(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤及びその製造方法並びに使用
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20240326BHJP
A61K 35/583 20150101ALI20240326BHJP
A61K 36/232 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/284 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/286 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/481 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/515 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/725 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/736 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/80 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/815 20060101ALI20240326BHJP
A61K 36/8988 20060101ALI20240326BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K36/185
A61K35/583
A61K36/232
A61K36/284
A61K36/286
A61K36/481
A61K36/515
A61K36/725
A61K36/736
A61K36/80
A61K36/815
A61K36/8988
A61P25/16
(21)【出願番号】P 2022562037
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2020106957
(87)【国際公開番号】W WO2022007081
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】202010661407.4
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511128206
【氏名又は名称】南通大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】顧 暁松
(72)【発明者】
【氏名】湯 淳康
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 蕾蕾
(72)【発明者】
【氏名】王 暁敏
(72)【発明者】
【氏名】湯 欣
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-501018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/185
A61K 35/583
A61K 36/232
A61K 36/284
A61K 36/286
A61K 36/481
A61K 36/515
A61K 36/725
A61K 36/736
A61K 36/80
A61K 36/815
A61K 36/8988
A61P 25/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量部で、コウトウ6~15部、テンマ3~9部、ジンギョウ6~12部、ショウオウギ10~20部、ジュクジオウ10~20部、カイゴシツ10~20部、クコシ10~20部、トウキ10~20部、炒めビャクジュツ10~20部、炒めサンソウニン6~15部、トウニン3~12部、コウカ3~9部、
及びウショウダ20~30部の原料又は原料抽出物を含む漢方薬配合成分を含むことを特徴とする、パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤。
【請求項2】
前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、
及びウショウダ20部の成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のパーキンソン病を治療する
ための複方漢方製剤。
【請求項3】
前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ6部、テンマ9部、ジンギョウ10部、ショウオウギ15部、ジュクジオウ20部、カイゴシツ20部、クコシ15部、トウキ20部、炒めビャクジュツ15部、炒めサンソウニン15部、トウニン12部、コウカ9部、
及びウショウダ25部の成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のパーキンソン病を治療する
ための複方漢方製剤。
【請求項4】
前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ15部、テンマ3部、ジンギョウ12部、ショウオウギ20部、ジュクジオウ10部、カイゴシツ16部、クコシ20部、トウキ15部、炒めビャクジュツ20部、炒めサンソウニン10部、トウニン10部、コウカ7部、
及びウショウダ30部の成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のパーキンソン病を治療する
ための複方漢方製剤。
【請求項5】
有効使用量の前記漢方薬配合成分及び薬学的に許容可能な補助材料を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーキンソン病を治療する
ための複方漢方製剤。
【請求項6】
パーキンソン病を治療する複方漢方製剤の投薬形態は内服液、顆粒剤、粉薬、錠剤のいずれかであることを特徴とする、請求項5に記載のパーキンソン病を治療する
ための複方漢方製剤。
【請求項7】
(1)配合割合で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、
及びウショウダ20部の原料を準備し、水で生薬を洗浄し、不純物を除去するステップと、
(2)脱イオン水に、それらを25℃で、120分間浸漬するステップと、
(3)100℃で水抽出を行い、20分間煎じるステップと、
(4)煎じ液を4℃で、12時間静置し、濾過し、濃縮し、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップと、
(5)
充填密封して殺菌し、製品を得るステップと、を含むことを特徴とする、パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤内服液の製造方法。
【請求項8】
(1)配合割合で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、
及びウショウダ20部の原料を準備し、水で生薬を洗浄し、不純物を除去するステップと、
(2)脱イオン水に、それらを25℃で、120分間浸漬するステップと、
(3)100℃で水抽出を行い、20分間煎じるステップと、
(4)煎じ液を4℃で、12時間静置し、濾過し、濃縮し、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップと、
(5)乾燥、造粒を行い、パッケージし、殺菌して製品を得るステップと、を含むことを特徴とする、パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤顆粒の製造方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載のパーキンソン病を治療する
ための複方漢方製剤の、パーキンソン病を予防及び/又は治療する
ための薬物の製造
における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤及びその製造方法並びに応用に関し、生物医薬の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病(Parkinson’s disease,PD)は、中脳黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの退行性変性を特徴とし、臨床的に運動症状と非運動症状が出現する神経系慢性疾患であり、患者の生活の質に深刻な影響を与え、中国の高齢化問題の深刻化に伴い、パーキンソン病の発病率が徐々に上昇し、患者、家族や社会に大きな負担をかける。このため、パーキンソン病に対する漢方製剤の研究開発は今日の社会における重大な需要となっており、人々の生活と健康に対する主要なニーズでもある。レボドパはパーキンソン病の治療の一般的な薬物であるが、長期間服用すれば、治療効果が低下し、多くの合併症を引き起こす可能性がある。このため、パーキンソン病を治療する漢方薬の探索と研究開発は、現在、漢方薬学と臨床医学の要点とホットスポットであり、社会的ニーズは高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の欠陥を克服することであり、パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤及びその製造方法並びに応用を提供し、本方剤は、多方面、多標的の、パーキンソン病の発生と発展、患者の全体的な機能状況の組み合わせから、「本虚標実」に基づく弁証論治を提出し、現代科学理論を基礎とするだけでなく、さらに高い臨床効果が得られ、患者の生活の質が顕著に改善される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本発明はパーキンソン病を治療するための複方漢方製剤を提供し、質量部で、コウトウ6~15部、テンマ3~9部、ジンギョウ6~12部、ショウオウギ10~20部、ジュクジオウ10~20部、カイゴシツ10~20部、クコシ10~20部、トウキ10~20部、炒めビャクジュツ10~20部、炒めサンソウニン6~15部、トウニン3~12部、コウカ3~9部、ウショウダ20~30部の原料又は原料抽出物を含む漢方薬配合成分を含む。
【0005】
好ましくは、前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、ウショウダ20部の成分を含む。
【0006】
好ましくは、前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ6部、テンマ9部、ジンギョウ10部、ショウオウギ15部、ジュクジオウ20部、カイゴシツ20部、クコシ15部、トウキ20部、炒めビャクジュツ15部、炒めサンソウニン15部、トウニン12部、コウカ9部、ウショウダ25部の成分を含む。
【0007】
好ましくは、前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ15部、テンマ3部、ジンギョウ12部、ショウオウギ20部、ジュクジオウ10部、カイゴシツ16部、クコシ20部、トウキ15部、炒めビャクジュツ20部、炒めサンソウニン10部、トウニン10部、コウカ7部、ウショウダ30部の成分を含む。
【0008】
好ましくは、前記複方製剤は、有効使用量の前記漢方薬配合成分及び薬学的に許容可能な補助材料を含む。
【0009】
好ましくは、パーキンソン病を治療する複方漢方製剤の投薬形態は内服液、顆粒剤、粉薬、錠剤のいずれかである。
【0010】
本発明はさらにパーキンソン病を治療するための複方漢方製剤内服液の製造方法を提供し、
(1)配合割合で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、ウショウダ20部の原料を準備し、水で生薬を洗浄し、不純物を除去するステップと、
(2)脱イオン水に、それらを25℃で、120分間浸漬するステップと、
(3)100℃で水抽出を行い、20分間煎じるステップと、
(4)煎じ液を4℃で、12時間静置し、濾過し、濃縮し、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップと、
(5)充填密封して殺菌し、製品を得るステップと、を含む。
【0011】
本発明はさらにパーキンソン病を治療するための複方漢方製剤顆粒の製造方法を提供し、
(1)配合割合で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、ウショウダ20部の原料を準備し、水で生薬を洗浄し、不純物を除去するステップと、
(2)脱イオン水に、それらを25℃で、120分間浸漬するステップと、
(3)100℃で水抽出を行い、20分間煎じるステップと、
(4)煎じ液を4℃で、12時間静置し、濾過し、濃縮し、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップと、
(5)乾燥、造粒を行い、パッケージし、殺菌して製品を得るステップと、を含む。
【0012】
本発明はさらに上記したパーキンソン病を治療する複方漢方製剤のパーキンソン病を予防及び/又は治療する薬物の製造への応用を提供する。
【0013】
本処方は、コウトウ、テンマ、ジンギョウの君薬と、ショウオウギ、ジュクジオウ、カイゴシツ、クコシ、炒めサンソウニンの臣薬と、トウキ、炒めビャクジュツ、トウニン、コウカの佐薬と、ウショウダの使薬と、を含む。
【0014】
本処方は、虚を補って大脳の働きを活発にし、血を増やし腎と肝の機能を補い、眩暈、ふるえ、痙攣などの状態を改善し精神不安状態を安定させ、ニューラルをととのえ、筋硬直や振戦を改善する機能を備える。食欲不振、不眠、便秘、嗅覚変性、注意力低下、運動遅滞、筋硬直振戦のようなパーキンソン病の早期、中期症状に適用される。
【発明の効果】
【0015】
本発明が達成する有益な効果は以下のとおりである。
【0016】
一、本処方は組成が新規であり、伝統的な生薬をベースとして、パーキンソン病に対する現代病理学的メカニズムであり、独自の薬物配合成分を形成する。
【0017】
二、本処方の革新的な効果は、パーキンソン病の運動症状と非運動症状に対して弁証論治を行うことである。例えば、運動遅滞、振戦、筋硬直の運動症状に対して、本処方は、コウトウ、テンマ、ジンギョウを採用して、眩暈、ふるえ、痙攣などの状態を改善し止痙を行い、硬直を解消して細動を除去するが、日常活動、不眠、生動夢境、便秘、感情的な健康等の非運動症状に対して、本処方は、ジュクジオウ、カイゴシツ、オウギ、クコシを採用して、陰を補充して血を増やし、肝と腎の機能を高め、非運動症状を改善する。
【0018】
三、本処方は、パーキンソン病の弁証論治理論が特別で新規であり、革新点が発病の病因から着手し、パーキンソン病は神経系退行性変性であり、漢方医学から、該疾患が肝腎両虚、気虚血少の疾患に属する。腎は真陰とも呼ばれ、陰精を貯蔵し、骨も髄液も生成して脳の機能を高め、肝は主に蔵血の機能を果たし、振戦麻痺が肝風内動によって起こる。「本虚標実」において、虚は肝腎の気血不足の状態で、実は風、火、痰、鬱の状態である。肝と腎の機能を高めることは、パーキンソン病の発生と発展プロセスを根本的に改善し、これをベースとして、眩暈、ふるえ、痙攣などの状態を改善し止痙を行う薬物と組み合わせることで、硬直を解消して細動を除去する機能を達成することができる。
【0019】
四、本処方はさらに気を補い血を生きるオウギ、血を増やし経絡の気の流れを良くするトウキとコウカ、及び血液の正常な循環を促進し血の流れを良くするカクトウニンを革新的に使用し、4者を配合した場合、効果が相互に補い、気血を補充し、経脈を活性化し、心の機能を高め脾胃の機能を正常にし、患者の一般的な症状を改善することができる。便秘もパーキンソン病の一般的な臨床症状であり、本処方はサンソウニン、トウニンを採用して腸の乾燥した状態を改善し便通を良くする効果を達成する。
【0020】
以上の4つの方面の革新点の統合により、相乗効果を発揮することができるため、本方剤は、多方面、多標的、パーキンソン病の発生と発展、患者の全体的な機能状況の組み合わせから、「本虚標実」に基づく弁証論治を提出し、現代科学理論を基礎とするだけでなく、さらに高い臨床効果が得られ、患者の生活の質が顕著に改善される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、実施例と組み合わせて本発明をさらに説明する。以下の実施例は本発明の技術的解決手段をより明確に説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【0022】
(実施例1:パーキンソン病を治療する漢方薬複方内服液の製造)
質量部で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、炒めサンソウニン6部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、トウニン3部、コウカ3部、ウショウダ20部の原料を配合する。
【0023】
製造方法は、
(1)生薬を水洗浄し、不純物を除去するステップと、
(2)脱イオン水に、それらを25℃で、120分間浸漬するステップと、
(3)100℃で水抽出を行い、20分間煎じるステップと、
(4)煎じ液を4℃で、(殺菌条件下で)12時間静置し、濾過し、濃縮し、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップと、
(5)充填密封して殺菌し、製品を得るステップと、を含む。
【0024】
(実施例2:パーキンソン病を治療する漢方薬複方内服液の製造)
質量部で、コウトウ6部、テンマ9部、ジンギョウ10部、ショウオウギ15部、ジュクジオウ20部、カイゴシツ20部、クコシ15部、トウキ20部、炒めビャクジュツ15部、炒めサンソウニン15部、トウニン12部、コウカ9部、ウショウダ25部の原料を配合する。
【0025】
製造方法は実施例1と同様である。
【0026】
(実施例3:パーキンソン病を治療するための漢方薬複方顆粒剤の製造)
質量部で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、炒めサンソウニン6部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、トウニン3部、コウカ3部、ウショウダ20部の原料を配合する。
【0027】
製造方法は、
(1)生薬を水洗浄し、不純物を除去するステップと、
(2)脱イオン水に、それらを25℃で、120分間浸漬するステップと、
(4)煎じ液を4℃で、(殺菌条件下で)12時間静置し、濾過し、濃縮し、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップと、
(5)乾燥、造粒を行い、袋を封止し、殺菌して製品を得るステップと、を含む。
【0028】
(実施例4:パーキンソン病を治療するための漢方薬複方顆粒剤の製造)
質量部で、コウトウ15部、テンマ3部、ジンギョウ12部、ショウオウギ20部、ジュクジオウ10部、カイゴシツ16部、クコシ20部、トウキ15部、炒めビャクジュツ20部、炒めサンソウニン10部、トウニン10部、コウカ7部、ウショウダ30部の原料を配合する。
【0029】
製造方法は実施例3と同様である。
【0030】
(実施例5:パーキンソン病の疾患モデルマウスに対するパーキンソン病を治療するための漢方薬複方内服液の治療効果)
材料:パーキンソン病を治療するための漢方薬複方内服液原液(5.4g/kg)
モデリング薬物MPTP(20mg/kg)、メダバ(3.75g/kg)、SPFグレードのC57BL/6マウス。
【0031】
方法:80匹のマウスをランダムで陰性群、モデル群、メダバ群、漢方薬群(実施例1で製造される漢方薬複方内服液)に分け、各群が20匹である。環境に適応させるために5日飼育し、その期間中にマウス行動学を3回トレーニングする。モデリングして投薬し、行動学検出、ロータロッド試験、オープンフィールド試験、形態学検出、高速液体クロマトグラフィー検出、統計方法分析を行う。
【0032】
結果:ロータロッド試験結果から、モデリングした後、モデル群、メダバ群、漢方薬群を陰性群と比較し、ロータロッドの時間が顕著に減少し(P<0.01)、1週間と2週間投薬した場合、モデル群と陰性群を比較すると、ロータロッドの時間が依然として顕著に減少し(P<0.01)、メダバ群、漢方薬群は、モデル群に比べて同期のロータロッド時間が顕著に増加する(P<0.01)ことが示されており、オープンフィールド試験結果から、モデリングした後、モデル群、メダバ群、漢方薬群を陰性群と比較し、運動距離が顕著に短縮され(P<0.01)、静止状態時間が顕著に延長され(P<0.01)、1週間と2週間投薬した場合、モデル群は陰性群に比べて同期距離が顕著に短縮され(P<0.01)、静止状態時間が顕著に延長され(P<0.01、P<0.05)、メダバ群、漢方薬群はモデル群に比べて同期距離が顕著に増加し(P<0.05、P<0.01)、静止状態時間が顕著に減少した(P<0.01)。
【0033】
形態学的検出、免疫組織化学染色の結果、1週間投薬した場合、漢方薬群の黒質ニューロンの数はモデル群及びメダバ群よりも顕著に多く(P<0.01)、2週間投薬した場合、漢方薬群の黒質ニューロンはモデル群及びメダバ群に比べて顕著に増加した(P<0.01、P<0.05)。
【0034】
結果から、パーキンソン病を治療する漢方薬複方内服液は、MPTPパーキンソン病の疾患モデルマウスに対して顕著な保護作用を有し、パーキンソン病の疾患モデルマウスの行動学を改善することができ、パーキンソン病の疾患モデルマウスの黒質ニューロンの数を増加することもでき、これによって、重要な高い利用可能性を有することが示された。
【0035】
(実施例6:パーキンソン病を治療するための漢方薬複方内服液のパーキンソン病患者の臨床症状の改善での応用研究)
方法:典型的な高齢パーキンソン病を3例(75~90歳、罹病期間4~10年、レボドパ・ベンセラジド塩酸塩を長時間服用し、YAHRステージ4~5)選択し、パーキンソン病を治療する漢方薬複方内服液を服用し(28日を1つの治療コースとし、2~4週おいた後、2回目の治療コースを行い、2~5つの治療コースを繰り返す)、患者の臨床症状改善状況とレボドパ・ベンセラジド塩酸塩の低減状況を観察する。
【0036】
結果:3例の患者は漢方薬複方内服液を服用した2~5つの治療コースの後、臨床症状がいずれも異なる程度改善され、レボドパ・ベンセラジド塩酸塩が20%~50%低減され、YAHRステージが2~4であった。
【0037】
結果によると、パーキンソン病を治療する漢方薬複方内服液はパーキンソン患者に対して高い臨床治療効果を有し、臨床効果は、該漢方薬複方内服液はパーキンソン病の多標的を調整し、且つ退行性病変したニューラルを修復できることを示している。
【0038】
以上の記載は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、指摘しておきたいのは、当業者であれば、本発明の技術原理から逸脱することなく、さらに複数の改善と変形を行うことができ、これらの改善と変形はいずれも本発明の保護範囲とみなすべきであるという点である。
【0039】
(付記)
(付記1)
質量部で、コウトウ6~15部、テンマ3~9部、ジンギョウ6~12部、ショウオウギ10~20部、ジュクジオウ10~20部、カイゴシツ10~20部、クコシ10~20部、トウキ10~20部、炒めビャクジュツ10~20部、炒めサンソウニン6~15部、トウニン3~12部、コウカ3~9部、ウショウダ20~30部の原料又は原料抽出物を含む漢方薬配合成分を含むことを特徴とする、パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤。
【0040】
(付記2)
前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、ウショウダ20部の成分を含むことを特徴とする、付記1に記載のパーキンソン病を治療する複方漢方製剤。
【0041】
(付記3)
前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ6部、テンマ9部、ジンギョウ10部、ショウオウギ15部、ジュクジオウ20部、カイゴシツ20部、クコシ15部、トウキ20部、炒めビャクジュツ15部、炒めサンソウニン15部、トウニン12部、コウカ9部、ウショウダ25部の成分を含むことを特徴とする、付記1に記載のパーキンソン病を治療する複方漢方製剤。
【0042】
(付記4)
前記漢方薬配合成分は、質量部で、コウトウ15部、テンマ3部、ジンギョウ12部、ショウオウギ20部、ジュクジオウ10部、カイゴシツ16部、クコシ20部、トウキ15部、炒めビャクジュツ20部、炒めサンソウニン10部、トウニン10部、コウカ7部、ウショウダ30部の成分を含むことを特徴とする、付記1に記載のパーキンソン病を治療する複方漢方製剤。
【0043】
(付記5)
有効使用量の前記漢方薬配合成分及び薬学的に許容可能な補助材料を含むことを特徴とする、付記1~4のいずれか一つに記載のパーキンソン病を治療する複方漢方製剤。
【0044】
(付記6)
パーキンソン病を治療する複方漢方製剤の投薬形態は内服液、顆粒剤、粉薬、錠剤のいずれかであることを特徴とする、付記5に記載のパーキンソン病を治療する複方漢方製剤。
【0045】
(付記7)
(1)配合割合で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、ウショウダ20部の原料を準備し、水で生薬を洗浄し、不純物を除去するステップと、
(2)脱イオン水に、それらを25℃で、120分間浸漬するステップと、
(3)100℃で水抽出を行い、20分間煎じるステップと、
(4)煎じ液を4℃で、12時間静置し、濾過し、濃縮し、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップと、
(5)充填密封して殺菌し、製品を得るステップと、を含むことを特徴とする、パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤内服液の製造方法。
【0046】
(付記8)
(1)配合割合で、コウトウ12部、テンマ6部、ジンギョウ6部、ショウオウギ10部、ジュクジオウ15部、カイゴシツ10部、クコシ10部、トウキ10部、炒めビャクジュツ10部、炒めサンソウニン6部、トウニン3部、コウカ3部、ウショウダ20部の原料を準備し、水で生薬を洗浄し、不純物を除去するステップと、
(2)脱イオン水に、それらを25℃で、120分間浸漬するステップと、
(3)100℃で水抽出を行い、20分間煎じるステップと、
(4)煎じ液を4℃で、12時間静置し、濾過し、濃縮し、安息香酸又は安息香酸ナトリウムを添加するステップと、
(5)乾燥、造粒を行い、パッケージし、殺菌して製品を得るステップと、を含むことを特徴とする、パーキンソン病を治療するための複方漢方製剤顆粒の製造方法。
【0047】
(付記9)
付記1~4のいずれか一つに記載のパーキンソン病を治療する複方漢方製剤の、パーキンソン病を予防及び/又は治療する薬物の製造への応用。