(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】液状又は半固形状の組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/8962 20060101AFI20240326BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20240326BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240326BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240326BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240326BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240326BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K36/8962
A23L19/00 C
A23L33/105
A61K9/08
A61K47/26
A61P3/02
A61P27/02
(21)【出願番号】P 2019196637
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 祐樹
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-070639(JP,A)
【文献】特開2015-065928(JP,A)
【文献】特開2018-070468(JP,A)
【文献】国際公開第2007/040244(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/077963(WO,A1)
【文献】特開平09-103263(JP,A)
【文献】特開平09-224588(JP,A)
【文献】特開2008-148568(JP,A)
【文献】特開2013-010753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
REGISTRY/Caplus(STN)
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニク加工物を含有する液状又は半固形状の組成物中にエリスリトールを含有せしめる工程を含む、ニンニク加工物由来の沈殿生成を抑制する方法。
【請求項2】
組成物が、経口液剤である、請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状又は半固形状の組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニク加工物は、疲労回復効果、滋養強壮効果、胃収縮力増強作用、新陳代謝促進作用、血流促進作用、ビタミン類の吸収促進作用等を有することが知られている。また、ニンニク加工物は、いくつかの医薬の副作用を軽減することも知られており、例えば、抗ヒスタミン剤と併用した場合に抗ヒスタミン剤の副作用(眠気)を軽減すること(特許文献1)、解熱消炎鎮痛剤と併用した場合に解熱消炎鎮痛剤の副作用(胃粘膜損傷等)を軽減すること(特許文献2)などが知られている。
このように、ニンニク加工物は、種々の有用性があるため、医薬品や医薬部外品、健康食品等の分野において広く利用されている。
【0003】
しかしながら、ニンニクそのもののみならずニンニク加工物も強烈な臭いを有する。そのため、ニンニク加工物を含有する組成物の利用・服用には不快感が伴うこととなり、これが組成物の品質安定性、ひいては商品価値を毀損する大きな要因となっている。そのため、これまでにニンニク加工物由来の不快臭を抑制・軽減するための様々な手段が検討されてきた。具体的には例えば、ニンニクを低酸素又は無酸素状態で1~40℃の条件下、1週間~1年間放置する方法(特許文献3)や、ニンニクを20℃以上で7日間以上保持した後、0~65℃の温度条件下で300MPa以上の静水圧で処理する方法(特許文献4)、ニンニク加工物を含有する固形製剤を、活性炭とともに密閉系容器中で保存することで、容器中における不快臭を抑制する方法(特許文献5)等が報告されている。
【0004】
また、ニンニク加工物は植物に由来する成分であるため、液状や半固形状の組成物に含有せしめた場合には、経時的な沈殿の生成が問題となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-330245号公報
【文献】国際公開第2004/050110号パンフレット
【文献】国際公開第2004/077963号パンフレット
【文献】特開平6-335360号公報
【文献】特開2009-78981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ニンニク加工物由来の不快臭を抑制し、かつニンニク加工物由来の沈殿の生成を抑制する新たな手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、エリスリトールがニンニク加工物の不快臭を抑制する作用及び沈殿生成を抑制する作用を有し、ニンニク加工物とエリスリトールとを同一の液状又は半固形状の組成物中に含有せしめることにより、組成物中のニンニク加工物由来の不快臭や沈殿生成を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、ニンニク加工物と、エリスリトールとを含有する液状又は半固形状の組成物を提供するものである。
また、本発明は、ニンニク加工物を含有する液状又は半固形状の組成物中にエリスリトールを含有せしめる工程を含む、ニンニク加工物由来の不快臭及び/又は沈殿生成を抑制する方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ニンニク加工物由来の不快臭が抑制され、かつニンニク加工物由来の沈殿の生成も抑制されるため、品質安定性の良好な商品価値の高い液状又は半固形状の組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書において、「w/v%」は質量対容積百分率を意味し、具体的には、100mLの組成物当りに含まれる各成分の質量(g)を意味する。
まず、「組成物」の態様の発明について、以下に詳述する。
【0011】
本発明において、「ニンニク加工物」としては、ニンニク(Allium sativum)を加工して得られるものであればいかなるものを用いてもよい。ニンニクの使用部位は特に限定されず、その全草若しくはその一部(地上部、地下部、鱗茎、葉、茎、花等)又はそれらの2種以上の組み合わせを使用できるが、鱗茎を使用するのが好ましい。
また、「加工」としては、切断、加熱、乾燥、粉砕、抽出等が挙げられ、当該加工の種類は特に限定されず、具体的には例えば、加熱処理をすること;生ニンニクを乾燥後粉末化すること;溶媒で抽出処理をすること等が挙げられる。抽出溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のアルカン又はシクロアルカン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲノアルカン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;水(熱水を含む);菜種油、オリーブ油、大豆油等の食用植物油等が挙げられる。
本発明において、「ニンニク加工物」としては、加工大蒜、ニンニク抽出液、ニンニクエキス、乾燥ニンニク等が挙げられ、加工大蒜が好ましい。加工大蒜としては、例えば、オキソアミヂン(登録商標)、オキソアミヂン(登録商標)末、オキソレジン(登録商標)末(以上、理研化学工業(株))等が市販されている。
【0012】
本発明の組成物におけるニンニク加工物の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。例えば、液状又は半固形状の組成物全容量に対して0.0002~10w/v%含有するものが好ましく、0.002~1w/v%含有するものがより好ましく、0.02~0.5w/v%含有するものが特に好ましい。
【0013】
本発明において、「エリスリトール」は、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、エリスリトール(三栄源エフ・エフ・アイ(株))等が挙げられる。
【0014】
本発明の組成物におけるエリスリトールの含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、ニンニク加工物由来の不快臭や沈殿生成を抑制する作用の観点から、液状又は半固形状の組成物全容量に対して0.001~10w/v%含有するものが好ましく、0.01~5w/v%含有するものがより好ましく、0.1~1w/v%含有するものが特に好ましい。
【0015】
本発明の組成物におけるニンニク加工物とエリスリトールとの含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、ニンニク加工物由来の不快臭や沈殿生成を抑制する作用の観点から、ニンニク加工物を1質量部に対し、エリスリトールを0.1~50質量部含有するのが好ましく、0.5~40質量部含有するのがより好ましく、0.75~30質量部含有するのが更に好ましく、1~20質量部含有するのが特に好ましい。
【0016】
本発明において、「液状又は半固形状の組成物」の性状は特に限定されず、溶液、コロイド溶液(ゾル(懸濁液や乳濁液))、ゲル等のいずれであってもよい。また、溶媒あるいは基剤の種類・性質等は特に限定されず、親水性であっても油性等の疎水性であってもよく、さらには異なる複数種の溶媒・基剤を適宜混合・乳化等して用いてもよい。こうした溶媒・基剤としては、具体的には例えば、下記の添加物として例示された成分等が挙げられる。
【0017】
また、本発明の液状又は半固形状の組成物としては、ニンニク加工物の不快臭や沈殿生成を抑制する作用の観点から、ニンニク加工物、エリスリトールに加えて、水を含有するものが好ましい(なお、本明細書において、水を含有する組成物を「含水組成物」と称する。)。
ここで、組成物中の水の含有量は特に限定されないが、ニンニク加工物の不快臭や沈殿生成を抑制する作用の観点から、組成物全質量に対して1質量%以上であるのが好ましく、60~99.99質量%であるのがより好ましく、80~99.9質量%であるのが更に好ましく、90~99.5質量%であるのが特に好ましい。
なお、本発明の液状又は半固形状の組成物が含水組成物である場合、組成物のpH(25℃)としては、2~6が好ましく、2~5がより好ましく、3~4が特に好ましい。
【0018】
また、本発明の液状又は半固形状の組成物は、ニンニク加工物、エリスリトールに加えて、エタノールを含んでいてもよい。エタノールを用いることによって、組成物の使用感・服用感が改善される。なお、水とエタノールを組み合わせて用いてもよい。
エタノールを用いる場合、組成物中のエタノールの含有量は、組成物全容量に対して1w/v%以下であるのが好ましく、0.01~0.5w/v%であるのが特に好ましい。
【0019】
本発明において、液状又は半固形状の組成物が適用される剤形は特に限定されるものではなく、その利用目的等に応じて、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形から適宜選択できる。
本発明において、液状又は半固形状の組成物の剤形としては、経口液剤、シロップ剤及び経口ゼリー剤(ゼリー状ドロップ剤)よりなる群から選ばれる剤形であるのが好ましく、経口液剤であるのが特に好ましい。
【0020】
なお、液状又は半固形状の組成物を具体的な剤形として製剤化する場合においては、その剤形に応じて適宜、液状又は半固形状の組成物を容器(例えば、瓶、かん、プラスチック容器等)に収容する等、各剤形について公知の手段を適用すれば良い(なお、液状又は半固形状の組成物が容器に収容されてなるものを、本明細書において「製品」と称する。)。なお、本発明において、容器の材質としては特に限定されないが、ガラス製であるのが好ましい。
【0021】
本発明の組成物には、医薬成分として、上記成分以外の薬物を配合してもよい。こうした薬物としては、例えば、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンE類、アミノカルボン酸類、ステロール類、カルシウム塩・マグネシウム塩・鉄塩類、グルクロン酸類、コンドロイチン類、糖アルコール類、配糖体類、チオクト酸類、生薬類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0022】
ビタミンA類としては、例えば、ビタミンA油、レチノール酢酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル、肝油、強肝油等が挙げられる。
ビタミンB類としては、例えば、硝酸ビスチアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、チアミン硝化物、オクトチアミン、シコチアミン、セトチアミン塩酸塩水和物、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、プロスルチアミン、ベンフォチアミンなどのビタミンB1;フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンリン酸エステルナトリウムなどのビタミンB2;ニコチン酸アミドなどのビタミンB3;パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなどのビタミンB5;ピリドキサールリン酸エステル水和物、ピリドキシン塩酸塩などのビタミンB6;ビオチンなどのビタミンB7;葉酸などのビタミンB9;塩酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びヒドロキソコバラミン酢酸塩などのビタミンB12等が挙げられる。
ビタミンC類としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
ビタミンD類としては、例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等が挙げられる。
ビタミンE類としては、例えば、コハク酸d-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール、トコフェロール、d-α-トコフェロール、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、トコフェロール酢酸エステル等が挙げられる。
【0023】
アミノカルボン酸類としては、例えば、L-アルギニン塩酸塩、L-イソロイシン、カルニチン塩化物、グリシン、L-グルタミン酸、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、重酒石酸コリン、タウリン、L-トレオニン、L-バリン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、DL-メチオニン、ヨークレシチン、L-リシン塩酸塩、L-ロイシン、L-システイン、L-システイン塩酸塩水和物、オロチン酸、オロチン酸コリン等が挙げられる。
ステロール類としては、例えば、ウルソデオキシコール酸、ガンマオリザノール、デヒドロコール酸等が挙げられる。
カルシウム塩・マグネシウム塩・鉄塩類としては、例えば、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム水和物、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0024】
グルクロン酸類としては、例えば、グルクロノラクトン、グルクロン酸、グルクロン酸アミド等が挙げられる。
コンドロイチン類としては、例えば、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。
糖アルコール類としては、例えば、イノシトール、グルコン酸及びその塩等が挙げられる。
配糖体類としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ナトリウム、ルチン水和物等が挙げられる。
チオクト酸類としては、例えば、チオクト酸、チオクト酸アミド等が挙げられる。
生薬類としては、例えば、アセンヤク、ウイキョウ、オウセイ、ガラナ、カンゾウ、ケイヒ、コウジン、サフラン、サンザシ、サンヤク、シゴカ、シャクヤク、シュクシャ、ショウキョウ、ジョテイシ、セイヨウサンザシ、タイソウ、チョウジ、チンピ、トウキ、トシシ、トチュウ、ニクジュヨウ、ニンジン、ブクリョウ、ムイラプアマ、モッコウ、ヤクチ、ヨクイニン、リュウガンニク、ローヤルゼリー等が挙げられる。
【0025】
本発明の組成物には、その剤形、投与方法等に応じて医薬品分野、医薬部外品分野、食品分野等において用いられる添加物を配合してもよい。こうした添加物としては、例えば、甘味剤、pH調整剤、抗酸化剤、着色剤、香料、矯味剤、保存剤等が挙げられる。
【0026】
甘味剤としては、例えば、白糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、乳糖、ハチミツ、トレハロース、スクラロース、サッカリン及びその塩、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸;塩酸等の無機酸;水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、エデト酸及びその塩、亜硫酸水素ナトリウム、没食子酸プロピル等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、タール色素、三二酸化鉄、カラメル等が挙げられる。
香料としては、例えば、アップルフレーバー等が挙げられる。
矯味剤としては、例えば、クエン酸及びその塩、L-グルタミン酸及びその塩、ポビドン、l-メントール等が挙げられる。
保存剤としては、例えば、安息香酸及びその塩、パラベン等が挙げられる。
【0027】
本発明において、組成物の製造方法は特に限定されず、配合する成分の種類や量、組成物の性状、剤形、投与経路や用途等に応じて、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。
【0028】
本発明の組成物の投与経路(服用経路)は特に限定されず、経口及び経皮、経膣等の非経口が挙げられる。本発明においては、経口が好ましい。
【0029】
本発明の液状又は半固形状の組成物は、疲労回復効果や滋養強壮効果等を有するニンニク加工物を含有することから、医療用医薬品、OTC医薬品、医薬部外品、食品等として用いることができる。具体的には例えば、以下の(ア)~(カ):
(ア)体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善;
(イ)疲労の回復・予防;
(ウ)虚弱体質(加齢による身体虚弱を含む。)に伴う身体不調の改善・予防;
(エ)日常生活における栄養不良に伴う身体不調の改善・予防;
(オ)病中病後の体力低下時、発熱を伴う消耗性疾患時、食欲不振時、妊娠授乳期又は産前産後の栄養補給;
(カ)目の疲れ;
のいずれか1以上を効能又は効果とする医薬品や医薬部外品とすることができる。本発明においては、(ア)~(オ)のいずれか1以上を効能又は効果として含む医薬部外品とするのが特に好ましい。
【0030】
次に、「不快臭の抑制方法」の態様の発明について、以下に詳述する。
本発明は、ニンニク加工物を含有する液状又は半固形状の組成物中にエリスリトールを含有せしめる工程を含む、ニンニク加工物由来の不快臭を抑制する方法にも関する。
斯かる態様において、ニンニク加工物とエリスリトールを液状又は半固形状の組成物中に含有せしめる方法、含有せしめる順序等は特に限定されず、両成分を含有する組成物が直接的又は間接的に作出されればよい。
なお、斯かる態様の発明において、各種文言の意義、各成分の含有量等は全て上記した本発明の「組成物」について説明したのと同様である。
【0031】
次に、「沈殿生成の抑制方法」の態様の発明について、以下に詳述する。
本発明は、ニンニク加工物を含有する液状又は半固形状の組成物中にエリスリトールを含有せしめる工程を含む、ニンニク加工物由来の沈殿生成を抑制する方法にも関する。
斯かる態様において、ニンニク加工物とエリスリトールを液状又は半固形状の組成物中に含有せしめる方法、含有せしめる順序等は特に限定されず、両成分を含有する組成物が直接的又は間接的に作出されればよい。
なお、斯かる態様の発明において、各種文言の意義、各成分の含有量等は全て上記した本発明の「組成物」について説明したのと同様である。
【0032】
なお、本明細書は、これらに何ら限定されるものでは無いが、例えば以下の態様を開示する。
[1A] ニンニク加工物と、エリスリトールとを含有する、液状又は半固形状の組成物。
[2A] 経口投与する製剤である、[1A]記載の組成物。
[3A] 経口液剤である、[1A]又は[2A]記載の組成物。
【0033】
[1B] ニンニク加工物を含有する液状又は半固形状の組成物中にエリスリトールを含有せしめる工程を含む、ニンニク加工物由来の不快臭を抑制する方法。
[2B] 組成物が、経口投与する製剤である、[1B]記載の方法。
[3B] 組成物が、経口液剤である、[1B]又は[2B]記載の方法。
【0034】
[1C] ニンニク加工物を含有する液状又は半固形状の組成物中にエリスリトールを含有せしめる工程を含む、ニンニク加工物由来の沈殿生成を抑制する方法。
[2C] 組成物が、経口投与する製剤である、[1C]記載の方法。
[3C] 組成物が、経口液剤である、[1C]又は[2C]記載の方法。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0036】
[試験例1]不快臭の抑制作用の評価
下記の実施例1及び比較例1の組成物をそれぞれ調製し、その臭い(組成物に対し10cm程度まで鼻を近づけた時に感じる臭い/組成物を口に含んだ時に口内から鼻に抜ける臭い)について、
0:ニンニク加工物由来の不快臭を全く感じない
1:ニンニク加工物由来の不快臭を殆ど感じない
2:ニンニク加工物由来の不快臭を感じる
3:ニンニク加工物由来の不快臭を強く感じる
の4段階で評価した。評価は20歳台~40歳台の男性5名で行い、平均値を算出した。
なお、実施例1の組成物の評価と比較例1の組成物の評価とは、同日に1時間の間隔をあけて実施した。
結果を表1に示す。
【0037】
〔実施例1〕
ニンニク加工物(オキソアミヂン末:理研化学工業(株))500mg、エリスリトール(エリスリトールT:三菱ケミカルフーズ(株))800mg及び安息香酸ナトリウム30mgを精製水に全量100mLとなるよう溶解・分散せしめ、実施例1の液状の組成物を得た。
〔比較例1〕
エリスリトールを配合しないほかは実施例1と同様の方法により、比較例1の液状の組成物を得た。
【0038】
【0039】
表1から明らかなように、エリスリトールを含有しない比較例1の組成物では、鼻を近づけた場合も口に含んだ場合も同様にニンニク加工物由来の不快臭が強く感じられたのに対し、エリスリトールを含有する実施例1の組成物ではいずれの場合もニンニク加工物由来の不快臭は一切感じられなかった。
なお、エリスリトールそのもの自体は臭いの無い成分であるとされている(医薬品添加物規格2013、株式会社薬事日報社発行)ことから、表1で確認されたニンニク加工物由来の不快臭の抑制作用は、他の成分の臭いによるマスキングとは全く異なる作用であることが示唆された。
【0040】
以上の試験結果から、エリスリトールがニンニク加工物の不快臭を抑制する作用を有し、ニンニク加工物とエリスリトールとを同一の液状又は半固形状の組成物中に含有せしめることにより、組成物中のニンニク加工物由来の不快臭を抑制できることが明らかとなった。
【0041】
[試験例2]安定性試験
試験例1に記載の実施例1及び比較例1の組成物(液状の組成物)をそれぞれ調製した。得られた各組成物を25℃で保存しつつ定期的に沈殿生成の有無を目視により評価し、いずれの組成物に先に沈殿生成が認められるかを確認した。先に沈殿生成が認められたものを×とし、この沈殿生成までは沈殿生成が認められなかったものを〇とした。
結果を表2に示す。
【0042】
【0043】
[試験例3]安定性試験 その2
下記の実施例2及び比較例2の組成物(液状の組成物)をそれぞれ調製し、試験例2と同様に、いずれの組成物に先に沈殿生成が認められるかを確認した。
結果を表3に示す。
【0044】
〔実施例2〕
ニンニク加工物(オキソアミヂン末:理研化学工業(株))1000mg、エリスリトール(エリスリトールT:三菱ケミカルフーズ(株))4000mg、エタノール1000mg及び安息香酸ナトリウム30mgを精製水に全量100mLとなるよう溶解・分散せしめ、実施例2の液状の組成物を得た。
〔比較例2〕
エリスリトールを配合しないほかは実施例2と同様の方法により、比較例2の液状の組成物を得た。
【0045】
【0046】
表2~3から明らかなように、ニンニク加工物を含有する液状の組成物にさらにエリスリトールを含有せしめた場合(実施例1~2)には、エリスリトールを含有しない場合(比較例1~2)と比較して沈殿生成が抑制されることが明らかとなった。
【0047】
以上の試験例2及び3の結果から、エリスリトールが、液状又は半固形状の組成物中において、ニンニク加工物由来の沈殿生成を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0048】
[製造例1~10]
常法により、下記表4、表5に記載の成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物(経口液剤)を製造し、これをガラス瓶に収容して、それぞれ製造例1~10の製品を得た。
【0049】
【0050】
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、疲労回復効果や滋養強壮効果等を有するニンニク加工物を含有し、かつニンニク加工物由来の不快臭や沈殿生成が抑制された品質安定性の良好な商品価値の高い液状又は半固形状の組成物を提供することができるため、医薬品産業、食品産業等において利用できる。