(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20240326BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
(21)【出願番号】P 2020025329
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 篤史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 博
(72)【発明者】
【氏名】馬場 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直人
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201861(JP,A)
【文献】特開2020-022943(JP,A)
【文献】特開2019-162289(JP,A)
【文献】特表2016-523594(JP,A)
【文献】特開2019-188128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-2/28
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理流路を形成する筒状部と、
前記筒状部の一端側又は他端側の少なくとも一方に設けられ、前記処理流路を通過する照射対象物に向けて紫外光を照射する発光素子が搭載された光源部と、
前記筒状部と前記光源部とを区画
し、前記筒状部の長手方向からみて前記筒状部の開口部の内側に収まる窓と、
前記窓の表裏面の縁部分を直接挟み込み、前記窓と前記筒状部との間に隙間を保った状態で前記窓を保持し、前記処理流路及び前記光源部
の両方と
直接接触した状態で前記筒状部に固定される窓保持部と、
を有し、
前記光源部と前記窓保持部との接触面積と、前記発光素子の消費電力との比率が8〔mm
2/W〕以上300〔mm
2/W〕以下であり、前記光源部と前記窓保持部とは分離可能に設けられている紫外線照射装置。
【請求項2】
前記光源部の、前記発光素子が搭載された面とは反対側の面に接触して配置され、前記光源部を前記窓保持部に押し付ける
押し付け力を、前記反対側の面に付与する光源押付部を有する請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記窓保持部に固定され、前記光源部を、前記窓保持部と直接対向した状態で内側に保持する筒状の光源保持部を有
し、
当該光源保持部の内周にはねじ溝が形成されており、
前記光源押付部は、前記光源保持部に形成された前記ねじ溝と螺合するねじ溝が外周に形成され前記光源保持部と螺合するねじ蓋状に形成されており、
前記光源押付部を前記光源保持部に螺合させてねじを進めることで、前記光源押付部の前記光源保持部側の端部が前記光源保持部に前記押し付け力を付与するようになっている請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記窓保持部に固定され、前記光源部を、前記窓保持部と直接対向した状態で内側に保持する筒状の光源保持部を有
し、
当該光源保持部は前記窓保持部とは逆側の端部にフランジ部を有し、
前記光源押付部は、円盤部と、当該円盤部の一方の面に形成され前記光源保持部の内側に挿入されて前記光源保持部と嵌合する筒状部と、を有し、前記円盤部は、その外周に前記光源保持部の前記フランジ部と対向するフランジ部を有し、
前記光源押付部を前記光源保持部に嵌合させ、前記光源押付部の前記フランジ部と前記光源保持部の前記フランジ部とをクランプで挟み込むことで、前記光源押付部の前記筒状部の前記光源保持部側の端部が前記光源保持部に前記押し付け力を付与するようになっている請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
処理流路を形成する筒状部と、
前記筒状部の一端側又は他端側の少なくとも一方に設けられ、前記処理流路を通過する照射対象物に向けて紫外光を照射する発光素子が搭載された光源部と、
前記筒状部と前記光源部とを区画する窓と、
前記窓を保持し、前記処理流路及び前記光源部と接触した状態で前記筒状部に固定される窓保持部と、
を有し、
前記光源部と前記窓保持部との接触面積と、前記発光素子の消費電力との比率が8〔mm
2/W〕以上300〔mm
2/W〕以下であり、前記光源部と前記窓保持部とは分離可能に設けられ
、
さらに、前記光源部の、前記発光素子が搭載された面とは反対側の面に接触して配置され、前記光源部を前記窓保持部に押し付ける押し付け力を、前記反対側の面に付与する光源押付部と、
前記窓保持部に固定され、前記光源部を、前記窓保持部と直接対向した状態で内側に保持する筒状の光源保持部と、を有し、
当該光源保持部の内周にはねじ溝が形成されており、
前記光源押付部は、前記光源保持部に形成された前記ねじ溝と螺合するねじ溝が外周に形成され前記光源保持部と螺合するねじ蓋状に形成されており、
前記光源押付部を前記光源保持部に螺合させてねじを進めることで、前記光源押付部の前記光源保持部側の端部が前記光源保持部に前記押し付け力を付与するようになっている紫外線照射装置。
【請求項6】
処理流路を形成する筒状部と、
前記筒状部の一端側又は他端側の少なくとも一方に設けられ、前記処理流路を通過する照射対象物に向けて紫外光を照射する発光素子が搭載された光源部と、
前記筒状部と前記光源部とを区画する窓と、
前記窓を保持し、前記処理流路及び前記光源部と接触した状態で前記筒状部に固定される窓保持部と、
を有し、
前記光源部と前記窓保持部との接触面積と、前記発光素子の消費電力との比率が8〔mm
2/W〕以上300〔mm
2/W〕以下であり、前記光源部と前記窓保持部とは分離可能に設けられ、
さらに、前記光源部の、前記発光素子が搭載された面とは反対側の面に接触して配置され、前記光源部を前記窓保持部に押し付ける押し付け力を、前記反対側の面に付与する光源押付部と、
前記窓保持部に固定され、前記光源部を、前記窓保持部と直接対向した状態で内側に保持する筒状の光源保持部と、を有し、
当該光源保持部は前記窓保持部とは逆側の端部にフランジ部を有し、
前記光源押付部は、円盤部と、当該円盤部の一方の面に形成され前記光源保持部の内側に挿入されて前記光源保持部と嵌合する筒状部と、を有し、前記円盤部は、その外周に前記光源保持部の前記フランジ部と対向するフランジ部を有し、
前記光源押付部を前記光源保持部に嵌合させ、前記光源押付部の前記フランジ部と前記光源保持部の前記フランジ部とをクランプで挟み込むことで、前記光源押付部の前記筒状部の前記光源保持部側の端部が前記光源保持部に前記押し付け力を付与するようになっている紫外線照射装置。
【請求項7】
前記光源部は前記発光素子を駆動する光源駆動制御回路を有する請求項1から請求項
6のいずれか
一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記光源部及び前記窓保持部の熱伝導率は、5〔W/(m・K)〕以上430〔W/(m・K)〕以下である請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記光源部の温度を検出する温度検出器を備える請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記光源部は、前記発光素子を包囲するように配置された突起部を有し、当該突起部の先端は、側面視で前記発光素子の先端よりも高い請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記処理流路内にフッ素系樹脂材料からなる紫外線反射材を設置した事を特徴とする請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項12】
前記フッ素系樹脂材料がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である請求項
11に記載の紫外線照射装置。
【請求項13】
前記照射対象物としての流体に紫外線照射を行う、流体殺菌装置用の紫外線照射装置である請求項1から請求項
12のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光には、殺菌能力があることから、水等の流体に紫外光を照射することで、流体を連続的に殺菌する紫外線照射装置が提案されている。このような紫外線照射装置においては、例えば、円筒状の流通路に流体を導入し、流通路の一端又は両端に紫外LEDを設け、流通路に向けて紫外光を照射するようにしている。
ところで、紫外LEDは、紫外線照射装置に要求される寿命に対し、紫外LEDの寿命が短いことが多く、紫外LEDを定期的に交換する必要がある。
また、紫外線照射装置として、殺菌対象の流体が導入される流通路と、紫外LEDを配置する区画とを紫外線透過性の窓で分離し、紫外LEDのみを交換可能にした紫外線照射装置も提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-523594号公報
【文献】米国特許第9260323号明細書
【文献】特開2019-188128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
殺菌対象の流体の流通路と紫外LEDを配置する区画とを分離した紫外線照射装置においては、紫外LEDの発熱を抑制するためのヒートシンクや冷媒を用いた冷却機構等を必要としている。ヒートシンクを設置すると、紫外線照射装置が大型化し、また、冷媒による冷却機構を用いると前述の問題に加えて紫外LEDを交換する際の作業性が悪化するという問題がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、大型化を伴うことなく、光源の交換に伴う作業性を向上させ且つLEDの発熱を放熱させることの可能な紫外線照射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る紫外線照射装置は、処理流路を形成する筒状部と、筒状部の一端側又は他端側の少なくとも一方に設けられ、処理流路を通過する照射対象物に向けて紫外光を照射する発光素子が搭載された光源部と、筒状部と光源部とを区画し、筒状部の長手方向からみて筒状部の開口部の内側に収まる窓と、窓の表裏面の縁部分を直接挟み込み、窓と筒状部との間に隙間を保った状態で窓を保持し、処理流路及び光源部の両方と直接接触した状態で筒状部に固定される窓保持部と、を有し、光源部と窓保持部との接触面積と、発光素子の消費電力との比率が8〔mm2/W〕以上300〔mm2/W〕以下であり、光源部と窓保持部とは分離可能に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、紫外線照射装置の大型化を伴うことなく放熱させることができると共に、発光素子の交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る紫外線照射装置の照射部の概略構成の一例を示す縦断面図である。
【
図3】照射部の要部の一例を示す分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る紫外線照射装置の効果を説明するための説明図である。
【
図5】第2実施形態に係る紫外線照射装置の要部の概略構成の一例を示す縦断面図である。
【
図6】(a)は照射部の一例を示す斜視図、(b)は断面図である。
【
図8】第3実施形態に係る紫外線照射装置の要部の概略構成の一例を示す縦断面図である。
【
図9】(a)は照射部の一例を示す斜視図、(b)は断面図である。
【
図14】第4実施形態に係る紫外線照射装置の要部の概略構成の一例を示す縦断面図である。
【
図15】第5実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
【
図16】測定結果に基づく、接触面積電力比とLEDジャンクション温度との対応を示す特性図の一例である。
【
図17】紫外線照射を行った場合の紫外線照射装置における温度分布の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る紫外線照射装置の概略構成の一例を示す縦断面図である。
紫外線照射装置1は、照射対象物としての流体の殺菌を行う流体殺菌装置である。
紫外線照射装置1は、
図1に示すように、流入部2と、流出部3と、筒状部4と、照射部5と、を備える。
流入部2及び流出部3は、筒状部4の側面に間隔を空けて設けられ、筒状部4には、流入部2から照射対象物が導入され、流出部3から排出される。照射対象物としては、放熱性の観点から、流体が好ましく、特に、水、水溶液、水分散体等、水を含む流体が好ましい。
【0010】
紫外線照射装置1の、処理流路Lを形成する筒状部4の少なくとも一方の開口部に照射部5が設けられ、照射部5に含まれる光源から処理流路Lに向けて紫外線照射を行うようになっている。筒状部4は、例えばポリオレフィン、具体的にはポリプロピレン又はポリエチレンで形成される。
なお、
図1に示す紫外線照射装置1では、処理流路Lを形成する筒状部4の一端に照射部5を設けているが、筒状部4の両端に照射部5を設けてもよい。また、筒状部4の形状も円筒状に限るものではなく、筒状部4の一端から処理流路Lに向けて紫外線照射を行うようにした形状であれば適用することができる。また、流入部2及び流出部3の形状や配置位置も一例でありこれに限定されるものではない。
【0011】
図1では、筒状部4の照射部5とは逆側の端部に蓋部6を設けている。蓋部6は、筒状部4の内径と同一の外径を有する筒状部6aと、筒状部4の端部に形成されたフランジ部4mの外径と同等程度以下の外径を有する円盤部6bとが一体に形成されている。筒状部6aの円盤部6bとは逆側の端部の内側には大径部が形成されている。蓋部6は、筒状部6a側を筒状部4にはめ込み、円盤部6bとフランジ部4mとを蓋保持部7で固定することにより、筒状部4に固定される。
蓋保持部7は、円環部7aと筒状部7bとが一体に形成されている。円環部7aの内径は蓋部6の円盤部6bの外周よりも小さい。筒状部7bの内周にはねじ溝が形成され、フランジ部4mの外周に形成されたねじ溝と嵌合するようになっている。つまり、フランジ部4mと円盤部6bとを蓋保持部7でねじ止めすることによって、筒状部4の照射部5とは逆側の開口部を蓋部6によって密閉するようになっている。なお、蓋部6と筒状部4とが接する部分等には、図示しないシールド部材が設けられている。
【0012】
次に、
図2及び
図3を伴って照射部5の構成を説明する。
図2は、照射部5の概略構成の一例を示す縦断面図、
図3は、照射部5の要部の一例を示す分解斜視図である。
照射部5は、光源としての発光素子14を有する光源部11と、窓保持部12と、窓13と、を備える。
光源部11は、円盤形状を有し、一方の面に突起部11aが形成されている。上面視で突起部11aは光源部11本体よりも直径が小さい同心円となる筒形状を有し、突起部11aはその外周と窓保持部12の内周とが接して嵌合する。
光源部11及び窓保持部12は、熱伝導率が、5〔W/(m・K)〕以上430〔W/(m・K)〕以下の部材で形成される。具体的には、光源部11及び窓保持部12は、SUS、アルミニウム、黄銅等の金属で形成される。
【0013】
発光素子14は基板14aに実装され、基板14aは、突起部11aにより形成される筒状の領域内に収納される。ここで、突起部11aは、基板14aを突起部11aにより形成される筒状の領域内に収納したとき、その上端が、側面視で発光素子14の上端よりも高く且つ後述の第1部材12aよりも低くなる高さに形成されており、基板14aを、突起部11aにより形成される筒状の領域内に収納することによって、発光素子14の上端が、突起部11aの上端よりも低くなるようになっている。なお、突起部11aは必ずしも筒状でなくともよく、分散して複数の箇所に形成されていてもよい。
【0014】
光源部11の他方の面は平坦な面からなり、上面視で直径を示す直線上の2箇所にねじ穴11bが形成され、ねじ11cにより、光源部11を窓保持部12に固定している。
窓保持部12は、第1部材12aと第2部材12bとを有し、これら第1部材12aと第2部材12bとで窓13を挟んで保持する。
第1部材12aは、円環形状を有し、第1部材12aの厚みは、突起部11aの高さより厚く、突起部11aの外周と第1部材12aの内周とが嵌合する。第2部材12bは、円環形状を有し、外径寸法が第1部材12aの外径寸法と同一であるが、内径側については、第1部材12aの内径側の形状とは異なる。具体的には、第2部材12bは、同心円をなす3つの部材が一体に形成された形状を有し、内径の大きさが小さいものから順に小径部12s、中径部12m、大径部12lとしたとき、小径部12s、中径部12m及び大径部12lがこの順に積層された形状を有する。大径部12lの内径は、窓13の直径と同一であり、大径部12lの厚みは、窓13の厚みと同一である。
【0015】
窓13は、円盤形状を有し、大径部12lの内周と同一の直径を有する。窓13は、紫外線透過性部材で形成される。紫外線透過性部材として、例えば合成石英、石英ガラス、水晶、サファイアを適用することができる。
小径部12sと中径部12mとにより形成される段差部分に円環状シール部材12dを設置した上で中径部12mと大径部12lとにより形成される段差部分に窓13を嵌め込み、大径部12l側と第1部材12aとが対向するように、第1部材12aと第2部材12bとを重ねることによって、中径部12mと第1部材12aとにより窓13を固定している。
【0016】
そして、光源部11の突起部11aをなす筒状部内に発光素子14が実装された基板14aを固定した状態で、第1部材12aの、第2部材12bとは反対の面側から、突起部11aが第1部材12aの内周と嵌合するように光源部11をはめ込み、ねじ11cによりねじ止めすることによって、照射部5が筒状部4に固定されるようになっている。
窓保持部12には、上面視で光源部11と重ならない位置に、照射部5を筒状部4に固定するための複数の貫通孔12cが第1部材12a及び第2部材12bを貫通して形成されている。
【0017】
一方、筒状部4の開口端にはフランジ部4aが形成され、フランジ部4aの、照射部5に形成された貫通孔12cと対向する位置には貫通孔4bが形成されている。
また、筒状部4のフランジ部4aの内周には切欠き部4cが形成され、切欠き部4cに円環状のシールド部材4dを設置した上で、筒状部4の開口端と照射部5の窓13側とを対向させ、貫通孔12c及び貫通孔4bを利用してボルトナット等で固定することにより、筒状部4と照射部5とを固定する。
これによって、発光素子14は筒状部4の長手方向に向けて紫外線を照射することになり、すなわち筒状部4内の照射対象物に対して紫外線照射を行うようになっている。
【0018】
ここで、光源部11と窓保持部12との接触面積Saと、光源部11に搭載される発光素子14の消費電力との比率(以下、接触面積電力比と表す)は8〔mm2/W〕以上であることが好ましい。接触面積電力比を8〔mm2/W〕より小さくすると、光源部11と窓保持部12との接触界面での熱抵抗が大きくなり、光源部11と窓保持部12との界面での温度差が10℃以上発生する。なお、光源部11と窓保持部12との接触面積Saとは、突起部11aの側面と窓保持部12とが接触する突起部11aの外周を含まない、光源部11と窓保持部12とが接する領域の面積をいう。
【0019】
発光素子14として市販の紫外線LEDを用いる場合、市販の紫外線LEDのジャンクション最大絶対定格温度は115℃程度に設定されている。紫外線LEDの内部熱抵抗を考慮すると、光源部11と窓保持部12との界面での温度差が10℃以上になるとき、50℃以上の熱水を筒状部4の内部に通水した場合に、LEDジャンクション温度が絶対定格を超える可能性があり、光源寿命を著しく低下させてしまう。一方、接触面積電力比を300〔mm2/W〕以上に設定しても放熱効果は向上せず、逆に紫外線照射装置1全体が大きくなりすぎる。
【0020】
図2に示すように、発熱源である発光素子14が搭載されている光源部11は、窓保持部12と接し、窓保持部12は照射対象物の流体に接している。そのため、発光素子14の発熱は、光源部11、窓保持部12を介して照射対象物である流体に伝達され、照射対象物である流体を通して放熱することができる。
そのため、ヒートシンク等の放熱のための部材を新たに設けることなく、放熱を図ることができ、紫外線照射装置1の大型化を伴うことなく、放熱効果を得ることができる。
【0021】
さらに、紫外線照射装置1では、発光素子14が搭載された光源部11を、窓保持部12を介して筒状部4に固定しており、窓保持部12と光源部11とは、ねじ11cにより固定されている。そのため、ねじ11cを取り外し、窓保持部12と光源部11とを分離することによって、光源部11から発光素子14が搭載された基板14aを容易に取り出すことができ、発光素子14の交換を容易に行うことができる。また、窓保持部12を筒状部4に固定したまま、発光素子14の交換を行うことができるため、処理流路Lの密閉性を維持したまま、発光素子14の交換を行うことができる。
【0022】
また、紫外線照射装置1では、光源部11に突起部11aを設け、突起部11aを窓保持部12に嵌め込むようにしている。そのため、窓保持部12と光源部11との位置決めを容易に行うことができる。
また、紫外線照射装置1では、突起部11aの筒状の領域内に発光素子14を実装した基板14aを収納するようにしている。そして、このとき、側面視で突起部11aの高さの方が、発光素子14の先端部よりも高くなるようにしている。そのため、例えば、
図4に示すように、発光素子14が実装された基板14aを突起部11aにより形成される筒状の領域内に収納した状態で搬送容器MB等に梱包して搬送することによって、発光素子14を保護することができる。そのため、発光素子14を保護した状態での輸送を容易に行うことができる。
このように、発光素子14の放熱性、また、処理流路Lの密閉性を維持しつつ交換作業性を向上する事で、紫外線照射装置の使い勝手を向上させることができる。
【0023】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態に係る紫外線照射装置1-1は、第1実施形態に係る紫外線照射装置1において、照射部5に替えて、照射部21を設けたものである。照射部21の構成が異なること以外は同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0024】
図5は、第2実施形態に係る紫外線照射装置1-1の一例を示す要部の構成図、
図6(a)は、照射部21の一例を示す斜視図、
図6(b)は、
図6(a)に示す照射部21の縦断面図、
図7は、照射部21の分解斜視図である。
照射部21は、
図5~
図7に示すように、第1実施形態における照射部5において、さらに、光源押付部22を備える。光源押付部22は、
図6及び
図7に示すように、光源部11と同一の直径を有するシャーレ形状を有する。光源押付部22はその開口端と光源部11の、突起部11aとは反対の面とが対向するように配置され、光源押付部22の光源部11とは反対の面から光源押付部22と光源部11とを貫通し窓保持部12の第2部材12bに達するボルト22aによって、光源押付部22と光源部11と窓保持部12とを一体に固定するようになっている。
【0025】
また、光源押付部22内部に光源としての発光素子14を駆動するための駆動回路(光源駆動制御回路)14bを収め、発光素子14と駆動回路14bとを一体化するようになっている。駆動回路14bは、例えば、基板に実装されており、光源部11の基板14aが固定された側の面とは逆側の面に設けられ、光源部11に設けた貫通孔11dを介して基板14aと接続されるようになっている。その結果、発光素子14の電気的な使い勝手を向上させることができると共に、静電気に弱い発光素子14である紫外線LEDを保護する事ができる。また、上記第1実施形態と同等の作用効果を得ることもできる。駆動回路14bは、紫外線照射装置1-1の外部に設けた制御装置と例えば無線等により通信を行うことによって、制御装置からの指令に応じて発光素子14を駆動制御する。
なお、光源部11と光源押付部22とは一体構造であってもよい。一体構造にすることによって、光源部11と光源押付部22とを個別に設けた場合に比較して、発光素子14を交換する際の作業効率をより向上させることができる。
【0026】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2は、第2実施形態に係る紫外線照射装置1-1において、照射部21に替えて、照射部31を設けたものである。照射部31の構成が異なること以外は同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0027】
図8は、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2の一例を示す要部の構成図、
図9(a)は、照射部31の一例を示す斜視図、
図9(b)は、
図9(a)に示す照射部31の縦断面図であり、
図10は、照射部31の分解斜視図である。
照射部31は、
図8~
図10に示すように、第2実施形態における光源押付部22に替えて形状の異なる光源押付部32を備え、さらに光源保持部33を備える。
【0028】
光源保持部33は樹脂で構成され、
図10に示すように、円環状のフランジ部33aと、内周にねじ溝が形成された筒状部33bとを備える。フランジ部33aの外径は、窓保持部12の外径と同一である。筒状部33bの内径は、光源部11の外径と同等程度に形成される。筒状部33bは、
図8に示すように光源保持部33により光源押付部32を筒状部4に固定したときに、筒状部33bの先端と後述の光源押付部32の円盤部32aとの間に隙間が形成される長さを有する。
【0029】
光源押付部32は、光源保持部33の筒状部33bの外径と同等程度の外径を有する円盤部32aと、円盤部32aの一方の面に設けられ平面視で円盤部32aと同心円となる筒状部32bとを備え、これらは一体に形成されている。筒状部32bの外周には、ねじ溝が形成されており、筒状部32bの外周に形成されたねじ溝と筒状部33bの内周に形成されたねじ溝とが嵌合するようになっている。
そして、光源保持部33の筒状部33bの内周に形成したねじ溝と光源押付部32の筒状部32bの外周に形成したねじ溝とを嵌合させることで、光源保持部33に光源押付部32を固定し、さらに、筒状部33bの筒状部内に光源部11を収めた状態で、筒状部4のフランジ部4aと窓保持部12と光源保持部33のフランジ部33aとを貫通して、ボルトナット等で固定するようになっている。
【0030】
また、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2では、円盤部32aの円中心に、貫通孔32aaが形成されている。駆動回路14bは、例えば、紫外線照射装置1-2の外部に設けられた制御装置により駆動制御されるようになっており、例えば、筒状部33bに収納された駆動回路14bと図示しない制御装置とを、貫通孔32aaを介して配線で接続することによって、制御装置と駆動回路14bとの間で電力と制御情報を授受するようにしている。
したがって、この第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2においても、上記第2実施形態と同等の作用効果を得ることができると共に、光源押付部32はねじ蓋状に形成されているため、光源押付部32を、ねじ蓋の要領で開けるだけで、光源部11を取り出すことができる。また、ねじ蓋の要領で閉めるだけで、光源部11を窓保持部12に押し付けることができ、押し付け力を確保しやすく、光源部11を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0031】
なお、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2では、光源部11は突起部11aを備えているが、
図11に示す照射部31aのように、突起部11aを備えていなくともよい。つまり、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2では、光源部11を光源保持部33により形成される筒状の領域内に収納することで光源部11の水平方向への動きを制限するようにしている。そのため、突起部11aを有していなくとも、光源部11と窓保持部12との位置決めを容易に行うことができる。
【0032】
また、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2では、光源保持部33と光源押付部32とをねじ蓋の要領で固定する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば
図12に示す照射部31bのように、光源保持部33の筒状部33bの先端にフランジ部33cを形成し、同様に光源押付部32の円盤部32aの光源保持部33側の外周にフランジ部32cを形成し、フランジ部32c及びフランジ部33cをクランプ34で挟み込むことで固定するようにしてもよい。この場合も、クランプ34を取り外すことによって容易に光源部11を取り出すことができると共に、光源部11を窓保持部12に押し付ける押し付け力を容易に確保することができる。
【0033】
また、
図13に示す照射部31cのように、光源部11を含む光源搭載押付部35と筒状部4とを、光源保持部36により一体にねじ止めするようにしてもよい。具体的には、筒状部4のフランジ部4aの外周にねじ溝を形成する。また、
図11に示す光源押付部32と光源部11とを一体に形成してこれを光源搭載押付部35とする。具体的には、光源押付部32の円盤部32aに相当する円盤部35aと、筒状部32bに相当する円柱部35bと、光源部11の突起部11aに相当する突起部35cと、を一体に形成する。筒状の突起部35c内に、発光素子14が実装された基板14aを固定する。そして、円柱部35bの外周にねじ溝を形成する。
【0034】
光源保持部36は、筒状の大径部36aと、大径部36aより直径が小さい筒状の小径部36bとが一体に形成されてなり、断面が鉤型である。大径部36aの内周には、フランジ部4aの外周に形成したねじ溝と嵌合するねじ溝が形成されている。また、小径部36bの内周には、円柱部35bの外周に形成されたねじ溝と嵌合するねじ溝が形成されている。
【0035】
窓保持部12の窓13側と筒状部4とを対向させた状態で、光源保持部36の大径部36aの内周に形成されたねじ溝と筒状部4のフランジ部4aの外周に形成されたねじ溝とを嵌合させ、大径部36aと小径部36bとの段差部分で窓保持部12を筒状部4の開口端側に押し付けた状態とした後、光源搭載押付部35の円柱部35bの外周に形成したねじ溝と光源保持部36の小径部36bの内周に形成したねじ溝とを嵌合させ、光源搭載押付部35の発光素子14側の端面を窓保持部12に押し付ける。
このようにした場合も光源搭載押付部35をねじ蓋の容量で取り外すだけで、発光素子14を交換することができると共に、光源搭載押付部35をねじ込むだけで、光源搭載押付部35を窓保持部12に押し付けることができる。そのため、押し付け力を確保しやすく、光源の取り付けの作業性を向上させることができる。
【0036】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
第4実施形態に係る紫外線照射装置1-3は、
図14の照射部41に示すように、光源部11の温度を検出する温度検出器42を設けたものである。紫外線照射装置1-3は、
図8に示す紫外線照射装置1-2において、光源保持部33に代えて、
図13の光源保持部36と同様の形状を有する光源保持部43を設けたものである。つまり、フランジ部4aと光源押付部32の筒状部32bそれぞれの外周にねじ溝を形成し、これらねじ溝と嵌合するねじ溝を光源保持部43の内周に形成する。そして、フランジ部4aと窓保持部12とを光源保持部43で嵌合して固定した状態で、光源保持部43の開口部から光源部11を挿入し、その後、光源押付部32の筒状部32bと光源保持部43とを嵌合させてねじ止めする。
【0037】
温度検出器42は、
図14に示すように、例えば、光源部11の発光素子14が設けられた面とは反対の面の、光源押付部32の筒状部32bにより形成される空間に設けられている。温度検出器42の検出信号は、有線又は無線等によって、制御装置44に出力される。制御装置44は、例えば、温度検出器42と同じ基板上に設置し、紫外線照射装置1-3内部に設けてもよい。
制御装置44は、温度検出器42による温度検出信号が予め設定した異常判定しきい値以上となったとき温度異常と判定する。温度判定しきい値は、例えば、発光素子14である紫外線LEDの通電時最大定格温度に相当する検出部温度に設定される。
【0038】
制御装置44では、温度異常と判定したときには、例えば警報音、警報ランプ等によってアラームを発生させ、温度異常であることを外部に通知することや温度異常時に発光素子14による紫外線照射を停止又は照射量を低減すること、等といった温度異常時の処理を実行する。また、制御装置44は、温度異常と判定したときに、紫外線照射を停止又は照射量を低減する等、紫外線照射を抑制する対処を行った場合には、温度検出器42で検出される温度が、温度判定しきい値よりも低い、温度回復温度を下回ったときに、紫外線照射を開始又は照射量の低減の解消等といった処理を行い自動復帰させるようにしてもよい。
【0039】
温度検出器42の温度検出信号としては、例えば、光源部11の温度と連動する電圧又は電流信号を出力してもよい。
このように、温度検出器42を設け、光源部11の温度を監視することによって、光源部11の温度を容易に認識することができる。そのため、例えば、光源部11を窓保持部12に押し付ける押し付け力不足が生じていること、つまり、十分放熱が行われていないことを、紫外線照射装置1-3の使用者に対して通知することができ、光源部11の窓保持部12との接触状態の確認を促すことができる。その結果、温度上昇に伴う意図しない紫外線の照射量の低下が生じることを回避することができ、例えば殺菌不足等が生じることを回避することができる。
【0040】
なお、ここでは、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2において温度検出器42を設ける場合について説明したが、第1実施形態及び第2実施形態に係る紫外線照射装置1、1-1に温度検出器42を設けることも可能である。第1実施形態における紫外線照射装置1に設ける場合には、例えば、温度検出器42を、光源部11の発光素子14が実装された側の面に設けてもよい。
【0041】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
第5実施形態に係る紫外線照射装置1-4は、
図15に示すように、
図8に示す第3実施形態における紫外線照射装置1-2において、筒状部4内に、紫外線反射材を設けたものである。照射部31の構成は同一であるので同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
第5実施形態に係る紫外線照射装置1-4の筒状部4-1は、例えば、特許文献3に記載された紫外線照射装置のように、中空部が処理流路Lを形成する内筒101と、内筒101を収容する外筒102と、内筒101の照射部31とは逆側の開口部に設けられ、内筒101内に流入される流体を整流するための円形の板103と、内筒101と外筒102との間に配置され、内筒101と外筒102との間の隙間を区画するOリング104と、を備える。
【0042】
内筒(紫外線反射材)101は、両端が開口された断面が円形の筒状を有する。内筒101は内壁が紫外線反射性材料で形成され、この紫外線反射性材料は、フッ素系樹脂材料からなる。フッ素系樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene PTFE)等を挙げることができる。このように内筒101の内壁を紫外線反射性材料で形成することによって、処理流路Lを通過する照射対象物に対して紫外線を効率よく照射することができる。
内筒101の、照射部31側の端部寄りの位置には、周方向の例えば60度離れた6箇所に、径方向を向き、内筒101を貫通する連通孔101aが形成されている。
【0043】
内筒101の、内筒101が延びる方向の略中央部となる外周面に、溝101bが形成されている。
内筒101に形成された段差部101cに板103を配置した状態で、円環状の環状部材101caを段差部101cに嵌め込むことによって、板103を内筒101に固定している。
板103は、PTFEや、SUS(Steel Special Use Stainless)等の、照射対象物に対して耐久性のある素材で構成され、例えばPTFEで形成される。板103は、表裏面間を通じる連通孔103aを複数有する。
【0044】
外筒102は、例えば、ポリオレフィン、具体的にはポリプロピレン又はポリエチレンで形成され、外筒102の照射部31側の端部の外周にはフランジ部4aが形成されている。同様に、外筒102の照射部31とは逆側の端部の外周にはフランジ部4mが形成されている。
外筒102の長手方向の略中央部の内周面には、円環状の凸部102eが形成され、内筒101に形成された溝101bに、弾性部材からなるOリング104を嵌め込んだ状態で内筒101を外筒102に挿入することによって、内筒101と外筒102との間に形成された隙間を凸部102eにより板103側の区画106と照射部31側の区画108とに分割している。区画106と連通するように流入部2が設けられ、区画108と連通するように流出部3が設けられている。
【0045】
蓋部6-1は、第一実施形態における蓋部6において、筒状部6aの形状が異なること以外は同様である。蓋部6-1の筒状部6aaは、例えば先端に図示しない複数の凸部を有し、凸部が内筒101を押圧することにより外筒102内での内筒101の位置決めを行う。また、凸部により筒状部6aの先端と内筒101の端部との間に形成される隙間が、区画106と内筒101内側とを連通する連通路101dとなる。
これによって、流入部2から流入された照射対象物は区画106を通り、連通路101dを通って内筒101の内側に導入され、板103を通って、処理流路Lに導入される。そして、処理流路Lの照射部31側に形成された連通孔101aから流出側の区画108に導入され、流出部3から排出される。
【0046】
このような構成とすることによって、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2と同等の作用効果を得ることができると共に、さらに内筒101内における照射対象物への紫外線照射量を高めることができる。
なお、ここでは、第3実施形態に係る紫外線照射装置1-2において、筒状部4内に、紫外線反射材を設けた場合について説明したが、これに限るものではなく、他の実施形態において、筒状部4内に紫外線反射材を設けることも可能である。
【実施例】
【0047】
第1実施形態に係る紫外線照射装置1を用いてシミュレーションを行い、照射対象物として水温50℃の温水を用い、処理流路Lを通水する際に紫外線照射を行い、発光素子14のLEDジャンクション温度を測定した。このとき、光源部11と窓保持部12との接触面積を変化させてジャンクション温度を測定した。その結果を、
図16に示す。
図16において横軸は、接触面積Sa〔mm
2〕と光源消費電力〔W〕との比(接触面積電力比〔mm
2/W〕)を表し、縦軸は、発光素子14のLEDジャンクション温度〔℃〕を表す。
【0048】
図16に示すように、接触面積電力比が大きくなるほどジャンクション温度は低くなり、接触面積電力比が比較的小さいときにはジャンクション温度は急峻に低下し、接触面積電力比が8〔mm
2/W〕以上となると、ジャンクション最大絶対定格である115℃を下回る。
また、接触面積電力比が20〔mm
2/W〕以上となると、ジャンクション温度の低下率も徐々に小さくなっている。
図16から、接触面積電力比は8〔mm
2/W〕以上300〔mm
2/W〕以下であることが好ましく、より好ましくは20〔mm
2/W〕以上100〔mm
2/W〕以下である。接触面積電力比が300〔mm
2/W〕以下であれば、照射部5が大きくなりすぎることを回避することができる。つまり紫外線照射装置1全体の大型化を伴うことなく、LEDジャンクション温度上昇を抑制することができ、その結果、発光素子14の寿命を延長することができる。
【0049】
また、
図17(a)及び(b)は、紫外線光源として消費電力8Wの紫外線LEDを搭載し、水温20℃の水を2L/minで通水した際の熱流体解析の結果として紫外線照射装置1の温度分布を示したものである。
図17(a)は光源部11の接触面積電力比が57〔mm
2/W〕である場合を示し、(b)は比較例として、光源部11の接触面積電力比が6〔mm
2/W〕である場合を示す。なお、
図17の紫外線照射装置1は模式的に記載している。
接触面積電力比が6〔mm
2/W〕である場合(
図17(b))と、接触面積電力比が57〔mm
2/W〕である場合(
図17(a))とを比較すると、窓保持部12の温度は同等程度であるのに対し、光源部11の温度は、接触面積電力比が6〔mm
2/W〕である場合(
図17(b))の方が20℃程度高く、そのため光源部11と窓保持部12との界面で大きな温度差が発生している事が分かる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1、1-1、1-2、1-3、1-4 紫外線照射装置
2 流入部
3 流出部
4 筒状部
5、21、31、31a、31b、31c、41 照射部
11 光源部
11a 突起部
12 窓保持部
13 窓
14 発光素子
14a 基板
22、32 光源押付部
33、36、43 光源保持部
34 クランプ
35 光源搭載押付部
42 温度検出器