IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧

特許7460339表示装置用のガラス基板及び表示装置用のガラス基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】表示装置用のガラス基板及び表示装置用のガラス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 10/04 20060101AFI20240326BHJP
   C03C 10/12 20060101ALI20240326BHJP
   C03B 32/02 20060101ALI20240326BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20240326BHJP
   C03B 8/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C03C10/04
C03C10/12
C03B32/02
C03C21/00 101
C03B8/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019160381
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2020037510
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0104510
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】イ ホイカン
(72)【発明者】
【氏名】シム ギュイン
(72)【発明者】
【氏名】キム スンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンソク
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-254984(JP,A)
【文献】特開平08-151228(JP,A)
【文献】特表2017-530933(JP,A)
【文献】特開2010-030840(JP,A)
【文献】特開2002-211971(JP,A)
【文献】特開2007-223884(JP,A)
【文献】特開2001-184624(JP,A)
【文献】特開平10-091933(JP,A)
【文献】特開昭59-207850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 10/00
C03B 32/02
C03C 21/00
C03B 8/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置用のガラス基板であって、
SiO2、Al23、及びLi2Oを含み、厚さが0.3mm以上0.8mm以下のベースガラスと、
前記ベースガラスに含まれ、平均直径が5nm以上10nm以下のナノ結晶と、
前記ベースガラスの表面に設けられた圧縮応力層と、
を含み、
前記ナノ結晶が配置された結晶層は、前記ベースガラスの上部面及び下部面のそれぞれの近くに配置され、前記結晶層それぞれの深さは前記ガラス基板の全体厚さの10%以下であり、
前記圧縮応力層の深さは結晶層の深さ以上であり、
350nm以上750nm以下の波長領域において85%以上の透過率を有する、表示装置用のガラス基板。
【請求項2】
前記ナノ結晶は、Liを含む結晶粒子である請求項1に記載の表示装置用のガラス基板。
【請求項3】
前記ナノ結晶は、Li2Si25、Li2SiO3、LiAlSi26のうち少なくとも一つを含む請求項1に記載の表示装置用のガラス基板。
【請求項4】
前記ベースガラスの上部面側の前記結晶層の深さは前記ベースガラスの上部面から前記ナノ結晶が配置された位置までの最大深さであり、
前記ベースガラスの下部面側の前記結晶層の深さは前記ベースガラスの下部面から前記ナノ結晶が配置された位置までの最大深さである、請求項に記載の表示装置用のガラス基板。
【請求項5】
前記圧縮応力層の深さは、前記ガラス基板の厚さの15%以上である、
請求項1に記載の表示装置用のガラス基板。
【請求項6】
平坦部、及び前記平坦部と隣り合う少なくとも一つのベンディング部を含む請求項1に記載の表示装置用のガラス基板。
【請求項7】
表示装置用のガラス基板の製造方法であって、
SiO2、Al23、及びLi2Oを含み、厚さが0.3mm以上0.8mm以下のベースガラスを提供するステップと、
提供された前記ベースガラスを第1温度で熱処理するステップと、
前記ベースガラスを強化するステップと、を含み、
前記第1温度は(Tg+50)℃以上(Ts+150)℃以下であり、
前記Tgは前記ベースガラスのガラス転移温度であり、前記Tsは前記ベースガラスの軟化点温度であり、
前記熱処理するステップはLiを含み、平均直径が5nm以上10nm以下のナノ結晶を形成するステップであり、
前記ナノ結晶は、前記ベースガラスの上部面及び下部面のうち前記ベースガラスの上部面及び下部面のそれぞれの近くに形成され、
前記ナノ結晶が配置された結晶層は、前記ベースガラスの上部面及び下部面のそれぞれの近くに配置され、前記結晶層それぞれの深さは前記ガラス基板の全体厚さの10%以下であり、
前記ベースガラスを強化するステップにより形成された圧縮応力層の深さは結晶層の深さ以上であり、
前記ガラス基板は、350nm以上750nm以下の波長領域において85%以上の透過率を有する、表示装置用のガラス基板の製造方法。
【請求項8】
前記強化するステップは、熱処理された前記ベースガラスに強化溶融塩を提供し、第2温度で化学強化処理するステップである請求項に記載の表示装置用のガラス基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2温度は、前記第1温度以下である請求項に記載の表示装置用のガラス基板の製造方法。
【請求項10】
前記強化溶融塩は、Li+、Na+、K+、Rb+、及びCs+からなる群より選択される
いずれか一つのイオンを含む単一塩であるか、または、Li+、Na+、K+、Rb+、及びCs+からなる群より選択される少なくとも2種以上のイオンを含む混合塩である請求項に記載の表示装置用のガラス基板の製造方法。
【請求項11】
前記化学強化処理するステップは、第1強化温度でイオン交換処理する第1強化ステップと、
前記第1強化温度以下の第2強化温度でイオン交換処理する第2強化ステップと、を含む請求項に記載の表示装置用のガラス基板の製造方法。
【請求項12】
前記Tgは400℃以上700℃以下であり、前記Tsは500℃以上750℃以下である請求項に記載の表示装置用のガラス基板の製造方法。
【請求項13】
前記熱処理するステップは、前記ベースガラスを間に挟んで両側に耐熱ガラス基板を配置して熱処理するステップである請求項に記載の表示装置用のガラス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス基板及びガラス基板の製造方法に関し、より詳しくは、ナノ結晶を含むガラス基板、及びナノ結晶を形成するためのガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel)、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display)などの電子装置に多様に適用されている。例えば、ガラス基板は、テレビジョン、コンピュータのモニタ、携帯用端末機などの製造に使用される表示パネルの基板として使用されるか、または電子装置において表示パネルを保護するカバーガラスとして使用される。
【0003】
最近、電子装置のスリム化の傾向のため、電子装置に使用されるガラス基板に対しては軽量化・薄型化が求められている。また、それと共にガラス基板の強度を改善することができる加工方法または強化方法などが研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許2018-0033583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、衝撃に対する耐久性が向上されたガラス基板を提供することである。
【0006】
また、本発明は、ガラス基板の耐久性を向上させるためにガラス基板の内部にナノサイズの結晶を形成するガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例は、SiO2、Al23、及びLi2Oを含むベースガラスと、前記ベースガラスに含まれ、平均直径が5nm以上10nm以下のナノ結晶と、を含むガラス基板を提供する。
【0008】
上記ガラス基板において、前記ナノ結晶は、Liを含む結晶粒子であってもよい。
【0009】
上記ガラス基板において、前記ナノ結晶は、Li2Si25、Li2SiO3、LiAlSi26、及びLiAlSi33のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0010】
上記ガラス基板において、前記ナノ結晶は、前記ベースガラスの上部面及び下部面のうち少なくとも一つに隣接して形成されてもよい。
【0011】
上記ガラス基板において、前記ベースガラスの表面に圧縮応力層を含んでもよい。
【0012】
上記ガラス基板において、前記圧縮応力層の深さは結晶層の深さ以上であり、前記結晶層の深さは前記ベースガラスの表面から前記ナノ結晶が配置された位置までの最大深さである。
【0013】
上記ガラス基板において、前記ナノ結晶は、前記圧縮応力層に含まれてもよい。
【0014】
上記ガラス基板において、前記ナノ結晶が配置された結晶層は前記ベースガラスの上部面及び下部面それぞれに隣接して配置され、前記結晶層それぞれの深さは前記ガラス基板の全体厚さの10%以下であってもよい。
【0015】
上記ガラス基板において、平坦部、及び前記平坦部と隣り合う少なくとも一つのベンディング部を含んでもよい。
【0016】
上記ガラス基板において、ガラス基板は85%以上の透過率を有してもよい。
【0017】
上記ガラス基板において、一実施例は、表面に圧縮応力層を含み、前記圧縮応力層に分布され、平均直径が5nm以上10nm以下のナノ結晶を含んでもよい。
【0018】
上記ガラス基板において、前記ナノ結晶は、上部面及び下部面に隣接して配置されてもよい。
【0019】
上記ガラス基板において、前記ナノ結晶は、Li2Si25、Li2SiO3、LiAlSi26、及びLiAlSi33のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0020】
他の実施例は、SiO2、Al23、及びLi2Oを含むベースガラスを提供するステップと、提供された前記ベースガラスを第1温度で熱処理するステップと、を含み、前記第1温度は(Tg+50)℃以上(Ts+150)℃以下であり、前記Tgは前記ベースガラスのガラス転移温度であり、前記Tsは前記ベースガラスの軟化点温度であるガラス基板の製造方法を提供する。
【0021】
上記ガラス基板の製造方法において、前記熱処理するステップはLiを含み、平均直径が5nm以上10nm以下のナノ結晶を形成するステップであってもよい。
【0022】
上記ガラス基板の製造方法において、前記ナノ結晶は、前記ベースガラスの上部面及び下部面のうち少なくとも一つに隣接して形成されてもよい。
【0023】
上記ガラス基板の製造方法において、前記ベースガラスを強化するステップを更に含んでもよい。
【0024】
上記ガラス基板の製造方法において、前記ベースガラスを強化するステップは、熱処理された前記ベースガラスに強化溶融塩を提供し、第2温度で化学強化処理するステップであってもよい。
【0025】
上記ガラス基板の製造方法において、前記第2温度は、前記第1温度以下であってもよい。
【0026】
上記ガラス基板の製造方法において、前記強化溶融塩は、Li+、Na+、K+、Rb+、及びCs+からなる群より選択されるいずれか一つのイオンを含む単一塩であるか、または、Li+、Na+、K+、Rb+、及びCs+からなる群より選択される少なくとも2種以上のイオンを含む混合塩であってもよい。
【0027】
上記ガラス基板の製造方法において、前記化学強化処理するステップは、第1強化温度でイオン交換処理する第1強化ステップと、前記第1強化温度以下の第2強化温度でイオン交換処理する第2強化ステップと、を含んでもよい。
【0028】
上記ガラス基板の製造方法において、前記Tgは400℃以上700℃以下であり、前記Tsは500℃以上750℃以下であってもよい。
【0029】
上記ガラス基板の製造方法において、前記熱処理するステップは、前記ベースガラスを間に挟んで両側に耐熱ガラス基板を配置して熱処理するステップであってもよい。
【0030】
上記ガラス基板の製造方法において、前記ベースガラスを提供するステップは、セラミック粉末及びガラス粉末を混合して混合溶融材料を形成するステップと、前記混合溶融液を板状に成形するステップと、を含んでもよい。
【0031】
前記セラミック粉末は、Liを含むナノ結晶である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施例は、ナノサイズの結晶を含むことで、高い透過率を維持し表面強度が改善されたガラス基板を提供することができる。
【0033】
本発明の一実施例は、強化するステップの前に熱処理することを含み、ガラス基板内にナノサイズの結晶を成長させることで、ガラス基板の強度を改善するガラス基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】一実施例による電子装置の斜視図である。
図1B図1Aに示した電子装置の分解斜視図である。
図2】一実施例のガラス基板の一部を示す断面図である。
図3】一実施例のガラス基板の一部を示す断面図である。
図4A図2のAA領域に対する拡大図である。
図4B図4Aに示した一実施例のガラス基板における圧縮応力のプロファイルを示す図である。
図5】一実施例のガラス基板の製造方法を示すフロー図である。
図6】一実施例のガラス基板の製造方法を示すフロー図である。
図7】一実施例のガラス基板の製造方法に提供されたベースガラスの熱分析結果を示すグラフである。
図8】一実施例のガラス基板の製造方法の一部を示す図である。
図9】一実施例のガラス基板の製造方法の一部を示すブロック図である。
図10】一実施例のガラス基板の製造方法における工程温度の変化を示すプロファイルである。
図11A】熱処理するステップ前後のSAXS(Small angle X-ray scattering)分析結果を示すグラフである。
図11B】熱処理するステップ前後のSAXS分析結果を示すグラフである。
図11C】熱処理するステップ前後のSAXS分析結果を示すグラフである。
図12】一実施例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板の透過率を評価した結果を示すグラフである。
図13A】一実施例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板を強化するステップ前後のフリンジパターンを示す画像である。
図13B】比較例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板を強化するステップ前後のフリンジパターンを示す画像である。
図14A】一実施例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板における圧縮応力のストレスプロファイルを示す画像である。
図14B】比較例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板における圧縮応力のストレスプロファイルを示す画像である。
図15A】一実施例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板における衝撃テストの結果を示す画像である。
図15B】比較例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板における衝撃テストの結果を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるゆえ、特定実施例を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定な開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解すべきである。
【0036】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合され得るか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0037】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。
【0038】
「及び/または」は、関連する構成が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0039】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、類似して第2構成要素も第1構成要素と称されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0040】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成の連関関係を説明するために使用される。前記用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0041】
異なるように定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語のような用語は、関連技術の脈絡での意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、理想的な、または過度に形式的な意味に解釈されない限り、明示的にここで定義される。
【0042】
「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0043】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0044】
図1Aは、本発明の一実施例による電子装置の斜視図である。図1Bは、図1Aに示した電子装置の分解斜視図である。
【0045】
図1Aを参照すると、一実施例の電子装置DSは、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2が定義する平面上において、アクティブ領域AR及び周辺領域BRに区分される。また、電子装置DSは、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2が定義する平面に垂直な方向である第3方向軸DR3の方向に所定の厚さを有する立体形状を有する。一方、図1Aに示した一実施例の電子装置DSにおいて、アクティブ領域AR及び周辺領域BRは曲がった形状を有するベンディング領域を含む。しかし、実施例はこれに限らない。例えば、図1A及び図1Bに示した一実施例の電子装置DSとは異なって、一実施例の電子装置DSはベンディング領域を含まないか、ベンディング領域がアクティブ領域AR及び周辺領域BRの一側にのみ配置されるか、または平面上から見て電子装置DSの4面共にベンディング領域を含んでもよい。
【0046】
アクティブ領域ARは、電子装置DSに印加される電気的信号に応答して活性化する領域である。例えば、一実施例において、電子装置DSは表示装置であってもよい。それによって、アクティブ領域ARは活性化されて映像IM1、IM2を表示する。第1映像IM1は、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2によって定義される平面上に表示され、第3方向軸DR3の方向に向かって提供される。第2映像IM2は、第2方向軸DR2及び第3方向軸DR3によって定義される平面に対して傾斜する第4方向軸DR4の方向に向かって提供される。第4方向軸DR4の方向は例示的であって、第2映像IM2はベンディング領域全体に提供されてもよい。つまり、実施例は図1A乃至図1Bの図示に限らず、一実施例による電子装置DSは、ベンディング領域で提供される曲面状のアクティブ領域ARを介して多様な方向に映像を表示する。
【0047】
但し、図1A乃至図1Bは例示的な図示であって、アクティブ領域ARは活性化されて外部のタッチを感知する領域になるか、外部光を感知する領域になってもよい。本発明の一実施例による電子装置DSは、電子装置DSに含まれた構成素子によってアクティブ領域ARを多様な構成領域に活性化させてもよく、いずれか一つの実施例に限らない。
【0048】
周辺領域BRは、アクティブ領域ARに隣接する。図1Aを参照すると、一実施例において、周辺領域BRはアクティブ領域ARの縁を囲む形状を有する。但し、これは例示的な図示であって、周辺領域BRはアクティブ領域ARの縁のうちいずれか一部にのみ隣接してもよい。または、本発明の一実施例による電子装置DSにおいて、周辺領域BRは省略されてもよい。
【0049】
図1A及び図1Bを参照すると、一実施例の電子装置DSは、ガラス基板CW、表示パネルDP、及び筐体HAUを含む。筐体HAU、表示パネルDP、及びガラス基板CWは、第3方向軸DR3の方向に順次に配列される。
【0050】
一実施例において、ガラス基板CWは電子装置DSの外郭部材のうち一つであって、ウィンドウ部材かカバーウィンドウ部材である。ガラス基板CWは筐体HAUと結合されて内部の構成要素を外部から保護する。本実施例において、カバーウィンドウとなるガラス基板CWは電子装置DSの前面を定義する。ガラス基板CWは、外部の衝撃から電子装置DSの内部の構成要素を安定的に保護する。
【0051】
ガラス基板CWは、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2が定義する平面上において、第1領域CW-ARと及び第2領域CW-BRに区分される。
【0052】
第1領域CW-ARは、光学的に透明な領域である。第1領域CW-ARは表示パネルDPが生成する画像IM1、IM2を透過させて、ガラス基板CWの外側に存在するユーザが映像IM1、IM2を容易に視認するようにする。アクティブ領域ARは、実質的に第1領域CW-ARによって定義される。
【0053】
第2領域CW-BRは第1領域CW-ARに隣接する。第2領域CW-BRは、第1領域CW-ARに比べ相対的に光学的透過率が低い。第1領域CW-ARの形状は第2領域CW-BRによって定義される。一方、これは例示的な図示であって、本発明の一実施例による電子装置DSにおいて、第2領域CW-BRは省略されてもよい。
【0054】
一方、ガラス基板CWは平坦部FA及びベンディング部BAに区分される。平坦部FAは、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2が定義する平面と平行する部分である。ベンディング部BAは平坦部FAと隣り合い、曲がった形状を有する曲面部分である。例えば、図1Bを参照すると、ベンディング部BAは平坦部FAの両側に隣接した部分であって、平坦部FAから下側に折曲された部分であってもよい。但し、実施例はこれに限らず、ベンディング部BAは平坦部FAの一側にのみ隣接して配置されるか、または平面上において、平坦部FAの4つの側面共に隣接して配置されてもよい。ガラス基板CWのベンディング部BAは、一実施例の電子装置DSにおいてベンディング領域に対応する。
【0055】
ガラス基板CWは、それぞれ第1方向軸DR1と第2方向軸DR2が定義する平面上において、第3方向軸DR3の方向に互いに離隔された上部面US(図4A)及び下部面BS(図4A)を含む。上部面US(図4A)及び下部面BS(図4A)は互いに平行に設けられる。
【0056】
上部面US(図4A)は、電子装置DSの前面を定義する。上部面US(図4A)は、電子装置DSを使用するユーザに露出される面である。下部面BS(図4A)は、表示パネルDPに向かう面である。図1Aに示した電子装置DSの結合斜視図において、下部面BS(図4A)は外部に露出されない。
【0057】
表示パネルDPは、ガラス基板CWと筐体HAUとの間に配置される。表示パネルDPは、映像IM1、IM2を生成する。表示パネルDPは、映像IM1、IM2を介してユーザに情報を提供する。
【0058】
表示パネルDPは、ベース層BSL及び素子層DDを含む。ベース層BSLは絶縁物質を含む。例えば、ベース層BSLはガラスを含んで製造されたベース基板、高分子物質を含んで製造されたプラスチックベース基板、または有機膜及び/または無機膜を含む積層フィルムであってもよい。但し、これは例示的な記載であって、本発明の一実施例によるベース層BSLは多様な構成を含んでもよく、いずれか一つの実施例に限らない。
【0059】
素子層DDは、電気的信号によって活性化される電子素子を含む。本実施例において、素子層DDは映像IM1、IM2を生成する表示素子を含む。例えば、素子層DDは有機発光素子、エレクトロウェッティング素子、液晶キャパシタ、または電気泳動素子を含んでもよい。
【0060】
但し、これは例示的な記載であって、素子層DDはタッチセンサまたは光センサのようなセンサ素子を含んでもよい。本発明の一実施例による素子層DDは電子装置DSの機能に応じて多様な素子を含んでもよく、いずれか一つの実施例に限らない。
【0061】
筐体HAUは、電子装置DSの外郭部材のうち一つである。筐体HAUは、ガラス基板CWと結合して内部の構成要素を外部から保護する。本実施例において、筐体HAUは電子装置DSの後面を定義する。
【0062】
一方、図示していないが、電子装置DSは筐体HAU内に収容可能な多様な追加構成を更に含む。例えば、電子装置DSは表示パネルDPに電源を供給する構成、ガラス基板CWと表示パネルDPを安定的に結合する構成、表示パネルDPと筐体HAUを安定的に結合する構成などを更に含んでもよい。電子装置DSは多様な構成を含む多様な形態で提供されてもよく、いずれか一つの実施例に限らない。
【0063】
図2及び図3は、それぞれ一実施例のガラス基板を示す断面図である。図2及び図3は、図1BのI-I'線に対応する部分を示す断面図である。図4A図2のAA領域を拡
大して示した図面であり、一実施例のガラス基板の断面を示している。図4Bは、一実施例のガラス基板における圧縮応力のプロファイルを示す図である。
【0064】
一実施例のガラス基板CWは、ベースガラスBG及びナノ結晶NCを含む。ベースガラスBGはSiO2、Al23、及びLi2Oを含み、ナノ結晶NCは平均直径が5nm以上10nm以下である。ナノ結晶NCはベースガラスBGに含まれる。
【0065】
本明細書において、ベースガラスBGとは、加工工程を行う前の予備ガラス基板を指す。加工工程は、強化工程及び熱処理工程などを含む。つまり、一実施例のガラス基板CWは、ベースガラスBGに対して熱処理工程、強化工程などが行われてから提供された状態を示す。例えば、上述した一実施例の電子装置DS(図1A)におけるガラス基板CWはベースガラスBGを加工して提供されたものであって、カバーウィンドウとして使用される。
【0066】
一実施例のガラス基板CWは、ナノ結晶NCを含むことで改善された強度特性を示す。一実施例のガラス基板CWは、ナノ結晶NCを含むことで、外部衝撃によるクラックの発生または外部衝撃によって発生したクラックの成長を抑制し、高い耐衝撃性を有する。一実施例のガラス基板CWは高い表面強度を示し、表面におけるクラックの発生が減少されることで高い表面耐衝撃性を有する。
【0067】
一方、一実施例のガラス基板CWは、上述した電子装置DS(図1A)などでカバーウィンドウとして使用されるように高い透過率を有する。例えば、ガラス基板CWは、85%以上の高い透過率を有してもよい。詳しくは、一実施例のガラス基板CWは、可視光線の波長領域で85%以上の透過率を有すると共に、改善された耐衝撃性を有する。
【0068】
一実施例において、ベースガラスBGは、SiO2、Al23、及びLi2O以外に、追加にNa2O、K2O、MgO、及びCaOのうち少なくとも一つを更に含む。また、ベースガラスBGは、Fe23、ZnO、TiO2、またはP25などを更に含む。
【0069】
ガラス基板CWはナノ結晶NCを含むが、ナノ結晶NCは平均直径が5nm以上10nm以下であることが好ましい。ナノ結晶NCはベースガラスBG内に含まれる。ナノ結晶NCは定型化されていない立体形状であり、ナノ結晶NCの平均直径は、複数個のナノ結晶NCそれぞれの断面におけるナノ結晶NCそれぞれの最大幅に対して算出された平均値である。
【0070】
ナノ結晶NCの平均直径が5nm未満であれば、ナノ結晶NCを含むガラス基板CWの強度改善効果が大きくない恐れがある。また、ナノ結晶NCの平均直径が10nmを超過すれば、ベースガラスBG内に分布されたナノ結晶NCによってガラス基板CWに入射した光が散乱され、ガラス基板CWの透過率が減少する恐れがある。
【0071】
ナノ結晶NCはLiを含む。一実施例のガラス基板CWに含まれたナノ結晶NCはLiを含み、Li-Si系結晶、Li-Al-Si系結晶である。Li-Si系結晶はLiとSiを含んで成長した結晶であり、Li-Al-Si系結晶はLi、Al、Siを全て含んで成長した結晶である。
【0072】
例えば、ナノ結晶NCは、Li-Si系結晶としてLi2Si25(リチウムジシリケート)、またはLi2SiO3(リチウムメタシリケート)などを含んでもよい。また、ナノ結晶NCは、Li-Al-Si系結晶としてβ-スポジュメンであるLiAlSi26、またはLiAlSi33などを含む。詳しくは、ナノ結晶NCは、Li2Si25、Li2SiO3、LiAlSi26、及びLiAlSi33のうち少なくとも一つを含む。
【0073】
図2を参照すると、一実施例のガラス基板CWにおいて、ナノ結晶NCはガラス基板CWの表面に隣接して配置される。一方、図2とは異なって、図3に示した一実施例のガラス基板CW-1においては、ナノ結晶NCはベースガラスBGに分散されて分布される。
【0074】
図2及び図4Aを参照すると、ガラス基板CWは対向する上部面US及び下部面BSを含み、上部面US及び下部面BSの間の間隔と対応する厚さtCWを有する。ガラス基板の厚さtCWは、0.3mm以上0.8mm以下である。つまり、一実施例のガラス基板CWは0.3mm以上0.8mm以下の厚さを有することで、上述した一実施例の電子装置DS(図1A)のカバーウィンドウとして使用されて電子装置DS(図1A)をスリム化及び軽量化させる。
【0075】
図2及び図4Aに示した一実施例のガラス基板CWにおいて、ナノ結晶NCは、ベースガラスBGの上部面及び下部面BSに隣接して配置される。つまり、ナノ結晶NCは、一実施例のガラス基板CWから外部に露出された表面に隣接して配置される。
【0076】
一方、これとは異なって、図3に示した一実施例のガラス基板CW-1においては、ナノ結晶NCはベースガラスBGの内部に分散されて配置される。ナノ結晶NCは、ベースガラスBG内にランダムに分布される。ナノ結晶NCは平均直径が5nm以上10nm以下のナノスケールのサイズを有する粒子であって、ナノ結晶NCがベースガラスBG内に配置された一実施例のガラス基板CW-1は高い透過率を維持する。
【0077】
図2及び図4Aに示した一実施例のガラス基板CWにおいては、ナノ結晶NCが主にガラス基板CWの表面に隣接するように配置されることで、より改善された表面強度を示す。また、図3に示した一実施例のガラス基板CW-1は、ベースガラスBG内に分散されたナノ結晶NCを含むことで、バルク(bulk)状態で改善された強度を示す。
【0078】
一実施例のガラス基板CWは、圧縮応力層LDCを含む。圧縮応力層LDCは、ガラス基板CWの表面に隣接して形成される。圧縮応力層LDCは、ガラス基板CWの表面から厚さ方向に所定の深さで形成される。本明細書において、圧縮応力層LDCは、ガラス基板CWの表面から圧縮応力(Compressive Stress:CS)が0になる地点までの領域を示す。一実施例のガラス基板CWは、ベースガラスBGの上部面US及び下部面BSのうち少なくともいずれか一つに隣接して形成された圧縮応力層LDCを含む。図4A及び図4Bを参照すると、一実施例のガラス基板CWは、ベースガラスBGの上部面US及び下部面BSそれぞれに隣接するように形成された圧縮応力層LDCを含む。
【0079】
圧縮応力層LDCにおいて、圧縮応力は、ガラス基板CWの表面から厚さ方向に行くほど次第に減少される。例えば、圧縮応力層LDCは、後述するガラス基板の製造方法において、ベースガラスを強化するステップを経て形成されてもよい。
【0080】
一方、圧縮応力層LDCの深さは、圧縮深さ(Depth of Compression)tDCで表される。ナノ結晶NCがベースガラスBGの上部面US及び下部面BSに隣接して配置された一実施例のガラス基板CWは、結晶層LNCを含む。結晶層LNCは、ナノ結晶NCが配置された領域を示す。一実施例のガラス基板CWにおいて、結晶層LNCは、上部面US及び下部面BSのうち少なくともいずれか一つに隣接して形成される。図2及び図4Aを参照すると、一実施例のガラス基板CWは、上部面US及び下部面BSそれぞれに隣接した結晶層LNCを含む。
【0081】
本明細書において、結晶層の深さtNCは、ナノ結晶NCがベースガラスBGの上部面US及び下部面BSに隣接して位置される場合において、ガラス基板CWの表面からナノ結晶NCが配置される位置までの最大深さを示す。
【0082】
一実施例のガラス基板CWにおいて、圧縮応力層LDCの深さである圧縮深さtDCは結晶層の深さtNC以上である。結晶層の深さtNCは、全体ガラス基板CWの厚さtCWの10%以下である。結晶層LNCはベースガラスBGの上部面US及び下部面BS共に隣接して配置され、結晶層LNCそれぞれの結晶層の深さtNCが全体ガラス基板CWの厚さの10%以下である。よって、結晶層LNCがベースガラスBGの上部面US及び下部面BS共に隣接して配置されれば、全体結晶層LNCの深さは全体ガラス基板CWの厚さtCWの20%以下である。
【0083】
一実施例のガラス基板CWにおいて、ナノ結晶NCは圧縮応力層LDCに含まれる。例えば、結晶層LNCは圧縮応力層LDCに含まれてもよい。
【0084】
図4Bは、一実施例のガラス基板CWにおいて、圧縮応力の分布を示す応力プロファイルSPを例示的に示している。図4Bにおいて、圧縮応力を示す軸の矢印方向は、圧縮応力が増加する方向に当たる。図4Bを参照すると、一実施例のガラス基板CWは、上部面US及び下部面BSにおいてそれぞれ最大の圧縮応力値を示し、ガラス基板CWの中心方向に行くほど圧縮応力値が次第に減少する。一方、ガラス基板CWの圧縮深さtDC以上(内側)では、圧縮応力値が負(-)の値を示す。負の圧縮応力値は引張力である。圧縮深さtDCは、上部面USまたは下部面BSから圧縮応力CS値が0になる基準線BLと応力プロファイルSPが交差する地点までの垂直距離を示す。
【0085】
一実施例のガラス基板CWは、表面で600MPa以上の圧縮応力を有する。例えば、ガラス基板CWは、表面で800MPa以上の圧縮応力を有してもよい。圧縮深さtDCは、ガラス基板CWの全体厚さtCWの10%以上である。例えば、圧縮深さtDCは、ガラス基板CWの表面からそれぞれ全体厚さtCWの15%以上であってもよい。
【0086】
一実施例のガラス基板は、SiO2、Al23、及びLi2Oを含むベースガラス、及び平均直径が5nm以上10nm以下のナノ結晶を含むことで、改善された耐衝撃性を有する。一方、一実施例において、ナノ結晶はベースガラスに含まれている。また、一実施例のガラス基板は、表面に圧縮応力層を含み、前記圧縮応力層に分布されて平均直径が5nm以上10nm以下のナノ結晶を含むことで、改善された表面強度を示す。
【0087】
上述した一実施例のガラス基板は、Liを含むナノ結晶を含むことで、高い透過率を維持しながらも改善された耐衝撃性を有する。一方、一実施例のガラス基板は、圧縮応力層に含まれるようにガラス基板の表面に隣接した領域に配置されたナノ結晶を含むことで、良好な透過率特性を示しながらも、改善された表面強度特性を示す。
【0088】
以下、図5乃至図15Bを参照して、上述した一実施例のガラス基板を製造する一実施例のガラス基板の製造方法について説明する。一実施例のガラス基板の製造方法に関する説明において、上述した一実施例のガラス基板に関する内容と重複する内容は再度説明せず、差を中心に説明する。
【0089】
図5及び図6は、それぞれ一実施例のガラス基板の製造方法を示すフロー図である。図5及び図6を参照すると、一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラスを提供するステップS100と、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200と、を含む。また、一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラスを強化するステップを更に含む。一実施例のガラス基板の製造方法において、ベースガラスを強化するステップは、ベースガラスを化学強化処理するステップS300である。
【0090】
ベースガラスを提供するステップS100において、ベースガラスはSiO2、Al23、及びLi2Oを含む。提供されるベースガラスはフラット(flat)である。また、ベースガラスはベンディング(bending)されたものであってもよい。例えば、ベースガラスは、中央部分を基準に膨らむか窪んでベンディングされていてもよい。また、ベースガラスは、平坦部、及び平坦部に隣接した外郭部分にベンディング部を含む。しかし、実施例はこれに限らず、ベースガラスは多様な形状に提供されてもよい。
【0091】
提供されるベースガラスは、フロート法(float process)、ダウンドロー法(down draw process)、またはフュージョン法(fusion process)などによって製造される。しかし、実施例はこれに限らず、提供されるベースガラスは例示されていない多様な方法によって製造されてもよい。ベースガラスを提供するステップS100において、提供されるベースガラスは、上述した多様な工法で製造されたガラス原板がそのまま提供されるか、または使用用途を考慮して切断されて提供される。
【0092】
一実施例において、提供されるベースガラスは、SiO2、Al23、及びLi2O以外に、追加にNa2O、k2O、MgO、及びCaOのうち少なくとも一つを更に含んでもよい。また、ベースガラスは、Fe23、ZnO、TiO2、またはP25などを更に含む。
【0093】
一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラスを提供するステップS100の後に、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200を含む。一実施例のガラス基板の製造方法において、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200は、提供されたベースガラスの内部にナノ結晶を成長させるステップである。ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200は、提供されたベースガラスに含まれたLi2Oから成長されるナノ結晶を形成するステップである。
【0094】
第1温度は、(Tg+50)℃以上(Ts+150)℃以下である。ここで、Tgはベースガラスのガラス転移温度(Glass Transition Temperature)であり、Tsはベースガラスの軟化点温度(Softening Point Temperature)を示す。ベースガラスを熱処理する第1温度が(Tg+50)℃未満であれば、ベースガラスは変形しないが、内部に分布されたイオンの移動度が低下して、ナノ結晶を成長させるための核の形成が難しくなる恐れがある。また、第1温度が(Ts+150)℃を超過すれば、核の形成及びナノ結晶の成長が容易に行われるが、高い温度の影響でベースガラスの変形が発生する恐れがある。
【0095】
図7は、ベースガラスの熱分析結果を示すグラフである。図7は、TMA(Thermomechanical Analysis)分析の結果であって、3つのベースガラスのサンプルに対して実施した熱分析の結果を示している。サンプル1乃至サンプル3で表されたベースガラスは、いずれもSiO2、Al23、及びLi2Oを含む。図7において、Tg(Tg-1、Tg-2、Tg-3)は各サンプルに対するガラス転移温度であり、Ts(Ts-1、Ts-2、Ts-3)は各サンプルに対する軟化点温度である。図7を参照すると、一実施例のガラス基板の製造方法に提供されるベースガラスのTgは400℃以上700℃以下であり、Tsは500℃以上750℃以下である。
【0096】
一方、ベースガラスを熱処理する第1温度は450℃以上900℃以下である。つまり、第1温度が450℃未満であれば、ベースガラス内のイオンの移動度が低下してナノ結晶の成長が容易ではない恐れがあり、第1温度が900℃を超過すれば、ベースガラスの変形が発生する恐れがある。
【0097】
第1温度で熱処理するステップS200は、仮想のチャンバ内で行われる。ベースガラスは、多様な形態にチャンバ内に提供される。例えば、ベースガラスは、セル状に加工されて複数のセルが重なった状態に提供されてもよい。一方、加工されたセル状は、上述した電子装置DS(図1A)のカバーウィンドウとして使用されるガラス基板CW(図1A)の形態に切断されて成形された形態である。複数のセルが重なった状態で提供されてチャンバ内で熱処理するステップが行われれば、重なったセルが支持機能を有するようになって、高温処理条件でもベースガラスの変形が最小化される。
【0098】
一方、第1温度で熱処理するステップS200は、ガラス原板状に提供さればベースガラスを、チャンバ内で垂直方向にかけて固定し熱処理する方法で行われる。
【0099】
また、これとは異なって、ガラス原板状のベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200は耐熱ガラスを利用して行われてもよい。図8は、第1温度で熱処理するステップの一実施例を示す図である。
【0100】
図8において、ベースガラスBGは、耐熱ガラスSWと共に積層されて提供される。耐熱ガラスSWは加工前のガラス基板であるベースガラスBGに比べ厚い厚さを有し、ベースガラスBGの軟化点Ts温度以上で熱変形が行われない耐熱性を有する。ベースガラスBGと耐熱ガラスSWは交差して配置されるが、対向する耐熱ガラスSWの間にベースガラスBGを配置して熱処理するステップの間にベースガラスBGが耐熱ガラスSWによって支持されるようにして、ベースガラスBGの変形を最小化する。
【0101】
ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200は、第1温度で24時間以上行われる。例えば、第1温度で熱処理するステップS200は、24時間以上96時間以下で行われてもよい。詳しくは、第1温度で熱処理するステップS200は、48時間以上72時間以下で行われる。
【0102】
ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200において、ナノ結晶が形成される。つまり、ベースガラスを第1温度で24時間以上熱処理して、ベースガラスの内部またはベースガラスの表面に隣接するようにナノ結晶を成長させる。
【0103】
ナノ結晶は、Liを含む結晶粒子である。ナノ結晶は、ベースガラスに含まれたLi2Oが造核剤となって形成される。また、これとは異なって、ベースガラスの表面にある微小欠陥(micro defect)、またはほこり(dust)などがナノ結晶の成長のための核になってもよく、それによってベースガラスの表面に隣接してナノ結晶が成長し配置される。
【0104】
第1温度で熱処理するステップS200で生成されたナノ結晶はLi-Si系結晶、またはLi-Al-Si系結晶である。ナノ結晶NCは、Li2Si25、Li2SiO3、LiAlSi26、及びLiAlSi33のうち少なくとも一つを含む。ナノ結晶NCは、平均直径が5nm以上10nm以下である。
【0105】
一方、上述した一実施例のガラス基板の製造方法とは異なって、ベースガラスを提供するステップS100から提供されるベースガラスは、セラミック粉末を含むように提供される。例えば、図9はベースガラスを提供するステップS100の一実施例を示している。
【0106】
図9を参照すると、ベースガラスを提供するステップS100は、セラミック粉末とガラス粉末を混合して混合溶融材料を形成するステップS10と、混合溶融材料を板状に成形するステップS30と、を含む。一方、セラミック粉末はLiを含むナノ結晶である。つまり、図5及び図6で説明した一実施例のガラス基板の製造方法から提供されたベースガラスとは異なって、図9に示した実施例のように製造されて提供されるベースガラスは、熱処理するステップS200(図5)の前にベースガラスの内部に結晶粒子を含んでいる。
【0107】
セラミック粉末は、Li-Si系結晶またはLi-Al-Si系結晶であるか、TiO2、P25、ZrO2などの無機物である。しかし、実施例はこれに限らず、セラミック粉末はガラス粉末と混合されて結晶を成長させる造核剤の役割をするものであれば、制限なく使用されてもよい。
【0108】
ガラス粉末は粉砕されたガラス粒子である。ガラス粉末は、上述したフロート法、ダウンドロー法、またはフュージョン法などによって製造されたガラス原板を粉砕したものである。ガラス粉末は、SiO2、Al23、及びLi2Oを含む。
【0109】
セラミック粉末とガラス粉末は、ガラス粉末の軟化点Ts以上の温度で溶融されて混合溶融材料を形成する。次に、混合溶融液を成形のためのジグに提供し、板状に成形してベースガラスを製造する。成形されて形成されたベースガラスに対し、熱処理するステップS200(図5)が行われる。
【0110】
第1温度で熱処理するステップS200(図5)は、図9に示した一実施例によって提供されたベースガラスを熱処理してベースガラス内に結晶を成長させるステップである。図9に示した一実施例によって提供されたベースガラスを熱処理して製造されたガラス基板は、上述した図3に示した一実施例のガラス基板CW-1のように、ナノ結晶NCがベースガラスBGの内部に分散された形態である。
【0111】
一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200の後に、ベースガラスを強化するステップを更に含む。図6を参照すると、一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200の後に、熱処理されたベースガラスを化学強化処理するステップS300を含む。
【0112】
ベースガラスを化学強化処理するステップS300は、強化溶融塩をベースガラスに提供し、イオン交換を利用してベースガラスの表面強度を上げる。第1温度で熱処理されたベースガラスは内部にナノ結晶を含み、イオン交換法によって表面が強化処理される。例えば、イオン交換法によってベースガラスを化学強化処理するステップS300は、ベースガラスの表面の相対的にイオン半径が小さいアルカリ金属イオンを、イオン半径がより大きいアルカリ金属イオンに交換して行われてもよい。例えば、ベースガラスの表面のNa+イオンなどをK+イオンなどに交換して表面強化が行われてもよい。化学強化処理するステップS300を経て製造されたガラス基板は、表面に圧縮応力層LDC図4B)を含む。
【0113】
ベースガラスを化学強化処理するステップS300は、強化溶融塩としてLi+、Na+、K+、Rb+、及びCs+からなる群より選択されるいずれか一つのイオンを含む単一塩を含む。また、これとは異なって、ベースガラスを化学強化処理するステップS300は、強化溶融塩としてLi+、Na+、K+、Rb+、及びCs+からなる群より選択される2種以上のイオンを含む混合塩を含んでもよい。例えば、混合塩は、Li+、Na+、K+、Rb+、及びCs+からなる群より選択される2種以上のイオンを含んでもよい。
【0114】
ベースガラスを化学強化処理するステップS300は、一つの強化ステップで行われる。また、これとは異なって、ベースガラスを化学強化処理するステップS300は複数のステップに区分されて行われてもよく、例えば、ベースガラスを化学強化処理するステップS300は、多段強化ステップで行われてもよい。
【0115】
一方、ベースガラスを化学強化処理するステップS300が多段強化ステップで行われれば、各強化ステップで使用される強化溶融塩の構成は互いに異なる。しかし、実施例はこれに限らず、各強化ステップで使用される強化溶融塩の構成は、互いに同じであるか一部の溶融塩の構成が互いに異なってもよい。
【0116】
ベースガラスを化学強化処理するステップS300は、第2温度で行われる。第2温度は、ベースガラスを熱処理するステップS200の第1温度以下の温度である。例えば、第2温度は350℃以上500℃以下であってもよい。詳しくは、第2温度は350℃以上450℃以下である。
【0117】
ベースガラスを化学強化処理するステップS300が多段強化ステップで行われれば、第1強化温度でイオン交換処理する第1強化ステップ、及び第2強化温度でイオン交換処理する第2強化ステップを含む。一方、化学強化処理するステップS300が多段強化ステップで行われれば、第2強化温度は第1強化温度以下である。
【0118】
ベースガラスを化学強化処理するステップS300の後、ベースガラスの表面に圧縮応力層が形成される。圧縮応力層LDC図4B)は、ガラス基板の上部面USまたは下部面BSから圧縮応力CS値が0になる地点までの層と定義される。圧縮応力層LDC図4B)の深さtDCは、DOCと定義される。
【0119】
一方、ガラス基板の上部面USまたは下部面BSからNa+イオンの濃度が0になる地点までの深さは、圧縮応力層LDC図4B)の深さであるDOCと類似している。例えば、ガラス基板の上部面USまたは下部面BSからNa+イオンの濃度が0になる地点までの深さは、DOC±10nmの範囲にあってもよい。
【0120】
また、圧縮応力層LDC図4B)は、K+イオンの濃度が0になる地点と定義されるサブ圧縮応力層(図示せず)を含む。サブ圧縮応力層(図示せず)は、K+イオン交換によって形成された層である。サブ圧縮応力層(図示せず)の深さは、DOL-K(Depth of K+ ion Layer)と定義される。
【0121】
例えば、ベースガラスを化学強化処理するステップS300が多段強化ステップで行われれば、圧縮応力層LDC図4B)は圧縮応力のプロファイルが遷移される遷移点(Transition point)を含む。この際、圧縮応力値の遷移点は、K+イオンの濃度が0になる地点であるDOL-Kの深さに対応する地点である。ベースガラスを化学強化処理するステップS300が多段強化ステップで行われれば、圧縮応力層はDOC及びDOL-Kの深さを全て示す。DOL-KはDOCに含まれる。
【0122】
図10は、一実施例のガラス基板の製造方法のステップによる工程の温度プロファイルを概略的に示している。一方、図10に示した工程の温度プロファイルは、各工程ステップにおけるベースガラスまたはガラス基板の温度を示している。
【0123】
図10を参照すると、ベースガラスを提供するステップS100において、ベースガラスは常温RTで提供される。提供されるベースガラスは、SiO2、Al23、及びLi2Oを含む。
【0124】
次に、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップS200は、T1温度で行われる。つまり、ベースガラスの温度は熱処理するステップS200の間T1に維持される。この際、T1温度は、ベースガラスの(Tg+50)℃以上(Ts+150)℃以下の温度である。例えば、T1は450℃以上700℃以下であってもよい。
【0125】
図10は、ベースガラスを化学強化処理するステップS300が多段強化ステップで行われる場合に対する温度プロファイルを示している。ベースガラスを化学強化処理するステップS300は、第1強化温度のT21でイオン交換処理する第1強化ステップS310と、第2強化温度のT22でイオン交換処理する第2強化ステップS320と、を含む。ベースガラスを化学強化処理するステップS300の第1及び第2強化温度であるT21及びT22は、第1温度であるT1以下の温度である。また、第2強化温度であるT22は、第1強化温度であるT21以下である。
【0126】
図11A乃至図11Cは、一実施例のガラス基板の製造方法において、熱処理するステップ前後によるSAXS分析結果を示すグラフである。図11A乃至図11Cはそれぞれ実施例1乃至実施例3に対するSAXSデータを示しており、「ref」は熱処理するステップの前のベースガラスに対するSAXSデータを示し、実施例はベースガラスを熱処理した後のSAXSデータを示している。図11A乃至図11Cにおいて、「SDP」はショルダピーク(Shoulder peak)を示しており、ショルダピークの面積の増加からナノ結晶の成長可否を確認することができる。一方、図11A乃至図11Cにおいて、矢印(→)はショルダピークの増加方向を示す。
【0127】
図11Aにおいて、「ref」は熱処理するステップの前のベースガラスに対するSAXS分析グラフを示し、「実施例1-1」は「ref」のベースガラスを535℃で72時間熱処理するステップを行った後のSAXS分析グラフを示し、「実施例1-2」は「ref」のベースガラスを575℃で48時間熱処理するステップを行った後のSAXS分析グラフを示している。図11Aの結果から、熱処理するステップの後のショルダピークSDPが熱処理するステップの前のショルダピークSDPより大きくなっていることから、熱処理するステップの後にガラス基板内に成長されたナノ結晶が成長されていることが分かる。
【0128】
図11Bにおいて、「実施例2-1」は「ref」のベースガラスを650℃で48時間熱処理するステップを行った後のSAXS分析グラフを示し、「実施例2-2」は「ref」のベースガラスを620℃で72時間熱処理するステップを行った後のSAXS分析グラフを示している。また、図11Cにおいて、「実施例3-1」は「ref」のベースガラスを700℃で48時間熱処理するステップを行った後のSAXS分析グラフを示し、「実施例3-2」は「ref」のベースガラスを665℃で72時間熱処理するステップを行った後のSAXS分析グラフを示している。
【0129】
図11B及び図11Cを参照すると、熱処理するステップの後のショルダピークSDPが熱処理するステップの前のショルダピークSDPより大きくなっていることから、熱処理するステップの後にナノ結晶が成長されたことが分かる。よって、図11A乃至図11CのSAXS分析結果から、一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラス基板を第1温度で熱処理することでナノ結晶を形成することができることが分かる。
【0130】
図12は、一実施例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板の透過率を示すグラフである。図12において、透過率は350nm以上750nm以下の波長領域で測定しており、全ての実施例において85%以上の高い透過率を示している。一方、実施例1-1乃至実施例3-2は、図11A乃至図11Cに示したSAXSの評価に使用された実施例と同じ条件で製造されたものである。よって、図12の透過率測定結果から、一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラス基板を第1温度で熱処理することで、ナノ結晶が成長された後も良好な透過率特性を維持することが分かる。
【0131】
図13A及び図13Bは、ガラス基板の製造方法において、ベースガラスを強化するステップ前後のフリンジパターン(Fringe pattern)を示す画像である。また、図14A及び図14Bは、ガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板におけるベースガラスを強化するステップの後の圧縮応力のプロファイルを示す画像である。
【0132】
図13Aは一実施例のガラス基板の製造方法で製造された実施例において、ベースガラスを強化するステップの前(Before)とベースガラスを強化した後(After)のフリンジパターンの変化を比較して示している。図13Bは一実施例のガラス基板の製造方法とは異なって、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップを行わずに製造されたガラス基板である比較例において、ベースガラスを強化するステップの前とベースガラスを強化した後のフリンジパターンの変化を比較して示している。また、図14Aは一実施例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板におけるベースガラスを強化するステップの後の応力のプロファイルSPを示しており、図14Bは一実施例のガラス基板の製造方法とは異なって、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップを行わずに製造されたガラス基板である比較例において、ベースガラスを強化するステップの後の応力のプロファイルSP'を示している。
【0133】
図13A及び図13Bを参照すると、ベースガラスを強化するステップの前とベースガラスを強化するステップの後のフリンジパターンの変化が、実施例と比較例で類似して示されることが分かる。つまり、一実施例のガラス基板の製造方法のように、ベースガラスを強化するステップの前にベースガラスを熱処理してナノ結晶を形成した場合であっても、強化特性はベースガラスを熱処理するステップを行っていない比較例の場合と類似することが分かる。つまり、図13A及び図13Bから、実施例と比較例における強化するステップの後のサブ圧縮応力層の深さであるDOL-Kと圧縮応力CS値が類似して示されることが分かる。
【0134】
図14A及び図14Bを参照すると、実施例と比較例において、強化するステップの後に応力プロファイルSP、SP'の形状が類似して示されることが分かる。また、図14A及び図14Bの画像から、実施例と比較例における圧縮応力層の深さが類似して示されることが分かる。
【0135】
図14Aにおいて、tCWはガラス基板CWの全体厚さである。また、tDCはDOC、つまり、ガラス基板の上部面USまたは下部面BSから圧縮応力値が0になる基準線BLと応力プロファイルSPが交差する地点までの垂直深さを示す。tDLは、DOL-K、つまり、ガラス基板の上部面USまたは下部面BSからK+イオンの濃度が0になる地点までの深さを示す。図14Bにおいて、tCWは比較例におけるガラス基板CW'の全体厚さである。また、tDC'はDOC、つまり、ガラス基板の上部面USまたは下部面BSから圧縮応力値が0になる基準線BLと応力プロファイルSP'が交差する地点までの垂直深さを示す。tDL'は、比較例におけるDOL-K、つまり、比較例におけるガラス基板CW'の上部面USまたは下部面BSからK+イオンの濃度が0になる地点までの深さを示す。
【0136】
よって、図14A及び図14Bから、一実施例のガラス基板の製造方法のように、ベースガラスを強化するステップの前にベースガラスを熱処理してナノ結晶を形成した場合であっても、強化特性はベースガラスを熱処理するステップを行っていない比較例の場合と類似することが分かる。
【0137】
図15Aは、一実施例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板における衝撃テストの結果を示す画像である。また、図15Bは、比較例のガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板における衝撃テストの結果を示す画像である。
【0138】
図15A及び図15Bは、ガラス基板の表面に衝撃を加えた後のガラス基板の表面画像を示している。図15Aは、一実施例のガラス基板の製造方法で製造された実施例のガラス基板の表面に衝撃を加えてクラックCPを形成した後の状態を示している。図15Bは、一実施例のガラス基板の製造方法とは異なって、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップを行わずに製造されたガラス基板である比較例のガラス基板の表面に衝撃を加えてクラックCPを形成した後の状態を示している。
【0139】
図15A及び図15Bを参照すると、クラックCPが成長するクラックラインCLは、実施例に比べ比較例でより延長されて拡張されることが分かる。また、比較例のガラス基板画像を示す図15Bの場合、図15Aとは異なって表面の割れパターンRAが現れていることが分かる。よって、図15A及び図15Bの結果を参照すると、一実施例のガラス基板の製造方法で製造された実施例のガラス基板の場合、第1温度で熱処理するステップを経て製造されることで、改善された表面強度特性を示すことが分かる。つまり、一実施例のガラス基板の製造方法は、第1温度で熱処理するステップを含むことで、ガラス基板がナノ結晶を含むように形成されて、改善された表面強度特性を示す。
【0140】
一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップを含み、ガラス基板がナノ結晶を含むようにすることで、良好な透過率特性を示しながらも、改善された強度を有するガラス基板を提供することができる。また、一実施例のガラス基板の製造方法は、ベースガラスを第1温度で熱処理するステップを、ベースガラスを強化するステップの前に行うことで、ガラス基板の強化特性を維持しながらも、表面強度が改善されたガラス基板を提供することができる。
【0141】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。
【0142】
よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載されている内容に限らず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【符号の説明】
【0143】
DS:電子装置
CW:ガラス基板
BG:ベースガラス
NC:ナノ結晶




図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B