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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】流体操作のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 1/04 20060101AFI20240326BHJP
   B64C 21/00 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
F01D1/04
B64C21/00
【請求項の数】 41
(21)【出願番号】P 2021180465
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2020530448の分割
【原出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2022020753
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】62/543,371
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/685,295
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/703,898
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/714,778
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520049352
【氏名又は名称】ネイサー、ポール
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ネイサー、ポール
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/020199(WO,A1)
【文献】米国特許第05836542(US,A)
【文献】米国特許第01727720(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0025526(US,A1)
【文献】特開2013-194636(JP,A)
【文献】独国実用新案第29916203(DE,U1)
【文献】米国特許第05803410(US,A)
【文献】米国特許第06203269(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0202082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/04
B64C 21/00
B64C 11/00
B64C 11/48
B64C 39/12
B64C 29/00
B64D 27/00
B64D 27/24
B64D 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
意図的な流体操作装置(IFMA)アセンブリであって、前記IFMAアセンブリが、
境界装置であって、前記境界装置と流体との間の界面に表面を有する前記境界装置と、
上流意図的運動量制限装置(IMSA)と、
少なくとも1つの下流IMSAと、を備え、
前記境界装置が、前記上流IMSAと前記下流IMSAとに結合され、
前記上流IMSAが、名目動作条件の間に局所的な自由流の流れに第1の誘導速度を与えるように構成され、
前記下流IMSA、前記名目動作条件の間に前記上流IMSAと前記下流IMSAとの両方を通過する前記流体の少なくとも一部が第1の流管を形成するように配置され、前記第1の流管の内部で前記局所的な自由流の流れに第2の誘導速度を与えるように構成され、前記下流IMSAの位置における前記第2の誘導速度が、前記第1の流管の内部で前記下流IMSAの前記位置における前記第1の誘導速度の方向と反対の方向の成分を有し、
前記上流IMSAが、前記境界装置の全面の少なくとも一部の近くで空間流体の流速勾配を低減させるように構成されることが可能であり、前記空間流体の流速勾配が、前記全面の前記少なくとも一部の外向き法線に沿った方向で計算され、前記空間流体の流速勾配の低減が、前記上流IMSAと前記下流IMSAとが前記流体の流れに無視できる影響を有するベースラインシナリオに対して生じる、IFMAアセンブリ。
【請求項2】
前記空間流体の流速勾配の前記低減が、前記ベースラインシナリオに対して前記境界装置に作用する正味抗力の低減に寄与し、前記正味抗力が、前記第1の流管の遠方後流部と前記第1の流管の自由流部との差から計算される、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項3】
前記名目動作条件の間に前記上流IMSAと前記下流IMSAとの両方を通過する前記流体の少なくとも一部が前記第1の流管の外側に第2の流管を形成し、前記下流IMSAが、前記第2の管の内部で局所的な自由流の流れに第3の誘導速度を与えるように構成されることが可能であり、前記第2の流管において前記下流IMSAの前記位置での前記第3の誘導速度が、前記第1の誘導速度の方向と同じ方向の成分を有する、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項4】
前記上流IMSAが、前記第1の流管の内部で第1の推力を生成するように構成され、前記下流IMSAが、前記下流IMSAでの前記第1の流管の内部の少なくとも一つの位置で前記上流IMSAの誘導速度ベクトルの方向に、平行かつ整合したベクトル成分を備えた第2の推力を生成するように構成される、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項5】
前記名目動作条件が、時間的に一定である自由流の流速を含む、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項6】
前記名目動作条件が、正味推力の生成を含み、前記正味推力が、前記上流IMSAと前記下流IMSAとにより生成される推力を含む、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項7】
前記上流IMSAの少なくとも一部が、前記第1の流管の少なくとも一部の内部の前記流体の流れから力を抽出することが可能である、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項8】
前記上流IMSAの少なくとも一部が、前記第2の流管の少なくとも一部の内部の前記流体の流れに力を与えることが可能である、請求項に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項9】
前記下流IMSAの少なくとも一部が、前記第2の流管の少なくとも一部の内部の前記流体の流れから力を抽出することが可能である、請求項に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項10】
前記下流IMSAの少なくとも一部が、前記第1の流管の少なくとも一部の内部の前記流体の流れに力を与えることが可能である、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項11】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部が、前記上流IMSAの下流に位置する、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項12】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部が、前記上流IMSAの上流に位置する、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項13】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部が、前記上流IMSAの下流、かつ、前記下流IMSAの上流に位置する、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項14】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部が、前記下流IMSAの下流に位置する、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項15】
前記正味抗力の低減が、前記境界装置のプロファイル抗力の低減を含む、請求項2に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項16】
前記正味抗力の低減が、前記境界装置の粘性抗力の低減を含む、請求項2に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項17】
前記正味抗力の低減が、前記境界装置の波抗力の低減を含む、請求項2に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項18】
前記上流IMSA及び/又は前記下流IMSAが、前記名目動作条件の間に前記ベースラインシナリオと比較して前記境界装置の遠方後流の流れの運動エネルギーを低減させるよう構成されることが可能である、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項19】
前記上流IMSAが、オープンローターまたはダクトローターを備える、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項20】
前記下流IMSAが、オープンローターまたはダクトローターを備える、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項21】
前記オープンローターまたは前記ダクトローターが、少なくとも一つのローターブレードを備え、前記ローターブレードの回転軸に対する前記ローターブレードのピッチ角が可変である、請求項19または20に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項22】
前記上流IMSAでの前記第1の誘導速度が、前記第2の流管の少なくとも一部の内部で前記上流IMSAの前記局所的な自由流の流速の方向に沿った成分を有する、請求項に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項23】
前記上流IMSAでの前記第1の誘導速度が、前記第1の流管の少なくとも一部の内部で前記上流IMSAの前記局所的な自由流の流速の方向と反対の方向に沿った成分を有する、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項24】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部の近くでの前記空間流体の前記流速勾配の低減が、前記境界装置の前記全面の少なくとも一部での前記空間流体の前記流速勾配の低減を含み、該低減が前記ベースラインシナリオに対して生じる、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項25】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部の近くでの前記空間流体の前記流速勾配の低減が、フルスリップシナリオでの前記境界装置の前記全面の少なくとも一部での前記流体の流速の大きさの低減を含み、該低減がフルスリップベースラインシナリオに対して生じる、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項26】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部の近くでの前記空間流体の前記流速勾配の低減が、前記全面の少なくとも一部での前記境界装置の前記局所的な自由流の流速の大きさの低減を含み、該低減が前記ベースラインシナリオに対して生じる、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項27】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部での正味誘導速度が、フルスリップシナリオでの上流方向の成分を含む、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項28】
前記境界装置の前記全面の少なくとも一部の近くでの正味誘導速度が、上流方向の成分を含む、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項29】
前記上流IMSAと前記下流IMSAとの間で力を移送する力移送装置を含み、前記力が、前記下流IMSAから前記上流IMSAへ与えられ得る、及び/又は、前記上流IMSAから前記下流IMSAへ与えられ得る、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項30】
前記力が、機械的に移行され得る、請求項29に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項31】
前記力移送装置が、ドライブシャフト、ギアトレイン、及び/又はクラッチを含む、請求項30に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項32】
前記力が、電気的に移行される、請求項29に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項33】
前記下流IMSAが発電機を駆動し、前記下流IMSAにより生成された電力が、前記上流IMSAに接続された電気モーターへ与えられ得る、及び/又は、前記上流IMSAが発電機を駆動し、前記上流IMSAにより生成された電力が、前記下流IMSAに接続された電気モーターへ与えられ得る、請求項32に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項34】
前記上流IMSAが、前記第1の流管の内部の前記流体の流れから力を抽出することが可能であり、前記下流IMSAが、前記第1の流管の内部の前記流体へ力を与えることが可能である、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項35】
前記上流IMSAにより前記流体から抽出された前記力の大きさが、前記下流IMSAにより前記流体へ与えられる前記力の大きさよりも大きくなり得る、請求項34に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項36】
前記上流IMSAにより前記流体から抽出された前記力の大きさが、前記下流IMSAにより前記流体へ与えられる前記力の大きさよりも小さくなり得る、請求項34に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項37】
前記下流IMSAが、前記第2の流管の内部の前記流体の流れから力を抽出することが可能であり、前記上流IMSAが、前記第2の流管の内部の前記流体へ力を与えることが可能である、請求項に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項38】
前記上流IMSAが、前記流体から力を抽出し前記流体へ力を与えることの両方を意図的に行うように構成され、及び/又は、前記下流IMSAが、前記名目動作条件の間に、前記流体から前記力を抽出し前記流体へ前記力を与えることの両方を意図的に行うように構成される、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項39】
前記境界装置が、航空機の胴体、船の船体、列車の車体、トラックの車体、車の車体、バイクの車体、流体を通って移動する乗り物の車体、のうちの何れか一つである、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項40】
前記境界装置が、前記上流IMSAの上流に、及び/又は、前記下流IMSAの下流に、伸びる、請求項1に記載のIFMAアセンブリ。
【請求項41】
前記上流IMSAまたは前記下流IMSAが、前記境界装置の周りを回転するローターである、請求項40に記載のIFMAアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2017年8月10日に出願された米国仮出願第62/543371号、2018年6月15日に出願された第62/685295号、および2018年7月27日に出願された第62/703898号の利益を主張するもので、それぞれは、参照によって本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
多くの流体相互作用装置は、低い自由流の流速での大きな電力消費に見舞われている。例えば、ヘリコプターの場合、ホバー中に必要な電力は、名目レベルの巡航中に消費される電力の2倍程度になり得る。従来の固定翼航空機のプロペラ、または民間ジェット旅客機のターボファンは、名目レベルの巡航中に見られるものなどの、大きな自由流の流速と比較して、離陸時に見られるものなどの、小さな自由流の流速で、所定の推力の大きさでより多くの電力を消費する。同様に、従来のオープンローター風力タービンが流体から抽出できる電力量は、不必要に小さくなる。
【0003】
比較的低い自由流の流速の大きさに関連付けられた推力生成または電力抽出のこれらの非効率性を軽減する試みは、有効性が限られる。例えば、ダクトを採用して、プロペラ、ヘリコプターのローター、または風力タービンの局所的な自由流の流速を上げることができる。この増大の大きさは、ダクトのジオメトリによって決まり、そして今度、これは、流れの剥離に関する制約などの制約によって厳しく制限される。これらの制約は、小さな自由蒸気流の流速、つまりダクトが最も必要とされるまさにその状況にとって特に厳しいものである。これらの制約により、局所的な自由流の流れに対する大きな効果は、大きなディフューザーを備えたダクトでしか達成できない場合があり、これは例えば、極めて大きな湿潤面積および重量の増加に関連付けられる場合がある。
【0004】
流体に対して移動する胴体などの物体は、通常、摩擦力または抗力に遭遇する。従来技術では、この抗力を最小化する試みは、通常、物体の濡れた表面が可能な限り滑らかであることを保証することに限定されている。場合によっては、そのような滑らかさは、濡れた表面の少なくとも一部で層流に有利になり得、粘性抗力を減らすのに役立ち得る。しかしながら、この抗力は、層流が存在する場合でもかなり大きくなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの実施形態によれば、ヘリコプターのメインローターシステムなどの流体操作装置は、例えば、従来のヘリコプターローターシステムと比較してホバー中に消費される電力を減らし、ホバリング耐久性を増大するように構成できる。これらの原理はまた、プロペラまたは風力タービンなどの他のタイプの流体相互作用装置の推力生成または電力抽出の効率を向上させる。いくつかの実施形態では、変更は、推力生成または電力抽出の流体相互作用装置の少なくとも一部の局所的な自由流の流速の増大を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の粘性抗力は、物体の濡れた表面に対する流体の局所的な自由流の速度の関数である。いくつかの実施形態によれば、流体操作装置は、物体の濡れた表面に対する流体の局所的な自由流の速度を変更し、粘性抗力を低減するように構成することができる。いくつかの実施形態では、変更は、物体の濡れた表面の少なくとも一部の局所的な自由流の流速の低下を含む。
【0007】
いくつかの実施形態は、意図的な流体操作装置および/または関連方法を含み、ここで、上流推力装置を備えた推力装置アセンブリは、名目動作中に自由流の流れに対して第1の方向に意図した力または推力を生成するように構成できる。推力装置アセンブリはまた、少なくとも下流推力装置を含むことができ、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置される。下流推力装置は、上流推力装置の流管の下流推力装置の位置で、上流推力装置の誘導速度ベクトルの方向に平行なベクトル成分を少なくとも備えた推力を生成するように構成することができる。下流推力装置の推力は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたってこの方向基準を満たすことができる。推力装置アセンブリは、少なくとも2つの推力装置を含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、流管は、外部リフティング装置または推力装置によって湾曲させることができる。いくつかの実施形態では、下流推力装置の位置での上流推力装置の誘導速度ベクトルは、上流推力装置が受ける推力ともはや整合する必要はない。いくつかの実施形態では、上流推力装置の位置で上流推力装置の誘導速度ベクトルと整合することもできなくなる。いくつかの実施形態では、下流推力装置の位置での下流推力装置の誘導速度ベクトルは、その位置での上流推力装置の誘導速度ベクトルと反対方向の成分を少なくとも有するように構成することができる。いくつかの実施形態では、したがって、下流推力装置が受ける推力は、上流推力装置の推力と反対方向の成分を有する必要はない。
【0009】
さらなる実施形態は、意図的な流体操作装置および/または関連方法を含み、その中で、上流推力装置を備えた推力装置アセンブリは、自由流の流速ベクトルに対して少なくとも意図した方向に運動量の第1の変化率を与えるように構成できる。推力装置アセンブリは、少なくとも下流推力装置を含むことができ、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置され得る。下流推力装置は、上流推力装置の流管の流体に運動量の第2の変化率を与えるように構成することができ、ここで、運動量のこの第2の変化率の方向は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部の上流推力装置の流管の流体に対する運動量の第1の変化率の影響の少なくとも反対方向の成分を有する。
【0010】
さらなる実施形態は、意図的な流体操作装置および/または関連方法を含み、その中で、推力装置アセンブリは、流体に意図した量の誘導電力を送達するように構成された上流推力装置を含むことができる。推力装置アセンブリは、少なくとも下流推力装置を含むことができ、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置される。下流推力装置は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたって、流体から意図した量の誘導電力を抽出するように構成することができる。
【0011】
さらなる実施形態は、意図的な流体操作装置および/または関連方法を含み、その中で、推力装置アセンブリは、流体から意図した量の誘導電力を抽出するように構成された上流推力装置を含む。推力装置アセンブリは、少なくとも下流推力装置を含むことができる。下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置することができ、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたって、流体に意図した量の誘導電力を送達するように構成することができる。
【0012】
さらなる実施形態は、別の意図的な流体操作装置(IFMA)アセンブリを含む。IFMAは、名目動作要件中に局所的な自由流の流れに第1の誘導速度を与えるように構成された第1の推力装置を含むことができ、第1の推力装置は流管を形成する。第2の推力装置を含めることができる。第2の推力装置は、流管の下流部分に配置することができる。第2の推力装置は、局所的な自由流の流れに第2の誘導速度を与えるように構成することができる。第2の推力装置の位置での第2の誘導速度は、第2の推力装置の位置での第1の誘導速度の方向と反対の方向の成分を有することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第2の推力装置は、流管の第2の推力装置の位置で第1の推力装置の誘導速度ベクトルの方向に、平行かつ整合したベクトル成分を備えた第2の推力を生成するように構成できる。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2の推力装置の推力は、上流推力装置の流管と第2の推力装置の第2の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたって計算することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、名目動作要件は、正味推力を提供するためのものであり得、ここで、正味推力は、慣性フレームにおける第1の推力装置の第1の推力ベクトルと第2の推力装置の第2の推力ベクトルとを足したものに等しい。
【0016】
いくつかの実施形態では、正味推力の生成に必要な誘導電力は、第2の推力装置が流体の流れに無視できる影響を有するシナリオと比較して低減することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1または第2の推力装置の1つの少なくとも一部は、非ゼロの自由流の流れから電力を抽出することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、境界装置は、第1の推力装置を第2の推力装置から空間的に分離することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1および第2の推力装置は、境界装置の抗力損失を低減するように構成され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1および第2の推力装置は、オープンローターまたはダクトローターを含むことができる。
【0021】
さらなる実施形態は、別の意図的な流体操作装置(IFMA)アセンブリを含む。IFMAは、外側表面を有する境界装置を含むことができる。境界装置は、周囲の流体に対して移動するように構成することができる。意図的運動量搬送装置(IMCA)は境界装置フレームに結合することができる。IMCAは、境界装置フレームの外側表面の近くの流速勾配を低減する方法で境界装置に結合することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、IMCAは、境界装置フレームに結合された複数のIMCAの1つであり得、複数のIMCAは、境界装置フレームの外側表面の近くの流速勾配を低減する方法で境界装置に結合され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数のIMCAは、境界装置フレームの上流に位置する先頭IMCAを含むことができ、先頭IMCAは、先頭IMCAのトレーリングエッジから伸びて境界装置フレームを取り囲む流管を生成するように構成することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、複数のIMCAは、境界装置フレームの一部の周りに位置する1つまたは複数の中間IMCAを含むことができ、中間IMCAは、上流IMCAの後流にない。
【0025】
いくつかの実施形態では、中間IMCAは、流管が中間IMCAのリーディングエッジよどみ線に入射するように構成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、複数のIMCAは、境界装置フレームの下流に位置する後部IMCAを含むことができ、後部IMCAは、後部IMCAのリーディングエッジで中間IMCAからの流管を取り囲むように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数のIMCAは、複数の円形ダクトを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数のダクトの各ダクトは、境界装置が移動するように構成された方向の軸に対して半径方向外向きの方向の成分を備えた揚力を生成するように構成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数のIMCAは、フルスリップシナリオで境界装置の外側表面での流速の大きさを低減するように構成することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、流速の大きさの減少は、ノースリップシナリオで外側表面でのスキン抗力の低下をもたらし得る。
【0031】
さらなる実施形態は航空機を含む。航空機は、翼と胴体を有することができる。下流推力装置を胴体に取り付けることができる。下流推力装置は、第1の推力ベクトルを適用するように構成することができる。航空機は、名目レベルの巡航中に第1の推力ベクトルの方向に沿って飛行方向を有することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、上流推力装置を胴体に取り付けることができる。上流推力装置は、第1の推力ベクトルと反対の第2の推力ベクトルを適用するように構成することができる。第2の推力ベクトルは、名目レベルの巡航中に胴体付近の空間流速勾配を低減することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、上流推力装置は、ダクト付きファン内に位置するファンディスクに遭遇する前に流体の流れを減速するように構成されたダクト付きファンを含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、上流推力装置は、流体の流れからエネルギーを抽出するように構成することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、上流推力装置は、エネルギーの少なくとも一部を下流推力装置に電気的または機械的に伝達するように構成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の推力ベクトルの大きさは、第2の推力ベクトルの大きさより大きくなり得る。
【0037】
さらなる実施形態は、流体と相互作用するように構成された表面を有する境界装置を有することができる流体操作装置を含む。意図的な流体操作装置(IFMA)アセンブリは境界装置に結合することができる。IFMAアセンブリは、境界装置の表面付近の空間流速勾配を低減するように構成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、IFMAアセンブリは、境界装置フレームに結合された少なくとも1つの意図的運動量搬送装置(IMCA)を含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのIMCAは、境界装置フレームに結合された複数のIMCAの1つであり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、IFMAアセンブリは、局所的な自由流の流れに第1の誘導速度を与えるように構成された上流の意図的運動量制限装置(IMSA)を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、IFMAアセンブリは、局所的な自由流の流れに第2の誘導速度を与えるように構成された下流IMSAを含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、推力ベクトルは、上流IMSAおよび下流IMSAの少なくとも1つに関連付けられ得、局所的な自由流の流れと実質的に同じ方向である。
【0043】
いくつかの実施形態では、境界装置は、上流IMSAと下流IMSAとの間に配置することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、上流IMSAおよび下流IMSAの少なくとも1つは、流体の流れからエネルギーを抽出するように構成することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、エネルギーは、上流IMSAと下流IMSAとの間で電気的または機械的に伝達され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、上流IMSAおよび下流IMSAの少なくとも1つはプロペラを含むことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、局所的な自由流の流れの速度の低減により、境界装置の抗力を低減することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、境界装置の局所的な自由流の流れの速度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、従来技術の推力装置の断面図である。
図2図2は、従来技術の推力装置の断面図である。
図3図3は、いくつかの実施形態による、意図的な流体操作装置(「IFMA」)構成の断面図である。
図4図4は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面図である。
図5図5は、従来技術の流体操作装置の断面図である。
図6図6は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面図である。
図7図7は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面図である。
図8図8は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面図である。
図9図9は、いくつかの実施形態による、正面図である。
図10図10は、いくつかの実施形態によるIFMA構成の斜視図である。
図11図11は、いくつかの実施形態によるIFMA構成の側面図である。
図12図12は、いくつかの実施形態によるIFMA構成の上面図である。
図13図13は、いくつかの実施形態によるIFMA構成の背面図である。
図14図14は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面斜視斜位図である。
図15図15は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の斜位図である。
図16図16は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の斜位図である。
図17図17は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の斜位図である。
図18図18は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の斜位図である。
図19図19は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の側面図である。
図20図20は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の側面図である。
図21図21は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本明細書で使用される「流体」という用語は、流体の特性を示すすべてのタイプの材料を包含する。そのような特性の1つは、互いに相対的に移動する構成粒子の能力である。例えば、水などの液体、または空気などのガスを指す場合がある。流体は、いくつかのタイプのガスで構成される空気など、いくつかの異なるタイプおよび種類の流体を同時に含むことができることに留意していただきたい。指定されない限り、異なる流体のアセンブリは、簡単にするために「流体」と引き続き呼ばれる。
【0051】
「自由流の流れ」という用語は、装置のアセンブリなどの物体が流体と相互作用しなかった場合に発生する指定された点に対する理論的な流れとして定義される。したがって、それは、グローバルな自由流の流れとも呼ばれる場合がある。装置のアセンブリは、航空機または船などの乗り物、あるいは例えば、風力タービンなどの異なるタイプの流体操作装置、あるいはそのようなアセンブリの任意の部分であり得る。自由流の流れは、慣性空間の車両の動きなど、慣性空間の指定された点の動きからの寄与を含むことができる。風や流れなどの慣性空間での流体の動きからの寄与も含めることができる。指定された点が異なると、異なる自由流の流れが発生する可能性がある。例えば、装置上の異なる点が慣性空間で異なる速度で移動し、慣性空間で理論的に静止している流体において異なる自由流の流速が発生するように、装置を回転させることができる。
【0052】
「局所的な自由流の流れ」という用語は、指定された装置のみが流体と相互作用しなかった場合に発生する指定された装置に対する理論的な流れとして定義される。局所的な自由流の流れは、自由流の流れの寄与のほか、流体と相互作用する、アセンブリの残りのものなどの他の装置による寄与も含む。例えば、水平固定翼によって生成されたダウンウォッシュは、翼の下流に取り付けられた水平安定装置に対する局所的な自由流の流速の大きさおよび方向に影響を与える可能性がある。
【0053】
「流体操作装置」またはFMAは、流体の特性を操作する装置として定義される。例えば、FMAは、指定されたシナリオまたは境界条件の自由流の流速の大きさに対して、流体要素の流速の大きさを変更できる。別の例では、FMAは、指定されたシナリオの自由流の流速の方向に対して、流体要素の流体の流速の方向を変更できる。流体の流れに対するこの影響は、意図的または意図的ではない場合がある。流体に対する影響の少なくとも一部が意図的なものである場合、FMAは「意図的な流体操作装置」またはIFMAとしてさらに分類できる。流体の流れに対する意図的な影響は、以下で定義する「意図的運動量搬送装置」またはIMCAの場合のように、いくつかのIFMAに対してのみ局所化できる。他のIFMAの場合、「意図的運動量制限装置」またはIMSAの場合のように、流体の流れに対する意図的な影響も遠方後流で発生する可能性がある。これらの定義は、次の段落で明確になる。
【0054】
運動量制限の意図的な性質のため、IMSAは「推力装置」またはTAと呼ばれることもあり、これは、名目動作中に流体に運動量の意図的な変化率を与えるように構成された任意の装置として定義される。TAの例は、従来のプロペラまたはヘリコプターのメインローターである。名目定速巡航中に揚力を提供する固定翼航空機の翼も、推力装置と見なすことができる。利用可能なTAには他にも多くの使用可能なタイプがある。例えば、運動量の変化率は、電磁力を介してTAによって流体に適用できる。例えば、TAはホール効果推力または電磁流体力学(MHD)ドライブであり得る。フォイトシュナイダー推力、サイクロジャイロ、または同様のデバイスもTAの例である。
【0055】
推力装置の前述の定義では、運動量の意図的な変化率を流体に与える要件は、いくつかの方法で説明できる。例えば、装置のアセンブリの他の流体操作装置から隔離された推力装置を検討する。例えば、固定翼航空機の残りの部分から隔離した翼を検討する。または、従来のヘリコプターの残りの部分から隔離されたヘリコプターのメインローターを検討する。「孤立シナリオ」と呼ばれる理論的シナリオでは、推力装置は単独で検討され、名目動作条件中に推力装置に対して遠方後流で意図的で非ゼロの誘導流が存在するという事実によって定義または特徴付けられる。
【0056】
名目動作条件は、場合によっては、空間および時間で均一な自由流の流速および方向を伴うことがある。いくつかの例では、定速巡航中の動作条件は、名目動作条件として説明できる。遠方後流は、この名目動作条件で推力装置から無限の距離に位置している。言い換えれば、推力装置は、自由流の流れ場と比較して、推力装置から無限の距離の流れ場に対して意図的で無視できない影響を有する。
【0057】
本明細書で定義および使用される「意図的」という用語は、運動量の変化率が有用または故意であるという要件を指す。例えば、運動量の有用な変化率は、前述の孤立したシナリオの遠方後流での流体要素の平均誘導速度に寄与する可能性があり、ここで、速度は意図された推力または揚力の方向とは反対の方向に非ゼロ成分を有する。いくつかの推力装置の場合、遠方後流の流体要素の平均誘導速度は、意図された推力または揚力の方向と反対の方向に実質的な成分を有する。揚力または推力の生成に関連付けられた固定翼またはヘリコプターのメインローターの遠方後流の誘導流は、意図的なものと見なされる。推力装置の近くの流体の運動量の関連する変化率も意図的であると見なされる。遠方後流に対する推力装置の意図的な効果は、遠方後流における流体の流れ場に対する意図的でない、有用でない、または非生産的な効果とは区別され、例えば、推力装置のいくつかの要素に対するプロファイル抗力、圧力抗力の作用などに関連付けることができる。これらの意図的ではない効果は、電力消費を不必要に、つまり、これらの効果が数学的に除去された理論的状況であるセテリスパリバスと比較して増加させる。
【0058】
運動量の意図的な変化率を流体に与える要件は、別の方法で説明することもできる。例えば、推力装置は、プラントルリフティングライン理論の単純化されたフレームワークで意図的に渦を放出すると見なすことができる任意の装置として定義することもできる。したがって、推力装置、またはTA、またはIMSAは、「意図的渦放出装置」、またはIVSAと説明される場合もある。リフティングライン理論のフレームワークは、非粘性および非圧縮性の流れなどの単純化された仮定に依存しているため、参照またはガイドとしてのみ検討されることに留意していただきたい。推力装置によって意図的または故意に放出される渦は、流体に運動量の変化率を与えることにより、推力装置に作用する揚力または推力に寄与する。名目動作条件中に前述の孤立したシナリオで推力装置を検討すると、意図的に放出された渦も推力装置から無限の距離に存在し、そこで意図的な誘導流を生成する。言い換えれば、推力装置のために、または推力装置によって生成される、非ゼロの、意図的な、遠方後流の誘導流速がある。推力装置は、理論的な放出渦の形で粘性抗力または境界層効果を考慮に入れた数学的モデルなど、いくつかのモデルで意図的ではなく渦を放出することも考慮され得ることに留意していただきたい。意図的ではない渦放出とは、故意に放出されないいずれかの渦、すなわち揚力や推力の生成などの有用な機能を実行しない、または寄与しないあらゆる渦を指す。
【0059】
意図的運動量搬送装置、またはIMCAは、孤立したシナリオで検討した場合、遠方後流に意図的に運動量を放出しない流体操作装置である。IMCAの例は、ダクトまたは従来の管状、または葉巻形状の軸対称胴体である。胴体は、胴体の周りの流れを意図的に偏向することによって自由流の流れを変更し、これにより、胴体が、定速巡航などの名目動作条件用の翼など、他のいずれかの流体操作装置と隔離されていると見なされる孤立したシナリオの胴体の近くの流れの速度の大きさも増加する。前述の意図的な流れの偏向は、胴体の近くに局所化される。したがって、胴体の近くにある流体要素は、運動量の意図的な局所的な変化率を受ける。理想的な場合、胴体から無限の距離にある流体の流れに影響はない。言い換えれば、胴体による流体の流れに対する意図的な遠方後流の効果はない。胴体の近くでの流体の運動量の意図的ではない変化率が存在する可能性があり、これは、自由流の流れと比較して、孤立したシナリオで胴体から無限の距離にある流体要素の運動量の意図的ではない変化に関連付けられる可能性もある。遠方後流の流体の流れのこのような意図的ではない変化は、例えば、プロファイル抗力の効果から生じる可能性がある。
【0060】
同様に、ダクトは、ダクトの近くの流速の大きさを意図的に変更することにより、自由流の流れを変更する。例えば、ダクトは、名目動作条件中の孤立したシナリオの自由流の流れに対する円形ダクトの中心にある流体要素の流速の大きさを低減するように構成できる。この場合、名目動作条件は、ダクトの中心対称軸に平行な一定かつ均一な自由流の流速を指すことができる。この意図的な変更は、ダクトの近くにのみ局地化され、ダクトの中心から無限の距離で無視できる値に収束する。したがって、ダクトによる流体の流れに対する意図的な遠方後流の影響はなく、つまり、ダクトと流体との相互作用による流体要素の遠方後流の意図的な誘導流速はない。前と同様に、抗力または一時的な影響により、遠方後流の流体の流れが意図的ではなく変更され、ダクトの近くの流体の運動量の意図的ではない変化率に関連する可能性がある。
【0061】
IMCAは、リフティングライン理論の簡略化されたフレームワークでも説明できる。IMCAは、密閉された渦または拘束された渦を搬送すると見なすことができる。そのため、IMCAは「意図的渦搬送装置」、またはIVCAと見なすこともできる。例えば、流体に対する円形の軸対称ダクトの意図的な効果は、円形の渦輪、または渦度の2次元または3次元の連続分布、または漸進的に小さな離散渦輪としてモデル化できる。渦度の大きさが時間的に一定で、渦輪の円周に沿って均一である、名目動作条件中、意図的な渦度が流体に放出されないことに留意していただきたい。同様に、流体の流れに対する胴体の意図的な効果は、胴体内に含まれる、または胴体の表面、すなわち胴体と流体との間の界面に位置する渦度の3次元連続分布としてモデル化することもできる。
【0062】
IMSAの「誘導電力」は、流体の運動量の意図的な変化率に関連付けられた、流体のエネルギーの変化率である。他のいずれかの電力消費は、「ゼロ揚力電力」、または「プロファイル電力」で考慮される。「揚力」という用語には、この文脈における推力も包含することに留意していただきたい。IMCAは誘導電力をまったく消費しないことに留意していただきたい。純粋なIMCAに関連付けられた電力損失は、プロファイル電力損失と見なされる。IMSAは誘導電力を消費することができ、その場合、意図的な作業は流体の流体操作装置によって行われる。例えば、航空機または船のプロペラ、あるいは従来の固定翼航空機の固定翼は、誘導電力の消費をもたらすか、またはそれに関連付けられる。IMSAはまた、誘導電力を回収することができ、その場合、作業は、流体操作装置上の流体によって意図的に行われる。例えば、風力タービンによって生成される電力は誘導電力と見なすことができる。
【0063】
運動量の変化率を流体に適用するプロセスにおいて、流体操作装置は、局所的な自由流の速度に対する流速を変化させることができる。この速度の変化は、「ダウンウォッシュ」または「誘導速度」である。誘導速度は、例えば、下流または上流に向けることができ、あるいは流れに対して垂直に向けることができることに留意していただきたい。誘導速度は、IMSAまたはIMCAによって生成できる。後者の場合、誘導速度は局所化される。つまり、IMCAの近くに制限される。これらの用語では、IMSAは、孤立したシナリオでの遠方後流に意図的な誘導速度を付与する装置としても特徴付けられ得る。両方のIMSAが一緒に検討される場合、1つのIMSAによる誘導速度の寄与は別のIMSAによって相殺できることに留意していただきたい。
【0064】
以下の段落において、および図1図2の文脈において、先行技術で使用されるいくつかの装置および方法が議論される。
【0065】
図1は、従来技術のTAの断面図である。それはプロペラ1を示す。ここで、推力ベクトル39で示されるように、プロペラ1の推力は図の上部に向けられている図示された動作条件では、矢印40で示されるように、図の上部から下部に流れる非ゼロの自由流の流れがある。
【0066】
点線は、自由流の流れとローターディスクを通して流れる流れとの間のおおよその境界2を概略的に示す。境界上にある線は流線と描写でき、境界に囲まれた体積は流管と描写できる。図に示されている境界は、特定の動作条件の例にすぎないことに留意していただきたい。境界の形状は、ホバーあるいは風または水流などの自由流の流れからのエネルギー抽出など、図示されたTAの他の動作条件または動作モードによって大きく異なる場合がある。プロペラのはるか前方の自由流では、流れは自由流の流れとほぼ同等である。
【0067】
流体のこの状態は、図1のステーション3で示される。プロペラの流体の特性は、ステーション4によってカプセル化される。遠方後流の流れ、またはプロペラの下流の自由流は、ステーション5によって参照される。プロペラが流れを加速するため、流管の面積はステーション3からステーション4、ステーション4からステーション5に減少する。
【0068】
ステーション5では、流れは、ステーション3で見られる流れなどの自由流の流れよりも大きい速度を有するが、流管内の流れの圧力は、従来の単純な運動量理論のフレームワークで自由流の圧力に戻ったと仮定できる。ステーション5でのより大きな速度は、プロペラが流れを加速し、等しく反対の力または推力を受ける結果として、流体の運動量の増加を示す。より高い速度は、流体のより大きな運動エネルギーももたらし、これは、前述のフレームワークでは、推力を提供するのに必要な力を示す。
【0069】
単純な運動量理論は、TAを使用した揚力の基本原理を説明するためのフレームワークとしてのみ使用され、この理論内に従来含まれていた仮定は、実施形態に適用したり、範囲を制限したりするものではないことに留意していただきたい。例えば、ダウンウォッシュの分布は一般に、流管の断面全体で一定である必要はない。各ステーションでの流管のプロットされた半径は近似値であり、流管の一般的な形状を示すことのみを目的としていることに留意していただきたい。
【0070】
プロペラの断面図は、第1のプロペラブレード6および第2のプロペラブレード7を示す。第1のプロペラブレード6のトレーリングエッジ9および第2のプロペラブレード7のリーディングエッジ10も見える。プロペラを含むすべての図では、同様の構成が示される。
【0071】
図2は、別の従来技術のTAの断面図である。それはダクト付きプロペラを示す。ここで、推力ベクトル41で示されるように、プロペラ11の推力は図の上部に向けられている図示された動作条件では、示された矢印42のように、図の上部から下部に流れる非ゼロの自由流の流れがある。リーディングエッジ17とトレーリングエッジ18、および断面19を備えた、ダクト16によって生成される追加の推力がある。図1と同様に、はるか上流のステーション13、ローターのステーション14、および遠方後流ステーション15を備えた、流管境界12がある。ダクト16は、プロペラ11を円周方向に囲んでいる。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、従来技術で採用されている方法よりも効果的に流れを変更できる装置および方法が提供される。変更は、流れの指定された位置での流速を参照できるが、これに限定されず、推力の生成に適用できるが、これに限定されない。
【0073】
本方法は、推力装置アセンブリに、名目動作中に自由流の流れに対して第1の方向に意図した力、または推力を生成するように構成された上流推力装置を提供し、さらに、少なくとも下流推力を推力装置アセンブリに提供することを含み、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置され、下流推力装置は、少なくとも上流推力装置の流管の下流推力装置の位置での上流推力装置の誘導速度ベクトルの方向に平行なベクトル成分を備えた推力を生成するように構成され、ここで、下流推力装置の推力は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたってこの方向基準を満たす。推力装置アセンブリは、少なくとも2つの推力装置を含むことができる。
【0074】
流管は、外部リフティング装置または推力装置によって湾曲させることができることに留意していただきたい。場合によっては、下流推力装置の位置での上流推力装置の誘導速度ベクトルは、上流推力装置が受ける推力ともはや整合する必要はない。場合によっては、上流推力装置の位置で上流推力装置の誘導速度ベクトルと整合することもできなくなる。下流推力装置の位置での下流推力装置の誘導速度ベクトルは、その位置での上流推力装置の誘導速度ベクトルと反対方向の成分を少なくとも有するように構成される。したがって、下流推力装置が受ける推力は、上流推力装置の推力と反対方向の成分を有する必要はない。
【0075】
代替として、本方法は、推力装置アセンブリに、自由流の流速ベクトルに対して少なくとも意図した方向に運動量の第1の変化率を与えるように構成された上流推力装置を提供し、さらに、少なくとも下流推力を推力装置アセンブリに提供することを含み、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置され、下流推力装置は、上流推力装置の流管の流体に運動量の第2の変化率を与えるように構成され、ここで、運動量のこの第2の変化率の方向は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部のための上流推力装置の流管の流体に対する運動量の第1の変化率の効果の反対方向の成分を少なくとも有する。
【0076】
代替として、本方法は、流体に意図された量の誘導電力を送達するように構成された上流推力装置を推力装置アセンブリに提供し、さらに少なくとも下流推力装置を推力装置アセンブリに提供することを含み、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に部分的に配置され、および下流推力装置は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたって流体から意図された量の誘導電力を抽出するように構成される。
【0077】
代替として、本方法は、流体から意図された量の誘導電力を抽出するように構成された上流推力装置を推力装置アセンブリに提供し、さらに少なくとも下流推力装置を推力装置アセンブリに提供することを含み、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に部分的に配置され、および下流推力装置は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたって流体に意図された量の誘導電力を送達するように構成される。
【0078】
このような推力装置アセンブリの利点の1つは、流管内の指定点での流速の変更である。例えば、上流および下流の推力装置間のステーションでは、流速を人為的に増加させることができる。理想的な場合、上流推力装置によって行われたいずれかの作業は、下流推力装置によって回収でき、その結果、プロセスでのエネルギー損失が最小限になる。さらに、上流推力装置によって流体に与えられる運動量の望ましくないあらゆる変化は、下流推力装置によって除去することができる。言い換えれば、上流推力装置が受ける望ましくないあらゆる推力は、下流推力装置によって相殺することができる。このようにして、いくつかの実施形態は、流れ変更のための方法を提供し、本方法は、先行技術で採用された方法よりも効果的であり得る。
【0079】
上記で概説した方法を採用する装置の可能な実施形態が多数存在する。一実施形態が図3に示されている。当該図は、プロペラとして分類することができる、上流推力装置20、およびこの場合プロペラとして記述することもできる下流推力装置21を含む推力装置アセンブリを示している。他の実施形態では、推力装置20または21は、図示されたオープンロータータイプ以外のタイプのものとすることができる。例えば、推力装置は、いくつかのオープンローターを含むことができ、または少なくとも1つのダクト付きファン、または一対の同軸逆回転プロペラを含むことができる。図1と同様に、はるか上流のステーション23、上流推力装置20のステーション24、上流推力装置20と下流推力装置21との間のステーション25、下流推力装置21のステーション26、および遠方後流ステーション27を備えた、流管境界22がある。この場合、下流推力装置21は、上流推力装置20の流管22に配置される。
【0080】
この例では、推力装置アセンブリは、推力ベクトル43で示されるように、図の上部に向かって、垂直上方に向けられた正味推力を提供する必要がある。矢印45で示されるように、図の上部から下部に向かって自由流の流れがある。この例の実施形態の目的は、ベースライン構成と比較して、所定量の推力に対して推力装置アセンブリの誘導電力を低減することである。この場合のベースライン構成は、図1に例示するオープンローターの例のような単一のオープンローターであり、ここで、ステーション4および24の正味推力とアクチュエータディスク領域が同じである。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、これは、以下の図3に示されるIFMA構成により達成される。上流推力装置20は、推力装置アセンブリに必要な正味推力と平行でそれより大きい推力を提供するように構成され、ここで、正味推力は、下流推力装置21の推力に加算された上流推力装置20の推力である。推力装置アセンブリの正味推力は、必要な推力と等しくする必要がある。したがって、下流推力装置21の推力は、正味推力と上流推力装置20の推力との差に等しい。この場合、これにより、下流推力装置21に推力が生じ、それは、推力ベクトル44によって示されるように、図の下部に向かって垂直に下方に向けられ、上流推力装置20の推力とは反対の方向を指す。言い換えれば、下流推力装置21は、上流推力装置によって流体に与えられ、推力装置アセンブリの正味の必要な推力制約に違反し、この場合は超過するあらゆる運動量を抽出するように構成される。下流推力装置21はさらに、流体から電力を抽出するように構成される。ベースラインと比較して誘導電力消費を改善するために、抽出された誘導エネルギーの十分な部分またはすべてを、上流推力装置20に可逆的または直接送信する必要がある。
【0082】
エネルギーは、推力装置アセンブリ内に可逆的に格納するか、推力装置アセンブリと連動する別の装置に可逆的に伝達することにより、可逆的に回収することができる。例えば、下流推力装置は、機械的エネルギーの一部を電気エネルギーに変換するように構成された電気モーターを含むことができる、発電機Gを駆動することができる。電気エネルギーの一部は、バッテリー、コンデンサ、またはその他のエネルギー貯蔵デバイスに可逆的に格納できる。バッテリーは、推力装置アセンブリ内、または車両の残りの部分など、推力装置アセンブリに取り付けられた外部装置上に配置することができる。エネルギーは、フライホイールの形で機械的に抽出および格納することもできる。
【0083】
エネルギーは、いくつかの方法で上流推力装置20に直接伝達することができる。例えば、エネルギーが発電機Gによって下流推力装置21から抽出される場合、電気エネルギーは、電気導体または電線を介して上流推力装置20を駆動する電動機Mに伝達することができる。代替として、下流推力装置によって抽出された電力は、上流推力装置20と下流推力装置21をしっかりと接続する駆動軸の形で機械的に伝達することができる。いくつかの実施形態では、機械的エネルギー伝達装置は、堅固な接続を形成する必要はないが、調整可能なリンケージ、ギア、およびクラッチなどの他の機構を含む。
【0084】
下流推力装置21から機械的エネルギーを回収し、それを格納する、または上流の推力装置20に伝達するための、当技術分野で知られている他の多数の方法がある。
【0085】
上記の実施形態は、ベースライン誘導電力よりも少ない誘導電力をもたらす。ステーション4および24での所定の最大アクチュエータディスク領域、および所定の正味推力について、誘導電力は、上流推力装置20の推力が増加するにつれて減少する。上流推力装置20の推力は、この例のベースラインと比較して誘導電力の低減を達成するために、必要な正味推力よりも大きい必要があることに留意していただきたい。
【0086】
いくつかの実施形態は、図2に例示されるようにダクト付き推力装置の改善を提供する。ダクトは、プロペラの先端損失の低減など、いくつかの利点を有し、これにより、オープンローターと比較して同じ推力量に対してより低い誘導電力で動作することができる。ダクトもいくつかの欠点を有する。TAの重量のほか、濡れた領域、および関連する抗力が増加する可能性がある。さらに、ダクトの有効性は、拡散器の流れの剥離のリスクによって限定される。加えて、異なる流速で効率を上げるためにダクトの形状を変更することは、複雑さと重量のために実際的ではないことがよくある。
【0087】
いくつかの実施形態は、これらの欠点のいくつかによる影響が少ない。いくつかのダクトレスの実施形態では、推力装置は、同等の重量および湿潤面積のペナルティなしでダクトの利点を受けることができる。流れの剥離を避けるために、ダクトには大きな拡散器が必要になるが、これは重量およびサイズの制約のために実用的ではない場合がある。ダクトレスの実施形態は失速の制約に対する感度が低く、これにより、いくつかの実施形態はダクト付きローターよりも高い性能を達成することが可能になる。推力装置は、ダクトよりも複雑さを抑えて再構成することもできる。例えば、オープンロータータイプの推力装置は、プロペラブレードの集合ピッチを変えることにより再構成でき、回転速度は容易に制御できる。これにより、ホバーまたはレベルクルーズなどのさまざまな動作条件で、推力装置がより複雑でなく、より効率的に動作できるようになる。
【0088】
図3では、上流推力装置20は、特定の推力装置アセンブリの必要な推力のほか、下流推力装置21によって相殺される追加の推力も提供したことに留意していただきたい。いくつかの実施形態では、推力装置アセンブリの正味推力への寄与において互いに相殺する推力装置を、推力装置アセンブリの残りから物理的に分離することが望ましい場合がある。
【0089】
図4は、そのようなシナリオを示している。当該図は、プロペラとして分類することができる、上流推力装置28、およびこの場合プロペラとして記述することもできる下流推力装置30を含む補助推力装置アセンブリを示している。当該図は、同じくオープンロータータイプの中間推力装置29も示している。矢印49で示されるように、図の上部から下部に向かって垂直に下向きに向けられた自由流の流れがある。図1と同様に、はるか上流のステーション32、上流推力装置28のステーション33、上流推力装置28と中間推力装置29との間のステーション34、中間推力装置29のステーション35、中間推力装置29と下流推力装置30との間のステーション36、下流推力装置30のステーション37、および遠方後流ステーション38を備えた、流管境界31がある。この場合、中間推力装置29および下流推力装置30は、上流推力装置28の流管31内に配置される。
【0090】
この例では、中間推力装置29は、推力ベクトル47で示されるように、全推力装置アセンブリの必要な正味推力に等しい推力を提供し、ここで、推力装置アセンブリは、上流推力装置28、中間推力装置29および下流推力装置30を含む。したがって、補助推力装置アセンブリは、正味推力を提供しないことが必要である。図3のように、この例の実施形態の目的は、ベースライン構成と比較して、所定量の推力に対して全推力装置アセンブリの誘導電力を低減することである。この場合のベースライン構成も、図1に例示するオープンローターの例のような単一のオープンローターであり、ここで、ステーション4およびステーション33の正味推力とアクチュエータディスク領域が同じである。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、これは、以下の図4に示される実施形態によって達成される。上流推力装置28は、全推力装置アセンブリに必要な正味推力と平行でそれより大きい推力を提供するように構成され、ここで、正味推力は、下流推力装置30に追加された、中間推力装置29の推力に加算された、上流推力装置28の推力である。したがって、上流推力装置28の推力は、推力ベクトル46によって示されるように、ページの上部に向けられる。下流推力装置30の推力は、この場合、推力ベクトル48によって示されるように、上流装置28の推力と等しく反対である。言い換えれば、下流推力装置30は、上流推力装置によって流体に与えられ、全推力装置アセンブリの正味の必要な推力制約に違反し、この場合は超過するあらゆる運動量を抽出するように構成される。下流推力装置30はさらに、図3の下流推力装置21に関して前述した方法で、流体から電力を抽出するように構成される。
【0092】
それが目的である場合、全体の誘導電力が最小化されている限り、上流および下流の推力装置が個別に最小誘導電力で動作する必要はないことに留意していただきたい。例えば、目的がステーション38で遠い流管の断面にわたって一定のダウンウォッシュを維持することである場合、上流推力装置28または中間推力装置29のダウンウォッシュは、あらゆる不均一性が下流の推力装置によって除去される限り、均一である必要はない。
【0093】
同軸プロペラに適用される原理は、いくつかの実施形態にも適用されることに留意していただきたい。例えば、中間推力装置29のステーション35のアクチュエータディスク領域は、ステーション33の上流推力装置28のアクチュエータディスク領域と同じ大きさであり得る。したがって、中間推力装置の一部は、自由流の流れと連動している。中間推力装置は、この領域を使用して、全推力装置アセンブリの必要な推力の方向に運動量の変化率を流体にさらに与えることができる。これにより、推力装置アセンブリは、ベースラインと比較して誘導電力をさらに減らすことができる。同様に、図4の30または図3の21など、下流推力装置のアクチュエータディスク領域を増やすこともできる。バイパス流体の流れと相互作用する概念は、当技術分野で周知である。さらに、従来技術で周知のように、流管のプロペラの回転方向は、遠方後流の渦が最小化されるように選択することができる。
【0094】
以下の段落では、他の実施形態について説明する。
【0095】
一般的に、実施形態を単独で検討することは有益である。一実施形態では、装置の目的は、流れの指定された点での自由流の流れに対して局所流速を増加させることである。これは、下流の運動量の変化率を与えるように構成された上流推力装置を備えた推力装置アセンブリによって達成することができ、その結果、下流誘導流速度ベクトルが得られる。上流の推力装置は、流れの指定された点の上流に配置され、上流方向の推力を受け、流体で作業を行い、結果として誘導電力が消費される。推力装置アセンブリは、上流の運動量の変化率を与えるように構成された下流推力装置をさらに備えることができ、その結果、上流誘導流速度ベクトルが得られる。下流装置は、上流推力装置の流管に配置されている。下流の推力装置は、流れの指定された点の下流に配置され、下流方向の推力を受け、流体から電力を回収している。理想的な場合、上流装置によって流体に与えられたすべての誘導電力は、下流装置によって回収されるため、正味誘導電力は流体に失われない。推力装置アセンブリの正味推力ゼロの要件を伴うこの理想的な場合では、上流および下流の推力装置の推力はさらに相殺される。上流および下流の推力装置アセンブリが流れの加速を可能にするのに十分離れている限り、上流と下流の推力装置の間に位置する指定された点は、局所流速の望ましい増加を受けることができる。これは、誘導推力、または上流推力装置のダウンウォッシュのほか、下流推力装置の、ダウンウォッシュによるものである。このダウンウォッシュは、その後、下流推力装置によって指定された点のさらに下流で回収できるため、理想的な場合、流管の遠方後流にダウンウォッシュは存在しない。
【0096】
別の実施形態では、装置の目的は、流れの指定された点で局所流速を減少させることである。いくつかの実施形態によれば、これは、上記の例と比較して、上流および下流の推力装置の役割を逆にすることにより達成することができる。したがって、上流推力装置は、上流の運動量の変化率を与えるように構成することができ、その結果、上流誘導流速ベクトルが得られる。同様に、下流推力装置は、下流の運動量の変化率を与えるように構成することでき、その結果、下流誘導流速ベクトルが得られる。理想的な場合、上流の装置によって回収されたすべての誘導電力は、下流の装置によって消費され、推力装置によって流体から正味の誘導電力は抽出されない。
【0097】
上流推力装置は、指定された点でのみ局所流速要件を満たす必要があることに留意していただきたい。上流推力装置のアクチュエータディスク領域を含む流管の異なる点は、自由流の流れと比較して、局所流速の異なる増加または減少を必要とする可能性がある。局所流速要件は、流管の指定された点または点の集合、あるいは流管の近くでの推力装置アセンブリのダウンウォッシュに関する要件として扱うことができる。これらの要件は、上流および下流の推力装置のアクチュエータディスク領域全体の推力分布を変えることで満たすことができる。指定された点でのこれらの流れの制約を考えると、誘導電力の最小化などの追加の目的がある可能性があり、それは遠方後流でゼロまたは均一なダウンウォッシュの追加要件に変換できる。目的は、この動作条件で消費される全電力を最小化することでもあり得る。
【0098】
推力装置アセンブリの動作条件を検討し、その目的は、構造的な制約が常に満たされると仮定して、所定の最大アクチュエータディスク領域および自由流の流速に対して流体から抽出される電力を最大化することである。風力タービンなどのオープンローターからなるベースライン構成を検討できる。いくつかの実施形態によれば、推力装置アセンブリは、上流および下流の推力装置を含むことができる。この例では、下流推力装置は、上流推力装置のスリップストリームに配置される。非ゼロの自由流の流れがある。上流推力装置は、下流方向の流れに運動量の変化率を与えることにより、自由流の流れに作用するように構成される。したがって、流体との相互作用により、上流推力装置は、上流に向けられた力を受ける。下流推力装置は、上流推力装置の流管の流れから電力を抽出するように構成される。言い換えれば、流体は、下流推力装置で作業を行っており、下流推力装置が下流方向の力を受けるように、上流に向けられた運動量の変化率を受けている。したがって、ベースラインのオープンローター構成と比較して、性能の改善を実現できる。例えば、風力タービンは2つのオープンローターを含むことができ、ここで、1つはマストの上流に配置され、もう1つは下流に配置される。ローターは上記のように動作できる。上流ローターによって消費される電力は、外部電源、または下流ローターによって提供され得る。図3の説明で述べたように、例えば、シャフトとの直接接続を介して、または歯車列およびクラッチを含む調整可能な変速機を介して、上流と下流の推力装置の間で機械的に電力を伝達できる。電力は電気的に伝達することもでき、ここで、下流のローターは発電機を駆動し、その電気エネルギーは上流のローターを駆動する電気モーターに伝達される。他の構成も可能であり、当該原理は、水車または他の推力装置あるいは動作条件にも適用されることに留意していただきたい。
【0099】
いくつかの実施形態または動作条件では、下流ローターのアクチュエータディスクでの局所流速を増加させるのではなく、減少させることが望ましい場合がある。例えば、風力タービンの場合、いくつかの動作条件では、自由流の流速は、下流ローターの許容ピーク自由流の流速を超える場合がある。例えば、構造上の制限によって決定される上流ローターのピーク自由流の流速は、サイズおよび名目動作負荷が異なるため、下流ローターのピーク自由流の流速よりも大きくなる可能性があることに留意していただきたい。また、設計によって異なる場合がある。この場合、上流ローターの推力を逆にすることで、流れから電力を抽出し、下流ローターでの流速を名目レベルまで下げることができる。このようにして、下流ローターの推力が設計限界を超えるのを防ぐことができる。したがって、推力装置アセンブリ全体の性能が最適化されるように、上流推力装置を使用して流れ場を修正することができる。そのようなシナリオに適用可能な当技術分野で周知の他の方法があることに留意していただきたい。単一のオープンローターの場合、回転速度およびプロペラピッチなどの動作条件を調整することができる。しかしながら、これらの方法の有効性は自由流の速度の範囲に制限されており、いくつかの実施形態はこれらの制限を拡大することができる。この文脈で説明されている原則は、他の動作条件およびシナリオにも適用できる。
【0100】
以下の段落において、および図5の文脈において、先行技術で使用されるいくつかの装置および方法が議論される。
【0101】
「境界装置」は、流体要素に力またはモーメントを直接適用する、またはその逆の流体操作装置のあらゆる増分表面または体積を含む。境界装置の例は、航空機の胴体の濡れた表面、または船の船体の濡れた表面、翼の表面、平板の表面、または車の外側表面である。
【0102】
図5は、周囲の流体に対して移動する境界装置61の断面図を示している。境界装置61は、リーディング点64およびトレーリング点65を有する。リーディング点およびトレーリング点は、翼のリーディングエッジまたはトレーリングエッジなどのエッジにすることもできる。この特定の実施形態では、簡単にするために、境界装置は、閉じた外側表面62および内側表面63を備えた薄いシェルとして説明できる剛体である。この実施形態では、境界装置61の形状は、回転形状であり、すなわち、それは、リーディング点64およびトレーリング点65を通過する軸に関して軸対称である。
【0103】
次のように、「境界装置フレーム」または「BAF」を定義できる。原点は、境界装置61の外側表面62によって囲まれた体積の幾何学的重心に位置している。x軸は、リーディング点64とトレーリング点65を接続する直線と一致し、リーディング点64に向けられている。指定しない限り、z軸は図のページで垂直を指している。
【0104】
3つの速度プロファイル67~69が示されている。速度プロファイルの各矢印は、境界装置に対する増分流体要素の速度ベクトルを示し、ここで、増分流体要素は、矢印の付け根に位置している。速度プロファイル67の矢印の先端を接続する線は、連続的な速度分布を示している。
【0105】
境界装置61は、周囲の流体に対して移動している。自由流の流速は空間的に均一で、時間的に一定である。図5では、境界装置61に対する自由流の流体の流れは、BAFのx軸に平行に、反対方向に、すなわち図の上部から下部に向けられている。境界装置61のはるか上流では、増分流体要素の速度は自由流の流速にほぼ等しい。したがって、速度プロファイル67は均一であり、大きさと方向は自由流の流速に等しい。
【0106】
速度プロファイル68は、境界装置61の近くの速度分布を記述する。この実施形態では、境界装置61の表面にはノースリップ状態がある。他の実施形態では、外側表面62に沿って非ゼロのスリップ速度があり得る。粘性効果により、BAFのy軸の方向に結果として生じる速度勾配は、境界装置61に作用するせん断応力を生じさせ、次にそれが粘性抗力を生じさせる。粘性抗力はBAFのx軸に平行で、負のx方向に向けられる。
【0107】
流線66は、境界装置61に関連付けられた境界層のおおよその厚さを記述する。境界装置61は円筒対称であるため、流線66は流管66とも呼ばれる場合がある。
【0108】
速度プロファイル69は、境界装置61の遠方後流における速度分布を記述する。速度プロファイル69の流管66内の速度の減少は、境界装置61に作用する粘性抗力によって引き起こされる遠方後流の運動量不足を示している。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、境界装置を囲む流れ場は、少なくとも1つの動作条件について、複合装置の粘性抗力がベースライン境界装置よりも低くなるように、流体操作装置によって変更される。
【0110】
ベースライン境界装置は、複合装置の境界装置と同じ形状を有する必要はない。ベースライン境界装置は、図5に図示された境界装置61などの従来技術で使用される従来の装置である。例えば、ベースライン境界装置は、従来の管状の航空機胴体の形状を有することができる。
【0111】
スリップ速度は、境界装置の表面での、および境界装置の表面に対する流体の速度である。粘性のある流体では、流体が非粘性である理論的なシナリオで計算されたスリップ速度と比較して、スリップ速度の大きさは通常小さい。これらの2つの速度の差は、「速度不足」と呼ばれる。粘性効果により、境界装置の表面での速度不足は、局所的な自由流の流速に垂直な方向に流体を通って伝播する。その結果、無視できない量の流体が速度不足の影響を受ける。この速度不足の影響を受ける流体の流れの領域は、境界層と呼ばれる。この領域の厚さは、境界層の厚さと呼ばれる。境界層の厚さは、流体が非粘性である理論的シナリオであるセテリスパリバスで計算された速度の大きさの1%を超える速度不足が存在する領域として定義できる。速度不足は運動量不足に変換され、これにより、境界装置に作用する粘性せん断応力と粘性抗力が生じる。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、流体の流れに対する流体の流れ操作装置の効果が数学的に除去される場合と比較して、複合装置の湿潤面積の少なくとも一部について局所的な自由流の流速が減少する。流体操作装置は、ベースライン境界装置と比較した流体操作装置の追加の湿潤面積による複合装置の電力消費の増加が、ベースライン境界装置と比較して境界装置に作用する抗力により境界装置によって消費される電力の減少よりも大きさで小さいように構成される。境界装置によって消費される電力の減少の一部は、境界装置の局所的な自由流の流速の減少から生じ得る。代替的にまたは同時に、流体操作装置は、境界装置の境界層の少なくとも一部における乱流とは対照的に層流に有利になるように構成され得る。消費される電力の減少の別の部分は、ベースライン境界装置と比較した境界装置の形状の変化から生じ得る。流体操作装置は、流れの一部の剥離による圧力抗力の増加を招くことなく、境界装置の湿潤面積を減少させることができるように、流れを操作することができる。境界装置によって囲まれる所定の体積の場合、最小の湿潤面積を備えた境界装置の形状は球体である。しかしながら、球体は、球体の下流での流れのよどみにより大きな圧力抗力を引き起こす。失速していなくても、球体は、湿潤面積での平均平方の局所的な自由流の流速が大きいことのほか、境界層効果によっても、粘性抗力が大きくなることもある。これらの理由のため、製造の容易さのような他の理由の中でも、ほとんどの胴体は、チューブまたは涙滴の形状に類似した細長い形状を有している。流体操作装置は、境界装置の湿潤面積を低減することができ、同時にベースライン境界装置と比較して平均平方の局所的な自由流の流速も低減できるように、流れを変更することができる。
【0113】
流れ場の変更はいくつかの形をとることができ、変更の各形は、流体操作装置のいくつかの異なる実施形態によって実行することができる。
【0114】
図7は、周囲の流体に対して移動する境界装置95を含むIFMA構成を示している。境界装置95は、リーディング点98およびトレーリング点99を有する。リーディングおよびトレーリング点は、翼またはエーロフォイルのリーディングエッジまたはトレーリングエッジなどのエッジにすることもできる。翼の場合、リーディングエッジおよびトレーリングエッジは、指定された流れ条件のリーディングおよびトレーリングのよどみ線と見なすことができる。この実施形態では、境界装置は、閉じた外側表面96および内側表面97を備えた薄いシェルとして説明できる剛体である。この実施形態では、境界装置95の形状は、回転形状であり、すなわち、それは、リーディング点98およびトレーリング点99を通過する軸に関して軸対称である。
【0115】
境界装置95は、船の船体、または航空機の胴体であり得る。他の実施形態では、境界装置95は異なる幾何学的形状を有することができる。例えば、境界装置の形状は、図5に示される境界装置61の形状に類似することができる。いずれか任意の用途に適した幾何学的形状を見つけることができる。境界装置は、さまざまな既存の方法および材料を使用して製造することができる。
【0116】
次のように、「境界装置フレーム」または「BAF」を定義できる。原点は、境界装置95の外側表面96によって囲まれた体積の幾何学的重心に位置している。x軸は、リーディング点98とトレーリング点99を接続する直線と一致し、リーディング点98に向けられている。指定しない限り、z軸は図のページで垂直を指している。
【0117】
3つの速度プロファイル101~103が示されている。速度プロファイルの各矢印は、境界装置に対する増分流体要素の速度ベクトルを示し、ここで、増分流体要素は、境界装置に対して速度が測定された時点で矢印の付け根に配置される。速度プロファイルの矢印の先端を接続する線は、連続的な速度分布を示している。
【0118】
境界装置95は、周囲の流体に対して移動している。示されている単純化されたシナリオでは、自由流の流速は空間的に均一で、時間的に一定である。図7では、境界装置95に対する自由流の流体の流れは、BAFのx軸に平行に、反対方向に、すなわち図の上部から下部に向けられている。境界装置95のはるか上流では、増分流体要素の速度は自由流の流速にほぼ等しい。したがって、速度プロファイル101の速度は、空間で均一であり、時間で一定であり、大きさと方向は境界装置に対する自由流の流速に等しい。
【0119】
速度プロファイル102は、境界装置95の近くにおける速度分布を記述する。この実施形態では、境界装置95の外側表面96にはノースリップ状態がある。他の実施形態では、外側表面96に沿って非ゼロのスリップ速度があり得る。
【0120】
流線100は、x方向に沿って見たときに円形の断面を有する、流管の境界を記述する。図7の点線は、自由流の流れと上流IMSA104のローターディスクを通して流れる流れとの間のおおよその境界100を概略的に示す。境界上にある線は流線と描写でき、境界に囲まれた体積は流管と描写できる。図7に示されている境界は、特定の動作条件の例にすぎないことに留意していただきたい。境界の形状は、図示されたIMSAの他の動作条件または動作モードによって大きく異なる場合がある。
【0121】
速度プロファイル103は、境界装置95の遠方後流における速度分布を記述する。簡略化された、理想的なシナリオでは、速度プロファイル103は、図7に示されるように、速度プロファイル101と実質的に等しい。他の実施形態では、こうである必要はない。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、境界装置95などの境界装置には、意図的な流体操作装置が設けられる。図7に示されるIFMA構成では、この意図的な流体操作装置は、プロペラとして分類できる上流IMSA104、およびこの場合プロペラとしても記述できる、下流IMSA110を備えるIMSAアセンブリとして説明できる。この場合、下流IMSA110は、上流IMSA104の流管100に配置される。他の実施形態では、こうである必要はない。例えば、下流IMSA110は、他の実施形態では、上流IMSA104の流管100の外側に伸びることができる。そのような構成は、下流IMSA110もIMSAアセンブリの正味推力に積極的に寄与するために使用されているシナリオで有用となり得る。
【0123】
プロペラ104などのプロペラ、または上流IMSA104の断面図は、第1のプロペラブレード105および第2のプロペラブレード106を示す。第1のプロペラブレード105のリーディングエッジ109および第2のプロペラブレード106のトレーリングエッジ108も見える。プロペラを含むすべての図では、同様の構成が示される。プロペラブレードは、ローターハブ107によって構造的に支持されている。
【0124】
下流IMSA110は、上流IMSA104と同様の方法で構成され、したがって、同じ詳細では説明されない。上流IMSA104および下流IMSA110は、接続装置を介して境界装置95にしっかりと接続されている。明確にするために、この装置は図7には示されていない。
【0125】
他の実施形態では、IMSA104または110は、図示されたオープンロータータイプ以外のタイプのものとすることができる。例えば、IMSAは、いくつかのオープンローターを含むことができ、または少なくとも1つのダクト付きファン、または一対の同軸逆回転プロペラを含むことができる。IMSAは、サイクロジャイロまたは異なるタイプのIMSAにすることもできる。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、境界装置の表面に垂直な方向に、流速の平均空間勾配が人為的および意図的に低減する方法で流体操作装置によって、境界装置の近くの流れ場が意図的に変更される。せん断応力は、ニュートン流体の流速の勾配に比例する。したがって、境界装置に作用する粘性せん断応力は、従来技術の実施形態と比較して低い。いくつかの実施形態では、従来技術の代表的な境界装置と比較して、境界装置によって消費される粘性力の減少は、意図的な流体操作装置の追加の粘性電力消費よりも大きい。したがって、粘性電力消費の正味の低減は、ある範囲の動作条件に対するいくつかの実施形態によって達成することができる。意図的な流体操作装置と境界装置の最適な構成は、用途と制約により異なり、多くのさまざまな方法を使用して見つけることができる。例えば、多くのそのような方法は、計算流体力学で周知である。
【0127】
図7に示される実施形態では、前述の流体操作装置は、上流IMSA104および下流IMSA110からなる。この流体操作装置は「IMSAアセンブリ」と呼ばれる。IMSAアセンブリは、境界装置95の表面の近くの流れの速度の空間分布を人為的および意図的に変更することにより、境界装置95の表面および表面に垂直な方向の流れ速度の平均空間勾配を低減する。
【0128】
いくつかの実施形態では、この変更は、フルスリップシナリオにおける境界装置95の外側表面96での流れの速度の大きさの減少を含む。「フルスリップシナリオ」とは、指定された表面に対して境界層効果またはノースリップ状態が存在しない理論的なシナリオである。この理論的シナリオでは、流体の流れに対する外側表面96の境界層効果または粘性抗力効果は、指定された表面に対して数学的に除去されている。前述の速度の減少は、局所的な自由流の流体の流れ、すなわちIMSAアセンブリがない場合の境界装置95の周りの流れに対して発生し、この場合、これはフルスリップシナリオについても計算される。IMSAアセンブリが流体の流れに影響を与えないと想定されるシナリオは、「参照シナリオ」と呼ばれる。参照シナリオのプロパティは、比較されているシナリオによって決定されることに留意していただきたい。例えば、特定の参照シナリオをフルスリップまたはノースリップ状態のどちらで検討するかは、文脈から明確にする必要がある。速度の減少は、BAFの正のx方向に向けられている境界装置95の表面での上流IMSA104および下流IMSA110の組み合わされた誘導速度の結果である。フルスリップシナリオにおける境界装置95の外側表面96での流れの速度の大きさのこの減少は、参照シナリオと比較して外側表面96でのレイノルズ数を減少させることができる。レイノルズ数のこの減少は、ノースリップシナリオで、境界層の厚さを増やし、外側表面96で外側表面96に垂直な方向の流速の平均空間勾配を減らすことができる。したがって、外側表面96の平均粘性せん断応力および粘性抗力損失を低減することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、外側表面96での速度は、大きさは減少するものの、外側表面96でのフルスリップシナリオで負のx方向に非ゼロ成分を依然として有する可能性がある。言い換えれば、フルスリップシナリオにおける外側表面96での流体要素の速度の一般的な方向は、フルスリップ条件を伴う前述の参照シナリオと比較して大きく変化しない可能性がある。
【0130】
図示の例では、境界装置95の外側表面96での流体の流れの大きさは、フルスリップシナリオでは実質的にゼロになる程度まで人為的に低減されている。フルスリップシナリオで所定の表面での流体の流速の大きさがゼロの場合、ノースリップシナリオはフルスリップシナリオであるセテリスパリバスと等しくなる。このシナリオでは、外側表面96の粘性抗力はゼロになる。流管100は、そのような理想化され、単純化されたシナリオにおける境界装置95の人工境界層であると見なすことができる。IMSAアセンブリに対する粘性抗力の影響も検討する場合、このような構成は最適ではない、すなわち、全粘性抗力を最小化しない可能性があることに留意していただきたい。
【0131】
速度プロファイル102に示されるように、外側表面96に垂直な方向の流体の流速の大きさの勾配も、示された位置で実質的にゼロである。いくつかの実施形態では、この勾配は平均でゼロより大きくすることができ、ここで、平均は外側表面96全体にわたって計算される。それにもかかわらず、この平均勾配は、ノースリップ状態を伴う参照シナリオと比較して小さくすることができる。
【0132】
他の実施形態では、境界装置95の近くで流管100内の流体の流れの異なる空間変動または空間分布があり得る。例えば、流れの再循環があり得る。言い換えれば、境界装置95の外側表面96に隣接する流体の流速は、外側表面96の全部または一部について、フルスリップシナリオで正のx方向に非ゼロ成分を有する可能性がある。この場合、閉じ込められた渦輪、すなわち循環流の輪は、境界装置95の全部または一部を取り囲む。対称性により、この渦輪の中心軸はBAFのx方向と整合、および一致しており、BAFのyz平面に平行な平面にある。このような渦輪は、IMSAアセンブリによって所定の位置に保持され、周囲の流れによって再活性化される。
【0133】
いくつかの実施形態では、境界装置95の近くの流管100内の流速の空間分布も故意に変更される。図7に示される実施形態では、誘導速度の空間分布は、流管100内の流体の流速の大きさの実質的な線形の変動を生成するように構成される。示されるように、流管100内の流体の流速の大きさは、正のy方向に実質的に線形に増加する。他の実施形態では、流管100内の流速の大きさは、正のy方向に増加する速度で増大する。そのような構成は、境界層の厚さが流れ方向、すなわちBAFの負のx方向に成長している場合でも、外側表面96の境界層のレイノルズ数を人為的に低く保つのに役立ち得る。速度の大きさの緩やかな勾配はまた、流管100内の摩擦加熱および乱流効果を最小限に抑えることができ、したがって抗力損失を減らすか、境界装置95に関連付けられた正味の電力消費を減らすことができる。流管100が境界装置95の人工境界層であると見なされる類推では、人工境界層が実質的に層状であり、そのままであることを確保するために、速度の大きさの緩やかな勾配が望ましい場合がある。さらに、流管100内の速度の大きさの漸進的な増加は、周囲の流れから流管100への運動量の伝達が最小になることを確保し、これにより、遠方後流、すなわち速度プロファイル103において流管100を囲む流れの運動量不足が生じ、境界装置95に関連付けられた粘性電力消費に寄与する。
【0134】
流管100内の流体の流速の大きさの最適な空間変動は、既存の方法を使用して見つけることができ、線形である必要はない。例えば、他の基準の中で、上流IMSA104によって流体の中に放出される全渦度の速度を低減することが望ましい場合がある。
【0135】
フルスリップシナリオでの外側表面96における流体の流れの最適な大きさと方向のほか、外側表面96での流速の勾配の大きさと符号も、所定の流れ条件または既存の方法を使用する所定の用途に最適化することができる。流管100内の流体の流速の最適な分布も、同じ方法を使用して最適化することができる。このような最適化の目的は、境界装置およびIMSAアセンブリの全消費電力の最小化にすることができる。
【0136】
境界装置95の近くの前述の速度分布は、速度プロファイル102によって提供されるスナップショットによって例示される。この速度分布は、フルスリップまたはノースリップ状態の参照シナリオの速度分布とは大きく異なる。いくつかの実施形態によれば、この差は、意図的な流体操作装置によって提供される。図7に示される実施形態では、この流体操作装置はIMSAアセンブリによって具現化される。IMSAアセンブリは、特定の空間的に誘導された流れ分布を流体に与えることにより、流体を操作する。この誘導された流れは、フルスリップ状態の参照シナリオでの流体の流れに重畳されたと見なすことができる。言い換えれば、この参照シナリオからの流れを望ましい流速分布に変更するために必要な誘導された流れ分布を計算し、この望ましい誘導された流れ分布が達成される方法でIMSAアセンブリを構成することにより、望ましい流速分布を生成することができる。粘性抗力の範囲、すなわち、外側表面96に関連付けられた、境界層およびノースリップ状態の効果の範囲は、この重畳された流れ、すなわち誘導された流れと参照シナリオの流れの重畳によって決定または定義される。次に、この粘性効果は、前述の重畳された流れに重畳されると見なすことができる。次の段落で説明するように、IMSAアセンブリの前述の誘導速度分布の産出または生成を説明できる方法がいくつかある。
【0137】
境界装置95の近くでの誘導速度分布は、上流IMSA104との相互作用により流体要素が受ける運動量の変化率によって生成されると見なすことができる。いくつかの実施形態では、いくつかの流体要素は、上流IMSA104との相互作用全体で、運動量の負の平均変化率を受ける。この運動量の変化率は、前記流体要素が上流のIMSA104と相互作用した後、境界装置95の外側表面96の近くの流体要素の運動量の正味の減少をもたらし得る。この減少は、フルスリップ状態の参照シナリオに対して、つまり、IMSAアセンブリが流体と相互作用しない場合に対して発生する。言い換えれば、いくつかの実施形態では、上流IMSA104は、前述の孤立したシナリオにおける上流IMSA104の遠方後流における流体の流れの少なくとも一部の平均運動量を低減するように構成される。
【0138】
いくつかの実施形態では、遠方後流における流体の流れの平均運動量のこの減少は、少なくとも境界装置95の外側表面96と相互作用する流線、または外側表面96の近くを通過する流線に対して生じる。孤立したシナリオの自由流の流体の流れと比較したこの流体の流れの運動量のこの減少は、孤立したシナリオの自由流の流れによって定義されるように、上流方向に非ゼロ成分を有する遠方後流の誘導速度をもたらす。境界装置95の外側表面96は上流IMSA104の下流に位置しているため、境界装置95の外側表面96での、またはその近くの流れも上流誘導速度を受ける。前述のように、境界装置95の外側表面96での、またはその近くでのこの上流誘導速度の大きさおよび空間分布は、フルスリップ参照シナリオと比較してフルスリップシナリオの自由流の流れの大きさを低減するように構成することができ、したがって、境界装置95の平均抗力、または境界装置95と流体との相互作用に関連付けられた平均電力消費を低減する。
【0139】
前述の誘導速度分布は、リフティングライン理論の単純化されたフレームワークで、上流IMSA104のプロペラブレードによって後流に放出される自由渦によっても生成され得る。これは、ヘリコプターのローター、従来のプロペラブレード、または風力タービンブレードの渦放出に類似している。いくつかの実施形態では、下流IMSA110によって放出される渦も、速度プロファイル102の位置など、境界装置95の近くで誘導速度に寄与することに留意していただきたい。
【0140】
前述の誘導速度分布は、上流IMSA104のプロペラブレードに沿った適切な揚力または推力分布によって生成することもできる。上流IMSA104の誘導速度は、上流IMSA104の少なくとも一部について、上流方向、すなわちBAFの正のx方向に向けられるため、上流IMSA104の動作は、風力タービンの動作と類似している。言い換えれば、上流IMSA104の後流における誘導速度分布に対応して、第1のプロペラブレード105などの上流IMSA104のブレードの少なくとも一部が受ける推力は、推力ベクトル127で示されるように、BAFの負のx方向で非ゼロ成分を有する。
【0141】
上流IMSA104の少なくとも一部は、流体から有用な電力を抽出するように構成されている。この電力は、多くの方法で抽出できる。例えば、発電機は、上流IMSA104のプロペラブレードにしっかりと接続された駆動軸にしっかりと接続することができる。図7に示される実施形態では、駆動軸は、上流IMSA104のプロペラブレードの回転軸に平行であり得、BAFのx軸に平行であり得る。いくつかの実施形態において、上流IMSA104が従来のプロペラで構成される場合、前述の駆動軸は、ローターハブ、または従来のプロペラのプロペラシャフトであると見なされる。電気モーターは、プロペラブレードに直接接続された駆動軸に直接接続されているため、この構成は直接駆動構成として説明することもできる。
【0142】
いくつかの実施形態では、発電機と駆動軸との間に変速機または歯車列が存在してもよい。いくつかの実施形態では、プロペラと変速機と間にクラッチが存在してもよい。いくつかの実施形態では、変速機を再構成することができる。言い換えれば、ギア比を変更したり、ギアを変更したりできる。いくつかの実施形態では、駆動軸に取り付けられた機械式ディスクブレーキもあり得、ここで、ブレーキは、駆動軸を停止または回転を防止できるように構成される。駆動軸の回転により発電機によって生成された電気は、電気エネルギー貯蔵装置に格納することができる。そのような電気エネルギー貯蔵装置は、例えば、バッテリーまたはコンデンサであり得る。電気エネルギー貯蔵装置は、機械的要素も備えることができる。例えば、電気エネルギー貯蔵装置は、回転運動エネルギーの形で機械的にエネルギーを格納する、フライホイールの回転速度を加速または減速するように構成される、電気モーターまたは発電機を備えることができる。電動発電機は、タンク内の空気などのガスを圧縮および/または膨張させるように構成されたポンプに電力を供給することもできる。電気エネルギー貯蔵装置に格納されたエネルギーの少なくとも一部は、後の時点で抽出できることに留意していただきたい。そのようなエネルギー貯蔵装置または機構は非常に多く、利用可能である。
【0143】
電力は、第2のアクチュエータに直接伝達することもでき、ここで例えば、伝達は電気導体を介して発生する場合がある。いくつかの実施形態では、第2のアクチュエータは瞬時に電力を消費することができる。第2のアクチュエータは、境界装置95に関連付けられた装置または装置のアセンブリの任意のアクチュエータであり得る。例えば、第2のアクチュエータを使用して、下流IMSA110を作動させることができる。したがって、上流IMSA104によって流体から抽出された電力の一部は、下流IMSA110に伝達され得、ここで電力が流体に再挿入される。いくつかの実施形態では、第2のアクチュエータを使用して、図7に示されていない別個の装置または機構に電力を供給することもできる。
【0144】
上流IMSA104によって提供される電力も分割され、例えば、第2のアクチュエータ、第3のアクチュエータを駆動し、エネルギー貯蔵装置内に含まれるエネルギーを増加させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、上流IMSA104によって流体から抽出され、上流IMSA104のプロペラブレードにしっかりと接続された駆動軸に加えられる電力は、下流IMSA110に機械的に伝達される。この伝達は、いくつかの方法で促進できる。例えば、上流IMSA104のプロペラブレードにしっかりと取り付けられた駆動軸は、ここで当該駆動軸は「上流駆動軸」と示され、下流IMSA110のプロペラブレードにしっかりと接続された駆動軸にしっかりと接続することもでき、ここで、当該駆動軸は「下流駆動軸」と示される。言い換えれば、上流駆動軸は下流駆動軸と同一であり得る。そのような構成では、上流IMSA104および下流IMSA110のそれぞれ上流および下流ローターは同じ方向に回転している。他の実施形態では、上流駆動軸は、変速機、歯車列、または一連の歯車と二次または補助駆動軸を介して、下流駆動軸に電力を伝達することができる。いくつかの実施形態では、上流駆動軸と下流駆動軸との間の負荷経路に沿ってクラッチが存在していてもよい。いくつかの実施形態では、上流駆動軸と下流駆動軸との間の機械的接続のギア比または変速比を再構成することができる。言い換えれば、ギア比を変更したり、ギアを変更したりできる。
【0145】
いくつかの実施形態では、上流IMSA104および下流IMSA110のそれぞれ上流および下流ローターは、反対方向に回転している。このような構成により、IMSAアセンブリに関連付けられたあらゆる電力損失を減らすことができる。これは、下流IMSA110が上流IMSA104によって流れに与えられたいずれかの渦を相殺した結果である可能性がある。
【0146】
いくつかの実施形態では、流体に対する上流IMSA104または下流IMSA110のプロペラブレードの迎え角は、ローターハブ107などのローターハブのピッチ制御機構によって制御することができる。このピッチ制御機構および関連するピッチ自由度、または「DOF」は、電気モーターとディスクブレーキを備えることができる。ディスクブレーキの代替にまたは同時に、いくつかの実施形態は機械的ロックを備えることもでき、ここで、機械的ロックはプロペラブレードのピッチDOFをローターハブに対して所定のピッチ角だけロックするように構成できる。ピッチ制御機構は、従来のヘリコプターまたはプロペラの集合ピッチ機構に見られるような、油圧システムおよび機械的リンケージも伴うことができる。上流IMSA104または下流IMSA110のプロペラブレードのピッチ制御機構およびピッチDOFは、プロペラブレードがフェザリングされるように構成することもできる。プロペラブレードのピッチ角と回転速度を制御して、IMSAアセンブリの流体への影響を調節できる。これにより、IMSAアセンブリの性能を、さまざまな自由流の流速などのさまざまな流れ条件に対して最適化することができる。
【0147】
図7に示すIFMA構成では、下流IMSA110は、流体に対する上流IMSA104および境界装置95の効果のバランスをとる、相殺する、または打ち消すように構成される。このように、速度プロファイル103によって示されるように、遠方後流における流体流速分布は、速度プロファイル101によって示されるように、自由流の流体流速分布に実質的に等しい。名目巡航中、このプロセスで下流IMSA110によって消費される電力は、通常、上流IMSA104によって抽出される電力よりも大きい。
【0148】
下流IMSA110は、流体に運動量の正の変化率を与える、すなわち、流体を負のx方向に加速するように構成される。結果として、孤立したシナリオにおけるIMSA110の遠方後流でのIMSA110の誘導速度は、BAFの負のx方向に向けられる。遠方後流での下流IMSA110の誘導速度は、遠方後流での上流IMSA104の誘導速度を相殺すると見なすことができる。
【0149】
下流IMSA110の遠方後流における望ましい誘導速度分布は、リフティングライン理論の単純化されたフレームワークで下流IMSA110のプロペラブレードによって後流に放出される自由渦によって生成されると見なすこともできる。これは、ヘリコプターのローター、従来のプロペラブレードの渦放出に類似している。
【0150】
孤立したシナリオにおける下流IMSA110の前述の誘導速度分布は、下流IMSA110のプロペラブレードに沿った適切な揚力または推力分布によって生成されると見なすこともできる。下流IMSA110の誘導速度は、孤立したシナリオにおける下流IMSA110の少なくとも一部について、下流方向、すなわち、BAFの負のx方向に向けられるため、下流IMSA110の動作は、従来の固定翼航空機の従来のプロペラの動作に類似している。言い換えれば、孤立したシナリオでの下流IMSA110の後流における誘導速度分布に対応して、下流IMSA110のブレードの少なくとも一部が受ける推力は、推力ベクトル128によって示されるように、BAFの正のx方向に非ゼロ成分を有している。
【0151】
いくつかの実施形態では、図7の下流IMSA110などの指定された下流IMSAがないことに留意していただきたい。そのような実施形態では、上流IMSAによって抽出された電力は、代替の流体操作装置または方法を介して推力を提供するために格納または採用することができる。図7の上流IMSA104は、BAFの負のx方向に力を加えていることに留意していただきたい。巡航飛行中、この力は、BAFの一定の巡航速度を維持するために、適切な推力によって少なくとも相殺する必要がある。この推力は、多くのさまざまな方法で提供できる。図7では、この推力は下流IMSA110によって提供される。他の実施形態では、この推力は、異なる推力装置によって提供され得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、この推力は、上流IMSAのプロペラブレードの半径の増加によって提供され得る。そのような実施形態では、上流IMSAのプロペラブレードの長さは、図7に示される流管100の半径よりも大きい。この場合、上流IMSA104のプロペラブレードは、2つの異なる部分を有することができる。第1の部分は、第1の、内側流管内に位置するプロペラブレードの部分であり得、これは同様のサイズおよび構成であり得、図7に示される流管100と同様の目的を満たす。上流IMSAのプロペラブレードのこの第1の部分は、図7に示される上流IMSA104全体と同様の目的を満たすように構成することができる。そのような上流IMSAのプロペラブレードの残りの、第2の部分は、前述の必要な推力を生成するように構成することができる。この第2の部分の後流は、外側流管を形成し、内側流管を囲むまたは包囲する。上流IMSAのこの推力生成セグメントの誘導速度は、誘導電力消費を最小限に抑えるために、遠方後流で、外側流管全体で均一にすることができる。したがって、プロペラブレードの第1の部分によって抽出された電力は、プロペラブレードの第1の部分と第2の部分との間の剛性構造接続を介してプロペラブレードの第2の部分に直接かつ機械的に伝達される。内側流管内の流体のエネルギーの関連する損失の一部は、外側流管内の推力を生成し、流体のエネルギーを増加させるために使用される。前述のように、実施形態のこのクラスには指定された下流IMSAがないため、そのような構成は、内側流管内で後流に運動量不足を生じさせることに留意していただきたい。そのような構成は、遠方後流での不均一な速度分布をもたらし、したがって、遠方後流全体、すなわち内側流管と外側流管の両方にわたる速度分布が実質的に均一である構成よりも効率が悪い。しかしながら、そのような構成は、それでも粘性抗力に起因するエネルギー損失の一部の回復により、先行技術の実施形態に対して改善を提供することができる。
【0153】
他の実施形態では、内側流管内の前述の運動量不足は、下流IMSAを前述の構成に追加することにより除去される。
【0154】
他の実施形態では、下流IMSAは、流管100を超えて伸びることができる。例えば、下流IMSAのプロペラブレードの長さは、流管100の半径より大きくすることができる。このようにして、下流IMSAを生成する推力の誘導電力消費を減らすことができる。この構成では、下流IMSAの内側と外側の流管全体で均一な遠方後流の誘導速度分布を実現することができ、これは、誘導電力を最小限に抑えるために望ましいものである。
【0155】
さらに他の実施形態では、図7に示す実施形態と比較して、上流IMSAと下流IMSAの両方がローター先端伸張部を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、上流IMSAおよび下流IMSAのローター直径は実質的に同一である。他のそのような実施形態では、こうである必要はない。前と同様に、ローター先端伸張部は、内側流管を取り囲む外側流管を生じさせる。上流IMSAおよび下流IMSAのローターの内側部分は、図7および流管100の文脈で説明したのと同じ方法で構成することができる。ローターの外側部分は、プロファイル抗力および誘導抗力を含む、全消費電力を最小限に抑えながら、望ましい推力量を生成するように構成できる。例えば、上流IMSAおよび下流IMSAの外側部分、すなわち外側流管に関連付けられた部分は、逆回転同軸ローターと同様の方法で構成することができ、上流および下流IMSAの両方がBAFの正のx方向に推力を生成する。別の例では、上流IMSAの外側部分は、BAFの正のx方向に向けられ、上流および下流IMSAの外側部分に必要な望ましい推力よりも大きい大きさの推力を生成するように構成できる。したがって、下流IMSAの外側部分は、BAFの負のx方向に向けられた推力を生成するように構成することができる。そのような構成は、上流および下流IMSAの両方の推力ベクトルがBAFの正のx方向に向けられている構成と比較して、上流および下流IMSAの外側部分に関連付けられた誘導電力消費を削減できる。
【0156】
いくつかの実施形態では、上流IMSA104などの単一の上流プロペラ、および下流IMSA110などの単一の下流プロペラが存在し得る。境界装置95の近くの流管100内にいくつかのプロペラを配置することができる。流管100内で望ましい速度分布を維持するために、流管100内でいくつかのプロペラを使用することが望ましい場合がある。例えば、従来の民間輸送機の胴体など、テーパー状の端部を備えた円筒形の境界装置を検討してみよう。この場合、胴体の長さに沿っていくつかのローターまたはプロペラを配置すると便利で望ましい場合がある。例えば、プロペラは、第3のIMCA81などのダクトが図6に配置されるように示されているBAFのx軸に沿った同じ位置に配置することができる。プロペラは、胴体の直径が変化しないように胴体に取り付けることができ、つまり、胴体はプロペラハブ内に配置されるか、プロペラハブの中心を通過する。胴体の円形形状は、胴体の周りを回転するローターの助けになる。ローターハブは、胴体の周りを回転できる剛性リングを形成できる。図7に示すように、この場合、回転軸は円筒形胴体の縦軸に平行である。いくつかのプロペラブレードをローターハブに取り付けて、目的の流体の流れの操作を実行できる。電気モーターは、ローターが「上流」または「下流」の位置または構成にあるかどうかに応じて、ローターハブに電力を供給できるほか、胴体に対するローターハブの回転から電力を抽出することもできる。このような構成では、少なくとも理論的には、胴体が無限に長くなり、流管100内の流れ場は、名目定速巡航中に平均的に一定のままであり、ここで、平均は、胴体の長さに沿って均一間隔に配置されたプロペラ間の1つの分離距離にわたるBAFのx軸に沿って計算される。
【0157】
各ローターブレードの長さは、胴体の直径の何分の1かになる場合がある。ローターブレードの長さは、ノースリップ参照シナリオで、流れのその特定の位置で境界層の厚さ程度になる場合がある。いくつかの実施形態では、ノースリップ参照シナリオにおける、ローターブレードの長さと胴体などの境界装置の外側表面に沿った境界層の最大厚さとの比は2未満である。いくつかの実施形態では、この比は5未満である。いくつかの実施形態では、この比は10未満である。いくつかの実施形態では、この比は100未満である。
【0158】
図6は、別のIFMA構成の断面図を示している。図6に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、図7に示される装置と類似性を共有しているので、図6の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0159】
図6は、周囲の流体に対して移動する境界装置70を示している。境界装置70は、リーディング点73およびトレーリング点74を有する。リーディングおよびトレーリング点は、翼またはエーロフォイルのリーディングエッジまたはトレーリングエッジなどのエッジにすることもできる。翼の場合、リーディングエッジおよびトレーリングエッジは、指定された流れ条件のリーディングおよびトレーリングのよどみ線と見なすことができる。この実施形態では、境界装置は、閉じた外側表面71および内側表面72を備えた薄いシェルとして説明できる剛体である。この実施形態では、境界装置70の形状は、回転形状であり、すなわち、それは、リーディング点73およびトレーリング点74を通過する軸に関して軸対称である。
【0160】
境界装置70は、船の船体、または航空機の胴体であり得る。他の実施形態では、境界装置70は、異なる幾何学的形状を有し得る。例えば、境界装置の形状は、図5に示される境界装置61の形状に類似することができる。いずれか任意の用途に適した幾何学的形状を見つけることができる。境界装置は、さまざまな既存の方法および材料を使用して製造することができる。
【0161】
次のように、「境界装置フレーム」または「BAF」を定義できる。原点は、境界装置70の外側表面71によって囲まれた体積の幾何学的重心に位置している。x軸は、リーディング点73とトレーリング点74を接続する直線と一致し、リーディング点73に向けられている。指定しない限り、z軸は図のページで垂直を指している。
【0162】
3つの速度プロファイル76~78が示されている。速度プロファイルの各矢印は、境界装置に対する増分流体要素の速度ベクトルを示し、ここで、増分流体要素は、境界装置に対して速度が測定された時点で矢印の付け根に配置される。速度プロファイルの矢印の先端を接続する線は、連続的な速度分布を示している。
【0163】
境界装置70は、周囲の流体に対して移動している。示されている単純化されたシナリオでは、自由流の流速は空間的に均一で、時間的に一定である。図6では、境界装置70に対する自由流の流体の流れは、BAFのx軸に平行に、反対方向に、すなわち図の上部から下部に向けられている。境界装置70のはるか上流では、増分流体要素の速度は自由流の流速にほぼ等しい。したがって、速度プロファイル76の速度は、空間で均一であり、時間で一定であり、大きさと方向は境界装置に対する自由流の流速に等しい。
【0164】
速度プロファイル77は、境界装置70の近くのにおける速度分布を記述する。この実施形態では、境界装置70の外側表面71にはノースリップ状態がある。他の実施形態では、外側表面71に沿って非ゼロのスリップ速度があり得る。速度プロファイル77は、図7に示される速度プロファイル102に類似している。したがって、この速度プロファイルの特徴、およびその代替実施形態は、図6の文脈で同じ詳細では説明されない。
【0165】
速度プロファイル78は、境界装置70の遠方後流における速度分布を記述する。簡略化された、理想的なシナリオでは、速度プロファイル78は、図6に示されるように、速度プロファイル76と実質的に等しい。IMCAアセンブリに関連付けられた抗力による運動量不足があり、これは、例えば、圧力抗力または粘性抗力から生じる可能性があることに留意していただきたい。他の実施形態では、境界装置70に関連付けられた抗力による運動量不足もあり得る。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、境界装置70などの境界装置には、意図的な流体操作装置が設けられる。図6に示す実施形態では、この意図的な流体操作装置は、第1のIMCA79、第2のIMCA80、第3のIMCA81、および第4のIMCA82を備えるEV1CAアセンブリとして説明することができる。この実施形態では4つのIMCAが示されているが、より多くのまたはより少ないものを使用することができる。
【0167】
第1のIMCA79などの各IMCAは、円形ダクトとして説明できる。図6に示される実施形態では、各ダクトは、半径方向外向きの方向の成分を備えた揚力を生成するように構成される。各円形ダクトの中心軸は、BAFのx軸と一致し、x軸の方向に向けられている。大まかな近似では、流体の流れに対するダクトの効果は、リフティングライン理論の渦ループによって生じると見なすことができる。この単純化されたモデルでは、各IMCAの各渦ループはyz平面に平行な平面内にある。各渦ループの循環は、正のx方向に沿って見たときに、各ループの周りを時計回りの方向に向けられる。各IMCAは、第1のIMCA79のリーディングエッジ83などのリーディングエッジ、および第3のIMCA81のトレーリングエッジ89などのトレーリングエッジを有している。
【0168】
流線75は、x方向に沿って見たときに円形の断面を有する、流管の境界を記述する。図6の点線の流線75は、第1のIMCA79のよどみ流線のおおよその位置、すなわち、第1のIMCA79のリーディングエッジよどみ線に入射する流線を概略的に示している。そのようなすべての流線によって囲まれた体積は、流管として説明できる。
【0169】
図6に示される流管75は、特定の動作条件、およびIMCAアセンブリの特定の構成の例にすぎないことに留意していただきたい。他の動作条件、例えば、異なる自由流の速度の大きさに対して、流管75の形状は異なっていてもよい。例えば、流管75は、第2のIMCA80のリーディングエッジよどみ線にも入射するのではなく、第2のIMCA80の内部領域内を通過することができる。流れの剥離および関連する圧力抗力の増加を回避するために、IMCAが上流IMCAの後流内、つまり上流IMCAのよどみ流線に沿って、またはその近くに配置されないことが望ましい場合がある。しかしながら、これにより、IMCAアセンブリに関連付けられた粘性スキン摩擦抗力損失が増加する可能性がある。
【0170】
IMCAアセンブリの各IMCAは、接続装置を介して境界装置70にしっかりと接続されている。明確にするために、この装置は図6には示されていない。
【0171】
他の実施形態では、IMCA79などのIMCAは、いくつかのダクトを備えることができる。このような構成では、IMCAは図6に示す単一要素のエーロフォイルとは対照的に、複数要素のエーロフォイルとして説明できる。例えば、IMCAは4つの要素のエーロフォイルで構成でき、各セクションは個別のダクトを効果的に形成する。このような構成により、IMCAの最大揚力係数を増やすことができる。
【0172】
流体の流れに対するIMCAアセンブリの効果は、IMCAアセンブリの近くに局所的に誘導された速度分布の作成である。一般に、IMCAアセンブリ内、つまりIMCAアセンブリの中心軸の近くの誘導速度は、BAFの正のx方向に非ゼロ成分を有する。誘導速度の望ましい分布は、第1のIMCA79および第2のIMCA80などのIMCAを流体の流れ内の適切な位置に配置し、適切な循環強度、または単位円周あたりの適切な揚力を選択することで実現できる。
【0173】
いくつかの実施形態によれば、IMCAアセンブリは、フルスリップシナリオにおける境界装置70の外側表面71での流速の大きさが、フルスリップ参照シナリオと比較して低減されるように構成される。この減少により、ノースリップシナリオで、外側表面71でのスキン摩擦抗力が低くなり得る。この減少は、例えば、外側表面71での有効な自由流の流れの減少、外側表面71での層流の確立または維持、または外側表面71での流れのレイノルズ数の減少から生じ得る。いくつかの動作条件では、境界装置71に関連付けられた抗力のこの減少は、IMCAアセンブリの追加抗力よりも大きくなり得る。
【0174】
図8は、IFMA構成150の断面図である。IFMA構成150の質量中心は、慣性フレームの速度で移動しており、ここで、速度は大きさと、空間と時間の方向で一定である。速度はx軸と整合し、つまり、正のX方向に向けられる。
【0175】
上流IMSA151があり、この実施形態ではプロペラとして説明することができる。上流IMSA151の断面図は、第1のプロペラブレード152および第2のプロペラブレード154を示している。第1のプロペラブレード152のトレーリングエッジ153および第2のプロペラブレード154のリーディングエッジ155も見える。プロペラブレードは、ローターハブ156によって構造的に支持されている。IMSA151の推力は、推力ベクトル183で示される。ステーション179では、この実施形態の上流IMSA151により、運動量の正の変化率が流体に加えられる。
【0176】
下流IMSA166があり、この実施形態ではプロペラとして説明することができる。下流IMSA166の断面図は、第1のプロペラブレード167および第2のプロペラブレード169を示している。第1のプロペラブレード167のトレーリングエッジ168および第2のプロペラブレード169のリーディングエッジ170も見える。プロペラブレードは、ローターハブ171によって構造的に支持されている。IMSA166の推力は、推力ベクトル184で示される。ステーション181では、運動量の負の変化率が下流IMSA166によって流体に加えられる。IFMA構成150の下流では、IFMA構成150に対する流管176内の流れの方向は矢印185によって示されている。
【0177】
中間IMSA161も示されている。この実施形態では、中間IMSA161は翼として説明することができる。簡単にするために、翼161は直線翼である。翼は、例えば、胴体にしっかりと取り付けることができる。明確にするために、胴体は示されていない。中間IMSA161は、従来の固定翼航空機の固定翼と同様の方法で構成することができる。中間IMSA161は、正のY方向および負のX方向に向けられた揚力を生成した。流管176内の流れの方向の関連する偏向は、例示目的のために誇張されていることに留意していただきたい。
【0178】
中間IMSA161は、外側表面162、トレーリングエッジ165、およびバルク材料164を含む。バルク材料164は、アルミニウムまたは鋼などの金属、あるいはガラス繊維または炭素繊維などの複合材料を含むことができる。上流IMSA151は、外側表面158を備えた中空接続ロッド157によって中間IMSA161にしっかりと取り付けられている。下流IMSA166は、外側表面173を備えた接続ロッド172によって中間IMSA161にしっかりと取り付けられている。
【0179】
他の実施形態では、接続ロッド157または接続ロッド172は、中間IMSA161または関連する中間支持装置に回転可能に接続される。いくつかの実施形態では、接続ロッド157または接続ロッド172は、それぞれハブ157またはハブ171に回転可能に接続される。回転接続により、構成をさまざまな動作条件に適合させることができる。回転接続は、巡航中または操縦中の中央IMSA161および胴体などの任意の関連装置のピッチ角の制御に寄与できる。
【0180】
この特定の実施形態では、上流推力ベクトル183の大きさは、下流推力ベクトル184の大きさより大きい。したがって、上流IMSA151および下流IMSA166は、正のX方向に非ゼロ成分を有する正味推力を生成する。したがって、この正味推力は、IFMA構成150に作用する任意の抗力の相殺に寄与する可能性がある。他の実施形態では、これらの推力ベクトルの大きさは実質的に同一であり得る。さらに他の実施形態では、上流推力ベクトル183の大きさは、下流推力ベクトル184の大きさよりも小さい。
【0181】
上流IMSA151は、中間IMSA161の局所的な自由流の流速を中間IMSA161の自由流の流速よりも大きい値に増加させるように構成される。下流IMSA166は、このプロセス全体で上流IMSA151によって流体に伝達された過剰推力および過剰エネルギーの少なくとも一部を回収するように構成される。中間IMSA161の誘導抗力は、同じ中間IMSA161が上流IMSA151および下流IMSA166なしで同じ量の揚力を生み出したベースラインシナリオと比較して低減することができる。
【0182】
その結果、ステーション180の平均流速の大きさは、ステーション178およびステーション182の平均流速よりも大きくなる。ステーション180の流管176は、ステーション182または178よりも小さい流れ方向断面積を有する。ステーション180と比較したステーション182での流管176の流れ方向断面積のこの増加は、アスペクト比または中間IMSA161のスパンを増加させると見なすことができる。
【0183】
図9は、図8に示されるIFMA構成150の正面図である。上流IMSA151と下流IMSA166の両方は、負のX方向で見たときに反時計回り方向に回転することができる。代替として、上流および下流IMSAが反対方向に回転している可能性がある。
【0184】
他の実施形態では、あるいは上流または下流IMSAは、いくつかの個別のプロペラを備えることができる。これらのプロペラは、流れ方向に互いにオフセットすることができる。上流または下流IMSAは、例えば、逆回転同軸プロペラを含むことができる。いくつかの実施形態では、あるいは上流または下流IMSAは、流管の幅に沿って分布するいくつかのプロペラを含むことができる。言い換えれば、プロペラは、流れ方向を横切る方向に互いにオフセットすることができる。
【0185】
上流IMSA151のプロペラブレードの先端がたどる経路は、破線186で示されている。下流IMSA166のプロペラブレードの先端がたどる経路は、図9の破線187で示されている。
【0186】
図10図11図12、および図13は、中間IMSA201を含む、IFMA構成200の斜視図、側面図、上面図、および背面図をそれぞれ示している。簡単にするために、中間IMSA201は、楕円形の翼幅方向の翼弦分布、一定のエーロフォイルの形状、およびねじれゼロの直線翼として構成できる。翼は、例えば、胴体にしっかりと取り付けることができる。明確にするために、胴体は示されていない。中間IMSA201は、中間IMSA161と同様の方法で構成でき、その逆も同様である。IMSA201は、航空機または船の翼またはハイドロプレーンと同様の方法で構成できる。中間IMSA201は、外側表面202およびトレーリングエッジ205を含む。
【0187】
IMCA206は、中間IMSA201の局所的な自由流の流れを増やすように構成されている。言い換えると、ステーション224での流速の大きさは、上流ステーション223または下流ステーション224での流速の大きさと比較して、IMCA206によって人為的に増加する。IMCA206はダクトと見なすことができる。
【0188】
IMCA206はIMSA201にしっかりと取り付けられている。IMCA206は、外側表面207およびトレーリングエッジ210を含む。この実施形態では、IMCA206は、図13に示されるように、流れ方向に見たとき、形状が長方形である。他の実施形態では、IMCA206は、楕円形または円形の形状であり得る。他の実施形態では、IMCAは、鏡面ベル形状を記述することができ、ここで、鏡面は翼のスパンと一致する。
【0189】
IMCA206は、リフティングライン理論のフレームワークで渦度をまったく放出しように構成できる。言い換えると、IMCA206に関連付けられた循環は、IMCA206のスパン方向の長さに沿って一定である。他の実施形態では、IMCA206は渦を放出することもできる。例えば、IMCA206は、IFMA構成200の正味揚力に寄与するように構成することができる。そのような実施形態では、IMCA206は、IMCAの遠方後流に放出されるIMCAの束縛渦度に加えられる一定のスパン方向の循環を備えた、従来の閉じた翼または環状翼であると考えることができる。言い換えれば、IMCAはIMCAとIMSAの重畳であると見なすことができる。いくつかの実施形態では、中間IMSA201は、閉じた翼として説明することもできる。
【0190】
IMCA206のスパンに沿ったIMCA206のねじれ角の変化は、流れ場に対するIMSA201の効果およびIMCA206の束縛渦度または循環の要件の結果である。
【0191】
いくつかの実施形態では、IFMA構成200は、IMCA206と同様の方法で構成されたいくつかの個々の閉じた翼を含むことができる。これらの個々のIMCAは、複数要素のエーロフォイルと同様に、流れ方向にオフセットできる。個々のIMCAは、局所的な流れ方向に垂直な方向にオフセットすることもできる。IMCAは別のIMCA内にあると見なすことができる。例えば、第1の円形IMCAは、第2の円形IMCAと同心円状に配置されていると見なすことができる。
【0192】
流線222は、IMCA206による流れの加速による、ステーション224でIMCA206によって囲まれた流管の断面積の減少を示している。この流管の断面積はステーション225でより大きく、これはIMSA201のより大きな有効スパンに対応する。
【0193】
図14は、図10に示されるIFMA200と同様の方法で構成される、IFMA構成240の断面図である。この実施形態では、ダクト241は、渦を後流に放出する。したがって、ダクト241はIMSA241とも呼ばれる。IMSA241はIMCAとIMSAの重畳であると見なすことができる。IMSA241は、中間IMSA247の局所的な自由流の速度を増やすように構成されている。
【0194】
この実施形態では、IMSA241は実質的に軸対称である。IMSA241は、外側表面242、内側表面243、バルク材料246、およびトレーリングエッジ244を含む。バルク材料246は、バルク材料164と同様の方法で構成することができる。中間IMSA247は、中間IMSA201と同様の方法で構成される。中間IMSA247は、外側表面248およびトレーリングエッジ250を含む。
【0195】
流管254は、IMSA241を取り囲む、つまり内部を通過するすべての流線を囲む。上流ステーション255での流管の断面積は、ステーション256での断面積よりも大きく、これは次に下流ステーション257での断面積よりも小さい。
【0196】
図15は、別のIFMA構成270の斜視図である。図15に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に図7に示される装置と類似性を共有しているので、図15の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0197】
IFMA構成270は、民間輸送、あるいはボーイング737またはエアバスA320などのジェット旅客機などの固定翼航空機として示されている。胴体293、左翼300および右翼299、舵を含む垂直尾翼301、ならびに完全に飛行する左水平安定板304および完全に飛行する右水平安定板が存在する。IFMA270の飛行方向は、名目レベルの巡航中、実質的に推力ベクトル292の方向である。名目レベルの巡航中の実施形態270に対する実施形態270を取り巻く空気の自由流の流れ方向は、矢印305で示されている。
【0198】
上流IMSA271があり、この実施形態ではダクト付きファンとして説明することができる。この実施形態のダクトは、ファン内に位置するファンディスクに遭遇する前に流れを減速するように構成される。いくつかの実施形態では、ファンディスクに関連付けられた波抗力損失は、この方法で回避または軽減することができる。上流IMSA271は、ダクト272およびファンディスクを含む。上流IMSA271は、推力ベクトル281によって示されるように、IFMA270に対する平均自由流の流れと同じ方向に向けられる力をIFMA構成270に加えるように構成される。上流IMSA271は、周囲の流体からエネルギーを抽出するように構成されている。IFMA270は、このエネルギーの少なくとも一部を下流IMSA282に伝達するように構成される。前述のように、この伝達は、上流IMSA271のファンディスクを下流IMSA282のファンディスクに接続する機械的駆動軸によって促進することができる。上流IMSA271のファンディスクは、例えば、直接、剛性の機械的接続を介して、下流IMSA282のファンディスクに電力を伝送することができる。上流IMSA271のファンディスクは、駆動軸および歯車列を介して下流IMSA282のファンディスクに電力を伝達することができる。前記駆動軸は胴体293を通過することができる。上流IMSA271のファンディスクは、発電機を介して下流IMSA282のファンディスクに電力を伝送でき、それは、電線または導体を介して電気モーターに電力を伝送し、ここで、電動モーターは下流IMSA282のファンディスクに電力を伝達する。上流IMSA271および下流IMSA282は胴体293にしっかりと取り付けられている。
【0199】
下流IMSA282は、いくつかの実施形態ではターボファンエンジンとして説明することができる。電力が上流IMSA271から下流IMSA282に電気的に伝達される場合、下流IMSA282は、ハイブリッド電気ターボファンエンジンとして説明することができる。他の実施形態では、下流IMSA282はターボジェットエンジンとして説明することができる。下流IMS282はダクト283を含む。下流IMSA282は、推力ベクトル292によって示されるように、IFMA構成270に対して平均自由流の流れと反対方向に向けられる力を実施形態270に加えるように構成される。この実施形態では、下流IMSA282の推力の大きさは、上流IMSA271の推力の大きさよりも大きい。したがって、下流IMSA282は、IFMA構成270の顕著な推力要件を満たすように構成される。他の実施形態では、少なくとも1つの別個の推進ユニットまたはエンジンを少なくとも1つの翼に取り付けることができる。そのような別個のエンジンは、例えば、従来のターボファンまたはハイブリッド電動ターボファンであり得る。
【0200】
上流IMSA271は、少なくとも胴体293の局所的な自由流の流れを人為的に減少させるように構成することができ、下流IMSA282は、胴体293の後流および近くの流速の減少の少なくとも一部を相殺するように構成される。
【0201】
いくつかの実施形態では、上流IMSA271は、胴体293の人工境界層を作成すると見なすことができ、ここで、境界層は、ダクト272の内部を通過する流管によってほぼ囲まれている。胴体293および人工境界層は、自然境界層によって包囲されていると見なすこともできることに留意していただきたい。上流IMSA271は、全体として胴体293、およびIFMA構成270の抗力が、上流IMSA271がないベースラインシナリオと比較して、つまり、胴体が自然境界層によってのみ包囲されているシナリオと比較して、低減される方法で、この人工境界層内、または胴体293の濡れた表面の近くで速度プロファイルを変更するように構成されている。抗力の減少は、例えば、粘性抗力の減少、および/または波抗力または圧縮性抗力の減少を含むことができる。抗力減少は、上流IMSA271、およびより少ない程度ではあるが下流IMSA282による胴体293に対する流体の流速の空間プロファイルの変更に関連付けられる。
【0202】
上流IMSA271による、胴体293の局所的な自由流の流体の流速の大きさの減少、胴体293の濡れた表面での、およびそれに対する流体の流速の減少のほか、胴体293の濡れた表面の近くのより好ましい速度プロファイルの生成も、粘性抗力の前記減少に寄与できる。より好ましい速度プロファイルは、例えば、ピーク空間流体の流速勾配の減少、またはIFMA構成270の近くの空間流体の流速勾配の空間平均の大きさの減少を含むことができる。
【0203】
波抗力の減少は、流体がIFMA構成270の周りを流れる際の流体の流れ方向のより緩やかな変化、またはIFMA構成270による流体のより緩やかな変位の結果であり得る。これは、上流IMSA271による流体の流れの減速およびIMSA282による流体の流れの加速によって促進される。したがって、IFMA構成270による流体の流れへの外乱の強度を低減することができ、これにより、IMFA構成270に関連付けられた波抗力を低減することができる。
【0204】
抗力の減少により、IFMA構成270の消費電力をベースラインシナリオと比較して低減したり、IFMA構成270を所定の消費電力の流体に対してより速く移動したりできる。これにより、IFMA構成270の範囲または最高速度を増やすことができる。
【0205】
図16は、別のIFMA構成315の斜位上面図である。図16に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に図3に示される装置と類似性を共有しているので、図16の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0206】
IFMA構成315は、クワッドローターヘリコプターまたはクワッドコプターとして説明することができる。実施形態315は、オクトローターまたはマルチトロッターとして説明することもできる。IFMA構成315は、IMSAアセンブリ316、339、362、および385などの4つのIMSAアセンブリを含む。各IMSAアセンブリは、IMSAアセンブリ362の上流IMSA365などの上流IMSA、およびIMSAアセンブリ362の下流IMSA375などの下流IMSAを含む。
【0207】
上流または下流の各IMSAは、プロペラとして説明できる。各プロペラは、下流IMSA375の第1のプロペラブレード377などの第1のプロペラブレード、および下流IMSA375の第2のプロペラブレード378などの第2のプロペラブレードを含むことができる。他の実施形態では、プロペラは、少なくとも1枚のブレード、またはただ1枚のブレードを含むことができる。他の実施形態では、プロペラは少なくとも3枚のブレードを含むことができる。プロペラハブ379または369などのプロペラハブは、各プロペラを駆動軸またはアクチュエータに接続する。
【0208】
IFMA構成315はホバーで示されている。IMSAアセンブリによって誘導される流れは、垂直に下向きの方向に向けられる、すなわち、推力ベクトル380と実質的に整合する。
【0209】
上流IMSA365などの上流IMSAは、推力ベクトル370または347によって示されるように、上方向に向けられるIFMA構成315に作用する推力を生成するように構成される。下流IMSA375などの下流IMSAは、推力ベクトル380または357によって示されるように、下方向に向けられる実施形態315に作用する推力を生成するように構成される。
【0210】
上流IMSAは、IMSAアセンブリがただ1つのIMSA、すなわち、上流IMSAのみを含むシナリオと比較して、それ自体に対して局所的な自由流の流速を増加するように構成される。対応する下流IMSAは、上流IMSAの後流の流体の流れのあらゆる過剰運動量を相殺するように構成される。名目ホバー中、4つのIMSAアセンブリすべてによって生成される正味推力の合計は、IFMA構成315の重量にほぼ等しいことに留意していただきたい。名目ホバー中、いずれか1つのIMSAアセンブリによって生成される正味推力は、4つのIMSAアセンブリの他のいずれかによって生成される正味推力に実質的に等しくなる。下流IMSAは、推力ベクトル380または357によって示されるように、上流IMSAを通る実施形態315に対して流体の流れの方向に実施形態315に作用する推力を生成するように構成される。下流IMSAの推力ベクトルの大きさは、名目ホバー中の対応する上流IMSAの推力ベクトルの大きさよりも小さい。
【0211】
IFMA構成315の各IMSAアセンブリは、ナセル340などのナセルも備え、それは、下流IMSAから上流IMSAへのエネルギーの伝達を促進するアクチュエータ、発電機、ギアボックス、または駆動軸を収容する。第1のIMSAアセンブリの下流IMSAも、第2のIMSAアセンブリの上流IMSAに電力を送信できることに留意していただきたい。
【0212】
図16に示す構成では、IMSAアセンブリの誘導電力消費は、流体に対する下流IMSAの影響が無視できる、同等のベースラインまたは参照構成の誘導電力消費よりも低く、すなわち、上流IMSAの推力は、正味推力要件にほぼ等しくなる。ベースライン構成では、IMSAアセンブリは上流IMSAのみを含むと見なすことができる。上述のように、いくつかの実施形態では、上流IMSAなどのIMSAがいくつかのプロペラまたは推力装置を含むことができることに留意していただきたい。この場合、ベースライン構成は従来のクワッドローターヘリコプターと同じである。
【0213】
各IMSAアセンブリは、ビームを介して胴体408にしっかりと接続されている。各ビームは、ビームフェアリング341などの空気力学的または流体力学的フェアリングで囲まれている。いくつかの実施形態では、ビームフェアリングは、ビームに回転可能に接続されている、すなわち、胴体408および対応するナセルに対して回転することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのビームフェアリングを採用して、名目レベルの巡航中に揚力を生成することができ、ここで、揚力は、従来の固定翼航空機の揚力と同様の方法で生成され、ここで、胴体の長軸はほぼ水平に、すなわち、慣性フレームの動きの方向に向けられており、ここで、少なくとも1つのIMSAアセンブリは、IFMA構成315に作用する抗力に対抗する正味推力を生成するように構成される。いくつかのIMSAのプロペラのピッチ角は、一部の実施形態では変更できることに留意していただきたい。巡航中に、いくつかのIMSAアセンブリのプロペラはフェザリングすることができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、上流IMSAは、電気モーターによって電力を供給され得る。いくつかの実施形態では、上流IMSAは、永久磁石を含むブラシレスDCモーターによって電力を供給され得る。いくつかの実施形態において、IMSAアセンブリは、AC誘導モーターにより電力を供給され得る。いくつかの実施形態では、上流IMSAの駆動軸は、対応する下流IMSAの駆動軸にしっかりと接続されている。いくつかの実施形態では、駆動軸に電力を供給するアクチュエータは、直接駆動構成で駆動軸にしっかりと接続される。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、クラッチまたは歯車列を介して駆動軸に接続される。電力は、例えば、バッテリー、内燃機関、またはターボシャフトエンジンによって提供され得る。1つまたは複数のIMSAアセンブリに電力を供給するアクチュエータは、胴体408内に配置することもできる。電力は、例えば、そのようなアクチュエータからIMSAアセンブリに機械的または電気的に伝達され得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、上流または下流のIMSAはいくつかのプロペラを含む。例えば、上流または下流IMSAは、少なくとも2つの逆回転または同方向回転の同軸プロペラを含むことができる。
【0216】
上流IMSAおよび対応する下流IMSAのプロペラは同位相である必要はなく、名目動作中に同じ角速度で回転する必要がないことに留意していただきたい。いくつかの実施形態では、上流IMSAと下流IMSAとの間の所定の分離距離に対して最適な位相角があり、ここで、最適性は、車両の動作コストの最小化、または車両の耐久性の最大化を指すことができる。
【0217】
図17は、別のIFMA構成425の斜位上面図である。図17に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に図3に示される装置と類似性を共有しているので、図17の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0218】
IFMA構成425は、従来のヘリコプターとして説明することができる。IFMA構成425は、窓449を備えた胴体448、およびテールローターアセンブリ451を含む。
【0219】
IFMA構成425は、名目ホバーで示されており、誘導された流れは、流れ方向456で示されるように、垂直に下向きの方向に向けられている。
【0220】
上流IMSA426は、第1のローターブレード427に関連付けられた推力ベクトル434または第2のローターブレード430に関連付けられた推力ベクトル435によって示されるように、上方向に向けられるIFMA構成425に作用する推力を生成するように構成される。第1のブレード427および第2のブレード430は、ローターハブ433を介して駆動軸に接続されている。駆動軸は、空力フェアリング436で囲むことができる。
【0221】
下流IMSA437は、第1のローターブレード438に関連付けられた推力ベクトル445または第2のローターブレード441に関連付けられた推力ベクトル446によって示されるように、下方向に向けられる実施形態425に作用する推力を生成するように構成される。第1のブレード438および第2のブレード441は、ローターハブ444を介して駆動軸に接続されている。駆動軸は、空力フェアリング447で囲むことができる。いくつかの実施形態では、上流IMSA426および下流IMSA437の駆動軸は同一である。他の実施形態では、上流IMSA426の駆動軸は、同軸構成で下流IMSA437の駆動軸の中心を通過する。他の実施形態では、胴体448は、上流IMSA426と下流IMSA437との間に位置する。
【0222】
IFMA構成425のメインローターシステムは、上流IMSA426および下流IMSA437を含むIMSAアセンブリとして説明することができる。図17に示すホバリング構成では、IMSAアセンブリの誘導電力消費は、流体に対する下流IMSAの影響が無視できる、同等のベースラインまたは参照構成の誘導電力消費よりも低く、すなわち、上流IMSAの推力は、正味推力要件にほぼ等しくなる。ベースライン構成では、IMSAアセンブリは上流IMSAのみを含むと見なすことができる。この場合、ベースライン構成は従来のヘリコプターと同じである。
【0223】
名目レベルの巡航におけるある範囲の動作条件中、下流IMSA437の少なくとも一部は、上流IMSA426の後流にもはや位置しない。この部分が十分に大きい場合、下流IMSA437はフェザリングすることができる。いくつかの実施形態では、下流IMSA437のフェザリングは、ローターブレードの角速度をゼロまで低減させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、下流IMSA437のローターブレードは折り畳まれている。例えば、ローターブレードは、名目レベルの巡航のために空力フェアリングに折り畳むことができる。他の実施形態では、名目レベルの巡航中に、下流IMSA437は、上流IMSA426の揚力ベクトルの推力に沿った正の成分を有する推力または揚力を生成するように構成することができる。その点で、下流IMSA437および上流IMSA426は、従来技術の同軸ヘリコプターのローターと同様の方法で動作または構成することができる。
【0224】
一部の実施形態の原理は、ティルトローターにも適用できることに留意していただきたい。例えば、ティルトローターの単一のローターは、2つのローター、すなわち、図17に示す、上流IMSA426および下流IMSA437と同様に、支持シャフトによって分離された2つのローターで置き換えることができる。このようにして、いくつかの実施形態の利点は、巡航飛行とホバリング飛行の両方で利用可能にすることができる。
【0225】
図18は、別のIFMA構成470の斜位側面面図である。図18に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に図3に示される装置と類似性を共有しているので、図18の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0226】
IFMA構成470は、風力タービンとして説明することができる。風向は矢印501で示されている。IFMA構成470は、水平ナセル495に回転可能に接続された垂直支持496を含み、ここで、回転軸は垂直軸に平行である。上流IMSA471および下流IMSA483は、ナセル495に回転可能に接続され、ここで、回転軸は同軸であり、水平軸に平行である。
【0227】
上流IMSA471は、この実施形態ではプロペラとして説明することができ、第1のブレード472、第2のブレード478、および第3のブレード475を備える。各ブレードは、ローターハブ481に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に実質的に平行である。風力タービンの性能を最適化するために、風の状態に応じて各ローターブレードのピッチ角を調整でき、ここで、性能とは、例えば、風から抽出した電力を指す場合がある。上流IMSA471は、流体の流れを加速する、すなわち下流IMSA483の位置で、慣性フレームに対する流体の速度の大きさを増加させるように構成される。上流IMSA471は、推力ベクトル482によって示されるように、上流方向に向けられた実施形態470に推力を及ぼす。
【0228】
下流IMSA483は、この実施形態ではプロペラとして説明することができ、第1のブレード484、第2のブレード490、および第3のブレード475を備える。各ブレードは、ローターハブ493に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に実質的に平行である。各ローターブレードのピッチ角を調整できる。下流IMSA483は、流体の流れを減速する、すなわち下流IMSA483の下流で、慣性フレームに対する流体の速度の大きさを減少させるように構成される。下流IMSA483は、推力ベクトル494で示されるように、下流方向に向けられたIFMA構成470に推力を及ぼす。流体から下流IMSA483によって抽出された電力の一部は、上流IMSA471に伝達され、この伝達された電力の一部は、上流IMSA471によって流体に適用される。前述のように、この電力は、例えば、機械的または電気的に伝達できる。
【0229】
IFMA構成470のローターシステムは、上流IMSA471および下流IMSA483を含むIMSAアセンブリとして説明することができる。図18に示す構成では、周囲の流体、例えば、風や水流の動きからIMSAアセンブリによって抽出される電力は、同等のベースラインまたは参照構成によって抽出される電力よりも大きく、流体での上流IMSAの影響は無視できる、すなわち、ベースライン構成の下流IMSAの推力は、図18に示されるIFMA構成470の正味推力に実質的に等しい。ベースライン構成では、IMSAアセンブリは下流IMSAのみを含むと見なすことができる。図示の構成では、ベースライン構成は従来の風力タービンと同じである。性能の改善は、特に低風速または流速で顕著である。
【0230】
図19は、別のIFMA構成515の側面図である。図19に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に図7に示される装置と類似性を共有しているので、図19の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0231】
IFMA構成515は、船体536、水面548の上に上部構造539、および水面の下に舵542を備えた船としても説明することができる。
【0232】
上流IMSA516は、少なくとも第1のプロペラブレード517および第2のプロペラブレード520を備えたプロペラとして説明することができる。各プロペラブレードはハブ523に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、船の動作条件に合わせて調整できる。上流IMSA516は、フェアリング525によって支持され、いくつかの実施形態では、ハブ523にしっかりと接続された駆動軸を取り囲んでいる。いくつかの実施形態では、ハブ523は、直接駆動構成で発電機に接続される。上流IMSA516は、流れを減速し、船体536の局所的な自由流の流れを減らすように構成される。したがって、上流IMSA516は、推力ベクトル524によって示されるように、船体536に対して流体の流れの方向に向けられる推力をIFMA構成515に及ぼす。
【0233】
下流IMSA526は、少なくとも第1のプロペラブレード533および第2のプロペラブレード530を備えたプロペラとして説明することができる。各プロペラブレードはハブに回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、船の動作条件に合わせて調整できる。下流IMSA526は、フェアリング535によって支持され、いくつかの実施形態では、前記ハブにしっかりと接続された駆動軸を取り囲んでいる。いくつかの実施形態では、ハブは、直接駆動構成で電気モーターに接続される。下流IMSA526は、流れを加速するように構成されている。したがって、下流IMSA526は、推力ベクトル534によって示されるように、船体536に対して流体の流れの反対方向に向けられる推力をIFMA構成515に及ぼす。
【0234】
上流IMSA516は、IFMA構成515の抗力を減らすことができる。抗力の減少は、船体536の粘性抗力の低減、および/または船体536の重力波抗力の低減を含むことができる。抗力の減少は、上流IMSA516による船体536に対する流体の流速の空間プロファイルの変更に関連付けられる。上流IMSA516による、船体536の局所的な自由流の流体の流速の大きさの減少、船体536の濡れた表面での、およびそれに対する流体の流速の減少のほか、船体536の濡れた表面の近くのより好ましい速度プロファイルの生成も、粘性抗力の前記減少に寄与できる。より好ましい速度プロファイルは、例えば、ピーク空間流体の流速勾配の減少、またはIFMA構成515の近くの空間流体の流速勾配の空間平均の大きさの減少を含むことができる。波抗力の減少は、流体がIFMA構成515の周りを流れる際の流体の流れ方向のより緩やかな変化、または上流IMSA516による流体の流れの減速およびIMSA526による流体の流れの加速の結果としてIFMA構成515による流体のより緩やかな変位の結果であり得る。したがって、IFMA構成515による流体の流れへの外乱の強度を低減することができる。いくつかの実施形態では、上流IMSA516は、例えば、従来の船体設計に見られる球状船首と同様の機能を実行するように構成することができる。
【0235】
図20は、別のIFMA構成560の側面図である。図20に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に図7に示される装置と類似性を共有しているので、図20の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0236】
IFMA構成560は、列車またはトラックとして説明することもでき、第1のワゴン561、第2のワゴン576、第3のワゴン577、第4のワゴン589、および第5のワゴン591を含む。各ワゴンは、道路またはレール605に対するワゴンの動きを促進する、車輪563などの車輪によって支持されている。各ワゴンは、接続566などの接続によって隣接するワゴンに接続される。ワゴンは、支持構造578などの支持構造によって車輪に回転可能に接続されている。
【0237】
上流IMSA567は、少なくとも第1のプロペラブレード568および第2のプロペラブレード571を備えたプロペラとして説明することができる。各プロペラブレードはハブ574に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、車両の動作条件に合わせて調整できる。上流IMSA567は、流れを減速し、残りの車両の局所的な自由流の流れを減らすように構成される。したがって、上流IMSA567は、推力ベクトル575によって示されるように、IFMA構成560に対して流体の流れの方向に向けられる推力をIFMA構成560に及ぼす。
【0238】
下流IMSA596は、プロペラとして説明できる。IFMA構成560では、実施形態560の製造コストを削減するために、第1のワゴン561を第5のワゴン591と同一にすることができる。第1のワゴン561は、第5のワゴン591とは異なる方法で動作することに留意していただきたい。下流IMSA596は、流れを加速するように構成されている。したがって、下流IMSA596は、推力ベクトル604によって示されるように、実施形態560に対して流体の流れの反対方向に向けられる推力をIFMA構成560に及ぼす。
【0239】
IFMA構成560の長さにより、実施形態560の長さに沿った上流IMSA574からの距離が増加するにつれて、上流IMSA574の抗力低減効果が減少する。これは、例えば、粘性効果による可能性がある。中間IMSA580は、IFMA構成560の外側表面の近くの理想的な速度プロファイルと比較して、実際の速度プロファイルに対するあらゆる歪みの影響を補正するように構成されている。中間IMSA580は、少なくとも第1のプロペラブレード581および第2のプロペラブレード584を備える。各プロペラブレードはハブ587に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、車両の動作条件に合わせて調整できる。中間IMSA580は、流れを減速し、残りの車両の局所的な自由流の流れを減らすように構成される。したがって、中間IMSA580は、推力ベクトル588によって示されるように、実施形態560に対して流体の流れの方向に向けられる推力をIFMA構成560に及ぼす。
【0240】
いくつかの実施形態では、中間IMSA580と下流IMSA596との間の車両の部分に作用する抗力および中間IMSA580に作用する推力または抗力の合計は、第3のワゴンと、中間IMSAがないシナリオ、すなわち第3のワゴンが第2のワゴン576と同様の方法で構成されるシナリオにおける実施形態の最後のワゴンとの間に作用する抗力よりも小さい。いくつかの実施形態では、いくつかの動作条件について、中間IMSA580などの専用の中間IMSAのない実施形態に作用する正味抗力は、IFMA構成560に作用する正味抗力よりも大きい。いくつかの実施形態は、中間IMSA580と同様の方法で構成された、いくつかの中間IMSAを含むことができることに留意していただきたい。ワゴン576などの複数のワゴンを、上流、中間、または下流のIMSAの間に配置できることに留意していただきたい。いくつかの実施形態では、隣接するワゴン間の接続は、道路またはレールのカーブまたは曲がり中にワゴンが互いに対して回転できるように構成された空力フェアリングを含む。
【0241】
上流IMSA567および中間IMSA580は、周囲の流体からエネルギーを抽出するように構成することができ、一方、下流IMSA596は、抽出したエネルギーの少なくとも一部を、IFMA構成560を囲む流体に適用するように構成することができる。IFMA構成560と同様の実施形態は、少なくとも1つの車輪にトルクを伝達することにより実施形態の推進に寄与するように構成された別個の牽引モーターを含むことができることに留意していただきたい。他の実施形態では、下流IMSA596により、実施形態の顕著な推力要件が提供される。
【0242】
図21は、別のIFMA構成620の側面図である。図21に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に図7および図20に示される装置と類似性を共有しているので、図21の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0243】
IFMA構成620は、列車またはトラックとして説明することもでき、第1のワゴン621、第2のワゴン632、第3のワゴン633、第4のワゴン634、第5のワゴン646、および第6のワゴン647を含む。各ワゴンは、道路またはレール657に対するワゴンの動きを促進する、車輪623などの車輪によって支持されている。各ワゴンは、接続626などの接続によって隣接するワゴンに接続される。ワゴンは、支持構造によって車輪に回転可能に接続されている。
【0244】
上流IMSA627は、少なくとも第1のプロペラブレードおよび第2のプロペラブレードを備えたプロペラを囲むダクト628を備える、ダクト付きファンとして説明することができる。各プロペラブレードはハブに回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、車両の動作条件に合わせて調整できる。上流IMSA627は、流れを減速し、残りの車両の局所的な自由流の流れを減らすように構成される。したがって、上流IMSA627は、推力ベクトル631によって示されるように、実施形態620に対して流体の流れの方向に向けられる推力を実施形態620に及ぼす。
【0245】
下流IMSA652は、ダクト付きファンとして説明できる。IFMA構成620では、実施形態620の製造コストを削減するために、第1のワゴン621は第6のワゴン647と同一である。第1のワゴン621は、第6のワゴン647とは異なる方法で動作することに留意していただきたい。下流IMSA652は、流れを加速するように構成されている。したがって、下流IMSA652は、推力ベクトル656によって示されるように、実施形態620に対して流体の流れの反対方向に向けられる推力を実施形態620に及ぼす。
【0246】
IFMA構成620は、実施形態560と同様に、1つの中間IMSAを含むことができる。IFMA構成620では、中間IMSAは、1つではなく2つのワゴン、すなわち第3のワゴン633および第4のワゴン634によって具体化される。これらのワゴンは両方とも、実施形態620の製造コストを削減するために、第6のワゴン647または第1のワゴン621と同一である。第3のワゴン633のダクト付きファン634は、この実施形態ではフェザリングされる。第4のワゴン634のダクト付きファン640は、図20の中間IMSA580と同様の方法で構成される。したがって、IMSA640は、推力ベクトル644によって示されるように、実施形態620に対して流体の流れの方向に向けられる推力を実施形態620に及ぼす。
【0247】
上流IMSAは、IFMA構成560または620の抗力を減らすことができる。抗力の減少は、ワゴンの粘性抗力の減少を含むことができる。抗力の減少は、上流IMSAによるIFMA構成560または620に対する、およびその近くの流体の流速の空間プロファイルの変更に関連付けられる。変更は、流体の流れの空間速度勾配の平均的な大きさの減少を指すことができる。上流および下流IMSAの構成は、例えば、構造的または財政的制限などの制約を受けるIFMA構成560または620の全電力消費を最小化する方法で数学的に最適化することができる。
【0248】
文脈から特定または明確にされていない限り、「または」という用語は、本書全体を通して「および/または」と同等である。本書に記載されている実施形態および方法は、本明細書に開示されている実施形態の原理を例示および例証することのみを意図している。実施形態は、示されていないいくつかの異なる方法で実行することができ、したがって、本書で説明するか、または図面に示す、例、配置、構成、または動作方法に限定されない。本明細書で提供される教示に基づいて、当業者は、明示的に図示または説明されていない多数の代替例、実施形態、配置、構成、または動作方法を考案できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図21