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特許7460324自律動作マシンから人を防護するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】自律動作マシンから人を防護するシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/02 20060101AFI20240326BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G05B9/02 E
B25J19/06
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019023576
(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2019145101
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】18157244.7
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン トゥルノア
(72)【発明者】
【氏名】マクス フェーンマン
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-100207(JP,A)
【文献】特開2016-198839(JP,A)
【文献】特開2000-020102(JP,A)
【文献】特開2014-130067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0185103(US,A1)
【文献】国際公開第2017/203937(WO,A1)
【文献】特表2015-515613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0271800(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0062345(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0379473(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0139348(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/02
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律動作マシン(12)から人を防護するためのシステム(10)であって、
1または複数の入力信号(44)に基づいて、前記自律動作マシン(12)を安全な状態に移行することにより安全機能を実行するように構成された安全コントローラ(24)と、
前記1または複数の入力信号(44)の1つを生成するように構成された少なくとも1つの身体装着デバイス(42)とを備え、
前記少なくとも1つの身体装着デバイス(42)は、(a)前記身体装着デバイス(42)を所定の態様で前記人に固定するフェイルセーフなインターロック装置(52)、(b)前記身体装着デバイス(42)が前記所定の態様で前記人に配置されていることを判定するセンサ(56)、ならびに(c)前記フェイルセーフなインターロック装置(52)および前記センサ(56)を用いて前記所定の態様での前記身体装着デバイス(42)の前記人へのフェイルセーフな配置および固定をするように構成された安全手段(50)であって、前記身体装着デバイス(42)が前記所定の態様で配置および固定されていることに応じて、前記入力信号(44)を生成するように構成された前記安全手段(50)を含み、
前記安全手段(50)は、前記安全手段(50)のステータスをフェイルセーフな態様で評価するように構成された評価ユニット(58)を備える、システム。
【請求項2】
前記インターロック装置(52)は、そのインターロック装置(52)が前記所定の態様で固定されている場合にイネーブル信号(54)を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサ(56)は、前記身体装着デバイス(42)が前記所定の態様で固定されているときに追加のイネーブル信号を提供する、請求項1または請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記センサ(56)は、前記身体装着デバイスが前記所定の態様で固定されているときに、前記人のバイタルサインを検出するように構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記評価ユニット(58)は、2つの個別の処理ユニット(60a,60b)を備える冗長設計がなされている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記安全コントローラ(24)は前記自律動作マシン(12)の規定された作業エリア(20)内の前記身体装着デバイス(42)の位置を判定し、前記判定された位置に基づいて、前記自律動作マシン(12)を制御するようにさらに構成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記身体装着デバイス(42)はその現在の位置を判定する位置測位手段(62)を備え、前記身体装着デバイス(42)は前記判定された現在の位置を前記安全コントローラ(24)に送信するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記自律動作マシン(12)は、前記身体装着デバイス(42)が前記自律動作マシン(12)の規定された作業エリア(20)内にあるかどうかを判定し、前記安全コントローラ(24)と連携して、または前記安全コントローラ(24)とは独立して、その安全機能に対する制御を実行するように構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記身体装着デバイス(42)は無線通信ネットワークを介して通信する通信手段(48)を備え、前記システムは前記無線通信ネットワークを介して前記身体装着デバイス(42)と通信するために、前記安全コントローラ(24)に関連付けられている1つまたは複数の受信機をさらに備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記安全コントローラ(24)は前記無線通信ネットワークの位置決定手段を使用して前記身体装着デバイス(42)の位置を特定し、前記特定された位置に基づいて制御を実行するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記安全コントローラ(24)は、前記自律動作マシン(12)が動作する規定された作業空間(16)内の前記身体装着デバイス(42)を記録し、追跡するように構成されている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記安全コントローラ(24)は前記規定された作業空間(16)への立ち入りを制御し、前記身体装着デバイス(42)を有する人にのみ立ち入りを許可するようにさらに構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記安全コントローラ(24)は、ログインされた身体装着デバイス(42)からの入力信号(44)が受信されないときには、前記自律動作マシン(12)を安全な状態にするように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
自律動作マシン(12)から、人を防護するための身体装着デバイス(42)であって、
前記身体装着デバイス(42)を所定の態様で前記人に固定するフェイルセーフなインターロック装置(52)と、
前記身体装着デバイス(42)が前記所定の態様で前記人に配置されているかどうかを判定するセンサ(56)と、
前記身体装着デバイス(42)の前記所定の態様での人へのフェイルセーフな配置および固定をする安全手段(50)と、
前記身体装着デバイス(42)が前記所定の態様で配置および固定されているときに、入力信号(44)を安全コントローラ(24)に送信する送信ユニットであって、前記安全コントローラ(24)は前記入力信号(44)に基づいて前記自律動作マシン(12)を安全な状態に移行することにより安全機能を実行するものである、前記送信ユニットと、
前記安全手段(50)のステータスをフェイルセーフな態様で評価するように構成された評価ユニット(58)とを有する、身体装着デバイス。
【請求項15】
自律動作マシン(12)から人を防護するための方法(100)であって、前記方法は、
(a)1または複数の入力信号(44)に基づいて、前記自律動作マシン(12)を安全な状態に移行することにより安全機能を実行するように構成された安全コントローラ(24)を用意するステップと、
(b)身体装着デバイス(42)におけるフェイルセーフなインターロック装置(52)によって、前記身体装着デバイス(42)を所定の態様で前記人に固定するステップと、
(c)センサ(56)によって、前記身体装着デバイス(42)が前記所定の態様で人に配置されているかどうかを判定するステップと、
(d)安全センサとしての前記身体装着デバイス(42)における安全手段(50)によって、前記身体装着デバイス(42)の前記人へのフェイルセーフな配置および固定をするステップと、
(e)身体装着デバイス(42)が前記所定の態様で配置および固定されていることに応じて、前記身体装着デバイス(42)によって、前記1または複数の入力信号(44)の1つを生成するステップと、
(f)評価ユニット(58)によって、前記安全手段(50)のステータスをフェイルセーフな態様で評価するステップと、
(g)前記身体装着デバイス(42)が前記所定の態様で配置および固定されているときに、送信ユニットよって、前記入力信号(44)の1つを前記安全コントローラ(24)に送信するステップと、
(h)前記安全コントローラ(24)によって、前記入力信号(44)に基づいて前記自律動作マシン(12)を安全な状態に移行することにより安全機能を実行するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律動作マシンから人を防護するためのシステムおよびその方法に関する。また、本発明は自律動作マシンから人を防護するための身体装着デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
工業環境では、自律動作マシンがますます使用されるようになっている。自律動作マシンは、操作員によるほんのわずかな制御で、またはそれもなく、規定された作業空間で独立して動作する。自律動作マシンの例には、特に、独立ロボット、無人運搬システムの無人搬送車(AGV)または自律クレーンがあげられる。
【0003】
他の設備のように、自律動作マシンは、所轄当局による承認を受けるために関連する安全規格を順守しなければならない。具体的には、自律動作マシンは、同じ作業空間にいる人または物体に対する脅威を与えないように設計しなければならない。これは柵または防壁などの固定された設備によって空間的に自律動作マシンを隔離することにより、また人および物体が内側にない状態で作業エリアを封鎖したときにしかマシンの電源がオンにならないことを確実にすることにより達成することができる。
空間の分離は高水準の安全性を可能にするが、一般には自律動作マシンの全潜在能力を活用するうえでは自律動作マシンを高価にし、柔軟性なく、かつひどく制限する。
【0004】
さらに、現在のところあらゆるプロセスを完全に自動化することはできず、操作員は少なくとも一時的にさまざまな状況でその場にいなければならない。しかし、固定された設備および静的な安全手段では、操作員が作業空間に立ち入るたびに自律動作マシンの電源をオフにする必要があるだろう。このことはマシンの全体的な稼働率を大幅に低下させる。
【0005】
代替例として、各自律動作マシンに、マシンと一緒に動き、変化するマシンの作業エリアを動的に監視するそれ自体の安全装置を装備することができる。しかし、自律動作マシンの複雑さによっては、当該安全装置は実施するのが極めて難しくなることがあり、各自律動作マシンに個々に合わせなければならない。このために複雑で高価な安全コンセプトになることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、本発明の目的は、高いコスト効率で実施することができ、稼働率を高めるとともに、共通の作業空間でマシンと操作員との安全な協働を促す自律動作マシンから人を防護するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、入力信号に基づいて自律動作マシンに対する制御を実行する安全コントローラと、入力信号を生成する身体装着デバイスとを備える、自律動作マシンから人を防護するシステムが提供され、前記身体装着デバイスは身体装着デバイスの所定の態様(manner)での人へのフェイルセーフな配置および固定を確実にする安全手段をさらに備え、前記身体装着デバイスは身体装着デバイスが所定の態様で配置および固定されているときにのみ、入力信号を生成するように構成されている。
【0008】
本発明の別の態様によると、自律動作マシンから人を防護するための方法がさらに提供され、前記方法は、
― 身体装着デバイスを所定の態様で人に配置および固定するステップと、
― 身体装着デバイスの安全手段によって、身体装着デバイスの人へのフェイルセーフな配置および固定を確実にするステップと、
― 身体装着デバイスによって、入力信号を生成するステップと、
― 安全コントローラによって、入力信号に基づいて自律動作マシンに対する制御を実行するステップと、
を含み、
身体装着デバイスは、身体装着デバイスが所定の態様で配置および固定されているときにのみ、入力信号を生成する。
【0009】
本発明のさらに別の態様によると、身体装着デバイスの所定の態様での人へのフェイルセーフな配置および固定を確実にする安全手段を有する、自律動作マシンから人を防護する身体装着デバイスが提供される。前記身体装着デバイスは、身体装着デバイスが所定の態様で配置および固定されているときにのみ、安全コントローラ用の入力信号を生成するようにさらに構成されている。
【0010】
本発明のアイデアは、自律動作マシンから操作員を防護するための動的な安全環境を作ることである。動的な安全環境では、操作員自身が自律動作マシンの安全コントローラと対話する身体装着デバイスを使用することによって安全システムの一部になる。
【0011】
身体装着デバイスは、人に所定の態様で装着されて固定されると、インターロック、ライトバリアなどの他の公知の安全センサのように、安全コンセプトに含むことができる。それにより、より柔軟な安全コンセプトが実現可能で、特定のニーズに適応することができる。したがって、静的な安全環境を、共通の作業空間にいる人の動きに対応する動的な安全センサによって向上させることができる。
【0012】
身体装着デバイスは、身体装着デバイスの所定の態様でのフェイルセーフな配置および固定を確実にする安全手段を備える。したがって、安全手段は、身体装着デバイスが関連する安全規格を順守する安全装置として分類できることを確実にする。例えば、安全手段は身体装着デバイス自体がISO 13849安全規格の安全パフォーマンスレベルd(PL d)に準拠することを確実にしてもよい。それにより、身体装着デバイスは自律動作マシンの安全コンセプトにおける他の安全装置に効果的に置き換わることができ、それによりコスト効率の高い安全コンセプトに貢献するだろう。
【0013】
安全装置を操作員に関連付けることで、共通の作業空間における操作員と身体装着デバイスとの協働をさらに向上させてもよい。特に、安全装置を操作員に関連付けることで、同じ作業空間に操作員が存在する場合でも、自律動作マシンの動作を続けさせてもよい。それにより、総合的な稼働率を向上させることができる。
【0014】
安全装置を操作員に関連付けることは、それ自体が関連安全規格に準拠するが、さらに、自律動作マシンにとってよりバランスのとれかつ調和した安全コンセプトを可能にし、操作員に装着される安全装置と自律動作マシンの安全装置との調和が実現可能である。他の(動的な)安全装置との追加の調和により、自律動作マシンは共通の作業空間でより自由に動作でき、したがって、共通の作業空間での協働を大きく遮る全体的に動作する安全装置によって制限されることなく、自律動作マシンはその全潜在能力を活用することが可能である。
【0015】
好適な改良形態において、安全手段は、身体装着デバイスを所定の態様で人に固定するフェイルセーフなインターロック装置を備える。
【0016】
フェイルセーフなインターロック装置は、身体装着デバイスが所定の態様で固定されることを確実にする。身体装着デバイスは、インターロック装置が固定されたときにのみ、入力信号を生成する。それにより、操作員が身体装着デバイスを紛失したか、または故意に脱いだことを簡単に確認することができる。したがって、この改良形態は、高い安全パフォーマンスレベルの実現に簡単かつ効果的に貢献する。
【0017】
さらなる改良形態において、安全手段は、身体装着デバイスが所定の態様で人に配置されているかどうかを判断するためのセンサを備える。
【0018】
この改良形態は、高い安全パフォーマンスレベルの実現にさらに貢献する。デバイスが正しく配置されているかどうかを点検することによって、デバイスが実際に正しい位置で人に取り付けられていることを確認することができる。好ましくは、センサはインターロック装置とは独立して動作する。したがって、インターロック装置およびセンサは、組み合わせて、ISO 13849安全規格のパフォーマンスレベルd(PL d)までの安全水準を保証することができる。
【0019】
特に好適な改良形態において、センサは、身体装着デバイスが所定の態様で固定されているときにのみ、人のバイタルサイン、特に人の心拍を検出するように構成されている。
【0020】
身体装着デバイスの正しい施用を確認するためにバイタルサインを点検することで、身体装着デバイスの本質安全性を一層改善し、誤使用を効果的に排除することができる。それにより、ISO 13849のPL dなどの高い安全水準を達成することができる。
【0021】
さらなる改良形態において、身体装着デバイスは安全手段のステータスをフェイルセーフに評価する評価ユニットを備え、前記評価ユニットは特に2つの個別の処理ユニットを備える冗長設計である。
【0022】
ステータスをフェイルセーフに評価するとは、判断されたステータスの正しさを点検する追加プロセスがあるということである。好ましくは、ステータスは第2評価ユニットによって独立して点検され、安全手段のステータスが正しく査定されたかどうかを安全に判断するために、個々の結果を互いに比較する。そのため、評価は、現在のステータスを冗長的に判断するために、デュアルまたはマルチチャンネル設計であることが好ましい。
【0023】
さらなる改良形態において、安全コントローラは、自律動作マシンの規定された作業エリア内の身体装着デバイスの位置を判断し、検出された位置に基づいて自律動作マシンを制御するようにさらに構成されている。
【0024】
この改良形態では、身体装着デバイスの現在の位置を判断し、それを使用して、現在の安全要件を査定する。そのため、安全性の査定は動的であり、身体装着デバイスを着用している操作員の位置によって変化する。それにより、より柔軟な安全コンセプトが実現可能である。
【0025】
特に好適な改良形態において、身体装着デバイスはその現在の位置を判断する位置測位手段を備え、身体装着デバイスは判断された現在の位置を安全コントローラに送信するように構成されている。
【0026】
この改良形態では、身体装着デバイスは自己の位置を判断することができる。これは、絶対位置情報および/または相対位置情報、ならびに移動ベクトル、速度または加速度などの別の位置関連情報を含んでもよい。専用位置情報を提供することにより、安全コンセプトを一層向上することができる。
【0027】
さらなる改良形態において、自律動作マシンは、身体装着デバイスが自律動作マシンの規定された作業エリア内にあるかどうかを判断し、安全コントローラと連携して、または安全コントローラとは独立して、そのプロセスに対する制御を実行するように構成されている。
【0028】
この改良形態では、自律動作マシンはその作業エリア内の身体装着デバイスを検出することができる。それにより、自律動作マシンの自立性が向上すると同時に、操作員の安全が効果的に確保される。
【0029】
さらなる改良形態において、身体装着デバイスは無線通信ネットワーク、特に超広帯域無線技術を使用した専用近距離無線通信ネットワーク(dedicated short-range radio communication network)を介して通信する通信手段を備え、前記システムは、無線通信ネットワークを介して身体装着デバイスと通信するために、安全コントローラに関連付けられている1つまたは複数の受信機をさらに備える。
【0030】
この改良形態では、身体装着デバイスは安全コントローラと追加情報を共有することができる。追加情報とは、例えば、身体装着デバイスのステータスまたは位置情報とすることができるであろう。それにより、追加の安全関連情報がコントローラによって考慮されるため、安全コンセプトを一層向上することができる。
【0031】
特に好適な改良形態において、安全コントローラは、無線通信ネットワークの位置決定手段を使用して身体装着デバイスの位置を特定し、決定された位置に基づいて制御を実行するように構成されている。
【0032】
この改良形態により、したがって、身体装着デバイスは近距離無線通信を使用して屋内ナビゲーションシステムの一部として使用されてもよい。それにより、位置情報を取得することができ、それに基づいて安全コントローラは自律動作マシンに対する制御を実行することができる。
【0033】
さらなる改良形態において、安全コントローラは自律動作マシンが動作する規定された作業空間内の身体装着デバイスを記録し、追跡するように構成されている。
【0034】
この改良形態では、安全コントローラは作業空間内の身体装着デバイスの動向を追跡する。それにより、自律動作マシンが身体装着デバイスを着用している操作員を妨害しないように、自律動作マシンを制御することができる。安全コントローラと登録されている身体装着デバイスとの連絡が途絶える場合、自律動作マシンは、例えば、自律動作マシンの駆動装置を電源から遮断することにより、安全状態にすることができる。
【0035】
特に好適な改良形態では、安全コントローラは規定された作業空間への立ち入りを制御し、身体装着デバイスを有する人にのみ立ち入りを許可するようにさらに構成されている。
【0036】
この改良形態によると、安全コントローラは、例えば、カルーセル、ライトバリアまたは安全マットによってガードされる入口点をもつ柵を使用して、作業空間への立ち入りを制限することができる。所定の態様でインターロックされて配置された身体装着デバイスを有する操作員にのみ、規定された作業空間への立ち入りが許可される。他の人または身体装着デバイスを有するがインターロック状態の信号を発信しないか、もしくは少なくとも正しく発信しない人は、作業空間に入ろうとするときに、作業空間に入ることを阻止されるか、または自律動作マシンが強制的にシャットダウンされる。そのため、安全コントローラは自律動作マシンを安全な状態にするように構成されており、特に、ログインされた身体装着デバイスから入力信号が受信されないときには、自律動作マシンは安全に停止される。さまざまな安全コンポーネントの組合せが、安全で、しかもコスト効率の高い安全実施態様に貢献する。
【0037】
さらなる利点は、説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0038】
言うまでもなく、以上述べた特徴および以下に説明する特徴は、具体的にあげた組合せだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組合せまたは単独でも使用してもよい。
【0039】
本発明の実施形態を図面に図示し、後の説明で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明のシステムの実施形態の適用シナリオを模式図で示す。
図2】本発明のシステムの好適な実施形態を模式的な線図で示す。
図3】身体装着デバイスの実施形態を示す。
図4】本発明の方法の実施形態をフローチャートで示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明のシステムの実施形態の好適な適用シナリオを示す。システムはその全体を参照符号10で示す。
【0042】
このシナリオでは、本開示の意味における自律動作マシン12を表す2つの無人搬送車12a,12bおよび自律クレーン12cが図示されている。各自律動作マシン12は、本質的に操作員による専用制御なく、所定のタスクを行うように構成されている。あげられる実施例では、無人搬送車12a,12bは商品または材料をクレーン12a,12bに、またこれらから自律的に搬送するように構成されてもよい。一方、クレーン12cは無人搬送車12a,12bから商品または材料を持ち上げるように構成されている。
【0043】
自律動作マシン12は、この実施形態では、規定された作業空間16(ここでは破線で示される)にとどめられ、そこで自由に動作することができる。したがって、無人搬送車12a,12bは、その荷物を搬送するために固定ルートなしで自由に移動してもよい。クレーン12cは作業空間16内の固定設備であるが、クレーン12cは規定された作業エリア20内においては制限なくそのブーム(boom)18を動作させることができる。
【0044】
このシナリオにおいて、作業空間16は作業空間16への立ち入りを制限するために柵22に取り囲まれている。安全コントローラ24は作業空間16を監視して、作業空間16内の物体の動きに関連する危険を防ぐ。
【0045】
一実施形態において、安全コントローラは、規定されていない動きが検出された場合に、作業空間16内の設備をシャットダウンする単純な安全スイッチングデバイスとすることができる。別の実施形態においては、安全コントローラ24は、高度な安全制御機能を実装している構成可能な安全コントローラまたはプログラマブル安全コントローラである。安全制御機能は、作業空間16または内部で作業しているマシンに関連付けられている複数のセンサを評価してもよい。さらに、安全制御機能は、例えば、作業空間16を固定してそれへの立ち入りを拒否することによって、1つまたは複数の設備を電源から切断してシャットダウンすることによって、または設備の現在のプロセスを安全な状態にするように制御することによって、さまざまな方法で制御を実行してもよい。
【0046】
安全コントローラ24は、安全カメラ26、ライトバリア28、安全マット30または非常停止ボタン32などのさまざまな信号デバイスから入力信号を受信することができる。入力信号は、安全違反が発生したかどうかを判断するために、フェイルセーフな評価ユニット34によって個々に、または組み合わせて評価してもよい。違反が検出される場合、安全コントローラ24は、ここでは設備の駆動装置38の電源内に配置されている接触器36によって示されるように、フェイルセーフに関連設備をシャットダウンするように構成されていてもよい。
【0047】
本開示によるシステム10は、自律動作マシン12と同じ作業空間内で働く必要のある操作員40のために、追加の安全装置も含む。追加安全装置は操作員の身体に所定の態様で装着される身体装着デバイス42である。図1による実施形態では、身体装着デバイス42は操作員が手首または足首に着用するリストバンドである。
【0048】
身体装着デバイス42は他の安全装置26,28,30,32と同様に構成されて、好ましくは他の安全装置26,28,30,32に加えて、安全コントローラ24に入力信号を提供する。身体装着デバイス42は入力信号をフェイルセーフな仕方で提供するように構成されている。したがって、身体装着デバイス42は身体装着デバイス42の所定の態様でのフェイルセーフな配置および固定を確実にする追加の安全手段を備える。
【0049】
安全手段は、特に、身体装着デバイス42が所定の態様で人に配置されているかどうかを、身体装着デバイス42のロックデバイスとは独立して判断するセンサを含んでもよい。
【0050】
好適な実施形態では、センサは、身体装着デバイスが所定の態様で身体に配置されているとき、人のバイタル(vital)サインを検出する。例えば、身体装着デバイスは、操作員の皮膚に相対する表面に、リストバンドが操作員の手首または足首にしっかりと固定(lock)されているときにのみ心拍を検出する心拍センサを有するリストバンドとすることができるであろう。それにより、身体装着デバイス42は所定の態様で固定されるだけでなく、配置(arrange)されることも確実にすることができる。
【0051】
身体装着デバイス42は上記に述べたリストバンドに制限されないことに留意されたい。専用の作業服、ヘルメット、靴または手袋などの身体装着デバイス42の他の実施形態も同様に考えられる。さらに、これらの実施形態は操作員に身体装着デバイス42が正しく配置または固定されていることを判断するために、他のセンサを有してもよい。例えば、身体装着デバイス42が正しく配置されて、使用されているかどうかを、例えば皮膚の接触を判断することにより判断する圧力センサ、電気センサ、または複数の異なるセンサの組合せが考えられる。最後に、身体装着デバイス42は操作員の皮下に埋め込まれ、正しく配置されて動作しているときに入力信号を提供するインプラントであってもよい。
【0052】
さらに、異なるシナリオにおいて、操作員は、2つの身体装着デバイスを、例えば両手に着用することが要求されてもよい。このことは2つの身体装着デバイスが適切な場所に接続されているとき、身体だけでなく、身体の部位も同様に、例えば両手首および両手を防護できる利点を有する。
【0053】
実際の設計に関係なく、身体装着デバイス42は他の安全デバイスのように本質的フェイルセーフであるようにさらに設計するべきである。そのため、好適な実施形態による身体装着デバイス42はデバイスのステータスをフェイルセーフな態様で評価する評価ユニットを備える。これは、関連付けられている安全センサを個々に評価する2つ以上の個別処理ユニットを備えるデュアルまたはマルチチャネル評価ユニットによって実現してもよい。なおフェイルセーフな評価はマルチチャネル設計に制限されるわけではないことに留意されたい。フェイルセーフな評価を確実にする本質安全機能を含む専用安全チップなどの他の手段が考えられる。
【0054】
本発明による身体装着デバイス42で達成できる安全コンセプトは多方面にわたる。
【0055】
身体装着デバイス42を付けた操作員は安全システム全体の一部になり、よりフレキシブルな安全コンセプトが可能になる。特に、デバイス42を着用した操作員は、自律動作マシンが動作を停止しなくても、作業空間16に入ることが可能である。言い換えると、身体装着デバイス42は操作員が共通の作業空間16で自律動作マシンと協働することを可能にする。
【0056】
一実施形態において、安全コントローラ24は自律動作マシン12の規定された作業エリア20内の身体装着デバイス42の位置を判断するように構成されていてもよい。判断された位置に基づいて、安全コントローラ24は作業空間16での自律動作マシン12に対する選択的な制御を実行することができる。例えば、安全コントローラ24は、作業エリア20に身体装着デバイス42が現在位置特定されている自律動作マシン12のみをシャットダウンまたは停止するように構成されていてもよい。同じ作業空間16内の他の自律動作マシン12は減速して、またはまったく中断せずにその動作を続けてもよい。
【0057】
身体装着デバイス42の位置およびそれを付けた操作員40の現在の位置を判断するために、身体装着デバイス42はその絶対位置を判断することのできるGPSモジュールなどの位置検出手段を備えてもよい。あるいは、身体装着デバイス42は、作業空間16内の無線ビーコンなどの一定の目印に対する身体装着デバイス42の現在の位置を判断するように構成されている位置検出手段を備えてもよい。別の実施形態では、システムは専用近距離無線通信ネットワークを使用する屋内ナビゲーション手段に基づいて、身体装着デバイス42の位置を特定するように構成されている。あるいは、自律動作マシン12はそれ自体がその関連作業エリア20内の身体装着デバイス42を検出し、特定するように構成することができる。
【0058】
さらに、好適な実施形態において、安全コントローラ24は規定された作業空間16内の身体装着デバイス42を記録および追跡するようにさらに構成されている。この状況における記録とは、安全コントローラ24が各身体装着デバイス42を自動的にまたは手動で登録し、好ましくはログインされたデバイスを有する操作員にのみ作業空間16への立ち入りを認めることを意味する。さらに、安全コントローラ24はログインされた身体装着デバイス42の動向を追跡してもよく、ログインされた身体装着デバイス42の1つとの連絡が途絶える場合に、安全機能を実行してもよい。特に好適な実施形態において、安全コントローラ24は、身体装着デバイス42が作業空間16の内部または外部にあるかを判断するために、ログインデータを位置データと組み合わせる。これにより、作業空間16周囲の固定設備に対する要件が減る。
【0059】
図2は、開示されるシステムの好適な実施形態を模式的な線図で示す。図1と同じ参照符号は同じ部品を表す。
【0060】
図2では、安全コントローラ24および身体装着デバイス42の好適な実施形態が示されている。安全コントローラ24はここでは、さまざまな安全センサからの複数の入力信号を組み合わせる構成可能な安全コントローラである。安全センサは、例えば、作業空間および技術設備の周囲に配置されている安全カメラ26、ライトバリア28、安全マット30または非常停止ボタン32である。各センサは入力信号44をフェイルセーフに(ここでは二重矢印で示す)評価ユニット34に提供する。
【0061】
評価ユニット34は入力信号44を評価し、この実施形態では、技術設備の駆動装置38の電源の接触器36を制御する。好ましくは、安全コントローラ24は、センサ26,28,30,32からの入力信号44が正しく受信されるときにのみ、接触器36をオンに付勢するように構成されている。そのため、入力信号44が遮断される場合、技術設備は電源から切断され、そのためオフに切り換えられ、または少なくともそれ以上始動することはできなくなる。
【0062】
安全コントローラ24は通信インターフェース46をさらに備えてもよい。通信インターフェース46は、センサ26,28,30,32を個々の電線を介して接続することができる端子を含んでもよい。あるいは、通信インターフェース46は、安全コントローラ24をバスに接続することのできるバスインターフェースとすることができる。好適な実施形態において、バスは、センサ26,28,30,32および接触器36などの作用子を安全コントローラ24に接続する専用安全バスである。
【0063】
さらに、通信インターフェース46はセンサを安全コントローラ24にワイヤレス接続するワイヤレスインターフェースを備えてもよい。ワイヤレスインターフェースは、WIFI、Bluetooth(登録商標)または任意の他の専用無線通信インターフェースなど、任意の公知のワイヤレスインターフェースとすることができる。ワイヤレスインターフェースに接続されているセンサは、本質的に、有線センサと同じように動作する。ワイヤレス接続されたセンサから入力信号44が受信されない場合、安全コントローラ24は安全機能を実行する。入力信号44のワイヤレス送信の場合、入力信号が正しく受信されるかどうかを検証するための点検をさらに実施してもよいことは留意されたい。例えば、入力信号として動的入力信号を使用してもよい。
【0064】
身体装着デバイス42は、本質的に、安全コントローラ24によって評価される別のセンサを表す。他のセンサ26,28,30,32と同様に、身体装着デバイス42もフェイルセーフセンサである。そのため、身体装着デバイス42は、安全コントローラ24によってデバイスのエラーが検出されるように設計されなければならない。言い換えると、身体装着デバイス42が何らかの形で故障する場合、安全コントローラ24はその安全機能を実行しなければならない。
【0065】
身体装着デバイス42は、好ましくは、ワイヤレスインターフェース48を介して安全コントローラ24に接続されているため、身体装着デバイス42自体が、身体装着デバイス42から安全コントローラ24に送信される入力信号の安全な生成を確実にしなければならない。
【0066】
そのため、本発明による身体装着デバイス42は入力信号のフェイルセーフな提供を確実にする安全手段50を備える。これらの安全手段50はさまざまな方法で実施してもよく、身体装着デバイス42によって実現されなければならない安全水準に応じて変えてもよい。
【0067】
安全手段50は身体装着デバイスを所定の態様で人に固定するインターロック装置52を備えてもよい。インターロック装置52は、インターロック装置52が正しく固定されている場合にイネーブル信号54を提供するセンサの付いた留め金、バックル、または同様なものとすることができるであろう。
【0068】
さらに、身体装着デバイス42は、身体装着デバイス42が所定の態様で人に配置されているかどうかを判断するために、別のセンサ56を備えてもよい。好ましくは、別のセンサ56はインターロック装置とは独立しており、身体装着デバイス42が所定の態様で正しく配置されているときにのみ、人のバイタルサイン、例えば、人の心拍を検出するように構成されている。別のセンサ56は、身体装着デバイス42が正しく配置されている場合に追加のイネーブル信号を提供し、または身体装着デバイス42が所定の態様で配置されていないことを検出する場合には、インターロック装置52からのイネーブル信号をブロックするように構成することができる。
【0069】
安全手段50は、身体装着デバイスのステータスをフェイルセーフに評価する評価ユニット58をさらに備えてもよい。好ましくは、評価ユニット58は、2つの個別の処理ユニット60a,60bを備える冗長設計である。特に好適な実施形態において、個別の処理ユニット60a,60bは、同じ機能性をもつが異なる製造者製の集積回路またはマイクロコントローラである(ここでは、異なる字体で示す)。それにより、多様性を高めることができる。好ましくは、個別の処理ユニット60a,60bは互いに監視し、それぞれの個々の入力をクロスチェックするように構成されている。
【0070】
身体装着デバイス42が操作員に正しく配置されていると評価ユニット58が判断する場合、入力信号44を安全コントローラ24に送信することを可能にする。安全コントローラ24は身体装着デバイス42からの入力信号44を、他のセンサ26,28,30,32によって提供される他の入力信号44のように扱う。
【0071】
身体装着デバイス42は、作業空間16などの規定されたエリア内の身体装着デバイス42の位置を判断する位置測位手段62をさらに備えてもよい。位置測位手段62は、例えばGPSモジュールを使用して、身体装着デバイス42の現在の絶対位置を能動的に判断し、判断された位置データを安全コントローラ24に送信するように構成されていてもよい。位置データを使用して、身体装着デバイス42を着用している操作員の安全をいかに効果的に保証することができるかを査定することができる。さらに、安全コントローラ24は位置データを使用して、身体装着デバイス42が現在規定された作業空間内にあるかどうかを判断し、または規定された作業空間16内の身体装着デバイス42を追跡することができる。
【0072】
あるいは、または追加で、位置測位手段62は、作業空間内または自律動作マシン上に配置されている受信機(ビーコン)などの他のデバイスが身体装着デバイス42を検出し、位置特定できるようにすることを可能にするように構成してもよい。この場合、位置測位手段62は能動型または受動型の送信機/受信機を備えてもよく、これらが送信機/受信機、例えば、屋内ナビゲーションシステムの送信機/受信機と対話する。屋内ナビゲーションシステムに依拠することは、追加のインフラストラクチャーを不要としてもよく、身体装着デバイス42の位置測位手段62をかなり単純かつ安価にすることができるという利点を有する。安全性を高めるため、個々の位置測位手段の判断された位置の妥当性をクロスチェックするために、さまざまな位置測位手段62を組み合わせてもよいことは留意されたい。
【0073】
図3は、身体装着デバイス42の好適な実施形態を示す。身体装着デバイス42は、ここでは、制御ユニット64とそれに取り付けられているリストバンド66とを備える腕時計状のデバイスである。リストバンド66は、人が手首または足首の周りに着用できるように設計されている。リストバンド66の留め金で、身体装着デバイス42をしっかりと固定することができる。留め金68は本開示の意味におけるインターロック装置の一部を表す。制御ユニット64は、留め金68が正しく閉められているかどうかをフェイルセーフに判断するように構成されている評価ユニットを備える。
【0074】
さらに、この実施形態の身体装着デバイス42は、ここでは、制御ユニット64の背面70に配置されている心拍センサを備える。センサは心拍を判断するために、光電式容積脈波記録法(PPG)を使用してもよい。このように、センサは制御ユニット64の背面70に配置されている1つまたは複数の緑色のLEDライトと、緑色光の吸光を測定するフォトダイオードとを備えてもよい。留め金68が固定され、心拍センサがデバイスを着用している人の心拍を検出しているときには、身体装着デバイス42は所定の態様で正しく配置されている。制御ユニット64はインターロック装置および心拍センサのステータスを評価し、評価に基づいて、ワイヤレス通信インターフェース48を使用して入力信号44を安全コントローラ(ここでは図示せず)に送信するように構成されている。
【0075】
この実施形態の身体装着デバイス42は、入力ボタン72およびディスプレイ74を有する任意のユーザインターフェースをさらに備える。ディスプレイ74を使用して、多様な情報、例えば、安全手段50の現在のステータス、安全コントローラとのリンクのステータス、または留め金68もしくは心拍センサのステータスを表示することができる。入力ボタン72は、操作員が身体装着デバイス42を制御するために使用してもよい。例えば、一実施形態において、入力ボタン72を使用して、身体装着デバイス42を安全コントローラ24に能動的に登録することができる。
【0076】
上記に説明した実施形態は本開示による身体装着デバイス42の一実施例にすぎないことは留意されたい。異なる実施形態も考えられる。特に、安全手段は他の実施形態では、身体装着デバイス42によって達成するべき安全水準に応じて、追加センサもしくは異なるセンサを設けて、または他の組合せで異なるように構成してもよい。
【0077】
図4は、新規方法の実施形態をフローチャートで示す。ここでは、方法はその全体を参照符号100で示す。
【0078】
方法は安全コントローラと身体装着デバイスとを利用して行われる。
【0079】
ステップS110で、身体装着デバイスは所定の態様で人に配置および固定される。
【0080】
次に、ステップS120で、身体装着デバイスに関連付けられている安全手段は、デバイスが所定の態様で正しく配置および固定されているかどうかを、フェイルセーフに検出し、検証する。
【0081】
身体装着デバイスの正しい配置が検出されたら、ステップS130で、身体装着デバイスは入力信号を生成して、入力信号を安全コントローラに送信する。
【0082】
ステップS140で、安全コントローラは入力信号に基づいて、規定された作業空間で動作する自律動作マシンに対する制御を実行する。
【0083】
好適な実施形態において、ステップS120からS140を連続的に繰り返す。
【0084】
身体装着デバイスが故障している場合、または身体装着デバイスの安全手段が入力信号を保留する場合、安全コントローラが反応して、自律動作マシンを安全な状態にする。
【0085】
システム、身体装着デバイスまたは安全コントローラの説明に関して提案されるさまざまな安全コンセプトを実施するために、方法は他の実行形態では前、最後または間に別のステップを含んでもよいことは留意されたい。
【0086】
最後に、開示されるデバイスおよびシステムの要素は、対応するハードウェアおよび/またはソフトウェアの要素、例えば用途に合った回路によって実施してもよいことは留意されたい。回路とは、従来の回路素子を含む電子構成部品の構造組立品、特定用途向け集積回路、標準集積回路、特定用途向け標準製品およびフィードプログラマブルゲートアレイを含む集積回路である。さらに、回路はソフトウェアコードに従ってプログラミングまたは構成されている中央処理装置、グラフィクス処理ユニット、およびマイクロプロセッサを含む。回路は前述のソフトウェアを実行するハードウェアを含むが、純粋なソフトウェアは含まない。
図1
図2
図3
図4