(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】取り出し装置のための制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B23K 10/00 20060101AFI20240326BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20240326BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20240326BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20240326BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20240326BHJP
B23Q 17/22 20060101ALI20240326BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20240326BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20240326BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B23K10/00 501A
B23K26/38 A
B23K26/03
B23Q7/00 A
B23Q7/04 M
B23Q17/22 A
B23Q17/24 C
B23Q17/20 A
B25J13/08 A
(21)【出願番号】P 2020020545
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】桶谷 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 均
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524355(JP,A)
【文献】特開2013-169569(JP,A)
【文献】特開2019-085252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0066033(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 10/00
B23K 26/00 - 26/70
B23Q 7/00
B23Q 7/04
B23Q 17/22
B23Q 17/24
B23Q 17/20
B25J 13/08
B26D 7/00 - 11/00C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱切断機によって切り落とされて支持部材に支持されたワークピースを、前記ワークピースが切り出された残材から取り出す取り出し装置のための制御システムであって、
前記残材の位置を示す残材データと、前記残材から落下した前記ワークピースの位置及び姿勢を示すワークデータとを出力するセンサと、
前記残材データと前記ワークデータとを受信するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記残材データと前記ワークデータとに基づいて、
複数の落下状態から、前記ワークピースの現在の落下状態を
選択し、
前記ワークピースを上方へ移動させる第1動作パターンと、前記ワークピースの側面と前記残材の角部との接触点回りに前記ワークピースを回転させた後に上方へ移動させる第2動作パターンと、前記ワークピースを回転及び平行移動させた後に上方へ移動させる第3動作パターンとを含む複数の動作パターンから、前記ワークピースの現在の落下状態に応じ
た動作パターンを決定し、
決定した前記動作パターンにより、前記ワークピースを取り出すように前記取り出し装置を制御する、
制御システム。
【請求項2】
前記ワークデータは、前記ワークピースの傾斜角度と、前記残材からの落下距離とを含み、
前記コントローラは、前記ワークピースの前記傾斜角度と前記落下距離とに基づいて、前記ワークピースの現在の落下状態を判定する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記ワークピースは、前記ワークピースの断面において、前記ワークピースの上面の一方の端に位置する第1上角と、前記ワークピースの上面の他方の端に位置する第2上角と、前記ワークピースの下面において前記第1上角の対角に位置する第1下角と、前記ワークピースの下面において前記第2上角の対角に位置する第2下角とを含み、
前記第1上角は、前記第2上角より下方に位置し、
前記第1下角は、前記第2下角より上方に位置し、
前記コントローラは、前記第1上角と前記第1下角と前記第2上角と前記第2下角との位置から、前記現在の落下状態を判定する、
請求項
1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記複数の落下状態は、小落下状態を含み、
前記コントローラは、小落下の条件が満たされているときに、前記ワークピースが前記小落下状態であると判定し、
前記小落下の条件は、前記第1下角が、前記残材内に位置していることを含み、
前記ワークピースが前記小落下状態であるときには、前記取り出し装置によって前記ワークピースを上方へ移動させることで、前記ワークピースを前記残材から取り出す、
請求項
3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記複数の落下状態は、中落下状態を含み、
前記残材は、前記ワークピースが切り抜かれた孔の内側面の下端に位置する角部を含み、
前記コントローラは、
前記第1下角と前記第2下角との両方が前記残材の外に位置しており、前記ワークピースの側面が前記残材の角部と接触しており、且つ、前記第1上角が前記残材内に位置しているときには、前記ワークピースが前記中落下状態であると判定し、
前記ワークピースが前記中落下状態であるときには、前記取り出し装置によって、前記ワークピースの側面と前記残材の角部との接触点回りに前記ワークピースを回転させた後に、上方へ移動させることで、前記ワークピースを前記残材から取り出す、
請求項
3又は4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記複数の落下状態は、大落下状態を含み、
前記コントローラは、前記第1上角と前記第1下角と前記第2下角とが、前記残材の外に位置し、且つ、前記ワークピースを回転させたときに前記ワークピースの上面が水平になる前に前記残材に干渉するときには、前記ワークピースが前記大落下状態であると判定し、
前記コントローラは、前記ワークピースが前記大落下状態であるときには、前記ワークピースを回転させることと、前記ワークピースの上面に平行な方向に前記ワークピースを移動させることとを、順に実行するように前記取り出し装置を制御することで、前記ワークピースを上方へ移動可能な状態に遷移させる、
請求項
3から5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記ワークピースが前記大落下状態であるときには、
前記ワークピースの上面が前記残材と接触するまで、前記ワークピースを回転させることを含む第1処理と、
前記ワークピースの側面が前記残材と接触するまで、前記ワークピースの上面に平行な方向に、前記ワークピースを移動させることを含む第2処理と、
所定条件が満たされるかを判定することを含み、前記所定条件は、前記ワークピースの側面と前記残材との接触点回りに前記ワークピースを回転させると、前記第1上角が前記残材内に移動可能なことである第3処理と、
前記所定条件が満たされるときには、前記第1上角が前記残材内に入るまで、前記接触点回りに前記ワークピースを回転させることを含む第4処理と、
前記ワークピースを上方へ移動させることで前記残材から取り出すことを含む第5処理と、
を順次、実行するように前記取り出し装置を制御する、
請求項
6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記所定条件が満たされないときには、
前記ワークピースが前記支持部材に接触するまで、前記ワークピースの側面に平行な方向に、前記ワークピースを下降させることを含む第6処理と、
前記ワークピースが前記支持部材に接触した状態で、前記所定条件が満たされるかを判定することを含む第7処理と、
前記所定条件が満たされるときには、前記第1上角が前記残材内に入るまで、前記接触点回りに前記ワークピースを回転させることを含む第8処理と、
前記ワークピースを上方へ移動させることで前記残材から取り出すことを含む第9処理と、
を順次、実行するように前記取り出し装置を制御する、
請求項
7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第7処理において前記所定条件が満たされないときには、前記所定条件が満たされるまで、前記第1処理から前記第6処理を繰り返し実行するように前記取り出し装置を制御する、
請求項
8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記複数の落下状態は、全落下状態を含み、
前記コントローラは、前記ワークピースの上面が水平になるまで前記ワークピースを回転させても前記ワークピースが前記残材に干渉しないときには、前記ワークピースが前記全落下状態であると判定し、
前記ワークピースが前記全落下状態であるときには、前記取り出し装置によって、前記ワークピースの上面が水平になるように前記ワークピースを回転させ、且つ、前記ワークピースの位置を前記残材の孔の位置に合わせた後に、前記ワークピースを上方へ移動させることで、前記ワークピースを前記残材から取り出す、
請求項
3から9のいずれかに記載の制御システム。
【請求項11】
前記センサは、
前記残材データを出力する第1センサと、
前記ワークデータを出力する第2センサと、
を含む、
請求項1から
10のいずれかに記載の制御システム。
【請求項12】
熱切断機によって切り落とされて支持部材に支持されたワークピースを、前記ワークピースが切り出された残材から取り出す取り出し装置のための制御方法であって、
前記残材の位置を示す残材データを取得することと、
前記残材から落下した前記ワークピースの位置及び姿勢を示すワークデータを取得することと、
前記残材データと前記ワークデータとに基づいて、
複数の落下状態から、前記ワークピースの現在の落下状態を
選択することと、
前記ワークピースを上方へ移動させる第1動作パターンと、前記ワークピースの側面と前記残材の角部との接触点回りに前記ワークピースを回転させた後に上方へ移動させる第2動作パターンと、前記ワークピースを回転及び平行移動させた後に上方へ移動させる第3動作パターンとを含む複数の動作パターンから、前記ワークピースの現在の落下状態に応じ
た動作パターンを決定することと、
決定した前記動作パターンにより、前記ワークピースを取り出すように前記取り出し装置を制御すること、
を備える制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱切断機によって切り落とされて支持部材によって支持されたワークピースを残材から取り出す取り出し装置のための制御システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱切断機は、熱によって、金属板などの原材から、所望の形状のワークピースを切り出す。原材の下方には、複数の支持部材が配置されている。例えば特許文献1に示されているように、複数の支持部材は、板状の形状を有しており、互いに間隔を置いて配置されている。熱切断機によって切断されたワークピースは、支持部材上に落下して、支持部材に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、支持部材からのワークピースの取り出しは、マグネット或いは吸着パッドを用いて、人による手作業で行われている。このようなワークピースの取り出しを、ロボットアームなどの取り出し装置によって自動化することが望まれている。しかし、切り落とされたワークピースの上方には、ワークピースが切り抜かれた後の残材が位置している。従って、ワークピースの取り出し時に、残材がワークピースに干渉し易い。そのため、取り出し装置によって、自動的に効率よくワークピースを取り出すことは困難である。
【0005】
また、支持部材は、高温のワークピースと接触するため、使用に応じて損耗する。従って、当初は水平であった支持部材の上面には、使用に応じて凹凸が生じる。そのため、ワークピースは、傾いた姿勢で支持部材に支持されることがある。また、ワークピースの傾きは、一定ではなく、支持部材によって支持される位置、或いは、支持部材の損耗に応じて変化する。そのため、取り出し装置によって、自動的に効率よくワークピースを取り出すことは、さらに困難である。
【0006】
本開示の課題は、熱切断機によって切り落とされたワークピースを、自動化によって効率よく残材から取り出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る制御システムは、取り出し装置のための制御システムである。取り出し装置は、熱切断機によって切り落とされて支持部材に支持されたワークピースを、ワークピースが切り出された残材から取り出す。制御システムは、第1センサと、第2センサと、コントローラとを備える。第1センサは、残材の位置を示す残材データを出力する。第2センサは、残材から落下したワークピースの位置及び姿勢を示すワークデータを出力する。コントローラは、残材データとワークデータとを受信する。コントローラは、残材データとワークデータとに基づいて、ワークピースの現在の落下状態を判定する。コントローラは、ワークピースの現在の落下状態に応じて、ワークピースを取り出すように取り出し装置を制御する。
【0008】
本開示の他の態様に係る制御方法は、取り出し装置のための制御方法である。取り出し装置は、熱切断機によって切り落とされて支持部材によって支持されたワークピースを、ワークピースが切り出された残材から取り出す。本態様に係る制御方法は、残材の位置を示す残材データを取得することと、残材から落下したワークピースの位置及び姿勢を示すワークデータを取得することと、残材データとワークデータとに基づいて、ワークピースの現在の落下状態を判定することと、ワークピースの現在の落下状態に応じて、ワークピースを取り出すように取り出し装置を制御すること、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ワークピースの位置及び姿勢と、残材の位置とに基づいて、ワークピースの現在の落下状態が判定される。そのため、残材による干渉を避けて、取り出し装置によって自動的に効率よくワークピースを取り出すことができる。また、支持部材の損耗によって、ワークピースの姿勢が変化しても、取り出し装置によって自動的に効率よくワークピースを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る熱切断機の構成を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る取り出し装置と、その制御システムの構成を示す平面図である。
【
図9】取り出し装置によってワークピースを自動的に取り出すための処理を示すフローチャートである。
【
図10】落下状態と動作パターンとを決定するための処理を示すフローチャートである。
【
図11】小落下状態のワークピースを示す図である。
【
図12】小落下と中落下との間の境界状態でのワークピースを示す図である。
【
図13】小落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図14】中落下状態のワークピースを示す図である。
【
図15】中落下と大落下との間の境界状態でのワークピースを示す図である。
【
図16】中落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図17】中落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図18】大落下状態のワークピースを示す図である。
【
図19】大落下と全落下との間の境界状態でのワークピースを示す図である。
【
図20】大落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図21】大落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図22】大落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図23】大落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図24】大落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図25】全落下状態のワークピースを示す図である。
【
図26】全落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図27】全落下状態での動作パターンを示す図である。
【
図28】全落下状態での動作パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係る熱切断機の構成を示す図である。本実施形態において、熱切断機1は、プラズマ切断機である。
図1に示すように、熱切断機1は、テーブル2と、トーチ3と、移動装置4と、切断コントローラ5とを備える。テーブル2には、原材M0が載置される。原材M0は、金属板などの板状の材料である。トーチ3は、図示しない電源回路、及び、ガス供給装置に接続されている。トーチ3は、プラズマアークを噴出して、熱によって原材M0を切断する。
【0012】
移動装置4は、トーチ3をテーブル2上で移動させる。詳細には、移動装置4は、トーチ3を原材M0に対してX(縦),Y(横)及びZ(高さ)方向に移動させる。移動装置4は、第1キャリッジ11と、第2キャリッジ12と、アーム13とを有する。第1キャリッジ11は、テーブル2の側方においてX方向に往復移動する。アーム13は、第1キャリッジ11からY方向に平行に、テーブル2の上方へ延びるように配置されている。第2キャリッジ12は、トーチ3をZ方向へ往復移動可能に支持する。第2キャリッジ12は、アーム13上をY方向に往復移動する。
【0013】
切断コントローラ5は、トーチ3からのプラズマアークの噴出と、第1キャリッジ11および第2キャリッジ12によるトーチ3の移動とを制御する。それにより、切断コントローラ5は、原材M0から所望の形状のワークピースM1を切り出すように、熱切断機1を制御する。切断コントローラ5は、CPUなどのプロセッサと、RAMおよびROMなどのメモリとを備える。
【0014】
切断コントローラ5は、後述する設計コントローラ6と通信する。設計コントローラ6は、CPUなどのプロセッサと、RAMおよびROMなどのメモリとを備える。設計コントローラ6には、原材M0の形状およびワークピースM1の目標形状を含む設計データが入力される。切断コントローラ5は、設計コントローラ6から、設計データを取得する。切断コントローラ5は、設計データに従って、原材M0からワークピースM1を切り出すように、熱切断機1を制御する。
【0015】
図2は、テーブル2の上面図である。
図2に示すように、熱切断機1は、複数の支持部材14を備えている。支持部材14は、原材M0の下方に配置される。支持部材14は、板状の形状を有している。支持部材14は、互いに間隔を置いて配置されている。
図3は、支持部材14の拡大図である。なお、
図2および
図3では、支持部材14の一部のみに符号14を付しており、他の支持部材14の符号は省略されている。
【0016】
図3に示すように、支持部材14の上面は、凹凸を有している。例えば、支持部材14の上面は、鋸刃状、或いは剣山状の形状を有している。支持部材14は、鉄などの金属材料で形成されている。原材M0から切り出されたワークピースM1は、支持部材14上に落下して、支持部材14によって支持される。
【0017】
図4は、本実施形態に係る取り出し装置7と、その制御システム8の構成を示す平面図である。
図5は、取り出し装置7の側面図である。取り出し装置7は、支持部材14上のワークピースM1を、ワークピースM1が切り出された残材M2から取り出す装置である。本実施形態において、取り出し装置7は、ロボットアーム21と、ロボットコントローラ22とを含む。
図5に示すように、ロボットアーム21は、複数のリンク23a-23dと、複数のジョイント24a-24cと、保持装置25とを含む。複数のリンク23a-23dは、複数のジョイント24a-24cを介して、互いに回転可能に接続されている。保持装置25は、先端のリンク23aに取り付けられている。保持装置25は、回転軸A1回りに回転可能である。保持装置25は、保持力のオンとオフとを切り替えることで、ワークピースM1の保持と解放とを切り替える。保持装置25は、例えばマグネット、或いは真空パッドを含む。
【0018】
ロボットコントローラ22は、ロボットアーム21を制御する。ロボットコントローラ22は、CPUなどのプロセッサと、RAMおよびROMなどのメモリとを備える。ロボットアーム21は図示しない複数のモータを含む。ロボットコントローラ22は、モータを制御することで、ロボットアーム21を動作させる。ロボットコントローラ22は、保持装置25の移動と、保持装置25によるワークピースM1の保持と解放とを制御する。
図4に示すように、ロボットアーム21の周囲には、製品パレット15が配置されている。ロボットコントローラ22は、ロボットアーム21を動作させて、取り出したワークピースM1を製品パレット15上に配置する。
【0019】
制御システム8は、ワークピースM1を残材M2から取り出すように、取り出し装置7を制御する。
図6は、切断後のワークピースM1と残材M2との上面図である。
図7および
図8は、
図6におけるA-A断面図である。
図7は、切断中のワークピースM1と残材M2との断面を示す。
図8は、切断後のワークピースM1および残材M2の断面を示す。切断後のワークピースM1は、水平方向に対して傾斜して落下した状態である。以下の説明において、ワークピースM1および残材M2の断面は、鉛直方向に平行である。なお、
図6では、複数の支持部材14のうち1つのみが図示されており、他の支持部材14は省略されている。
【0020】
図7に示すように、ワークピースM1の切断中に原材M0の一部が溶融することで、ワークピースM1と残材M2との間に隙間G1,G2が形成される。そのため、
図8に示すように、原材M0から切り出されたワークピースM1は、支持部材14上に落下して、支持部材14に支持されるが、ワークピースM1は、傾いた状態で支持されることがある。
【0021】
制御システム8は、第1センサ26と、第2センサ27と、負荷センサ28と、取り出しコントローラ29とを含む。第1センサ26は、残材M2の位置と寸法とを検出する。第1センサ26は、残材M2の位置と寸法とを示す残材データを出力する。第1センサ26は、例えばカメラを含む。第1センサ26は、画像解析によって、残材M2の位置と寸法とを検出する。第1センサ26は、距離センサを含んでもよい。距離センサは、光学式、或いは超音波式のセンサであってもよい。
【0022】
第2センサ27は、残材M2から落下したワークピースM1の位置と、寸法と、姿勢とを検出する。第2センサ27は、ワークピースM1の位置と、寸法と、姿勢とを示すワークデータを出力する。第2センサ27は、例えば距離センサを含む。距離センサは、光学式、或いは超音波式のセンサである。第2センサ27は、カメラを含んでもよい。第2センサ27は、画像解析によって、ワークピースM1の位置と、寸法と、姿勢とを検出してもよい。或いは、第2センサ27は、LIDAR(Light Detection and Ranging)装置を含んでもよい。
【0023】
負荷センサ28は、ワークピースM1を介して取り出し装置7に伝わる負荷を検出する。負荷センサ28は、ワークピースM1を介して取り出し装置7に伝わる負荷を示す信号を出力する。負荷センサ28は、例えば歪ゲージを含んでもよい。或いは、負荷センサ28は、磁歪式、或いは静電容量式などの他の方式のセンサを含んでもよい。
【0024】
第1センサ26と、第2センサ27と、負荷センサ28とは、ロボットアーム21に取り付けられる。第1センサ26と、第2センサ27と、負荷センサ28とは、ロボットアーム21とともに移動する。或いは、第1センサ26と第2センサ27との少なくとも1つは、テーブル2の周囲に固定的に配置されてもよい。
【0025】
取り出しコントローラ29は、ロボットコントローラ22と通信を行う。取り出しコントローラ29は、設計コントローラ6と通信を行う。取り出しコントローラ29は、第1センサ26、第2センサ27、および負荷センサ28と通信を行う。取り出しコントローラ29は、残材データとワークデータとを受信する。取り出しコントローラ29は、残材データとワークデータとに基づいて、取り出し装置7の動作を決定する。取り出しコントローラ29は、CPUなどのプロセッサ40と、RAMおよびROMなどのメモリ41とを備える。取り出しコントローラ29は、記憶されたプログラムに従って、取り出し装置7の動作を判定するための処理を実行する。以下、取り出し装置7によってワークピースM1を自動的に取り出すための処理について説明する。
【0026】
図9は、取り出し装置7によってワークピースM1を自動的に取り出すための処理を示すフローチャートである。ステップS101では、取り出しコントローラ29は、設計データを取得する。取り出しコントローラ29は、設計コントローラ6から設計データを取得する。
【0027】
図7に示すように、設計データは、残材M2の板厚tと、カーフ幅Cと、ワーク幅Wとを含む。カーフ幅Cは、ワークピースM1と残材M2との間の隙間G1,G2の幅である。ワーク幅Wは、ワークピースM1の断面における水平方向のワークピースM1の寸法である。
【0028】
ステップS102では、取り出しコントローラ29は、残材データを取得する。上述したように、取り出しコントローラ29は、第1センサ26から残材データを受信する。取り出しコントローラ29は、残材データから、残材M2の位置および寸法を取得する。
図8に示すように、残材M2には、原材M0からワークピースM1が切り出されることで、ワークピースM1の形状に沿った孔M3が形成される。残材データは、残材M2の孔M3の幅Lと位置とを含む。或いは、取り出しコントローラ29は、設計データのカーフ幅Cとワーク幅Wとから孔M3の幅Lを取得してもよい。
【0029】
ステップS103では、取り出しコントローラ29は、ワークデータを取得する。上述したように、取り出しコントローラ29は、第2センサ27からワークデータを受信する。
図8に示すように、取り出しコントローラ29は、ワークデータから、支持部材14上のワークピースM1の傾斜角度θと、残材M2に対する高さhとを取得する。
【0030】
ワークピースM1の傾斜角度θは、水平方向に対する、ワークピースM1の上面の角度である。高さhは、残材M2上の原点P0に対する鉛直方向の位置を示す。原点P0は、残材M2の上面に位置している。原点P0は、孔M3の内側面の上端に位置している。高さhは、原点P0より下方の位置では負の値であり、下方に行くほど小さくなる。高さhの絶対値は、ワークピースM1の落下距離に相当する。原点P0より下方の位置において、ワークピースM1の高さが低いほど、落下距離は大きい。
【0031】
取り出しコントローラ29は、ワークデータから、ワークピースM1の断面の複数の角31-34の位置を取得する。複数の角31-34は、第1上角31と、第2上角32と、第1下角33と、第2下角34とを含む。第1上角31は、ワークピースM1の上面の一方の端に位置する。第2上角32は、ワークピースM1の上面の他方の端に位置する。第1上角31は、ワークピースM1の上面の一対の角のうち下方に位置するものと定義される。
【0032】
第1下角33は、ワークピースM1の下面において第1上角31の対角に位置する。第2下角34は、ワークピースM1の下面において第2上角32の対角に位置する。第1下角33は、ワークピースM1の下面の一対の角のうち上方に位置するものと定義される。
【0033】
残材M2の断面において、残材M2は、第1角部42と第2角部43とを含む。第1角部42と第2角部43とは、残材M2の下面と孔M3の内側面との間の角である。第1角部42は、残材M2の下面と孔M3の内側面との間の角のうち、第1下角33に近い方である。第2角部43は、残材M2の下面と孔M3の内側面との間の角のうち、第2下角34に近い方である。取り出しコントローラ29は、ワークデータから、第1角部42と第2角部43との位置を取得する。
【0034】
ステップS104では、取り出しコントローラ29は、参照断面A-Aを決定する。
図6に示すように、取り出しコントローラ29は、鉛直方向に平行、且つ、支持部材14に垂直なワークピースM1の断面のうち、水平方向に対する最大の傾斜角度θを有する断面B-Bを決定する。取り出しコントローラ29は、断面B-Bに平行で、断面の幅寸法が最大になる断面を、参照断面A-Aとして決定する。
【0035】
ステップS105では、コントローラは、ワークピースM1の現在の落下状態を判定する。取り出しコントローラ29は、参照断面A-AにおけるワークピースM1の傾斜角度θと高さhとに基づいて、ワークピースM1の現在の落下状態を判定する。落下状態の判定方法については後述する。
【0036】
ステップS106では、取り出しコントローラ29は、落下状態に応じたワークピースM1の動作パターンを決定する。ステップS107では、取り出しコントローラ29は、動作パターンデータをロボットコントローラ22に出力する。動作パターンデータは、ステップS106で決定された動作パターンを示す。ロボットコントローラ22は、動作パターンデータに従って、保持装置25を移動させる。従って、ロボットコントローラ22は、ワークピースM1の現在の落下状態に応じて、ワークピースM1を取り出すように取り出し装置7を制御する。
【0037】
図10は、落下状態と動作パターンとを決定するための処理を示すフローチャートである。
図10に示すように、取り出しコントローラ29は、複数の落下状態から現在の落下状態を判定する。複数の落下状態は、小落下、中落下、大落下、および全落下を含む。取り出しコントローラ29は、ワークピースM1の高さhと傾斜角度θとから、現在の落下状態が、小落下、中落下、大落下、および全落下とのいずれであるかを決定する。
【0038】
ステップS201では、取り出しコントローラ29は、現在の落下状態が小落下であるかを判定する。
図11は、小落下状態のワークピースM1を示す図である。取り出しコントローラ29は、小落下の条件が満たされているときに、現在の落下状態が小落下であると判定する。小落下の条件は、第1下角33が、残材M2内に位置していることを示す。詳細には、小落下の条件は以下の式(1)(2)を共に満たすことである。
式(1)に示すように、小落下の条件は、ワークピースM1の高さhが第1高さH1より高いことを含む。また、式(2)に示すように、小落下の条件は、ワークピースM1の傾斜角度θが、0以上、且つ、第1角度θ1より小さいことを含む。
【0039】
図12は、小・中境界状態でのワークピースM1を示す図である。小・中境界状態は、小落下と中落下との間の境界状態である。
図12に示すように、第1高さH1は、小・中境界状態でのワークピースM1の高さhである。θ1は、小・中境界状態でのワークピースM1の傾斜角度θである。
【0040】
小・中境界状態では、第1上角31が残材M2内で孔M3の内側面に接触しており、且つ、第1下角33が残材M2の第1角部42に接触している。
【0041】
現在の落下状態が小落下であるときには、処理はステップS202に進む。ステップS202では、取り出しコントローラ29は、第1動作パターンをワークピースM1の動作パターンとして決定する。
図13に示すように、第1動作パターンは、ワークピースM1の真上への移動を示す。
【0042】
取り出し装置7は、第1動作パターンに従って、ワークピースM1を真上に移動させる。詳細には、取り出し装置7は、保持装置25をワークピースM1のツールポイントT1へ移動させる。ツールポイントT1は、ワークピースM1の上面において、ワークピースM1の重心に対応する位置である。なお、取り出しコントローラ29は、残材データとワークデータとから、保持装置25のツールポイントT1までの経路を算出する。或いは、ロボットコントローラ22が、保持装置25のツールポイントT1までの経路を算出してもよい。
【0043】
取り出し装置7は、保持装置25によって、ツールポイントT1において、ワークピースM1を保持する。取り出し装置7は、保持装置25を上方に移動させる。それにより、ワークピースM1が残材M2から上方に取り出される。そして、取り出し装置7は、ワークピースM1を製品パレット15に移動させ、製品パレット15上にワークピースM1を配置する。
【0044】
現在の落下状態が小落下ではないときには、処理はステップS203に進む。ステップS203では、取り出しコントローラ29は、現在の落下状態が中落下であるかを判定する。
図14は、中落下状態のワークピースM1を示す図である。取り出しコントローラ29は、中落下の条件が満たされているときに、現在の落下状態が中落下であると判定する。中落下の条件は、第1下角33と第2下角34との両方が残材M2の外に位置しており、ワークピースM1の側面が残材M2の第1角部42と接触し、且つ、第1上角31が残材M2内で孔M3の内側面に接触していることを示す。詳細には、中落下の条件は以下の式(3)(4)を共に満たすことである。
式(3)に示すように、中落下の条件は、ワークピースM1の高さhが、第1高さH1以下、且つ、第2高さH2より高いことを含む。また、式(4)に示すように、中落下の条件は、ワークピースM1の傾斜角度θが、第1角度θ1以上、且つ、第2角度θ2より小さいことを含む。
【0045】
図15は、中・大境界状態でのワークピースM1を示す図である。中・大境界状態は、中落下と大落下との間の境界状態である。
図15に示すように、第2高さH2は、中・大境界状態での高さhである。第2角度θ2は、中・大境界状態での傾斜角度θである。中・大境界状態では、第1下角33と第2下角34との両方が残材M2の孔M3の外に位置しており、ワークピースM1の側面が、残材M2の第1角部42と接触し、且つ、第1上角31が、残材M2の第2角部43に接触している。
【0046】
現在の落下状態が中落下であるときには、処理はステップS204に進む。ステップS204では、取り出しコントローラ29は、第2動作パターンをワークピースM1の動作パターンとして決定する。
図16および
図17に示すように、第2動作パターンは、ワークピースM1の接触点P1回りの回転と、真上への移動とを含む。接触点P1は、中落下状態においてワークピースM1の側面が残材M2の第1角部42と接触している部分である。
【0047】
取り出し装置7は、第2動作パターンに従って、ワークピースM1を移動させる。詳細には、
図16に示すように、取り出し装置7は、ワークピースM1の上面が水平になるように、接触点P1回りにワークピースM1を回転させる。その後、
図17に示すように、取り出し装置7は、ワークピースM1を真上へ移動させることで、ワークピースM1を残材M2から取り出す。他の動作については、小落下状態での第1動作パターンと同様である。
【0048】
現在の落下状態が中落下ではないときには、処理はステップS205に進む。ステップS205では、取り出しコントローラ29は、現在の落下状態が大落下であるかを判定する。
図18は、大落下状態のワークピースM1を示す図である。取り出しコントローラ29は、大落下の条件が満たされているときに現在の落下状態が大落下であると判定する。大落下の条件は、第1上角31と第1下角33と第2下角34とが、残材M2の孔M3の外に位置し、且つ、ワークピースM1を第1下角33回りに回転させたときにワークピースM1の上面が水平になる前に残材M2に干渉することを示す。詳細には、大落下の条件は以下の式(5)(6)を共に満たすことである。
式(5)に示すように、大落下の条件は、ワークピースM1の高さhが、第2高さH2以下、且つ、第3高さH3より高いことを含む。また、式(6)に示すように、大落下の条件は、ワークピースM1の傾斜角度θが、第2角度θ2以上、且つ、90度より小さいことを含む。
【0049】
図19は、大・全境界状態でのワークピースM1を示す図である。大・全境界状態は、大落下と全落下との間の境界状態である。
図19に示すように、第3高さH3は、大・全境界状態でのワークピースM1の高さhである。大・全境界状態では、第1下角33回りにワークピースM1を回転させたときに、ワークピースM1の上面が水平で残材M2の下面に接触する。
【0050】
現在の落下状態が大落下であるときには、処理はステップS206に進む。ステップS206では、取り出しコントローラ29は、第3動作パターンをワークピースM1の動作パターンとして決定する。
図20から
図23に示すように、第3動作パターンは、ワークピースM1の回転と、ワークピースM1の上面に平行な方向への平行移動と、真上への移動とを含む。
【0051】
取り出し装置7は、第3動作パターンに従って、ワークピースM1を移動させる。取り出しコントローラ29は、ワークピースM1の回転と平行移動とを順に実行することで、ワークピースM1を上方へ移動可能な状態に遷移させる。詳細には、取り出しコントローラ29は、ワークピースM1が大落下状態であるときには、以下の処理を順次、実行する。なお、第3動作パターンでは、
図24に示すように、平面視でワークピースM1の側面と残材M2の孔M3の内側面とが平行であるものとする。
【0052】
まず、
図20に示すように、取り出しコントローラ29は、ワークピースM1の上面が残材M2と接触するまで、第1下角33回りに、ワークピースM1を回転させる(第1処理)。
【0053】
次に、
図21に示すように、取り出しコントローラ29は、ワークピースM1の側面が残材M2と接触するまで、ワークピースM1の上面に平行な方向に、ワークピースM1を平行移動させる(第2処理)。取り出しコントローラ29は、ワークピースM1の側面が、残材M2の第1角部42に接触するまで、ワークピースM1を平行移動させる。
【0054】
次に、取り出しコントローラ29は、所定条件が満たされるかを判定する(第3処理)。所定条件は、接触点P1回りにワークピースM1を回転させると、第1上角31が残材M2の孔M3内に移動可能なことを示す。詳細には、所定条件は、以下の式(7)を満たすことである。
図21に示すように、t3は、ワークピースM1の頂点(第2上角32)と接触点P1との間の距離である。
図15に示すように、T2は、中・大境界状態でのワークピースM1の頂点(第2上角32)と接触点P1との間の距離である。
【0055】
取り出しコントローラ29は、所定条件が満たされるときには、
図16と同様に、ワークピースM1の上面が水平になるまで、接触点P1回りにワークピースM1を回転させる(第4処理)。そして、取り出し装置7は、
図17と同様に、ワークピースM1を真上へ移動させることで、ワークピースM1を残材M2から取り出す(第5処理)。他の動作は、小落下での第1動作パターンと同様である。
【0056】
上記の所定条件が満たされないときには、
図22に示すように、ワークピースM1は、残材M2の下面と干渉しており、接触点P1回りにワークピースM1を回転させることができない。この場合、取り出しコントローラ29は、以下の処理を順次、実行する。
【0057】
図23に示すように、取り出しコントローラ29は、ワークピースM1が支持部材14に接触するまで、ワークピースM1の側面に平行な方向に、ワークピースM1を下降させる(第6処理)。取り出しコントローラ29は、負荷センサ28からの信号により、ワークピースM1の支持部材14との接触を判定する。
【0058】
取り出しコントローラ29は、ワークピースM1が支持部材14に接触した状態で、上記の所定条件が満たされるかを判定する(第7処理)。所定条件が満たされるときには、取り出しコントローラ29は、
図16と同様に、ワークピースM1の上面が水平になるまで、接触点P1回りにワークピースM1を回転させる(第8処理)。そして、取り出し装置7は、
図17と同様に、ワークピースM1を真上へ移動させることで、ワークピースM1を残材M2から取り出す(第9処理)。他の動作は、小落下での第1動作パターンと同様である。なお、第7処理において所定条件が満たされないときには、取り出しコントローラ29は、所定条件が満たされるまで、第1処理から第6処理を繰り返し実行する。
【0059】
現在の落下状態が大落下ではないときには、処理はステップS207に進む。ステップS207では、取り出しコントローラ29は、現在の落下状態が全落下であるかを判定する。
図25は、全落下状態のワークピースM1を示す図である。取り出しコントローラ29は、全落下の条件が満たされているときに現在の落下状態が全落下であると判定する。全落下の条件は、ワークピースM1の上面が水平になるまでワークピースM1を回転させても、ワークピースM1が残材M2に干渉しないことを示す。詳細には、全落下の条件は以下の式(8)(9)を共に満たすことである。
式(8)に示すように、全落下の条件は、ワークピースM1の高さが、第3高さH3以下であることを含む。また、式(9)に示すように、全落下の条件は、ワークピースM1の傾斜角度θが、0度以上、且つ、90度より小さいことを含む。
【0060】
現在の落下状態が全落下であるときには、処理はステップS208に進む。ステップS208では、取り出しコントローラ29は、第4動作パターンをワークピースM1の動作パターンとして決定する。
図26から
図28に示すように、第4動作パターンは、ワークピースM1の回転と、ワークピースM1の水平方向への移動と、真上への移動とを含む。
【0061】
取り出し装置7は、第4動作パターンに従って、ワークピースM1を移動させる。詳細には、
図26に示すように、取り出しコントローラ29は、ワークピースM1の上面が水平になるように、第1下角33回りに、ワークピースM1を回転させる。次に、取り出しコントローラ29は、ワークピースM1の位置を残材M2の孔M3の位置に合わせる。
図27に示すように、取り出しコントローラ29は、平面視でワークピースM1と残材M2の孔M3とが平行になるように、ワークピースM1の中心線P2回りにワークピースM1を回転させる。中心線P2は、鉛直方向に延びている。
【0062】
また、
図28に示すように、取り出しコントローラ29は、平面視でワークピースM1が残材M2の孔M3内に入るように、ワークピースM1を水平方向に移動させる。そして、取り出しコントローラ29は、ワークピースM1を上方へ移動させることで、ワークピースM1を残材M2から取り出す。他の動作は、小落下での第1動作パターンと同様である。
【0063】
以上説明した本実施形態に係る取り出し装置7の制御システム8では、取り出しコントローラ29は、ワークピースM1の位置及び姿勢と、残材M2の位置とに基づいて、ワークピースM1の現在の落下状態を判定する。そのため、残材M2による干渉を避けて、取り出し装置7によって自動的に効率よくワークピースM1を取り出すことができる。また、支持部材14の損耗によって、ワークピースM1の姿勢が変化しても、取り出し装置7によって自動的に効率よくワークピースM1を取り出すことができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
熱切断機1は、プラズマ切断機に限らない。熱切断機1は、レーザー切断機などの他の種類の切断機であってもよい。熱切断機1の構成は上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、支持部材14の形状が変更されてもよい。取り出し装置7の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、取り出し装置7は、ロボットアーム21に限らず、他の種類の搬送装置を備えてもよい。
【0066】
制御システム8の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、上述した複数のコントローラの一部が一体に構成されてもよい。例えば、取り出しコントローラ29と設計コントローラ6とが一体化されてもよい。コントローラの一部が複数のコントローラによって構成されてもよい。例えば、取り出しコントローラ29の機能が、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。
【0067】
ワークピースM1および残材M2の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、ワークピースM1は、平面視で四角形に限らず、他の多角形、円形、或いはそれらが組み合わされた複雑な形状であってもよい。
【0068】
上述した処理の順番が変更されてもよい。例えば、ワークピースM1の回転と平行移動との順番が変更されてもよい。上述した処理の一部が省略、或いは変更されてもよい。上述した処理と異なる処理が追加されてもよい。複数の落下状態の一部が省略、或いは変更されてもよい。或いは、上述した落下状態と異なる落下状態が追加されてもよい。
【0069】
センサは、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、ステレオカメラなどの3Dカメラが用いられてもよい。その場合、3Dカメラによって、残材データとワークデータとを得ることができる。或いは、多視点画像からの3次元形状復元の手法によって、残材データとワークデータとが得られてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示によれば、熱切断機によって切り落とされたワークピースを、取り出し装置によって、自動的に効率よく残材から取り出すことができる。
【符号の説明】
【0071】
1 熱切断機
7 取り出し装置
14 支持部材
26 第1センサ
27 第2センサ
29 取り出しコントローラ
31 第1上角
33 第1下角
32 第2上角
34 第2下角
M1 ワークピース
M2 残材