(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】分岐形状のテーパスロットアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20240326BHJP
H01Q 13/02 20060101ALI20240326BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q13/02
H01Q21/06
(21)【出願番号】P 2020030517
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】倉本 晶夫
(72)【発明者】
【氏名】横山 嘉保
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05081466(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0038495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/00- 13/28
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
短絡部分と、前記短絡部分の一部と結合する第1部分と、前記短絡部分の別の一部と結合する第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分との間にスリットを形成した略コの字型形状の中央導体板と、
前記第1部分から延びるテーパ形状の第1テーパ導体板と、
前記第2部分から延びるテーパ形状の第2テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1部分から延びるテーパ形状の第3テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2部分から延びるテーパ形状の第4テーパ導体板と、
を備え、
前記第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第2テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第3テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第4テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1部分と前記第2部分に給電を行
い、
前記第2テーパ導体板は、前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第1テーパ導体板と非対称な形状であり、
前記第4テーパ導体板は、前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第3テーパ導体板と非対称な形状である、
分岐形状のテーパスロットアンテナ。
【請求項2】
前記第2テーパ導体板は、前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第1テーパ導体板と対称な形状であり、
前記第4テーパ導体板は、前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第3テーパ導体板と対称な形状である、
請求項1に記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
【請求項3】
前記第1部分に第1電位を与え、前記第2部分に前記第1電位よりも低い第2電位を与えることにより前記給電を行う給電部をさらに備える、
請求項1
または2に記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
【請求項4】
前記第1テーパ導体板の前記近い端から第1所定距離における前記第1テーパ導体板と前記第2テーパ導体板との間の距離は、前記第1テーパ導体板の前記近い端から前記第1所定距離よりも長い第2所定距離における前記第1テーパ導体板と前記第2テーパ導体板との間の距離よりも短く、
前記第3テーパ導体板の前記近い端から第3所定距離における前記第3テーパ導体板と前記第4テーパ導体板との間の距離は、前記第3テーパ導体板の前記近い端から前記第3所定距離よりも長い第4所定距離における前記第3テーパ導体板と前記第4テーパ導体板との間の距離よりも短い、
請求項1から
3のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
【請求項5】
前記第1テーパ導体板と前記第3テーパ導体板のそれぞれは、前記中央導体板に垂直な方向から見て略三角形の形状をしており、
前記第1テーパ導体板の前記先端から前記第1テーパ導体板の前記近い端まで、前記第2テーパ導体板の前記先端から前記第2テーパ導体板の前記近い端まで、前記第3テーパ導体板の前記先端から前記第3テーパ導体板の前記近い端まで、及び前記第4テーパ導体板の前記先端から前記第4テーパ導体板の前記近い端までのそれぞれの形状は、曲線状、又は、直線状である、
請求項1から
4のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
【請求項6】
前記スリットは、前記短絡部分に向かう方向にさらに延びる、
請求項1から
5のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
【請求項7】
前記第1テーパ導体板は、前記第1部分から延びる方向と交差する方向に第1テーパ第1側面を有し、
前記第2テーパ導体板は、前記第2部分から延びる方向と交差する方向に第2テーパ第1側面を有し
、
前記第1テーパ第1側面から延びるテーパ形状の第7テーパ導体板と、
前記第2テーパ第1側面から延びるテーパ形状の第8テーパ導体板と、
をさらに備え、
前記第7テーパ導体板の前記延びる方向と長さは、前記第8テーパ導体板の前記延びる方向と長さとは、異なる
請求項1から
6のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
【請求項8】
短絡部分と、前記短絡部分の一部と結合する第1部分と、前記短絡部分の別の一部と結合する第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分との間にスリットを形成した略コの字型形状の中央導体板と、
前記第1部分から延びるテーパ形状の第1テーパ導体板と、
前記第2部分から延びるテーパ形状の第2テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1部分から延びるテーパ形状の第3テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2部分から延びるテーパ形状の第4テーパ導体板と、
を備え、
前記第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第2テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第3テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第4テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1部分と前記第2部分に給電を行い、
分岐形状のテーパスロットアンテナは
、前記分岐形状のテーパスロットアンテナが放射する電波の主ビーム方向以外の方向を、導体、誘電体、又は、導体と誘電体とを含む導誘電体で形成した壁で覆われる、
分岐形状のテーパスロットアンテナ。
【請求項9】
第1テーパスロットアンテナと第2テーパスロットアンテナとを備え、
前記第1テーパスロットアンテナは、
第1アンテナ短絡部分と、前記第1アンテナ短絡部分の一部と結合する第1アンテナ第1部分と、前記第1アンテナ短絡部分の別の一部と結合する第1アンテナ第2部分と、を有し、前記第1アンテナ第1部分と前記第1アンテナ第2部分との間に第1アンテナスリットを形成した略コの字型形状の第1アンテナ中央導体板と、
前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第1テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第2テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第1アンテナ第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第3テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第1アンテナ第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第1アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第4テーパ導体板と、を有し、
前記第1アンテナ第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第1アンテナ第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1アンテナ第1テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端と前記第1アンテナ第2テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1アンテナ第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第1アンテナ第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1アンテナ第3テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端と前記第1アンテナ第4テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1アンテナ第1部分と前記第1アンテナ第2部分に給電を行い、
前記第2テーパスロットアンテナは、
第2アンテナ短絡部分と、前記第2アンテナ短絡部分の一部と結合する第2アンテナ第1部分と、前記第2アンテナ短絡部分の別の一部と結合する第2アンテナ第2部分と、を有し、前記第2アンテナ第1部分と前記第2アンテナ第2部分との間に第2アンテナスリットを形成した略コの字型形状の第2アンテナ中央導体板と、
前記第2アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第1テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第2テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第2アンテナ第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第3テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第2アンテナ第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第4テーパ導体板と、を有し、
前記第2アンテナ第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2アンテナ第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第2アンテナ第1テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端と前記第2アンテナ第2テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第2アンテナ第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2アンテナ第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第2アンテナ第3テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端と前記第2アンテナ第4テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第2アンテナ第1部分と前記第2アンテナ第2部分に給電を行い、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向と、前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向と、が直交するように、前記第1アンテナ中央導体板と前記第2アンテナ中央導体板とが交差する、
分岐形状の直交テーパスロットアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分岐形状のテーパスロットアンテナに関し、特に、高周波において、ビーム幅が広い指向性特性と周波数変化が少ない広帯域特性を有し、かつ、コストを低減することが可能な分岐形状のテーパスロットアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
広い周波数帯域で単一の指向性を有し、かつ、直線偏波を有するアンテナとして、テーパスロットアンテナが挙げられる。テーパスロットアンテナは、端部同士を短い距離で上下に対向させた2つの導体板において、対向する2つの導体板間の距離が導体板の先端に行く程、徐々に拡がる形状を有するアンテナである。
【0003】
非特許文献1の1.6.2並びに
図1.83には、「テーパスロットアンテナは
図1.83(a)に示すように、スロット線路をテーパ状に拡大し、かつ先端を開放することで、後進波の発生を避けつつ大きな放射量を実現するアンテナである。テーパスロットアンテナ(TSA:Tapered Slot Antenna)は非共振型のアンテナであり、インピーダンスおよび放射パターンともに広帯域な特性を有する。」と記載されている。
【0004】
特許文献1の0015段落並びに
図1には、「
図1において、1は誘電体基板、2は誘電体基板上に形成された金属導体部、2は金属導体部に形成され、誘電体基板の端部の方向に向かってスロット幅が徐々に広がるテーパ部を有するアンテナ素子、5はマイクロストリップ線路、6はマイクロストリップ線路により供給された高周波信号をモード変換してアンテナ素子のスロット線路上に伝送するマイクロストリップ-スロット変換器、8は分配器により高周波信号が給電される給電部、9は入力端から高周波信号が入力され、誘電体基板、金属導体部、アンテナ素子、マイクロストリップ線路、変換器及び給電部からなる各テーパスロットアンテナ部に高周波信号を分配して給電する分配器、12は各テーパスロットアンテナ部の給電部にそれぞれ接続され、分配器により分配された高周波信号を各テーパスロットアンテナ部の給電部に給電する給電線路である。」と記載されている。また、特許文献1の0016段落には、「各テーパスロットアンテナ部はほぼ同様に構成されており、給電部を中心に放射状に配置され、誘電体基板の端部、すなわち電波が放射されるテーパスロットアンテナ部の開口部が円弧線上に配置されるように設けられている。」と記載されている。このように、特許文献1のアンテナ装置は、各テーパスロットアンテナ部に高周波信号を分配して給電するための分配器を有するので、分配器を有しないものと比べてその分だけコストが高い。
【0005】
特許文献2の0003段落には、「テーパスロットアンテナは、誘電体基板と、誘電体基板の一方の面にパターニングされた第1導体板および第2導体板と、誘電体基板の他方の面に形成され、第1導体板と第2導体板とで構成されるテーパスロットに給電するためのマイクロストリップ線路と、マイクロストリップ線路の端部において誘電体基板に設けられたスルーホールとを備えている。」と記載されている。また、特許文献2の0004段落には、「テーパスロットは、給電点側(マイクロストリップ線路が設けられた側)から前方側に向けて、その幅が漸次テーパ状に拡大するように構成され、先端部が放射部開口となっている。また、テーパスロットのテーパ形状は、テーパスロットアンテナの中心線に対して対称に形成されている。」と記載されている。特許文献2には、高周波の指向性特性が広帯域特性であることは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】後藤尚久、中川正雄、伊藤精彦 編著 「アンテナ・無線ハンドブック」 株式会社オーム社 平成18年10月25日 第1版第1刷発行
【文献】特開2003-188643号公報
【文献】特開2009-005086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のとおり、非特許文献1、特許文献1、及び特許文献2のいずれにも、高周波の指向性特性において周波数変化が少ない広帯域特性を有し、かつ、コストを低減することが可能なテーパスロットアンテナに関する記載は無く、このようなアンテナが所望されていた。
【0008】
本開示の目的は、上述した課題を解決するテーパスロットアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る分岐形状のテーパスロットアンテナは、
短絡部分と、前記短絡部分の一部と結合する第1部分と、前記短絡部分の別の一部と結合する第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分との間にスリットを形成した略コの字型形状の中央導体板と、
前記第1部分から延びるテーパ形状の第1テーパ導体板と、
前記第2部分から延びるテーパ形状の第2テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1部分から延びるテーパ形状の第3テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2部分から延びるテーパ形状の第4テーパ導体板と、
を備え、
前記第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第2テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第3テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第4テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1部分と前記第2部分に給電を行う。
【0010】
本開示に係る分岐形状のテーパスロットアンテナは、
短絡部分と、前記短絡部分の一部と結合する第1部分と、前記短絡部分の別の一部と結合する第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分との間にスリットを形成した略コの字型形状の中央導体板と、
前記第1部分から延びるテーパ形状の第1テーパ導体板と、
前記第2部分から延びるテーパ形状の第2テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1部分から延びるテーパ形状の第3テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2部分から延びるテーパ形状の第4テーパ導体板と、
を備え、
前記第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第2テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第3テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第4テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1部分と前記第2部分に給電を行い、
自テーパスロットアンテナは、自テーパスロットアンテナが放射する電波の主ビーム方向以外の方向を、導体、誘電体、又は、導体と誘電体とを含む導誘電体で形成した壁で覆われる。
【0011】
本開示に係る分岐形状の直交テーパスロットアンテナは、
第1テーパスロットアンテナと第2テーパスロットアンテナとを備え、
前記第1テーパスロットアンテナは、
第1アンテナ短絡部分と、前記第1アンテナ短絡部分の一部と結合する第1アンテナ第1部分と、前記第1アンテナ短絡部分の別の一部と結合する第1アンテナ第2部分と、を有し、前記第1アンテナ第1部分と前記第1アンテナ第2部分との間に第1アンテナスリットを形成した略コの字型形状の第1アンテナ中央導体板と、
前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第1テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第2テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第1アンテナ第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第3テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第1アンテナ第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第1アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第4テーパ導体板と、を有し、
前記第1アンテナ第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第1アンテナ第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1アンテナ第1テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端と前記第1アンテナ第2テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1アンテナ第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第1アンテナ第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1アンテナ第3テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端と前記第1アンテナ第4テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1アンテナ第1部分と前記第1アンテナ第2部分に給電を行い、
前記第2テーパスロットアンテナは、
第2アンテナ短絡部分と、前記第2アンテナ短絡部分の一部と結合する第2アンテナ第1部分と、前記第2アンテナ短絡部分の別の一部と結合する第2アンテナ第2部分と、を有し、前記第2アンテナ第1部分と前記第2アンテナ第2部分との間に第2アンテナスリットを形成した略コの字型形状の第2アンテナ中央導体板と、
前記第2アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第1テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第2テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第2アンテナ第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第3テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第2アンテナ第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第4テーパ導体板と、を有し、
前記第2アンテナ第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2アンテナ第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第2アンテナ第1テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端と前記第2アンテナ第2テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第2アンテナ第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2アンテナ第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第2アンテナ第3テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端と前記第2アンテナ第4テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第2アンテナ第1部分と前記第2アンテナ第2部分に給電を行い、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向と、前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向と、が直交するように、前記第1アンテナ中央導体板と前記第2アンテナ中央導体板とが交差する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、高周波において、ビーム幅が広い指向性特性と周波数変化が少ない広帯域特性を有し、かつ、コストを低減することが可能な分岐形状のテーパスロットアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図2A】テーパスロットアンテナの動作を例示する模式図である。
【
図2B】
図2Aに示すアンテナの指向性を例示する模式図である。
【
図2C】テーパスロットアンテナの動作を例示する模式図である。
【
図2D】
図2Cに示すアンテナの指向性を例示する模式図である。
【
図3A】実施の形態1に係るテーパスロットアンテナの動作を例示する模式図である。
【
図3B】
図3Aに示すアンテナの指向性を例示する模式図である。
【
図3C】実施の形態1に係るテーパスロットアンテナの動作を例示する模式図である。
【
図3D】
図3Cに示すアンテナの指向性を例示する模式図である。
【
図4A】実施の形態1に係るテ-パスロットアンテナのシミュレーションモデルを例示する斜視図である。
【
図4B】実施の形態1の比較例に係るテ-パスロットアンテナのシミュレーションモデルを例示する斜視図である。
【
図4C】
図4Aに示すシミュレーションモデルでの整合特性を例示するグラフである。
【
図4D】
図4Aに示すシミュレーションモデルでの指向性特性と、
図4Bに示すシミュレーションモデルでの指向性特性と、を例示するグラフである。
【
図4E】周波数が5GHzにおけるAZ面内の指向性特性を例示するグラフである。
【
図5】実施の形態2に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図6】実施の形態3に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図7】実施の形態4に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図8】実施の形態5に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図9】実施の形態6に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図10】実施の形態7に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図11】実施の形態8に係るテーパスロットアンテナを例示する上視図である。
【
図12】実施の形態9に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図13】実施の形態10に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図14】実施の形態11に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図15】実施の形態12に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図16】実施の形態13に係る直交テーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図17】実施の形態14に係る直交テーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図18】実施の形態15に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【
図19】実施の形態16に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0015】
[実施の形態1]
先ず、課題について説明する。
非特許文献1、特許文献1及び特許文献2で示されたテーパスロットアンテナは、整合特性が広帯域であり、直線偏波の単一の指向性を有するアンテナとして多用されている。整合特性が広帯域とは、広い周波数帯域で入力インピ-ダンスの変動が小さいことを意味し、広い周波数帯域で電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)が低い値に抑えられていることを意味する。一方で、アンテナは空間に電波を放射し、無線通信を行うためのものであるが、空間に電波が放射される場合、電波の広がり、すなわち、指向性特性は、周波数によって大きく変動する。テーパスロットアンテナは、低い周波数ではビーム幅の広い指向性特性となり、周波数が高くなるにつれて、ビーム幅が狭くなり、シャープなビームとなる。また、テーパスロットアンテナは、低い周波数帯域で最大利得が得られる方向であっても、別の周波数(より高い周波数等)で利得が極小化するヌルのビームが形成されることがある。高い周波数においてビーム幅が狭くなることやヌルのビームが形成されることは、広い周波数帯域で無線通信を行う場合の不利な点となる。
【0016】
ここで、低い周波数から高い周波数までの広い周波数帯域で、所定のエリアにおいて無線局と無線通信を行う場合を考える。通常のテーパスロットアンテナを使用した場合、低い周波数帯域では、ビーム幅が広いので無線通信のカバレッジエリアが広く、多くの無線端末(対向無線局)と無線通信を行うことができる。例えば、テーパスロットアンテナのビーム幅が60度の場合、ビーム幅が60度のエリアに存在する無線端末と無線通信することができる。しかしながら、テーパスロットアンテナは、高い周波数においてビーム幅が狭くなる。例えば、テーパスロットアンテナのビーム幅が、高い周波数において40度の場合、低い周波数では無線通信できた無線端末でも、高い周波数では無線通信することができないという問題があった。
【0017】
また、テーパスロットアンテナをパラボラアンテナの1次放射器として使用する場合を考える。パラボラアンテナでは、1次放射器に用いるアンテナからの電波を、パラボラ反射鏡に一様に照射させることで、高い能率、すなわち、高い利得を得るように動作させる。しかしながら、周波数の変化によってビーム幅が変動するテーパスロットアンテナでは、パラボラ反射鏡に電波が一様に照射されず、高い周波数では指向性の中心付近に電波の照射がより集中し、アンテナの能率が低下し、利得が低下するという問題があった。
【0018】
これらの問題を解決するには、広帯域、かつ、指向性特性(放射パタ-ン特性)において、周波数変化が少ないアンテナが必要である。
【0019】
そこで、上記問題を解決するための実施の形態1に係る分岐形状のテーパスロットアンテナについて説明する。先ず、分岐形状のテーパスロットアンテナの構造を説明する。尚、説明では、分岐形状のテーパスロットアンテナを、単に、テーパスロットアンテナと称することもある。
図1は、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【0020】
図1に示すように、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナ10は、中央導体板19と、第1部分191と、第1テーパ導体板11と、第2テーパ導体板12と、第2部分192と、第3テーパ導体板13と、第4テーパ導体板14と、を備える。
【0021】
テーパスロットアンテナ10は、第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12との1組の導体板において、短い距離で端部11bと端部12bとを上下に対向させる。また、第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14との別の1組の導体板において、短い距離で端部13bと端部14bとを上下に対向させる。上下に対応させた導体板に関し、それらの間に短い間壁、すなわち、特定の長さ部分を有するスリットStを有し、スリットStを経たのちに、上下に対向させた導体板が中央導体板19で短絡する。
【0022】
別の言い方をすると、中央導体板19は、短絡部分193と、短絡部分193の一部と結合(接合)する第1部分191と、短絡部分193の別の一部と結合する第2部分192と、を有する。第1部分191と第2部分192との間にスリットStが形成される。中央導体板19は、略コの字型形状をしている。
【0023】
第1テーパ導体板11から第4テーパ導体板14のそれぞれの導体板の根元で、2組の導体板、すなわち、第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12の1組と、第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14との別の1組とが接合する。
【0024】
別の言い方をすると、第1テーパ導体板11は、第1部分191から延び、テーパ形状をしている。第2テーパ導体板12は、第2部分192から延び、テーパ形状をしている。
【0025】
第3テーパ導体板13は、第1部分191から延び、テーパ形状をしている。第3テーパ導体板13は、第2部分192から第1部分191に向かう方向から見て、第1テーパ導体板11と所定の角度θ1を成す。
【0026】
尚、所定の角度θ1は、例えば、29度以上35度以下である。
【0027】
第4テーパ導体板14は、第2部分192から延び、テーパ形状をしている。第4テーパ導体板14は、第2部分192から第1部分191に向かう方向から見て、第2テーパ導体板12と所定の角度θ1を成す。
【0028】
すなわち、第2部分192から第1部分191に向かう方向からテーパスロットアンテナ10を見たとき、第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12の1組と、第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14の別の1組と、が分岐するように見える。よって、テーパスロットアンテナを、分岐形状のテーパスロットアンテナ(BTSA:Branchy Tapered Slot Antenna)と称することもある。
【0029】
第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12とが、短い距離で端部を上下に対向させている。第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14とが、短い距離で端部を上下に対向させている。第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12との間の距離が、先端P11f又は先端P12fに行く程、徐々に広がる。
【0030】
具体的には、第1テーパ導体板11の延びた先の先端P11fと第2テーパ導体板12の延びた先の先端P12fとの間の距離を距離D1fとする。第1テーパ導体板11のスリットStに近い端P11nと第2テーパ導体板12のスリットStに近い端P12nとの間の距離を距離D1nとする。このとき、距離D1fは、距離D1nよりも長い。
【0031】
また、具体的には、第1テーパ導体板11の近い端P11nから第1所定距離L1における第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12との間の距離D1は、第1テーパ導体板11の近い端P11nから第1所定距離よりも長い第2所定距離L2における第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12との間の距離D2よりも短い。
【0032】
第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14との間の距離が、先端P13f又は先端P14fに行く程、徐々に広がる。
【0033】
具体的には、第3テーパ導体板13の延びた先の先端P13fと第4テーパ導体板14の延びた先の先端P14fとの間の距離を距離D3fとする。第3テーパ導体板13のスリットStに近い端P13nと第4テーパ導体板14のスリットStに近い端P14nとの間の距離を距離D3nとする。このとき、距離D3fは、距離D3nよりも長い。
【0034】
また、具体的には、第3テーパ導体板13の近い端P13nから第3所定距離における第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14との間の距離は、第3テーパ導体板13の近い端P13nから第3所定距離よりも長い第4所定距離における第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14との間の距離よりも短い。
【0035】
テーパスロットアンテナ10は、第1部分191と第2部分192に給電を行う。具体的には、テーパスロットアンテナ10は、給電部194をさらに備える。給電部194は、第1部分191に第1電位を与え、第2部分192に第1電位よりも低い第2電位を与えることにより給電を行う。
【0036】
また、第1テーパ導体板11と第3テーパ導体板13のそれぞれは、中央導体板19に垂直な方向から見て略三角形の形状をしていてもよい。
【0037】
第1テーパ導体板11の先端P11fから第1テーパ導体板11の近い端P11nまで、第2テーパ導体板12の先端P12fから第2テーパ導体板12の近い端P12nまで、第3テーパ導体板13の先端P13fから第3テーパ導体板13の近い端P13nまで、及び第4テーパ導体板14の先端P14fから第4テーパ導体板14の近い端P14nまでのそれぞれの形状は、曲線状、又は、直線状であってもよい。
【0038】
また、第1テーパ導体板11の先端P11fから第1テーパ導体板11の近い端P11nまで等の形状は、複数の直線の組み合わせ、複数の曲線の組み合わせ、及び、複数の直線と複数の曲線との組み合わせのうちのいずれかの形状であってもよい。
【0039】
すなわち、
図1において、先端P11fから近い端P11nまでの形状は、所定の曲線の形状として記載されているが、これには限定されない。先端P11fから近い端P11nまでの形状は、例えば、複数の曲線の組み合わせ、半径が連続的に変化する曲線、2次曲線、3次曲線、n次曲線(nは4以上の整数)、双曲線、対数曲線、指数関数曲線等を使用した形状であってもよい。先端P12fから近い端P12nまで、先端P13fから近い端P13nまで、先端P14fから近い端P14nまでの形状も同様である。
【0040】
尚、第2テーパ導体板12は、中央導体板19に垂直な方向から見て、第1テーパ導体板11と対称な形状であってもよい。また、第4テーパ導体板14は、中央導体板19に垂直な方向から見て、第3テーパ導体板13と対称な形状であってもよい。
【0041】
また、第2テーパ導体板12は、中央導体板19に垂直な方向から見て、第1テーパ導体板11と非対称な形状であってもよい。また、第4テーパ導体板14は、中央導体板19に垂直な方向から見て、第3テーパ導体板13と非対称な形状であってもよい。
【0042】
テーパスロットアンテナの動作を説明する。
先ず、基本的な動作として、第1テーパ導体板と第2テーパ導体板で構成されるテーパスロットアンテナの動作を説明する。
【0043】
図2Aは、テーパスロットアンテナの動作を例示する模式図である。
図2Aは、第1テーパ導体板と第2テーパ導体板における低域周波数での電流を示す。
図2Aに示す矢印は、電流の流れを示す。
図2Bは、
図2Aに示すアンテナの指向性を例示する模式図である。
【0044】
図2Cは、テーパスロットアンテナの動作を例示する模式図である。
図2Cは、第1テーパ導体板と第2テーパ導体板における高域周波数での電流を示す。
図2Cに示す矢印は、電流の流れを示す。
図2Dは、
図2Cに示すアンテナの指向性を例示する模式図である。
【0045】
図2Aに示すように、低域周波数では、波長が長いため、電流は第1テーパ導体板及び第2テーパ導体板の端部に長く分布する。電波は、分布する電流の概ね中央点であって給電部から距離R
TSA-Lの該中央点から、
図2Bに示すような指向性で放射される。
【0046】
図2Cに示すように、高域周波数では、波長が短いため、複数の電流の極大点が分布し、位相も交互に反転する。電流の振幅は、給電部に最も近い部分が一番大きいため、電波の放射の中心は、概ね、給電部に一番近い電流の極大値の近傍、すなわち、給電部から距離R
TSA-Hの点から電波が放射される。
【0047】
図2Dに示すように、この場合の指向性は、第1テーパ導体板の端部及び第2テーパ導体板の端部に複数の極大値を持つ電流が、交互に位相反転して分布し、これらの合成電界により形成されるため、ビーム幅が狭く、高いサイドロ-ブが多数存在する複雑なものとなる。このように、第1テーパ導体板と第2テーパ導体板から構成されるテーパスロットアンテナは、指向性が周波数の変化により変動し、周波数が高くなるほど、ビ-ム幅も狭くなる。
【0048】
次に、実施の形態1に係るテ-パスロットアンテナの動作を説明する。
図3Aは、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナの動作を例示する模式図である。
図3Aは、実施の形態1に係る第1テーパ導体板と第2テーパ導体板における低域周波数での電流を示す。
図3Aに示す矢印は、電流の流れを示す。
図3Bは、
図3Aに示すアンテナの指向性を例示する模式図である。
【0049】
図3Cは、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナの動作を例示する模式図である。
図3Cは、実施の形態1に係る第1テーパ導体板と第2テーパ導体板における高域周波数での電流を示す。
図3Cに示す矢印は、電流の流れを示す。
図3Dは、
図3Cに示すアンテナの指向性を例示する模式図である。
【0050】
図3Aに示すように、低域周波数では波長が長いため、電流は、第1テーパ導体板11の端部、第2テーパ導体板12の端部、第3テーパ導体板13の端部及び第4テーパ導体板14の端部に長く分布する。電波は、分布する電流の概ね中央点であって給電部194から距離R
BTSA-Lの該中央点から放射される。
【0051】
テーパスロットアンテナ10では、給電部194が設けられた中央導体板19から第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12という1組と、第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14という別の1組と、の2組の導体板に分岐される。このため、テーパスロットアンテナ10の指向性は、
図3Bに示すように、間隔が距離D
BTSA-Lだけ離れた2つの場所からの放射の合成になる。すなわち、2素子のアレイアンテナとして動作した指向性になる。テーパスロットアンテナ10の指向性は、
図2Bに示す指向性と比べると、ビーム幅が狭くなる。
【0052】
図3Cに示すように、高域周波数では波長が短いため、複数の電流の極大点が分布し、位相も交互に反転する。電流の振幅は、給電部194に最も近い部分が一番大きい。このため、電波の放射は、概ね、給電部194に一番近い電流の極大値の近傍、すなわち、給電部194から距離R
BTSA-Hの点から放射される。
【0053】
テーパスロットアンテナ10では、中央導体板19から第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12という1組と、第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14という別の1組と、の2組の導体板に分岐される。このため、テーパスロットアンテナ10の指向性は、
図3Dに示すように、間隔が距離D
BTSA-Hだけ離れた2つの場所からの放射の合成になる。テーパスロットアンテナ10の指向性は、波長が短いことによる複数の電流の分布による電界の影響も受けるが、この影響よりも間隔が距離D
BTSA-H離れている2つの場所からの放射の影響の方が大きい。このため、テーパスロットアンテナ10の指向性は、この2つの場所からの放射の合成で決まる。よって、テーパスロットアンテナ10においては、高域周波数での指向性も、2素子のアレイアンテナとして動作するとしてもよい。
【0054】
ここで、低域周波数の波長>高域周波数の波長、距離RBTSA-L>距離RBTSA-H、及び、距離DBTSA-L>距離DBTSA-Hの関係が成立する。そして、低域周波数の波長と高域周波数の波長、距離RBTSA-Lと距離RBTSA-H、及び、距離DBTSA-Lと距離DBTSA-Hの関係のそれぞれが、比例関係またはそれに近い関係であれば、周波数によらずに、指向性及びそのビーム幅は同等に近いものとなる。
【0055】
例えば、低域周波数が1GHz(ギガヘルツ)の場合、波長は30cm(センチメートル)となる。距離D
BTSA-Lが15cmとすると、30cm/15cm=0.5波長となる。よって、
図3Bに示す指向性は、2素子のアンテナ素子の間隔が0.5波長のアレイアンテナの指向性に近くなる。
【0056】
一方、高域周波数を、低域周波数である1GHzの3倍である3GHzとした場合、波長は10cmとなる。距離RBTSA-Lと距離RBTSA-Hとの関係は、ほぼ波長に比例するので、距離RBTSA-Hは距離RBTSA-Lの1/3となる。距離RBTSA-Lと距離RBTSA-Hの比率関係は、距離DBTSA-Lと距離DBTSA-Hの比率関係と概ね同じなので、距離DBTSA-Hも距離DBTSA-Lの1/3となり、距離DBTSA-H=15cm/3=5cmとなる。
【0057】
このとき、距離DBTSA-Hは、波長換算で考えると、10cm/5cm=0.5波長となり、3倍の周波数であっても、2素子のアンテナで素子間隔が0.5波長のアレイアンテナの指向性が形成される。
【0058】
このように、距離RBTSA-Lと距離RBTSA-Hとの関係が、距離DBTSA-Lと距離DBTSA-Hとの関係と比例またはそれに近い関係に有れば、形成される指向性は、周波数によらずに、2素子のアレイアンテナと同等またはそれに近いものになる。
【0059】
次に、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナの効果を、シミュレーションの結果を用いて説明する。
図4Aは、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナのシミュレーションモデルを例示する斜視図である。
第1テーパ導体板と第3テーパ導体板とのなす角度は、31.9度である。
図4Bは、実施の形態1の比較例に係るテーパスロットアンテナのシミュレーションモデルを例示する斜視図である。
【0060】
図4Cは、
図4Aに示すシミュレーションモデルでの整合特性を例示するグラフである。
図4Cの横軸は周波数(Frequency)を示し、縦軸は反射係数S11の絶対値|S11|を示す。単位は、デシベルである。
【0061】
図4Cに示すように、周波数が1.3GHz以上では、反射係数の絶対値|S11|は、-6dB以下となる。反射係数の絶対値|S11|が-6dB以下という値は、整合の度合いを示す電圧定在波比VSWRに換算すると3.0以下となり、1.3GHzから18GHzの範囲で良好な整合が得られていることがわかる。この帯域(1.3GHzから18GHz)は、比帯域では173%(パーセント)となり、非常に広帯域である。
【0062】
図4Dは、
図4Aに示すシミュレーションモデルでの指向性特性と、
図4Bに示すシミュレーションモデルでの指向性特性と、を例示するグラフである。
図4Dは、方位方向面(AZ方向面)及び仰角方向面(EL方向面)を含む立体的な指向性特性を示す。
【0063】
図4Dに示すように、比較例に係るテーパスロットアンテナは、AZ面内の特性において、周波数が高くなると、主ビームが狭く(細く)なる。一方、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナは、AZ面内の特性において、周波数が高くなっても、主ビ-ムが狭くならず、一定のビーム幅を維持する。
【0064】
具体的には、比較例に係るテーパスロットアンテナは、2GHzから3GHz、さらに5GHz、さらに7GHzになるに従い、方位方向面(AZ方向面)におけるビーム幅が狭くなる。一方、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナは、2GHzから7GHzの全範囲にわたって、ビーム幅が極端に狭くなることはなく、所定のビーム幅を維持することができる。
【0065】
図4Eは、周波数が5GHzにおけるAZ面内の指向性特性を例示するグラフである。
図4Eの横軸は最大利得方向からの角度(Angle)を示し、単位は度(degree)である。
図4Eの縦軸は利得(Gain)を示し、単位はdBi(デービーアイ)である。
図4Eに示す実線は、実施の形態1に係るテ-パスロットアンテナの利得を示し、点線は、比較例に係るテーパスロットアンテナの利得を示す。
【0066】
図4Eに示すように、比較例に係るテーパスロットアンテナの指向性利得における、-10dBビーム幅は52度である。一方、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナの指向性利得における、-10dBビーム幅は78度であり、比較例に係るテーパスロットアンテナと比べて、1.5倍のビーム幅を得ることができる。
【0067】
実施の形態1に係るテーパスロットアンテナは、比較例に係るテーパスロットアンテナと比べて、以下のような効果を得ることができる。
・整合特性が広帯域である。すなわち、入力インピ-ダンス特性が広帯域である。
・指向性特性(放射パタ-ン特性)の変化が、周波数変化に対して小さい。特に、ビーム幅の変化が少なく、広い周波数帯域で変動の少ないビーム幅を得ることができる。また、ビーム幅が広い。
【0068】
また、
図1に示すように、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナ10は、1つの給電部194から複数のテーパ導体板(第1テーパ導体板11から第4テーパ導体板14)に給電する。すなわち、テーパスロットアンテナ10は、各テーパ導体板に給電するための分配器が必要ではなく、1つの給電部194を共通で使用することができる。これにより、テーパスロットアンテナ10は、複数のテーパ導体板に分配器を介して給電するタイプのアンテナと比べて、コストを低減することができる。
【0069】
その結果、実施の形態1によれば、高周波において、ビーム幅が広い指向性特性と周波数変化が少ない広帯域特性を有し、かつ、コストを低減することが可能なテーパスロットアンテナを提供することができる。
【0070】
ここで、テーパスロットアンテナ10の特徴を以下に記載する。
テーパスロットアンテナ10は、短い距離で端部を上下に対向させた2組以上の導体板、例えば、第1テーパ導体板11と第2テーパ導体板12の1組と、第3テーパ導体板13と第4テーパ導体板14の別の1組と、を備える。
テーパスロットアンテナ10は、対向する端部の間の距離が一方の方向から他方の方向に徐々に広がる形状を有する。
テーパスロットアンテナ10は、一方の方向の根元付近で2組の導体板が接合する。
テーパスロットアンテナ10は、接合した上下の導体板の間に短い間壁、すなわち、特定の長さ部分のスリットStを有する。
テーパスロットアンテナ10は、特定の長さ部分を経たのちに、上下に対向させた導体板が短絡する。
テーパスロットアンテナ10は、特定の長さ部分の上下の導体部に給電を行う。
テーパスロットアンテナ10は、上記の構成を有することにより、整合特性が広帯域であり、かつ、その指向性も周波数変化に対する変動が小さく、特に、ビーム幅が低域から高域にわたり、狭くなることなく維持されるという効果を有する。
【0071】
[実施の形態2]
図5は、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20を例示する斜視図である。
【0072】
図5に示すように、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20は、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナ10と比べて、第1テーパ導体板21の端部21b、第2テーパ導体板22の端部22b、第3テーパ導体板23の端部23b、及び第4テーパ導体板24の端部24bのそれぞれが、直線の形状になっている点が異なる。
【0073】
具体的には、第1テーパ導体板21の先端P21fから第1テーパ導体板21のスリットStに近い端P21nまでの形状は、直線(直線の形状)である。また、第2テーパ導体板22の先端P22fから第2テーパ導体板22のスリットStに近い端P22nまでの形状も直線状である。また、第3テーパ導体板23の先端P23fから第3テーパ導体板23のスリットStに近い端P23nまでの形状も直線状である。また、第4テーパ導体板24の先端P24fから第4テーパ導体板24のスリットStに近い端P24nまでの形状も直線状である。
【0074】
[実施の形態3]
図6は、実施の形態3に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図6に示すように、実施の形態3に係るテーパスロットアンテナ30は、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナ10と比べて、第1テーパ導体板31の端部31b、第2テーパ導体板32の端部32b、第3テーパ導体板33の端部33b、及び第4テーパ導体板34の端部34bのそれぞれが、複数の直線の組み合わせ、複数の曲線の組み合わせ、及び、複数の直線と複数の曲線との組み合わせのうちのいずれかの形状、すなわち、複数の直線と曲線の複合形状である点が異なる。
【0075】
具体的には、第1テーパ導体板31の先端P31fから第1テーパ導体板31のスリットStに近い端P31nまで、第2テーパ導体板32の先端P32fから第2テーパ導体板32のスリットStに近い端P32nまで、第3テーパ導体板33の先端P33fから第3テーパ導体板33のスリットStに近い端P33nまで、及び第4テーパ導体板34の先端P34fから第4テーパ導体板34のスリットStに近い端P34nまでのそれぞれの形状は、複数の直線の組み合わせ、複数の曲線の組み合わせ、及び、複数の直線と複数の曲線との組み合わせのうちのいずれかの形状である。
【0076】
尚、テーパスロットアンテナ30の上下に対向させた導体板(放射導体)は、対称構造、又は、非対称構造としてもよい。非対称構造とする場合、例えば、
図1に示す第1テーパ導体板11と、
図6に示す第2テーパ導体板32とを組み合わせてもよい。このようにして組み合わせる場合、導体板の長さ、すなわち、
図6に示す長さLを、概ね同じにしておけば、仰角面内において、ビームシフトは発生せず、方位方向のビーム幅を維持することができるという効果が得られる。
【0077】
[実施の形態4]
図7は、実施の形態4に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図7に示すように、実施の形態4に係るテーパスロットアンテナ40は、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナ10と比べて、スリットStの間壁を経たのちに、短絡部分491が円形状の、くりぬき部Steを介して短絡する点が異なる。
【0078】
具体的には、テーパスロットアンテナ40のスリットStが短絡部分491に向かう方向にさらに延びる。そして、スリットStの延びた部分である、くりぬき部Steは、中央導体板49に垂直な方向から見て所定の形状をしている。所定の形状は、例えば、円形状である。
【0079】
尚、くりぬき部Steの形状は、円に限定されず、例えば、楕円、複数の円弧の組み合わせで構成してもよい。
【0080】
[実施の形態5]
図8は、実施の形態5に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図8に示すように、実施の形態5に係るテーパスロットアンテナ50は、実施の形態4に係るテーパスロットアンテナ40と比べて、くりぬき部Steの形状が異なる。具体的には、くりぬき部Steの形状は、中央導体板59に垂直な方向から見て、例えば、扇形状である。
【0081】
尚、くりぬき部Steの形状は、円形や扇形状だけに限定されず、任意の形状、例えば、多角形や多角形と円弧を組み合わせた形状でもよい。
【0082】
[実施の形態6]
図9は、実施の形態6に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図9に示すように、実施の形態6に係るテーパスロットアンテナ60は、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20と比べて、第1テーパ導体板61の先端P61fから第1テーパ導体板61のスリットStに近い端P61nまでの長さが、所定長よりも短い点が異なる。第2テーパ導体板62、第3テーパ導体板63、及び、第4テーパ導体板64も同様である。
【0083】
尚、第1テーパ導体板61と中央導体板69との接合部分P61pの位置が、先端P61fと中央導体板69の奥部分P69bとの中間でなくてもよい。また、接合部分P61pと接合部分P62pは、上下で同じ位置でなくてもよい。
【0084】
また、上下に対向させた第1テーパ導体板61と第2テーパ導体板62の接合部分P61pは、第1テーパ導体板61の先端P61fの近傍であってもよい。第2テーパ導体板62、第3テーパ導体板63、及び、第4テーパ導体板64も同様である。
【0085】
[実施の形態7]
図10は、実施の形態7に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図10に示すように、実施の形態7に係るテーパスロットアンテナ70は、実施の形態1に係るテーパスロットアンテナ10と比べて、その形状が、第2テーパ導体板72から第1テーパ導体板71に向かう方向から見て、略U字型の形状である点が異なる。
【0086】
すなわち、テーパスロットアンテナ70は、上下に対向させた2組のテーパ導体板(第1テーパ導体板71と第2テーパ導体板72の1組と、第3テーパ導体板73と第4テーパ導体板74の別の1組)の形状が、上方から見て曲線的な略U字型の形状をしており、略U字型のほぼ頂点で接合されている。
【0087】
尚、2組のテーパ導体板は、略U字型の形状の代わりに、略V字型の形状としてもよい。
【0088】
[実施の形態8]
図11は、実施の形態8に係るテーパスロットアンテナを例示する上視図である。
図11は、複数の種類のテーパスロットアンテナ801から806を上方から見た図である。
テーパスロットアンテナ801から806を総称してテーパスロットアンテナ80と称する。
【0089】
図11に示すように、実施の形態8に係るテーパスロットアンテナ80の形状は、第2テーパ導体板82から第1テーパ導体板81に向かう方向、すなわち、上方から見て、第1テーパ導体板81の先端P81fに向かう程、第1テーパ導体板81と第3テーパ導体板83との間の距離が長くなる形状を有する。
【0090】
また、テーパスロットアンテナ80の形状は、第2テーパ導体板82から第1テーパ導体板81に向かう方向、すなわち、上方から見て、テーパスロットアンテナ801のような略V字型、テーパスロットアンテナ802のような略U字型、テーパスロットアンテナ803のような曲線の組み合わせ、テーパスロットアンテナ804のような直線の組み合わせ、あるいは曲線と直線の組み合わせ、テーパスロットアンテナ805のような略コの字型、テーパスロットアンテナ806のような略W字型のうちのいずれか1つの形状であってもよい。
【0091】
[実施の形態9]
図12は、実施の形態9に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図12に示すように、実施の形態9に係るテーパスロットアンテナ90は、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20と比べて、テーパ導体板の数が異なる。
【0092】
テーパスロットアンテナ90は、第5テーパ導体板95と第6テーパ導体板96とをさらに備える。第5テーパ導体板95は、第1部分991から延び、テーパ形状をしている。第6テーパ導体板96は、中央導体板99に垂直な方向から見て、第5テーパ導体板95と対称な形状となるように第2部分992から延び、テーパ形状をしている。
【0093】
すなわち、テーパスロットアンテナ90は、上下に対向させた3組以上のテーパ導体板を有し、それぞれのテーパ導体板が中央導体板99に接合する。
【0094】
尚、3組以上のテーパ導体板は、同じ位置で接合する必要はなく、1つのテーパ導体板の接合部分から先端まで行く途中で、別のテーパ導体板が接合するようにしてもよい。
【0095】
[実施の形態10]
図13は、実施の形態10に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図13に示すように、実施の形態10に係るテーパスロットアンテナ100は、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20と比べて、1つのテーパ導体板の面から別のテーパ導体板が延びるような構成を有する点が異なる。
【0096】
具体的には、テーパスロットアンテナ100の第1テーパ導体板101は、第1部分1091から延びる方向と交差する方向に第1テーパ第1側面101S1を有する。第2テーパ導体板102は、第2部分1092から延びる方向と交差する方向に第2テーパ第1側面102S1を有する。
【0097】
テーパスロットアンテナ100は、第7テーパ導体板107と、第8テーパ導体板108と、をさらに備える。第7テーパ導体板107は、第1テーパ第1側面101S1から延び、テーパ形状をしている。第8テーパ導体板108は、第2テーパ第1側面102S1から延び、テーパ形状をしている。
【0098】
第7テーパ導体板107の延びる方向と長さは、第8テーパ導体板108の延びる方向と長さとは、異なってもよい。
【0099】
すなわち、テーパスロットアンテナ100は、上下に対向させた3組以上のテーパ導体板(第1テーパ導体板101と第2テーパ導体板102との1組、第3テーパ導体板103と第4テーパ導体板104との別の1組、及び、第7テーパ導体板107と第8テーパ導体板108とのさらに別の1組)有する。そして、複数のテーパ導体板のそれぞれは、例えば、第7テーパ導体板107、第8テーパ導体板108のように、折り曲げ構造でもよい。
【0100】
尚、複数のテーパ導体板のそれぞれは、曲線の構造が混在しても良い。また、テーパ導体板の接合部分は、接合部分P107pと接合部分とP108pのように、スリットStからの距離が異なる位置で接合してもよい。
【0101】
[実施の形態11]
図14は、実施の形態11に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図14に示すように、実施の形態11に係るテーパスロットアンテナ110は、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20と比べて、第1テーパ導体板111から第4テーパ導体板114、及び中央導体板119のそれぞれが、ある程度の厚さ、すなわち、所定の厚さを有する点が異なる。
【0102】
導体板(テーパ導体板や中央導体板)の厚さは、電気的特性に影響する。そのため、導体板が高い周波数に対して十分に薄い板として動作するためには、その厚さは、最低使用周波数の波長の10分の1以下にする必要がある。
【0103】
そこで、テーパスロットアンテナ110の中央導体板119の中央導体板119に垂直な方向の厚さt119は、テーパスロットアンテナ110で使用する最低使用周波数の波長の10分の1以下とする。また、第1テーパ導体板111の厚さt111、第2テーパ導体板112の厚さt112、第3テーパ導体板113の厚さt113、及び第4テーパ導体板114の厚さt114も、テーパスロットアンテナ110で使用する最低使用周波数の波長の10分の1以下とする。
【0104】
尚、第1テーパ導体板111は、先端P111fに行く程、細くなる構造とし、その厚さは、導体板の形状により適宜変化する構造とする。第2テーパ導体板112、第3テーパ導体板113、及び第4テーパ導体板114も同様とする。
【0105】
[実施の形態12]
図15は、実施の形態12に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図15に示すように、実施の形態12に係るテーパスロットアンテナ120は、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20と比べて、アンテナが放射する電波の主ビーム方向以外の方向を、導体、誘電体、又は、導体と誘電体とを含む導誘電体で形成した壁で覆われる点が異なる。
【0106】
具体的には、テーパスロットアンテナ120の電波の放射方向を除く側面を、側板1211、側板1212、上板1213、底板1214、奥板1215で覆う。側板1211、側板1212、上板1213、底板1214、及び奥板1215は、導体棒や導体格子と誘電体の組み合わせにより形成してもよい。
【0107】
[実施の形態13]
図16は、実施の形態13に係る直交テーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図16に示すように、実施の形態13に係る直交テーパスロットアンテナ130は、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20と比べて、同一形状をした第1テーパスロットアンテナ131と第2テーパスロットアンテナ132とを縦と横で直交させ、接合部分133で接合し配置した点が異なる。
【0108】
第1テーパスロットアンテナ131と第2テーパスロットアンテナ132のそれぞれは、実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ20を使用してもよい。
【0109】
直交テーパスロットアンテナ130は、第1テーパスロットアンテナ131と第2テーパスロットアンテナ132という2つのアンテナを縦と横に配置するため、2つの給電部(図示せず)が必要となる。第1テーパスロットアンテナ131と第2テーパスロットアンテナ132のそれぞれは、垂直偏波及び水平偏波の広帯域アンテナとして使用できる。
【0110】
直交テーパスロットアンテナ130の詳細を以下に記載する。
直交テーパスロットアンテナ130は、第1テーパスロットアンテナ131と第2テーパスロットアンテナ132とを備える。
【0111】
第1テーパスロットアンテナ131は、第1アンテナ中央導体板と、第1アンテナ第1テーパ導体板と、第1アンテナ第2テーパ導体板と、第1アンテナ第3テーパ導体板と、第1アンテナ第4テーパ導体板と、を有する。
【0112】
第1アンテナ中央導体板は、第1アンテナ短絡部分と、第1アンテナ短絡部分の一部と結合する第1アンテナ第1部分と、第1アンテナ短絡部分の別の一部と結合する第1アンテナ第2部分と、を有する。第1アンテナ中央導体板は、第1アンテナ第1部分と第1アンテナ第2部分との間に第1アンテナスリットを形成した略コの字型形状をしている。
【0113】
第1アンテナ第1テーパ導体板は、第1アンテナ第1部分から延び、テーパ形状をしている。
【0114】
第1アンテナ第2テーパ導体板は、第1アンテナ第2部分から延び、テーパ形状をしている。
【0115】
第1アンテナ第3テーパ導体板は、第1アンテナ第2部分から第1アンテナ第1部分に向かう方向から見て、第1アンテナ第1テーパ導体板と所定の角度を成す。第1アンテナ第3テーパ導体板は、第1アンテナ第1部分から延び、テーパ形状をしている。
【0116】
第1アンテナ第4テーパ導体板は、第1アンテナ第2部分から第1アンテナ第1部分に向かう方向から見て、第1アンテナ第2テーパ導体板と所定の角度を成す。第1アンテナ第4テーパ導体板は、第1アンテナ第2部分から延び、テーパ形状をしている。
【0117】
第1アンテナ第1テーパ導体板の延びた先の先端と第1アンテナ第2テーパ導体板の延びた先の先端との間の距離は、第1アンテナ第1テーパ導体板の第1アンテナスリットに近い端と第1アンテナ第2テーパ導体板の第1アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長い。
【0118】
第1アンテナ第3テーパ導体板の延びた先の先端と第1アンテナ第4テーパ導体板の延びた先の先端との間の距離は、第1アンテナ第3テーパ導体板の第1アンテナスリットに近い端と第1アンテナ第4テーパ導体板の第1アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長い。第1アンテナ第1部分と第1アンテナ第2部分に給電を行う。
【0119】
第2テーパスロットアンテナ132は、第2アンテナ中央導体板と、第2アンテナ第1テーパ導体板と、第2アンテナ第2テーパ導体板と、第2アンテナ第3テーパ導体板と、第2アンテナ第4テーパ導体板と、を有する。
【0120】
第2アンテナ中央導体板は、第2アンテナ短絡部分と、第2アンテナ短絡部分の一部と結合する第2アンテナ第1部分と、第2アンテナ短絡部分の別の一部と結合する第2アンテナ第2部分と、を有する。第2アンテナ中央導体板は、第2アンテナ第1部分と第2アンテナ第2部分との間に第2アンテナスリットを形成した略コの字型形状をしている。
【0121】
第2アンテナ第1テーパ導体板は、第2アンテナ第1部分から延び、テーパ形状をしている。
【0122】
第2アンテナ第2テーパ導体板は、第2アンテナ第2部分から延び、テーパ形状をしている。
【0123】
第2アンテナ第3テーパ導体板は、第2アンテナ第2部分から第2アンテナ第1部分に向かう方向から見て、第2アンテナ第1テーパ導体板と所定の角度を成す。第2アンテナ第3テーパ導体板は、第1アンテナ第1部分から延び、テーパ形状をしている。
【0124】
第2アンテナ第4テーパ導体板は、第2アンテナ第2部分から第2アンテナ第1部分に向かう方向から見て、第2アンテナ第2テーパ導体板と所定の角度を成す。第2アンテナ第4テーパ導体板は、第2アンテナ第2部分から延び、テーパ形状をしている。
【0125】
第2アンテナ第1テーパ導体板の延びた先の先端と第2アンテナ第2テーパ導体板の延びた先の先端との間の距離は、第2アンテナ第1テーパ導体板の第2アンテナスリットに近い端と第2アンテナ第2テーパ導体板の第2アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長い。
【0126】
第2アンテナ第3テーパ導体板の延びた先の先端と第2アンテナ第4テーパ導体板の延びた先の先端との間の距離は、第2アンテナ第3テーパ導体板の第2アンテナスリットに近い端と第2アンテナ第4テーパ導体板の第2アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長い。第2アンテナ第1部分と第2アンテナ第2部分に給電を行う。
【0127】
第1アンテナ第2部分から第1アンテナ第1部分に向かう方向と、第2アンテナ第2部分から第2アンテナ第1部分に向かう方向と、が直交するように、第1アンテナ中央導体板と第2アンテナ中央導体板とが交差する。
【0128】
[実施の形態14]
図17は、実施の形態14に係る直交テーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図17に示すように、実施の形態14に係る直交テーパスロットアンテナ140は、実施の形態13に係る直交テーパスロットアンテナ130と比べて、第1テーパスロットアンテナ141と第2テーパスロットアンテナ142が放射する電波の主ビーム方向以外の方向を、導体、誘電体、又は、導体と誘電体とを含む導誘電体で形成した壁で覆われる点が異なる。
【0129】
具体的には、直交テーパスロットアンテナ140の電波の放射方向を除く側面を、側板1411、側板1412、上板1413、底板1414、奥板1415で覆う。側板1411、側板1412、上板1413、底板1414、奥板1415は、導体棒や導体格子と誘電体の組み合わせにより形成してもよい。
【0130】
[実施の形態15]
図18は、実施の形態15に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
【0131】
図18に示すように、実施の形態15に係るテーパスロットアンテナ150は、第1部分1591(スリットStの上側の部分)と同軸ケーブル1501の中心導体1503とを電気的に接続する。また、第2部分1592(スリットStの下側の部分)と同軸ケーブル1501の外部導体1504とを電気的に接続する。このようにしてテーパスロットアンテナ150に給電する。接続は、例えば、接触、はんだ付け、ねじ止め等の方法で行う。
【0132】
[実施の形態16]
図19は、実施の形態16に係るテーパスロットアンテナを例示する斜視図である。
図19は、導体板にある程度の厚さが有るテーパスロットアンテナを例示する。
【0133】
図19に示すように、実施の形態16に係るテーパスロットアンテナ160は、同軸ケ-ブル1601で第2部分1692(下側の導体板の内部)を貫通させる。中心導体1603を、第1部分1691(スリットStの上側)に電気的に接続し、外部導体1604を第2部分1692(スリットStの下側)に電気的に接続する。接続は、例えば、接触、はんだ付け、ねじ止め等の方法で行う。
【0134】
尚、
図19に示すような導体板にある程度の厚さが有るテーパスロットアンテナ160の場合でも、
図18に示すような接続が可能である。
【0135】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0136】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
短絡部分と、前記短絡部分の一部と結合する第1部分と、前記短絡部分の別の一部と結合する第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分との間にスリットを形成した略コの字型形状の中央導体板と、
前記第1部分から延びるテーパ形状の第1テーパ導体板と、
前記第2部分から延びるテーパ形状の第2テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1部分から延びるテーパ形状の第3テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2部分から延びるテーパ形状の第4テーパ導体板と、
を備え、
前記第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第2テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第3テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第4テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1部分と前記第2部分に給電を行う、
分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記2)
前記第2テーパ導体板は、前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第1テーパ導体板と対称な形状であり、
前記第4テーパ導体板は、前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第3テーパ導体板と対称な形状である、
付記1に記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記3)
前記第2テーパ導体板は、前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第1テーパ導体板と非対称な形状であり、
前記第4テーパ導体板は、前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第3テーパ導体板と非対称な形状である、
付記1に記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記4)
前記第1部分に第1電位を与え、前記第2部分に前記第1電位よりも低い第2電位を与えることにより前記給電を行う給電部をさらに備える、
付記1から3のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記5)
前記第1テーパ導体板の前記近い端から第1所定距離における前記第1テーパ導体板と前記第2テーパ導体板との間の距離は、前記第1テーパ導体板の前記近い端から前記第1所定距離よりも長い第2所定距離における前記第1テーパ導体板と前記第2テーパ導体板との間の距離よりも短く、
前記第3テーパ導体板の前記近い端から第3所定距離における前記第3テーパ導体板と前記第4テーパ導体板との間の距離は、前記第3テーパ導体板の前記近い端から前記第3所定距離よりも長い第4所定距離における前記第3テーパ導体板と前記第4テーパ導体板との間の距離よりも短い、
付記1から4のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記6)
前記第1テーパ導体板と前記第3テーパ導体板のそれぞれは、前記中央導体板に垂直な方向から見て略三角形の形状をしており、
前記第1テーパ導体板の前記先端から前記第1テーパ導体板の前記近い端まで、前記第2テーパ導体板の前記先端から前記第2テーパ導体板の前記近い端まで、前記第3テーパ導体板の前記先端から前記第3テーパ導体板の前記近い端まで、及び前記第4テーパ導体板の前記先端から前記第4テーパ導体板の前記近い端までのそれぞれの形状は、曲線状、又は、直線状である、
付記1から5のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記7)
前記第1テーパ導体板と前記第2テーパ導体板のそれぞれは、前記中央導体板に垂直な方向から見て略三角形の形状をしており、
前記第1テーパ導体板の前記先端から前記第1テーパ導体板の前記近い端まで、前記第2テーパ導体板の前記先端から前記第2テーパ導体板の前記近い端まで、前記第3テーパ導体板の前記先端から前記第3テーパ導体板の前記近い端まで、及び前記第4テーパ導体板の前記先端から前記第4テーパ導体板の前記近い端までのそれぞれの形状は、複数の直線の組み合わせ、複数の曲線の組み合わせ、及び、複数の直線と複数の曲線との組み合わせのうちのいずれかの形状である、
付記1から5のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記8)
前記スリットは、前記短絡部分に向かう方向にさらに延びる、
付記1から7のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記9)
前記スリットの前記延びた部分は、前記中央導体板に垂直な方向から見て所定の形状である、
付記8に記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記10)
前記所定の形状は、円形状、又は、扇形状である、
付記9に記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記11)
前記第1テーパ導体板の前記先端から前記第1テーパ導体板の前記近い端までの長さは、所定長よりも短い、
付記1から10のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記12)
自テーパスロットアンテナの形状は、前記第2テーパ導体板から前記第1テーパ導体板に向かう方向から見て、前記第1テーパ導体板の前記先端に向かう程、前記第1テーパ導体板と前記第3テーパ導体板との間の距離が長くなる形状を有する、
付記1から11のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記13)
自テーパスロットアンテナの形状は、前記第2テーパ導体板から前記第1テーパ導体板に向かう方向から見て、略V字型、略U字型、略コの字型、及び略W字型のうちのいずれか1つの形状である、
付記1から11のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記14)
前記第1部分から延びるテーパ形状の第5テーパ導体板と、
前記中央導体板に垂直な方向から見て、前記第5テーパ導体板と対称な形状となるように前記第2部分から延びるテーパ形状の第6テーパ導体板と、
をさらに備える、
付記1から13のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記15)
前記第1テーパ導体板は、前記第1部分から延びる方向と交差する方向に第1テーパ第1側面を有し、
前記第2テーパ導体板は、前記第2部分から延びる方向と交差する方向に第2テーパ第1側面を有し、
前記第1テーパ第1側面から延びるテーパ形状の第7テーパ導体板と、
前記第2テーパ第1側面から延びるテーパ形状の第8テーパ導体板と、
をさらに備え、
前記第7テーパ導体板の前記延びる方向と長さは、前記第8テーパ導体板の前記延びる方向と長さとは、異なる
付記1から14のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記16)
前記中央導体板の前記中央導体板に垂直な方向の厚さ、前記第1テーパ導体板の前記第1テーパ導体板に垂直な方向の厚さ、前記第2テーパ導体板の前記第2テーパ導体板に垂直な方向の厚さ、前記第3テーパ導体板の前記第3テーパ導体板に垂直な方向の厚さ、及び、前記第4テーパ導体板の前記第4テーパ導体板に垂直な方向の厚さは、自テーパスロットアンテナで使用する最低使用周波数の波長の10分の1以下である、
付記1から15のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記17)
前記第1部分と同軸ケーブルの中心導体とを接続し、前記第2部分と前記同軸ケーブルの外部導体とを電気的に接続することにより自テーパスロットアンテナに給電する、
付記1から16のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記18)
前記所定の角度は、29度以上35度以下である、
付記1から17のいずれか1つに記載の分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記19)
短絡部分と、前記短絡部分の一部と結合する第1部分と、前記短絡部分の別の一部と結合する第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第2部分との間にスリットを形成した略コの字型形状の中央導体板と、
前記第1部分から延びるテーパ形状の第1テーパ導体板と、
前記第2部分から延びるテーパ形状の第2テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1部分から延びるテーパ形状の第3テーパ導体板と、
前記第2部分から前記第1部分に向かう方向から見て、前記第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2部分から延びるテーパ形状の第4テーパ導体板と、
を備え、
前記第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第2テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第3テーパ導体板の前記スリットに近い端と前記第4テーパ導体板の前記スリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1部分と前記第2部分に給電を行い、
分岐形状のテーパスロットアンテナは、前記分岐形状のテーパスロットアンテナが放射する電波の主ビーム方向以外の方向を、導体、誘電体、又は、導体と誘電体とを含む導誘電体で形成した壁で覆われる、
分岐形状のテーパスロットアンテナ。
(付記20)
第1テーパスロットアンテナと第2テーパスロットアンテナとを備え、
前記第1テーパスロットアンテナは、
第1アンテナ短絡部分と、前記第1アンテナ短絡部分の一部と結合する第1アンテナ第1部分と、前記第1アンテナ短絡部分の別の一部と結合する第1アンテナ第2部分と、を有し、前記第1アンテナ第1部分と前記第1アンテナ第2部分との間に第1アンテナスリットを形成した略コの字型形状の第1アンテナ中央導体板と、
前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第1テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第2テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第1アンテナ第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第3テーパ導体板と、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第1アンテナ第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第1アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第1アンテナ第4テーパ導体板と、を有し、
前記第1アンテナ第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第1アンテナ第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1アンテナ第1テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端と前記第1アンテナ第2テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1アンテナ第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第1アンテナ第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第1アンテナ第3テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端と前記第1アンテナ第4テーパ導体板の前記第1アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第1アンテナ第1部分と前記第1アンテナ第2部分に給電を行い、
前記第2テーパスロットアンテナは、
第2アンテナ短絡部分と、前記第2アンテナ短絡部分の一部と結合する第2アンテナ第1部分と、前記第2アンテナ短絡部分の別の一部と結合する第2アンテナ第2部分と、を有し、前記第2アンテナ第1部分と前記第2アンテナ第2部分との間に第2アンテナスリットを形成した略コの字型形状の第2アンテナ中央導体板と、
前記第2アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第1テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第2テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第2アンテナ第1テーパ導体板と所定の角度を成し、前記第1アンテナ第1部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第3テーパ導体板と、
前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向から見て、前記第2アンテナ第2テーパ導体板と前記所定の角度を成し、前記第2アンテナ第2部分から延びるテーパ形状の第2アンテナ第4テーパ導体板と、を有し、
前記第2アンテナ第1テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2アンテナ第2テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第2アンテナ第1テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端と前記第2アンテナ第2テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第2アンテナ第3テーパ導体板の前記延びた先の先端と前記第2アンテナ第4テーパ導体板の前記延びた先の先端との間の距離は、前記第2アンテナ第3テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端と前記第2アンテナ第4テーパ導体板の前記第2アンテナスリットに近い端との間の距離よりも長く、
前記第2アンテナ第1部分と前記第2アンテナ第2部分に給電を行い、
前記第1アンテナ第2部分から前記第1アンテナ第1部分に向かう方向と、前記第2アンテナ第2部分から前記第2アンテナ第1部分に向かう方向と、が直交するように、前記第1アンテナ中央導体板と前記第2アンテナ中央導体板とが交差する、
分岐形状の直交テーパスロットアンテナ。
(付記21)
前記第1テーパスロットアンテナと前記第2テーパスロットアンテナが放射する電波の主ビーム方向以外の方向を、導体、誘電体、又は、導体と誘電体とを含む導誘電体で形成した壁で覆われる、
付記20に記載の分岐形状の直交テーパスロットアンテナ。
【符号の説明】
【0137】
10…テーパスロットアンテナ
11…第1テーパ導体板
12…第2テーパ導体板
13…第3テーパ導体板
14…第4テーパ導体板
19…中央導体板
191…第1部分
192…第2部分
193…短絡部分
194…給電部
P11f、P12f、P13f、P14f…先端
P11n、P12n、P13n、P14n…近い端
D1f、D3f、D1n、D3n、D1、D2…距離
11b、12b、13b、14b…端部
P61p、P62p、P107p、P108p…接合部分
101S1…第1テーパ第1側面
102S1…第2テーパ第1側面
L…長さ
L1…第1所定距離
L2…第2所定距離
St…スリット
Ste…くりぬき部
t111、t112、t113、t114、t119…厚さ
θ1…角度