(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】発電機を駆動する回転機構
(51)【国際特許分類】
F03B 11/06 20060101AFI20240326BHJP
F03D 80/70 20160101ALI20240326BHJP
F01D 25/16 20060101ALI20240326BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240326BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F03B11/06
F03D80/70
F01D25/16 G
H02K7/116
H02K7/08
(21)【出願番号】P 2023184153
(22)【出願日】2023-10-26
【審査請求日】2023-10-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523365550
【氏名又は名称】株式会社ゲットクリーンエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100100918
【氏名又は名称】大橋 公治
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 豊道
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-200804(JP,A)
【文献】米国特許第04329593(US,A)
【文献】特開2013-234687(JP,A)
【文献】特開2004-316928(JP,A)
【文献】独国実用新案第202020002624(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/16
F03B 11/06
F03D 3/00
F03D 80/70
H02K 7/08
H02K 7/116
F16C 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の圧力で回転子が回転し、前記回転子における、重力方向に沿って延びる中心軸が回転して、前記中心軸の回転が発電機に伝達される回転機構であって、
前記中心軸の下端に、回転側部品と該回転側部品を支える固定側部品とを備える回転金具が結合され、
前記回転金具の前記回転側部品は、下端に開口する開口部、及び、前記開口部に連なる、該開口部より広い面積の空間部分から成る凹部と、前記凹部の中心位置から前記開口部を突き抜けて下方に伸びる円柱部分とを有し、
前記回転金具の前記固定側部品は、前記回転側部品の前記円柱部分を受け入れる孔部と、前記凹部の前記空間部分に挿入される凹部挿入部とを有し、
前記回転側部品の前記円柱部分の先端に設けられ
た円錐形状部分の先
のみが、前記固定側部品の前記孔部の底面に接触し、
前記回転側部品の前記凹部と、前記固定側部品の前記凹部挿入部との係合により前記円柱部分の重力方向からのズレが規制されている、回転機構。
【請求項2】
流体の圧力で回転子が回転し、前記回転子における、重力方向に沿って延びる中心軸が回転して、前記中心軸の回転が発電機に伝達される回転機構であって、
前記中心軸の下端に、回転側部品と該回転側部品を支える固定側部品とを備える回転金具が結合され、
前記回転金具の前記回転側部品は、下端に開口する開口部、及び、前記開口部に連なる、該開口部より広い面積の空間部分から成る凹部と、前記凹部の中心位置から前記開口部を突き抜けて下方に伸びる円柱部分とを有し、
前記回転金具の前記固定側部品は、前記回転側部品の前記円柱部分を受け入れる孔部と、前記凹部の前記空間部分に挿入される凹部挿入部とを有し、
前記固定側部品の前記孔部の底面に設けられ
た円錐形状部分の先
のみが、前記回転側部品の前記円柱部分の端面に接触し、
前記回転側部品の前記凹部と、前記固定側部品の前記凹部挿入部との係合により前記円柱部分の重力方向からのズレが規制されている、回転機構。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の回転機構であって、
前記流体が、ガス、蒸気、水、又は、風である、回転機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機を駆動する回転機構に関し、回転機構自体の効率的な回転を可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電機は、導線を巻いて形成したコイルと磁石とを近接配置し、コイルに対して磁石を回転させ、又は、磁石に対してコイルを回転させることで、コイルに誘導電流を生じさせ、発電を行っている。
このように、コイルに鎖交する磁束が時間的に変化する場合に、コイルに起電力が発生する。
【0003】
従来の発電機では、コイル又は磁石を回転させるために、ガスや蒸気のタービンで発電機の回転軸を高速回転させたり、水車で前記回転軸を低速回転させたり、風車により前記回転軸を駆動したりしている。
【0004】
本発明者は、先に、容器内で回転体が回転する発電機において、その回転軸の先端を円錐形又は角錐形に成形し、回転軸の下端を支える容器の底部と回転軸との接触抵抗を小さくして発電機の回転の効率化を図ることを提案している(下記特許文献1)。
この発電機は、回転体がコマのように回転するため“コマ式発電機”と名付けている。
【0005】
しかし、発電機を含む発電システムの効率化を図る上では、発電機を回転させる回転機構の回転効率化にも配慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、こうした観点から、発電機を回転させる回転機構の回転効率の向上を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、流体の圧力で回転子が回転し、この回転子における、重力方向に沿って延びる中心軸が回転して、この中心軸の回転が発電機に伝達される回転機構であって、中心軸の下端に、回転側部品とこの回転側部品を支える固定側部品とを備える回転金具が結合されている。
【0009】
そして、前記回転金具の回転側部品が、下端に開口する開口部、及び、この開口部に連なる、開口部より広い面積の空間部分から成る凹部と、この凹部の中心位置から開口部を突き抜けて下方に伸びる円柱部分とを有している。
一方、前記回転金具の固定側部品が、回転側部品の円柱部分を受け入れる孔部と、前記凹部の空間部分に挿入される凹部挿入部とを有している。
そして、回転側部品の円柱部分の先端に設けられた円錐形状部分の先が、固定側部品の前記孔部の底面に接触し、回転側部品の凹部と、固定側部品の凹部挿入部との係合により前記円柱部分の重力方向からのズレが規制されている。
【0010】
また、本発明の回転機構では、上記構成において、円錐形状部分の設置位置を変えて、固定側部品の孔部の底面に円錐形状部分を設け、その円錐形状部分の先が回転側部品の円柱部分の端面に接触するようにしても良い。
【0011】
また、本発明の回転機構では、流体として、ガス、蒸気、水、又は、風を用いている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の回転機構は、回転効率が良好であり、高速回転が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例である蒸気で駆動される回転機構を示す図。
【
図2】(a)
図1の回転子と回転金具との結合状態を示す図、(b)回転子を流体(蒸気)の流入方向から見た図。
【
図3】(a)回転金具の構造を示す図、(b)回転金具の回転側部品を示す図、(c)回転金具の固定側部品を示す図、(d)回転側部品と固定側部品との組合せ方の一例を示す図。
【
図4】本発明の実施例である風力で駆動される回転機構を示す図。
【
図5】(a)本発明の実施例である水力で駆動される回転機構を示す図(側面図)と、(b)その上面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、実施例における回転機構の全体構造を示している。
この回転機構では、蒸気流の流路に配置された回転子11が蒸気の圧力を受けて回転する。それに伴って、回転子11の中心軸(回転軸)12が回転し、その回転が、傘歯車13,14を通じて発電機20の回転軸21に伝達されて発電機20で発電が行われる。
図2(a)には、回転子11が回転金具30に固定された状態を示している。
図2(b)は、回転子11を上方から見たときの形状を示している。
【0016】
回転子11の回転軸12は、重力方向に沿って延びており、その下端が回転金具30の回転側部品31に固定されている。
回転金具30は、
図3(a)に示すように、回転側部品31と、固定側部品32とから成る。
図3(d)に示すように、回転側部品31は、下端に開口する開口部31(2)と、開口部31(2)に連なる空間部分31(3)とから成る凹部31(1)を有し、更に、この凹部31(1)の中心位置から開口部31(2)を突き抜けて下方に伸びる円柱部分31(4)を有している。
凹部31(1)の空間部分31(3)は、開口部31(2)よりも広い面積を有している。
【0017】
一方、回転金具30の固定側部品32は、回転側部品31の円柱部分31(4)を受け入れる孔部32(1)と、回転側部品31の凹部31(1)の空間部分31(3)に挿入される凹部挿入部32(2)とを有している。
【0018】
回転金具30の固定側部品32と、回転側部品31とを組合わせたとき、
図3(a)に示すように、回転側部品31の円柱部分31(4)の先端に設けられた円錐形状部分31(5)の先が、固定側部品32の孔部32(1)の底面に接触する。また、固定側部品32の凹部挿入部32(2)が回転側部品31の凹部31(1)の空間部分31(3)に入り込み、固定側部品32に対する回転側部品31の位置が規制される。
【0019】
なお、固定側部品32及び回転側部品31を
図3(a)の状態に組合わせるためには、固定側部品32及び回転側部品31のそれぞれを複数の部品の結合体とすることが必要になる。
図3(d)には、その一例として、固定側部品32及び回転側部品31をそれぞれ点線の位置で分割し、分割した各部品を矢印で示す位置に配置した後、固定側部品32及び回転側部品31のそれぞれを再結合して、
図3(a)の状態を得る場合を示している。
【0020】
回転側部品31の円柱部分31(4)に設けられた円錐形状部分31(5)の先端と、固定側部品32の孔部32(2)の底面との接触抵抗は小さい。
そのため、回転金具30の回転側部品31に固定された回転機構の回転軸12は、高い回転効率で回転することができ、高速での回転が可能になる。
また、回転金具30の回転側部品31の凹部31(1)と、固定側部品32の凹部挿入部32(2)とが係合して、回転側部品31に固定された回転軸12が重力方向からズレた状態で回転する事態を防いでいる。
そのため、回転機構の回転軸12は、安定した状態で回転することが可能である。
【0021】
図4は、風によって回転する風車40により回転軸12が回転し、その回転が、発電機20の回転軸21に伝達されて発電機20で発電が行われる形態を示している。回転軸12は、回転金具30の回転側部品31に固定されて回転する。回転金具30の構成は、
図3と同様である。
【0022】
また、
図5は、水流によって回転する水車50により回転軸12が回転し、その回転が、発電機20の回転軸21に伝達されて発電機20で発電が行われる形態を示している。回転軸12は、回転金具30の回転側部品31に固定されて回転する。回転金具30の構成は、
図3と同様である。
図5(a)は、その側面図を示し、
図5(b)は、上面図を示している。水流は、水車50の一部分にのみ当たるため、水車50は回転し続ける。
【0023】
図6は、回転金具30の変形例を示している。この回転金具30では、固定側部品32の孔部32(1)の底面に円錐形状部分32(3)が配置され、この円錐形状部分32(3)の先端が、回転側部品31の円柱部分31(4)の端面に当接している。その他の構成は、
図3と同じである。
この場合も、円錐形状部分32(3)の先端と、円柱部分31(4)の端面との接触抵抗が小さいので、回転金具30の回転側部品31に固定された回転機構の回転軸12は、高い回転効率で回転することができ、高速での回転が可能になる。
【0024】
図7は、回転機構の回転軸12を、回転金具30以外のものを用いて支持する実施例を示している。
この実施例では、回転軸12の下端に円錐形状部分12(1)を設けて、その先端を支持板61の支点に当接させ、更に、この当接位置よりも上方の位置に、回転軸12の重力方向からのズレを抑制する抑制部材62を配して、回転軸12の向きを調整している。
【0025】
この抑制部材62は、
図7(b)に示すように、中心に回転軸12の挿通孔62(1)が設けられた円板62(2)と、円板62(2)を位置決めするための複数の足部62(3)とから成り、複数の足部62(3)の先端を固定部材に当接させることで円板62(2)の位置決めが行われる。
【0026】
この実施例の場合も、回転軸12の円錐形状部分12(1)と、支持板61との接触抵抗が小さいので、回転機構の回転軸12は、高い回転効率で回転することができ、高速での回転が可能になる。
そして、回転軸12の向きは、抑制部材62により常に調整されるため、回転軸12は、安定した回転を続けることができる。
【0027】
本発明の回転機構は、ガス、蒸気、水、風等を利用して回転することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の回転機構は、各種産業分野において発電機を回転させるために利用することができ、また、教育現場において、学習用教材等としても利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
11 回転子
12 中心軸(回転軸)
12(1) 円錐形状部分
13 傘歯車
14 傘歯車
20 発電機
21 発電機の回転軸
30 回転金具
31 回転側部品
31(1) 凹部
31(2) 開口部
31(3) 空間部分
31(4) 円柱部分
31(5) 円錐形状部分
32 固定側部品
32(1) 孔部
32(2) 凹部挿入部
32(3) 円錐形状部分
40 風車
50 水車
61 支持板
62 抑制部材
62(1) 挿通孔
62(2) 円板
62(3) 足部
【要約】
【課題】 発電機の回転を担う、回転効率が良い回転機構を提供する。
【解決手段】 流体の圧力で回転する回転子11の回転軸12を、回転金具30の回転側部品31に結合する。回転側部品31は、先端に円錐形状部分が設けられた円柱部分を有し、この円錐形状部分の先が、回転金具30の固定側部品32に接触する。また、この接触位置よりも上方の位置において、固定側部品32の突起(凹部挿入部)が回転側部品31の凹部に入り込み、回転側部品31、及び、それに結合された回転軸12の重力方向からのズレを規制する。
【選択図】
図1