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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ディスプレイおよび電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/84 20230101AFI20240326BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20240326BHJP
   H10K 59/80 20230101ALI20240326BHJP
   H05B 44/00 20220101ALI20240326BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 27/06 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
H10K50/84
H10K59/124
H10K59/80
H05B44/00
G09F9/30 338
G09F9/30 348Z
G09F9/30 365
H01L29/78 618B
H01L29/78 617N
H01L27/088 B
H01L27/088 331E
H01L27/06 102A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022534734
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 CN2020131920
(87)【国際公開番号】W WO2021115131
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】201911284587.2
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010106846.9
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヤビン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ、ハイミン
(72)【発明者】
【氏名】パン、ヨンチアン
(72)【発明者】
【氏名】ティアン、スーフイ
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0123069(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0175076(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107452756(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0294498(US,A1)
【文献】特開2017-167515(JP,A)
【文献】特開2003-086356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0338252(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107403804(CN,A)
【文献】特開2014-010435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/84
H10K 59/124
H10K 59/80
H05B 44/00
G09F 9/30
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイであって、前記ディスプレイは複数のサブ画素を備え、
基板と、
前記基板上に配置され且つ前記サブ画素に位置付けられた発光デバイスと、
前記基板上に配置され且つ前記サブ画素に位置付けられている画素回路であって、前記画素回路と前記発光デバイスとは結合されており、前記画素回路は、第1のトランジスタと第2のトランジスタとを含み、前記第1のトランジスタの活性層は多結晶シリコンを含み、前記第2のトランジスタの活性層は半導体酸化物を含む、画素回路と、
前記基板上に配置され且つ前記サブ画素に位置付けられた隔離部であって、前記隔離部は、隔離ベースと、前記隔離ベースを囲む隔離保持壁とを含み、前記第2のトランジスタの前記活性層は、前記隔離保持壁と前記隔離ベースとによって形成された溝に配置されており、前記隔離部は、前記第1のトランジスタの前記活性層における水素イオンが前記第2のトランジスタの前記活性層に拡散されることを少なくとも防止するように構成されている、隔離部と
を備え、
前記ディスプレイはさらに、共通電極層を備え、前記共通電極層は、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタの、前記基板に近い側に位置付けられており、前記第1のトランジスタまたは前記第2のトランジスタの第1の極は、前記共通電極層に結合されており、
前記隔離ベースと前記共通電極層とは、同じ層にあり、同じ材料で作製され、一体的に形成されている、ディスプレイ。
【請求項2】
前記ディスプレイはさらに、前記基板上に連続的に位置付けられた第1のゲート絶縁層、第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、および第2のゲート絶縁層を備え、前記第1のパッシベーション層を構成している材料は窒化シリコンを含み、前記第2のパッシベーション層を構成している材料は酸化シリコンを含み、
前記第1のゲート絶縁層は前記第1のトランジスタの前記活性層と第1のゲートとの間に位置付けられており、前記基板に対する前記第1のトランジスタの前記活性層の位置は、前記基板に対する前記第1のゲートの位置よりも前記基板に近く、前記第1のゲートは前記第1のパッシベーション層および前記第2のパッシベーション層によって覆われており、
前記隔離保持壁は、少なくとも前記第1のゲート絶縁層および前記第1のパッシベーション層を貫通し、前記第2のゲート絶縁層の少なくとも一部分は前記隔離保持壁に位置付けられており、前記第2のゲート絶縁層は、前記第2のトランジスタの前記活性層と第2のゲートとの間に位置付けられており、前記第2のトランジスタの前記活性層の位置は、前記基板に対する前記第2のゲートの位置よりも前記基板に近い、
請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記隔離保持壁はさらに、前記第2のパッシベーション層を貫通する、請求項2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記共通電極層は、金属層を含むか、または、前記共通電極層は、金属層と、前記金属層に積層された表面酸化物材料層とを含み、
前記第1のトランジスタの前記活性層の前記基板上の垂直突出部は、前記共通電極層の前記基板上の垂直突出部の範囲内に位置付けられており、
前記第2のトランジスタの前記活性層の前記基板上の垂直突出部は、前記共通電極層の前記基板上の前記垂直突出部の前記範囲内に位置付けられている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記第1のトランジスタは第3のゲートをさらに含み、前記第3のゲートは、前記第1のトランジスタの前記第1のゲートの前記基板に近い側に位置付けられており、前記第1のトランジスタにおける前記第1のゲートは前記第3のゲートから絶縁されており、
前記第1のトランジスタの前記第3のゲートは、前記共通電極層と同じ層にあり且つ同じ材料で作製されており、前記共通電極層から絶縁されている、請求項2または3に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記第2のトランジスタは第4のゲートをさらに含み、前記第4のゲートは、前記第2のトランジスタの前記第2のゲートの前記基板に近い側に位置付けられており、前記第2のトランジスタにおける前記第2のゲートは前記第4のゲートから絶縁されており、
前記第2のトランジスタの前記第4のゲートは、前記共通電極層と同じ層にあり且つ同じ材料で作製されており、前記共通電極層から絶縁されている、請求項2または3に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記基板を構成している材料は有機材料を含み、前記ディスプレイはさらに、前記基板上に順に位置付けられている第1バリア層、第1の応力緩和層、および第2バリア層を備え、前記第1のトランジスタの前記活性層は、前記第2バリア層の前記基板から離れた側の表面上に位置付けられており、
前記共通電極層は前記第1バリア層と前記第1の応力緩和層との間に位置付けられており、前記第1バリア層と前記第1の応力緩和層とに接続されている、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記ディスプレイは、第1のビアをさらに備え、前記第1のビアは、前記第1の応力緩和層、前記第2バリア層、第1のゲート絶縁層、および第1のパッシベーション層を順に貫通しており、前記第1のビアの第1の端部は前記共通電極層に結合されており、前記第1のビアの第2の端部は、前記第1のトランジスタまたは前記第2のトランジスタの前記第1の極に結合されており、
前記第1のビアは第1の金属導電層を含み、前記隔離保持壁と前記第1の金属導電層とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている、請求項7に記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記基板を構成している材料は有機材料を含み、前記ディスプレイはさらに、前記基板上に順に位置付けられている第1バリア層、第1の応力緩和層、および第2バリア層を備え、前記第1のトランジスタの前記活性層は、前記第2バリア層の前記基板から離れた側の表面上に位置付けられており、
前記共通電極層は前記第1バリア層と前記第1の応力緩和層との間に位置付けられており、前記第1バリア層と前記第1の応力緩和層とに接続されている、請求項2、3、5および6のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項10】
前記ディスプレイは、第1のビアをさらに備え、前記第1のビアは、前記第1の応力緩和層、前記第2バリア層、前記第1のゲート絶縁層、および前記第1のパッシベーション層を順に貫通しており、前記第1のビアの第1の端部は前記共通電極層に結合されており、前記第1のビアの第2の端部は、前記第1のトランジスタまたは前記第2のトランジスタの前記第1の極に結合されており、
前記第1のビアは第1の金属導電層を含み、前記隔離保持壁と前記第1の金属導電層とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記ディスプレイは、第2のビアをさらに備え、
前記第2のビアの第1の端部は前記第1のビアの前記第2の端部に結合されており、前記第2のビアの第2の端部は前記第1のトランジスタまたは前記第2のトランジスタの前記第1の極に結合されており、
前記第2のビアは第2の金属導電層を含み、前記第2の金属導電層と前記第1のトランジスタの前記第1の極とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている、請求項8または10に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記基板を構成している材料は有機材料を含み、前記ディスプレイはさらに、前記基板上に順に位置付けられている第1バリア層、接続層、および第1の応力緩和層を備え、前記接続層は、前記第1バリア層を前記第1の応力緩和層に接続するように構成されており、
前記共通電極層は、前記基板と前記第1バリア層との間に位置付けられ且つ前記基板と前記第1バリア層とに接続されているか、または、前記ディスプレイはさらに、前記第1の応力緩和層の前記基板から離れた側に位置付けられた第2バリア層を備え、前記第1のトランジスタの前記活性層は、前記第2バリア層の前記基板から離れた側の表面上に位置付けられており、前記共通電極層は前記第1の応力緩和層と前記第2バリア層との間に位置付けられており、前記第1の応力緩和層と前記第2バリア層とに接続されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記第2のトランジスタの前記活性層は前記隔離ベースから絶縁されており、前記第2バリア層は、前記隔離保持壁の、前記第2のトランジスタの前記活性層から離れた外面上に配置されている、請求項7、9および12のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記基板を構成している材料は無機材料を含み、
前記ディスプレイは、前記基板上に位置付けられたバッファ層をさらに備え、前記共通電極層は、前記基板と前記バッファ層との間に位置付けられ且つ前記基板と前記バッファ層とに接続されており、
前記第2のトランジスタの前記活性層は前記隔離ベースから絶縁されており、前記バッファ層は、前記隔離保持壁の、前記第2のトランジスタの前記活性層から離れた外面上に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記画素回路はストレージコンデンサをさらに含み、前記ストレージコンデンサは絶縁された第1の電極および第2の電極を含み、
前記第1の電極は、前記第1のゲート絶縁層の前記基板から離れた側の表面上に位置付けられており、前記第1の電極と前記第1のトランジスタの前記第1のゲートとは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されており、
前記第2の電極は、前記第2のパッシベーション層の前記基板から離れた側の表面上に位置付けられており、前記第2の電極は前記第1のトランジスタと結合されており、前記第2の電極と前記第2のトランジスタの前記第2のゲートとは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている、請求項2に記載のディスプレイ。
【請求項16】
前記ディスプレイはさらに、前記第2のゲート絶縁層を覆う第3のパッシベーション層を備え、前記ストレージコンデンサはさらに、第3の電極を含み、前記第3の電極は、前記第3のパッシベーション層の前記基板から離れた側の表面上に位置付けられ且つ前記第2の電極を覆っており、前記第3の電極と前記第1のトランジスタの第1の極とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されており、
前記ディスプレイはさらに、前記第2の電極を貫通している第3のビアを含み、前記第3の電極は、前記第3のビアを通じて前記第1の電極に結合されている、請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記第1のトランジスタは、前記発光デバイスに結合されており、前記第1のトランジスタは、前記発光デバイスに駆動電流を提供するように構成されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項18】
前記共通電極層は、前記基板全体を覆う薄いフィルム層の形状を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項19】
前記共通電極層は、中抜きパターンを有する薄いフィルム層であり、
前記第1のトランジスタの前記活性層の前記基板上の垂直突出部は、前記共通電極層の基板上の垂直突出部の範囲内にあり、前記第2のトランジスタの前記活性層の前記基板上の垂直突出部は、前記共通電極層の前記基板上の前記垂直突出部の前記範囲内にある、請求項1から17のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載のディスプレイを備える、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年12月13日に中国国家知識産権局に出願された、「半導体酸化物薄膜トランジスタディスプレイおよび電子デバイス(SEMICONDUCTOR OXIDE THIN-FILM TRANSISTOR DISPLAY AND ELECTRONIC DEVICE)」と題する中国特許出願第201911284587.2に基づく優先権、ならびに、2020年2月20日に中国国家知識産権局に出願された、「ディスプレイおよび電子デバイス(DISPLAY AND ELECTRONIC DEVICE)」と題する中国特許出願第202010106846.9に基づく優先権を主張するものであり、これらの特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、ディスプレイ技術分野、特に、ディスプレイおよび電子デバイスに関連する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(organic light emitting diode,OLED)ディスプレイなどの自発光型ディスプレイは、広範な注目を引き付け、自発光、反応の速さ、高輝度、および明るさなどの利点に起因して長期間にわたって大幅に開発されてきた。しかしながら、既存の自発光型ディスプレイにおいては、画素回路内のいくつかのトランジスタのリーク電流が大きいことに起因して、例えばスタンバイ状態などの低周波数駆動のシナリオでは、電力消費が比較的に高い。結果として、デバイスのスタンバイ時間が短縮される。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施形態は、ディスプレイおよび電子デバイスを提供し、低周波数駆動下における自発光型ディスプレイの電力消費が大きいという問題を改善する。
【0005】
前述の目的を実現するために、本願は、以下の技術的解決手段を使用する。
【0006】
本願の実施形態の第1の態様によると、ディスプレイが提供される。ディスプレイは、複数のサブ画素、基板、発光デバイス、画素回路、および隔離部を含む。発光デバイス、画素回路、および隔離部は、基板上に配置されている。画素回路および発光デバイスは結合されており、サブ画素に位置付けられている。画素回路は、第1のトランジスタと第2のトランジスタとを含む。第1のトランジスタの活性層は多結晶シリコンを含み、第2のトランジスタの活性層は半導体酸化物を含む。加えて、隔離部は、隔離ベースと、隔離ベースを囲む隔離保持壁とを含む。第2のトランジスタの活性層は、隔離保持壁と隔離ベースとによって形成された溝に配置されている。隔離部は、第1のトランジスタの活性層における水素イオンが第2のトランジスタの活性層に拡散されることを少なくとも防止するように構成されている。
【0007】
第1のトランジスタは多結晶シリコン薄膜トランジスタであり、第2のトランジスタは酸化物薄膜トランジスタであることが、前述の説明から分かり得る。隔離部は、隔離保持壁および隔離ベースで構成されている。隔離保持壁および隔離ベースは、溝を形成する。さらに、第2のトランジスタの活性層は隔離保持壁と隔離ベースとによって形成された溝に配置されており、第1のトランジスタの活性層は隔離保持壁と隔離ベースとによって形成された溝の外部に配置されている。従って、隔離部は、第1のトランジスタの活性層における水素イオンが第2のトランジスタの活性層に拡散されることを防止し、それにより、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタにおける水素イオンが酸化物薄膜トランジスタの活性層に拡散された後の、酸化物薄膜トランジスタの故障を回避するように構成され得る。この場合、画素回路は低温多結晶シリコン薄膜トランジスタを含み、酸化物薄膜トランジスタも含む。さらに、酸化物薄膜トランジスタは、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタと比較してより低いオフ状態電流を有する。従って、低周波数駆動中に電力消費が低減し得、従って、スタンバイ時間が増加し得る。
【0008】
任意選択的に、ディスプレイはさらに、基板上に順に位置付けられている第1のゲート絶縁層、第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、および第2のゲート絶縁層を含む。第1のパッシベーション層を構成している材料は窒化シリコンを含み、第2のパッシベーション層を構成している材料は酸化シリコンを含む。加えて、第1のゲート絶縁層は、第1のトランジスタの活性層と第1のゲートとの間に位置付けられており、第1のトランジスタの活性層は基板に近い。さらに、第1のゲート絶縁層の第1のゲートは、第1のパッシベーション層と第2のパッシベーション層とによって覆われている。
【0009】
この場合、隔離保持壁は、第1のゲート絶縁層および第1のパッシベーション層を少なくとも貫通し、第2のゲート絶縁層の少なくとも一部分は隔離保持壁に位置付けられている。加えて、第2のゲート絶縁層は、第2のトランジスタの活性層と第2のゲートとの間に位置付けられており、第2のトランジスタの活性層は基板に近い。
【0010】
このように、隔離保持壁は、第1のトランジスタの活性層における水素イオンを遮断するのみならず、第1のパッシベーション層の窒化シリコンにおける水素イオンが第2のトランジスタの活性層に拡散することも防止し、それにより、水素イオンによって第2のトランジスタの活性層に生じる損傷を回避する。加えて、隔離保持壁は、第1のパッシベーション層から第1のゲート絶縁層を少なくとも分離する。従って、無機酸化物材料の面積が過度に大きいことに起因する応力集中が回避され得る。このように、ディスプレイが折り曲げられた場合に内部破損が回避される。
【0011】
任意選択的に、隔離保持壁はさらに、第2のパッシベーション層を貫通する。この場合、隔離保持壁は、第1のゲート絶縁層、第1のパッシベーション層、および第2のパッシベーション層を貫通する。隔離保持壁は、前述の解決手段におけるそれより高く、従って、第1のトランジスタの活性層における水素イオンと、第1のパッシベーション層の窒化シリコンにおける水素イオンとが第2のトランジスタの活性層に拡散されることをより良く防止し得る。
【0012】
任意選択的に、ディスプレイはさらに、共通電極層を含む。共通電極層は、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタの、基板に近い側に位置付けられている。第1のトランジスタまたは第2のトランジスタの第1の極は、共通電極層に結合されている。これに基づいて、まず、共通電極層は、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタの基板に近い側に位置付けられており、ソース/ドレイン(S/D)と同じ層には存在しない。従って、電圧降下(IR drop)が低減し、それによりデータ線のクロストークを回避し得る。加えて、データ線のレイアウト空間が低減し、解像度が改善される。次に、共通電極層は、上側ラミネート層の位置には位置付けられていない。この場合、ラミネート層の厚さが低減され、それにより、ディスプレイが連続的に曲げられることを容易にし得る。
【0013】
加えて、隔離ベースと共通電極層とは同じ層にあり、同じ材料で作製され、一体的に形成されている。このように、製造プロセスが簡略化され得る。隔離ベースは、共通電極層が製造されている間、同じマスクを使用して形成される。
【0014】
任意選択的に、共通電極層は、金属層を含むか、または、金属層と、金属層に積層された表面酸化物材料層とを含む。この場合、第1のトランジスタの活性層の基板上の垂直突出部は、共通電極層の基板上の垂直突出部の範囲内にある。さらに、第2のトランジスタの活性層の基板上の垂直突出部は、共通電極層の基板上の垂直突出部の範囲内にある。このように、共通電極層は、第1のトランジスタの活性層と第2のトランジスタの活性層とを、周辺光、レーザリフトオフ(laser lift off,LLO)、および処理中の他のプロセスによって損傷されることから保護し得る。加えて、共通電極層は金属材料で作製されており、従って、外部の電界および静電気放電(electro-static discharge,ESD)が入ってくることから保護し、それにより、発光デバイスの安定性を向上させ得る。
【0015】
任意選択的に、第1のトランジスタは、第3のゲートをさらに含む。第3のゲートは、第1のトランジスタの第1のゲートの基板に近い側に位置付けられており、第1のトランジスタにおける第1のゲートは第3のゲートから絶縁されている。加えて、第1のトランジスタの第3のゲートは、共通電極層と同じ層にあり且つ同じ材料で作製されており、共通電極層から絶縁されている。これに基づいて、第3のゲートは、共通電極層が製造されている間、同じマスクを使用して形成され得、従って、プロセスが簡略化される。加えて、単一ゲートと比較して、トランジスタの駆動能力は2つのゲートを通じて向上され得る。
【0016】
任意選択的に、第2のトランジスタは、第4のゲートをさらに含む。第4のゲートは、第2のトランジスタの第2のゲートの基板に近い側に位置付けられており、第2のトランジスタにおける第2のゲートは第4のゲートから絶縁されている。加えて、第2のトランジスタの第4のゲートは、共通電極層と同じ層にあり且つ同じ材料で作製されており、共通電極層から絶縁されている。これに基づいて、第4のゲートは、共通電極層が製造されている間、同じマスクを使用して形成され得、従って、プロセスが簡略化される。加えて、単一ゲートと比較して、トランジスタの駆動能力は2つのゲートを通じて向上され得る。
【0017】
任意選択的に、基板を構成している材料は、有機材料を含む。この場合、ディスプレイはさらに、基板上に順に位置付けられている第1バリア層、第1の応力緩和層、および第2バリア層を含む。第1のトランジスタの活性層は、第2バリア層の基板から離れた側の表面上に位置付けられている。加えて、共通電極層は第1バリア層と第1の応力緩和層との間に位置付けられており、第1バリア層および第1の応力緩和層に接続されている。この場合、共通電極層はディスプレイをサポートする機能を提供し得る。フレキシブルディスプレイの場合、ディスプレイのパネルに対する応力を均一にして、それにより、連続的に曲げるという効果を実装し得る。加えて、製造プロセス中の膜の変形および散乱輝点といった問題が改善される。
【0018】
任意選択的に、ディスプレイは、第1のビアをさらに含み得る。第1のビアは、第1の応力緩和層、第2バリア層、第1のゲート絶縁層、および第1のパッシベーション層を順に貫通している。加えて、第1のビアの第1の端部は共通電極層に結合されており、第1のビアの第2の端部は、第1のトランジスタまたは第2のトランジスタの第1の極に結合されている。第1のビアは第1の金属導電層を含み、隔離保持壁と第1の金属導電層とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。この場合、第1の金属導電層は、隔離保持壁が製造されている間、同じマスクを使用して形成され得、従って、プロセスが簡略化される。
【0019】
任意選択的に、ディスプレイは、第2のビアをさらに含む。第2のビアの第1の端部は第1のビアの第2の端部に結合されており、第2のビアの第2の端部は第1のトランジスタまたは第2のトランジスタの第1の極に結合されている。加えて、第1のビアは第2の金属導電層を含み、第2の金属導電層と第1のトランジスタの第1の極とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。この場合、第2の金属導電層は、第1のトランジスタの第1の極が製造されている間に同じマスクを使用して形成されることも可能であり、従って、プロセスが簡略化される。加えて、共通電極層との結合は、第1のビアを第2のビアに接続することによって実装され得、これは、プロセスの難易度を下げることができる。
【0020】
任意選択的に、基板を構成している材料は、有機材料を含む。ディスプレイはさらに、基板上に順に位置付けられている第1バリア層、接続層、および第1の応力緩和層を含む。接続層は、第1バリア層を第1の応力緩和層に接続するように構成されている。加えて、共通電極層は、基板と第1バリア層との間に位置付けられており、基板と第1バリア層とに接続されている。代替的に、ディスプレイはさらに、第1の応力緩和層の基板から離れた側に位置付けられた第2バリア層を含み、第1のトランジスタの活性層は、第2バリア層の基板から離れた側の表面上に位置付けられている。共通電極層は第1の応力緩和層と第2バリア層との間に位置付けられており、第1の応力緩和層と第2バリア層とに接続されている。この場合、共通電極層はディスプレイをサポートする機能を提供することもできる。フレキシブルディスプレイの場合、ディスプレイのパネルに対する応力を均一にして、それにより、連続的に曲げるという効果を実装し得る。加えて、製造プロセス中の膜の変形および散乱輝点といった問題が改善される。
【0021】
任意選択的に、隔離保持壁において、第2のトランジスタの活性層は隔離ベースから絶縁されており、第2バリア層は、隔離保持壁の、第2のトランジスタの活性層から離れた外面上に配置されている。
【0022】
このように、まず、第2のトランジスタの活性層は隔離ベースから分離され、電気接続を回避し得る。次に、第2バリア層の厚さは、通常、第2のパッシベーション層および第2のゲート絶縁層の厚さよりはるかに大きい。従って、第2バリア層が、隔離保持壁の、第2のトランジスタの活性層から離れた外面上に配置された場合、第2のトランジスタの活性層は、隔離部に位置付けられ得、第1のトランジスタの活性層より低い場合がある。
【0023】
任意選択的に、基板を構成している材料は、無機材料を含む。ディスプレイは、基板上に位置付けられたバッファ層をさらに含む。共通電極層は、基板とバッファ層との間に位置付けられ且つ基板とバッファ層とに接続されている。加えて、第2のトランジスタの活性層は隔離ベースから絶縁されており、バッファ層は、隔離保持壁の、第2のトランジスタの活性層から離れた外面上に配置されている。これに基づいて、基板材料が無機材料を含むディスプレイの場合、共通電極層は第1のトランジスタの活性層と第2のトランジスタの活性層とを、外部光、レーザリフトオフ(laser lift off,LLO)、および他のプロセスによる損傷から保護する機能と、外部の電界および静電気放電(electro-static discharge,ESD)が入ってくることから保護する機能とを提供するのに使用される場合もある。加えて、バッファ層の厚さは、通常、第2のパッシベーション層および第2のゲート絶縁層の厚さよりはるかに大きい。従って、バッファ層が、隔離保持壁の、第2のトランジスタの活性層から離れた外面上に配置された場合、第2のトランジスタの活性層は、隔離部に位置付けられ得、第1のトランジスタの活性層より低い場合がある。
【0024】
任意選択的に、画素回路はストレージコンデンサをさらに含み、ストレージコンデンサは絶縁された第1の電極および第2の電極を含む。第1の電極は、第1のゲート絶縁層の基板から離れた側の表面上に位置付けられており、第1の電極と第1のトランジスタのゲートとは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。加えて、第2の電極は、第2のパッシベーション層の基板から離れた側の表面上に位置付けられており、第2の電極は第1のトランジスタに結合されており、第2の電極と第2のトランジスタのゲートとは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。この場合、ストレージコンデンサの第1の電極および第2の電極は、第1のトランジスタのゲートと第2のトランジスタのゲートとが製造されている間、同じマスクを使用して別個に製造され得、従って、プロセスが簡略化される。
【0025】
任意選択的に、ディスプレイはさらに、第2のゲート絶縁層を覆う第3のパッシベーション層を含み、ストレージコンデンサはさらに、第3の電極を含む。第3の電極は、第3のパッシベーション層の基板から離れた側の表面上に位置付けられ且つ第2の電極を覆っている。第3の電極と第1のトランジスタの第1の極とは、同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。加えて、ディスプレイはさらに、第2の電極を貫通している第3のビアを含み、第3の電極は、第3のビアを通じて第1の電極に結合されている。これに基づいて、まず、第3のパッシベーション層は、空気中の水素イオンが製造プロセス中に第2のトランジスタの活性層に拡散されることを防止し、それにより、第2のトランジスタの活性層に対する損傷を回避し得る。次に、前述の構造はコンデンサの相対的な面積を増やし、それにより、コンデンサのエネルギー貯蔵効果を高め得る。
【0026】
任意選択的に、第1のトランジスタは発光デバイスに結合されている。第1のトランジスタは、発光デバイスに駆動電流を供給して、短時間で発光デバイスをオンにするように構成されている。
【0027】
本願の実施形態の第2の態様によると、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、上述の任意のディスプレイを含む。電子デバイスは、前述の実施形態において提供されたディスプレイと同じ技術的効果を有する。詳細は本明細書において再び説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】本願の実施形態に係る電子デバイスの構造の概略図である。
【0029】
図1b図1aにおける電子デバイスのディスプレイの構造の概略図である。
【0030】
図1c】本願の実施形態に係るトランジスタの構造の概略図である。
【0031】
図2a】本願の実施形態に係る画素回路の回路図である。
【0032】
図2b図1bにおけるO-Oに沿って切断することによって得られる断面図である。
【0033】
図3】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0034】
図4a】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0035】
図4b】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0036】
図4c】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0037】
図4d】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0038】
図4e】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0039】
図5a】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0040】
図5b】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0041】
図6a】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0042】
図6b】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0043】
図7a】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0044】
図7b】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0045】
図8】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0046】
図9】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0047】
図10】本願の実施形態に係る別のディスプレイの構造の概略図である。
【0048】
参照番号
01:電子デバイス;10:ディスプレイモジュール;11:中間フレーム;12:後部カバー;100:ディスプレイ;101:画素回路;102:発光部;103:サブ画素;s:ソース;d:ドレイン;g:ゲート;AL:活性層;GL:ゲート線;Td:駆動トランジスタ;Tc:スイッチングトランジスタ;215:画素定義層;216:アノード;217:発光層;218:カソード;225:中抜き構造;219:第1のトランジスタの第2の極;222:第1のゲート;212:第1のトランジスタの活性層;201:基板;202:第1のトランジスタ;203:第2のトランジスタ;223:第2のゲート;210:第3のパッシベーション層;208:第2のゲート絶縁層;207:第2のパッシベーション層;206:第1のパッシベーション層;205:第1のゲート絶縁層;213:第2のトランジスタの活性層;214:隔離保持壁;224:隔離ベース;204:隔離部;301:第1バリア層;302:第1の応力緩和層;303:第2バリア層;228:溝;305:第1のビア;306:第2のビア;307:第1の金属導電層;308:第2の金属導電層;304:共通電極層;A:第1の電極;B:第2の電極;E:第1のビアの第1の端部;F:第2のビアの第1の端部;Cst:ストレージコンデンサ;C:第3の電極;D:第3のビア;309:第3のゲート;310:第4のゲート;311:接続層;601:バッファ層
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下では、本願の実施形態における添付図面を参照して本願の実施形態における技術的解決手段を説明する。明らかに、説明された実施形態は、本願のいくつかの実施形態に過ぎず、全ての実施形態ではない。
【0050】
以下の用語、すなわち、「第1」および「第2」は単に、説明の目的を意図するものであり、相対的な重要度の指示もしくは示唆、または、指示された技術的機能の数の黙示的な指示として理解されるべきでない。従って、「第1」、「第2」または同様のものによって限定される特徴は、1または複数の特徴を明示的にまたは黙示的に含み得る。本願の説明において、別様に記載されない限り、「複数の(a plurality of)」は、2つまたは2つより多くを意味する。
【0051】
加えて、本願において、「上」および「下」などの方向に関する用語は、限定されないが、関連する添付図面において概略的に配置された構成要素の方向を含み得る。これらの方向に関する用語は相対的な概念であり得ることを理解されたい。方向に関する用語は関連する説明および明確化のために使用されており、添付図面において構成要素が配置された方向の変化に基づいて対応して変化し得る。
【0052】
本願において、「接続(connection)」という用語は、別様に明示的に指定および限定されていない限り、広義に理解されるべきである。例えば、「接続」は、固定された接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、または、媒体を使用して実装される間接接続であってもよい。加えて、「結合(coupling)」という用語は、信号伝送のための電気接続を実装する方式であり得る。「結合」は、直接電気接続であってもよく、または、中間媒体を介した間接電気接続であってもよい。
【0053】
本願の実施形態は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、携帯電話(mobile phone)、タブレットコンピュータ(pad)、コンピュータ、スマートウェアラブル製品(例えば、スマートウォッチまたはスマートバンド)、セットトップボックス、メディアプレーヤ、ポータブル電子デバイス、仮想現実(virtual reality,VR)端末デバイス、または拡張現実(augmented reality,AR)端末デバイスなどの電子製品を含む。電子デバイスの特定の形成は、本願のこの実施形態において特に限定されるものではない。
【0054】
説明を容易にするために、図1aに示された電子デバイス01が携帯電話である例が以下で使用される。この場合、電子デバイス01は、ディスプレイモジュール10、中間フレーム11、および後部カバー12を主に含む。中間フレーム11は、ディスプレイモジュール10と後部カバー12との間に位置付けられている。ディスプレイモジュール10と後部カバー12とは、中間フレーム11に別個に接続されている。後部カバー12と中間フレーム11との間に形成された収容空洞は、バッテリならびにカメラ(図1aには示されていない)、および図1aに示されたプリント回路基板(printed circuit board,PCB)などの電子コンポーネントを収容するように構成されている。
【0055】
上述の任意の電子デバイス01の場合、電子デバイス01におけるディスプレイモジュール10は、図1bに示されたディスプレイ100を含み得る。ディスプレイ100は、行および列において配列された複数のサブ画素(sub pixels)103を含み得る。画素回路101および発光デバイス102は、サブ画素103に位置付けられている。画素回路101は発光デバイス102を駆動して発光させ、その結果、ディスプレイ100における各々のサブ画素103は予め設定されたグレースケールに従って表示され得る。
【0056】
例えば、発光デバイス102は、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode,OLED)、マイクロ発光ダイオード(micro light-emitting diode,mirco LED)、またはミニ発光ダイオード(mini light-emitting diode,mini LED)であり得る。説明を容易にするために、以下では、発光デバイス102がOLEDである例を使用して説明を行う。
【0057】
本願のいくつかの実施形態において、画素回路101は、複数のトランジスタと少なくとも1つのコンデンサとを含み得る。トランジスタは、薄膜トランジスタ(thin film transistor,TFT)であり得る。
【0058】
前述のトランジスタのうち任意の1つは、図1c(トランジスタの断面図)に示されている、ゲート(gate,g)、活性層(active layer,AL)、および、第1の極ならびに第2の極(例えば、ソース(source,s)ならびにドレイン(drain,d))を含み得る。例えば、第1の極はソース(source,s)であり、第2の極はドレイン(drain,d)である。代替的に、トランジスタの第1の極はドレインdであり得、第2の極はソースsであり得る。これは、本願において限定されるものではない。説明を容易にするために、以下では、トランジスタの第1の極がソースsであり第2の極がドレインdである例を使用して説明を提供する。
【0059】
活性層ALは、半導体材料で作製されている。トランジスタのゲートgに印加された電圧を使用してトランジスタがオンにされることができる場合、活性層ALは絶縁体から導体に変換され、その結果、トランジスタのソースsおよびドレインdが結合される。トランジスタのゲートgに印加された電圧を使用してトランジスタがオンにされることができない場合、活性層ALは絶縁状態にあり、トランジスタのソースsはそのドレインdから分離される。
【0060】
トランジスタの性能は、トランジスタの活性層を構成している異なる材料によって変化する。例えば、トランジスタの活性層を構成する材料が多結晶シリコン(例えば、低温多結晶シリコン薄膜,low temperature polysilicon,LTPS)である場合、多結晶シリコントランジスタの高電子移動度に起因して、多結晶シリコントランジスタは通常、スイッチング頻度が高い場合(例えば、電子デバイス01がオン状態にある場合)に適用され、スイッチング効率を向上させる。低温多結晶シリコン薄膜は、低温(例えば、600℃より低い温度)の環境で堆積された多結晶シリコンであることに留意されたい。
【0061】
代替的に、別の例の場合、トランジスタの活性層を構成している材料が半導体酸化物(例えば、アモルファスインジウムガリウム亜鉛酸化物、または、インジウムガリウム亜鉛酸化物、IGZO)である場合、半導体酸化物トランジスタは多結晶シリコントランジスタより低い電子移動度を有するが、極度に低いオフ状態電流を有するので、半導体酸化物トランジスタは通常、スイッチング頻度が低い場合(例えば、電子デバイス01がスタンバイ状態にある場合)に適用され、リーク電流を低減して、それにより電力消費を低減するように構成され得る。以下では、説明を容易にするために、活性層が多結晶シリコンで作製されたトランジスタは第1のトランジスタと称され、活性層が半導体酸化物で作製されたトランジスタは第2のトランジスタと称される。
【0062】
これに基づいて、高周波数駆動下で(例えば、電子デバイス01がオン状態にある場合)画素回路101が短時間でオンにされることを可能にするべく、低周波数駆動下(例えば、電子デバイス01がスタンバイ状態にある場合)の電力消費を低減すべく、画素回路101は、上述の少なくとも1つの第1のトランジスタと少なくとも1つの第2のトランジスタとを含む。例えば、図2aに示されるように、画素回路101は、駆動トランジスタTd、スイッチングトランジスタTc、およびコンデンサCstを含み得る。この場合、画素回路101は2T1C構造を有する。「2T」は2つのトランジスタがあることを示し、「1C」は1つのストレージコンデンサがあることを示す。
【0063】
スイッチングトランジスタTcは、ゲート線(GL)の制御下でオン状態を保ち、これにより、駆動トランジスタTdのゲートgおよびストレージコンデンサCstにデータ電圧Vdataを書き込むように構成されている。ストレージコンデンサCstは、駆動トランジスタTdのゲート電圧を維持し得、その結果、駆動トランジスタTdのゲート電圧は1つの画像フレーム内で安定化され得る。この場合、駆動トランジスタTdは、データ電圧Vdataに基づいて駆動電流を生成し得、その結果、発光デバイス102は、駆動電流に基づいて発光し得る。
【0064】
本願のいくつかの実施形態において、図2aの駆動トランジスタTdは第1のトランジスタであり得る。例えば、駆動トランジスタTdの活性層はLTPSで作製されている。加えて、スイッチングトランジスタTcは第2のトランジスタであり得る。例えば、スイッチングトランジスタの活性層はIGZOで作製されている。この場合、駆動トランジスタTd(すなわち、第1のトランジスタ)は高電子移動度を有するので、発光デバイス102は、第1のトランジスタが発光デバイス102に接続されている場合に短時間でオンにされ得る。さらに、第2のトランジスタのオフ状態電流は極度に低いので、第2のトランジスタが回路のオンまたはオフを制御するためのスイッチングトランジスタTcとして使用される場合、リーク電流が低減し、それにより、電力消費が低減するとともにデバイスのスタンバイ時間が増加し得る。
【0065】
代替的に、本願のいくつかの他の実施形態において、図2aの駆動トランジスタTdは第2のトランジスタであり得る。例えば、駆動トランジスタTdの活性層はIGZOで作製されている。加えて、スイッチングトランジスタTcは第1のトランジスタであり得る。例えば、スイッチングトランジスタTcの活性層はLTPSで作製されている。
【0066】
加えて、画素回路内にトランジスタの活性層を配置する方式は、画素回路101が2T1C構造を有する例を使用して上述されている。本願のいくつかの他の実施形態において、駆動トランジスタTdの閾値電圧(Vth)の発光デバイス102の輝度に対する影響を除去するとともに発光デバイスの輝度の均一性を向上させるべく、補償および初期化モジュールが画素回路に追加され得る。この場合、スイッチングトランジスタの数が増加し得る。例えば、画素回路は7T1Cまたは8T1C構造を有する。本願において、画素回路101の他の構造は、画素回路101が少なくとも1つの第1のトランジスタ(例えば、活性層がLTPSで作製された)と少なくとも1つの第2のトランジスタ(例えば、活性層がIGZOで作製された)とを有することが保証され得る限り、詳細に説明されない。説明を容易にするために、以下では、画素回路101が2T1C構造を有し、画素回路101の駆動トランジスタTdが第1のトランジスタ(例えば、活性層がLTPSで作製された)であり、スイッチングトランジスタTcが第2のトランジスタ(例えば、活性層がIGZOで作製された)である例を使用して説明が提供される。
【0067】
以下では、画素回路101を有するディスプレイ100の、すなわち、画素回路101が第1のトランジスタ(例えば、活性層がLTPSで作製された)と第2のトランジスタ(例えば、活性層がIGZOで作製された)とを含む構造を詳細に説明する。
【0068】
図2b(図1bにおける破線O-Oに沿って切断することで得られる断面図)に示されるように、ディスプレイ100は、基板201と、基板201上に配置されている第1のトランジスタ(例えば、活性層がLTPSで作製された)202ならびに第2のトランジスタ(例えば、活性層がIGZOで作製された)203を含み得る。
【0069】
本願のこの実施形態において、基板201を構成している材料は、剛性材料、例えば、少なくとも1つのガラス、サファイア、または金属材料を含み得る。代替的に、基板201を構成している材料は、巨大分子(macromolecular)ポリマー材料などのフレキシブル材料を含み得る。
【0070】
第1のトランジスタ202は、図2aに示された駆動トランジスタTdとして機能する。第1のトランジスタ202の第2の極(例えばドレインd)は、発光デバイス102のアノード216(anode)に結合され得る。従って、図2bに示されるように、発光デバイス102のアノード216は、第1のトランジスタ202の第2の極219(例えば、ドレインd)と接触している。加えて、発光デバイス102はさらに、アノード216の上方に順に位置付けられている発光層217とカソード218とを含む。加えて、ディスプレイ100はさらに、画素定義層(pixel definition layer,PDL)215を含む。画素定義層215は、複数の中抜き構造225を有する。1つの発光デバイス102が中抜き構造225内に配置され得る。
【0071】
第1のトランジスタ202がゲート、第1の極(例えば、ソースs)、第2の極(例えば、ドレインd)、および活性層ALを含むことが、前述の説明から分かり得る。本願のいくつかの実施形態において、図2bに示されるように、第1のゲート絶縁層205(例えば、酸化シリコンSiOx層)が、第1のトランジスタ202の第1のゲート222と活性層212との間に配置されている。さらに、第1のゲート222は、第1のゲート絶縁層205よりも基板201から離れて配置されている。従って、図2bにおいて、第1のトランジスタ202はトップゲートトランジスタである。加えて、第1のパッシベーション層206、第2のパッシベーション層207、および第2のゲート絶縁層208が順に、第1のゲート222を覆っている。第1のパッシベーション層206を構成している材料は窒化シリコン(SiNx)を含み、第2のパッシベーション層207を構成している材料は酸化シリコン(SiOx)を含む。
【0072】
同様に、第2のゲート絶縁層208は第2のトランジスタ203の活性層213と第2のゲート223との間に配置されており、第2のトランジスタ203の活性層213は基板201に近い。従って、第2のトランジスタ203もトップゲートトランジスタである。
【0073】
第1のゲート222および第2のゲート223を構成している材料は、モリブデン(Mo)、チタン/アルミニウム/チタン合金(Ti/Al/Ti)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン合金(Mo/Al/Mo)、およびチタン(Ti)などの金属材料であり得る。
【0074】
第1のトランジスタ202の活性層212は多結晶シリコンで作製されていることが、前述の説明から分かり得る。第1のトランジスタ202の電気性能を向上させるべく、通常は、水素イオンを使用して、第1のトランジスタ202の活性層212の多結晶シリコン内の不飽和結合またはダングリングボンドを、水素化プロセス(例えば、窒化シリコン(すなわち、第1のパッシベーション層206)は水素化源として使用され、水素イオンは高温で活性層212に拡散される、固相状態拡散法)を使用して充填する。このように、多結晶シリコン内の不安定な状態の数が低減し、それにより、電子移動度が向上するとともに閾値電圧の均一性が向上する。
【0075】
さらに、第2のトランジスタ203の活性層213は半導体酸化物で作製されており、第2のトランジスタ203の活性層213は水素イオンによって損傷され得る。従って、第2のトランジスタ203の活性層213の禁止帯域の幅が低減するまたはさらには無効になる。従って、第1のトランジスタ202内の水素イオンが第2のトランジスタ203の活性層213に拡散されることを防止するために、本願の実施形態において、ディスプレイ100はさらに、基板201上に配置された隔離部204を含み得る。
【0076】
図2bに示されるように、隔離部204は、隔離ベース224と、隔離ベース224を囲む隔離保持壁214とを含み得る。隔離保持壁214は、少なくとも第1のゲート絶縁層205および第1のパッシベーション層206を貫通し、第2のゲート絶縁層208の少なくとも一部分は隔離保持壁214に位置付けられている。第2のトランジスタ203の活性層213は、第2のゲート絶縁層208の基板201に近い側に位置付けられている。従って、第2のトランジスタ203の活性層213は、隔離保持壁214と隔離ベース224とによって形成された溝に配置されている。しかしながら、第2のトランジスタ203に隣接する第1のトランジスタ202の活性層212は、隔離保持壁214と隔離ベース224とによって形成された溝の外部に配置されていることが前述の説明から分かり得る。このように、1つの態様において、隔離保持壁214は、第1のトランジスタ202の活性層212における水素イオンが第2のトランジスタ203の活性層213に拡散されることを防止し得る。さらに、第1のトランジスタ202の活性層212が固相状態拡散法(例えば、窒化シリコン(すなわち、第1のパッシベーション層206)は水素化源として使用され、水素イオンは高温で活性層212に拡散される)を使用して水素化された場合、第1のパッシベーション層206も水素イオンの含有量が比較的高い。この場合、隔離保持壁214はさらに、第1のパッシベーション層206の窒化シリコンにおける水素イオンが第2のトランジスタ203の活性層213に拡散されることを防止し得る。このように、第2のトランジスタ203の活性層213が水素イオンによって損傷されることが防止される。このように、画素回路101がLTPSトランジスタとIGZOトランジスタの両方を含む場合、IGZOトランジスタはLTPSトランジスタと比較して極度に低いオフ状態電流を有するので、低周波数駆動(例えば、画素回路101が携帯電話のディスプレイに適用された場合、1Hzの駆動が実装され得、電力消費は、画素回路101がLTPSのみを使用するデバイスと比較して15%低減し得る)中の電力消費が低減し得、スタンバイ時間が増加し得る(例えば、画素回路101がウェアラブル製品に適用された場合、1か月間の超長スタンバイ時間が実装され得る)。
【0077】
別の態様において、隔離保持壁214は、少なくとも第1のゲート絶縁層205(例えば、SiOx)を第1のパッシベーション層206(SiNx)から分離する。従って、無機窒素酸化物材料の面積が過度に大きいことに起因する応力集中が回避され得る。このように、ディスプレイが折り曲げられた場合に内部破損の問題が回避される。
【0078】
加えて、本願のいくつかの実施形態において、ディスプレイ100はさらに、第2のゲート絶縁層208を覆う第3のパッシベーション層210を含み得る。第3のパッシベーション層210を構成している材料は、酸化シリコン(SiOx)を含み得る。第3のパッシベーション層210は第2のトランジスタ203の表面を覆っており、第2のゲート223は、第2のトランジスタ203の活性層213の基板201から離れた側に位置付けられている。従って、第3のパッシベーション層210および第2のゲート223は、空気中の水素イオンが製造プロセス中に第2のトランジスタ203の活性層213に拡散されることを防止し、それにより、第2のトランジスタ203の活性層213に対する損傷を回避するようにさらに構成され得る。
【0079】
前述の隔離部204を有するディスプレイ100の構造は、例を使用して以下に説明される。
【0080】
例1
【0081】
この例において、ディスプレイ100はフレキシブルディスプレイである。図3に示されるように、基板201を構成している材料は、ポリイミド(polyimide,PI)などの有機材料を含む。ディスプレイ100はさらに、基板201上に順に位置付けられている第1バリア層301(例えば、酸化シリコン、SiOx)、第1の応力緩和層302(例えば、PI)、および第2バリア層303(例えば、酸化シリコン、SiOx)を含む。
【0082】
本願のいくつかの実施形態において、隔離部204の構造を有するディスプレイ100を製造するプロセスは、以下の通りである。
【0083】
まず、図4aに示されるように、第1バリア層301が、化学蒸着(chemical vapor deposition,CVD)によって基板201上に形成され、次いで、隔離ベース224が、物理蒸着(physical vapor deposition,PVD)によって第1バリア層301の表面上に形成される。
【0084】
続いて、第1の応力緩和層302が、コーティングプロセスを使用して隔離ベース224上にコーティングされ、次いで、第2バリア層303が、CVDプロセスを使用して、第1の応力緩和層302が製造された基板上に形成される。隔離ベース224は、基板201と第2バリア層303との間の任意の層に配置され得ることに留意されたい。説明を容易にするために、この例において、隔離ベース224は、第1バリア層301と第1の応力緩和層302との間に配置されている。
【0085】
続いて、第1のトランジスタ202の活性層212は、第2バリア層303の基板201から離れた側の表面上に形成される。その後、第1のトランジスタ202の活性層212は第1のゲート絶縁層205によって覆され、次いで、第1のゲート222は、PVDプロセスを使用して、第1のゲート絶縁層205の基板201から離れた側の表面上に形成される。次いで、第1のパッシベーション層206は第1のゲート222の上を覆う。
【0086】
この場合、図4bにおいて示されるように、溝228は、ドライエッチングプロセスを使用して、第1のトランジスタ202の1つの側(例えば、右側)に形成され得る。完全に透明なマスクがまず使用され、第1の応力緩和層302の基板201から離れた側にある位置をエッチングし得る。続いて、半透明なマスクが使用され、その結果、溝228における第1の応力緩和層302が維持され、隔離保持壁214が位置付けられた位置がエッチングされる。隔離保持壁214は、隔離基板224と通信している。続いて、隔離保持壁214が、PVDプロセスを使用して溝228の側壁に形成され、その結果、隔離保持壁214は、隔離ベース224に電気的に接続される。
【0087】
隔離部204を構成している材料は、チタン/アルミニウム/チタン(Ti/Al/Ti)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、または同様のものであり得ることに留意されたい。隔離ベース224および隔離保持壁214の材料は同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0088】
隔離ベース224を構成している材料は金属材料なので、図3に示されたように、第2のトランジスタ203の活性層213は、少なくとも1つの絶縁層を使用して隔離ベース224から隔離される必要がある。本願のいくつかの実施形態において、図3に示されるように、第2のパッシベーション層207および第1の応力緩和層302が第2のトランジスタ203の活性層213と隔離ベース224との間に配置されている。従って、図4bに示されるように、溝228の形成中に、隔離保持壁214と隔離ベース224との間の電気接続が保証される場合、溝228の底部に位置付けられている第2バリア層303、第1のゲート絶縁層205、および第1のパッシベーション層206の各々の少なくとも一部分がエッチングされ得、その結果、活性層213は、第2のパッシベーション層207および第1の応力緩和層302を使用して隔離ベース224から絶縁される。
【0089】
溝228が、ドライエッチングプロセスを使用して、第1のトランジスタ202の1つの側(例えば、右側)に形成された場合、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁された場合、第2バリア層303はさらに、隔離保持壁214の、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置される(図4bに示されるように)必要があることにも留意されたい。第2バリア層303の厚さは通常、第1のパッシベーション層206および第2のパッシベーション層207の厚さより大きいので、第2バリア層303が、隔離保持壁214の、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置されている場合、第2のトランジスタ203の活性層213は、第1のトランジスタ202の活性層212より低くされ、それにより、水素イオンが第2のトランジスタ203の活性層213に拡散されることをより良く防止し得る。代替的に、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213に近い部分の第1の厚さは、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213から離れた部分の第2の厚さより小さく作製され得る。厚さは、第2バリア層303が基板201上に堆積される場合に第2バリア層303が成長する方向における長さである。この場合、第1の厚さのサイズは調整され得、その結果、第2のトランジスタ203の活性層213は隔離ベース224から絶縁され、第2のトランジスタ203の活性層213は第1のトランジスタ202の活性層212より低くなり、それにより、水素イオンが第2のトランジスタ203の活性層213に拡散されることをより良く防止する。
【0090】
続いて、図4cに示されるように、第2のパッシベーション層207および第2のゲート絶縁層208は、CVDプロセスを使用して、第1のパッシベーション層206の基板201から離れた側の表面上に、順に形成されている。この場合、第2のパッシベーション層207の一部分と第2のゲート絶縁層208の一部分は、隔離保持壁214に位置付けられている。その後、第2のトランジスタ203の活性層213および第2のゲート223はそれぞれ、第1のトランジスタ202と同じプロセスを使用して、第2のゲート絶縁層208の2つの側に形成される。
【0091】
次いで、第3のパッシベーション層210が、CVDプロセスを使用して、第2のゲート絶縁層208の基板201から離れた側の表面上に形成される。続いて、ソースsおよびドレインdがそれぞれ、PVDプロセスを使用して、第1のトランジスタ202の活性層212と第2のトランジスタ203の活性層213との各々の2つの端部に形成される。
【0092】
加えて、図3において、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されることを保証するために、第2のパッシベーション層207および第1の応力緩和層302が、第2のトランジスタ203の活性層213と隔離ベース224との間に配置されている。本願のいくつかの他の実施形態において、図4dに示されるように、第2のパッシベーション層207のみが第2のトランジスタ203の活性層213と隔離ベース224との間に配置され得る。従って、溝228が形成される場合、溝228の底部に位置付けられている第2バリア層303、第1のゲート絶縁層205、第1のパッシベーション層206、および第1の応力緩和層302の各々の少なくとも一部分がエッチングされ得、その結果、活性層213は、第2のパッシベーション層207を使用して隔離ベース224から絶縁される。この場合、第2バリア層303は、隔離保持壁214のうち、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置されている。この例において、他の製造プロセスは上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されないことに留意されたい。
【0093】
第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されることを保証するために、本願のいくつかの他の実施形態においては、図4eに示されるように、第1の応力緩和層302と、第2のパッシベーション層207と、第2バリア層303の一部分とが、第2のトランジスタ203の活性層213と隔離ベース224との間に配置され得る(図3に説明されている解決手段と比較すると、第2バリア層303の一部分が、第2のトランジスタ203の活性層213と隔離ベース224との間に追加的に配置される)。従って、溝228が形成される場合、溝228の底部に位置付けられている第2バリア層303、第1のゲート絶縁層205、および第1のパッシベーション層206の各々の少なくとも一部分がエッチングされ得、ここで、溝228の底部にある第2バリア層303が部分的にエッチングされ、その結果、活性層213は、第1の応力緩和層302、第2のパッシベーション層207、および第2バリア層303の一部分を使用して、隔離ベース224から絶縁される。この場合、第2バリア層303に関しては、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213に近い部分の第1の厚さは、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213から離れた部分の第2の厚さより小さい。この例において、他の製造プロセスは上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されないことに留意されたい。
【0094】
本願のいくつかの他の実施形態において、図5aに示されるように、隔離保持壁214はさらに、第2のパッシベーション層207を貫通し得る。この場合、隔離部204の構造を有するディスプレイ100を製造するプロセスは、以下の通りである。
【0095】
第1バリア層301、第1の応力緩和層302、第2バリア層303、第1のトランジスタ202の活性層212、第1のゲート絶縁層205、第1のパッシベーション層206、および第2のパッシベーション層207が、基板201上に順に製造される。前述の層の製造プロセスについては、上述の通りであり、本明細書で再び説明されない。続いて、第2のパッシベーション層207が形成された基板上には、ドライエッチングプロセスを使用して、第1のトランジスタ202の1つの側(例えば、右側)に溝228が形成される。
【0096】
溝228においてエッチングされる必要があるのがどの層であるかを決定するために、少なくとも以下の条件、すなわち、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されており、第2バリア層303が、隔離保持壁214の、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置されており、または、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されており、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213に近い部分の第1の厚さは、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213から離れた部分の第2の厚さより小さいという条件が満たされる必要があることが、前述の説明から分かり得る。第1の厚さのサイズは調整され得、その結果、第2のトランジスタ203の活性層213は第1のトランジスタ202の活性層212より低くなる。
【0097】
図5bにおいて、例えば、溝228が形成される場合、溝228の底部に位置付けられている第2バリア層303、第1のゲート絶縁層205、第1のパッシベーション層206、および第2のパッシベーション層207の各々の少なくとも一部分がエッチングされ得る。この場合、活性層213は、第1の応力緩和層302を使用して隔離ベース224から絶縁されており、上述のように、第2バリア層303は、隔離保持壁214の、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置される。他の配置方式は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。
【0098】
続いて、第2のゲート絶縁層208が、CVDプロセスを使用して、第2のパッシベーション層207の、基板201から離れた側の表面上に形成される。この場合、第2のゲート絶縁層208の一部分は、隔離保持壁214に位置付けられている。他のプロセスは上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。
【0099】
説明を容易にするために、以下では、隔離保持壁214が第1のゲート絶縁層205および第1のパッシベーション層206を貫通する例を使用して説明を提供する。
【0100】
図2aに示されるように、駆動トランジスタTdがオンにされる場合、第1の電圧VDDと第2の電圧VSSとの間に電流経路が形成され、その結果、駆動トランジスタTdによって生成された駆動電流が発光デバイス102に流れ得、発光デバイス102を駆動して発光させる。この場合、第1の電圧VDDを各サブ画素103における画素回路101に供給するために、ディスプレイはさらに、図6aに示されるように、共通電極層304を含む。共通電極層304は、各画素回路101における駆動トランジスタTdのソースsに結合され、これにより、各画素回路101に第1の電圧VDDを供給し得る。
【0101】
共通電極層304を配置する方式は、以下に詳細に説明される。
【0102】
この例において、図6aに示されるように、共通電極層304は、第1バリア層301と第1の応力緩和層302との間に配置され得る。隔離部204における隔離ベース224が第1バリア層301と第1の応力緩和層302との間に位置付けられており、隔離ベース224は金属材料で作製されていることが、前述の説明から分かり得る。従って、製造プロセスを簡略化するために、隔離ベース224および共通電極層304は、同じ層に配置され且つ同じ材料で作製され得、一体的に形成され得る。このように、共通電極層304の製造は、隔離基板224が製造されている間に完了し得る。
【0103】
「同じ層」は、まずは、同じ成膜工程(例えば、コーティングプロセス)によって特定のパターンを形成するためのフィルム層を形成して、次いで、単一パターニングプロセスによって同じマスク(mask)を使用して形成された層構造を指すということに留意されたい。異なる特定のパターンに基づいて、同じパターニングプロセスは、複数の露光、現象、またはエッチングプロセスを含み得る。さらに、形成された層構造の特定のパターンは連続的であってもよく、または不連続的であってもよく、これらの特定のパターンは、異なる高さまたは異なる太さを有してもよい。
【0104】
従って、図6aに示されるように、ディスプレイ100はさらに、共通電極層304を含み得る。共通電極層304は、第1バリア層301と第1の応力緩和層302との間に位置付けられており、第1バリア層301および第1の応力緩和層302に接続されている。
【0105】
共通電極層304は、金属層を含むか、または、共通電極層304は、金属層と、金属層に積層された表面酸化物材料層とを含む。例えば、共通電極層304は、チタン/アルミニウム/チタン(Ti/Al/Ti)、モリブデン/ニッケル/銅(Mo/Ni/Cu)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、インジウムスズ酸化物(ITO)、よび、Ti/Al/Ti、Mo/Ni/Cu、Cu、SUSならびにITOを含む表面酸化物層を含む。
【0106】
共通電極層304と、駆動トランジスタTd(すなわち、第1のトランジスタ202または第2のトランジスタ203。ここで、第1のトランジスタは、図6aにおける例として使用される)のソースsとの間に結合を実装するために、ディスプレイ100はさらに、第1のビア305と第2のビア306とを含み得る。本願のいくつかの実施形態において、第1のビア305は、第1の応力緩和層302、第2バリア層303、第1のゲート絶縁層205、および第1のパッシベーション層206を連続的に貫通している。さらに、第1のビア305の第1の端部Eは共通電極層304に結合されており、第1のビア305の第2の端部(すなわち、端部Eに対向している端部)は、第1のトランジスタ202または第2のトランジスタ203の第1の極(図面には示されていない)に結合されている。加えて、第1のビア305は第1の金属導電層307を含み得、第1の金属導電層307と隔離保持壁214とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。
【0107】
加えて、第2のビア306の第1の端部Fは第1のビア穴305の第2の端部(すなわち、端部Eに対向している端部)に結合されており、第2のビア306の第2の端部(すなわち、端部Fに対向している端部)は、第1のトランジスタ202または第2のトランジスタ203の第1の極(図面には示されていない)に結合されている。加えて、第2のビア306は第2の金属導電層308を含み得、第2の金属導電層308と第1のトランジスタ202の第1の極とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。
【0108】
第1の金属導電層307を構成している材料は、チタン/アルミニウム/チタン(Ti/Al/Ti)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、または同様のものであり得ることに留意されたい。第1の金属導電層307および隔離保持壁214は、同じフィルム層(例えば、第1の応力緩和層302、第2バリア層303、第1のゲート絶縁層205、および第1のパッシベーション層206)を貫通している。従って、第1の金属導電層307および隔離保持壁214は、同じ層にあり且つ同じ材料で作製され得る。このように、第1の金属導電層307は、隔離保持壁214が製造されている間、同じマスクを使用して形成され得、従って、プロセスが簡略化される。
【0109】
加えて、第2の金属導電層308を構成している材料は、チタン/アルミニウム/チタン(Ti/Al/Ti)、銅(Cu)、モリブデン/ニッケル/銅(Mo/Ni/Cu)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)、または別の材料であり得る。第2の金属導電層308と、第1のトランジスタ202の第1の極(または第2の極)とは、同じフィルム層(例えば、第2のパッシベーション層207、第2のゲート絶縁層208、および第3のパッシベーション層210)を貫通している。従って、第2の金属導電層308と、第1のトランジスタ202の第1の極(または第2の極)とは、同じ層にあり且つ同じ材料で作製され得る。このように、第2の金属導電層308は、第1のトランジスタ202の第1の極(または第2の極)が製造されている間に同じマスクを使用して形成され得、従って、プロセスが簡略化される。
【0110】
続いて、プロセスの難易度は、ビアを第1のビア305および第2のビア306で分類することによって、低減し得る。
【0111】
本願の実施形態において、共通電極層304は、トランジスタTFTの基板201に近い側に配置されており、ソース/ドレイン(S/D)と同じ層には存在しないことが、前述の説明から分かり得る。このように、電圧降下(IR drop)が低減し、それによりデータ線のクロストークを回避し得る。加えて、データ線のレイアウト空間が低減し、解像度が改善される。さらに、共通電極層304は、上側ラミネート層の位置には位置付けられていない。この場合、ラミネート層の厚さが低減され、それにより、ディスプレイが連続的に曲げられることを容易にし得る。さらに、共通電極層304は金属材料で作製され且つ第1のトランジスタ202の第1の極に電気的に接続されているので、外部の電界および静電気放電(electro-static discharge,ESD)がディスプレイ100に入ってくることが防止され、それにより、発光デバイス102の安定性を向上させ得る。続いて、金属材料の剛性が無機材料または有機材料より大きいので、共通電極層304が基板201上に追加された場合、共通電極層304はディスプレイをサポートする機能を提供し得る。フレキシブルディスプレイの場合、ディスプレイのパネルに対する応力を均一にして、それにより、連続的に曲げるという効果を実装し得る。加えて、製造プロセス中の膜の変形および散乱輝点といった問題が改善される。最後に、共通電極層304はさらに、第1のトランジスタ202の活性層212と第2のトランジスタ203の活性層213とを、周辺光、レーザリフトオフ(laser lift off,LLO)、および処理中の他のプロセスによって損傷されることから保護し得る。
【0112】
第1のトランジスタ202の活性層212と第2のトランジスタ203の活性層213とを保護するために、共通電極層304は、基板201全体を覆う薄いフィルム層の形状を有し得、または、中抜きパターンを有する薄いフィルム層であり得る。中抜きパターンは、グリッド状のパターン、メッシュ状のパターン、および同様のものを含み得る。しかしながら、共通電極層304が中抜きパターンを有する場合、少なくとも以下の条件、すなわち、第1のトランジスタ202の活性層212の基板201上の垂直突出部は、共通電極層304の基板201上の垂直突出部の範囲内にあり、第2のトランジスタ203の活性層213の基板201上の垂直突出部は、共通電極層304の基板201上の垂直突出部の範囲内にあるという条件が満たされる必要がある。
【0113】
ディスプレイ100はストレージコンデンサCstをさらに含み、駆動トランジスタTd(すなわち、第1のトランジスタ202)のゲート電圧を維持し得、その結果、駆動トランジスタTd(すなわち、第1のトランジスタ202)のゲート電圧が1つの画像フレーム内で安定化され得ることが、図2aから分かり得る。従って、本願のいくつかの実施形態において、図6aに示されるように、ストレージコンデンサCstはさらに、絶縁されている第1の電極Aおよび第2の電極Bを含み得る。第1の電極Aは、第1のゲート絶縁層205の基板201から離れた側の表面上に位置付けられている。第1の電極Aと第1のトランジスタ202のゲート222とは、同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。加えて、第2の電極Bは、第2のパッシベーション層207の基板201から離れた側の表面上に位置付けられており、第2の電極Bは第1のトランジスタ202に結合されており、第2の電極Bと第2のトランジスタ203のゲート222とは同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。この場合、第2の電極BはストレージコンデンサCstの上側プレートであり、第1の電極Aはストレージコンデンサの下側プレートである。
【0114】
従って、第1の電極AとストレージコンデンサCstの第2の電極Bとは、第1のトランジスタ202の第1のゲート222と第2のトランジスタ203の第2のゲート223とが製造されている間、同じマスクを使用して別個に製造され得、従って、プロセスが簡略化される。
【0115】
ストレージコンデンサCstの第1の電極Aと第2の電極Bとの位置は本願において限定されないことに留意されたい。第1の電極Aおよび第2の電極Bは、第1の電極Aおよび第2の電極Bが同じラミネート層に存在しない限り、要件(例えば、第1の電極Aは第1のゲート絶縁層205に配置され得、第1のトランジスタ202の活性層212と同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている)に基づいて、異なるラミネート層に配置され得る。
【0116】
代替的に、本願のいくつかの他の実施形態において、図6bに示されるように、ストレージコンデンサCstは、第1の電極A、第2の電極B、および第1の電極Aと第2の電極Bとの間に位置付けられた第3の電極Cを含み得る。第3の電極Cは、第3のパッシベーション層210の基板201から離れた側の表面上に位置付けられており、第2の電極Bを覆っている。第3の電極Cと第1のトランジスタ202の第1の極とは、同じ層にあり且つ同じ材料で作製されている。ディスプレイ100はさらに、第2の電極Bを貫通している第3のビアDを含み、第3の電極Cは、第3のビアDを通じて第1の電極Aに結合されている。この場合、第3の電極Cは第1の電極Aに電気的に接続されており、ストレージ静電容量Cstの極と同等である。さらに、第2の電極Bは、ストレージ静電容量Cstの他の極と同等である。上述の解決手段(ストレージコンデンサCstが第1の電極Aと第2の電極Bとのみを含む解決手段)と比較して、ストレージコンデンサCstの2つの極の相対的な面積が増加する。このように、ストレージコンデンサCstのエネルギー貯蔵効果が高められる。同様に、ストレージコンデンサCstの第1の電極Aと第2の電極Bとの位置は本願において限定されない。第1の電極Aおよび第2の電極Bは、第1の電極Aおよび第2の電極Bが同じラミネート層に存在しない限り、要件に基づいて異なるラミネート層に配置され得る。
【0117】
前述の説明は、第1のトランジスタ202および第2のトランジスタ203の各々がトップゲート型に属している例を使用して提供される。本願のいくつかの他の実施形態において、第1のトランジスタ202は、代替的に、二重ゲート構造を有し得る。この場合、図7aに示されるように、第1のゲート222に加えて、第1のトランジスタ202は、第3のゲート309をさらに含む。
【0118】
この場合、第3のゲート309は共通電極層304と同じ層にあり且つ同じ材料で作製されており、共通電極層304から絶縁されている。第3のゲート309は、第1のトランジスタ202の第1のゲート222の基板201に近い側に位置付けられており、第1のトランジスタ202における第1のゲート222は第3のゲート309から絶縁されている。これに基づいて、第3のゲート309は、共通電極層304が製造されている間、同じマスクを使用して形成され得、従って、プロセスが簡略化される。加えて、単一ゲートと比較して、第1のトランジスタ202の駆動能力は2つのゲートを通じて向上され得る。
【0119】
本願のいくつかの他の実施形態において、第2のトランジスタ203も、二重ゲート構造を有し得る。この場合、図7bに示されるように、第1のゲート222に加えて、第2のトランジスタ203は、第4のゲート310をさらに含む。この場合、第4のゲート310は共通電極層304と同じ層にあり且つ同じ材料で作製されており、共通電極層304から絶縁されている。第4のゲート310は、第2のトランジスタ203の第2のゲート223の基板201に近い側に位置付けられており、第2のトランジスタ203における第2のゲート223は第4のゲート310から絶縁されている。これに基づいて、第2のゲートは、共通電極層が製造されている間、同じマスクを使用して形成され得、従って、プロセスが簡略化される。加えて、単一ゲートと比較して、第2のトランジスタ203の駆動能力は2つのゲートを通じて向上され得る。
【0120】
図7aは、第1のトランジスタ202が二重ゲート構造を有し且つ第2のトランジスタ203がトップゲート構造を有する例を使用して説明されており、図7bは、第1のトランジスタ202がトップゲート構造を有し且つ第2のトランジスタ203が二重ゲート構造を有する例を使用して説明されていることに留意されたい。本願のいくつかの他の実施形態において、第1のトランジスタ202と第2のトランジスタ203との両方は二重ゲート構造を有し得る。これは、本願において限定されるものではない。
【0121】
例2
【0122】
この例は、ディスプレイ100がフレキシブルディスプレイである点で例1と同じである。図8に示されるように、基板201を構成している材料は、有機材料を含む。ディスプレイ100はさらに、基板201上に順に位置付けられている第1バリア層301、第1の応力緩和層302、および第2バリア層303を含む。第1のトランジスタ202の活性層212は、第2バリア層303の基板201から離れた側の表面上に位置付けられている。例1とは異なって、第1バリア層301と第1の応力緩和層302との間に接続層311が存在する。接続層311は、第1バリア層301と第1の応力緩和層302との間の接着力を向上させるように構成されている。
【0123】
この例において、共通電極層304は基板201と第1バリア層301との間に位置付けられており、基板201と第1バリア層301とに接続されている。共通電極層304および隔離ベース224は同じ層にあり且つ同じ材料で作製され得ることが、前述の説明から分かり得る。従って、図8に示されるように、隔離ベース224も、基板201と第1バリア層301との間に位置付けられている。
【0124】
この場合、隔離保持壁214は、第1のパッシベーション層206から第1バリア層301まで貫通し得、共通電極層304に電気的に接続され得る。第2のトランジスタ203の活性層213は、第1バリア層301、接続層311、第1の応力緩和層302、および第2のパッシベーション層207を使用して隔離ベース224から絶縁されている。この場合、第2バリア層303は、隔離保持壁214のうち、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置されている。
【0125】
以下の条件、すなわち、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されており、第2バリア層303が、隔離保持壁214の、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置されており、または、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されており、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213に近い部分の第1の厚さは、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213から離れた部分の第2の厚さより小さいという条件が満たされる限り、第2のトランジスタ203の活性層213と隔離ベース224との間の絶縁層の配置は本願において限定されるものではないということに留意されたい。第1の厚さのサイズは調整され得、その結果、第2のトランジスタ203の活性層213は第1のトランジスタ202の活性層212より低くなる。具体的な配置方法は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。
【0126】
この例において、隔離保持壁214は、第2のパッシベーション層207をさらに貫通し得る。隔離保持壁214を配置する方法は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。加えて、第1のトランジスタ202、第2のトランジスタ203、およびストレージコンデンサCstを配置する方式は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。
【0127】
例3
【0128】
この例は、ディスプレイ100がフレキシブルディスプレイである点で例1と同じである。図9に示されるように、基板201を構成している材料は、有機材料を含む。ディスプレイ100は、基板201上に順に位置付けられている第1バリア層301、第1の応力緩和層302、および第2バリア層303を含む。第1のトランジスタ202の活性層212は、第2バリア層303の基板201から離れた側の表面上に位置付けられている。例1とは異なって、第1バリア層301と第1の応力緩和層302との間に接続層311が存在する。接続層311は、第1バリア層301と第1の応力緩和層302との間の接着力を向上させるように構成されている。
【0129】
この例において、共通電極層304は応力緩和層302と第2バリア層303との間に位置付けられており、第1の応力緩和層302と第2バリア層303とに接続されている。共通電極層304および隔離ベース224は同じ層にあり且つ同じ材料で作製され得ることが、前述の説明から分かり得る。従って、図9に示されるように、隔離ベース224も、第1の応力緩和層302と第2バリア層303との間に位置付けられている。
【0130】
この場合、隔離保持壁214は、第1のパッシベーション層206から第1バリア層301まで貫通し得、共通電極層304に電気的に接続され得る。第2のトランジスタ203の活性層213は、第2のパッシベーション層207を使用して隔離ベース224から絶縁されている。この場合、第2バリア層303は、隔離保持壁214のうち、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置されている。
【0131】
以下の条件、すなわち、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されており、第2バリア層303が、隔離保持壁214の、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置されており、または、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されており、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213に近い部分の第1の厚さは、第2バリア層303のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213から離れた部分の第2の厚さより小さいという条件が満たされる限り、第2のトランジスタ203の活性層213と隔離ベース224との間の絶縁層の配置は本願において限定されるものではないということに留意されたい。第1の厚さのサイズは調整され得、その結果、第2のトランジスタ203の活性層213は第1のトランジスタ202の活性層212より低くなる。具体的な配置方法は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。
【0132】
この例において、隔離保持壁214は、第2のパッシベーション層207をさらに貫通し得る。隔離保持壁214を配置する方法は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。加えて、第1のトランジスタ202、第2のトランジスタ203、およびストレージコンデンサCstを配置する方式は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。
【0133】
例4
【0134】
この例は、例1とは異なる。この例において、ディスプレイ100は剛性ディスプレイである。図10に示されるように、基板201を構成している材料は無機材料を含み、ディスプレイ100はさらに、基板201に位置付けられているバッファ層601を含む。
【0135】
この例において、共通電極層304は基板201とバッファ層601との間に位置付けられており、基板201とバッファ層601とに接続されている。共通電極層304および隔離ベース224は同じ層にあり且つ同じ材料で作製され得ることが、前述の説明から分かり得る。従って、図10に示されるように、隔離ベース224も、基板201とバッファ層601との間に位置付けられている。
【0136】
この場合、隔離保持壁214は、第1のパッシベーション層206から第1バリア層301まで貫通し得、共通電極層304に電気的に接続され得る。第2のトランジスタ203の活性層213は、第2のパッシベーション層207を使用して隔離ベース224から絶縁されている。
【0137】
以下の条件、すなわち、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されており、バッファ層601が、隔離保持壁214の、第2のトランジスタ203の活性層213から離れた外面上に配置されており、または、第2のトランジスタ203の活性層213が隔離ベース224から絶縁されており、バッファ層601のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213に近い部分の第1の厚さは、バッファ層601のうち、隔離保持壁214に位置付けられ且つ第2のトランジスタ203の活性層213から離れた部分の第2の厚さより小さいという条件が満たされる限り、第2のトランジスタ203の活性層213と隔離ベース224との間の絶縁層の配置は本願において限定されるものではないということに留意されたい。厚さは、バッファ層601が基板201上に堆積される場合にバッファ層601が成長する方向における長さである。第1の厚さのサイズは調整され得、その結果、第2のトランジスタ203の活性層213は第1のトランジスタ202の活性層212より低くなる。具体的な配置方法は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。
【0138】
この例において、隔離保持壁214は、第2のパッシベーション層207をさらに貫通し得る。隔離保持壁214を配置する方法は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。加えて、第1のトランジスタ202、第2のトランジスタ203、およびストレージコンデンサCstを配置する方式は上述の通りであり、詳細は本明細書において再び説明されない。
【0139】
本願の実施形態は、電子デバイスをさらに提供する。電子デバイスは、上述の任意のディスプレイを含む。電子デバイスは、前述の実施形態において提供されたディスプレイと同じ技術的効果を有する。詳細は本明細書において再び説明されない。
【0140】
前述の説明は、本願の特定の実装に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願に開示された技術的範囲内のあらゆる変形または置換は、本願の保護範囲に含まれるものとする。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲の対象であるものとする。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10