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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】アクチュエータ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20240326BHJP
   F15B 15/10 20060101ALI20240326BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F15B15/14 Z
F15B15/10 H
B25J19/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023067581
(22)【出願日】2023-04-18
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2022208640
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523232849
【氏名又は名称】ムマス・コンサルティング・グループ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 昌三
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-176100(JP,A)
【文献】特開2017-150663(JP,A)
【文献】特開2017-053393(JP,A)
【文献】特表2001-520860(JP,A)
【文献】特開2005-026329(JP,A)
【文献】特開2002-295366(JP,A)
【文献】特開2016-191467(JP,A)
【文献】特表2006-500887(JP,A)
【文献】特開昭63-017154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00-15/28
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部を有するハウジングと、難燃性の作動流体を第1流体と第2流体とに区画しつつ前記筒状部の内側に配されたピストンと、前記筒状部の外側に所定間隔で配されたソレノイドと、前記筒状部の第1端部に配された第1連結管と、前記筒状部の第2端部に配された第2連結管と、前記第1連結管に連結され前記第1流体の圧力によって所定の動作をする第1アクチュエータと、前記第2連結管に連結され前記第2流体の圧力によって前記第1アクチュエータと逆の動作をする第2アクチュエータと、制御回路を備え、前記ソレノイドは、ヨーク外枠とヨーク内枠と前記ヨーク内枠に巻回された電磁コイルを有し、前記ピストンは、ピストン本体とリング状の永久磁石と前記ピストン本体における前記永久磁石の両側位置に配されたOリングを有し、前記制御回路は、前記電磁コイルのうちの選択されたコイルへの通電によって前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータの駆動制御を同時に行う構成であり、前記ピストンに往動をさせることで前記作動流体における第1分量を前記第1アクチュエータへ移動させるとともに前記第1分量に相当する量を前記第2アクチュエータから移動させる構成であり、かつ、前記ピストンに復動をさせることで前記作動流体における第2分量を前記第2アクチュエータへ移動させるとともに前記第2分量に相当する量を前記第1アクチュエータから移動させる構成であり、
前記ハウジングは、前記筒状部を通る軸線上の前記第1端部に近い位置に前記第1流体の圧力を調整する第1調圧弁が設けられているとともに、前記軸線上の前記第2端部に近い位置に前記第2流体の圧力を調整する第2調圧弁が設けられている構成であること
を特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記ソレノイドが樹脂モールドされている構成であり、
前記第1分量と前記第2分量とが同量であるときの、前記往動による前記第1アクチュエータの第1仕事量と前記復動による前記第2アクチュエータの第2仕事量とは同じであること
を特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ装置。
【請求項3】
前記第1アクチュエータは第1バルーンであるとともに前記第2アクチュエータは第2バルーンであり、前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータを第1骨と第2骨が関節で繋がっている骨格に対応した部位に取付けた状態で前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとで屈曲動作と伸展動作をする構成であること
を特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ装置。
【請求項4】
前記第1アクチュエータは第1シリンダであるとともに前記第2アクチュエータは第2シリンダであり、前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータを第1骨と第2骨が関節で繋がっている骨格に対応した部位に取付けた状態で前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとで屈曲動作と伸展動作をする構成であること
を特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パワーアシスト装置や自立歩行型ロボット等に用いるための各種アクチュエータ装置が提案されている(特許文献1:特許第5246717号公報、特許文献2:特開2017-150663号公報、特許文献3:特開2022-176100号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5246717号公報
【文献】特開2017-150663号公報
【文献】特開2022-176100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成は、大型のコンプレッサーを用いていることから、電力消費量が過大である。特許文献2に記載の構成は、流体を機外に吸排気して作動するメイン駆動部を用いていることから、作動ロスが大きい。特許文献3に記載の構成は、小型かつ高効率が期待できるものの、より精度の高い制御を実現するためには検討の余地がある。そして、パワーアシスト装置や自立歩行型ロボットが普及するには、汎用性に優れた構成のアクチュエータ装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、二つのアクチュエータを高精度に同時制御できるとともに、汎用性に優れた構成のアクチュエータ装置を提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示する解決策により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係るアクチュエータ装置は、筒状部を有するハウジングと、難燃性の作動流体を第1流体と第2流体とに区画しつつ前記筒状部の内側に配されたピストンと、前記筒状部の外側に所定間隔で配されたソレノイドと、前記筒状部の第1端部に配された第1連結管と、前記筒状部の第2端部に配された第2連結管と、前記第1連結管に連結され前記第1流体の圧力によって所定の動作をする第1アクチュエータと、前記第2連結管に連結され前記第2流体の圧力によって前記第1アクチュエータと逆の動作をする第2アクチュエータと、制御回路を備え、前記ソレノイドは、ヨーク外枠とヨーク内枠と前記ヨーク内枠に巻回された電磁コイルを有し、前記ピストンは、ピストン本体とリング状の永久磁石と前記ピストン本体における前記永久磁石の両側位置に配されたOリングを有し、前記制御回路は、前記電磁コイルのうちの選択されたコイルへの通電によって前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータの駆動制御を同時に行う構成であり、前記ピストンに往動をさせることで前記作動流体における第1分量を前記第1アクチュエータへ移動させるとともに前記第1分量に相当する量を前記第2アクチュエータから移動させる構成であり、かつ、前記ピストンに復動をさせることで前記作動流体における第2分量を前記第2アクチュエータへ移動させるとともに前記第2分量に相当する量を前記第1アクチュエータから移動させる構成であり、前記ハウジングは、前記筒状部を通る軸線上の前記第1端部に近い位置に前記第1流体の圧力を調整する第1調圧弁が設けられているとともに、前記軸線上の前記第2端部に近い位置に前記第2流体の圧力を調整する第2調圧弁が設けられている構成であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、磁石可動型のリニアモータを駆動源にするとともに第1流体の圧力と第2流体の圧力を同時に用いることで、二つのアクチュエータを高精度に同時制御できる。尚且つ作動流体を持続可能に用いて小型かつ汎用性に優れた構成にできる。
【0009】
一例として、前記ソレノイドは前記ハウジングに樹脂モールドされている構成である。これにより、より安全性の高い構造にできる。一例として、前記作動流体は空気又は不活性ガスである。一例として、前記作動流体は難燃性の作動油である。一例として、前記永久磁石は、ネオジム磁石またはコバルト磁石もしくは異方性フェライト磁石からなる。これにより、ハイパワーで作動流体を押圧することができる。一例として、前記ヨークは、電磁鋼板からなる。これにより、ハイパワーでピストンを動かすことができる。
【0010】
一例として、前記筒状部を通る軸線上の前記第1端部に近い位置に前記第1流体の圧力を調整する第1調圧弁が設けられているとともに、前記軸線上の前記第2端部に近い位置に前記第2流体の圧力を調整する第2調圧弁が設けられている構成である。これにより、筒状部の対称性を維持しつつピストンが中間位置のときの第1流体の圧力と第2流体の圧力を一致させることが容易にできる。
【0011】
一例として、前記第1分量と前記第2分量とが同量であるときの、前記往動による前記第1アクチュエータの第1仕事量と前記復動による前記第2アクチュエータの第2仕事量とは同じである。これにより、屈曲動作と伸展動作や、押出動作と引込動作などの反復作業に好適な構成にできる。
【0012】
一例として、前記第1アクチュエータは第1バルーンであるとともに前記第2アクチュエータは第2バルーンであり、前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータを第1骨と第2骨が関節で繋がっている骨格に対応した部位に取付けた状態で前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとで屈曲動作と伸展動作をする構成である。これにより、パワーアシスト装置や自立歩行型ロボットに好適な構造にできる。
【0013】
一例として、前記第1アクチュエータは第1シリンダであるとともに前記第2アクチュエータは第2シリンダであり、前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータを第1骨と第2骨が関節で繋がっている骨格に対応した部位に取付けた状態で前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとで屈曲動作と伸展動作をする構成である。これにより、自立歩行型ロボットやパワーアシスト装置に適した構造にできる。
【0014】
本発明によれば、磁石可動型のリニアモータを駆動源にするとともに第1流体の圧力と第2流体の圧力を同時に用いることで、二つのアクチュエータを高精度に同時制御できるとともに、作動流体を持続可能に用いて小型かつ汎用性に優れた構成のアクチュエータ装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係る第1例のアクチュエータ装置を模式的に示す概略の構造図であり、作動流体における第1分量を第1アクチュエータへ移動させた状態を示す図である。
図2図2は、第1例のアクチュエータ装置を模式的に示す概略の構造図であり、作動流体における第2分量を第2アクチュエータへ移動させた状態を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る第2例のアクチュエータ装置を身体部位(骨格)に取付けて屈曲動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。
図4図4は、第2例のアクチュエータ装置を身体部位(骨格)に取付けて立脚動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。
図5図5は、第2例のアクチュエータ装置を身体部位(骨格)に取付けて伸展動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。
図6図6Aは、本実施形態に係るソレノイドのヨーク外枠を模式的に示す概略の片側断面図である。図6Bは、前記ソレノイドのヨーク内枠を模式的に示す概略の片側断面図である。図6Cは、前記ヨーク外枠に前記ヨーク内枠を組付けた状態を模式的に示す概略の片側断面図である。図6Dは、前記ヨーク外枠に前記ヨーク内枠を組付けた状態を模式的に示す概略の平面図である。
図7図7Aは、本実施形態に係る第1例のアクチュエータ装置を身体部位に取付けて歩行のA1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図7Bは、第1例のアクチュエータ装置を身体部位に取付けて歩行のB1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図7Cは、第1例のアクチュエータ装置を身体部位に取付けて屈曲のC1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。
図8図8Aは、本実施形態に係る第2例のアクチュエータ装置を身体部位に取付けて歩行のA1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図8Bは、第2例のアクチュエータ装置を身体部位に取付けて歩行のB1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図8Cは、第2例のアクチュエータ装置を身体部位に取付けて屈曲のC1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。
図9図9Aは、本実施形態に係る第1例のアクチュエータ装置をリンクに取付けてA2動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図9Bは、第1例のアクチュエータ装置をリンクに取付けてB2動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照して、以下に詳しく説明する。本実施形態のアクチュエータ装置1は、リニアモータ2と第1アクチュエータ7aと第2アクチュエータ7bを備えた構成である。リニアモータ2は、筒状部3cを有するハウジング3と、筒状部3cの内側に配された状態で作動流体9を第1流体9aと第2流体9bとに区画して往復動するピストン5と、筒状部3cの軸線P1方向に所定間隔で配されている複数のソレノイド4を備える。一例として、ハウジング3は、ソレノイド4が樹脂モールドされている構成である。作動流体9は、難燃性である。一例として、作動流体9は窒素ガスなどの不活性ガスである。一例として、作動流体9は難燃性の作動油である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0017】
リニアモータ2は、第1端部3aに第1連結管6aが配されており、第2端部3bに第2連結管6bが配されている。第1アクチュエータ7aは、第1連結管6aに連結した状態で第1流体9aの圧力で作動する。第2アクチュエータ7bは、第2連結管6bに連結した状態で第2流体9bの圧力で作動し、第1アクチュエータ7aと逆方向に作動する。ソレノイド4は、ヨーク外枠4aとヨーク内枠4bと電磁コイル4cを有する。一例として、リニアモータ2は、第1ソレノイド41~第6ソレノイド46を有する。ピストン5は、ピストン本体5aと、リング状の永久磁石5bとOリング5cを有する。
【0018】
制御回路17は、リニアモータ2への通電電力の大きさおよび通電電流の向きを制御する。つまり、制御回路17は、複数の電磁コイル4cのうちの選択されたコイルへの通電によって第1アクチュエータ7aを駆動制御するとともに第2アクチュエータ7bを駆動制御する構成である。
【0019】
[第1例]
第1例は、第1アクチュエータ7aとしての第1シリンダ12aと、第2アクチュエータ7bとしての第2シリンダ12bを備える。図1は、作動流体9における第1分量M1を第1シリンダ12aへ移動させて仕事をさせる状態を示す図である。図2は、作動流体9における第2分量M2を第2シリンダ12bへ移動させて仕事をさせる状態を示す図である。
【0020】
一例として、第1分量M1と第2分量M2とは同じ質量である。一例として、第1分量M1と第2分量M2とは同じ体積である。一例として、ピストン5が中間位置からz1方向に移動し第1端まで往動することによる第1アクチュエータ7aの第1仕事量と、ピストン5がz2方向に移動し第2端まで復動することによる第2アクチュエータ7bの第2仕事量とは同じである。
【0021】
一例として、ハウジング3は、筒状部3cを通る軸線P1上における第1端部3aに近い位置に、第1流体9aの圧力を調整する第1調圧弁8aが設けられている。一例として、ハウジング3は、筒状部3cを通る軸線P1上における第2端部3bに近い位置に第2調圧弁8bが設けられている。一例として、第1調圧弁8aとピストン5と第2調圧弁8bは軸線P1上に順に配されている。
【0022】
第1調圧弁8aは、スクリュ―ねじ8a1とコイルスプリング8a2とプランジャ8a3を組み合わせた構成であり、スクリュ―ねじ8a1の押し込み量を大きくすることで第1流体9aの静止状態の圧力を大きくする方向に調圧する。第2調圧弁8bは、スクリュ―ねじ8b1とコイルスプリング8b2とプランジャ8b3を組み合わせた構成であり、スクリュ―ねじ8b1の押し込み量を大きくすることで第2流体9bの静止状態の圧力を大きくする方向に調圧する。
【0023】
第1シリンダ12aは、ピストンロッドが配された第1ピストン33と、第1スプリング35を備える。第2シリンダ12bは、ピストンロッドが配された第2ピストン34と、第2スプリング36を備える。第1シリンダ12aと第2シリンダ12bとは一対で配されており、互いに逆の動作をする構成である。
【0024】
第1ソレノイド41~第6ソレノイド46は、軸線P1方向に各々所定間隔で配されている。一例として、各ソレノイド4同士の最小距離は、永久磁石5bの厚みと同じであるか、または、永久磁石5bの厚みよりも大きい。一例として、第1ソレノイド41と第2ソレノイド42の最大距離は、ピストン5の全長と同じであるか、または、ピストン5の全長よりも小さい。一例として、隣り合うソレノイド4の最小距離を永久磁石5bの厚み以上の大きさにするとともに、隣り合うソレノイド4の最大距離をピストン5の全長以下の大きさにする。これにより、ピストン5を移動させて生じさせる押圧力や吸引力を大きくすることができる。尚且つ、第1アクチュエータ7aと第2アクチュエータ7bの両方を高精度に同時制御できる。
【0025】
図6Aは、ソレノイド4におけるヨーク外枠4aを模式的に示す概略の片側断面図である。図6Bは、ソレノイド4におけるヨーク内枠4bを模式的に示す概略の片側断面図である。図6Cは、ヨーク外枠4aにヨーク内枠4bを組付けた状態を模式的に示す概略の片側断面図である。図6Dは、ヨーク外枠4aにヨーク内枠4bを組付けた状態を模式的に示す概略の平面図である。
【0026】
ソレノイド4におけるヨーク外枠4aは、電磁鋼板を筒状にプレス加工しており、軸線P1上に貫通穴4a1が形成されており、円筒形状の外周内側面4a2が形成されている。ヨーク内枠4bは、電磁鋼板を筒状にプレス加工しており、軸線P1上に円筒形状の外周側面4b1が形成されており、外周側面4b1の端部に円形状の鍔部4b2が形成されている。電磁コイル4cは、ポリウレタン被覆銅線であり、ヨーク内枠4bの外周側面4b1に巻回されており、ヨーク外枠4aの貫通穴4a1にヨーク内枠4bの外周側面4b1が組付けられている。
【0027】
ピストン5は、電磁軟鋼からなるピストン本体5aにリング状の永久磁石5bとOリング5cが設けられている。一対のOリング5cは、ピストン本体5aにおける永久磁石5bの両側位置に配されている。永久磁石5bは、ネオジム磁石またはコバルト磁石もしくは異方性フェライト磁石からなる。永久磁石5bは、軸線P1方向に着磁されている。一例として、永久磁石5bは、第1端部3aに近い位置の軸線方向の第1面がN極であり、第2端部3bに近い位置の軸線方向の第2面がS極である。ピストン5は、ソレノイド4に通電することで、筒状部3cの内壁に沿って軸線P1上を摺動する。電磁コイル4cに通電する電流の向きによって、ピストン5の移動方向が決定する。電磁コイル4cに通電する電力の大きさによって、ピストン5を移動させて生じさせる押圧力や吸引力が決定する。一例として、永久磁石5bは、ネオジム磁石である。
【0028】
一例として、通電によって第1ソレノイド41を励磁するとともに、第2ソレノイド42を励磁することで、ピストン5を第1端部3aに最も近い位置まで筒状部3c内を移動させる。正方向の通電によって、第1ソレノイド41は、第2ソレノイド42と向かい合う面がS極になり、また、第2ソレノイド42は、第1ソレノイド41と向かい合う面がN極になる。これにより、第1アクチュエータ7aにおける第1流体9aの圧力を最大にするとともに、第2アクチュエータ7bにおける第2流体9bの圧力を最小にする。
【0029】
一例として、通電によって第3ソレノイド43を励磁するとともに、第4ソレノイド44を励磁することで、ピストン5を第1端部3aと第2端部3bの中間になる中間位置まで筒状部3c内を移動させる。正方向の通電によって、第3ソレノイド43は、第4ソレノイド44と向かい合う面がS極になり、また、第4ソレノイド44は、第3ソレノイド43と向かい合う面がN極になる。これにより、第1流体9aと第2流体9bの圧力を同じにする。
【0030】
一例として、通電によって第5ソレノイド45を励磁するとともに、第6ソレノイド46を励磁することで、ピストン5を第2端部3bに最も近い位置まで筒状部3c内を移動させる。正方向の通電によって、第5ソレノイド45は、第6ソレノイド46と向かい合う面がS極になり、また、第6ソレノイド46は、第5ソレノイド45と向かい合う面がN極になる。これにより、第2アクチュエータ7bにおける第2流体9bの圧力を最大にするとともに、第1アクチュエータ7aにおける第1流体9aの圧力を最小にする。
【0031】
[第2例]
図3は、第2例のアクチュエータ装置1Bを身体部位(骨格)に取付けて屈曲動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図4は、第2例のアクチュエータ装置1Bを身体部位(骨格)に取付けて立脚動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図5は、第2例のアクチュエータ装置1Bを身体部位(骨格)に取付けて伸展動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。一例として、屈曲動作は、ピストン5が中間位置からz1方向に移動することで、第2骨52の関節53から離れた位置がy1方向に動いた状態になる。一例として、伸展動作は、ピストン5が中間位置からz2方向に移動することで、第2骨52の関節53から離れた位置がy2方向(y1方向の逆方向)に動いた状態になる。
【0032】
第2例は、第1アクチュエータ7aとしての第1人工筋肉部11aと、第2アクチュエータ7bとしての第2人工筋肉部11bを備える。第1人工筋肉部11aは、第1流体9aの圧力によって膨張し収縮する第1バルーン31と、第1バルーン31の外周を覆って身体部位54に取付ける第1ネット21とを有する構成である。また、第2流体9bの圧力によって膨張し収縮する第2バルーン32と、第2バルーン32の外周を覆って身体部位54に取付ける第2ネット22とを有する構成である。
【0033】
一例として、ブチルゴム、合成ゴムラテックス、ポリウレタン、シリコーンゴムなどの弾性ゴムを柱状に形成し、膨張・収縮容易な構造の第1バルーン31並びに第2バルーン32にする。また、一例として、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、高強力ポリアリレート繊維、PBO繊維、炭素繊維などの合成繊維の円筒状織物からなり、前記円筒状織物は、それぞれが両端部全周より等間隔に引き出された複数の糸状繊維を有し、前記糸状繊維は、前記円筒状織物と連動可能な構成の第1ネット21並びに第2ネット22にする。そして、第1連結管6aを繋いだ第1バルーン31に第1ネット21を被せて、第1バルーン31と共に膨張・収縮容易な構造にする。同様に、第2連結管6bを繋いだ第2バルーン32に第2ネット22を被せて、第2バルーン32と共に膨張・収縮容易な構造にする。そして、第1流体9aを第1バルーン31に満たして第1人工筋肉部11aにする。同様に、第2流体9bを第2バルーン32に満たして第2人工筋肉部11bにする。
【0034】
[第1例の身体動作例]
図7Aは、第1例のアクチュエータ装置1Aを身体部位に取付けて歩行のA1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図7Bは、第1例のアクチュエータ装置1Aを身体部位に取付けて歩行のB1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図7Cは、第1例のアクチュエータ装置1Aを身体部位に取付けて屈曲のC1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。
【0035】
一例として、第1連結管6aにおける第1接続部25と、第2連結管6bにおける第2接続部26とを、帯状の第1取付具23によって身体部位54に取付ける。また、第1シリンダ12aにおける第1ピストン33のピストンロッドと、第2シリンダ12bにおける第2ピストン34のピストンロッドとを、帯状の第2取付具24によって身体部位54に取付ける。第1取付具23および第2取付具24は、弾性体バンドや、細幅織物などからなる帯状部材であり、身体部位に巻回して位置固定する。または、衣服を介して、身体部位に巻回して位置固定する。第1取付具23と第2取付具24とは関節53を間にして間隔を設けて身体への影響が比較的少ない位置に、位置ずれしない程度の巻き付け力で取付けられる。
【0036】
一例として、ピストン5の復動に伴う吸引力で第1シリンダ12a内の第1流体9aをハウジング3内に移動させて第1シリンダ12aを動かすとともに、ピストン5の往動に伴う押圧力でハウジング3内の第2流体9bを第2シリンダ12b内に移動させて第2シリンダ12bを動かすことで、脚を後方に向かわせて身体を前方に進ませる。一例として、ピストン5を原点位置に戻す際の復元力で、脚を前方に向かわせて身体を静止位置に戻す。一例として、ピストン5の往動に伴う押圧力でハウジング3内の第1流体9aを第1シリンダ12a内に移動させて、その後、ピストン5の復動に伴う吸引力で第2シリンダ12b内の第2流体9bをハウジング3内に移動させることで、膝曲げ動作をさせる。本構成によれば、パワーアシスト装置に適した構造にできる。上述の動作は一例であり、リニアモータ2を駆動制御することで、歩行運動や屈伸運動など各種の身体運動を所望の速度で行うことが容易にできる。
【0037】
[第2例の身体動作例]
図8Aは、第2例のアクチュエータ装置1Bを身体部位に取付けて歩行のA1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図8Bは、第2例のアクチュエータ装置1Bを身体部位に取付けて歩行のB1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図8Cは、第2例のアクチュエータ装置1Bを身体部位に取付けて屈曲のC1動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。
【0038】
一例として、第1連結管6aにおける第1ネット21の後端側の第1端部21aとの第1接続部25と、第2連結管6bにおける第2ネット22の後端側の第3端部22aとの第2接続部26とを、帯状の第1取付具23によって身体部位54に取付ける。また、第1ネット21の先端側の第2端部21bと、第2ネット22の先端側の第4端部22bとを、帯状の第2取付具24によって身体部位54に取付ける。第1取付具23および第2取付具24は、弾性体バンドや、細幅織物などからなる帯状部材であり、身体部位に巻回して位置固定する。または、衣服を介して、身体部位に巻回して位置固定する。第1取付具23と第2取付具24とは関節53を間にして間隔を設けて身体への影響が比較的少ない位置に、位置ずれしない程度の巻き付け力で取付けられる。
【0039】
一例として、ピストン5の復動に伴う吸引力で第1バルーン31内の第1流体9aをハウジング3内に移動させて第1バルーン31を収縮させるとともに、ピストン5の往動に伴う押圧力でハウジング3内の第2流体9bを第2バルーン32内に移動させて第2バルーン32を膨張させることで、脚を後方に向かわせて身体を前方に進ませる。一例として、ピストン5を原点位置に戻す際の復元力で、脚を前方に向かわせて身体を静止位置に戻す。一例として、ピストン5の往動に伴う押圧力でハウジング3内の第1流体9aを第1バルーン31内に移動させて第1バルーン31を膨張させるとともに、ピストン5の復動に伴う吸引力で第2バルーン32内の第2流体9bをハウジング3内に移動させて第2バルーン32を収縮させることで、膝曲げ動作をする。本構成によれば、自立歩行型ロボットやパワーアシスト装置に適した構造にできる。上述の動作は一例であり、リニアモータ2を駆動制御することで、歩行運動や屈伸運動など各種の身体運動を所望の速度で行うことが容易にできる。
【0040】
[第1例のリンク動作例]
図9Aは、第1例のアクチュエータ装置1Aをリンク150に取付けてA2動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。図9Bは、第1例のアクチュエータ装置1Aをリンク150に取付けてB2動作を行った状態を模式的に示す概略の構造図である。一例として、リンク150は、第1ロッド151と節153と第2ロッド152からなる。一例として、ピストン5の復動に伴う吸引力で第1シリンダ12aのピストンロッド12a1を引き込むとともに、ピストン5の往動に伴う押圧力でハウジング3内の第2流体9bを第2シリンダ12b内に移動させて第2シリンダ12bのピストンロッド12b1を押し出すことで、リンク150をA2動作させる。一例として、ピストン5を原点位置に戻す際の復元力で、リンク150を原点位置に戻す。一例として、ピストン5の往動に伴う押圧力でハウジング3内の第1流体9aを第1シリンダ12a内に移動させて第1シリンダ12aのピストンロッド12a1を押し出すとともに、ピストン5の復動に伴う吸引力で第2シリンダ12b内の第2流体9bをハウジング3内に移動させて第2シリンダ12bのピストンロッド12b1を引き込むことで、リンク150をB2動作させる。本構成によれば、パワーアシスト装置に適した構造にできる。上述の動作は一例であり、リニアモータ2を駆動制御することで、各種の運動を行うことが容易にできる。したがって、自立歩行型ロボットやロボットアームに適した構造にできる。
【0041】
上述の実施形態によれば、磁石可動型のリニアモータ2を駆動源にするとともに第1流体9aの圧力と第2流体9bの圧力を同時に用いることで、一対の第1アクチュエータ7aおよび第2アクチュエータ7bを高精度に同時制御できるとともに、作動流体9を持続可能に用いて小型かつ汎用性に優れた構成のアクチュエータ装置1にできる。本構成によれば、小型かつ汎用性に優れた構成の自立歩行型ロボットやパワーアシスト装置に適した構造のアクチュエータ装置1にできる。
【0042】
上述の構成以外の構成として、一例として、滑車を用いた運動体に本実施形態を適用できる。また、プーリとベルトを用いた運動体に本実施形態を適用できる。本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1、1A、1B アクチュエータ装置
2 リニアモータ
3 ハウジング、3a 第1端部、3b 第2端部、3c 筒状部
4 ソレノイド、4a ヨーク外枠、4b ヨーク内枠、4c 電磁コイル
5 ピストン、5a ピストン本体、5b 永久磁石、5c Oリング
6a 第1連結管、6b 第2連結管
7a 第1アクチュエータ、7b 第2アクチュエータ
8a 第1調圧弁、8b 第2調圧弁
9 作動流体、9a 第1流体、9b 第2流体
11a 第1人工筋肉部、11b 第2人工筋肉部
12a 第1シリンダ、12b 第2シリンダ
17 制御回路
21 第1ネット、21a 第1端部、21b 第2端部
22 第2ネット、22a 第3端部、22b 第4端部
23 第1取付具
24 第2取付具
25 第1接続部
26 第2接続部
31 第1バルーン
32 第2バルーン
33 第1ピストン
34 第2ピストン
35 第1スプリング
36 第2スプリング
41 第1ソレノイド
42 第2ソレノイド
50 骨格
51 第1骨
52 第2骨
53 関節
54 身体部位
M1 第1分量
M2 第2分量
P1 軸線
y1 屈曲方向
y2 伸展方向
【要約】
【課題】高精度に制御でき汎用性に優れた構成のアクチュエータ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】アクチュエータ装置1は、難燃性の作動流体9を第1流体9aと第2流体9bとに区画しつつ往復動するピストン5と、筒状部3cの外側に所定間隔で配されてピストン5を往復動させるソレノイド4と、前記第1流体9aの圧力によって所定の動作をする第1アクチュエータ7aと、前記第2流体9bの圧力によって前記第1アクチュエータ7aと逆の動作をする第2アクチュエータ7bを備え、ピストン5を往動させることで第1分量M1を第1アクチュエータ7aへ移動させるとともに前記第1分量M1に相当する量を第2アクチュエータ7bから移動させる構成であり、かつ、ピストン5を復動させることで第2分量M2を第2アクチュエータ7bへ移動させるとともに前記第2分量M2に相当する量を第1アクチュエータ7aから移動させる構成である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9