(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ジョイントボックス、屋内配線用ユニットケーブル、及び屋内配線用ユニットケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/08 20060101AFI20240326BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240326BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20240326BHJP
H01B 7/08 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H02G3/08 060
H01B7/00 306
H01B13/00 521
H01B13/00 525G
H01B7/08
(21)【出願番号】P 2019181393
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 慶紀
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-12478(JP,A)
【文献】特開2005-343290(JP,A)
【文献】特開2003-153411(JP,A)
【文献】特開2002-78143(JP,A)
【文献】特開2000-32632(JP,A)
【文献】特開平7-87652(JP,A)
【文献】特開2004-147370(JP,A)
【文献】特開2004-96983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/08
H02G 3/04
H01B 7/00
H01B 13/00
H01B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョイントボックス本体とジョイントボックスカバーとからなり内部に複数のケーブルを収納及び配索可能なものであり、前記ジョイントボックス本体の基板から突設されたケーブル保持部と、前記ジョイントボックスカバーの基板から一対突設され前記ケーブルの配索方向にて前記ケーブル保持部を挟むように配置されたケーブル押圧部と、を設けた
ことを特徴とするジョイントボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のジョイントボックスにおいて、
前記ジョイントボックス本体の基板に前記ケーブルの端末の配置位置を示す表示部を形成する
ことを特徴とするジョイントボックス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のジョイントボックスと、
複数のケーブルと、
前記複数のケーブルの導体同士を接続するケーブル接続部と、
を備える
ことを特徴とする屋内配線用ユニットケーブル。
【請求項4】
請求項3に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、
前記ケーブルは、平型ケーブルであり、
前記ケーブル保持部と前記ケーブル押圧部とは、前記ケーブル保持部と前記ケーブル押圧部との押圧にて前記ケーブルに該ケーブルの長径方向に曲げを生じさせた状態で該ケーブルを固定可能に構成される
ことを特徴とする屋内配線用ユニットケーブル。
【請求項5】
ジョイントボックス本体とジョイントボックスカバーとからなり内部に複数のケーブルを収納及び配索可能なジョイントボックス
と、前記複数のケーブルと、を備えて、前記ジョイントボックスを用い、前記ジョイントボックス本体の基板から突設されたケーブル保持部と、前記ジョイントボックスカバーの基板から一対突設され前記ケーブルの配索方向にて前記ケーブル保持部を挟むように配置されたケーブル押圧部と、で前記ケーブルを挟み込み、前記ケーブル保持部と前記ケーブル押圧部との押圧にて前記ケーブルに曲げを生じさせ該ケーブルを前記ジョイントボックスに固定して製造する
ことを特徴とする屋内配線用ユニットケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイントボックス、このジョイントボックスを備える屋内配線用ユニットケーブル、及び、この屋内配線用ユニットケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、玄関や居間や寝室等の各部屋別にユニット化した部屋ユニットを住宅メーカーの工場で製造し、これらを施工現場で施主の希望や敷地形状に応じて組み付けることにより、一つの部屋が出来上がるようなプレハブ住宅工法が知られている。プレハブ住宅工法においては、各部屋ユニット別の配線も予め工場内で行われるようになっており、この配線によって屋内配線作業の簡素化を達成することができるようになっている。屋内配線作業の簡素化を達成するためには、ジョイントボックスを備えた屋内配線用ユニットケーブルを用いることが有効である。
【0003】
従来の屋内配線用ユニットケーブルとしては、例えば、ジョイントボックスの内部に絶縁性の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)を充填・モールドして、ケーブル同士を接続した結線部(圧着スリーブ)を絶縁しつつ固定及び保護するような構造(モールドタイプ)が知られている(例えば、特許文献1の
図11参照)。
【0004】
その他の従来の屋内配線用ユニットケーブルとしては、例えば、結線部の絶縁を差込コネクタで行い、スライドホルダにてケーブルに曲げを生じさせ、ケーブルをジョイントボックス内に固定するような構造(モールドレスタイプ)が知られている(例えば、特許文献2の
図16及び
図18参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-21118号公報
【文献】特開2004-96983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、ジョイントボックスの内部に熱硬化性樹脂が充填されるため、熱硬化性樹脂の硬化時間が必要となっていた。したがって、屋内配線用ユニットケーブルの製造に時間がかかってしまうというような問題点があった。
【0007】
また、特許文献2では、スライドホルダにてケーブルを屈曲させることでケーブルの固定を行っているため、ジョイントボックスとは別部品であるスライドホルダが必要となっていた。したがって、屋内配線用ユニットケーブルの部品点数が多くなってしまうというような問題点があった。さらに、屋内配線用ユニットケーブルは、ケーブルの本数に応じて型式があるため、金型等も増えてしまうというような問題点があった。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、屋内配線用ユニットケーブルの製造時間を従来よりも短縮しつつ部品点数を削減することができるジョイントボックス、このジョイントボックスを備える屋内配線用ユニットケーブル、及び、この屋内配線用ユニットケーブルの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のジョイントボックスは、ジョイントボックス本体とジョイントボックスカバーとからなり内部に複数のケーブルを収納及び配索可能なものであり、前記ジョイントボックス本体の基板から突設されたケーブル保持部と、前記ジョイントボックスカバーの基板から一対突設され前記ケーブルの配索方向にて前記ケーブル保持部を挟むように配置されたケーブル押圧部と、を設けたことを特徴とする。
【0010】
(2) 請求項2記載の本発明のジョイントボックスは、請求項1に記載のジョイントボックスにおいて、前記ジョイントボックス本体の基板に前記ケーブルの端末の配置位置を示す表示部を形成することを特徴とする。
【0011】
(3) 上記課題を解決するためになされた請求項3記載の本発明の屋内配線用ユニットケーブルは、請求項1又は2に記載のジョイントボックスと、複数のケーブルと、前記複数のケーブルの導体同士を接続するケーブル接続部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
(4) 請求項4記載の本発明の屋内配線用ユニットケーブルは、請求項3に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、前記ケーブルは、平型ケーブルであり、前記ケーブル保持部と前記ケーブル押圧部とは、前記ケーブル保持部と前記ケーブル押圧部との押圧にて前記ケーブルに該ケーブルの長径方向に曲げを生じさせた状態で該ケーブルを固定可能に構成されることを特徴とする。
【0013】
(5) 上記課題を解決するためになされた請求項5記載の本発明の屋内配線用ユニットケーブルの製造方法は、ジョイントボックス本体とジョイントボックスカバーとからなり内部に複数のケーブルを収納及び配索可能なジョイントボックスと、前記複数のケーブルと、を備えて、前記ジョイントボックスを用い、前記ジョイントボックス本体の基板から突設されたケーブル保持部と、前記ジョイントボックスカバーの基板から一対突設され前記ケーブルの配索方向にて前記ケーブル保持部を挟むように配置されたケーブル押圧部と、で前記ケーブルを挟み込み、前記ケーブル保持部と前記ケーブル押圧部との押圧にて前記ケーブルに曲げを生じさせ該ケーブルを前記ジョイントボックスに固定して製造することを特徴とする。
【0014】
上記(1)~(5)のような特徴を有する本発明によれば、ジョイントボックスの組み立て(ジョイントボックス本体とジョイントボックスカバーとの結合)の過程において、ケーブル保持部とケーブル押圧部との押圧にてケーブルに曲げを生じさせ、ケーブルがジョイントボックスに固定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、熱硬化性樹脂を充填しないため、熱硬化性樹脂の硬化時間が発生しなくなる。また、ジョイントボックス本体とジョイントボックスカバーとの結合と同時にケーブルに曲げを生じさせるため、従来のようなジョイントボックスと別体の保持部品(スライドホルダ)を必要とせず、2部品でジョイントボックスを構成することができる。したがって、本発明によれば、屋内配線用ユニットケーブルの製造時間を従来よりも短縮しつつ、部品点数を削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る屋内配線用ユニットケーブルの実施例を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るジョイントボックスを構成するジョイントボックス本体の斜視図である。
【
図3】本発明に係るジョイントボックスを構成するジョイントボックスカバーの斜視図である。
【
図4】ジョイントボックスの
図1におけるA-A間断面図である。
【
図5】屋内配線用ユニットケーブルの組立作業(製造方法)について説明する断面図であって、ケーブルの屈曲開始前の状態を示す図である。
【
図6】
図5に続く図であって、ケーブルの屈曲開始直後の状態を示す図である。
【
図7】
図6に続く図であって、屋内配線用ユニットケーブルの組立作業が完了した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1-
図7を参照しながら、本発明に係るジョイントボックス、及び屋内配線用ユニットケーブルの実施例について説明する。
【実施例】
【0018】
図1は本発明に係る屋内配線用ユニットケーブルの実施例を示す斜視図、
図2は本発明に係るジョイントボックスを構成するジョイントボックス本体の斜視図、
図3は本発明に係るジョイントボックスを構成するジョイントボックスカバーの斜視図、
図4はジョイントボックスの
図1におけるA-A間断面図、
図5は屋内配線用ユニットケーブルの組立作業(製造方法)について説明する断面図であって、ケーブルの屈曲開始前の状態を示す図、
図6は
図5に続く図であって、ケーブルの屈曲開始直後の状態を示す図、
図7は
図6に続く図であって、屋内配線用ユニットケーブルの組立作業が完了した状態を示す図である。
なお、図中に図示する矢印は、上下方向、左右方向、及び前後方向を示している(矢印の各方向は一例であるものとする)。
【0019】
図1において、引用符号1は、本発明に係る屋内配線用ユニットケーブルの実施例を示している。屋内配線用ユニットケーブル1は、複数のケーブル2と、差込コネクタ3(
図7参照。後述するように、圧着スリーブを採用してもよいものとする)と、ジョイントボックス4とを備えて構成されている。ここで、ジョイントボックス4も本発明の1つである。以下、屋内配線用ユニットケーブル1の各構成について説明する。
【0020】
まず、ケーブル2について説明する。
図1に図示するケーブル2は、本実施例では、VVFケーブルであって、2本の絶縁線心5と、絶縁線心5を2本並べた状態で各絶縁線心5の外側に被覆されるシース6とを備えている(
図7参照)。なお、絶縁線心5の数は、一例であるものとする。その他、用途に応じて、例えば、3芯ケーブル等を採用してもよいものとする。また、上記VVFケーブルは、一例であるものとする。その他、例えば、丸形ケーブル(VVRケーブル)等を採用してもよいものとする。本実施例においては、12本のケーブル2が使用されている(この本数に限定されないものとする)。
【0021】
ケーブル2の端末は、所定の長さでシース6が皮剥されており、2本の絶縁線心5が一列に並んで露出した状態になっている(
図7参照)。露出した絶縁線心5の端末は、特に図示しないが、それぞれ、絶縁体7が皮剥されて導体が露出している。
【0022】
つぎに、差込コネクタ3について説明する。
差込コネクタ3は、特許請求の範囲に記載される「ケーブル接続部」に相当するものである。
図7に図示する差込コネクタ3は、ケーブル2の端末に接続されるものであって、ケーブル2同士を接続する部材である。本実施例において、差込コネクタ3は、詳細な図示を省略するが、単純に絶縁線心5を差し込むだけでケーブル2の端末に取り付くように構成されている。差込コネクタ3は、ハウジング8と、このハウジング8内(後述する端子収容部)に収容されるコネクタ用接続端子(図示せず)とを備えている。
【0023】
ハウジング8は、絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、略箱状に形成されている。ハウジング8は、特に図示しないが、1つの側面に形成された絶縁線心差込口と、ハウジング8内に形成され絶縁線心差込口に連通する端子収容部とを備えている。
【0024】
コネクタ用接続端子は、特に図示しないが、ハウジング8の端子収容部に収容され、導体との電気的な接続を図る端子である。コネクタ用接続端子は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。
【0025】
特許請求の範囲に記載される「ケーブル接続部」としては、上記差込コネクタ3の他に、例えば、特に図示しないが、圧着スリーブを採用してもよいものとする。圧着スリーブは、導電性を有する金属を筒状に形成してなる部材であり、圧着スリーブ内に各導体を挿入し圧着スリーブを加締めることにより導体同士を圧接接続するものである。
【0026】
つぎに、ジョイントボックス4について説明する。
図1、
図4、及び
図7に図示するジョイントボックス4は、各端末同士を差込コネクタ3にて接続されたケーブル2を収容及び保護することができるように形成され、ジョイントボックス本体9と、ジョイントボックスカバー10とを備えている。本実施例では、ジョイントボックス4は、ジョイントボックス本体9と、ジョイントボックスカバー10とが嵌合することによりなるものである。なお、ジョイントボックス4は、ジョイントボックス本体9と、ジョイントボックスカバー10とが嵌合する構造に限定されるものではない。その他、特に図示しないが、ジョイントボックス本体9と、ジョイントボックスカバー10とを、ねじ止めにより結合するような構造を採用してもよいものとする(一例であるものとする)。
【0027】
図2に図示するジョイントボックス本体9は、絶縁性を有する合成樹脂材料にて成形されている。
図2に図示するように、ジョイントボックス本体9は、複数のケーブル2が挿入される面と、複数のケーブル2が引き出される方向の面とが開口形成された略箱状の部材であって、底壁11と、左側壁12と、右側壁13と、取付部14とを備えている。なお、上記複数のケーブル2が挿入される面は、ケーブル挿入口15として形成され、上記複数のケーブル2が引き出される方向の面は、ケーブル引出口16として形成されている。また、ジョイントボックス本体9内部は、収容スペース17として形成されている。
【0028】
図2に図示する底壁11は、特許請求の範囲に記載される「ジョイントボックス本体の基板」に相当するものである。底壁11は、平面視矩形の板状の部分であって、この上縁から、取付部14が突出するように形成されている。取付部14には、取付対象物(例えば、壁や柱等)に屋内配線用ユニットケーブル1を取り付けるための貫通孔18、19、20が複数形成されている。また、取付部14の突出先端面には、ジョイントボックスカバー10を係止することができる係合凹部25、26が複数形成されている。取付部14は、図示を省略しているが、成形収縮に起因する窪み等(所謂、ヒケ)の発生を抑制するため、また、軽量化を図るため、内部に肉抜きが施されている。
【0029】
図2に図示する左側壁12は、底壁11の左側縁から突出するように形成されている。また、
図2に図示する右側壁13は、底壁11の右側縁から突出するように形成されている。左側壁12及び右側壁13の各突出先端面には、ジョイントボックスカバー10を係止することができる係合凹部27、28、29、30が複数形成されている。左側壁12及び右側壁13は、図示を省略しているが、成形収縮に起因する窪み等(所謂、ヒケ)の発生を抑制するため、また、軽量化を図るため、内部に肉抜きが施されている。
【0030】
図2に図示するケーブル挿入口15は、差込コネクタ3にて接続された複数のケーブル2を挿入することができるように開口形成されている。
図2に図示するケーブル引出口16は、複数のケーブル2を引き出すことができるように開口形成されている。
図2に図示する収容スペース17は、ケーブル挿入口15とケーブル引出口16とが連通し、差込コネクタ3にて接続された複数のケーブル2の端末を収容できるように形成されている。
【0031】
図2及び
図4に図示する収容スペース17には、第一ケーブル保持部21と、表示部24とが設けられている。また、
図2に図示するケーブル引出口16には、第二ケーブル保持部23が設けられている。
【0032】
第一ケーブル保持部21は、特許請求の範囲に記載される「ケーブル保持部」に相当するものである。第一ケーブル保持部21は、底壁11におけるケーブル2の配索方向(
図2では、上下方向)の略中間部に配置され、ジョイントボックス本体9の左右方向に並ぶように複数(本実施例では、12個)設けられている。第一ケーブル保持部21は、それぞれ、対応するケーブル2が挿抜自在な複数のスリット状に形成されている。より具体的には、第一ケーブル保持部21は、底壁11から突出するように形成された基部22の突出先端部から櫛歯状の板片を立設させて、この板片の間に形成されている。第一ケーブル保持部21は、各ケーブル2間に所定の間隔を持たせて保持することができるように形成されている。第一ケーブル保持部21は、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10との嵌合状態において、ケーブル2を押圧することができるように形成されている(
図7参照)。
【0033】
なお、基部22は、特に図示しないが、成形収縮に起因する窪み等(所謂、ヒケ)の発生を抑制するため、また、軽量化を図るため、底壁11の外面側に凹状の肉抜き部を形成してもよいものとする。
【0034】
第一ケーブル保持部21は、本実施例では、ケーブル2を、この長径方向を第一ケーブル保持部21の突出方向(
図2では、前後方向)に合わせた状態で挿入及び保持することができるように形成されているが、これに限定されるものではない。その他、第一ケーブル保持部21は、ケーブル2を、この短径方向を第一ケーブル保持部21の突出方向(
図2では、前後方向)に合わせた状態で挿入及び保持することができるように形成されていてもよいものとする。
【0035】
第一ケーブル保持部21は、
図2及び
図4に図示するように、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10との嵌合方向(
図2及び
図4では、前後方向)において、後述する第二ケーブル保持部23よりも突出するように形成されている。
【0036】
表示部24は、底壁11におけるケーブル2の配索方向(
図4では、上下方向)の略中間部に配置され、ジョイントボックス本体9の左右方向に延びるように形成されている。表示部24は、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10との嵌合前におけるケーブル2(シース6)の端末50の配置位置を示す部分として形成されている。
【0037】
本実施例において、表示部24は、底壁11から突出するように形成されたリブ状の部分として形成されているが、これに限定されるものではない。その他、例えば、底壁11に設けられる溝状の部分として形成されるものであってもよいものとする。
【0038】
第二ケーブル保持部23は、ジョイントボックス本体9の左右方向に並ぶように複数(本実施例では、12個)設けられている。第二ケーブル保持部23は、それぞれ、対応するケーブル2が挿抜自在な複数のスリット状に形成されている。より具体的には、第二ケーブル保持部23は、ケーブル引出口16の底面から突出するように形成された櫛歯状の板片を立設させて、この板片の間に形成されている。第二ケーブル保持部23は、各ケーブル2間に所定の間隔を持たせて保持することができるように形成されている。
【0039】
第二ケーブル保持部23は、本実施例では、ケーブル2を、この長径方向を第二ケーブル保持部23の突出方向(
図2では、前後方向)に合わせた状態で挿入及び保持することができるように形成されているが、これに限定されるものではない。その他、第二ケーブル保持部23は、ケーブル2を、この短径方向を第二ケーブル保持部23の突出方向(
図2では、前後方向)に合わせた状態で挿入及び保持することができるように形成されていてもよいものとする。
【0040】
図3に図示するジョイントボックスカバー10は、絶縁性を有する合成樹脂材料にて成形されている。
図3に図示するように、ジョイントボックスカバー10は、複数のケーブル2が挿入(収容)される面が開口形成された略箱状の部材であって、底壁31と、左側壁32と、右側壁33と、取付部34と、ケーブル引出側基部35とを備えている。なお、ジョイントボックスカバー10内部は、収容スペース36として形成されている。
【0041】
図3に図示する底壁31は、特許請求の範囲に記載される「ジョイントボックスカバーの基板」に相当するものである。底壁31は、平面視矩形の板状の部分であって、この上縁から、取付部34が突出するように形成されている。取付部34には、取付対象物(例えば、壁や柱等)に屋内配線用ユニットケーブル1を取り付けるための貫通孔37、38、39が複数形成されている。貫通孔37、38、39は、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10とが嵌合した状態において、それぞれ、取付部14の貫通孔18、19、20に連通するように形成されている。取付部34の突出先端面には、ジョイントボックス本体9に係止することができる係合部44、45が複数形成されている。取付部34は、図示を省略しているが、成形収縮に起因する窪み等(所謂、ヒケ)の発生を抑制するため、また、軽量化を図るため、内部に肉抜きが施されている。
【0042】
図3に図示する左側壁32は、底壁31の左側縁から突出するように形成されている。また、
図3に図示する右側壁33は、底壁31の右側縁から突出するように形成されている。左側壁32及び右側壁33の各突出先端面には、ジョイントボックス本体9を係止することができる係合部46、47、48、49が複数形成されている。左側壁32及び右側壁33は、図示を省略しているが、成形収縮に起因する窪み等(所謂、ヒケ)の発生を抑制するため、また、軽量化を図るため、内部に肉抜きが施されている。
【0043】
図3に図示するケーブル引出側基部35は、底壁31の下縁から突出するように形成されている。ケーブル引出側基部35は、特に図示しないが、成形収縮に起因する窪み等(所謂、ヒケ)の発生を抑制するため、また、軽量化を図るため、底壁31の外面側に凹状の肉抜き部を形成してもよいものとする。
【0044】
収容スペース36は、差込コネクタ3にて接続された複数のケーブル2の端末を収容できるように形成されている。
【0045】
図3及び
図4に図示する収容スペース36には、第一ケーブル押圧部40が設けられている。また、
図3及び
図4に図示するケーブル引出側基部35には、第二ケーブル押圧部42が設けられている。
【0046】
第一ケーブル押圧部40は、特許請求の範囲に記載される「ケーブル押圧部」に相当するものである。第一ケーブル押圧部40は、底壁31におけるケーブル2の配索方向(
図3では、上下方向)の略中間部に配置され底壁31から突出し、ジョイントボックスカバー10の左右方向に延びるように形成されている。第一ケーブル押圧部40は、この突出先端面が第一ケーブル押圧面41として形成されている。
【0047】
第一ケーブル押圧部40は、特に図示しないが、成形収縮に起因する窪み等(所謂、ヒケ)の発生を抑制するため、また、軽量化を図るため、底壁31の外面側に凹状の肉抜き部を形成してもよいものとする。
【0048】
第二ケーブル押圧部42は、特許請求の範囲に記載される「ケーブル押圧部」に相当するものである。第二ケーブル押圧部42は、ケーブル引出側基部35の突出先端面に配置され、ジョイントボックスカバー10の左右方向に並ぶように複数(本実施例では、12個)設けられている。第二ケーブル押圧部42は、第一ケーブル保持部21の一対の櫛歯状の板片の間に挿入可能に形成されている。第二ケーブル押圧部42は、この突出先端面が第二ケーブル押圧面43として形成されている。
【0049】
第一ケーブル押圧部40と、第二ケーブル押圧部42とは、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10との嵌合状態において、第一ケーブル保持部21を挟むように配置されている(
図7参照)。また、第一ケーブル押圧部40と、第二ケーブル押圧部42とは、上記嵌合状態において、ケーブル2を押圧することができるように形成されている(
図7参照)。
【0050】
つぎに、屋内配線用ユニットケーブル1の組立作業(製造方法)について説明する。
まず、ケーブル端末処理工程において、ケーブル2の端末の処理を行う。具体的には、ケーブル2の端末において、所定の長さでシース6を皮剥し、絶縁線心5を露出した状態にさせる。さらに、上記露出させた絶縁線心5の端末において、絶縁体7を皮剥し、導体を露出した状態にさせる。
【0051】
つぎに、ケーブル接続工程において、ケーブル2同士の接続を行う。具体的には、差込コネクタ3の絶縁線心差込口に絶縁線心5を差し込み、各絶縁線心5の導体とコネクタ用接続端子とを電気的に接続することにより行う。
【0052】
つぎに、ケーブル配置工程において、差込コネクタ3にて接続された複数のケーブル2の端末をジョイントボックス本体9の所定位置に配置する。具体的には、
図5に図示するように、ケーブル2が第一ケーブル保持部21に挿入(保持)されるとともに第二ケーブル保持部23に一部挿入されるように配置する。ケーブル2は、この長径方向を第一ケーブル保持部21及び第二ケーブル保持部23それぞれの突出方向(
図5では、前後方向)に合わせた状態で配置される。ここで、ケーブル2(シース6)の端末50の配置位置は、表示部24を目印とする。具体的には、端末50を、ケーブル2の配索方向(
図5では、上下方向)において、表示部24と略同位置となるように配置する。表示部24を目印とすることにより、作業者は、ケーブル2(シース6)の端末50の配置位置を視覚的に認識できる。
【0053】
つぎに、ジョイントボックス嵌合工程において、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10とを嵌合する。具体的には、まず、
図5に図示するように、ジョイントボックスカバー10をジョイントボックス本体9に近接する方向(
図5に図示する矢印Bの指示する方向)に移動させる。ジョイントボックスカバー10の上記移動は、例えば、油圧、空気圧、クランプ等、図示しない治具を用いてジョイントボックスカバー10を押すことにより行う。
【0054】
ジョイントボックスカバー10の上記移動を続けていくと、
図6に図示するように、第一ケーブル押圧面41がケーブル2におけるシース6の外面に接触し、第一ケーブル押圧部40による押圧を開始する。第一ケーブル押圧部40の押圧により、ケーブル2が、この長径方向に屈曲を開始する。ここで、ケーブル2が第一ケーブル保持部21に保持されているため、ケーブル2のズレ等を抑制しつつ、ケーブル2の屈曲を行うことができる。
【0055】
ジョイントボックスカバー10のジョイントボックス本体9に近接する方向(
図6に図示する矢印Cの指示する方向)への移動を続けていくと、特に図示しないが、第二ケーブル押圧面43がケーブル2におけるシース6の外面に接触し、第二ケーブル押圧部43による押圧を開始する。第二ケーブル押圧部42の押圧により、ケーブル2が、この長径方向に屈曲を開始する。
【0056】
しかる後、ジョイントボックス本体9の各係合凹部25、26、27、28、29、30に、ジョイントボックスカバー10の各係合部44、45、46、47、48、49を係合することにより、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10との嵌合が完了する(
図7参照)。ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10とが嵌合すると、ケーブル2が第二ケーブル保持部23に挿入(保持)される。以上で、屋内配線用ユニットケーブル1の組立作業が完了する。
【0057】
ここで、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10との嵌合状態におけるケーブル2の屈曲について説明する。なお、本明細書において、上記「屈曲」を、適宜、「曲げ」と読み替えてもといものとする。
【0058】
図7に図示するように、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10とが嵌合すると、第一ケーブル保持部21と、第一ケーブル押圧部40と、第二ケーブル押圧部42との押圧にて、各ケーブル2に強制的な屈曲が生じる。上記屈曲は、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10との内部にケーブル2を固定可能な屈曲量にて生じるものである。上記屈曲が生じることにより、ケーブル2がジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10との内部に固定される。より具体的には、各ケーブル2に上記屈曲が生じると、
図7に図示するケーブル2のうち、第一ケーブル押圧部40にて押圧される箇所と、第一ケーブル保持部21にて保持される箇所と、第二ケーブル保持部23にて保持され且つ第二ケーブル押圧部42にて押圧される箇所とが、
図7に図示する前後方向において、段違いに配索される。別の表現を用いれば、
図7に図示するケーブル2のうち、第一ケーブル保持部と、第一ケーブル押圧部40及び第二ケーブル押圧部42とで挟み込まれた箇所が、
図7に図示する前後方向において、略U字状に配索される。すると、各ケーブル2のシース6の摩擦、及び絶縁線心5の剛性によって、各ケーブル2がジョイントボックス本体9(第一ケーブル保持部21)及びジョイントボックスカバー10(第一ケーブル押圧部40、第二ケーブル押圧部42)から滑らなくなり固定される。
【0059】
本実施例の屋内配線用ユニットケーブル1、及びジョイントボックス4によれば、ジョイントボックス本体9とジョイントボックスカバー10とが嵌合する過程において、第一ケーブル保持部21と、第一ケーブル押圧部40及び第二ケーブル押圧部42との押圧にてケーブル2に屈曲を生じさせ、ケーブル2がジョイントボックス4に固定される。したがって、本実施例の屋内配線用ユニットケーブル1、及びジョイントボックス4によれば、「背景技術」の欄で挙げた特許文献1(特許文献1の
図11参照)のような熱硬化性樹脂の充填をすることなくケーブル2を固定することができ、また、「背景技術」の欄で挙げた特許文献2(特許文献2の
図16及び
図18参照)のようなスライドホルダを用いることなくケーブル2に屈曲を生じさせ、ケーブル2を固定することができる。
【0060】
その他、本実施例の屋内配線用ユニットケーブル1、及びジョイントボックス4によれば、ケーブル2を、この長径方向を第一ケーブル保持部21及び第二ケーブル保持部23それぞれの突出方向に合わせた状態で配置し、ケーブル2の長径方向に屈曲することができるため、ジョイントボックス4の幅を従来のジョイントボックス(各ケーブルを、この並び方向に屈曲させるような構造のジョイントボックス。例えば、「背景技術」の欄で挙げた特許文献2(特許文献2の
図16及び
図18参照)のようなジョイントボックス)と比較して小さくすることができる。
【0061】
つぎに、本発明の効果について説明する。
以上、
図1-
図7を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、熱硬化性樹脂を充填しないため、熱硬化性樹脂の硬化時間が発生しなくなる。また、ジョイントボックス4の組み立てと同時にケーブル2に屈曲を生じさせるため、従来のようなジョイントボックスと別体の保持部品(スライドホルダ)を必要とせず、2部品でジョイントボックス4を構成することができる。したがって、本発明によれば、屋内配線用ユニットケーブル1の製造時間を従来よりも短縮しつつ、部品点数を削減することができるという効果を奏する。
【0062】
また、本発明によれば、上記効果の他、つぎのような効果を奏する。すなわち、本発明によれば、ジョイントボックス4の幅を従来のジョイントボックスに比べて小さくすることができるため、従来のジョイントボックスと比較して小型化することができるという効果を奏する。また、上記の通り、ジョイントボックス4を小型化することができるため、ジョイントボックスの成形に必要な樹脂量を従来よりも削減することができるという効果を奏する。
【0063】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0064】
上記説明では、ジョイントボックス4は、ジョイントボックス本体9に係合凹部25、26、27、28、29、30が複数形成され、ジョイントボックスカバー10に係合部44、45、46、47、48、49が複数形成される構成であるが、これに限らず、つぎのような構成にしてもよいものとする。
【0065】
すなわち、ジョイントボックス本体9に係合部が複数形成され、ジョイントボックスカバー10に係合凹部が複数形成される構成であってもよいものとする。
【符号の説明】
【0066】
1…屋内配線用ユニットケーブル、 2…ケーブル、 3…差込コネクタ(ケーブル接続部)、 4…ジョイントボックス、 5…絶縁線心、 6…シース、 7…絶縁体、 8…ハウジング、 9…ジョイントボックス本体、 10…ジョイントボックスカバー、 11、31…底壁(基板)、 12、32…左側壁、 13、33…右側壁、 14、34…取付部、 15…ケーブル挿入口、 16…ケーブル引出口、 17、36…収容スペース、 18、19、20、37、38、39…貫通孔、 21…第一ケーブル保持部(ケーブル保持部)、 22…基部、 23…第二ケーブル保持部、 24…表示部、 25、26、27、28、29、30…係合凹部、 35…ケーブル引出側基部、 40…第一ケーブル押圧部(ケーブル押圧部)、 41…第一ケーブル押圧面、 42…第二ケーブル押圧部(ケーブル押圧部)、 43…第二ケーブル押圧面、 44、45、46、47、48、49…係合部、 50…端末