(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】融接合防止方法およびこれを適用したバッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240326BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20240326BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240326BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240326BHJP
B60L 1/00 20060101ALN20240326BHJP
B60L 50/60 20190101ALN20240326BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
H02H7/00 L
H02H7/18
H02J1/00 304H
H02J1/00 309Q
B60L1/00 L
B60L50/60
(21)【出願番号】P 2022538332
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 KR2021007310
(87)【国際公開番号】W WO2021256780
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0074977
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、キフーン
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-284666(JP,A)
【文献】特開2018-138400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0123363(US,A1)
【文献】特開平04-344129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/00
H02H 7/18
H02J 1/00
B60L 1/00
B60L 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルを含むバッテリーと、
前記バッテリーの一方の極と第1出力端との間に連結されている第1メインリレーと、
前記第1メインリレーに対して並列に連結されているプリチャジリレーと、
前記バッテリーの他方の極と第2出力端との間に連結されている第2メインリレーと、
前記バッテリーの充放電を制御し、前記第1メインリレー、前記プリチャジリレー、および前記第2メインリレーを制御するバッテリー管理システムと、を含み、
前記第1メインリレー、前記プリチャジリレー、前記第2メインリレー、および前記バッテリー管理システムは、外部の
鉛蓄電池から電源電圧の供給を受け、
前記バッテリー管理システムは、前記電源電圧が所定の基準電圧以下である時、前記第1メインリレー、前記プリチャジリレー、前記第2メインリレーを開放し、前記電源電圧が前記基準電圧より高い時、前記プリチャジリレーおよび前記第2メインリレーを閉じてプリチャジを行い、前記プリチャジが完了した後に前記第1メインリレーを閉じる、バッテリーシステム。
【請求項2】
前記バッテリー管理システムは、
前記電源電圧が前記基準電圧以下である時、前記第1メインリレー、前記プリチャジリレー、および前記第2メインリレーを開放した後、
前記プリチャジリレーおよび前記第2メインリレーを閉じる制御電圧を供給し、前記電源電圧が前記基準電圧より高いと、前記プリチャジリレーおよび前記第2メインリレーを閉じる、請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項3】
前記バッテリー管理システムは、
前記プリチャジが完了した後、前記第1メインリレーを閉じた後に、前記プリチャジリレーを開放する、請求項1または2に記載のバッテリーシステム。
【請求項4】
前記電源電圧が前記基準電圧以下であるか否かを感知するための比較器と、
前記比較器の出力である比較信号が入力されるセット端、リセット信号が入力されるリセット端、および前記比較信号および前記リセット信号により決定された感知信号を出力する出力端を備えるSRラッチと、をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーシステム。
【請求項5】
前記バッテリー管理システムは、
前記感知信号が前記比較信号により論理1に対応するレベルに変更する時、前記電源電圧が前記基準電圧以下であることを感知する、請求項4に記載のバッテリーシステム。
【請求項6】
前記バッテリー管理システムは、
前記プリチャジが完了した後、前記リセット信号を論理1に対応するレベルに変更する、請求項4または5に記載のバッテリーシステム。
【請求項7】
前記バッテリー管理システムは、
前記論理1に対応するレベルのリセット信号により前記感知信号が論理0に対応するレベルに変更したことを確認した後、前記リセット信号を論理0に対応するレベルに変更する、請求項5または6に記載のバッテリーシステム。
【請求項8】
前記基準電圧は、
前記電源電圧が前記バッテリー管理システムを駆動させることができるレベルであり、前記第1メインリレー、前記第2メインリレー、および前記プリチャジリレーを動作させるには低いレベルであることを感知するためのレベルに設定される、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーシステム。
【請求項9】
バッテリー、前記バッテリーに対する電流経路を提供する第1メインリレー、第2メインリレー、プリチャジリレー、およびSRラッチを含むバッテリーシステムに適用された融接合防止方法において、
前記SRラッチの出力である感知信号を利用して電源電圧が所定の基準電圧以下であるか否か判断する段階と、
前記判断の結果、前記電源電圧が前記基準電圧以下である時、前記第1メインリレー、前記第2メインリレー、および前記プリチャジリレーを開放する段階と、
前記開放する段階以降、前記電源電圧が前記基準電圧より高い時、前記プリチャジリレーおよび前記第2メインリレーを閉じてプリチャジを行う段階と、
前記プリチャジが完了した後、前記第1メインリレーを閉じる段階と、
前記第1メインリレーを閉じた後、前記プリチャジリレーを開放する段階と、を含み、
前記電源電圧は、前記第1メインリレー、前記第2メインリレー、および前記プリチャジリレーに供給される電圧であり、
前記プリチャジリレーは、前記第1メインリレーに対して並列に連結されている、融接合防止方法。
【請求項10】
前記プリチャジリレーを開放した後、前記感知信号をリセットさせるために前記SRラッチのリセット端に論理1に対応するレベルのリセット信号を供給する段階をさらに含む、請求項9に記載の融接合防止方法。
【請求項11】
前記感知信号がリセットされたか否か判断する段階と、
前記感知信号がリセットされた後、前記リセット信号を論理0に対応するレベルに変更する段階と、をさらに含む、請求項10に記載の融接合防止方法。
【請求項12】
前記基準電圧は、
前記電源電圧がバッテリー管理システムを駆動させることができるレベルであり、前記第1メインリレー、前記第2メインリレー、および前記プリチャジリレーを動作させるには低いレベルであることを感知するためのレベルに設定される、請求項9から11のいずれか一項に記載の融接合防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願(ら)との相互引用]
本出願は、2020年6月19日付韓国特許出願第10-2020-0074977号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本開示は、融接合防止方法およびこれを適用したバッテリーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
低温始動時、一般的な状況より鉛蓄電池の電圧が瞬間的により大幅に下降する現象が発生する。このような場合、バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)ボードに供給される電圧はBMSボードが動作できる電圧レベルであるが、リレーに供給される電圧はリレーが動作できる電圧レベルに至らないことがある。そうすると、リレーが開かれる現象が発生することがある。BMSボードは動作することができるため、BMSボードはリレーを閉じようとする試みをする。このような条件で、低温始動が完了して鉛蓄電池の電圧が正常に復帰された場合、プリチャジなしにメインリレーが閉じられてメインリレーが融接合(melt bonding)されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーの融接合を防止することができる方法およびこれを適用したバッテリーシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の一特徴によるバッテリーシステムは、複数のバッテリーセルを含むバッテリー;前記バッテリーの一方の極と第1出力端との間に連結されている第1メインリレー;前記第1メインリレーに対して並列に連結されているプリチャジリレー;前記バッテリーの他方の極と第2出力端との間に連結されている第2メインリレー;および前記バッテリーの充放電を制御し、前記第1メインリレー、前記プリチャジリレー、および前記第2メインリレーを制御するバッテリー管理システムを含み、前記第1メインリレー、前記プリチャジリレー、前記第2メインリレー、および前記バッテリー管理システムは、外部の鉛蓄電池から電源電圧の供給を受け、前記バッテリー管理システムは、前記電源電圧が所定の基準電圧以下である時、前記第1メインリレー、前記プリチャジリレー、前記第2メインリレーを開放し、前記電源電圧が前記基準電圧以上である時、前記プリチャジリレーおよび前記第2メインリレーを閉じてプリチャジを行い、前記プリチャジが完了した後に前記第1メインリレーを閉じる。
【0006】
前記バッテリー管理システムは、前記電源電圧が前記基準電圧以下である時、前記第1メインリレー、前記プリチャジリレー、および前記第2メインリレーを開放した後、前記プリチャジリレーおよび前記第2メインリレーを閉じる制御電圧を供給し、前記電源電圧が前記基準電圧以上であれば、前記プリチャジリレーおよび前記第2メインリレーが閉じられ得る。
【0007】
前記バッテリー管理システムは、前記プリチャジが完了した後、前記第1メインリレーを閉じた後に、前記プリチャジリレーを開放することができる。
【0008】
前記バッテリーシステムは、前記電源電圧が前記基準電圧以下であるか否かを感知するための比較器、および前記比較器の出力である比較信号が入力されるセット端、リセット信号が入力されるリセット端、および前記比較信号および前記リセット信号により決定された感知信号を出力する出力端を含むSRラッチをさらに含むことができる。
【0009】
前記バッテリー管理システムは、前記感知信号が前記比較信号により論理1に対応するレベルに変更する時、前記電源電圧が前記基準電圧以下であることを感知することができる。
【0010】
前記バッテリー管理システムは、前記プリチャジ完了後、前記リセット信号を論理1に対応するレベルに変更することができる。
【0011】
前記バッテリー管理システムは、前記論理1に対応するレベルのリセット信号により前記感知信号が論理0に対応するレベルに変更したことを確認した後、前記リセット信号を論理0に対応するレベルに変更することができる。
【0012】
発明の他の特徴による、バッテリー、前記バッテリーに対する電流経路を提供する第1メインリレー、第2メインリレー、プリチャジリレー、およびSRラッチを含むバッテリーシステムの融接合防止方法は、前記SRラッチの出力である感知信号を利用して電源電圧が所定の基準電圧以下であるか否か判断する段階;前記判断結果、前記電源電圧が前記基準電圧以下である時、前記第1および第2メインリレー、および前記プリチャジリレーを開放する段階;前記開放段階以降、前記電源電圧が前記基準電圧以上である時、前記プリチャジリレーおよび前記第2メインリレーを閉じてプリチャジを行う段階;前記プリチャジが完了した後、前記第1メインリレーを閉じる段階;および前記第1メインリレーを閉じた後、前記プリチャジリレーを開放する段階を含む。前記電源電圧は、前記第1および第2メインリレー、および前記プリチャジリレーに供給される電圧であり、前記プリチャジリレーは、前記第1メインリレーに対して並列に連結されている。
【0013】
前記バッテリーシステムの融接合防止方法は、前記プリチャジリレーを開放した後、前記感知信号をリセットさせるために前記SRラッチのリセット端に論理1に対応するレベルのリセット信号を供給する段階をさらに含むことができる。
【0014】
前記バッテリーシステムの融接合防止方法は、前記感知信号がリセットされたか否か判断する段階;および前記感知信号がリセットされており、前記リセット信号を論理0に対応するレベルに変更する段階をさらに含むことができる。
【0015】
前記基準電圧は、前記電源電圧が前記バッテリー管理システムを駆動させることができるレベルであり、前記第1メインリレー、前記第2メインリレー、および前記プリチャジリレーを動作させるには低いレベルであることを感知するためのレベルに設定され得る。
【発明の効果】
【0016】
リレーの融接合を防止することができる方法およびこれを適用したバッテリーシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態によるバッテリーシステムを示す図面である。
【
図2】一実施形態による融接合防止方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して本明細書に開示された実施形態を詳細に説明するが、同一または類似の構成要素には同一または類似の図面符号を付与し、これについての重複説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」および/または「部」は、明細書作成の容易さだけを考慮して付与されたり混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施形態を説明するに当たり、関連した公知技術に対する具体的な説明が本明細書に開示された実施形態の要旨を不明確にし得ると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付した図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面により本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むものと理解されなければならない。
【0019】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素は前記用語により限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0020】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、または接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0021】
本出願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0022】
図1は一実施形態によるバッテリーシステムを示す図面である。
【0023】
図1のバッテリーシステム1は、車両に装着されて車両を駆動するためのモータなどの電装負荷3に電力を供給する電源であり得る。同時に、電装負荷3の代わりに出力端P+、P-に充電器が連結され、バッテリーシステム1は充電器から供給される電力により充電され得る。
【0024】
バッテリーシステム1は、バッテリー10、バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)20、第1メインリレー30、第2メインリレー40、プリチャジ(precharge)リレー50、プリチャジ抵抗60、電流センサー70、リンクキャパシタ80、ヒューズ90、および融接合防止部100を含むことができる。
【0025】
鉛蓄電池2は、ボード4、第1メインリレー30、第2メインリレー40、およびプリチャジリレー50に電源電圧VSを供給する。
鉛蓄電池2は、車両の電装負荷にも電源電圧VSを供給することができる。ボード4には、BMS20および融接合防止部100などが位置することができる。
図1に示されたボード4に追加的な構成がさらに位置することができる。
【0026】
図1に示されているように、バッテリー10は、直列に連結された複数のバッテリーセル11-15を含む。
図1ではバッテリー10が5個のバッテリーセル11-15を含むものと示されているが、これは一例であり、発明がこれに限定されない。
【0027】
ヒューズ90は、バッテリー10の正極と出力端P+との間に連結されて過度電流によりその温度が臨界値に到達すれば切れる。
【0028】
電流センサー70は、バッテリー10に流れる電流(以下、バッテリー電流)を感知し、電流センサー70は、感知された電流を指示する信号をBMS20に伝送することができる。
【0029】
BMS20は、複数のバッテリーセル11-15に連結されて、複数のバッテリーセル11-15のセル電圧を測定し、バッテリー電流およびバッテリー10の温度などの情報を受信し、複数のバッテリーセル11-15のセル電圧、バッテリー電流、温度などに基づいてバッテリー10の充放電電流を制御し、複数のバッテリーセル11-15に対するセルバランシング動作を制御することができる。BMS20の動作に必要な電源電圧VSは鉛蓄電池2から供給され得る。
【0030】
BMS20は、融接合防止部100から入力される感知信号QSに基づいて第1メインリレー30、第2メインリレー40、およびプリチャジリレー50の動作を制御することができる。例えば、電源電圧VSが所定の基準電圧VR以下に減少することを指示する感知信号QSが融接合防止部100から受信されると、全てのリレー30-50を開放した後、プリチャジリレー50と第2メインリレー40を閉じて、プリチャジ動作が所定期間の間に行われるようにする。次に、BMS20は、第1メインリレー30を閉じてプリチャジリレー50を開放する。その後、BMS20は、融接合防止部100をリセットして感知信号QSをリセットすることができる。
【0031】
第1メインリレー30、第2メインリレー40、およびプリチャジリレー50は、バッテリー10に対する充電電流または放電電流が流れることができるように電流経路を形成する。プリチャジリレー50は、第1メインリレー30に対して並列に連結されている。
【0032】
第1メインリレー30は、スイッチ31、インダクタ32、および制御スイッチ33を含む。スイッチ31の一端はバッテリー10の正極に連結されており、スイッチ31の他端は出力端P+に連結されており、インダクタ32に電流が流れる時、スイッチ31は閉じられ、インダクタ32に電流が流れなければ開かれ得る。インダクタ32の一端はグラウンドに連結され、インダクタ32の他端は制御スイッチ33の一端に連結されている。制御スイッチ33の他端には電源電圧VSが供給され、制御スイッチ33はBMS20から供給される制御電圧VG1によりスイッチングする。例えば、制御電圧VG1がオンレベルである時、制御スイッチ33はオンされ、制御電圧VG1がオフレベルである時、制御スイッチ33はオフされる。
【0033】
第2メインリレー40は、スイッチ41、インダクタ42、および制御スイッチ43を含む。スイッチ41の一端はバッテリー10の負極に連結されており、スイッチ41の他端は出力端P-に連結されており、インダクタ42に電流が流れる時、スイッチ41は閉じられ、インダクタ42に電流が流れなければ開かれ得る。インダクタ42の一端はグラウンドに連結され、インダクタ42の他端は制御スイッチ43の一端に連結されている。制御スイッチ43の他端には電源電圧VSが供給され、制御スイッチ43はBMS20から供給される制御電圧VG2によりスイッチングする。例えば、制御電圧VG2がオンレベルである時、制御スイッチ43はオンされ、制御電圧VG2がオフレベルである時、制御スイッチ43はオフされる。
【0034】
プリチャジリレー50は、プリチャジ抵抗60と共に第1メインリレー30に並列に連結されており、スイッチ51、インダクタ52、および制御スイッチ53を含む。スイッチ51の一端はバッテリー10の正極に連結されており、スイッチ51の他端はプリチャジ抵抗60の一端に連結されており、インダクタ52に電流が流れる時、スイッチ51は閉じられ、インダクタ52に電流が流れなければ開かれ得る。インダクタ52の一端はグラウンドに連結され、インダクタ52の他端は制御スイッチ53の一端に連結されている。制御スイッチ53の他端には電源電圧VSが供給され、制御スイッチ53はBMS20から供給される制御電圧VG3によりスイッチングする。例えば、制御電圧VG3がオンレベルである時、制御スイッチ53はオンされ、制御電圧VG3がオフレベルである時、制御スイッチ53はオフされる。
【0035】
プリチャジ抵抗60の他端は出力端P+に連結されている。リンクキャパシタ80は出力端P+と出力端P-との間に連結されて、バッテリー10から電装負荷3に供給される出力電圧のノイズ成分をフィルタリングしたり、出力電圧の急激な変化を減少させることができる。
【0036】
融接合防止部100は、比較器101、およびSRラッチ102を含む。
【0037】
比較器101は、入力端(+)の電圧が入力端(-)の電圧以上であれば論理"1"を指示するハイレベルの比較信号CMを出力し、入力端(+)の電圧が入力端(-)の電圧より低ければ、論理"0"を指示するローレベルの比較信号CMを出力することができる。比較器101の入力端(-)には電源電圧VSが入力され、比較器101の入力端(+)には基準電圧VRが入力され得る。電源電圧VSがBMS20を駆動させることができるレベルであるが、第1メインリレー30、第2メインリレー40、およびプリチャジリレー50を動作させるには低いレベルであることを感知するためのレベルに基準電圧VRが設定され得る。例えば、バッテリーシステム1を装着した車両の正常な始動時、電源電圧が13Vであるが、低温始動時、ボード4に入る電源電圧VSが数十ミリ秒(ms)の間に5.5Vに下がってから13Vに上がることがある。この時、5.5VはBMS20を動作させることができる電圧レベルであるが、第1メインリレー30、第2メインリレー40、およびプリチャジリレー50の動作電圧としては足りないレベルである。そのために、基準電圧VRを5.5Vに設定することができる。
【0038】
SRラッチ102は、セット端Sに入力される信号に基づいて出力端Qの感知信号QSを決定し、リセット端Rに入力される信号に基づいて出力端Qの感知信号QSをリセットする。例えば、セット端Sの入力信号が論理"1"に対応するハイレベルである時、感知信号QSはハイレベルになり、リセット端Rの入力信号が論理"1"に対応するハイレベルである時、感知信号QSはローレベルになる。セット端Sおよびリセット端Rの入力が論理"0"に対応するローレベルである時、感知信号QSは維持される。比較器101の出力である比較信号CMがハイレベルであれば、SRラッチ102はハイレベルの感知信号QSを生成し、リセット端Rの入力がハイレベルであれば感知信号QSをローレベルにリセットすることができる。
【0039】
以下、
図2を参照して一実施形態による融接合防止方法を説明する。
【0040】
図2は一実施形態による融接合防止方法を示すフローチャートである。
【0041】
まず、BMS20は感知信号QSが論理"1"を指示するハイレベルであるか否か判断する(S1)。感知信号QSが"1"でない論理"0"を指示するローレベルである時、持続的にS1段階を繰り返す。感知信号QSが論理1を指示することは、電源電圧VSが基準電圧VR以下であることを意味する。
【0042】
S1段階の判断結果、感知信号QSが"1"である時、BMS20は全てのリレーを開放する(S2)。つまり、第1メインリレー30、第2メインリレー40、およびプリチャジリレー50の以前の状態に関係なしに全て開放する。
【0043】
次に、BMS20は、プリチャジリレー50および第2メインリレー40を閉じるためのオンレベルの制御電圧VG2および制御電圧VG3をプリチャジリレー50および第2メインリレー40に出力する。電源電圧VSが基準電圧VR以上である正常状態であれば、オンレベルの制御電圧VG2、VG3によりプリチャジリレー50および第2メインリレー40が閉じられる(S3)。そうすると、バッテリー10、プリチャジリレー50、プリチャジ抵抗60、および第2メインリレー40を通じて流れる電流によりプリチャジが行われる。プリチャジ電流によりリンクキャパシタ80が充電される。
【0044】
もし、電源電圧VSが基準電圧VR未満であれば、オンレベルの制御電圧VG2、VG3であるにもかかわらず、電源電圧VSが低いため、プリチャジリレー50および第2メインリレー40は閉じられない。以降、電源電圧VSが基準電圧VR以上になるとプリチャジリレー50および第2メインリレー40が閉じられる。
【0045】
フリーチャージによりリンクキャパシタ80の両端電圧であるリンク電圧がバッテリー10の両端電圧に対して所定比率に到達すればプリチャジが完了したと判断され得る。BMS20は、リンク電圧を感知してプリチャジ完了有無を判断する(S4)。所定比率は95~97%範囲内で設定され得る。S4段階の判断結果、リンク電圧がバッテリー10の両端電圧に対して所定比率に至らなかった場合、プリチャジは継続して行われ、S4段階を持続的に繰り返す。
【0046】
S4段階の判断結果、プリチャジが完了すると、BMS20は第1メインリレー30を閉じ、プリチャジリレー50を開放する(S5)。第1メインリレー30の閉じられる時点とプリチャジリレー50の開放時点との間に所定の時間遅延があり得る。
【0047】
次に、BMS20は、リセット信号RSを論理"1"に対応するハイレベルで生成する(S6)。そうすると、SRラッチ102のリセット端Rにハイレベルが入力されて感知信号QSは論理"0"に対応するローレベルに変更され得る。つまり、感知信号QSが初期状態にリセットされる。
【0048】
BMS20は、感知信号QSが"0"であるか否か判断する(S7)。S7段階の判断結果、感知信号QSが0でなければ、BMS20はリセット信号RSを1に維持する。
【0049】
S7段階の判断結果、感知信号QSが0であれば、BMS20はリセット信号RSを論理"0"に対応するローレベルで生成する(S8)。
【0050】
従来の技術は、鉛蓄電池の瞬間的な電圧降下(drop)が発生することを防止するためにキャパシタを利用する。しかし、従来の技術は、鉛蓄電池の電圧降下が数十ミリ秒の間に発生する場合までは考慮していない。数十ミリ秒の電圧降下を防止するためには、多数のキャパシタが必要であり、これによるボードのサイズが大きくなり得るためである。また、従来のソフトウェアで鉛蓄電池の電圧降下を感知してリレー動作を中止する方式は動作速度に問題がある。つまり、ソフトウェアを実行することにかかる時間の問題で電圧降下を感知できない場合が発生し得る。
【0051】
本発明の一実施形態は、ハードウェアを利用して鉛蓄電池の電圧降下を感知することができる。本発明の一実施形態によるバッテリーシステムは、鉛蓄電池の電圧を比較する比較器、および比較器の出力により動作するSRラッチを利用して鉛蓄電池の電圧降下発生を感知することができる。ハードウェアで電圧降下が感知されるため、ソフトウェアの動作速度により逃がし得る瞬間的な電圧降下を感知し、リレーの融接合を防止することができる。
【0052】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されず、本発明の属する分野における通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態も本発明の権利範囲に属する。