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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】縫製システム
(51)【国際特許分類】
   D05B 19/02 20060101AFI20240326BHJP
   D05B 19/08 20060101ALI20240326BHJP
   D05C 13/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
D05B19/02
D05B19/08
D05C13/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018012301
(22)【出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2019129864
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】渥美 匡
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】八木 誠
【審判官】筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-15082(JP,A)
【文献】特開2002-177673(JP,A)
【文献】特開平4-126188(JP,A)
【文献】特開2009-39393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B1/00-97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のミシンが管理装置によって管理された縫製システムであって、
前記複数台のミシンは、それぞれ、
自ミシンにおける縫い目の調整機能の調整量をデジタル化したパラメータデータを記憶するメモリと、
自ミシンのメモリに記憶されたパラメータデータに応じた調整量で縫い目の調整機能を調整する調整部とを備え、
前記管理装置は、
前記複数台のミシンの各メモリに記憶されるパラメータデータをミシンの個体差に応じた微調整を可能とするために、ミシン毎に個別に管理する管理部と、
縫製ラインにおける生産品番の一斉切替のタイミングで、前記複数台のミシンの各メモリに記憶されるパラメータデータを更新するべく、前記複数台のミシンの各ターミナルに対して、前記管理部が個別に管理するパラメータデータを一斉配信する配信部とを備えたことを特徴とする縫製システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記複数台のミシンの各メモリに記憶される現在のパラメータデータを収集する収集部を備え、
前記複数台のミシンの各メモリに記憶される現在のパラメータデータを前記管理部で管理することを特徴とする請求項1に記載の縫製システム。
【請求項3】
複数の工程からなる縫製ラインにおいて、前記管理部が工程毎に前記複数台のミシンのパラメータデータを管理しており、
前記配信部が各工程のミシンに対してパラメータデータを一斉配信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の縫製システム。
【請求項4】
前記管理部が品番毎に前記複数台のミシンのパラメータデータを管理しており、
前記配信部が品番に応じて各ミシンに対してパラメータデータを一斉配信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の縫製システム。
【請求項5】
前記ミシンに搬入された縫製対象から品番を読み取る読取部を備え、
前記管理装置は、
前記読取部で読み取られた品番に応じて、前記配信部で前記ミシンにパラメータデータを個別配信することを特徴とする請求項4に記載の縫製システム。
【請求項6】
前記管理部がオペレータ毎に前記複数台のミシンのパラメータデータを管理しており、
前記配信部が個々のミシンのオペレータを識別するオペレータ識別情報に応じて各ミシンに対してパラメータデータを一斉配信することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の縫製システム。
【請求項7】
前記配信部は、前記複数台のミシンに対して、パラメータデータに加えて、刺繍模様を示すベクトルパターンデータ、ミシン制御のオプションを示すメモリスイッチ、連続縫いの自動縫製を制御する連続縫いデータ、パターンシーマの自動縫製を制御するサイクル縫いデータ、ファームウェアの少なくとも一つを配信することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の縫製システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫製動作を制御する縫製システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縫製システムとしてミシンとコンピュータがネットワークを介して接続されたものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の縫製システムでは、ミシンがコンピュータから刺繍模様等の各種データを読み取り、各種データを参照しながら加工布に模様が形成される。この場合、ミシンには操作パネルが設けられており、操作パネルのディスプレイには刺繍模様がサムネイル表示されている。ミシンの操作パネルで刺繍模様が選択されることで、ミシンがコンピュータにアクセスして選択した刺繍模様に応じた縫製動作が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-200265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の記載の縫製システムでは、操作パネルの操作によってミシン側からコンピュータに各種データを取りに行かなければならなかった。また、通常は、オペレータが作業内容や製品生地を確認した上で1台ずつミシンを調整しており、複数台のミシンを動かすまでに長い時間が必要になると共に、オペレータにとって煩わしい作業になっていた。また、オペレータの不注意によって設定ミスが発生するおそれがあった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、オペレータの作業効率を向上させると共にオペレータの設定ミスを防止することができる縫製システムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の縫製システムは、複数台のミシンが管理装置によって管理された縫製システムであって、前記複数台のミシンは、それぞれ、自ミシンにおける縫い目の調整機能の調整量をデジタル化したパラメータデータを記憶するメモリと、自ミシンのメモリに記憶されたパラメータデータに応じた調整量で縫い目の調整機能を調整する調整部とを備え、前記管理装置は、前記複数台のミシンの各メモリに記憶されるパラメータデータをミシンの個体差に応じた微調整を可能とするために、ミシン毎に個別に管理する管理部と、縫製ラインにおける生産品番の一斉切替のタイミングで、前記複数台のミシンの各メモリに記憶されるパラメータデータを更新するべく、前記複数台のミシンの各ターミナルに対して、前記管理部が個別に管理するパラメータデータを一斉配信する配信部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、管理装置から複数台のミシンに対してパラメータデータが一斉配信され、各ミシンの縫い目の調整機能が適切な調整量で自動的に調整される。ミシン毎にオペレータが縫い目の調整機能を手動で調整する必要がなく、パラメータデータを取得するのにミシンをオペレータが操作する必要がない。よって、縫製ラインに複数台のミシンが設置されていたとしても、複数台のミシンの調整作業の作業時間を短縮して作業効率を向上させることができると共に、オペレータの不注意による設定ミスを防止することができる。
【0010】
本発明の一態様の縫製システムにおいて、前記管理装置は、前記複数台のミシンの各メモリに記憶される現在のパラメータデータを収集する収集部を備え、前記複数台のミシンの各メモリに記憶される現在のパラメータデータを前記管理部で管理する。この構成によれば、各ミシンから収集した現在のパラメータを、各ミシンに対する次回の生産で使用することができる。
【0011】
本発明の一態様の縫製システムにおいて、複数の工程からなる縫製ラインにおいて、前記管理部が工程毎に前記複数台のミシンのパラメータデータを管理しており、前記配信部が各工程のミシンに対してパラメータデータを一斉配信する。この構成によれば、各工程に適した調整量で縫い目の調整機能を調整することができる。
【0012】
本発明の一態様の縫製システムにおいて、前記管理部が品番毎に前記複数台のミシンのパラメータデータを管理しており、前記配信部が品番に応じて各ミシンに対してパラメータデータを一斉配信する。この構成によれば、各品番に適した調整量で縫い目の調整機能を調整することができる。
【0013】
本発明の一態様の縫製システムにおいて、前記ミシンに搬入された縫製対象から品番を読み取る読取部を備え、前記管理装置は、前記読取部で読み取られた品番に応じて、前記配信部で前記ミシンにパラメータデータを個別配信する。この構成によれば、品番が変更される度にミシンに対してパラメータデータが個別配信されるため、ミシンに搬入された縫製対象の品番に応じてリアルタイムで縫い目の調整機能を可変することができる。
【0014】
本発明の一態様の縫製システムにおいて、前記管理部がオペレータ毎に前記複数台のミシンのパラメータデータを管理しており、前記配信部が個々のミシンのオペレータを識別するオペレータ識別情報に応じて各ミシンに対してパラメータデータを一斉配信する。この構成によれば、オペレータの技量に応じた調整量で縫い目の調整機能を調整することができる。
【0015】
本発明の一態様の縫製システムにおいて、前記配信部は、前記複数台のミシンに対して、パラメータデータに加えて、刺繍模様を示すベクトルパターンデータ、ミシン制御のオプションを示すメモリスイッチ、連続縫いの自動縫製を制御する連続縫いデータ、パターンシーマの自動縫製を制御するサイクル縫いデータ、ファームウェアの少なくとも一つを配信する。この構成によれば、パラメータデータの他、ベクトルパターンデータ、メモリスイッチ、連続縫いデータ、サイクル縫いデータ、ファームウェアの少なくともいずれかを複数台のミシンに一斉配信して作業効率をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管理装置から複数台のミシンに対してパラメータデータが一斉配信されることで、作業効率を向上させると共にオペレータの設定ミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態の縫製工場の全体模式図である。
図2】本実施の形態の縫製システムのブロック図である。
図3】本実施の形態のミシン毎のデータ管理の一例を示す図である。
図4】本実施の形態の工程毎のデータ管理の一例を示す図である。
図5】本実施の形態の品番毎のデータ管理の一例を示す図である。
図6】本実施の形態のオペレータ毎のデータ管理の一例を示す図である。
図7】本実施の形態のオペレータ毎のデータ管理の他の一例を示す図である。
図8】本実施の形態の工程及び品番毎のデータ管理の一例を示す図である。
図9】本実施の形態の機種毎のデータ管理の一例を示す図である。
図10】本実施の形態のパラメータデータのアップロードの一例を示す図である。
図11】本実施の形態のパラメータデータの一斉配信の一例を示す図である。
図12】本実施の形態のパラメータデータのリアルタイム配信の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態の縫製システムについて説明する。図1は、本実施の形態の縫製工場の全体模式図である。なお、本実施の形態の縫製システムは一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0019】
図1に示すように、縫製システム11が導入された縫製工場には、入荷検反設備10A、延反設備10B、裁断設備10C、縫製設備10D、仕上げ設備10E、検査設備10F、梱包出荷設備10Gが設けられている。入荷検反設備10Aでは縫製対象となる生地41に傷や汚れが検査され、延反設備10Bでは生地41が作業台の上に広げられる。裁断設備10Cでは生地41が各種パーツ42に裁断され、縫製設備10Dでは裁断後の各種パーツ42が縫い合わされて、仕上げ設備10Eでは縫い上がった縫製物43にアイロンがかけられる。検査設備10Fでは縫製物43の目飛び等が検査され、梱包出荷設備10Gでは縫製物43が梱包されて製品44として出荷される。
【0020】
縫製設備10Dには複数台のミシン20が並べられて縫製ラインが作られている。縫製ラインは、パーツ42の縫い合わせ箇所毎の複数(本実施の形態では4つ)の工程A-Dから成り、各種パーツ42が縫製ラインの各工程A-Dを経ることで縫製物43が生産される。複数台のミシン20はターミナル25を介して管理装置30に接続されており、管理装置30によって複数台のミシン20が工程管理されている。また、縫製工場にはAGV(Automatic Guided Vehicle(不図示))が設けられており、AGVによって各設備10A-10G間の無人搬送や、縫製ラインの工程A-D間の無人搬送が実現されている。
【0021】
ところで、アナログミシンで縫い目を調整する際には、送り歯高さ、送りピッチ、送り軌跡、押え圧、糸のテンション等の縫い目の調整機能をオペレータが手動で調整しなければならない。ミシンの調整は、各工程の作業内容や生地の材質や厚みによって大きく左右され、オペレータに十分な技量が求められている。例えば、滑り易い生地と滑り難い生地とでは押え圧を変える必要があり、柔らかい生地と硬い生地とでは糸のテンションを変える必要がある。特に、ミシン毎に押え圧等に僅かな違いがあるため、作業内容や生地が同じであってもミシン毎に調整量を微調整しなければならない。
【0022】
このため、オペレータの勘や経験に頼るところが大きく、経験が浅いオペレータではミシン毎に調整にバラツキが生じ、さらにオペレータの不注意によって調整ミスが生じるおそれがある。この点、デジタルミシンであれば、送り歯高さ、送りピッチ、送り軌跡、押え圧、糸のテンション等をデジタル化して数値として記憶することが可能である。このため、各ミシンに対して以前の調整内容を忠実に再現することができ、アナログミシンのようにオペレータの勘や経験に頼ることなく、各ミシンに対する調整を短時間で行うことができる。
【0023】
しかしながら、デジタルミシンであっても、縫製ラインの中の作業内容や搬入される生地の種類を把握することはできない。通常はオペレータが作業内容や製品の生地を確認した上で1台ずつミシンを調整しており、複数台のミシンを動かすまでに長い時間が必要になっている。そこで、本実施の形態では、管理装置30で複数台のミシン20を個別に管理して、管理装置30から複数台のミシン20に向けて、縫い目の調整機能の調整量をデジタル化したパラメータデータを一斉配信して、作業の効率化を図ると共にオペレータの設定ミスを防止している。
【0024】
以下、図2を参照して、縫製システムの制御構成について説明する。図2は、本実施の形態の縫製システムのブロック図である。なお、図2のブロック図には、ミシンが簡略化して記載されているが、ミシンが通常備える構成については備えられているものとする。
【0025】
図2に示すように、縫製システム11は、複数台(図2では1台のみ図示)のミシン20をターミナル25を介して管理装置30に接続して構成されている。ミシン20とターミナル25の間はシリアル通信ケーブル27によって接続されている。ターミナル25とミシン20の間は有線通信又は無線通信で接続されている。無線通信の場合には、ターミナル25は無線通信で無線アクセスポイント(不図示)を経由して管理装置30に接続される。このように、縫製システム11では、複数台のミシン20と管理装置30がターミナル25を介して双方向に通信可能に接続されている。
【0026】
なお、ターミナル25は、ミシン20を管理装置30に接続させるものであれば限定されず、例えば、タブレット端末やミシン20の操作パネルで構成されてもよい。また、ターミナル25は、届いた各種データを滞りなく転送しており、転送先がビジーな場合には一定量のデータをバッファリングすることができる。バッファの限界までデータ転送されない場合には、ディスプレイにエラーが表示されてデータの取りこぼしがオペレータに報知される。さらに、ターミナル25にはディスプレイにミシン20との接続状況が表示されてオペレータに報知される。
【0027】
複数台のミシン20には、メモリ21と、調整部22とが設けられている。メモリ21には、縫い目の調整機能の調整量をデジタル化したパラメータデータの他、刺繍模様を示すベクトルパターンデータ、ミシン制御のオプションを示すメモリスイッチ、連続縫いの自動縫製を制御する連続縫いデータ、パターンシーマの自動縫製を制御するサイクル縫いデータ、ファームウェア等のミシンデータが記憶されている。ミシンデータがミシン20のメモリ21に記憶されることで、縫製ラインで縫製物43の生産に必要な設定内容がミシン20に対して反映される。
【0028】
調整部22では、メモリ21内のパラメータデータに応じた調整量で縫い目の調整機能が調整される。縫い目の調整機能には、例えば、送り歯高さの調整機能、送りピッチの調整機能、送り軌跡の調整機能、押え圧の調整機能、糸のテンションの調整機構が含まれている。これら調整機能がデジタル化された調整値で調整されることで、工程の作業内容や生地の材質等の状況に応じてミシン20の縫い動作が調整される。なお、ミシン20は、通常の工業用ミシンに限らず、複数工程をフルオート化した自動機の他、ロボットアームの先端にミシンを取り付けたロボット縫製機でもよい。
【0029】
管理装置30には、管理部31と、配信部32と、収集部33と、送受信部34とが設けられている。管理部31では、複数台のミシン20のミシンデータが個別に管理されている。管理部31では、各ミシン20に対するパラメータデータ、ベクトルパターンデータ、連続縫いデータ、サイクル縫いデータが管理されている。また、管理部31では、ミシン20の機種毎にメモリスイッチやファームウェアが管理されている。管理部31では、パラメータデータ等をミシン毎に管理する管理テーブル、メモリスイッチ等を機種毎に管理する管理テーブルが用意されている。
【0030】
例えば、管理部31には、パラメータデータ用の管理テーブルとして、ミシン毎にパラメータデータを管理した管理テーブル、工程毎にパラメータデータを管理した管理テーブル、品番毎にパラメータデータを管理した管理テーブル、オペレータ毎にパラメータデータを管理した管理テーブルの少なくとも1つが作成されていてもよい(図3から図8参照)。また、管理テーブルには、パラメータデータに加えて、ベクトルパターンデータ、連続縫いデータ、サイクル縫いデータも管理されていてもよい。さらに、ミシン(シリアルナンバー)、工程、品番、オペレータを適宜組み合せてパラメータデータを管理した管理テーブルが作成されていてもよい。
【0031】
配信部32では、各ミシン20に対してミシンデータが一斉配信される。この場合、管理部31の各管理テーブルからミシン20毎にミシンデータが選択されて、配信データとして配信部32から各ミシン20に向けて配信される。収集部33では、各ミシン20から現在のミシンデータが収集される。この場合、収集部33から各ミシン20に一斉通知されたリスエストに応じて、メモリ21に設定された現在のミシンデータが上りデータとして各ミシン20から収集部33に向けてアップロードされる。
【0032】
管理装置30の送受信部34はターミナル25の送受信部26に接続されており、送受信部34、26によって配信データ(下りデータ)及び上りデータに対して変復調処理等の各種処理が施されている。送受信部34、26は、例えば、送受信回路、アンテナ、増幅回路等によって構成されている。また、管理装置30、ターミナル25、ミシン20の制御構成は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等によって構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成され、各種のプログラムが格納されている。
【0033】
続いて、図3から図9を参照して、管理テーブルを用いたデータ管理について説明する。図3は、本実施の形態のミシン毎のデータ管理の一例を示す図である。図4は、本実施の形態の工程毎のデータ管理の一例を示す図である。図5は、本実施の形態の品番毎のデータ管理の一例を示す図である。図6は、本実施の形態のオペレータ毎のデータ管理の一例を示す図である。図7は、本実施の形態のオペレータ毎のデータ管理の他の一例を示す図である。図8は、本実施の形態の工程及び品番毎のデータ管理の一例を示す図である。図9は、本実施の形態の機種毎のデータ管理の一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、管理装置30はミシン20毎にオペレータデータを個別に管理することができる。この場合、管理テーブルT1には、各ミシン20のシリアルナンバーが登録されており、シリアルナンバー毎にパラメータデータが割り当てられている。例えば、シリアルナンバーS1-S3にパラメータデータ1-3がそれぞれ割り当てられている。このため、管理装置30からミシン20にシリアルナンバーS1-S3に対応したパラメータデータ1-3が一斉配信される。よって、ミシン20の個体差に応じた調整量で縫い目の調整機能を調整することができる。
【0035】
図4に示すように、管理装置30は工程毎にパラメータデータを個別に管理することもできる。この場合、管理テーブルT2には、各ミシン20のシリアルナンバーが登録されており、工程毎にパラメータデータが割り当てられている。例えば、シリアルナンバーS1、S2の工程Aにパラメータデータ1、2、シリアルナンバーS3、S4の工程Bにパラメータデータ3、4、シリアルナンバーS5の工程Cにパラメータデータ5、シリアルナンバーS6の工程Dにパラメータデータ6がそれぞれ割り当てられている。このため、管理装置30から工程A-Dのミシン20にシリアルナンバーS1-S6に対応したパラメータデータ1-6が一斉配信される。よって、各工程A-Dに適した調整量で縫い目の調整機能を調整することができる。
【0036】
図5に示すように、管理装置30は品番毎にパラメータデータを個別に管理することもできる。この場合、管理テーブルT3には、各ミシン20のシリアルナンバーが登録されており、品番毎にパラメータデータが割り当てられている。例えば、シリアルナンバーS1-S3の品番1にパラメータデータ1、シリアルナンバーS1-S3の品番2にパラメータデータ2がそれぞれ割り当てられている。このため、管理装置30からミシン20に品番1、2に応じてパラメータデータ1、2が一斉配信される。よって、各品番1、2に適した調整量で縫い目の調整機能を調整することができる。
【0037】
品番を切り替える場合には管理者が品番を指定することで、各ミシン20にパラメータデータを配信することができる。また、品番を指定する代わりに、縫製物のRFタグから品番をミシン20側で読み取って、各ミシン20にパラメータデータを個別配信することも可能である。これにより、ミシン20に搬入された縫製対象の品番に応じて縫い目の調整機能を可変することができる。なお、パラメータデータは品番毎に統一されていなくてもよい。例えば、シリアルナンバーS1の品番1にパラメータデータ1、シリアルナンバーS2の品番1にパラメータデータ3がそれぞれ割り当てられてもよい。
【0038】
図6に示すように、管理装置30はオペレータ毎にパラメータデータを個別に管理することもできる。この場合、管理テーブルT4には、各ミシン20のシリアルナンバーが登録されており、個々のミシンのオペレータを識別するオペレータ識別情報毎にパラメータデータが割り当てられている。例えば、シリアルナンバーS1のオペレータ1-3にパラメータデータ1、4、1、シリアルナンバーS2のオペレータ1-3にパラメータデータ2、5、5、シリアルナンバーS3のオペレータ1-3にパラメータデータ3、6、6がそれぞれ割り当てられている。このため、シリアルナンバーS1-S3のミシン20にオペレータ1-3が割り当てられると、管理装置30からミシン20にオペレータ識別情報に応じてパラメータデータ1、5、6が一斉配信される。よって、オペレータの技量に応じた調整量で縫い目の調整機能を調整することができる。
【0039】
オペレータが交代する場合には管理者がオペレータを指定することで、各ミシン20にパラメータデータを配信することができる。また、オペレータを指定する代わりに、オペレータの社員証等のRFタグからオペレータ識別情報をミシン20側で読み取って、各ミシン20にパラメータデータを個別は配信することも可能である。これにより、オペレータの交代に応じて縫い目の調整機能を適切に可変することができる。
【0040】
図7に示すように、管理装置30はミシン20毎にオペレータデータを個別に管理すると共に、オペレータ毎に固有設置値を管理することもできる。この場合、管理テーブルT5には、各ミシン20のシリアルナンバーが登録されており、シリアルナンバー毎にパラメータデータが割り当てられている。また、管理テーブルT5には、オペレータ識別情報が登録されており、オペレータ識別情報毎に固有設定位置が割り当てられている。例えば、シリアルナンバーS1-S3にパラメータデータ1-3がそれぞれ割り当てられ、オペレータ1-3に固有設定値として最大縫い速度(制限回転数)が割り当てられている。このため、シリアルナンバーS1-S3のミシン20にオペレータ1-3が割り当てられると、管理装置30からミシン20にシリアルナンバーS1-S3に対応したパラメータデータ1-3が一斉配信されると共に、オペレータ1-3に対応した最大縫い速度が配信される。よって、ミシン20の個体差に応じた調整量で縫い目の調整機能を調整することができると共に、オペレータの技量に応じた縫い速度にミシン20を制限することができる。
【0041】
オペレータが交代する場合には管理者がオペレータを指定することで、各ミシン20に固有設置値を配信することができる。また、オペレータを指定する代わりに、オペレータの社員証のRFタグからオペレータ識別情報をミシン20側で読み取って、各ミシン20に固有設置値を個別は配信することも可能である。これにより、オペレータの交代に応じてミシン20の最大縫い速度等の固有設定値を適切に可変することができる。
【0042】
図8に示すように、管理装置30は工程及び品番毎にパラメータデータを個別に管理することもできる。この場合、品番毎に管理テーブルT6a、T6bが用意されており、各管理テーブルT6a、T6bに各ミシン20のシリアルナンバーが登録されており、工程毎にパラメータデータが割り当てられている。例えば、品番1の管理テーブルT6aのシリアルナンバーS1、S2の工程Aにパラメータデータ1、2、シリアルナンバーS3、S4の工程Bにパラメータデータ3、4、シリアルナンバーS5の工程Cにパラメータデータ5、シリアルナンバーS6の工程Dにパラメータデータ6がそれぞれ割り当てられている。また、品番2の管理テーブルT6bのシリアルナンバーS1、S2の工程Eにパラメータデータ7、8、シリアルナンバーS3の工程Fにパラメータデータ9、シリアルナンバーS4、5の工程Gにパラメータデータ10、11、シリアルナンバーS6の工程Hにパラメータデータ12がそれぞれ割り当てられている。
【0043】
このため、品番1の生産時には管理装置30から工程A-Dのミシン20にシリアルナンバーS1-S6に対応したパラメータデータ1-6が一斉配信される。また、品番2の生産時には管理装置30から工程E-Hのミシン20にシリアルナンバーS1-S6に対応したパラメータデータ7-12が一斉配信される。よって、各品番1、2及び各工程A-Hに適した調整量で縫い目の調整機能を調整することができる。品番を切り替える場合には管理者が品番を指定することで、各ミシン20にパラメータデータを配信することができる。また、品番を指定する代わりに、縫製物のRFタグから品番をミシン20側で読み取って、各ミシン20にパラメータデータを個別配信することも可能である。
【0044】
なお、上記の管理テーブルには、ミシンデータとしてパラメータデータが管理される他、ベクトルパターンデータ、連続縫いデータ、サイクル縫いデータが管理されていてもよい。パラメータデータとしては、ミシン20毎に調整された送り歯高さ、送りピッチ、送り軌跡、押え圧、糸のテンションのパラメータが含まれ、ミシン20毎の個性を考慮して縫い目の調整機能が個別に管理される。ベクトルパターンデータ、連続縫いデータ、サイクル縫いデータとしては、刺繍模様、自動縫製データが含まれ、ミシン20に必要な縫製機能が管理される。
【0045】
図9に示すように、メモリスイッチやファームウェア等を機種毎に管理する管理テーブルT7が用意されていてもよい。管理テーブルT7には、機種ナンバーが登録されており、ミシン20の機種毎にメモリスイッチ、ファームウェアが登録されている。メモリスイッチは、ミシン20の様々な動作プログラムであり、ファームウェアは各種ミシンの制御ソフトウェアである。例えば、機種ナンバーM1-M3にメモリスイッチ1-3、ファームウェア1-3がそれぞれ割り当てられている。このため、管理装置30からミシン20に機種ナンバーM1-M3に対応したファームウェア等が一斉配信される。よって、ミシン20の機種に応じてファームウェア等を更新することができる。
【0046】
続いて、図10から図12を参照して、縫製システムの双方向通信について説明する。図10は、本実施の形態のパラメータデータのアップロードの一例を示す図である。図11は、本実施の形態のパラメータデータの一斉配信の一例を示す図である。図12は、本実施の形態のパラメータデータのリアルタイム配信の一例を示す図である。ここでは、ミシンデータとしてパラメータデータを例示して説明するが、他のミシンデータについても同様な方法でアップロード及び配信することができる。また、管理装置でミシンのパラメータデータを品番毎に工程管理しているものとして説明する。また、ターミナルを介して管理装置とミシンが通信する構成にしているが、ミシンに送受信機能を設けることでターミナルを省略することが可能である。また、図10から図12においては、説明の便宜上、図2の符号を適宜使用して説明する。
【0047】
図10に示すように、パラメータデータのアップロードでは、管理装置30の収集部33から各ミシン20のターミナル25にリクエストが一斉通知されて(ステップS01)、ターミナル25によってミシン20のメモリ21から現在のパラメータデータが取得される(ステップS02)。ターミナル25から管理装置30に向けてパラメータデータがアップロードされて収集部33で収集される(ステップS03)。収集部33で各ミシン20から現在のパラメータデータが収集されると、管理部31によって管理テーブルが参照されて、各ミシン20のシリアルナンバーから各ミシン20が割り当てられた工程、縫製物の品番が特定される。
【0048】
このように、管理装置30では、管理テーブルで工程及び品番毎に各ミシン20を管理しているため、ミシン20からアップロードされたパラメータデータが、どの工程のどの品番に対するミシン20のパラメータデータかを把握することができる。よって、ミシン20側で工程や品番を示す識別情報をパラメータデータに付与して管理装置30に知らせる必要がない。そして、現在と同じ工程及び品番の次回の生産時に各ミシン20に同じパラメータデータが再び使用されるように、管理部31によって各ミシン20の現在のパラメータデータが工程及び品番毎に管理される(ステップS04)。
【0049】
なお、パラメータデータのアップロードでは、各ミシン20のサンプル縫いで調整したパラメータデータを管理装置30に向けてアップロードしてもよい。サンプル縫いと本番とで別々のミシン20を使用する場合には、サンプル縫いで調整されたパラメータデータが管理装置30にアップロードされ、このパラメータデータが本番用のミシン20に適用されてもよい。サンプル縫いのパラメータデータでは本番用のミシン20の調整が不十分な場合には、本番用のミシン20で再び調整したパラメータデータが管理装置30にアップロードされて、管理テーブルに工程及び品番毎に登録される。
【0050】
図11に示すように、パラメータデータのダウンロードでは、管理装置30の管理部31で管理テーブルを用いて工程及び品番毎に各ミシン20のパラメータデータが個別管理されている。配信指示に応じて管理部31で配信対象のミシン20に対するパラメータデータが選択されて(ステップS11)、配信部32で品番に応じて各工程のミシン20のターミナル25に向けてパラメータデータが一斉配信される(ステップS12)。ターミナル25でパラメータデータが受信されると、ターミナル25からミシン20にパラメータデータが転送されて(ステップS13)、ミシン20のメモリ21にパラメータデータが設定される(ステップS14)。
【0051】
これにより、特定の縫製ライン又は複数の縫製ラインで生産品番の一斉切り替えのために、管理装置30側で複数台のミシン20に対して縫い目の調整機能を自動的に調整することができる。よって、複数台のミシン20を短時間で動かし始めることができると共に、オペレータの作業負担を軽減することができる。また、オペレータの技量に依らずに1台ずつ適切に調整することができ、オペレータの設定ミスを防止することもできる。工程及び品番毎に各ミシン20のパラメータデータを管理することで、各ミシン20を工程及び品番に適した条件に調整できる。
【0052】
なお、図12に示すように、同じ縫製ラインで複数の品番を混合生産する場合は、パラメータデータをリアルタイム配信するようにしてもよい。パラメータデータのリアルタイム配信では、各ターミナル25にRFタグ対応の読取部28が設けられており、ミシン20に搬入された縫製物43のRFタグ45から読取部28で縫製物43の品番が読み取られる(ステップS21)。ターミナル25から管理装置30に向けて品番が通知されると(ステップS22)、管理部31で品番に応じてミシン20のパラメータデータが選択されて(ステップS23)、配信部32でターミナル25に向けてパラメータデータが送り返される(ステップS24)。
【0053】
そして、ターミナル25でパラメータデータが受信されると、ターミナル25からミシン20にパラメータデータが転送されて(ステップS25)、ミシン20のメモリ21にパラメータデータが設定される(ステップS26)。このように、配信部32では、複数台のミシン20に対してパラメータデータを一斉配信するだけでなく、品番に応じて複数台のミシン20に対してパラメータデータを個別配信することが可能になっている。これにより、品番が変更される度にミシン20に対してパラメータデータが個別配信されるため、ミシン20に搬入された縫製物43の品番に応じてリアルタイムで縫い目の調整機能を可変することができる。
【0054】
以上のように、本実施の形態の縫製システム11では、管理装置30から複数台のミシン20に対してパラメータデータが一斉配信され、各ミシン20の縫い目の調整機能が適切な調整量で自動的に調整される。ミシン20毎にオペレータが縫い目の調整機能を手動で調整する必要がなく、パラメータデータを取得するのにミシン20をオペレータが操作する必要がない。よって、縫製ラインに複数台のミシン20が設置されていたとしても、複数台のミシン20の調整作業の作業時間を短縮して作業効率を向上させることができると共に、オペレータの不注意による設定ミスを防止することができる。
【0055】
なお、本実施の形態において、管理部が工程毎、品番毎、オペレータ毎、工程及び品番毎に複数台のミシンのパラメータデータを管理する構成にしたが、この構成に限定されない。管理部は、ミシンのパラメータデータを個別に管理する構成であればよく、工程、品番、オペレータを適宜組み合わせてパラメータデータを管理してもよい。
【0056】
また、本実施の形態において、ミシンに接続されたターミナルを介して、ミシンと管理装置が通信する構成にしたが、この構成に限定されない。ミシンに接続したタブレット、操作パネル等の送受信機能を用いてミシンと管理装置が通信してもよいし、ミシンに送受信機能を内蔵させてミシンと管理装置が通信してもよい。
【0057】
また、本実施の形態において、縫い目の調整機能として、送り歯高さ、送りピッチ、送り軌跡、押え圧、糸のテンションを例示して説明したが、この構成に限定されない。縫い目の調整機能は、縫い目の調整に使用される機能であれば、どのような機能でもよい。なお、縫い目の調整機能は、ミシン各部の調整機構を動かすことで調整される。
【0058】
また、本実施の形態において、管理装置から複数台のミシンにミシンデータを一斉配信すると共に、各ミシンから管理装置にミシンデータをアップロードする構成について説明したが、この構成に限定されない。縫製システムは、少なくとも管理装置から複数台のミシンにミシンデータを一斉配信する構成であればよい。
【0059】
また、本実施の形態において、ミシンデータとしてパラメータデータ、ベクトルパターンデータ、メモリスイッチ、連続縫いデータ、サイクル縫いデータ、ファームウェアを例示して説明したが、この構成に限定されない。ミシンデータは、各ミシンに設定されるデータであれば、どのようなデータでもよい。
【0060】
また、本実施の形態において、配信部は全てのミシンデータを配信する必要はなく、パラメータデータだけを配信してもよいし、パラメータデータに加えて、ベクトルパターンデータ、メモリスイッチ、連続縫いデータ、サイクル縫いデータ、ファームウェアの少なくとも1つを配信してもよい。また、各ミシンデータの配信タイミングは同じでもよいし、ミシンデータ毎に異なっていてもよい。
【0061】
また、本実施の形態において、パラメータデータのリアルタイム配信で使用されるタグとしてRFタグを例示して説明したが、この構成に限定されない。タグは縫製対象の品番を特定できるものであればよく、例えば2次元コード等でもよい。また、縫製対象にタグを設けずに、縫製対象に画像処理等を施して品番を特定するようにしてもよい。
【0062】
また、本実施の形態において、縫製ラインは衣類を生産するものに限定されない。縫製ラインは、縫製物を生産するものであればよく、例えば、靴類、鞄類、布団類、小物類等を生産してもよい。
【0063】
また、本実施の形態のプログラムは記憶媒体に記憶されてもよい。記憶媒体は、特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0064】
また、本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0065】
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0066】
さらに、上記実施の形態では、複数台のミシンが管理装置によって管理された縫製システムであって、複数台のミシンは、それぞれ、自ミシンにおける縫い目の調整機能の調整量をデジタル化したパラメータデータを記憶するメモリと、自ミシンのメモリに記憶されたパラメータデータに応じた調整量で縫い目の調整機能を調整する調整部とを備え、管理装置は、複数台のミシンの各メモリに記憶されるパラメータデータをミシンの個体差に応じた微調整を可能とするために、ミシン毎に個別に管理する管理部と、縫製ラインにおける生産品番の一斉切替のタイミングで、複数台のミシンの各メモリに記憶されるパラメータデータを更新するべく、複数台のミシンの各ターミナルに対して、管理部が個別に管理するパラメータデータを一斉配信する配信部とを備えたことを特徴とする。この構成によれば、縫製ラインにおける生産品番の一斉切替のタイミングで、管理装置から複数台のミシンに対してパラメータデータが一斉配信され、各ミシンの縫い目の調整機能が適切な調整量で自動的に調整される。ミシン毎にオペレータが縫い目の調整機能を手動で調整する必要がなく、パラメータデータを取得するのにミシンをオペレータが操作する必要がない。よって、縫製ラインに複数台のミシンが設置されていたとしても、複数台のミシンの調整作業の作業時間を短縮して作業効率を向上させることができると共に、オペレータの不注意による設定ミスを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本発明は、作業効率を向上させると共にオペレータの設定ミスを防止することができるという効果を有し、特に、衣類を縫製する縫製システムに有用である。
【符号の説明】
【0068】
11 :縫製システム
20 :ミシン
21 :メモリ
22 :調整部
25 :ターミナル
28 :読取部
30 :管理装置
31 :管理部
32 :配信部
33 :収集部
42 :パーツ(縫製対象)
43 :縫製物(縫製対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12