(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】溶接ビードの質をモニタリングする方法、関連する溶接ステーション、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
G01N 25/72 20060101AFI20240326BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240326BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240326BHJP
【FI】
G01N25/72 E
B23K26/00 P
B23K26/21 G
(21)【出願番号】P 2022539327
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 IB2020050602
(87)【国際公開番号】W WO2021152344
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】590003342
【氏名又は名称】コマウ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】COMAU SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディ ステファノ、ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】ロンゴ、ニコラ
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-279497(JP,A)
【文献】特開2010-260095(JP,A)
【文献】国際公開第2009/128231(WO,A1)
【文献】特開2019-005809(JP,A)
【文献】特開2015-064311(JP,A)
【文献】特開2016-198805(JP,A)
【文献】特開2019-048309(JP,A)
【文献】特開2008-151653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/72
B23K 26/00
B23K 26/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ゾーン内の溶接ビードの質を分析する方法であって、前記溶接ビードは、連続溶接動作によって生成され、対応する溶接ヘッドを有するソースが発するエネルギービームが、溶接経路を辿り、これにより、少なくとも2つ以上の金属ピースの材料を溶融させ、
サーマルカメラを介して前記溶接ゾーンをモニタリングする段階であって、前記サーマルカメラは、熱画像のシーケンスを提供し、前記熱画像中の所定のエリアは、前記溶接ゾーンに対応する、段階と、
前記エリアを複数のサブエリアに分割し、各サブエリアについて、前記それぞれのサブエリア内の画素の値に応じてそれぞれの温度を決定する段階と、
十分な質と不十分な質との両方で複数の溶接動作が実行される
間に、前記サーマルカメラを介して、各溶接動作中の各サブエリアの温度発展をモニタリングする段階と、
訓練段階において、それぞれの温度発展に応じて溶接の質を推定するよう構成された分類器を訓練するために、
前記複数の溶接動作が実行される間にモニタリングされた前記温度発展を処理する段階であって、
各温度発展からそれぞれの冷却曲線を抽出し、各冷却曲線について、前記冷却曲線の形状を識別する複数のパラメータを決定する段階、および
前記複数のパラメータを前記分類器への入力特徴として使用する段階
を有する、前記温度発展を処理する前記段階と、
通常の溶接動作段階において、前記サーマルカメラを介して、溶接動作中の各サブエリアの前記温度発展をモニタリングし、前記分類器を介して、前記それぞれの溶接の質を推定する段階と
を備え
、
各冷却曲線について、前記冷却曲線の前記形状を識別する複数のパラメータを決定する前記段階は、
前記冷却曲線の前記形状を近似する、複数の基底関数から構成された関数において、前記複数の基底関数にそれぞれ関連付けられた複数のパラメータを繰り返し変える繰り返し計算を行うことによって、コスト関数を最小化するパラメータの組合せを選択する段階と、
前記パラメータの組合せを前記分類器への入力特徴として使用する段階と
を有する、
方法。
【請求項2】
前記
複数の基底関数は指数関数である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
各サブエリアについて、それぞれの温度を決定する前記段階は、前記それぞれのサブエリア内の前記画素の前記値の平均または加重平均を介して前記温度を決定する段階を有する、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
溶接動作を実行する段階、
前記熱画像中の長方形または台形の対象エリアを定義する段階、および
複数のフレームについて前記熱画像中の前記画素の前記値の和を最大化するような様式で前記対象エリアを複数の位置に位置決めする段階
を介して、前記熱画像中の前記エリアを決定する段階を備える、請求項1から
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記分類器は、少なくとも1つの人工ニューラルネットワークを含む、請求項1から
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のパラメータに加えて、1または複数の更なる入力特徴が前記分類器のために使用され、前記1または複数の更なる特徴は、
各温度発展の最高温度、
前記ソースが発する動力、
前記エネルギービームが前記溶接経路を辿る進行速度、
溶接中に生成されるキーホールの1または複数の寸法データ、および/または
前記溶接動作の終了時の、前記熱画像中の前記画素の平均値とは実質的に異なる値を有する、前記熱画像中の前記画素の数
の中から選択される、請求項1から
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
通常の溶接動作段階に続いて、
前記溶接の質を検証する段階と、
前記分類器によって推定された前記溶接の質を、検証された前記溶接の質と比較する段階と、
前記分類器によって推定された前記溶接の質が、検証された前記溶接の質に対応しない場合、
前記複数の溶接動作が実行される間と前記通常の溶接動作段階の間との両方でモニタリングされた各サブエリアの前記温度発展を使用して、前記分類器を再度訓練する段階と
を備える、請求項1から
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の溶接動作が実行される間において、不十分な質を有する各溶接部を、複数のクラスのうち欠陥ありの溶接クラスに分類する段階と、
前記訓練段階において、前記温度発展に応じて欠陥ありの溶接クラスを推定するよう構成された分類器を訓練する段階と
を備える、請求項1から
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
エネルギービームを供給するよう構成された対応する溶接ヘッドを有するソースと、
少なくとも2つの金属ピースの材料を溶融させるような様式で、前記溶接ヘッドによって生成された前記エネルギービームを溶接経路に沿って動かすよう構成された1または複数のアクチュエータと、
サーマルカメラと、
前記サーマルカメラに動作可能に接続されており、請求項1から
8のいずれか1項に記載の方法を実現するよう構成された処理回路と
を備える溶接システム。
【請求項10】
プロセッサに、請求項1から
8のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、溶接の質をモニタリングするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、産業プラントの典型的な溶接ステーションを示す。
【0003】
考察される例では、溶接経路に沿って2つ以上の金属ピースM1およびM2を接合するために溶接が使用されている。例えば、
図1は、互いの上に設けられた2つのプレート、M1/M2を示しており、xによって示される方向における既知の径路に沿って溶接が行われなければならない。
【0004】
特に、考察される例において、溶接は、電子ビーム溶接(EBW)のための電子ソース、または光子ソース、通常はレーザソースのような、溶接ヘッド1を有するエネルギーソースによって行われる。通常、ソースおよび/または溶接ヘッド1には、ソースが発する動力または溶接ヘッドが発するビームの焦点合わせなどのようなソースおよび/または溶接ヘッド1の1または複数のパラメータを調節するよう構成されている制御回路が関連付けられている。
【0005】
さらに、溶接ステーションは、溶接ヘッド1が発するビームを溶接経路に沿って動かすための少なくとも1つのアクチュエータ2を備える。これは例えば、溶接ヘッド1を転回させること、ならびに/または(
図1に示されるように)溶接ヘッド1をピースM1およびM2に対して移動させること、ならびに/または光学チェーンの少なくとも1つの軸を動かすことによって、達成することができる。例えば、
図1は、この目的のために、ロボットアーム2を示している。したがって、通常は、単数または複数のアクチュエータ2にも、溶接ヘッド1が発するビームを溶接経路に沿って動かすために単数または複数のアクチュエータ2を駆動するよう構成された制御回路20が関連付けられている。
【0006】
したがって、ソースが生成し溶接ヘッド1が発する電子ビームまたは光子ビームは、溶接経路に沿って上部ピースM1に衝突し、ピースM1およびM2の材料を溶接ゾーンSA内で溶融し、したがって、溶接ビードが得られる。概して、金属ピースM1およびM2は、任意の形状を有していてよく、ピースM1およびM2は、溶接ゾーンSAにおいて、溶接経路に沿って接触していれば(すなわち、相補的な形状を有していれば)十分である。この目的のために、ピースM1とM2との間の適切な接触を保証するような様式で、特に溶接ゾーンSAにおいてピースM1およびM2をブロックするよう構成されているブロック/グリップ手段が通常は使用される。
【0007】
さらに、ピースM1およびM2は、異なる材料で作製されていてもよい。例えば、これは通常、バッテリ、特に電気自動車用のものが製造されるときに当てはまる。例えば、この目的のために、米国特許出願公開第2015/0207127号A1および同第2017/0341144号A1、またはDas,A.、Li,D.、Williams,D.、Greenwood,D.による論文、"Joining Technologies for Automotive Battery Systems Manufacturing",World Electr.Veh.J.2018,9,22が参照されうる。
【0008】
例えば、この場合、第1のタブをバスバーおよび/または第2のタブに接続するために溶接が使用されうる。これは例えば、
図2A~2Cに概略的に示されている。特に、
図2Aは、例えばアルミニウム(Al)製の第1のタブM1が、例えば銅(Cu)製のバスバーM2に溶接されている、断面図である。同様に、
図2Bは、例えばニッケル(Ni)または銅(Cu)製の第2のタブM3がバスバーM2に溶接されている断面図である。最後に、
図2Cは、第1のタブM1が第2のタブM3に溶接されており、場合によってはバスバーM2にも溶接されている断面図である。例えば、前述のタブおよびバスバーは、0.3~0.8mmの厚みを有しうる。
【0009】
近代の溶接ステーションは質および経時的な安定性の厳格な基準を満たすとしても、溶接部の質のチェックは必要でありうる。例えば、これは、自動車セクタ用のバッテリとの関連において特に重要である。なぜなら、このようなバッテリは、タブとバスバーとの間で均一な電気抵抗を有していなければならないからである。
【0010】
当業者であれば、溶接の質の連続的なモニタリングには非破壊試験方法が通常求められることを理解するであろう。特に、このような非破壊試験は、最終生産物における溶接ビードのパフォーマンスを損なう可能性がある溶接ビードの途切れの識別および特徴付けを目的とした実験的調査である。したがって、非破壊試験技術との共通点は、分析中の物体の化学特性、物理特性、および機能特性にいかようにも影響しない能力である。例えば、これに関連して、UNI EN 473規格が参照されうる。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本開示の様々な実施形態の目的は、溶接ビードの質のモニタリングを可能にする新しい解決策である。
【0012】
1または複数の実施形態によれば、言及される目的のうちの1または複数は、後続の特許請求の範囲に具体的に記載される特徴的要素を有する方法を介して達成される。実施形態は、さらに、対応する溶接ステーション、および対応するコンピュータプログラム製品に関し、コンピュータプログラム製品は、少なくとも1つのコンピュータのメモリにロードすることができ、コンピュータで製品が実行されると該方法の段階を実現するソフトウェアコードの部分を含む。本明細書で使用される場合、このようなコンピュータプログラム製品への言及は、本方法の実行を調整するためにコンピューティングシステムを制御するための命令を含むコンピュータ可読媒体への言及と均等であるものと意図される。「少なくとも1つのコンピュータ」への言及は、本発明が分散型/モジュール型の様式で実現される可能性を強調することを意図する。
【0013】
特許請求の範囲は、本明細書で提供される開示の技術的な教示の不可欠な部分をなす。
【0014】
既に説明したように、本開示の様々な実施形態は、溶接ゾーンにおける溶接ビードの質を分析する方法に関する。様々な実施形態において、溶接ビードは、対応する溶接ヘッドを有するソースが発するエネルギービームが溶接経路を辿り、これにより少なくとも2つの金属ピースの材料が溶融する、連続溶接動作によって生成される。
【0015】
様々な実施形態において、溶接ゾーンは、サーマルカメラを介してモニタリングされる。特に、サーマルカメラは、所定のエリアが溶接ゾーンに対応する熱画像/フレームのシーケンスを供給する。例えば、このエリアは、溶接動作の実行中に決定されうる。例えば、長方形または台形のエリアが、熱画像中で対象領域と定義されうる。固定され予め設定された寸法の観察窓から開始する、対象領域の自動検索という仮説に基づいて、処理回路30は、すべてのフレームで中に含まれる画素の温度の和によって表される汎関数を最大化することにより、画像中の対象領域を位置決めすることができる。
【0016】
様々な実施形態において、上記エリアは、複数のサブエリアに分割され、各サブエリアについて、それぞれの温度が、それぞれのサブエリア内の画素の値に応じて決定される。例えば、所定のサブエリアの温度は、それぞれのサブエリア内の画素の値の平均または加重平均を介して決定されうる。
【0017】
少なくとも、溶接部が十分な質を有する複数の例および処理が良質ではない複数の例については特に、学習段階において、複数の溶接動作が行われる。さらに、各溶接動作中には、各サブエリアの温度発展がモニタリングされる。
【0018】
訓練段階においては、学習段階中にモニタリングされた温度発展が、分類器を訓練するために処理される。例えば、この目的のために、オペレータが溶接部の質を分類することができる。すなわち、システムは、各溶接部について、それぞれの溶接の質を識別するデータを(オペレータから)受信することができる。したがって、分類器は、それぞれの温度発展に応じて溶接の質を推定するよう構成されている。
【0019】
特に、様々な実施形態において、各温度発展からそれぞれの冷却曲線が抽出され、各冷却曲線について、冷却曲線の形状を識別するパラメータが決定される。したがって、様々な実施形態において、これらのパラメータは、分類器への入力特徴として使用される。
【0020】
例えば、様々な実施形態において、冷却曲線の形状は、この目的のために、複数の基底関数から成る関数による補間を介して近似され、これにより、各基底関数について、それぞれのパラメータセットが選択される。したがって、この場合、補間のパラメータは、分類器への入力特徴として使用されうる。例えば、様々な実施形態において、指数補間が使用される。
【0021】
代わりに、通常の溶接動作段階では、1または複数の溶接動作の実行中に、各サブエリアの温度発展を再度モニタリングすることができ、既に訓練されている分類器によって、それぞれの溶接の質を推定することができる。例えば、分類器は、人工ニューラルネットワークでありうる。概して、欠陥ありの溶接クラスを推定するためには、同じ分類器または更なる分類器を使用することもできる。
【0022】
概して、分類器は、各温度発展のピーク、ソースが発する動力、エネルギービームが溶接経路を辿る進行速度などのような、1または複数の更なる入力特徴を受けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
ここで、純粋に非限定的な例として提供される添付図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
【
図3】サーマルカメラを備える溶接ステーションの一実施形態を示す。
【
図4】
図3の溶接ステーションが溶接ゾーン内で2つの材料を溶融する一実施形態を示す。
【
図5】
図3のサーマルカメラによって撮像される溶接ゾーンの画像の一例を示す。
【
図6】溶接ゾーンが幾つかのサブエリアにセグメント化されている一実施形態を示す。
【
図8】それぞれの温度発展から冷却曲線を抽出する一実施形態を示す。
【
図9】抽出された冷却曲線に応じて溶接の質を決定する一実施形態を示す。
【
図10】
図9で使用されている分類器の実施形態を示す。
【
図11】
図9で使用されている分類器の実施形態を示す。
【
図12】
図9の分類器の訓練および使用の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
後続の記載では、実施形態の深い理解を可能にするために、多くの具体的な詳細が提供される。実施形態は、1または複数の具体的な詳細を用いずに実現されても、他の方法、構成要素、材料などを用いて実現されてもよい。他の場合では、実施形態の態様が不明瞭にならないように、周知の動作、材料、または構造は、詳細に表現または説明されていない。
【0025】
本明細書全体において、「一実施形態」または「1つの実施形態」への言及は、その実施形態に関して記載される特定の特性、特徴的要素、または構造が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所に出現しうる「一実施形態において」または「1つの実施形態において」のような表現は、必ずしもすべてが1つの同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特性、特徴的要素、または構造は、1または複数の実施形態において任意の妥当な様式で組み合わされうる。
【0026】
本明細書で使用される参照は、単に便宜上提供されるものであり、したがって、保護の領域または実施形態の範囲を定義するものではない。
【0027】
後続の
図3~12において、
図1および2に関して既に説明されている部分、要素、または構成要素は、上述の図で既に使用されたものと同じ参照によって示される。既に説明した前述の要素は、本件の詳細な説明を過度にしないよう、以下で再度説明されることはない。
【0028】
既に言及したように、本明細書は、溶接ビードの質をモニタリングするための解決策を提供する。
【0029】
図3は、本開示による溶接ステーションの一実施形態を示す。この実施形態は、
図1および2に関して説明される溶接ステーションに実質的に基づき、対応する記載が全体的に適用される。特に、この場合にも、溶接ステーションは、幾つかの金属ピースM1およびM2の材料を溶接ゾーンSA内で溶融するよう構成されている。この目的のために、溶接ステーションは、
- それぞれの制御回路10を介して制御されている、対応する溶接ヘッド1を有するエネルギーソース、好ましくはレーザソースと、
- 溶接ヘッド1が発するビームを溶接経路に沿って動かすような様式で制御回路20によって制御されている、ロボットアームのような1または複数のアクチュエータ2と
を備える。
【0030】
したがって、
図4にも示されるように、溶接ヘッド1が発するビームは、溶接経路SPに沿って移動し、溶接ゾーンSA内で重なり合うピースM1およびM2の材料を加熱し、これにより、ピースM1およびM2の材料の溶融を介して溶接ビードが得られる。
図4に示されるように、溶接経路SPは、概して、必ずしもピースM1およびM2の縁部で開始し終了するとは限らない。さらに、溶接経路SPは、x方向に展開する直線経路が好ましいが、いかなる形状でもよい。
【0031】
考察される実施形態において、溶接ステーションは、サーマルカメラ3をさらに備える。特に、様々な実施形態において、サーマルカメラ3は、固定位置に取り付けられ、溶接ゾーンSAをフレームに入れるような様式で位置決めされる。すなわち、サーマルカメラ3は、溶接ゾーンSAを表す熱画像IMGを提供するよう構成されている。概して、サーマルカメラ3は、各サーマルカメラが溶接ゾーンSAの一部のみを撮像する複数のサーマルカメラによって実現されてもよい。すなわち、画像IMGは、複数のサーマルカメラによって供給された画像の結合の結果生じるパノラマ画像に対応しうる。したがって、単数または複数のサーマルカメラが、x'およびy'の2方向(
図5も参照されたい)における二次元画像IMGを供給し、各画素の値が、それぞれの温度を識別する。
【0032】
考察される実施形態において、熱画像IMGは次に、ソフトウェアコードを介してプログラムされたマイクロプロセッサ、例えばコンピュータのような処理回路30によって処理される。概して、処理回路30は、単一の電子回路において、制御回路10および/または制御回路20と共に実装されてもよい。
【0033】
例えば、
図5は、所定のエリアSA'が溶接ゾーンSAに対応する、単数または複数のサーマルカメラ3によって供給される熱画像IMGを概略的に示す。したがって、ピースM1およびM2の2つを共に溶接することにより、エリアSA'内の各画素の値が、溶接ゾーンSAのそれぞれの点の温度を識別する。概して、画像IMG中のエリアSA'は手作業で選択されてもよく、さもなければ、処理回路30がエリアSA'を自動的に決定してもよい。特に、溶接動作が実行されているとき、エリアSA'内の画素は、より高い値、すなわち温度を有し、したがって、処理回路30は、溶接ゾーンSAに対応する画像IMG中のエリアSA'を検出できる。特に、溶接経路SPが直線である場合、エリアSA'は通常、長方形であるか、または、画像IMGの歪みの可能性を考慮して、台形エリアである。
【0034】
したがって、様々な実施形態において、処理回路30は、画像IMGの(または画像IMGのシーケンスの)各画素の値を基準閾値と比較し、閾値より高い値を有する画素を選択し、選択された画素が長方形または台形のエリアに位置付けられるエリアを近似するよう構成されている。
【0035】
代わりに、現在好ましい実施形態では、長方形(または台形エリア)のサイズは固定されている。例えば、溶接ゾーンSAのサイズが分かれば、処理回路は、サーマルカメラ3のパラメータ、例えば、焦点距離およびピースM1からの距離から、長方形のサイズを計算できる。代替的に、長方形(または台形エリア)のサイズは、オペレータが設定できる。次に、溶接動作が行われたら、処理回路30は、前述の長方形(または台形エリア)を熱画像IMG中の複数の位置に位置決めし、各位置について、すべてのフレームで長方形(または台形エリア)に含まれる画素の値の和を計算する。最後に、処理回路30は、最も高い和を有する位置/エリアを選択する。したがって、この場合、処理回路は、最大値を和として有する画素を含む(固定サイズの)エリアをエリアSA'として選択し、したがって、各溶接動作で溶接経路SPのわずかな移動の補償が達成される。
【0036】
既に説明したように、様々な実施形態において、制御回路20は、単数または複数のアクチュエータ2を介して、溶接ヘッド1が発するビームをx方向の直線に沿って移動させるよう構成されている。この場合、単数または複数のサーマルカメラ3は、好ましくは、画像IMGのx'方向または(
図5に示されるように)y'方向がx方向に対応するような様式で位置合わせされる。例えば、このようにして、長方形エリアSA'も、画像IMGの画素のアレイと位置合わせされる。
【0037】
代替的に、またはさらに、処理回路30は、サーマルカメラ3によって撮像された画像を補正するために、例えば、x方向を画像IMGのx'軸またはy'軸の一方と位置合わせするような様式で画像IMGを回転させて、ピースM1の表面に対するサーマルカメラ3の傾斜を原因とする画像IMGの歪みおよび/またはサーマルカメラ3のレンズに起因する画像IMGの変形を補償するために、熱画像IMGを処理しうる。同様の動作は、従来のビデオカメラとの関連において広く知られており、サーマルカメラから得られた画像にも適用されうる。例えば、米国特許出願公開第2018/0082133号A1に記載されているように、カメラがどのように設置されているかが分かれば、カメラの傾斜に関する情報に基づいて歪みの補償が行われうる。
【0038】
考察される実施形態において、処理回路30は次に、エリアSA'内の画素の値を処理する。
【0039】
特に、
図6に示されるように、様々な実施形態において、処理回路30は、エリアSA'を複数のサブエリアA1~Anに分割する。例えば、エリアSA'が、例えば
図5のx'方向に所定画素数N1の幅を有することを考慮すると、各サブエリアA1~Anは、N1画素の幅およびN2画素の高さを有しうる。例えば、分析の精度を高めるためには、画素数N2を2~20画素から選択してよい。代わりに、計算時間を減らすには、例えば溶接ビード/溶接ゾーンSAの長さに基づいて、サブエリアA1~Anの数を10~50から選択してもよく、選択されたサブエリアA1~Anの数に応じて、対応する画素数N2を計算してもよい。したがって、様々な実施形態において、N2の数は、例えば、0.2 N1~2 N1、好ましくは0.2 N1~0.5 N1から選択されうる。
【0040】
次に、処理回路30は、各サブエリアA1~An内の画素の値を処理して、各サブエリアA1~Anに単一の瞬時温度値Tiを関連付ける。例えば、処理回路30は、例えば、それぞれのサブエリアAi内の画素の値の平均値または最大値を使用して、所定のサブエリアAiの温度値Tiを計算しうる。例えば、様々な実施形態において、処理回路30は、例えばそれぞれのサブエリアAiの側縁部の画素にはより低い重みを使用し、それぞれのサブエリアAiの中央画素にはより高い重みを使用し、エリアSA'の幅の方向(例えば、
図5のx')に変化する重みを各画素に関連付ける加重平均を介して、所定のサブエリアAiの温度値Tiを計算するよう構成されている。
【0041】
したがって、各画像IMGについて、各サブエリアAiには、それぞれの温度値Tiが関連付けられる。さらに、
図6に概略的に示されるように、時間tにおける複数の熱画像IMGのシーケンス、すなわちフィルムを分析することにより、処理回路30は、各サブエリアAiの温度発展Ti(t)をモニタリングすることができる。
【0042】
図7に示されるように、溶接ヘッド1が発するビームによって溶接経路SPを辿るのに必要な時間も考慮すると、処理回路30はしたがって、互いに対して時間差のある複数の温度曲線/発展T1~Tnを分析すべきである。
【0043】
より詳細に
図8に示されるように、各温度発展Ti(t)には、
- 加熱フェーズ中(
図8の時点t0~t1)、周囲温度Tambから、溶接を行うために溶接ヘッド1が発するビームをそれぞれのエリアAiが受けてから最高温度Tmaxまでの温度Ti(t)の上昇と、
- 直後の冷却フェーズ中(
図8の時点t1以降)、最高温度Tmaxから周囲温度Tambへの温度Ti(t)の低下と
が含まれる。
【0044】
例えば、様々な実施形態において、処理回路30は、溶接動作の開始を合図するトリガ信号を制御回路10が供給すると、温度Ti(t)の記録を開始しうる。代わりに、温度Ti(t)の記録の期間は一定でもよい。
【0045】
概して、溶接の質を示すデータは、材料M1およびM2の溶融を示すので、このデータは、到達した最高温度Tmaxである。
【0046】
しかし、本発明者らは、同じ最高温度Tmaxが得られても、例えば水滴またはごみの存在などに起因する溶接ゾーンの汚染に続いて起こる様々な溶接の欠陥の結果として、冷却曲線のプロファイルが変わることに注目した。
【0047】
したがって、様々な実施形態において、処理回路30は、冷却曲線を分析し、すべてのサブエリアA1~Anについて、冷却曲線、すなわちt>t1のデータTi(t)に応じて、溶接部のステータスSの信号を決定するよう構成されている。
【0048】
例えば、第1の実施形態において、処理回路30は、各サブエリアA1~Anについて、溶接が正確(例えば、S=1/OK)と分類される試験段階中のそれぞれの基準冷却曲線を記録するよう構成されており、次に処理回路30は、通常動作中に、実行された各溶接について、それぞれの冷却曲線を記録し、記録されたそれぞれの冷却曲線を基準冷却曲線と比較することにより、各溶接部のステータス(例えば、S=1/OKまたはS=0/NOK)を分類する。例えば、データの2つのシーケンス間の類似性および類似性のそれぞれの分類を決定するための考えられる解決手段は、イタリア特許出願第102017000048962号に記載されており、その内容は、参照のために本明細書に組み込まれる。
【0049】
代わりに、
図9は、第2の実施形態を示す。特に、考察される実施形態において、処理回路30は、前処理段階/ブロック300で、既に説明したように、サーマルカメラ3によって供給される画像IMGのシーケンスを処理して、それぞれのサブエリアA1~Anについて複数の温度曲線Ti(t)を決定する。
【0050】
上記の温度曲線Ti(t)は段階/ブロック302に供給され、処理回路30が温度曲線Ti(t)を処理する。特に、既に説明したように、処理回路30は、冷却曲線のデータを抽出し、例えば曲線Ti(t)が最大値Tmaxに達するときの時点t1を識別するとともに、t>t1の曲線Ti(t)のデータを選択するよう構成されている。次に、処理回路30は、冷却曲線を処理し、冷却曲線の1または複数の特徴Fを決定する。したがって、段階/ブロック302は、いわゆる特徴抽出を実行する。
【0051】
例えば、様々な実施形態において、第1の特徴は、最高温度Tmaxに対応する。他の特徴Fは、冷却曲線の下降部分、例えば、温度Tiが最高温度Tmaxの所定の割合まで低下するのに必要な時間、例えば、
- 温度Tiが温度Tmaxの75%まで低下するのにかかる第1の時間Δt1、
- 温度Tiが温度Tmaxの50%まで低下するのにかかる第2の時間Δt2、および
- 温度Tiが温度Tmaxの25%まで低下するのにかかる第3の時間Δt3
を示す、1または複数の値を識別しうる。
【0052】
代わりに、現在好ましい実施形態では、処理回路30は、t>t1の冷却曲線Ti(t)の形状を、パラメータ化された関数で近似するために、補間の動作を実行する。概して、このパラメータ化された関数は、1または複数の基底関数から成り、各基底関数には、それぞれのパラメータセットが関連付けられている。したがって、基底関数のパラメータを変えることにより、コスト関数を最小化するパラメータa0~amの組み合わせが選択されうる。例えば、コスト関数は、冷却曲線の形状と、選択されたパラメータを使用するパラメータ化された関数との間で計算される、絶対差の和(SAD)または平均平方誤差(MSE)に対応しうる。
【0053】
例えば、様々な実施形態において、基底関数が異なる次数の多項式によって表され、パラメータが多項式の係数である多項式補間、例えば、
【数1】
が使用される。代わりに、現在好ましい実施形態では、基底関数が指数関数である指数補間、例えば、
【数2】
が使用される。したがって、補間の終了時、処理回路30は、特徴Fとして(場合によっては最高温度Tmaxに加えて)、補間中に選択されたパラメータa
0~a
mを選択する。
【0054】
様々な実施形態において、回路30は、他の特徴Fを決定してもよい。例えば、この目的のために、段階/ブロック302は、ソース/溶接ヘッド1の制御回路10からの第1のデータD1のセットおよび/または単数もしくは複数のアクチュエータ2の制御回路20からの第2のデータD2のセットを受けることができる(
図3も参照されたい)。例えば、データD1は、ソースが発する動力および/または溶接ヘッド1の焦点合わせを含みうる。代わりに、データD2は、溶接ヘッド1が発するビームの溶接経路SPに沿った進行速度を含みうる。しかし、他のセンサが使用されてもよく、かつ/または、サーマルカメラ3によって供給される熱画像IMGに応じて処理回路30が更なる特徴を決定してもよい。
【0055】
例えば、様々な実施形態において、処理回路30は、熱画像IMGの分析から、段階300において、例えば、内容が参照のために本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0086003号A1に記載されているように、溶接のキーホールの寸法のパラメータを決定することもできる。
【0056】
例えば、様々な実施形態において、上記特徴は、加熱段階すなわちt0~t1の間の各画像IMGについての、キーホールのx'方向および/もしくはy'方向の寸法、ならびに/またはキーホール内の熱の分布を識別するパラメータを含みうる。
【0057】
さらに、または代替的に、処理回路30は、各画像IMGのスペクトル特徴を、例えば高速フーリエ変換(FFT)によって決定し、最大値を有する所定数の周波数を選択しうる。
【0058】
さらに、または代替的に、処理回路30は、撮像された最後の画像IMGを処理しうる。特に、本発明者らは、この場合、ピースM1およびM2は冷めているので、すべての画素が実質的に同じ値を有するはずであることに注目した。しかし、異なる材料で作製されたピースM1およびM2が使用される場合、画素の平均と比べて値が実質的に異なる(すなわち、より高いまたはより低い)画素に注目することが可能である。特に、これらの画素は、ピースM1の表面上に堆積した下部ピースM2の材料の飛沫に対応する。特に、異なる材料は異なる放射率も有するので、上記飛沫は視認可能でありうる。したがって、様々な実施形態において、処理回路30は、例えば、画像IMGのすべての画素に応じてまたはそれぞれの画素を取り囲む所定画素数だけに応じて計算された閾値と、各画素の値を比較することなどにより、「より高温」または「より低温」に見える前述の画素を決定することができる。したがって、更なる特徴は、「より高温」または「より低温」の画素の数でありうる。
【0059】
したがって、ブロック/段階302は概して、複数の特徴Fを供給し、特徴Fの少なくとも一部は、サブエリアA1~Anの、t>t1の冷却曲線Ti(t)の形状を識別する。
【0060】
様々な実施形態において、上記特徴Fは次に、特徴Fに応じて溶接部のステータスSを分類するよう構成された段階/ブロック304に供給される。特に、様々な実施形態において、段階/ブロック304の分類器には、機械学習法が実装されている。
【0061】
特に、
図12に示されるように、開始段階1000の後、処理回路30は、学習段階1002において、複数の溶接動作をモニタリングする。特に、この目的のために、複数の溶接動作は、異なる溶接条件下で行われる。例えば、この目的のために、
- ソースが発する動力および/または溶接ヘッド1の焦点は、制御回路10によって変化させてもよく、かつ/または
- 溶接ヘッド1が発するビームの溶接経路SPに沿った進行速度は、制御回路20によって変化させてもよく、かつ/または
- 溶接ゾーンSAは、例えば水の飛沫および/またはごみで汚染されていてもよく、かつ/または
- ピースM1とM2とのグリップ/ブロックは、例えばグリップ力を変えることにより、変化させてもよい。
【0062】
次に、オペレータは、溶接の質を検証することができる。例えば、オペレータは、機械的試験(例えば、ピースM1とM2との間の接続の強度に対する試験)および/または電気試験(例えば、ピースM1およびM2の2つの間の電気抵抗の測定)を行うことができ、オペレータは、溶接の質を十分(例えば、S=1)または不十分(例えば、S=0)と分類することができる。概して、この段階で使用される試験のうちの1または複数は、破壊的であってもよい。例えば、機械的試験は、ピースM1とM2との間の接続に障害が生じるまで適用される張力を上昇させる引張試験を含みうる。
【0063】
したがって、段階1002で取得されるデータは、溶接部が十分な質を有する条件と溶接部が不十分な質を有する条件との両方についての実験データを含む訓練データセットを表す。
【0064】
したがって、訓練段階1004において、処理回路30は、少なくともサブエリアA1~Anの冷却曲線から特徴Fを抽出し(
図9の説明も参照されたい)、分類器304の入力データとして特徴Fを、分類器304の出力として溶接ステータスSを使用して、分類器304を訓練することができる。概して、人工ニューラルネットワークまたはサポートベクタマシンのような、教師付き機械学習カテゴリの異なる分類器を使用してよい。
【0065】
例えば、様々な実施形態において、フィードフォワード型のネットワークのような人工ニューラルネットワークが使用される。例えば、様々な実施形態において、このようなネットワークは、特徴Fの数に等しい数の入力ノードを含む入力層を備える。さらに、ネットワークは、所定数の隠れ層を備える。例えば、様々な実施形態において、隠れ層の数は、2~5、好ましくは3であり、各隠れ層のノード/ニューロンの数は、特徴Fの数の1.5~3倍から選択される。
【0066】
したがって、段階1004の終了時に、分類器304は、少なくともサブエリアA1~Anの冷却曲線の形状から抽出された特徴Fのセットに応じて溶接部の質を推定することが可能である。
【0067】
次に、段階1004が完了したら、溶接ステーションを通常動作段階1006において使用することができ、オペレータの側で更なるチェックを行わずに溶接の質が推定される。
【0068】
したがって、段階1006において、処理回路30は、冷却曲線の形状を再度モニタリングし(段階/ブロック300の説明も参照されたい)、特徴Fを決定し(段階/ブロック302の説明も参照されたい)、訓練済み分類器を使用して、特徴Fに応じて溶接ステータス/質Sを推定する(段階/ブロック304の説明も参照されたい)。
【0069】
概して、オペレータは、いかなる場合においても、段階1002に関して記載したように、溶接の質を検証するための更なる試験を行うことができる。これは例えば、新しい溶接プロセスの開発の初期段階において、例えば、既に考慮されていない更なるデータを得るために、分類器304が行った推定を検証し、かつ/または推定の結果の定期的なモニタリングを行うような様式で有用でありうる。
【0070】
したがって、
図12に概略的に表しているように、オペレータが検証段階1008において分類器の結果が正確であると決定した場合(検証段階1008からの出力「Y」)、プロセスは段階1006を続けることができる。
【0071】
代わりに、オペレータが検証段階1008において分類器の結果が誤りであると決定した場合(検証段階1008からの出力「N」)、オペレータは、行われた溶接およびそれぞれの補正された質のデータを訓練データセットに格納することができ、分類器を再度訓練するために段階1004を開始することができる。
【0072】
したがって、様々な実施形態において、通常動作1006において取得されるデータ自体を訓練データセットとして使用することができる。例えば、この目的のために、処理回路30は、例えば適切なコンピュータプログラムによって、訓練データセットを処理回路30に直接格納し、訓練段階1004も直接管理し、したがって訓練データセットが変化したときに分類器の新しい訓練を可能にするよう構成されていてもよい。
【0073】
様々な実施形態において、分類器304は、二元的結果S、すなわち、十分な質または不十分な質を示す結果を供給するのみならず、欠陥のタイプの指標Cも供給できるよう構成されていてもよい。例えば、この目的のために、オペレータは(段階1002において)、検出された欠陥のタイプについての情報も訓練データセットに格納できる。例えば、そのような欠陥は、段階1002で使用される異なる溶接条件、例えば、不十分なグリップ、ピースM1/M2の不純物/汚染、ソースの動力の損失などに対応しうる。
【0074】
これは例えば、
図10に概略的に示されている。特に、考察される実施形態において、分類器304は、溶接部のステータスSを推定するよう構成された第1の分類器306を含み、溶接部のステータスSは、したがって正確または欠陥ありでありうる。分類器306の出力は、いずれの場合においても、推定の信頼性を示す、例えば0~1の範囲内の連続値に対応しうる。分類器306は次に、供給された値に応じてステータスSを決定し、例えば出力値が第1の閾値(例えば0.8)より高い場合に第1の値(例えば、S=1/OK)を、または出力時の値が第2の閾値(例えば0.2)未満である場合に第2の値(例えば、S=1/OK)を割り当てることができる。
【0075】
さらに、または代わりに、分類器304は、欠陥ありの溶接クラスCを推定するよう構成された第2の分類器308を含み、欠陥ありの溶接クラスCは、したがって幾つかの値を提示しうる。これは例えば、特徴F1およびF2の2つの値が4つのクラスC1~C4にマッピングされている
図11に概略的に示されている。概して、考慮される寸法の数は、考慮される特徴Fの数に対応する。
【0076】
例えば、様々な実施形態において、分類器308は、各クラスCについて、各クラスCの特徴F、すなわち各クラスタの、例えば0~1の範囲内の電流値の組み合わせによって表される点の距離を示す連続値を供給する、それぞれの出力を含む。例えば、この場合、分類器308は、最高値が関連付けられているクラスCを選択し、場合によっては、それぞれの距離が最大値より短いクラスタのみに選択肢を制限しうる。
【0077】
したがって、段階1002において、オペレータは、溶接部のステータスSのみならず、場合によっては欠陥のタイプCも決定することができる。概して、本手法は機械学習手法であるため、分類器308はしたがって、オペレータが考慮することを望む欠陥のクラスCの数に適合することが可能であり、また、溶接ステーションの通常動作1006においてのみ明らかになる新しい欠陥タイプを加えることも可能にする(
図12の説明も参照されたい)。例えば、溶接ヘッド1のレンズが汚れることから溶接の質が不十分になる状況は、段階1002では考慮されていなかったが、この問題は、段階1006において明らかになりうる。
【0078】
当然ながら、構造および実施形態の詳細は、発明の基礎をなす原理を損なわずに、変更することにより後続の特許請求の範囲が定義する本発明の範囲から逸脱しなければ、純粋に例として本明細書で説明および例示されたものに対して広く変更してもよい。