7及び
図8に示すように、軸部67は、軸方向に延びるシャフトによって構成されている。軸部67は、駆動分割体52の中心部を軸方向に貫通し、駆動分割体52に固定されている。軸部67の一部は管部55内に配置されている。そして、管部55が閉塞部23の軸受孔24に対し回動可能に挿通されている。上記軸部67の一部は、従動分割体61の中心部を軸方向へ貫通している。軸部67のカバー41側の端部は従動分割体61から露出し、軸受凹部42に対し回動可能に係合されている。
【0042】
図5及び
図8に示すように、被伝達部は、従動分割体61の駆動分割体52側の面に形成されたキー溝64によって構成されている。キー溝64は、従動分割体61の上記面において駆動分割体52から遠ざかる側へ凹んでいる。キー溝64は、軸線AL1の周りで周方向に延びていて、円弧状をなしている。本実施形態では、キー溝64は、円周の半分程度の長さを周方向に有している。
【0043】
ここで、キー溝64の各部を区別するために、
図6において、閉塞部23側からキー溝64を見た場合に、時計回り方向における前側の端部を第1端部64aといい、後側の端部を第2端部64bという。第2端部64bは、軸線AL1を挟んで第1端部64aの概ね反対側に位置している。
【0044】
図5、
図6及び
図8に示すように、伝達部は、駆動分割体52から従動分割体61側へ突出するキー56により構成されている。キー56は、駆動分割体52における軸線AL1の周りで周方向に延びていて、円弧状をなしている。キー56は、キー溝64と同程度の曲率半径を有している。キー56は、キー溝64よりも周方向に短く形成されている。キー56は、キー溝64に対し周方向へ移動可能に係合されている。
【0045】
<アクチュエータ71>
図1及び
図7に示すように、アクチュエータ71は、軸部67を中心として駆動分割体52を、周方向における両方向へ回動させるためのものである。アクチュエータ71は、例えば、電動モータによって構成されている。アクチュエータ71の図示しない出力軸は、軸部67に対し一体回動可能に連結されている。
【0046】
<パッキン>
図3及び
図4に示すように、パッキンは、2つのパッキン73と、2つのパッキン74とからなる。両パッキン73及び両パッキン74は、ゴム等の弾性材料によって形成されている。上記径方向における各パッキン73の内側面は、駆動分割体52の外周面53に沿って凹状に湾曲している。上記径方向における各パッキン74の内側面は、従動分割体61の外周面62に沿って凹状に湾曲している。また、各パッキン73,74は、軸線AL1を中心とする径方向に貫通する円形の孔75を有している。また、各パッキン73,74は、環状のシール部76を備えている。シール部76は、孔75の周囲から、軸線AL1を中心とする上記径方向における内方へ突出している。シール部76は、上記外周面53,62に沿って凹状に湾曲しており、同外周面53,62に密着可能である。
【0047】
図7及び
図8に示すように、2つのパッキン73のうちの一方は、接続管部27(流入口28)の周囲であって、溝部25の内底面と駆動分割体52の外周面53との間に配置されている。他方のパッキン73は、接続管部33(流出口34)の周囲であって、溝部25の内底面と上記外周面53との間に配置されている。また、2つのパッキン74のうちの一方は、接続管部31(流入口32)の周囲であって、溝部25の内底面と従動分割体61の外周面62との間に配置されている。他方のパッキン74は、接続管部35(流出口36)の周囲であって、溝部25の内底面と上記外周面62との間に配置されている。両パッキン73及び両パッキン74は、いずれも、径方向に圧縮された状態で配置されている。
【0048】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、ハウジング外流路11を流れる流体FL1は、接続管部27に送られてくる。ハウジング外流路12を流れる流体FL2は、接続管部31に送られてくる。このような状況のもと、
図9(A)~(C)は、弁体50の回動位相が第1の回動位相になっているときのロータリバルブ10の内部の状態を示している。駆動分割体52の可動流路54は、上流端54aにおいて流入口28に対向し、下流端54bにおいて流出口34に対向し、流入口28と流出口34とを連通状態にする。流入口28、可動流路54及び流出口34により流路が形成される。キー56がキー溝64の第2端部64bに接触又は接近しているが、周方向に押圧はしていない。また、従動分割体61における可動流路63の上流端63aは、流入口32及び流出口36のいずれにも対向しない。下流端63bについても同様である。流入口32と流出口36との連通状態が遮断される。
【0049】
そのため、接続管部27に送られてきた流体FL1は、流入口28、可動流路54及び流出口34からなる流路を流れ、接続管部33からハウジング外流路13へ流出される。また、接続管部31に送られてきた流体FL2は、可動流路63を流れることができず、流出口36からハウジング外流路14へ流出できない。
【0050】
上記
図9(A)~(C)の状態から駆動分割体52が反時計回り方向へ90°回動されると、弁体50の回動位相は第2の回動位相に切り替わる。可動流路54が軸線AL1の周りを、反時計回り方向へ90°移動する。この移動により、可動流路54の上流端54a及び下流端54bの各位置が変化する。
図10(A)に示すように、上流端54aは、流入口28及び流出口34のいずれにも対向しない。下流端54bについても同様である。流入口28と流出口34との連通状態が遮断される。
【0051】
駆動分割体52の上記回動に伴い、
図10(C)に示すように、キー56が軸線AL1の周りを、反時計回り方向へ90°移動する。キー溝64の第2端部64bに対し、キー56から、反時計回り方向へ向かう押圧力が加えられる。この押圧力によって、
図10(B)に示すように、従動分割体61が反時計回り方向へ90°回動する。すなわち、駆動分割体52の回動がキー56及びキー溝64を介して従動分割体61に伝達され、同従動分割体61が駆動分割体52と一体となって反時計回り方向へ90°回動する。上記回動により、可動流路63が軸線AL1の周りを、反時計回り方向へ90°移動する。この移動により、可動流路63の上流端63a及び下流端63bの各位置が変化する。
【0052】
そのため、駆動分割体52の外周面53における可動流路54の上流端54a及び下流端54bの各位置と、従動分割体61の外周面62における可動流路63の上流端63a及び下流端63bの各位置との関係は、変化しない。
【0053】
第2の回動位相では、接続管部27に送られてきた流体FL1は、可動流路54を流れることができず、流出口34からハウジング外流路13へ流出できない。また、従動分割体61の可動流路63は、上流端63aにおいて流入口32に対向し、下流端63bにおいて流出口36に対向し、流入口32と流出口36とを連通状態にする。そのため、流体FL2は、流入口32、可動流路63及び流出口36からなる流路を流れ、接続管部35からハウジング外流路14へ流出される。
【0054】
上記
図10(A)~(C)の状態から駆動分割体52が時計回り方向へ90°回動されると、弁体50の回動位相は第3の回動位相に切り替わる。可動流路54が軸線AL1の周りを、時計回り方向へ90°移動する。この移動により、可動流路54の上流端54a及び下流端54bの各位置が変化する。
図11(A)に示すように、可動流路54は、上流端54aにおいて流入口28に対向し、下流端54bにおいて流出口34に対向し、流入口28と流出口34とを連通状態にする。
【0055】
駆動分割体52の上記回動に伴い、
図11(C)に示すように、キー56が軸線AL1の周りを、時計回り方向へ90°移動する。移動したキー56は、キー溝64の第1端部64aに対し、接触又は接近するのみである。第1端部64aに対しては、キー56から、時計回り方向へ向かう押圧力は加えられないか、僅かに加えられるだけである。そのため、キー溝64は移動しない。
【0056】
従って、駆動分割体52は時計回り方向へ90°回動するが、その回動はキー56及びキー溝64を介して従動分割体61に伝達されない。
図11(B)に示すように、従動分割体61は回動せず、上述した
図10(B)の状態に維持される。駆動分割体52の回動の前後で、従動分割体61の外周面62における可動流路63の上流端63a及び下流端63bの各位置は変化しない。駆動分割体52の外周面53における可動流路54の上流端54a及び下流端54bの各位置と、従動分割体61の外周面62における可動流路63の上流端63a及び下流端63bの各位置との関係は、変化する。
【0057】
そのため、ハウジング外流路11を通って接続管部27に送られてきた流体FL1は、流入口28、可動流路54及び流出口34からなる流路を流れ、接続管部33からハウジング外流路13へ流出される。また、ハウジング外流路12を通って接続管部31に送られてきた流体FL2は、流入口32、可動流路63及び流出口36からなる流路を流れ、接続管部35からハウジング外流路14へ流出される。
【0058】
上記
図11(A)~(C)の状態から駆動分割体52が反時計回り方向へ90°回動されると、弁体50の回動位相は第2の回動位相に切り替わる。すなわち、可動流路54が軸線AL1の周りを、反時計回り方向へ90°移動する。この移動により、
図10(A)と同様に、可動流路54の上流端54aは、流入口28及び流出口34のいずれにも対向しない。下流端54bについても同様である。流入口28と流出口34の連通状態が遮断される。
【0059】
駆動分割体52の上記回動に伴い、キー56が軸線AL1の周りを、反時計回り方向へ90°移動する。移動したキー56は、
図10(C)と同様に、キー溝64の第2端部64bに対し、接触又は接近するのみである。第2端部64bに対しては、キー56から、反時計回り方向へ向かう押圧力は加えられないか、僅かに加えられるだけである。そのため、キー溝64は移動しない。
【0060】
従って、駆動分割体52は反時計回り方向へ90°回動するが、その回動はキー56及びキー溝64を介して従動分割体61に伝達されない。従動分割体61は回動せず、
図11(B)の状態に維持される。駆動分割体52の回動の前後で、従動分割体61の外周面62における可動流路63の上流端63a及び下流端63bの各位置は変化しない。駆動分割体52の外周面53における可動流路54の上流端54a及び下流端54bの各位置と、従動分割体61の外周面62における可動流路63の上流端63a及び下流端63bの各位置との関係は、変化する。
【0061】
上記
図11(A)~(C)の状態から駆動分割体52が時計回り方向へ90°回動されると、弁体50の回動位相は第4の回動位相に切り替わる。
図12(A)に示すように、可動流路54が軸線AL1の周りを、時計回り方向へ90°移動する。この移動により、可動流路54の上流端54aは、流入口28及び流出口34のいずれにも対向しなくなる。下流端54bについても同様である。流入口28と流出口34との連通状態が遮断される。
【0062】
駆動分割体52の上記回動に伴い、
図12(C)に示すように、キー56が軸線AL1の周りを、時計回り方向へ90°移動する。第1端部64aに対し、キー56から、時計回り方向へ向かう押圧力が加えられる。この押圧力によって、
図12(B)に示すように、従動分割体61が時計回り方向へ90°回動する。すなわち、駆動分割体52の回動がキー56及びキー溝64を介して従動分割体61に伝達され、従動分割体61が駆動分割体52と一体となって時計回り方向へ90°回動する。
【0063】
従動分割体61の上記回動により、可動流路63が軸線AL1の周りを、時計回り方向へ90°移動する。この移動により、可動流路63の上流端63a及び下流端63bの各位置が変化する。そのため、駆動分割体52の外周面53における可動流路54の上流端54a及び下流端54bの各位置と、従動分割体61の外周面62における可動流路63の上流端63a及び下流端63bの各位置との関係は、変化しない。
【0064】
第4の回動位相では、従動分割体61の可動流路63の上流端63aは、流入口32及び流出口36のいずれにも対向しない。下流端63bについても同様である。流入口32と流出口36との連通状態が遮断される。
【0065】
そのため、ハウジング外流路11を通って接続管部27に送られてきた流体FL1は、可動流路54を流れることができず、ハウジング外流路13へ流出できない。また、ハウジング外流路12を通って接続管部31に送られてきた流体FL2は、可動流路63を流れることができず、ハウジング外流路14へ流出できない。
【0066】
上記
図12(A)~(C)の状態から駆動分割体52が反時計回り方向へ90°回動されると、弁体50の回動位相は第1の回動位相に切り替わる。すなわち、可動流路54が軸線AL1の周りを、反時計回り方向へ90°移動する。この移動により、
図9(A)に示すように、可動流路54は、上流端54aにおいて流入口28に対向し、下流端54bにおいて流出口34に対向し、流入口28と流出口34とを連通状態にする。
【0067】
駆動分割体52の上記回動に伴い、
図9(C)に示すように、キー56が軸線AL1の周りを、反時計回り方向へ90°移動する。この移動により、キー56はキー溝64の第2端部64bに対し、接触又は接近する。第2端部64bに対しては、キー56から、反時計回り方向へ向かう押圧力は加えられないか、僅かに加えられるだけである。そのため、キー溝64は移動しない。
【0068】
従って、駆動分割体52は反時計回り方向へ90°回動するが、その回動はキー56及びキー溝64を介して従動分割体61に伝達されない。従動分割体61は回動せず、上述した
図12(B)の状態に維持される。
【0069】
このように、本実施形態によると、駆動分割体52を回動させて流入口28と流出口34との連通状態を変更するとともに、従動分割体61を回動させて流入口32と流出口36との連通状態を変更する。これらの変更により、2種類の流体FL1,FL2のそれぞれについて、流れに関するモードを切替えることができる。
【0070】
ところで、環状壁部22と駆動分割体52との間の隙間は、環状の各パッキン73よりも内周側の領域と外周側の領域とに区画される。各パッキン73は径方向に圧縮されることに伴い圧縮反力を発生し、この圧縮反力により、両領域の間をシールする。流入口28及び流出口34は、いずれも各パッキン73よりも内周側の領域に位置する。そのため、流入口28から上記隙間に出た流体FL1が、同隙間であって、上記流入口28の周りの流体と混ざることがパッキン73によって規制される。また、可動流路54の下流端54bから上記隙間に出た流体FL1が、同隙間であって、上記流出口34の周りの流体と混ざることがパッキン73によって規制される。
【0071】
また、環状壁部22と従動分割体61との間の隙間は、環状の各パッキン74よりも内周側の領域と外周側の領域とに区画される。各パッキン74は径方向に圧縮されることに伴い圧縮反力を発生し、この圧縮反力により、両領域の間をシールする。流入口32及び流出口36は、いずれも各パッキン74よりも内周側の領域に位置する。そのため、流入口32から上記隙間に出た流体FL2が、同隙間であって、上記流入口32の周りの流体と混ざることがパッキン74によって規制される。また、可動流路63の下流端63bから上記隙間に出た流体FL2が、同隙間であって、上記流出口36の周りの流体と混ざることがパッキン74によって規制される。
【0072】
さらに、従動分割体61は、駆動分割体52に対し直接連結されていない。駆動分割体52のキー56が、従動分割体61のキー溝64内に係合されているのみである。しかし、各パッキン74が従動分割体61の外周面62を、同従動分割体61の径方向における内方へ、圧縮反力によって押圧している。この押圧により、従動分割体61と各パッキン74との間に摩擦力が生ずる。この摩擦力は、駆動分割体52から従動分割体61に対し回動させようとする力が加わらないときに、同従動分割体61に対し、回動を規制する制動力として作用する。
【0073】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、
図5及び
図8に示すように弁本体部51を、軸部67と一体で回動する駆動分割体52と、駆動分割体52の回動が伝達部を介して被伝達部に伝達されることにより回動する従動分割体61とに分割している。伝達部及び被伝達部の一方を、軸線AL1の周りで周方向に延びるキー溝64により構成し、他方を、キー溝64内に周方向へ移動可能に係合されるキー56により構成している。そして、キー56及びキー溝64の一方で他方を周方向へ押圧することにより、駆動分割体52の回動を従動分割体61へ伝達するようにしている。
【0074】
従って、駆動分割体52が回動し、かつ従動分割体61が回動しない場合の分、従来技術に比べ、流入口28,32及び流出口34,36を可動流路54,63によって連通させることにより形成される流路のパターンを多くすることが可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、駆動分割体52に可動流路54を形成するとともに、駆動分割体52に対し相対回動し得る従動分割体61に可動流路63を形成している。駆動分割体52の回動に伴い、可動流路54,63を一体で移動させることが可能であるし、また、可動流路54のみを移動させることが可能である。
【0076】
そのため、分割されていない弁本体部108に設けられる可動流路111,112の形状に比べ、各可動流路54,63の形状を簡単にしても、流路のパターンを多くすることが可能である。また、軸方向に多くの可動流路54,63を設けなくても、流路のパターンを多くすることが可能である。
【0077】
(2)本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、被伝達部をキー溝64により構成し、伝達部をキー56により構成している。そのため、駆動分割体52の回動に伴い、キー56によってキー溝64の第1端部64a又は第2端部64bを周方向に押圧して、同駆動分割体52の回動を従動分割体61に伝達し、同従動分割体61を駆動分割体52と一緒に回動させることができる。また、駆動分割体52の回動に伴い、キー56を、第1端部64aと第2端部64bとの間で周方向に移動させることで、同駆動分割体52の回動を従動分割体61に伝達させず、同従動分割体61を回動させないことができる。
【0078】
(3)本実施形態では、
図8に示すように、各パッキン74の圧縮反力によって従動分割体61の外周面62を押圧することで、従動分割体61と各パッキン74との間に摩擦力を発生させている。そのため、弁本体部51のうち駆動分割体52のみを回動させたいときに、従動分割体61が駆動分割体52に追従して回動する現象を、上記摩擦力によって抑制できる。そのほかにも、弁本体部51のうち駆動分割体52のみを回動させたいときに、従動分割体61ががたつく現象も併せて抑制できる。上記効果を得るための構造を、パッキン74とは別に設けなくてもすむ。これに付随して、上記構造の設置スペースを確保しなくてすむ。また、上記構造の追加に起因して、ロータリバルブ10が大型化するのを抑制できる。
【0079】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0080】
<ハウジング20に関する事項>
・ハウジング20における流入口28,32の数、及び流出口34,36の数が変更されてもよい。
【0081】
・収容部45を有することを条件に、ハウジング20がボディ21及びカバー41とは異なる部材によって構成されてもよい。この変更例には、ボディ21及びカバー41に対し、別の部材が加わることも含まれる。
【0082】
・流入口28,32の少なくとも一方がカバー41に設けられてもよい。また、流出口34,36の少なくとも一方がカバー41に設けられてもよい。
<弁体50に関する事項>
・弁本体部51が軸方向に3以上の分割体に分割されてもよい。この場合、軸方向に隣り合う分割体の一方が、伝達部を有する駆動分割体とされ、他方が被伝達部を有する従動分割体とされる。
【0083】
・弁本体部51は、円柱状に代えて球状に形成されてもよい。この場合、駆動分割体52及び従動分割体61は半球状をなしていてもよい。
・軸部67は、駆動分割体52に一体に形成されてもよい。
【0084】
・駆動分割体52に複数の可動流路54が設けられてもよい。また、従動分割体61に複数の可動流路63が設けられてもよい。
・可動流路54,63の形状が上記実施形態とは異なる形状に変更されてもよい。例えば、可動流路54,63は一直線状に延びる形状に形成されてもよい。また、可動流路54,63は、流体FL1,FL2の流れ方向における中間部で複数に分岐されてもよい。
【0085】
・上記実施形態とは逆に、伝達部がキー溝64によって構成され、被伝達部がキー56によって構成されてもよい。この場合であっても、キー溝64がキー56を押圧することで、駆動分割体52の回動を従動分割体61に伝達できる。
【0086】
・可動流路54における上流端54a及び下流端54bの少なくとも一方は、駆動分割体52の外面であって、外周面53とは異なる箇所において開口されてもよい。可動流路63における上流端63a及び下流端63bの少なくとも一方は、従動分割体61の外面であって、外周面62とは異なる箇所において開口されてもよい。
【0087】
・弁本体部51のうち駆動分割体52のみを回動させたいときに、従動分割体61が駆動分割体52に追従して回動しないようにするために、上記実施形態とは異なる手段が用いられてもよい。
【0088】
例えば、各パッキン74と溝部25の内底面との間に、同パッキン74を径方向における内方へ付勢する付勢部材が配置されてもよい。この場合には、パッキン74の圧縮反力と、付勢部材の付勢力とによって、従動分割体61の外周面62が押圧される。この押圧により、従動分割体61と各パッキン74との間に摩擦力が生じ、従動分割体61の回動が規制される。なお、付勢部材としては、例えば、ばねを用いることができるが、これに限られない。
【0089】
また、パッキン74とは異なる部材が用いられて、従動分割体61の外周面62が押圧されて上記摩擦力が発生されてもよい。
・従動分割体61の外径は、駆動分割体52の外径と異なってもよい。
【0090】
・可動流路54は、駆動分割体52の回動に拘わらず移動しない部分を有していてもよい。また、可動流路63は、従動分割体61の回動に拘わらず移動しない部分を有していてもよい。軸線AL1上に位置する部分が、回動に拘わらず移動しない部分に該当する。
【0091】
<その他>
・軸部67がアクチュエータ71に代えて手動によって回動されてもよい。
・可動流路54は、駆動分割体52の回動に伴い移動することで、流入口28と流出口34との連通状態を変更する。この連通状態の変更には、駆動分割体52の回動量を調整することで、可動流路54の上流端54a及び流入口28の間における流路面積を連続的に変化させることも含まれる。また、上記連通状態の変更には、駆動分割体52の回動量を調整することで、可動流路54の下流端54b及び流出口34の間における流路面積を連続的に変化させることも含まれる。
【0092】
また、可動流路63は、従動分割体61の回動に伴い移動することで、流入口32と流出口36との連通状態を変更する。この連通状態の変更には、従動分割体61の回動量を調整することで、可動流路63の上流端63a及び流入口32の間における流路面積を連続的に変化させることも含まれる。また、上記連通状態の変更には、従動分割体61の回動量を調整することで、可動流路63の下流端63b及び流出口36の間における流路面積を連続的に変化させることも含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10…ロータリバルブ
20…ハウジング
22…環状壁部
28,32…流入口
34,36…流出口
45…収容部
50…弁体
51…弁本体部
52…駆動分割体
53,62…外周面
54,63…可動流路
54a,63a…上流端
54b,63b…下流端
56…キー(伝達部)
61…従動分割体
64…キー溝(被伝達部)
64a…第1端部(端部)
64b…第2端部(端部)
67…軸部
73,74…パッキン
AL1…軸線
FL1,FL2…流体
【要約】
【課題】可動流路の形状の複雑化と、軸部の軸線に沿う方向における弁本体部の大型化とを招くことなく、流路のパターンを多くする。
【解決手段】弁体の弁本体部51は収容部45に収容される。弁本体部51の駆動分割体52は伝達部を有し、かつ軸部67と一体で回動する。弁本体部51の従動分割体61は、駆動分割体52に対し、軸部67の軸線AL1に沿う方向に隣接する。従動分割体61は、被伝達部を有し、かつ駆動分割体52の回動が伝達部を介して被伝達部に伝達されることにより回動する。被伝達部は、軸線AL1の周りで周方向に延びるキー溝64により構成され、伝達部は、キー溝64よりも周方向に短く形成されて、キー溝64内に周方向へ移動可能に係合されたキー56により構成される。駆動分割体52の回動の従動分割体61への伝達は、キー56がキー溝64の第2端部64b又は第1端部64aを周方向に押圧することによりなされる。
【選択図】
図10