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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】衝突防止システムおよび衝突防止方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240326BHJP
   H04B 10/114 20130101ALI20240326BHJP
【FI】
G08G1/16 C
H04B10/114
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020055274
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021157351
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】318006365
【氏名又は名称】JRCモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉元 昭
(72)【発明者】
【氏名】誉田 環
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140529(JP,A)
【文献】特開2005-182268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H04B 10/00 - 10/90
H04J 14/00 - 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される光通信の送信装置と自動車に搭載される光通信の受信装置とを有し、
前記送信装置は、
当該の光は前記移動体から発光されている旨の情報が重畳されている光を発光する発光部を備え、
前記受信装置は、
前記光を受光する受光部と、
前記受光部が前記光を受光して取得した前記情報を出力する出力部と、を備え、
各々の受光可能範囲が相互に異なるように設定されて複数の前記受光部が前記自動車に配置されて搭載され、
前記複数の受光部のうちのいずれの受光部が前記光を受光したかによって前記送信装置を搭載した前記移動体が存在する位置を判定する、
ことを特徴とする衝突防止システム。
【請求項2】
記複数の受光部のうちの2つの受光部が前記光を受光した時間の差によって前記送信装置を搭載した前記移動体が存在する方向を推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の衝突防止システム。
【請求項3】
移動体に搭載される光通信の送信装置から、自動車に搭載される光通信の受信装置へと、当該の光は前記移動体から発光されている旨の情報を含む光信号を伝送し、
前記受信装置が、前記光信号を受信して前記情報を取得して出力
各々の受光可能範囲が相互に異なるように設定されて前記自動車に配置されて搭載された複数の受光部のうちのいずれの受光部が前記光を受光したかにより、前記送信装置を搭載した前記移動体が存在する位置を判定する、
ことを特徴とする衝突防止方法。
【請求項4】
前記複数の受光部のうちの2つの受光部が前記光を受光した時間の差により、前記送信装置を搭載した前記移動体が存在する方向を推定する、
ことを特徴とする請求項に記載の衝突防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衝突防止システムおよび衝突防止方法に関し、特に、光通信を用いて自転車などの存在を周囲の自動車に知らせて衝突を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車車間通信を利用した車両衝突回避制御装置に関する技術として、自車両の位置に関連する位置データと位置誤差データとから、自車両の現在及び将来の走行時空間内での存在確率を演算し、存在確率データを生成する存在確率データ生成手段と、前記自車両の位置データと存在確率データとを送信し、他車両の位置に関連する位置データと存在確率データとを受信する車々間通信手段と、前記自車両の位置データと存在確率データおよび他車両の位置データと存在確率データに基づいて、前記自車両と前記他車両との衝突確率及び衝突する時空間位置を演算する衝突確率演算手段と、前記衝突確率および衝突する時空間位置に応じて自車両に回避を指示する回避指示送出手段と、を有し、前記衝突確率は、自車両および他車両の存在確率の積とする、仕組みが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3501009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、衝突の防止という視点では、自動車同士の衝突だけでなく、例えば自転車、車椅子、およびベビーカーなどの種々の移動体と自動車との衝突を防止することも重要である。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、電波による通信を利用して自動車同士の衝突を回避するようにしているところ、そのための無線設備の構成が複雑であり、比較的大型であるとともに相応の重量があり、また、消費電力が大きくそのための電源が確保しにくいなどの理由から、自動車のような大型の交通手段ではない、例えば自転車、車椅子、或いはベビーカーなどへの適用は困難である、という問題がある。
【0005】
そこで本発明は、通信のための機器構成が簡素であり、小型かつ軽量に構成し得るとともに低消費電力で作動させ得るために自転車などへの搭載が容易であり、自転車などと自動車との衝突を回避して防止することが可能な、衝突防止システムおよび衝突防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体に搭載される光通信の送信装置と自動車に搭載される光通信の受信装置とを有し、前記送信装置は、当該の光は前記移動体から発光されている旨の情報が重畳されている光を発光する発光部を備え、前記受信装置は、前記光を受光する受光部と、前記受光部が前記光を受光して取得した前記情報を出力する出力部と、を備え、各々の受光可能範囲が相互に異なるように設定されて複数の前記受光部が前記自動車に配置されて搭載され、前記複数の受光部のうちのいずれの受光部が前記光を受光したかによって前記送信装置を搭載した前記移動体が存在する位置を判定する、ことを特徴とする衝突防止システムである。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、移動体に搭載される光通信の送信装置から、自動車に搭載される光通信の受信装置へと、当該の光は前記移動体から発光されている旨の情報を含む光信号を伝送し、前記受信装置が、前記光信号を受信して前記情報を取得して出力各々の受光可能範囲が相互に異なるように設定されて前記自動車に配置されて搭載された複数の受光部のうちのいずれの受光部が前記光を受光したかにより、前記送信装置を搭載した前記移動体が存在する位置を判定する、ことを特徴とする衝突防止方法である。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の衝突防止システムにおいて、前記複数の受光部のうちの2つの受光部が前記光を受光した時間の差によって前記送信装置を搭載した前記移動体が存在する方向を推定する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の衝突防止方法において、前記複数の受光部のうちの2つの受光部が前記光を受光した時間の差により、前記送信装置を搭載した前記移動体が存在する方向を推定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明や請求項に記載の発明によれば、通信のための機器構成を簡素にして小型かつ軽量に構成することが可能となるとともに低消費電力で作動する仕組みとすることが可能となる。このため、例えば自転車、車椅子、およびベビーカーなどの種々の移動体へと搭載することを容易にして、種々の移動体と自動車との衝突を回避することが可能となる。
【0015】
請求項に記載の発明や請求項に記載の発明によれば、移動体が存在する位置を判定するようにしているので、移動体と自動車との衝突を回避するために一層有用な情報が提供され、移動体と自動車との衝突を一層確実に回避することが可能となる。
【0016】
請求項に記載の発明や請求項に記載の発明によれば、移動体が存在する方向を推定するようにしているので、移動体と自動車との衝突を回避するために一層有用な情報が提供され、移動体と自動車との衝突を一層確実に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施の形態1に係る衝突防止システムの概略構成を示す図である。
図2図1の衝突防止システムの送信装置および受信装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図3】自動車が左折する際の自転車の巻き込みを特に防止する場合の受光部の配置の例を示す図である。
図4】自転車が存在する位置を判定する場合の受光部の配置の例を示す図である。
図5】自転車が存在する位置を判定する場合の受信装置の概略構成の例を示す機能ブロック図である。
図6】自転車が存在する方向を推定する場合の考え方を説明する図である。
図7】自転車が存在する方向を推定する場合の受信装置の概略構成の例を示す機能ブロック図である。
図8】この発明の実施の形態2に係る衝突防止システムの概略構成を示す図である。
図9図8の衝突防止システムの送信装置および受信装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る衝突防止システム100の概略構成を示す図である。この衝突防止システム100は、光通信(特に、可視光通信、赤外光通信)を用いて自転車1の存在を周囲の自動車2に知らせることによって自転車1と自動車2との衝突を回避するための仕組みであり、主に、自転車1に搭載されて光4を発光する、光通信用の送信装置10と、自動車2に搭載されて前記光4を受光する、光通信用の受信装置20とを有する。
【0021】
この実施の形態に係る衝突防止システム100は、自転車1に搭載される光通信の送信装置10と自動車2に搭載される光通信の受信装置20とを有し、送信装置10は、当該の光は自転車1から発光されている旨の情報が重畳されている光4を発光する発光部13を備え、受信装置20は、光4を受光する受光部21と、受光部21が光4を受光して取得した前記情報を出力する出力部24と、を備える、ようにしている。
【0022】
また、衝突防止システム100によって実施される、この実施の形態に係る衝突防止方法は、自転車1に搭載される光通信の送信装置10から、自動車2に搭載される光通信の受信装置20へと、当該の光は自転車1から発光されている旨の情報を含む光信号(別言すると、光4)を伝送し、受信装置20が、前記光信号(光4)を受信して前記情報を取得して出力する、ようにしている。
【0023】
図2は、実施の形態1に係る衝突防止システム100の送信装置10および受信装置20の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0024】
送信装置10は、伝送データを生成するとともに前記伝送データを変調して光信号を送信するための機構であり、データ生成部11、変調部12、および発光部13を備える。なお、送信装置10は、例えば、自転車1に備え付けられる発電機(「ダイナモ」などとも呼ばれる;図示していない)から電源の供給を受けて作動したり、送信装置10とともに備え付けられる小型の電池(図示していない)から電源の供給を受けて作動したりする。
【0025】
データ生成部11は、受信装置20へと送信する伝送データとして、当該の光は自転車から発光されている旨を表すデータを生成する。データ生成部11は、生成した伝送データを変調部12に対して出力する。
【0026】
伝送データに、自転車1それぞれを相互に区別して把握するための、自転車1各々に固有の識別子(ID)情報が含められるようにしてもよい。伝送データに、また、自転車1が走行しているのか停止しているのかを区別する情報が含められるようにしてもよい。
【0027】
伝送データについては、送信装置10と受信装置20との間で送受信が可能であるとともに内容が把握可能であるようにするため、データフォーマットや変復調方式を含む種々の規格・規則について通信規約が定められる。
【0028】
変調部12は、データ生成部11から出力される伝送データの入力を受け、前記伝送データに対して変調処理を施して変調データ信号を出力する。変調部12における符号化や変調の仕法は、特定の方式に限定されるものではなく、自転車1に搭載される送信装置10と自動車2に搭載される受信装置20との間での認識のし易さが考慮されるなどしたうえで適当な方式が適宜選択される。変調部12における変調方式として、具体的には例えば、パルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation の略)方式が用いられ得る。変調部12における変調方式として、また、光度(別言すると、照度)を変化させることによって変調するようにしてもよい。
【0029】
なお、自転車1ごとに異なる符号で変調することにより、複数の自転車1の送信装置10から出力/送信された光4を受信装置20で同時に受信した場合に、受信装置20で各々を分離することができるようにしてもよい。
【0030】
発光部13は、光を放射する光源/発光素子としての例えばLED(Light Emitting Diode の略)を含む機序として構成され、変調部12から出力される変調データ信号の入力を受け、前記変調データ信号としてのデジタル信号に対してデジタル-アナログ変換処理を施してアナログ信号に変換し、前記アナログ信号を基に光源/発光素子に与える電流などを制御して光度を変化させた光4を発光する。発光部13は、つまり、光を搬送波(キャリア)として使用して伝送データが重畳された光4を発光する。発光部13は、具体的には例えば、デジタル-アナログ変換した結果のアナログ波形に比例した光度の光4を発光して光信号を生成する。
【0031】
発光部13が発光する光4は例えば可視光や赤外光であり、つまり、光信号は例えば可視光や赤外光によって形成される。発光部13として、夜間用の照明器具として自転車1に(もとより)備え付けられている前照灯が用いられるようにしてもよく、或いは、発光部13として専用の器具(例えば、可視光/照明光を発する器具や赤外光を発する器具)が備え付けられるようにしてもよい。
【0032】
発光部13が光を発光/出力することにより、送信装置10から受信装置20へと、当該の光は自転車から発光されている旨を含む光信号が伝送され、当該の光は自転車から発光されている旨の情報が伝達される。
【0033】
受信装置20は、送信装置10から送信される光信号を受信するとともに前記光信号を復調して伝送データを取得するための機構であり、受光部21、復調部22、データ処理部23、および出力部24を備える。なお、受信装置20は、例えば、自動車2に備え付けられるバッテリー(図示していない)から電源の供給を受けて作動したり、受信装置20とともに備え付けられる電池(図示していない)から電源の供給を受けて作動したりする。
【0034】
受光部21は、光を検出するセンサー(別言すると、受光素子)としての例えばフォトダイオードを含む機序として構成され、光(特に、送信装置10の発光部13から発光された光4)を受光して、受光した光4の強度を示すアナログ波形に対してアナログ-デジタル変換処理を施してデジタル信号波形に変換して(言い換えると、電気信号に変換して)、受光素子が受光した光4の光度の変化に対応する電気信号を受光信号として出力する。
【0035】
自動車2に対して、1つの受光部21が備え付けられるようにしてもよく、或いは、複数の受光部21が備え付けられるようにしてもよい。1つの受光部21が備え付けられる場合には、例えば、自動車2が左折する際の自転車1の巻き込みを特に防止するために、自動車2の後部左端寄りの位置に受光部21が配置されて備え付けられるようにしてもよい(図3参照)。
【0036】
復調部22は、受光部21から出力される受光信号としてのデジタル信号(電気信号)の入力を受け、前記デジタル信号(電気信号)に対して復調処理を施して得られる信号(即ち、送信装置10のデータ生成部11によって生成された伝送データに相当する信号)を出力する。復調部22は、送信装置10の変調部12において用いられた変調方式に対応する復調方式を用いて復調処理を行う。これにより、送信装置10のデータ生成部11によって生成されて発光部13から放射される光4に重畳されている伝送データが受信装置20において取得される。
【0037】
データ処理部23は、復調部22から出力される、伝送データに相当する信号の入力を受け、前記伝送データに相当する信号を所定のフォーマットへと変換するなどしたうえで出力する。データ処理部23は、伝送データに相当する信号を、例えば、出力部24への入力に適合したフォーマットへと変換したうえで出力部24に対して出力したり、車両制御部25への入力に適合したフォーマットへと変換したうえで車両制御部25に対して出力したりする。
【0038】
出力部24は、データ処理部23から出力される信号の入力を受け、前記信号に対応する情報を出力する、言い換えると発信する機能を備える。出力部24は、具体的には例えば、自動車2の運転者によって視認され得るように設けられたディスプレイなどの表示機器に、自動車2の周囲に自転車1が存在する旨を表す警告メッセージを表示したり、スピーカなどの音響機器から音声や警報音を発したりする。出力部24として、自動車2に(もとより)備え付けられているカーナビゲーションシステムのディスプレイやオーディオシステムのスピーカが用いられるようにしてもよく、或いは、出力部24として専用の表示機器や音響機器が備え付けられるようにしてもよい。
【0039】
車両制御部25は、自動車2の走行に纏わる諸々の機能を制御する機序であり、例えば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit の略)、メモリ、および入出力インタフェースなどを含む電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit の略)として構成され得る。
【0040】
車両制御部25は、データ処理部23から出力される信号の入力を受け、前記信号に対応して自動車2の制御を行う。車両制御部25は、具体的には例えば、データ処理部23から提供される情報を考慮して自動運転や安全運転の支援を行うことが挙げられる。ただし、この発明において、受信装置20から自動車2の車両制御部25に対して情報が提供されることは必須の構成ではなく、車両制御部25に対して情報が提供されない構成であってもよい。
【0041】
次に、上記のような構成の衝突防止システム100の動作や作用などについて説明する。
【0042】
自転車1に搭載される送信装置10が、当該の光は自転車から発光されている旨の情報が重畳された光4を発光する。自動車2に搭載される受信装置20が、前記光4を受光して前記光4に重畳されている前記情報を取得し、前記情報を出力部24を介して発信するとともに車両制御部25に対して出力する。
【0043】
出力部24がディスプレイに警告メッセージを表示したりスピーカから警報音を発したりすることにより、自動車2の運転者は、周囲(具体的には、受信装置20の受光部21の受光可能範囲内)に自転車1が存在すると判断する。自転車1の存在が知らされることにより、自動車2の運転者は自転車1の存在に注意して運転を行うようになり、安全運転が支援される。
【0044】
車両制御部25が例えば自動運転や安全運転の支援を行っている場合には、自転車1の存在を加味した適切な車両制御を行うことによって自転車1との接触/衝突が未然に回避され、自動運転制御や安全運転支援の確実性が向上する。
【0045】
ここで、受信装置20の受光部21が、複数、各々の受光可能範囲Rが相互に異なるように設定されて自動車2に配置されて搭載されたうえで、送信装置10の発光部13から発光された光4をいずれの受光部21で受光したかにより、送信装置10を搭載した自転車1が存在する位置(別言すると、範囲)が判定されるようにしてもよい(図4参照)。なお、複数の受光部21で光4を受光した場合には、前記複数の受光部21の受光可能範囲Rが重複する範囲Roに自転車1が存在すると判定される。
【0046】
図5は、送信装置10を搭載した自転車1が存在する位置/範囲を判定する場合の受信装置20の概略構成の例を示す機能ブロック図である。具体的には、自動車2に配置される複数の受光部21各々からの出力をそれぞれ処理するために設けられる復調部22およびデータ処理部23を含む複数の信号受信系列を備えるとともに、これら複数の信号受信系列それぞれのデータ処理部23から出力される信号が入力される位置判定部26を備える。
【0047】
位置判定部26は、単数もしくは複数の受光部21が送信装置10から発光された光4を受光したことに伴って前記単数もしくは複数の受光部21に対応する単数もしくは複数の信号受信系列のデータ処理部23から出力される信号の入力を受け、いずれの受光部21が光4を受光したかによって自転車1が存在する位置(具体的には、受光可能範囲R)を判定したり、いずれの隣り合う2つの受光部21が光4を受光したかによって自転車1が存在する位置(具体的には、受光可能範囲Rが重複する範囲Ro)を判定したりする。そして、位置判定部26は、判定結果の、自転車1が存在する位置に関する情報を出力部24へと出力し、出力部24は前記情報に基づいて自転車1の位置を発信する。なお、データ処理部23から出力される信号に、複数の受光部21それぞれを相互に区別して認識するための、受光部21各々に固有の識別子(ID)情報が含められるようにするとともに、位置判定部26が、前記識別子(ID)情報に基づいて、自転車1が存在する位置(具体的には、自動車2のどの位置に配置された受光部21の受光可能範囲Rであるかや受光可能範囲Rが重複する範囲Roであるか)を判定するようにしてもよい。
【0048】
さらに、2つの受光部21で光4を受光したときの受光した時間の差に基づいて、光4の到来方向として、送信装置10を搭載した自転車1が存在する方向を推定するようにしても良い。この場合は、下記の数式1により、自転車1が存在する方向θが推定される(図6参照)。
【0049】
【数1】
ここに、 θ:自転車が存在する方向
l:光路差
D:受信装置の受光部の間隔
c:光速
ΔT:受光部で光を受光した時間の差
【0050】
図7は、送信装置10を搭載した自転車1が存在する方向を推定する場合の受信装置20の概略構成の例を示す機能ブロック図である。具体的には、自動車2に配置される隣り合う2つ(または、方向を推定するための組み合わせとして予め設定された2つ)の受光部21各々からの出力をそれぞれ処理するために設けられる復調部22およびデータ処理部23を含む2つの信号受信系列を備えるとともに、これら2つの信号受信系列それぞれの復調部22から出力される信号が入力される受光時間比較部27および自転車1が存在する方向を計算する方向計算部28を備える。
【0051】
受光時間比較部27は、2つの受光部21が送信装置10から発光された光4を受光したことに伴って前記2つの受光部21に対応する2つの信号受信系列の復調部22から出力される信号の入力を受け、これら信号の受光時間(ここでは、受光時間比較部27への入力時間)の差ΔTを計算して出力する。方向計算部28は、受光時間比較部27から出力される受光時間の差ΔTの入力を受け、前記受光時間の差ΔTを用いて数式1によって自転車1が存在する方向θを計算する。そして、方向計算部28は、計算結果の、自転車1が存在する方向に関する情報を出力部24へと出力し、出力部24は前記情報に基づいて自転車1の方向を発信する。なお、方向計算部28に、2つの受光部21の間隔Dの値が予め記憶される。
【0052】
上記の実施の形態に係る衝突防止システム100によれば、通信のための機器構成を簡素にして小型かつ軽量に構成することが可能となるとともに低消費電力で作動する仕組みとすることが可能となる。具体的には例えば、上記で説明したような送信装置10であれば、自転車用の前照灯と電気的に接続されている発電機(「ダイナモ」などとも呼ばれる)で作動させるようにしたり、送信装置10とともに備え付けられる小型の電池で作動させるようにしたりすることができる。このため、自転車1をはじめとして、車椅子やベビーカーなどの種々の移動体へと搭載することを容易にして、種々の移動体と自動車2との衝突を回避することが可能となる。
【0053】
上記の実施の形態に係る衝突防止システム100によれば、また、出力部24としての例えばカーナビゲーションシステムのディスプレイに警告メッセージを表示したりオーディオシステムのスピーカから音声や警報音を発したりすることにより、自動車2の運転者に自転車1などの種々の移動体が存在することを知らせて注意を促すことができ、安全運転支援を適切に行って種々の移動体と自動車2との衝突を回避することが可能となる。
【0054】
(実施の形態2)
図8は、この発明の実施の形態2に係る衝突防止システム200の概略構成を示す図である。この衝突防止システム200は、光通信(特に、可視光通信、赤外光通信)を用いるとともに種々の交通設備や道路設備を利用して自転車1の存在を周囲の自動車2に知らせることによって自転車1と自動車2との衝突を回避するための仕組みであり、主に、自転車1に搭載されて光4を発光する、光通信用の送信装置10と、交通設備/道路設備3に備え付けられて前記光4を受光する、光通信用の受信装置20とを有する。
【0055】
この実施の形態に係る衝突防止システム200は、自転車1に搭載される光通信の送信装置10と交通設備もしくは道路設備3に搭載される光通信の受信装置20とを有し、送信装置10は、当該の光は自転車1から発光されている旨の情報が重畳されている光4を発光する発光部13を備え、受信装置20は、光4を受光する受光部21と、受光部21が光4を受光して取得した前記情報を出力する出力部24と、を備える、ようにしている。
【0056】
また、衝突防止システム200によって実施される、この実施の形態に係る衝突防止方法は、自転車1に搭載される光通信の送信装置10から、交通設備もしくは道路設備3に搭載される光通信の受信装置20へと、当該の光は自転車1から発光されている旨の情報を含む光信号(別言すると、光4)を伝送し、受信装置20が、光信号(光4)を受信して前記情報を取得する、ようにしている。
【0057】
図9は、実施の形態2に係る衝突防止システム200の送信装置10および受信装置20の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0058】
この実施の形態2における送信装置10は、実施の形態1における送信装置10と同様の構成である(図2および図9参照)。また、この実施の形態2における受信装置20は、実施の形態1における受信装置20と同様の構成である(図2および図9参照)。ただし、この実施の形態2では、受信装置20は交通設備/道路設備3に備え付けられ、また、実施の形態1における車両制御部25に相当する構成とは関係がない。
【0059】
交通設備/道路設備3は、自動車2が走行する場所に存在する諸々の設備や機器などであり、具体的には例えばカーブミラー、電柱、標識、信号機、ガードレールなどが挙げられる。図8に示す例では、交通設備/道路設備3としてカーブミラーに対して受信装置20が備え付けられる場合を例として挙げている。
【0060】
この実施の形態2では、交通設備/道路設備3に出力部24が備え付けられ、受信装置20のデータ処理部23は出力部24に対して伝送データに相当する信号を出力する。
【0061】
この実施の形態2では、出力部24として、自動車2の運転者の視界に入る交通設備/道路設備3のうちの前記運転者によって視認され易い位置に設けられる、具体的には例えば点灯式/点滅式のライト(警告灯)が用いられる。
【0062】
上記のような構成の衝突防止システム200の動作や作用などについて説明する。
【0063】
自転車1に搭載される送信装置10が、当該の光は自転車から発光されている旨の情報が重畳された光4を発光する。交通設備/道路設備3に備え付けられる受信装置20が、前記光4を受光して前記光4に重畳されている前記情報を取得し、前記情報を出力部24を介して発信する。
【0064】
交通設備/道路設備3に備え付けられる出力部24としての警告灯が点灯/点滅することにより、自動車2の運転者は、交通設備/道路設備3の周囲に自転車1が存在することを認識する。自転車1の存在が知らされることにより、自動車2の運転者は自転車1の存在に注意して運転を行うようになり、安全運転が支援される。
【0065】
例えば図8に示す例では、自転車1の走行方向Drと直交する方向Doで交差点に進入しようとする自動車2の運転者に対して、交通設備/道路設備3に備え付けられている受信装置20の出力部24としての警告灯が点灯/点滅することにより、交差点付近に自転車1が存在することが知らされて注意が喚起される。なお、図8では、自転車1の走行方向Drと直交する方向Doで自動車2が交差点に進入しようとする場合を例に挙げているが、自動車2に限らず、自転車1の走行方向Drと直交する方向Doで例えばオートバイや自転車が交差点に進入しようとする場合も同様に、オートバイや自転車などの運転者に対して注意が喚起される。
【0066】
上記の実施の形態に係る衝突防止システム200によれば、通信のための機器構成を簡素にして小型かつ軽量に構成することが可能となるとともに低消費電力で作動する仕組みとすることが可能となる。具体的には例えば、上記で説明したような送信装置10であれば、自転車用の前照灯と電気的に接続されている発電機(「ダイナモ」などとも呼ばれる)で作動させるようにしたり、送信装置10とともに備え付けられる小型の電池で作動させるようにしたりすることができる。このため、自転車をはじめとして、車椅子やベビーカーなどの種々の移動体へと搭載することを容易にして、種々の移動体と自動車などとの衝突を回避することが可能となる。
【0067】
上記の実施の形態に係る衝突防止システム100によれば、また、交通設備/道路設備3に備え付けられる出力部24としての例えば警告灯が点灯/点滅することにより、自動車2の運転者に自転車1などの種々の移動体が存在することを知らせて注意を促すことができ、安全運転支援を適切に行って種々の移動体と自動車2との衝突を回避することが可能となる。
【0068】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では送信装置10が自転車1に搭載されるようにしているが、送信装置10が搭載される対象は自転車1に限定されるものではなく、送信装置10は、例えば、車椅子やベビーカーなどの種々の移動体へと搭載されるようにしてもよく、また、人に対して装着されるようにしてもよく、具体的には例えば、通学用のランドセルに装着されたり靴に組み込まれたりするようにしてもよい。送信装置10は、或いは、自動車に搭載されるようにしてもよく、すなわち車車間で光通信が行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
100 衝突防止システム(実施の形態1)
1 自転車
10 送信装置
11 データ生成部
12 変調部
13 発光部
2 自動車
20 受信装置
21 受光部
22 復調部
23 データ処理部
24 出力部
25 車両制御部
26 位置判定部
27 受光時間比較部
28 方向計算部
200 衝突防止システム(実施の形態2)
3 交通設備/道路設備
4 光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9