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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】二次電池の充放電方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20240326BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M4/139
H01M4/1395
H01M10/052
H01M4/48
H01M4/38 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023518300
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 KR2021019765
(87)【国際公開番号】W WO2022154309
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0006098
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ソ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒュン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジェ・キム
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-076466(JP,A)
【文献】特開2010-238665(JP,A)
【文献】特表2020-525989(JP,A)
【文献】特開2016-189331(JP,A)
【文献】特開2005-150038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
H01M 4/139
H01M 4/1395
H01M 10/052
H01M 4/48
H01M 4/38
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン系活物質を含む負極をプレリチウム化するステップと、
前記プレリチウム化された負極、正極、セパレータ、および電解質を含む二次電池を製造するステップと、
前記二次電池を1以上のサイクルで電気化学的充電および電気化学的放電させるステップと、
を含み、
前記二次電池の電気化学的充電および放電は、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が18%~32%となるように行われる、二次電池の充放電方法。
【請求項2】
前記負極は、下記ステップ(a)、(b)、および(c)を含む方法によりプレリチウム化される、請求項1に記載の二次電池の充放電方法:
(a)前記負極をプレリチウム化溶液中に配置して含浸させるステップ、
(b)リチウム金属を前記負極から離隔するように前記プレリチウム化溶液中に配置するステップ、および
(c)前記負極を前記リチウム金属を対極にして電気化学的充電するステップ。
【請求項3】
前記プレリチウム化溶液は、リチウム塩および有機溶媒を含む、請求項2に記載の二次電池の充放電方法。
【請求項4】
前記電気化学的充電は、0.2mA/cm~10mA/cmの電流密度で行われる、請求項2または3に記載の二次電池の充放電方法。
【請求項5】
前記負極は、前記負極の充電容量の5%~50%に電気化学的充電されてプレリチウム化される、請求項2から4のいずれか一項に記載の二次電池の充放電方法。
【請求項6】
前記シリコン系活物質は、下記化学式1で表される化合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池の充放電方法。
[化学式1]
SiO(0≦x<2)
【請求項7】
前記シリコン系活物質は、シリコン(Si)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池の充放電方法。
【請求項8】
前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、0.1μm~12μmである、請求項1から7のいずれか一項に記載の二次電池の充放電方法。
【請求項9】
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一面に配置された負極活物質層と、を含み、
前記負極活物質層は、前記シリコン系活物質を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の二次電池の充放電方法。
【請求項10】
前記負極活物質層は、前記シリコン系活物質を60重量%以上含む、請求項9に記載の二次電池の充放電方法。
【請求項11】
前記二次電池の下記数学式1により計算されるN/P比は、1.5~3.5である、請求項1から10のいずれか一項に記載の二次電池の充放電方法。
[数学式1]
N/P比=プレリチウム化実行前の負極の単位面積当たりの放電容量/正極の単位面積当たりの放電容量
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月15日付けの韓国特許出願第10-2021-0006098号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
本発明は、二次電池の充放電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノートブック型コンピュータ、電気自動車などの電池を用いる電子器具の急速な普及に伴い、小型軽量でありながらも相対的に高容量である二次電池の需要が急速に増大している。特に、リチウム二次電池は、軽量、かつ、高エネルギー密度を有しており、携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。このため、リチウム二次電池の性能を向上させるための研究開発に対する努力が活発に行われている。
【0003】
前記リチウム二次電池は、一般的に、正極、負極、前記正極と負極との間に介在されるセパレータ、電解質、有機溶媒などを含む。また、正極および負極は、集電体上に、正極活物質または負極活物質を含む活物質層が形成されることができる。前記正極には、一般的にLiCoO、LiMnなどのリチウム含有金属酸化物を正極活物質として用い、これにより、負極には、リチウムを含有しない炭素系活物質、シリコン系活物質を負極活物質として用いている。
【0004】
特に、負極活物質のうちシリコン系活物質は、炭素系活物質に比べて約10倍程度の高い容量を有するという点で注目されており、高い容量により薄い電極でも高いエネルギー密度を実現できるという長所がある。しかし、シリコン系活物質は、充放電に応じた体積膨張、それによる寿命特性の低下問題により汎用的に用いられていない。
【0005】
したがって、シリコン系活物質の高い容量、エネルギー密度を実現しながらも、寿命特性を向上させることができる二次電池の開発が求められる実情である。
【0006】
韓国公開特許第10-2017-0074030号公報は、リチウム二次電池用負極活物質、その製造方法、およびそれを含むリチウム二次電池に関し、多孔性シリコン-炭素複合体を含む負極活物質を開示しているが、前述した問題を解決するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0074030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一課題は、シリコン系活物質を含み、プレリチウム化された負極を含む二次電池を充放電または駆動するにおいて、二次電池の電気化学的充電および放電時の負極のSOC範囲を調節することで、シリコン系活物質の体積膨張による性能の低下および電極構造の崩壊を防止しながらも、寿命性能を顕著に向上させることができる二次電池の充放電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シリコン系活物質を含む負極をプレリチウム化するステップと、前記プレリチウム化された負極、正極、セパレータ、および電解質を含む二次電池を製造するステップと、前記二次電池を1以上のサイクルで電気化学的充電および電気化学的放電させるステップと、を含み、前記二次電池の電気化学的充電および放電は、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が18%~32%となるように行われる、二次電池の充放電方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る二次電池の充放電方法によると、シリコン系活物質を含み、プレリチウム化された負極を含む二次電池を充放電または駆動するにおいて、二次電池の電気化学的充電および放電時の負極のSOC範囲を調節することを特徴とする。本発明に係る二次電池の充放電方法によると、プレリチウム化工程を行った負極を用いることで、負極の初期効率および寿命性能を向上させることができ、二次電池の駆動時に充電および放電レベルを調節することで、シリコン系活物質の体積膨張による性能の低下および電極構造の崩壊を防止しながらも、二次電池の寿命性能を顕著なレベルに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実験例1における実施例1~4および比較例1~3の二次電池の容量維持率を評価したグラフである。
図2】実験例2における実施例1~4および比較例1~3の二次電池の容量維持率を評価したグラフである。
図3】実験例3における実施例1~4および比較例1~3の二次電池の抵抗増加率を評価したグラフである。
図4】実験例4における実施例2の400サイクルでの負極の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真である。
図5】実験例4における比較例3の400サイクルでの負極の断面を走査型電子顕微鏡で観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0013】
本明細書で用いられている用語は、単に例示的な実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに他を意味しない限り、複数の表現を含む。
【0014】
本明細書において、「含む」、「備える」、または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないことを理解しなければならない。
【0015】
本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子の粒径分布曲線において、体積累積量の50%に該当する粒径に定義することができる。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザ回折法は、一般的にサブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性および高分解性の結果を得ることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
【0016】
<二次電池の充放電方法>
本発明は、二次電池の充放電方法または二次電池の駆動方法に関し、具体的には、リチウム二次電池の充放電方法またはリチウム二次電池の駆動方法に関する。
【0017】
具体的に、本発明に係る二次電池の充放電方法は、シリコン系活物質を含む負極をプレリチウム化するステップと、前記プレリチウム化された負極、正極、セパレータ、および電解質を含む二次電池を製造するステップと、前記二次電池を1以上のサイクルで電気化学的充電および電気化学的放電させるステップと、を含み、前記二次電池の電気化学的充電および放電は、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が18%~32%となるように行われることを特徴とする。
【0018】
一般的に、シリコン系活物質は、充放電に応じた体積膨張および収縮の程度が激しく、それに応じた負極の崩壊、構造変形、シリコン系活物質の導電性連結の低下が発生するため、負極および二次電池の急激な寿命性能の低下を招く恐れがある。
【0019】
このような問題を解決するために、本発明に係る二次電池の充放電方法は、シリコン系活物質を含み、プレリチウム化された負極を含む二次電池を充放電または駆動するにおいて、二次電池の電気化学的充電および放電時の負極のSOC範囲を調節することを特徴とする。本発明に係る二次電池の充放電方法によると、プレリチウム化工程を行った負極を用いることで、負極の初期効率および寿命性能を向上させることができ、二次電池の駆動時に充電および放電レベルを調節することで、シリコン系活物質の体積膨張による性能の低下および電極構造の崩壊を防止しながらも、二次電池の寿命性能を顕著なレベルに向上させることができる。
【0020】
<プレリチウム化>
本発明に係る二次電池の充放電方法は、シリコン系活物質を含む負極をプレリチウム化するステップを含む。
【0021】
前記負極は、シリコン系活物質を含み、後述する電気化学的充電および電気化学的放電時のSOC範囲が調節されることで、シリコン系活物質の体積膨張/収縮を防止しながらも、シリコン系活物質が有する高い容量およびエネルギー密度を好ましく発揮することができる。
【0022】
前記シリコン系活物質は、下記化学式1で表される化合物を含んでもよい。
[化学式1]
SiO(0≦x<2)
前記化学式1中、SiOの場合は、リチウムイオンと反応せず、リチウムを貯蔵することができないため、xは、前記範囲内であることが好ましい。
【0023】
具体的に、前記シリコン系活物質は、シリコン(Si)を含んでもよい。従来、Siは、シリコン酸化物(例えば、SiO(0<x<2))に比べて容量が約2.5~3倍高いという面で有利であるが、Siの充放電に応じた体積膨張/収縮の程度がシリコン酸化物の場合よりも非常に大きいため、商用化がさらに容易ではない。しかし、本発明の場合、二次電池の電気化学的充電範囲が上述した範囲に調節されることで、Siの体積膨張/収縮が最小化されて寿命特性の劣化問題を効果的に解消することができ、Siが有する高い容量、エネルギー密度、効率特性の長所をより好ましく実現することができる。より具体的に、前記シリコン系活物質は、Siからなってもよい。
【0024】
前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時の活物質の構造的安定を図り、電気伝導性を維持するための導電性ネットワークをさらに円滑に形成することができるか、または活物質および集電体を結着させるためのバインダーとの接近性をさらに容易にするという面で0.1μm~12μm、好ましくは1.5μm~6μmであってもよい。
【0025】
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一面に配置された負極活物質層と、を含んでもよい。前記負極活物質層は、前記シリコン系活物質を含んでもよい。
【0026】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、かつ、高い導電性を有するものであれば特に制限されない。具体的に、前記負極集電体としては、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群から選択された少なくとも1種を含んでもよく、具体的には、銅を含んでもよい。
【0027】
前記負極集電体の厚さは3~500μm、好ましくは、シリコン系活物質含有負極の薄膜実現のために5~50μmであってもよい。
前記負極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよい。例えば、前記負極集電体は、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で用いられてもよい。
【0028】
前記負極活物質層は、前記負極集電体の少なくとも一面に配置されてもよい。具体的に、前記負極活物質層は、前記負極集電体の一面に配置されるか、または両面に配置されてもよい。
【0029】
前記シリコン系活物質は、シリコン系活物質の体積膨張/収縮が電池に及ぼす影響を最小化しながらも、シリコン系活物質が有する高い容量を二次電池に十分に実現するという面で、前記負極活物質層に60重量%以上、具体的には60重量%~95重量%、好ましくは70重量%~90重量%で含まれてもよい。
【0030】
前記負極活物質層は、前記シリコン系活物質とともに、導電材および/またはバインダーをさらに含んでもよい。
前記バインダーは、前記負極活物質層と前記負極集電体との接着力を向上させるか、またはシリコン系活物質間の結着力を向上させるために用いられてもよい。
【0031】
具体的に、前記バインダーは、電極接着力をさらに向上させ、シリコン系活物質の体積膨張/収縮に十分な抵抗力を付与し、電極構造の崩壊を防止できるという面で、スチレンブタジエンゴム(SBR:styrene butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile butadiene rubber)、アクリルゴム(acrylic rubber)、ブチルゴム(butyl rubber)、フッ素ゴム(fluoro rubber)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(PAA:polyacrylic acid)、ポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)、ポリアクリロニトリル(PAN:polyacrylonitrile)、ポリアクリル酸ナトリウム塩(PAANa、polyacrylate Sodium salt)、およびポリアクリルアミド(PAM:polyacryl amide)からなる群から選択された少なくとも1種を含むか、またはこの中の2つ以上の共重合体を含んでもよい。
【0032】
好ましくは、前記バインダーは、高い強度を有し、シリコン系活物質の体積膨張/収縮に対する優れた抵抗性を有し、優れた柔軟性をバインダーに付与して電極の歪みや反りなどを防止できるという面で、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸ナトリウム、およびポリアクリルアミドからなる群から選択された少なくとも1種を含むか、またはこの中の2つ以上の共重合体を含んでもよく、好ましくは、ポリビニルアルコールおよびポリアクリル酸のうち少なくとも1種を含むか、またはこれらの共重合体を含んでもよい。
【0033】
前記バインダーは、負極活物質層を形成するためのスラリーの製造時に水などの水系溶媒にさらによく分散するようにし、活物質をさらに円滑に被覆して結着力を向上させるという面で、バインダー中の水素をLi、Na、またはCaなどに置換したものを含んでもよい。
【0034】
前記バインダーは、前記負極活物質層に3重量%~30重量%、好ましくは5重量%~20重量%で含まれてもよく、上記範囲にある際に、シリコン系活物質をさらによく結着させて活物質の体積膨張問題を最小化できるとともに、負極活物質層を形成するためのスラリーの製造時にバインダーの分散を容易にし、コーティング性およびスラリーの相安定性を向上させることができる。
【0035】
前記導電材は、二次電池に導電性を補助および向上させるために用いられてもよく、化学的変化を誘発せず、かつ、導電性を有するものであれば特に制限されない。具体的に、前記導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;カーボンナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;およびポリフェニレン誘導体からなる群から選択された少なくとも1種を含んでもよく、好ましくは、高い導電性を実現するという面でカーボンブラックを含んでもよい。
【0036】
前記導電材は、負極活物質層を形成するためのスラリーの製造時に導電材の分散を容易にし、電気伝導度をさらに向上させるという面で、導電材の比表面積が80m/g~200m/g、好ましくは100m/g~150m/gであってもよい。
【0037】
前記導電材は、前記負極活物質層内に0.1重量%~25重量%、好ましくは0.1重量%~20重量%で含まれてもよく、上記範囲にある際に、バインダーによる抵抗の増加を緩和させながらも、優れた導電性ネットワークを形成できるという面で好ましい。
前記負極活物質層の厚さは、薄膜電極の実現、高いエネルギー密度の実現という面で5μm~100μm、好ましくは10μm~50μmであってもよい。
【0038】
前記負極は、前記負極集電体上に、負極活物質、および選択的にバインダー、導電材、および負極スラリー形成用溶媒を含む負極スラリーをコーティングした後、乾燥および圧延して製造することができる。
【0039】
前記負極スラリー形成用溶媒は、例えば、負極活物質、バインダーおよび/または導電材の分散を容易にするという面で、蒸留水、エタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコールからなる群から選択された少なくとも1種、好ましくは、蒸留水を含んでもよい。
【0040】
前記負極スラリー形成用溶媒は、負極スラリーの粘度、コーティング性、分散性などを考慮して、負極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を含む固形分の濃度が15重量%~45重量%となるように前記負極スラリーに含まれてもよい。
【0041】
前記プレリチウム化(Pre-lithiation)により、前記シリコン系活物質にリチウムが挿入されることができ、これにより、シリコン系活物質の不可逆サイトにリチウム合金化がなされて不可逆容量を除去することができ、シリコン系活物質に予め固体電解質界面被膜(Solid Electrolyte Interface Layer、SEI Layer)を形成することができるため、負極および二次電池の初期効率を向上させることができる。
【0042】
前記負極をプレリチウム化する方法は、特に制限されず、例えば、負極とリチウム金属を直接接触させてリチウムを負極に挿入させる方法、負極をリチウム金属を対極にして電気化学的充電することで前記負極にリチウムを挿入させる方法が挙げられる。
【0043】
具体的に、前記負極は、下記ステップ(a)、(b)、および(c)を含む方法によりプレリチウム化されることができる。
(a)前記負極をプレリチウム化溶液中に配置して含浸させるステップ、
(b)リチウム金属を前記負極から離隔するように前記プレリチウム化溶液中に配置するステップ、および
(c)前記負極を前記リチウム金属を対極にして電気化学的充電するステップ
【0044】
前記(a)ステップは、前記負極をプレリチウム化溶液に含浸させ、後述する電気化学的充電およびプレリチウム化が円滑になされるようにする工程である。
前記プレリチウム化溶液は、リチウム塩および有機溶媒を含んでもよい。
【0045】
前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、およびLiB(Cからなる群から選択された少なくとも1種を含んでもよく、好ましくは、LiPFを含んでもよい。
【0046】
前記有機溶媒は、電気化学的反応の実行、イオン移動のための媒質の役割を実行できるものであれば特に制限されず、具体的に、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状、または環状構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含んでもよい)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが用いられてもよい。中でも、電気化学的安定性を向上させるという面でカーボネート系溶媒が好ましく、具体的に、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)などがより好ましい。
【0047】
前記リチウム塩の濃度は、前記プレリチウム化溶液を基準として0.1M~3M、好ましくは0.5M~1.5Mであってもよく、上記範囲にある際に、リチウムイオンがシリコン系活物質内に円滑に挿入できるようにリチウム塩が十分に溶解可能であるため好ましい。
【0048】
前記含浸は、前記負極を十分に濡れる(wetting)ようにし、後述するプレリチウム化が安定的かつ均一に行われるように0.5時間~24時間、好ましくは2時間~12時間行われてもよい。
【0049】
前記(b)ステップは、前記負極に対する対極として機能するリチウム金属を前記プレリチウム化溶液中に配置するステップである。
前記リチウム金属は、電気化学的充電時、前記負極に対する対極として提供することができる。
【0050】
前記リチウム金属は、後述する電気化学的充電時、前記リチウム金属と前記負極が直接接触することに応じた電極ショート現象を防止するという面で、前記負極から離隔するように前記プレリチウム化溶液中に配置することができる。
【0051】
前記(c)ステップは、前記負極を前記リチウム金属を対極にして電気化学的充電することで、前記負極にリチウムを挿入させてプレリチウム化させるステップである。
【0052】
前記電気化学的充電工程によりリチウムが負極またはシリコン系活物質に挿入されることができ、これにより、負極の表面に不動態皮膜が一定レベルで形成されることができ、負極の表面で起こり得る副反応を予め経るすることができるため、プレリチウム化工程後に製造された負極が実際の電池に適用される際に副反応の発生を防止することができ、負極の初期効率が向上することができ、プレリチウム化工程により後述する充電範囲の調節に応じた寿命性能の向上効果がさらに極大化されることができる。
【0053】
前記電気化学的充電は、電気化学充放電器を用いて行われてもよい。具体的に、電気化学充放電器としては、WOCS3000s((株)WONA Tech社製)が用いられてもよい。
【0054】
前記電気化学的充電は、シリコン系活物質が均一かつ安定的にプレリチウム化できるように、0.2mA/cm~10mA/cmの電流密度、具体的には0.5mA/cm~3mA/cmの電流密度で行われてもよい。
【0055】
前記電気化学的充電において、前記負極は、前記負極の充電容量の5%~50%、具体的には8%~20%に電気化学的充電されてプレリチウム化されてもよい。上記範囲にある際に、追加のリチウム保有により負極の寿命性能を向上できるとともに、過度な量への電気化学的充電によるシリコン系活物質の損傷、粒子割れを防止できるという面で好ましい。この際、前記負極の充電容量とは、プレリチウム化実行前の負極の充電容量を意味し得る。
【0056】
前記負極のプレリチウム化方法は、前記ステップ(a)、(b)、および(c)に加え、前記電気化学的充電された負極を洗浄するステップをさらに含んでもよい。前記洗浄工程後、前記電気化学的充電または前記プレリチウム化された負極が後述する二次電池の負極として用いられることができる。
【0057】
<二次電池の製造>
本発明に係る二次電池の充放電方法は、前記プレリチウム化された負極、正極、セパレータ、および電解質を含む二次電池を製造するステップを含む。
前記プレリチウム化された負極、およびその製造方法に関する説明は前述した。
【0058】
前記正極は、前記プレリチウム化された負極に対向することができる。
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の少なくとも一面に配置された正極活物質層と、を含んでもよい。
【0059】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、かつ、高い導電性を有するものであれば特に制限されない。具体的に、前記正極集電体は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群から選択された少なくとも1種を含んでもよく、具体的には、アルミニウムを含んでもよい。
【0060】
前記正極集電体は、通常、3~500μmの厚さを有してもよい。
前記正極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の結合力を強化させてもよい。例えば、前記正極集電体は、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で用いられてもよい。
【0061】
前記正極活物質層は、前記正極集電体の少なくとも一面に配置されてもよい。具体的に、前記正極活物質層は、前記正極集電体の一面または両面に配置されてもよい。
【0062】
前記正極活物質層は、正極活物質を含んでもよい。
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物であり、具体的には、ニッケル、コバルト、マンガン、およびアルミニウムから選択される少なくとも1種の遷移金属とリチウムを含むリチウム遷移金属複合酸化物を含んでもよい。
【0063】
具体的に、前記リチウム遷移金属複合酸化物としては、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMnなど)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoOなど)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiOなど)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、LiMn2-zNi(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NiCoMnr1)O(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)、またはLi(Nip1Coq1Mnr2)O(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3S2)O(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、Mg、およびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3、およびs2は、それぞれ独立した元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのいずれか1つまたは2つ以上の化合物が含まれてもよい。中でも、電池の容量特性および安全性を向上できるという点で、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、LiCoO、LiMnO、LiNiO、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなど)、またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)Oなど)などであってもよく、リチウム遷移金属複合酸化物を形成する構成元素の種類および含量比の制御に応じた改善効果の顕著性を考慮すると、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなどであってもよく、これらのいずれか1つまたは2つ以上の混合物が用いられてもよい。
【0064】
より具体的に、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、ニッケル、コバルト、およびマンガンを含む遷移金属とリチウムを含んでもよく、本発明に係る二次電池の充放電条件を制御することで、寿命特性が顕著に向上することができる。
【0065】
前記正極活物質は、正極活物質の十分な容量発揮などを考慮して、正極活物質層内に80重量%~99重量%、好ましくは92重量%~98.5重量%で含まれてもよい。
【0066】
前記正極活物質層は、前述した正極活物質とともに、バインダーおよび/または導電材をさらに含んでもよい。
前記バインダーは、活物質と導電材などの結着および集電体に対する結着に助力をする成分であり、具体的に、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、およびフッ素ゴムからなる群から選択された少なくとも1種、好ましくは、ポリビニリデンフルオライドを含んでもよい。
【0067】
前記バインダーは、正極活物質などの成分間の結着力を十分に確保するという面で、正極活物質層内に1重量%~20重量%、好ましくは1.2重量%~10重量%で含まれてもよい。
【0068】
前記導電材は、二次電池に導電性を補助および向上させるために用いられてもよく、化学的変化を誘発せず、かつ、導電性を有するものであれば特に制限されない。具体的に、前記導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;カーボンナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;およびポリフェニレン誘導体からなる群から選択された少なくとも1種を含んでもよく、好ましくは、導電性を向上させるという面でカーボンブラックを含んでもよい。
【0069】
前記導電材は、正極活物質層を形成するためのスラリーの製造時に導電材の分散を容易にし、電気伝導度をさらに向上させるという面で、導電材の比表面積が80m/g~200m/g、好ましくは100m/g~150m/gであってもよい。
【0070】
前記導電材は、電気伝導性を十分に確保するという面で、正極活物質層内に1重量%~20重量%、好ましくは1.2重量%~10重量%で含まれてもよい。
【0071】
前記正極活物質層の厚さは、負極と正極の容量バランスを考慮し、負極内のシリコン系活物質の体積膨張/収縮による影響を最小化するという面で30μm~400μm、好ましくは50μm~110μmであってもよい。
【0072】
前記正極は、前記正極集電体上に、正極活物質、および選択的にバインダー、導電材、および正極スラリー形成用溶媒を含む正極スラリーをコーティングした後、乾燥および圧延して製造することができる。
【0073】
前記正極スラリー形成用溶媒は、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含んでもよく、前記正極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材などを含む際に好ましい粘度になる量で用いられてもよい。例えば、前記正極スラリー形成用溶媒は、正極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を含む固形分の濃度が50重量%~95重量%、好ましくは70重量%~90重量%となるように前記正極スラリーに含まれてもよい。
【0074】
前記セパレータは、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常、リチウム二次電池においてセパレータとして用いられるものであれば特に制限なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ、電解液含湿能力に優れることが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルム、またはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてもよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が用いられてもよい。また、耐熱性または機械的強度を確保するためにセラミック成分または高分子物質含みのコーティングされたセパレータが用いられてもよく、選択的に単層または多層構造として用いられてもよい。
【0075】
また、本発明で用いられる電解質としては、二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0076】
具体的に、前記電解質は、有機溶媒およびリチウム塩を含んでもよい。
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割ができるものであれば特に制限なく用いられてもよい。具体的に、前記有機溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒;ジブチルエーテルまたはテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状、または環状構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含んでもよい)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが用いられてもよい。中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能の向上が可能な高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の直鎖状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、またはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して用いることが、優れた電解液性能を示すことができる。
【0077】
前記リチウム塩としては、リチウム二次電池で用いられるリチウムイオンを提供できる化合物であれば特に制限なく用いられてもよい。具体的に、前記リチウム塩としては、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、またはLiB(Cなどが用いられてもよい。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で用いることが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適した伝導度および粘度を有するため、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0078】
前記二次電池の下記数学式1により計算されるN/P比は1.5~3.5、具体的には1.7~2.5、より具体的には1.8~2.2であってもよい。
[数学式1]
N/P比=プレリチウム化実行前の負極の単位面積当たりの放電容量/正極の単位面積当たりの放電容量
【0079】
本発明において、前記「単位面積当たりの放電容量」は、前記プレリチウム化実行前の負極および正極の1番目のサイクルでの単位面積当たりの放電容量を意味する。
【0080】
前記プレリチウム化実行前の負極の単位面積当たりの放電容量は、次のような方法により得られることができる。前記プレリチウム化実行前の負極と同一の負極サンプルを製造する。具体的に、前記負極サンプル、および前記負極サンプルに対向する対極(例えば、リチウム金属電極)を用いて、ハーフセル(half-cell)を製造する。前記ハーフセルを電気化学的充電および電気化学的放電して測定された放電容量を前記負極サンプルの面積で割り、前記プレリチウム化実行前の負極の単位面積当たりの放電容量を求めることができる。
【0081】
前記正極の単位面積当たりの放電容量は、次のような方法により得られることができる。前記二次電池で用いられた正極と同一の正極サンプルを製造する。前記正極サンプル、および前記正極サンプルに対向する対極(例えば、リチウム金属電極)を用いて、ハーフセル(half-cell)を製造する。前記ハーフセルを電気化学的充電および電気化学的放電して測定された放電容量を前記正極サンプルの面積で割り、前記正極の単位面積当たりの放電容量を求めることができる。
【0082】
本発明の二次電池のN/P比が前記範囲に調節される場合、負極の放電容量が正極の放電容量よりも特定のレベルでさらに大きく設計されるものであり、正極からのリチウムが負極に注入される際に、前記リチウムが負極内のシリコン系活物質全体に占める割合を減少させることができる。そこで、負極内でのシリコン系活物質の使用割合を特定のレベルに減少させ、これにより、電池全体のレベルで、負極での体積膨張による寿命特性の劣化を最小化することができる。また、N/P比を上述したレベルに調節することで、上述した体積膨張による電池の寿命特性の劣化を最小化するとともに、シリコン系活物質による高いエネルギー密度、効率特性、および容量特性を有する二次電池の実現が可能である。
【0083】
前記二次電池は、通常の二次電池の製造方法により、上述したプレリチウム化された負極と正極との間にセパレータを介在させた後、電解液を注入して製造することができる。
【0084】
<二次電池の充放電>
本発明に係る二次電池の充放電方法は、前記二次電池を1以上のサイクルで電気化学的充電および電気化学的放電させるステップを含む。また、前記二次電池の電気化学的充電および放電は、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が18%~32%となるように行われる。
【0085】
前記電気化学的充電および電気化学的放電により二次電池が駆動されることができる。本発明に係る二次電池の充放電方法によると、前記プレリチウム化された負極を二次電池の負極として用いることで、負極の初期効率および寿命性能を向上できるとともに、上述した二次電池の充電および放電時の負極のSOC範囲を調節することで、シリコン系活物質の体積膨張による性能の低下および電極構造の崩壊を防止しながらも、二次電池の寿命性能を顕著なレベルに向上させることができる。特に、本発明によると、前記負極のプレリチウム化工程、および前記負極の充電および放電SOCの調節により、シリコン系活物質の充電深度を好ましいレベルに調節することができる。これにより、シリコン系活物質のストレスの減少、シリコン系活物質の体積膨張、収縮を最小化することに応じた導電性ネットワークの円滑な維持、および寿命性能の向上効果が優れたレベルで実現可能である。
【0086】
本明細書において、「SOC」とは、電極(正極または負極)または二次電池の残存容量(State of Charge)を意味し得る。前記プレリチウム化された負極の充電SOCは、二次電池の駆動において、電気化学的充電が完了した時点の負極のSOCであってもよく、前記プレリチウム化された負極の放電SOCは、二次電池の駆動において、電気化学的放電が完了した時点の負極のSOCであってもよい。
【0087】
前記二次電池の電気化学的充電および放電は、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が18%~32%となるように行われる。前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差を上述した範囲に調節することで、シリコン系活物質を含む負極の充電深度と放電末端電位を調節し、これにより、シリコン系活物質の体積膨張による負極の性能の低下、電極構造の崩壊を最小化することができ、シリコン系活物質が有する高い容量、エネルギー密度、および急速充電性能を優れたレベルで発揮するようにすることができる。
【0088】
仮に前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が18%未満となるように二次電池を電気化学的充電および放電する場合、シリコン系活物質の使用範囲が少ないため、容量および寿命の発揮が難しい。仮に前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が32%超過となるように二次電池を電気化学的充電する場合、シリコン系活物質の使用範囲が増加するにつれ、体積膨張および電極の不均一度が大きくなってサイクル性能が急激に低下するという問題がある。
【0089】
前記二次電池の電気化学的充電および放電は、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が19%~27%となるように行われてもよく、上記範囲にある際に、シリコン系活物質の容量特性が十分に発揮されながらも、サイクル性能を向上できるという面で好ましい。
【0090】
前記二次電池の電気化学的充電は、電気化学充放電器を用いて行われてもよい。具体的に、電気化学充放電器としては、WOCS3000s((株)WONA Tech社製)が用いられてもよい。
【0091】
前記プレリチウム化された負極のSOC範囲は、二次電池の充電および放電SOC範囲を考慮して調節することができる。例えば、二次電池のN/P比が2である場合、二次電池の充電SOCと放電SOCの差を36%~64%に調節することで、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差を18%~32%に調節することができる。すなわち、二次電池の電気化学的充電および放電SOC範囲を二次電池のN/P比で割ることで、前記プレリチウム化された負極の電気化学的充電および放電SOC範囲を調節することができる。前記二次電池の充電SOCは、電気化学充放電器、電池システムの制御ユニット、BMSなどにより調節されることができる。
【0092】
前記二次電池の電気化学的充電および放電時、前記プレリチウム化された負極の充電SOCは35%~50%、具体的には45%~50%であってもよい。上記範囲にある際に、充放電時にシリコン系活物質が受けるストレスを減らすことができ、シリコン系活物質の体積膨張および収縮の程度を最小化して導電性ネットワークの短絡を防止できるとともに、過度に深い充電深度による結晶相(crystalline phase)の増加、シリコン系活物質の劣化などを防止して二次電池の寿命性能をさらに向上させることができる。
【0093】
また、本発明は、二次電池を含む電池システムを提供する。具体的に、前記電池システムを介して、前述した二次電池の充放電方法を実現することができる。
【0094】
例えば、前記二次電池は、1つの二次電池からなる二次電池セル、または複数の二次電池の集合体である二次電池モジュールの形態で前記電池システムに含まれてもよい。
【0095】
前記電池システムは、前記二次電池とともに制御ユニットを含むことができる。
前記制御ユニットは、前記二次電池の電気化学的充電および電気化学的放電時の負極、および二次電池のSOC、駆動電圧範囲などを設定することができる。これにより、前記制御ユニットにより設定された二次電池の電気化学的充放電範囲、二次電池のSOCで、二次電池の電気化学的充電および電気化学的放電が行われることができ、前述したプレリチウム化された負極の充電および放電SOCが調節されることができる。
【0096】
前記制御ユニットは、二次電池の電気化学的充電および電気化学的放電時の駆動電圧範囲を制御できるものであれば特に制限されず、例えば、電気化学充放電器であってもよい。具体的に、前記制御ユニットは、電池パック内に含まれるBMS(Battery Management System)内に内蔵されることができる。
【0097】
また、本発明は、前述した電池システムを含む電池パックを提供する。
前記電池パックは、前述した二次電池、制御ユニットの他に、当該分野で公知の構成、例えば、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどをさらに含むことができる。
【0098】
本発明に係る電池システムまたは電池パックは、携帯電話、ノートブック型コンピュータ、デジタルカメラなどの携帯用機器、およびハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用である。前記電池システムまたは電池パックは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電力貯蔵装置などのように高出力、大容量が求められる動力源に好ましく適用することができる。
【0099】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例について詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0100】
<製造例>
製造例1:二次電池の製造
<負極のプレリチウム化>
1.(プレリチウム化実行前の)負極の製造
負極活物質としてシリコン系活物質Si(平均粒径(D50):5μm)、導電材としてカーボンブラック(製品名:Super C65、製造会社:Timcal)、バインダーとしてポリアクリル酸を70:20:10の重量比で、負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加し、負極スラリーを製造した(固形分の濃度:20重量%)。
【0101】
負極集電体として銅集電体(厚さ:15μm)の一面に前記負極スラリーを60mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して負極活物質層を形成し、それを負極(プレリチウム化実行前の負極)にした。
【0102】
2.負極のプレリチウム化
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した有機溶媒にリチウム塩としてLiPFを1Mの濃度で添加したプレリチウム化溶液を準備した。上記で製造された負極を前記プレリチウム化溶液中に配置した後、10時間含浸させた。
【0103】
前記プレリチウム化溶液中に、前記負極から所定距離離れるようにリチウム金属を配置させた。
その後、前記負極をリチウム金属を対極にして電気化学的充電を行った。具体的に、前記プレリチウム化実行前の負極の充電容量の10%となるように0.6mA/cmの電流密度で電気化学的充電を行った。
【0104】
<正極の製造>
正極活物質としてLi[Ni0.8Co0.1Mn0.1]O、導電材としてカーボンブラック(製品名:Super C65、製造会社:Timcal)、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド(PVdF)を97:1.5:1.5の重量比で、正極スラリー形成用溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加し、正極スラリーを製造した(固形分の濃度:78重量%)。
【0105】
正極集電体としてアルミニウム集電体(厚さ:12μm)の両面にそれぞれ前記正極スラリーを438mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して正極活物質層を形成し、正極を製造した。
【0106】
<二次電池の製造>
上記で製造された正極の両面に2個の前記プレリチウム化された負極をそれぞれ配置し、前記正極と前記負極との間にポリプロピレンセパレータを介在し、電解質を注入し、バイセル(bi-cell)形態の二次電池を製造した。電解質としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジエチルカーボネート(DEC)を30:70の体積比で混合した有機溶媒に、ビニレンカーボネートを電解質の全体重量を基準として3重量%で添加し、リチウム塩としてLiPFを1Mの濃度で添加したものを用いた。
【0107】
<N/P比の測定>
(1)負極サンプルを介した負極の単位面積当たりの放電容量の計算
プレリチウム化を行っていないことを除いては、上記と同様の方法で負極サンプルを製造した。前記負極サンプルと同一大きさのリチウム金属電極を準備し、それを前記負極サンプルに対向させた。前記負極サンプルと前記リチウム金属電極との間にポリエチレンセパレータを介在した後、電解液を注入し、コイン型ハーフセルを製造した。前記電解液としては、エチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを50:50の体積比で混合した有機溶媒に、リチウム塩としてLiPFを1Mの濃度で添加したものを用いた。前記コイン型ハーフセルを0.1Cで充/放電して得た放電容量を前記負極サンプルの面積で割り、プレリチウム化実行前の負極の単位面積当たりの放電容量を求めた。
【0108】
(2)正極サンプルを介した正極の単位面積当たりの放電容量の計算
片面正極に製造したことを除いては、上記と同様の方法で正極サンプルを製造した。前記正極サンプルと同一大きさのリチウム金属電極を準備し、それを前記正極サンプルに対向させた。前記正極サンプルと前記リチウム金属電極との間にポリエチレンセパレータを介在した後、電解液を注入し、コイン型ハーフセルを製造した。前記電解液としては、エチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを50:50の体積比で混合した有機溶媒に、リチウム塩としてLiPFを1Mの濃度で添加したものを用いた。前記コイン型ハーフセルを0.1Cで充/放電して得た放電容量を正極サンプルの面積で割り、正極の単位面積当たりの放電容量を求めた。
【0109】
(3)N/P比の計算
前記プレリチウム化実行前の負極の単位面積当たりの放電容量を前記正極の単位面積当たりの放電容量で割ってN/P比を求めた(N/P比=2)。
【0110】
製造例2:二次電池の製造
製造例1において、負極のプレリチウム化工程を行っていないことを除いては、製造例1と同様の方法で二次電池を製造した。
製造例1と同様の方法で測定した製造例1の二次電池のN/P比は2であった。
【0111】
<実施例>
実施例1~4および比較例1~3
<電池システムの製造>
上記で製造された製造例1および製造例2の二次電池を電気化学充放電器に連結した。
【0112】
下記表1のように二次電池の種類、制御ユニットに設定された二次電池の充電SOCの範囲を下記のように調節し、実施例1~4および比較例1~3の電池システムを製造した。
【0113】
【表1】
【0114】
実験例
実験例1:In situ cycle test
実施例1~4、比較例1~3で製造された電池システムを前記表1の設定SOCまで以下の条件で電気化学的充電および放電して二次電池を駆動させた。サイクルに応じた容量維持率を下記式で評価した。実施例1~4、比較例1~3のサイクルに応じた容量維持率のグラフを図1に示し、200番目のサイクルでの容量維持率を表2に示した。
【0115】
容量維持率(%)={(N番目のサイクルでの放電容量)/(1番目のサイクルでの放電容量)}×100
(前記式中、Nは1から200までの整数)
【0116】
<電気化学的充電および電気化学的放電条件>
充電:1Cで前記表1の二次電池の充電SOCまでCC/CVモードで充電(0.05Cにおいてcut off)
放電:0.6Cで前記表1の二次電池の放電SOCまでCCモードで放電(それぞれのSOC範囲に応じた放電電圧(Voltage)においてcut-off)
【0117】
【表2】
【0118】
図1および表2を参照すると、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が好ましいレベルに調節された実施例1~4は、そうでない比較例1~3に比べて優れたレベルの寿命性能を示すことを確認することができる。
【0119】
実験例2:Reference Performance Test
表1に設定されたSOCおよび実験例1の条件で充電および放電を行う際に、50サイクルごとに充/放電1.0C/0.5C、4.2V~3.0V、0.05C終了条件で充電および放電したことを除いては、実験例1と同様の方法で容量維持率を評価した。
実施例1~4、比較例1~3のサイクルに応じた容量維持率グラフを図2に示し、200番目のサイクルでの容量維持率を表3に示した。
【0120】
【表3】
【0121】
図2および表3を参照すると、前記プレリチウム化された負極の充電SOCと放電SOCの差が好ましいレベルに調節された実施例1~4は、そうでない比較例1~3に比べて優れたレベルの寿命性能を示すことを確認することができる。
【0122】
実験例3:抵抗増加率の評価
実験例2と同様の方法で充電および放電を行いつつ、50サイクルごとに抵抗を測定し、抵抗増加率を評価した。
【0123】
抵抗は、定電流0.33C/4.2V-定電圧4.2V/0.05Cの条件で充電および0.33Cの放電でSOC 50%だけ二次電池の充電状態を合わせた後、2.5Cの定電流で30秒間放電パルス(pulse)を与えた状態で現れる電圧の降下を測定して求めた。
【0124】
抵抗増加率は、下記式により計算され、サイクルに応じた抵抗増加率の変化グラフを図3に示した。
抵抗増加率(%)={(N番目のサイクルでの抵抗-1番目のサイクルでの抵抗)/(1番目のサイクルでの抵抗)}×100
(前記式中、Nは1以上の整数)
【0125】
図3を参照すると、実施例1~4の二次電池の場合、比較例2、3に比べて抵抗増加率の変動が大きくないため、安定した二次電池の駆動が可能であることを確認することができる。
一方、比較例1の場合、抵抗増加率の変動は大きくないが、上述したように実施例1~4に比べて寿命性能が良くない。
【0126】
実験例4:SEMの観察
実験例1と同様の条件で実施例2および比較例3の二次電池を充電および放電し、400サイクルでの負極の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図4に実施例2のSEM写真を示し、図5に比較例3のSEM写真を示した。
【0127】
図4を参照すると、実施例2の負極の場合、400サイクル後にも電極構造の崩壊が少なく、安定的に二次電池が駆動されたことを確認することができる。一方、図5を参照すると、比較例3の負極の場合、400サイクル後に負極の上層部に電極構造の崩壊が起こり、二次電池の駆動が安定的に行われていないことを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5