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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】表示システム及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/037 20060101AFI20240326BHJP
   B60J 1/20 20060101ALI20240326BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20240326BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240326BHJP
   G09F 19/18 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B60R16/037
B60J1/20 Z
G03B21/62
G02F1/13 505
G09F19/18 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020016192
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021123165
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】米山 輝一
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-113230(JP,A)
【文献】特開2014-202859(JP,A)
【文献】特開2011-126374(JP,A)
【文献】特開2019-184962(JP,A)
【文献】特開2002-049834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/00 - 11/06
G09G 5/00 - 5/42
G03B 21/00 - 21/10
G03B 21/12 - 21/13
G03B 21/134 - 21/30
G03B 33/00 - 33/16
G03B 21/56 - 21/625
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
B60R 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過率が可変でありタクシーに設けられた表示装置と、前記表示装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記タクシーの状態を示す状態情報を取得する情報取得部と、
前記状態情報に基づいて前記表示装置に設定する透過率である設定透過率を決定する透過率決定部と、
前記設定透過率を前記表示装置に設定することにより前記表示装置の透過率を変化させる表示制御部と、
前記タクシーに設けられた後部座席に座っている乗客の要求を受け付ける要求受付部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記要求受付部が受け付けた前記要求にさらに基づいて前記透過率を変化させる、
表示システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記要求受付部が、前記乗客が運転手に質問をするための前記要求を受け付けた場合に、当該要求を受け付けていない場合よりも前記透過率を高くする、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
透過率が可変でありタクシーに設けられた表示装置と、前記表示装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記タクシーの状態を示す状態情報を取得する情報取得部と、
前記状態情報に基づいて前記表示装置に設定する透過率である設定透過率を決定する透過率決定部と、
前記設定透過率を前記表示装置に設定することにより前記表示装置の透過率を変化させる表示制御部と、
前記タクシーに設けられた後部座席に座っている乗客の要求を受け付ける要求受付部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記要求受付部が、前記乗客が運転手に質問をするための前記要求を受け付けた場合に、当該要求を受け付けていない場合よりも前記透過率を高くする、
表示システム。
【請求項4】
透過率が可変でありタクシーに設けられた表示装置と、前記表示装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記タクシーの状態を示す状態情報を取得する情報取得部と、
前記状態情報に基づいて前記表示装置に設定する透過率である設定透過率を決定する透過率決定部と、
前記設定透過率を前記表示装置に設定することにより前記表示装置の透過率を変化させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記状態情報が空車中又は迎車中を示している場合の前記透過率を、前記状態情報が実車中を示している場合の前記透過率以上に高くする、
表示システム。
【請求項5】
前記情報取得部は、前記タクシーの運転手がタクシーの状態を入力可能な情報端末において入力された前記タクシーの状態を示す前記状態情報を取得する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記タクシーの状態としての前記タクシーの後部座席のシートベルトの状態を示す前記状態情報を取得する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記状態情報に基づいて選択したコンテンツを前記表示装置に表示させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項8】
前記表示装置が前記タクシーのドアガラスに設けられており、
前記表示制御部は、前記状態情報に基づいて、前記タクシーの内側からの視認に適した向きに前記コンテンツを表示させるか、前記タクシーの外側からの視認に適した向きに前記コンテンツを表示させるかを切り替える、
請求項7に記載の表示システム。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記状態情報が実車中を示している場合に、前記タクシーの内側からの視認に適した向きに前記コンテンツを表示させ、前記状態情報が空車中を示している場合に、前記タクシーの外側からの視認に適した向きに前記コンテンツを表示させる、
請求項8に記載の表示システム。
【請求項10】
前記表示装置は、
透過率が可変の表示パネルと、
前記タクシーにおける前記表示パネルに画像を投影可能な位置に設けられた投影装置と、
を有する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項11】
タクシーに設けられた表示装置であって、
透過率が可変の表示パネルと、
前記表示パネルに画像を投影する投影装置と、
前記タクシーの状態を示す状態情報を取得する情報取得部と、
前記状態情報に基づいて前記表示パネルに設定する透過率である設定透過率を決定する透過率決定部と、
前記設定透過率を前記表示パネルに設定することにより前記表示パネルの透過率を変化させる表示制御部と、
前記タクシーに設けられた後部座席に座っている乗客の要求を受け付ける要求受付部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記要求受付部が受け付けた前記要求にさらに基づいて前記表示パネルの透過率を変化させる、
表示装置。
【請求項12】
タクシーに設けられた表示装置であって、
透過率が可変の表示パネルと、
前記表示パネルに画像を投影する投影装置と、
前記タクシーの状態を示す状態情報を取得する情報取得部と、
前記状態情報に基づいて前記表示パネルに設定する透過率である設定透過率を決定する透過率決定部と、
前記設定透過率を前記表示パネルに設定することにより前記表示パネルの透過率を変化させる表示制御部と、
前記タクシーに設けられた後部座席に座っている乗客の要求を受け付ける要求受付部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記要求受付部が、前記乗客が運転手に質問をするための前記要求を受け付けた場合に、当該要求を受け付けていない場合よりも前記表示パネルの透過率を高くする、
表示装置。
【請求項13】
タクシーに設けられた表示装置であって、
透過率が可変の表示パネルと、
前記表示パネルに画像を投影する投影装置と、
前記タクシーの状態を示す状態情報を取得する情報取得部と、
前記状態情報に基づいて前記表示パネルに設定する透過率である設定透過率を決定する透過率決定部と、
前記設定透過率を前記表示パネルに設定することにより前記表示パネルの透過率を変化させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記状態情報が空車中又は迎車中を示している場合の前記表示パネルの透過率を、前記状態情報が実車中を示している場合の前記表示パネルの透過率以上に高くする、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシー等の移動体において、乗客が利用する座席に設けられたモニタに広告を表示するための技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6557434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広告を効果的に表示するにはモニタを大きくすることが考えられる。ところが、運転手が車外の状況を視認する際の視界内にモニタが設けられていると、視界がモニタに遮られてしまい、運転手が車外の状況を確認しづらいという問題があった。例えば、乗客が利用する座席に設けられたモニタが大型化した場合、又は乗客が利用する座席の横の窓にモニタが設けられた場合、運転手が車外を見ることが可能な領域が狭くなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、運転手の視界を遮ることなく、乗客がモニタを利用できる表示システム及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る表示システムは、透過率が可変でありタクシーに設けられた表示装置と、前記表示装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記タクシーの状態を示す状態情報を取得する情報取得部と、前記状態情報に基づいて前記表示装置に設定する透過率である設定透過率を決定する透過率決定部と、前記設定透過率を前記表示装置に設定することにより前記表示装置の透過率を変化させる表示制御部と、を有する。
【0007】
前記情報取得部は、前記タクシーの運転手がタクシーの状態を入力可能な情報端末において入力された前記タクシーの状態を示す前記状態情報を取得してもよい。
【0008】
前記情報取得部は、前記タクシーの後部座席のシートベルトの状態を示す前記状態情報を取得してもよい。
【0009】
前記表示制御部は、前記状態情報に基づいて選択したコンテンツを前記表示装置に表示させてもよい。
【0010】
前記表示装置が前記タクシーの運転席より後部に設けられており、前記表示制御部は、前記状態情報が実車中を示している場合の透過率を、前記状態情報が空車中を示している場合の透過率よりも低くしてもよい。
【0011】
前記制御装置は、前記タクシーの前記後部座席に座っている乗客の要求を受け付ける要求受付部をさらに有し、前記表示制御部は、前記要求受付部が受け付けた前記要求にさらに基づいて前記透過率を変化させてもよい。
【0012】
前記表示制御部は、前記要求受付部が、前記乗客が前記運転手に質問をするための前記要求を受け付けた場合に、当該要求を受け付けていない場合よりも前記透過率を高くしてもよい。
【0013】
前記表示装置が前記タクシーのドアガラスに設けられており、前記表示制御部は、前記状態情報に基づいて、前記タクシーの内側からの視認に適した向きに前記コンテンツを表示させるか、前記タクシーの外側からの視認に適した向きに前記コンテンツを表示させるかを切り替えてもよい。
【0014】
前記表示制御部は、前記状態情報が実車中を示している場合に、前記タクシーの内側からの視認に適した向きに前記コンテンツを表示させ、前記状態情報が空車中を示している場合に、前記タクシーの外側からの視認に適した向きに前記コンテンツを表示させてもよい。
【0015】
前記表示装置は、透過率が可変の表示パネルと、前記タクシーにおける前記表示パネルに画像を投影可能な位置に設けられた投影装置と、を有してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係る表示装置は、タクシーに設けられた表示装置であって、前記タクシーの状態を示す状態情報を取得する情報取得部と、前記状態情報に基づいて前記表示装置に設定する透過率である設定透過率を決定する透過率決定部と、前記設定透過率を前記表示装置に設定することにより前記表示装置の透過率を変化させる表示制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一例として、運転手の視界を遮ることなく、乗客がモニタを利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る表示システムSが設けられた車両Tを示す図である。
図2】表示パネル2の状態の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る表示システムSの構成を示す図である。
図4】第1変形例に係る表示システムSが設けられた車両Tを示す図である。
図5】第1変形例に係る迎車中と実車中における表示システムSの表示の状態を示す図である。
図6】第1変形例に係る状態情報と表示パネル2及び表示パネル5の状態との関係を示す図である。
図7】第5変形例に係る表示装置6の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[表示システムSの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る表示システムSが設けられた車両Tを示す図である。表示システムSは、タクシー及びバス等の車両Tに設置される。図1(a)は、横から見た車両Tを示している。図1(b)は、上から見た車両Tを示している。車両Tには、投影装置1と、表示パネル2と、料金メータ3と、制御装置4とが設けられている。投影装置1及び表示パネル2は、制御装置4により制御される表示装置を構成する。
【0020】
投影装置1は、表示パネル2に画像を投影する装置であり、例えばプロジェクタである。投影装置1は、車両Tにおける表示パネル2に画像を投影可能な位置に設けられている。投影装置1は、例えば車両Tの天井に設置されており、制御装置4から取得したコンテンツを表示パネル2に投影する。コンテンツは、画像及びテキストを含むデータである。
【0021】
表示パネル2は、例えば車両Tに設けられた透過率が可変である調光フィルム又は調光パネルである。表示パネル2は、投影装置1が投影する画像を表示する。表示パネル2は、制御装置4からの通知に基づいて、光の透過率を変化させる。
【0022】
表示パネル2は、例えば運転席C3より後部に設けられている。図1(b)に示す例において、表示パネル2は、助手席C1と後部座席C2との間に設けられている。表示パネル2は、例えば助手席C1と後部座席C2との間に備わる防犯板に貼り付けて使用される。表示パネル2は、助手席C1及び運転席C3の2脚分の幅を有してもよい。また、表示パネル2は、防犯板の全体に貼り付けたり、防犯板と一体化されたりしてもよい。
【0023】
料金メータ3は、乗車料金を表示する装置である。運転手は、料金メータ3を操作することにより、例えば空車中、迎車中、実車中、支払中等の車両Tの状態を料金メータ3に設定することができる。料金メータ3は、設定された状態を示す状態情報を制御装置4に通知する。
【0024】
制御装置4は、投影装置1と表示パネル2とから構成される表示装置を制御する。制御装置4は、例えば料金メータ3から取得した状態情報に基づいて、表示パネル2に設定する透過率(以下、「設定透過率」という。)を決定し、決定した設定透過率を表示パネル2に送信する。また、制御装置4は、料金メータ3から取得した状態情報に基づいて表示パネル2に表示するコンテンツを決定し、決定したコンテンツを投影装置1に送信する。
【0025】
図2は、表示パネル2の状態の一例を示す図である。図2(a)は、車両Tの状態が空車中の場合の表示パネル2の状態を示している。制御装置4は、車両Tの状態が空車中の場合に、運転手が後方の窓を視認することができるように、表示パネル2が光を透過することができる第1設定透過率を表示パネル2に通知する。表示パネル2は、第1設定透過率を受け取ると、受け取った第1設定透過率に基づいて、実車中よりも透過率を高くする。このように表示パネル2が透過率を高くすることで、運転手は視界を遮られずに運転することができる。
【0026】
制御装置4は、車両Tの状態が実車中の場合、空車中の第1設定透過率よりも低い第2設定透過率を表示装置に通知する。第2透過率は、後部座席の乗客が、投影装置1が表示パネル2に投影した画像を視認することが可能な状態に対応する透過率である。第2透過率は、運転手が後部座席の乗客を視認できない状態に対応する透過率であってもよい。表示パネル2は、第2設定透過率を受け取ると、図2(b)に示すように、空車中よりも表示パネル2の設定透過率を下げて、投影装置1が投影するコンテンツを表示可能な状態になる。このように表示パネル2の透過率を低くすることで、乗客はコンテンツを閲覧することができる。
以下、制御装置4の構成について詳細に説明する。
【0027】
[制御装置4の構成]
図3は、本発明の実施形態に係る表示システムSの構成を示す図である。制御装置4は、記憶部41と、制御部42とを有する。制御部42は、情報取得部421と、透過率決定部422と、表示制御部423とを備える。
【0028】
記憶部41は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。記憶部41は、制御部42が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部41は、投影装置1が投影するテキスト又は画像等のコンテンツを記憶する。
【0029】
制御部42は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む。制御部42は、記憶部41に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部421、透過率決定部422、及び表示制御部423として機能する。
【0030】
情報取得部421は、料金メータ3との間でデータを送受信するための通信インターフェースを介して、車両Tの状態を示す状態情報を料金メータ3から取得する。情報取得部421は、料金メータ3から取得した状態情報を透過率決定部422に通知する。透過率決定部422は、情報取得部421から受け取った状態情報に基づいて、表示パネル2に設定する透過率である設定透過率を決定する。
【0031】
透過率決定部422は、例えば、料金メータ3から受け取った状態情報が空車中を示している場合、図2(a)に示すように車両Tの運転手の視界を遮断することを抑制するために、表示パネル2が透過状態になるように、表示パネル2の透過率を第1設定透過率に決定する。
【0032】
一方、料金メータ3から受け取った状態情報が実車中を示している場合は、図2(b)に示すように表示パネル2がコンテンツを表示できるようにするために、表示パネル2が非透過状態になるように、表示パネル2の透過率を第2設定透過率に決定する。透過率決定部422は、決定した設定透過率と料金メータ3から受け取った状態情報とを表示制御部423に通知する。
【0033】
表示制御部423は、ケーブル又は無線を介して投影装置1及び表示パネル2を制御する。表示制御部423は、透過率決定部422から受け取った設定透過率を表示パネル2に設定することにより表示パネル2の透過率を変化させる。表示制御部423は、透過率決定部422から受け取った設定透過率に基づいて、状態情報が実車中を示している場合の第2設定透過率を、状態情報が空車中を示している場合の第1設定透過率よりも低くする。
【0034】
表示制御部423は、状態情報に基づいて選択したコンテンツを表示パネル2に表示させる。表示制御部423は、記憶部41が状態情報に関連付けて記憶しているコンテンツを取得し、取得したコンテンツを投影装置1に送信する。表示制御部423は、透過率決定部422から受け取った設定透過率に基づいて表示パネル2の透過率を制御する。具体的には、表示制御部423は、透過率決定部422から第1設定透過率を取得した場合は、表示パネル2の透過率を第2設定透過率よりも高く設定し、透過率決定部422から第2設定透過率を取得した場合は、表示パネル2の透過率を第1設定透過率よりも低く設定する。
【0035】
表示制御部423は、状態情報に対応するコンテンツを投影装置1に投影させて、当該コンテンツを表示パネル2に表示させる。表示制御部423は、例えば、状態情報が実車中を示している場合は、乗客に見せるための広告コンテンツを記憶部41から取得して投影装置1に投影させる。状態情報が支払中の場合は、料金メータ3から取得した乗車料金を表示装置に表示させてもよい。
【0036】
以上説明したように、制御装置4は、車両Tの状態に基づいて表示パネル2の透過率を制御するとともに、投影装置1が表示パネル2にコンテンツを投影するか否かを制御する。制御装置4がこのように動作することで、表示システムSは、実車中には乗客に見せるコンテンツを表示パネル2に表示させ、空車中には運転手の視界を広げることができる。
【0037】
[第1変形例]
図4は、本変形例に係る表示システムSが設けられた車両Tを示す図である。以上の説明においては、投影装置1及び表示パネル2を含む表示装置が車両Tの運転席C3より後部に設けられている場合を例示したが、例えば図4に示すように後部座席C2の横のドアガラスに表示パネル5が設置されていてもよい。表示パネル5は、表示パネル2と同等の機能を有する。
【0038】
表示パネル5が車両Tのドアガラスに設けられている場合、表示制御部423は、状態情報に基づいて、車両Tの内側からの視認に適した向きにコンテンツを表示させるか、車両Tの外側からの視認に適した向きにコンテンツを表示させるかを切り替える。具体的には、表示制御部423は、状態情報が実車中を示している場合に、車両Tの内側からの視認に適した向きにコンテンツを表示させる。表示制御部423は、状態情報が空車中又は迎車中を示している場合に、車両Tの外側からの視認に適した向きにコンテンツを表示させる。
【0039】
図5は、本変形例に係る迎車中と実車中における表示システムSの表示の状態を示す図である。図5(a)は、状態情報が迎車中の場合を示す。状態情報が迎車中の場合、乗客は車両Tの外側にいるため、表示制御部423は、乗客が車両Tの外側からコンテンツを視認しやすい向きのコンテンツを表示パネル5に投影するように投影装置1を制御する。表示制御部423は、例えば、車内から視認した場合に鏡文字に見えるコンテンツを投影装置1に投影させる。
【0040】
図5(b)は、状態情報が実車中の場合を示す。状態情報が実車中の場合、乗客は車両Tの内側にいるため、表示制御部423は、乗客が車両Tの内側からコンテンツを視認できるように投影装置1に投影させる。表示制御部423がこのように状態情報に応じてコンテンツの向きを切り替えることで、乗客はコンテンツを違和感なく閲覧することができる。
【0041】
なお、車両Tに、複数の表示パネルが設置されていてもよい。例えば、車両Tの運転席C3の後部に表示パネル2が設置されており、後部座席C2の横のドアガラスに表示パネル5が設置されていてもよい。このように複数の表示パネルが車両Tに設置されている場合、表示制御部423は、状態情報に基づいて、コンテンツを表示する表示パネルを切り替えたり、複数の表示パネルに同時にコンテンツを表示させたりしてもよい。
【0042】
図6は、第1変形例に係る状態情報と表示パネル2及び表示パネル5の状態との関係を示す図である。図6に示すように、状態情報が「空車中」を示している場合、表示制御部423は、表示パネル2及び表示パネル5の透過率を高くし、表示パネル2及び表示パネル5にはコンテンツを表示させない。
【0043】
状態情報が「迎車中」を示している場合、表示制御部423は、表示パネル2の透過率を空車中と同様に高くするとともに、表示パネル2にコンテンツを表示させない。一方、表示制御部423は、表示パネル5の透過率を低くするとともに、表示パネル5に、例えば車両Tを予約した乗客の名前を表示させる。
【0044】
状態情報が「実車中」を示している場合、表示制御部423は、表示パネル2及び表示パネル5の透過率を低くするとともに、表示パネル2及び表示パネル5に、例えば乗客に見せるための広告コンテンツを表示させる。
【0045】
状態情報が「支払中」を示している場合、表示制御部423は、表示パネル2の透過率を実車中と同様に低くするとともに、表示パネル2に、例えば料金メータ3から取得した乗車料金を表示する。一方、表示制御部423は、表示パネル5の透過率を実車中と同様に低くするとともに、表示パネル5に、実車中と同様に乗客に見せるための広告コンテンツを表示させる。表示制御部423は、表示パネル5に、忘れ物の確認を促すメッセージ又はお礼のメッセージ等を表示させてもよい。
【0046】
[第2変形例]
以上の説明においては、制御装置4が料金メータ3から取得した状態情報に基づいて設定透過率とコンテンツとを決定する場合を例示したが、設定透過率とコンテンツとを決定する方法は料金メータ3から取得した状態情報に基づく方法には限られない。例えば、情報取得部421は、車両Tの運転手が車両Tの状態を入力可能なタブレット又はスマートフォン等の情報端末において入力された車両Tの状態を示す状態情報、又は車両Tの後部座席のシートベルトの状態を示す状態情報を取得してもよい。情報取得部421が後部座席のシートベルトの状態を示す情報を取得する場合、情報取得部421は、シートベルトが装着されていない状態は空車中であり、シートベルトが装着されている状態は実車中であると判定する。
【0047】
[第3変形例]
以上の説明においては、表示制御部423が、状態情報に基づいて表示パネル2の透過率を変化させる場合を例示したが、表示制御部423は、乗客の指示に基づいて透過率を変化させてもよい。
【0048】
この場合、表示パネル2にはタッチパネルが設けられており、表示制御部423は、車両Tの後部座席C2に座っている乗客の要求を受け付ける要求受付部としてさらに機能する。表示制御部423は、受け付けた要求に基づいて表示パネル2の透過率を変化させる。
【0049】
具体的には、表示制御部423は、乗客が車両Tに乗っている状態において、表示パネル2の透過率を設定するための操作画面を表示パネル2に表示させる。表示制御部423は、乗客が操作画面において行った操作に基づいて設定透過率を決定し、決定した設定透過率に基づいて表示パネル2の透過率を変化させる。表示制御部423がこのように動作することで、乗客が外の様子を見たい場合に、表示パネル2によって乗客の視線が妨げられることを防げる。
【0050】
さらに、要求受付部として機能する表示制御部423は、乗客が運転手に質問をするための要求を受け付けるための操作画面を表示パネル2に表示させてもよい。この場合、表示制御部423は、乗客が運転手に質問をするための要求を受け付けた場合に、当該要求を受け付けていない場合よりも透過率を大きくするように表示装置に表示させる。このように表示制御部423が動作することで、乗客が運転手に質問をしたいにもかかわらず、表示パネル2に遮られて質問をできないという状況が発生しにくくなる。
【0051】
[第4変形例]
以上の説明においては、制御装置4が投影装置1及び表示パネル2と異なる装置である場合を例示したが、投影装置1が制御装置4を含んでもよい。
【0052】
[第5変形例]
以上の説明においては、表示装置が投影装置1及び表示パネル2により構成される場合を例示したが、表示装置は、発光機能を有するディスプレイであってもよい。
【0053】
図7は、本変形例に係る表示装置6の構成を示す図である。表示装置6は、制御装置4が有していた構成に加えて、表示部43を有する。表示部43は、透過率を変化させることができるディスプレイであり、例えば、透明な散乱型液晶と電極とをガラス基板で挟んだ構造を有する。
【0054】
図7に示す表示装置6が有する情報取得部421及び透過率決定部422は、図4に示した制御装置4が有する情報取得部421及び透過率決定部422と同等の機能を有する。表示制御部423は、透過率決定部422が決定した透過率になるように表示部43を制御する。表示制御部423は、表示部43にコンテンツを表示する際に、コンテンツを表示しない際よりも表示部43の透過率を低くする。このように表示装置6が、透過率を変化させることができる表示部43を有することで、投影装置1を車両Tに設置する必要がないので、車内スペースが広くなる。
【0055】
[本実施形態に係る表示システムSによる効果]
以上のとおり、表示システムSは、車両Tの状態が空車中の場合は、表示装置の透過率を上げることで、運転手の視界を広くすることができる。また、車両Tの状態情報が実車中の場合は、表示装置の透過率を下げることで、乗客が表示装置をモニタとして利用することができる。
【0056】
また、車両Tの窓に表示装置が設けられている場合、表示システムSは、車両Tの状態情報が迎車中の場合は、コンテンツを車両Tの外側に向けて表示し、車両Tの状態情報が実車中の場合は、コンテンツを車両Tの内側に向けて表示する。その結果、表示装置は乗客がいる位置に適したコンテンツを表示することができる。さらに、助手席C1及び運転席C3と後部座席C2との間に表示パネル2を設けることで、車両Tの中の空間を有効に使用して、広告等のコンテンツを表示する効果を高めることができる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0058】
1 投影装置
2 表示パネル
3 料金メータ
4 制御装置
5 表示パネル
6 表示装置
41 記憶部
42 制御部
43 表示部
421 情報取得部
422 透過率決定部
423 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7