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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20240326BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20240326BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20240326BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B60C11/13 C
B60C5/00 H
B60C11/03 B
B60C11/03 300D
B60C11/12 A
B60C11/12 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020040318
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021138346
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】梶山 雄司
(72)【発明者】
【氏名】細田 和馬
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 奈那子
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 孝治
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121858(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/082411(WO,A1)
【文献】特開2012-218596(JP,A)
【文献】特開2017-197111(JP,A)
【文献】特開2011-105104(JP,A)
【文献】特開2018-154147(JP,A)
【文献】特開2010-208507(JP,A)
【文献】特開2017-210170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両装着時において最も外側ショルダー寄りに位置する外側第1周方向主溝と、
車両装着時において最も内側ショルダー寄りに位置する内側第1周方向主溝と、
前記外側第1周方向主溝に隣接し、タイヤ赤道線よりも前記外側ショルダー寄りに位置する外側第2周方向主溝と、
前記内側第1周方向主溝に隣接し、前記タイヤ赤道線よりも前記内側ショルダー寄りに位置する内側第2周方向主溝と
がトレッドに形成され、
前記外側第1周方向主溝よりも前記外側ショルダー側には、外側ショルダー陸部が複数設けられ、
前記外側第1周方向主溝と前記外側第2周方向主溝との間には、外側セカンド陸部が複数設けられ、
前記内側第1周方向主溝よりも前記内側ショルダー側には、内側ショルダー陸部が複数設けられ、
前記内側第1周方向主溝と前記内側第2周方向主溝との間には、内側セカンド陸部が複数設けられ、
前記外側第2周方向主溝と前記内側第2周方向主溝との間には、前記タイヤ赤道線を跨ぐセンター陸部が設けられ、
前記外側第1周方向主溝、内側第1周方向主溝、外側第2周方向主溝及び内側第2周方向主溝は、見通し可能なシースルー部分を含むとともに、それぞれ実質的に差異がない溝幅を有し、
前記外側ショルダー陸部間に形成される外側ショルダーラグ溝、及び前記外側ショルダー陸部に形成される外側ショルダーサイプは、タイヤ幅方向に対して第1所定方向に傾斜し、
前記外側セカンド陸部間に形成される外側セカンドラグ溝、及び前記外側セカンド陸部に形成される外側セカンドサイプは、タイヤ幅方向に対して前記第1所定方向と逆方向である第2所定方向に傾斜し、
前記センター陸部間に形成されるセンターラグ溝は、前記第2所定方向に傾斜し、
前記センター陸部に形成されるセンターサイプは、前記第1所定方向に傾斜し、
前記内側セカンド陸部間に形成される内側セカンドラグ溝は、前記第1所定方向に傾斜し、
前記内側セカンド陸部に形成される内側セカンドサイプは、前記第2所定方向に傾斜し、
前記内側ショルダー陸部間に形成される内側ショルダーラグ溝、及び前記内側ショルダー陸部に形成される内側ショルダーサイプは、前記第1所定方向に傾斜し、
前記内側セカンドラグ溝と前記内側ショルダーラグ溝とは、タイヤ周方向においてオフセットして形成されるタイヤ。
【請求項2】
前記外側セカンドラグ溝のタイヤ幅方向における一端は、前記外側第2周方向主溝に開口し、
前記外側セカンドラグ溝のタイヤ幅方向における他端は、前記外側セカンド陸部に形成され、前記第2所定方向に傾斜したラグ溝連通サイプに連通する請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記ラグ溝連通サイプに連通する前記外側セカンドラグ溝にタイヤ周方向において最も近接して形成される前記外側セカンドサイプは、前記外側第1周方向主溝のみに開口する請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記センター陸部は、
前記センターサイプの一端が前記外側第2周方向主溝、前記内側第2周方向主溝または前記センターラグ溝の何れかに開口し、
前記センターサイプの他端が前記センター陸部内において終端する前記センターサイプを含む請求項1乃至3の何れか一項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記内側セカンド陸部は、
前記内側セカンドサイプの一端が前記内側第1周方向主溝、前記内側第2周方向主溝または前記内側セカンドラグ溝の何れかに開口し、
前記内側セカンドサイプの他端が前記内側セカンド陸部内において終端する前記内側セカンドサイプを含む請求項1乃至4の何れか一項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記外側ショルダーラグ溝及び前記外側ショルダーサイプのうち、前記外側第1周方向主溝側に位置する主溝側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度は、前記外側ショルダーラグ溝及び前記外側ショルダーサイプのうち、前記外側ショルダー側に位置するショルダー側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度よりも大きい請求項1乃至5の何れか一項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記内側ショルダーラグ溝及び前記内側ショルダーサイプのうち、前記内側第1周方向主溝側に位置する主溝側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度は、前記内側ショルダーラグ溝及び前記内側ショルダーサイプのうち、前記内側ショルダー側に位置するショルダー側部分のタイヤ幅方向に対する傾斜角度よりも大きい請求項1乃至6の何れか一項に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記内側セカンドラグ溝の溝幅は、前記センターラグ溝の溝幅よりも広い請求項1乃至7の何れか一項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、氷雪路面の走行に対応したタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、氷雪路面及び乾燥路面における性能を兼ね備えたスタッドレスタイヤ(以下、タイヤと適宜省略する)では、氷雪路面における性能と、乾燥路面における性能とを、如何にバランス良く発揮させるかが極めて重要である。
【0003】
スタッドレスタイヤには、氷雪路面における高い性能が要求されることは勿論だが、合わせて、乾燥路面における性能を高めることが追求されてきた。
【0004】
そこで、氷雪路面での駆動力(スノートラクション)と、乾燥路面での駆動力(ドライトラクション)とを高い次元で両立すべく、トレッドに形成されるサイプの密度と、トレッドの形状の繰り返し単位であるピッチ長との関係を規定する試みが示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2014-531365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スノートラクション、特に、凍結路面での駆動力を含む氷上性能を向上させるためには、凍結路面との接地性、トレッドと路面との間から水膜を除去する除水性、及びトレッドと路面との間に入り込んだ水を接地面の外に排出する排水性をバランス良く向上させることが重要である。
【0007】
しかしながら、上述したような従来のスタッドレスタイヤは、接地性、除水性及び排水性をバランス良く向上させる点において改善の余地があると考えられる。
【0008】
そこで、以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、接地性、除水性及び排水性を高め、氷上性能をさらに向上させたタイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、最も外側ショルダー(外側ショルダーSHout)寄りに位置する外側第1周方向主溝(周方向主溝31)と、最も内側ショルダー寄り(内側ショルダーSHin)に位置する内側第1周方向主溝(周方向主溝41)と、前記外側第1周方向主溝に隣接し、タイヤ赤道線よりも前記外側ショルダー寄りに位置する外側第2周方向主溝(周方向主溝32)と、前記内側第1周方向主溝に隣接し、前記タイヤ赤道線よりも前記内側ショルダー寄りに位置する内側第2周方向主溝(周方向主溝42)とがトレッド(トレッド20)に形成され、前記外側第1周方向主溝よりも前記外側ショルダー側には、外側ショルダー陸部(外側ショルダー陸部110)が複数設けられ、前記外側第1周方向主溝と前記外側第2周方向主溝との間には、外側セカンド陸部(外側セカンド陸部120)が複数設けられ、前記内側第1周方向主溝よりも前記内側ショルダー側には、内側ショルダー陸部(内側ショルダー陸部210)が複数設けられ、前記内側第1周方向主溝と前記内側第2周方向主溝との間には、内側セカンド陸部(内側セカンド陸部220)が複数設けられ、前記外側第2周方向主溝と前記内側第2周方向主溝との間には、前記タイヤ赤道線を跨ぐセンター陸部(センター陸部300)が設けられ、前記外側第1周方向主溝、内側第1周方向主溝、外側第2周方向主溝及び内側第2周方向主溝は、見通し可能なシースルー部分(シースルー部分P)を含むとともに、それぞれ同等の溝幅を有し、前記外側ショルダー陸部間に形成される外側ショルダーラグ溝(外側ショルダーラグ溝116)、及び前記外側ショルダー陸部に形成される外側ショルダーサイプ(外側ショルダーサイプ117)は、タイヤ幅方向に対して第1所定方向に傾斜し、前記外側セカンド陸部間に形成される外側セカンドラグ溝(外側セカンドラグ溝126)、及び前記外側セカンド陸部に形成される外側セカンドサイプ(外側セカンドサイプ127)は、タイヤ幅方向に対して前記第1所定方向と逆方向である第2所定方向に傾斜し、前記センター陸部間に形成されるセンターラグ溝(センターラグ溝316)は、前記第2所定方向に傾斜し、前記センター陸部に形成されるセンターサイプ(センターサイプ317)は、前記第1所定方向に傾斜し、前記内側セカンド陸部間に形成される内側セカンドラグ溝(内側セカンドラグ溝226)は、前記第1所定方向に傾斜し、前記内側セカンド陸部に形成される内側セカンドサイプ(内側セカンドサイプ227)は、前記第2所定方向に傾斜し、前記内側ショルダー陸部間に形成される内側ショルダーラグ溝(内側ショルダーラグ溝216)、及び前記内側ショルダー陸部に形成される内側ショルダーサイプ(内側ショルダーサイプ217)は、前記第1所定方向に傾斜し、前記内側セカンドラグ溝と前記内側ショルダーラグ溝とは、タイヤ周方向においてオフセットして形成される。
【発明の効果】
【0010】
上述したタイヤによれば、接地性、除水性及び排水性を高め、氷上性能をさらに向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、空気入りタイヤ10のトレッドの一部平面展開図である。
図2図2は、OUT側のトレッド20の平面展開図である。
図3図3は、IN側のトレッド20の平面展開図である。
図4図4は、タイヤ赤道線CLを含むセンター領域のトレッド20の平面展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0013】
(1)タイヤの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ10のトレッドの一部平面展開図である。図1に示すように、空気入りタイヤ10は、氷雪路面の走行に適したタイヤであり、スタッドレスタイヤなどと呼ばれる。
【0014】
なお、スタッドレスタイヤは、スノータイヤまたはウインタータイヤなどと呼ばれてもよい。或いは、空気入りタイヤ10は、冬期に限らず、四季を通じて利用可能ないわゆるオールシーズンタイヤであっても構わない。
【0015】
空気入りタイヤ10が装着される車両の種類は特に限定されないが、一般的な乗用自動車(ミニバン及び軽自動車などが含まれてもよい)に好適に用い得る。
【0016】
図1に示すように、空気入りタイヤ10は、車両への装着時における外側(OUT側)及び内側(IN側)が指定されることが好ましい。OUT側は、車両装着時に車両側面から視認できる外側に位置し、IN側は、車両装着時に車両側面から視認できない内側に位置する。なお、以下の説明では、単に、外側または内側と適宜記載するが、車両装着時と解釈されてもよい。
【0017】
トレッド20は、路面と接する部分である。トレッド20には、複数の陸部(ブロック或いは陸部ブロックなどと呼んでもよい)が設けられる。
【0018】
トレッド20には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向主溝が形成される。具体的には、4本の周方向主溝が形成される。
【0019】
周方向主溝31は、最も外側ショルダーSHout寄りに位置する。本実施形態において、周方向主溝31は、外側第1周方向主溝を構成する。
【0020】
周方向主溝41は、最も内側ショルダーSHin寄りに位置する。本実施形態において、周方向主溝41は、内側第1周方向主溝を構成する。
【0021】
周方向主溝32は、周方向主溝31にタイヤ幅方向において隣接し、タイヤ赤道線CLよりも外側ショルダーSHout寄りに位置する。本実施形態において、周方向主溝32は、外側第2周方向主溝を構成する。
【0022】
周方向主溝42は、周方向主溝41にタイヤ幅方向において隣接し、タイヤ赤道線CLよりも内側ショルダーSHin寄りに位置する。本実施形態において、周方向主溝42は、内側第2周方向主溝を構成する。
【0023】
周方向主溝31、周方向主溝32、周方向主溝41及び周方向主溝42は、トレッド面視において直線状である。また、本実施形態では、周方向主溝31、周方向主溝32、周方向主溝41及び周方向主溝42は、タイヤ周方向と平行である。
【0024】
周方向主溝31、周方向主溝32、周方向主溝41及び周方向主溝42は、見通し可能なシースルー部分Pを含む。シースルー部分Pは、当該周方向主溝を平面上に展開した場合において、陸部の側壁などによって遮られることなく、先まで見通せる部分と解釈されてよい。なお、シースルー部分Pは、空気入りタイヤ10の接地面内で形成されていればよい。接地面内においてシースルー部分Pが形成されることによって、排水性を向上できる。
【0025】
また、周方向主溝31、周方向主溝32、周方向主溝41及び周方向主溝42は、それぞれ同等の溝幅を有することが好ましい。ここでいう溝幅は、周方向主溝の延在方向(タイヤ周方向)に直交する方向(タイヤ幅方向)に沿った周方向主溝の幅を意味する。同等の溝幅とは、実質的に差異がない溝幅の範囲(タイヤサイズによるが、概ね±数ミリメートル以下の差)であればよい。或いは、4本の周方向主溝の溝幅の許容される偏差は、溝幅の基準値(平均など)の±20%以内としてもよい。
【0026】
周方向主溝31よりも外側ショルダーSHout側には、外側ショルダー陸部110が設けられる。外側ショルダー陸部110は、最も外側に設けられる陸部である。陸部とは、トレッド20に設けられ、路面と接し得る部分を意味する。但し、ショルダーに近い陸部の一部は、必ずしも正規荷重時に路面と接していなくても構わない。正規荷重とは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)YearBookにおける最大負荷能力に対応する最大負荷能力(最大荷重)である。また欧州ではETRTO、米国ではTRA、その他各国のタイヤ規格が対応する。
【0027】
外側ショルダー陸部110は、ブロック状であり、タイヤ周方向に沿って複数設けられる。なお、空気入りタイヤ10に設定されるピッチのバリエーションに応じて、外側ショルダー陸部110のタイヤ周方向に沿ったサイズ、外側ショルダー陸部110に形成されるサイプ間隔及びサイプ本数は、変化しても構わない(他の陸部についても同様)。
【0028】
周方向主溝31と周方向主溝32との間には、外側セカンド陸部120が設けられる。外側セカンド陸部120は、タイヤ幅方向において、外側ショルダー陸部110に隣接する。外側セカンド陸部120もタイヤ周方向に沿って複数設けられる。但し、外側セカンド陸部120は、外側ショルダー陸部110のようにラグ溝によって明確に分断されておらず、接地時には、タイヤ周方向において隣接する複数の外側セカンド陸部120が連なり、リブ状の陸部として機能できる。
【0029】
周方向主溝41よりも内側ショルダーSHin側には、内側ショルダー陸部210が設けられる。内側ショルダー陸部210は、最も内側に設けられる陸部である。内側ショルダー陸部210は、ブロック状であり、タイヤ周方向に沿って複数設けられる。
【0030】
周方向主溝41と周方向主溝42との間には、内側セカンド陸部220が設けられる。内側セカンド陸部220は、タイヤ幅方向において、内側ショルダー陸部210に隣接する。内側セカンド陸部220もタイヤ周方向に沿って複数設けられる。
【0031】
周方向主溝32と周方向主溝42との間には、センター陸部300が設けられる。センター陸部300は、タイヤ赤道線CLを跨ぐように設けられる。
【0032】
センター陸部300の外側には、周方向主溝32を介して外側セカンド陸部120が設けられている。一方、センター陸部300の内側には、周方向主溝42を介して内側セカンド陸部220が設けられている。センター陸部300は、タイヤ周方向に沿って複数設けられる。
【0033】
(2)OUT側の陸部形状
図2は、OUT側のトレッド20の平面展開図である。図2に示すように、タイヤ周方向において隣接する外側ショルダー陸部110間には、外側ショルダーラグ溝116が形成される。
【0034】
外側ショルダーラグ溝116は、タイヤ幅方向に沿って延びる。なお、「タイヤ幅方向に沿って延びる」とは、外側ショルダーラグ溝116がタイヤ幅方向と成す角度が、45度以下であることを意味してよい。当該角度とは、トレッド面視において、外側ショルダーラグ溝116の延在方向と、タイヤ幅方向とが成す鋭角側の角度を意味してよい(他の方向についても同様)。
【0035】
外側ショルダーラグ溝116は、ショルダー側部分116a及び主溝側部分116bを含む。ショルダー側部分116aは、外側ショルダーSHout側の部分である。主溝側部分116bは、周方向主溝31側に位置する部分である。
【0036】
また、本実施形態では、ショルダー側部分116aは、溝幅が広がった幅広部分116a1を有する。具体的には、幅広部分116a1は、外側ショルダーSHout側に形成される。また、このように幅広部分116a1が形成されており、外側ショルダーラグ溝116内には段差が形成されている。
【0037】
外側ショルダー陸部110には、外側ショルダーサイプ117が複数形成される。外側ショルダーサイプ117は、タイヤ幅方向に沿って延びる。また、外側ショルダーサイプ117は、タイヤ周方向における振幅を繰り返すジグザグ状である。外側ショルダーサイプ117は、深さ方向においても、タイヤ周方向における振幅を繰り返す、いわゆる3次元サイプでもよいし、深さ方向(タイヤ径方向)においてはタイヤ周方向における振幅を有さず直線状となる、いわゆる2次元サイプでもよい。
【0038】
外側ショルダーサイプ117は、ショルダー側部分117a及び主溝側部分117bを含む。ショルダー側部分117aは、外側ショルダーSHout側の部分である。主溝側部分117bは、周方向主溝31側に位置する部分である。
【0039】
図2に示すように、外側ショルダーサイプ117は、タイヤ幅方向において分断されていてもよい。具体的には、分断された外側ショルダーサイプ117のうち、外側ショルダーSHout側をショルダー側部分117a、周方向主溝31側を主溝側部分117bと区別してもよい。
【0040】
また、外側ショルダー陸部110の周方向主溝31側の側壁には、タイヤ赤道線CL(図1参照)側に向けて凸となる凸部111が設けられている。凸部111は、外側ショルダー陸部110のタイヤ周方向端に設けられ、トレッド面視において、周方向主溝31に向けて突出している。なお、凸部111の角部分(タイヤ周方向における端部には、外側ショルダーサイプ117(主溝側部分117b)の端部が重ならないように外側ショルダーサイプ117が形成される。
【0041】
タイヤ周方向において隣接する外側セカンド陸部120間には、外側セカンドラグ溝126が形成される。外側セカンドラグ溝126は、タイヤ幅方向に沿って延びる。
【0042】
外側セカンドラグ溝126のタイヤ幅方向における一端126aは、タイヤ赤道側の周方向主溝32に開口する。つまり、外側セカンドラグ溝126は、周方向主溝32に連通している。
【0043】
外側セカンドラグ溝126の他端126bは、ラグ溝連通サイプ128に連通する。ラグ溝連通サイプ128も外側セカンド陸部120に形成され、タイヤ幅方向に沿って延びる。外側セカンドラグ溝126がタイヤ幅方向と成す角度は、0~45度であることが好ましい。
【0044】
外側セカンド陸部120には、外側セカンドサイプ127が複数形成される。外側セカンドサイプ127は、タイヤ幅方向に沿って延びる。また、外側セカンドサイプ127は、タイヤ周方向における振幅を繰り返すジグザグ状である。外側セカンドサイプ127は、周方向主溝31及び周方向主溝32に開口する。つまり、外側セカンドサイプ127は、周方向主溝31及び周方向主溝32に連通している。
【0045】
また、外側セカンドサイプ127及びラグ溝連通サイプ128がタイヤ幅方向と成す角度も、0~45度であることが好ましい。
【0046】
なお、外側セカンドサイプ127は、外側ショルダーサイプ117と同様に、3次元サイプでもよいし、2次元サイプでもよい。
【0047】
ラグ溝連通サイプ128に連通する外側セカンドラグ溝126にタイヤ周方向において最も近接して形成される外側セカンドサイプ127Aは、周方向主溝31のみに開口する。つまり、外側セカンドサイプ127Aの一端は、周方向主溝31に開口するが、外側セカンドサイプ127Aの他端は、外側セカンド陸部120内で終端している。
【0048】
また、外側セカンドサイプ127Aの延長線上には、ピンホールサイプ129が複数形成される。ピンホールサイプ129は、タイヤ径方向に沿った小径の円柱状のサイプであり、外側セカンドサイプ127Aよりも外側セカンド陸部120のブロック剛性を大きく低下させない。
【0049】
外側ショルダーラグ溝116及び外側ショルダーサイプ117は、タイヤ幅方向に対して方向D1(第1所定方向、図1参照)に傾斜している。つまり、外側ショルダーラグ溝116及び外側ショルダーサイプ117は、タイヤ幅方向と平行ではなく、タイヤ幅方向に対して一定の角度を有する。図2に示すように、OUT側を左側、IN側を右側に位置するようにした場合、外側ショルダーラグ溝116及び外側ショルダーサイプ117は、右肩下がりなどと表現されてもよい。
【0050】
一方、外側セカンドラグ溝126(ラグ溝連通サイプ128を含む)及び外側セカンドサイプ127(外側セカンドサイプ127Aを含む)は、タイヤ幅方向に対して第1所定方向と逆方向である方向D2(第2所定方向、図1参照)に傾斜している。
【0051】
つまり、外側セカンドラグ溝126及び外側セカンドサイプ127は、タイヤ幅方向と平行ではなく、タイヤ幅方向に対して一定の角度を有する。図2に示すように、OUT側を左側、IN側を右側に位置するようにした場合、外側セカンドラグ溝126及び外側セカンドサイプ127は、右肩上がりなどと表現されてもよい。
【0052】
また、図2に示すように、本実施形態では、主溝側部分116b及び主溝側部分117bのタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ21は、ショルダー側部分116a及びショルダー側部分117aのタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ11よりも大きい。このような関係を満たしつつ、傾斜角度θ11は、0度~25度、傾斜角度θ21は、0度~35度であることが好ましい。
【0053】
傾斜角度θ11と傾斜角度θ21との差は、それ程大きくなくて構わない。例えば、傾斜角度θ11と傾斜角度θ21との差は、10度以下でも構わない。主溝側部分116b及び主溝側部分117bの傾斜角度θ21は、外側セカンドラグ溝126及び外側セカンドサイプ127の傾斜角度と同等でもよい。
【0054】
(3)IN側の陸部形状
図3は、IN側のトレッド20の平面展開図である。図3に示すように、タイヤ周方向において隣接する内側ショルダー陸部210間には、内側ショルダーラグ溝216が形成される。内側ショルダーラグ溝216は、タイヤ幅方向に沿って延びる。内側ショルダーラグ溝216は、ショルダー側部分216a及び主溝側部分216bを含む。ショルダー側部分216aは、内側ショルダーSHin側の部分である。主溝側部分216bは、周方向主溝41側に位置する部分である。
【0055】
また、本実施形態では、ショルダー側部分216aは、溝幅が広がった幅広部分216a1を有する。具体的には、幅広部分216a1は、内側ショルダーSHin側に形成される。
【0056】
内側ショルダー陸部210には、内側ショルダーサイプ217が複数形成される。内側ショルダーサイプ217は、タイヤ幅方向に沿って延びる。また、内側ショルダーサイプ217は、タイヤ周方向における振幅を繰り返すジグザグ状である。なお、内側ショルダーサイプ217は、外側ショルダーサイプ117などと同様に、3次元サイプでもよいし、2次元サイプでもよい。
【0057】
内側ショルダーサイプ217は、ショルダー側部分217a及び主溝側部分217bを含む。ショルダー側部分217aは、内側ショルダーSHin側の部分である。主溝側部分217bは、周方向主溝41側に位置する部分である。
【0058】
本実施形態では、内側ショルダー陸部210には、内側ショルダーサイプ217を分断するように、周方向サイプ218が形成される。周方向サイプ218は、タイヤ周方向に沿って延びる。また、周方向サイプ218は、タイヤ幅方向における振幅を繰り返すジグザグ状である。なお、周方向サイプ218は、3次元サイプでもよいし、2次元サイプでもよい。
【0059】
複数の内側ショルダーサイプ217のうち、一部の内側ショルダーサイプ217は、周方向サイプ218に連通してもよい。具体的には、ショルダー側部分217aが周方向サイプ218に連通してもよいし、主溝側部分217bが周方向サイプ218に連通していてもよい。
【0060】
但し、内側ショルダー陸部210の剛性バランスを考慮すると、図3に示すように、内側ショルダーサイプ217のそれぞれは、ショルダー側部分217a及び主溝側部分217bの何れか一方のみが周方向サイプ218に連通することが好ましい。
【0061】
また、内側ショルダー陸部210の周方向主溝41側の側壁には、タイヤ赤道線CL(図1参照)側に向けて凸となる凸部211が設けられている。凸部211は、内側ショルダー陸部210のタイヤ周方向端に設けられ、トレッド面視において、周方向主溝41に向けて突出している。
【0062】
内側ショルダーラグ溝216及び内側ショルダーサイプ217は、タイヤ幅方向に対して方向D1(図1参照)に傾斜している。
【0063】
つまり、内側ショルダーラグ溝216及び内側ショルダーサイプ217は、タイヤ幅方向と平行ではなく、タイヤ幅方向に対して一定の角度を有する。図3に示すように、OUT側を左側、IN側を右側に位置するようにした場合、内側ショルダーラグ溝216及び内側ショルダーサイプ217は、右肩下がりなどと表現されてもよい。
【0064】
主溝側部分216b及び主溝側部分217bのタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ22は、ショルダー側部分216a及びショルダー側部分217aのタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ12よりも大きい。このような関係を満たしつつ、傾斜角度θ12は、0度~25度、傾斜角度θ22は、0度~35度であることが好ましい。
【0065】
タイヤ周方向において隣接する内側セカンド陸部220間には、内側セカンドラグ溝226が形成される。内側セカンドラグ溝226は、タイヤ幅方向に沿って延び、周方向主溝41及び周方向主溝42に連通する。
【0066】
また、内側セカンド陸部220には、内側セカンドサイプ227が複数形成される。内側セカンドサイプ227は、タイヤ幅方向に沿って延びる。また、内側セカンドサイプ227は、タイヤ周方向における振幅を繰り返すジグザグ状である。なお、内側セカンドサイプ227は、外側セカンドサイプ127などと同様に、3次元サイプでもよいし、2次元サイプでもよい。
【0067】
内側セカンドサイプ227の一端227e1は、周方向主溝42に開口する。一方、内側セカンドサイプ227の他端227e2は、内側セカンド陸部220内において終端する。
【0068】
なお、内側セカンドサイプ227は、一端が周方向主溝41、周方向主溝42または内側セカンドラグ溝226の何れかに開口してもよい。また、内側セカンドサイプ227Aのように、両端が周方向主溝41、周方向主溝42または内側セカンドラグ溝226の何れかに開口してもよい。
【0069】
内側セカンド陸部220には、内側セカンド陸部220を2つに分断する傾斜細溝228が形成される。傾斜細溝228は、内側セカンドサイプ227と同様に、タイヤ幅方向に対して傾斜している。傾斜細溝228は、サイプよりも溝幅が広いが、ラグ溝よりも溝幅が狭い。
【0070】
内側セカンドサイプ227及び傾斜細溝228の傾斜角度は、略同一である。つまり、傾斜細溝228は、内側セカンドサイプ227と平行になるように形成されている。
【0071】
また、内側セカンド陸部220のタイヤ周方向における端部には、切欠き部221が形成される。切欠き部221は、内側セカンド陸部220のタイヤ周方向における両端に形成されてよい。切欠き部221は、トレッド面視において、平行四辺形状の内側セカンド陸部220のタイヤ周方向における頂点部分が切り欠かれたような形状を有する。これにより、内側セカンド陸部220全体として鋭角となる部分が排除されている。
【0072】
さらに、切欠き部221が形成されることによって、内側セカンドラグ溝226の端部部分の溝幅が広がっている。つまり、内側セカンドラグ溝226は、タイヤ幅方向における端部に向かって溝幅が漸増する形状を有する。
【0073】
内側セカンドラグ溝226は、タイヤ幅方向に対して方向D1(図1参照)に傾斜している。また、内側セカンドサイプ227は、タイヤ幅方向に対して方向D2に傾斜している。つまり、内側セカンドラグ溝226及び内側セカンドサイプ227は、タイヤ幅方向と平行ではなく、タイヤ幅方向に対して一定の角度を有する。
【0074】
本実施形態では、内側セカンドラグ溝226と内側ショルダーラグ溝216とは、タイヤ周方向においてオフセットして形成される。つまり、内側セカンドラグ溝226が形成されるタイヤ周方向における位置と、内側ショルダーラグ溝216が形成されるタイヤ周方向の位置は、異なっており、位相がずれている。
【0075】
(4)センター領域の陸部形状
図4は、タイヤ赤道線CLを含むセンター領域のトレッド20の平面展開図である。図4に示すように、タイヤ周方向において隣接するセンター陸部300間には、センターラグ溝316が形成される。センターラグ溝316は、タイヤ幅方向に沿って延びる。
【0076】
センター陸部300には、センターサイプ317が複数形成される。センターサイプ317は、タイヤ幅方向に沿って延びる。また、センターサイプ317は、タイヤ周方向における振幅を繰り返すジグザグ状である。なお、センターサイプ317は、外側ショルダーサイプ117などと同様に、3次元サイプでもよいし、2次元サイプでもよい。
【0077】
センターサイプ317の一端317e1は、周方向主溝42に開口する。一方、センターサイプ317の他端317e2は、センター陸部300内において終端する。
【0078】
なお、センターサイプ317は、一端が周方向主溝42、周方向主溝32またはセンターラグ溝316の何れかに開口してもよい。また、センターサイプ317Aのように、両端が周方向主溝42、周方向主溝32またはセンターラグ溝316の何れかに開口してもよい。
【0079】
センターラグ溝316は、タイヤ幅方向に対して方向D2(図1参照)に傾斜している。また、センターサイプ317は、タイヤ幅方向に対して方向D1に傾斜している。つまり、センターラグ溝316とセンターサイプ317とは、タイヤ幅方向と平行ではなく、タイヤ幅方向に対して一定の角度を有するとともに、タイヤ幅方向を基準として逆方向に傾斜している。
【0080】
また、センター陸部300のタイヤ周方向における周方向主溝42側の一方の端部には、切欠き部311が形成される。切欠き部311は、トレッド面視において、平行四辺形状のセンター陸部300のタイヤ周方向における1つの頂点部分が切り欠かれたような形状を有する。これにより、センター陸部300の周方向主溝42側、つまり、内側セカンド陸部220側の端部として鋭角となる部分が排除されている。
【0081】
さらに、本実施形態では、内側セカンドラグ溝226の溝幅W2は、センターラグ溝316の溝幅W1よりも広い。溝幅W1と溝幅W2との比率は特に限定されないが、排水性を考慮すると、溝幅W2は、溝幅W1よりも20%程度以上、幅広であることが好ましい。
【0082】
(5)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、空気入りタイヤ10では、周方向主溝31、周方向主溝32、周方向主溝41及び周方向主溝42は、それぞれ同等の溝幅を有する。このため、4本の周方向主溝の溝幅が均一となるため、当該周方向主溝に隣接する外側ショルダー陸部110、外側セカンド陸部120、内側ショルダー陸部210、内側セカンド陸部220の接地圧分布を均一化に貢献し得る。
【0083】
また、周方向主溝31、周方向主溝32、周方向主溝41及び周方向主溝42は、シースルー部分Pを含む。このため、タイヤ周方向に沿った十分な排水性を確保し得る。
【0084】
本実施形態では、外側ショルダーラグ溝116及び外側ショルダーサイプ117は、方向D1に傾斜している(OUT側を左側、IN側を右側に位置するようにした場合、右肩下がり)。また、外側セカンドラグ溝126及び外側セカンドサイプ127は、方向D2に傾斜している(OUT側を左側、IN側を右側に位置するようにした場合、右肩上がり)。このため、周方向主溝31のタイヤ周方向における一方側向かってラグ溝及びサイプが傾斜しているため、タイヤ周方向に沿った排水性をさらに高め得る。
【0085】
本実施形態では、センターラグ溝316は、方向D2に傾斜(右肩上がり)し、センターサイプ317は、方向D1に傾斜(右肩下がり)している。また、内側セカンドラグ溝226は、方向D1に傾斜(右肩下がり)し、内側セカンドサイプ227は、方向D2に傾斜(右肩上がり)している。このため、周方向主溝42のタイヤ周方向における一方側向かってラグ溝及びサイプが傾斜しているため、タイヤ周方向に沿った排水性をさらに高め得る。
【0086】
本実施形態では、内側ショルダーラグ溝216及び内側ショルダーサイプ217は、方向D1に傾斜(右肩下がり)している。また、内側セカンドラグ溝226と内側ショルダーラグ溝216とは、タイヤ周方向においてオフセットして形成されている。このため、内側セカンドラグ溝226から周方向主溝41への排水と、内側ショルダーラグ溝216から周方向主溝41への排水による水流の干渉を抑制でき、内側ショルダーラグ溝216を介したトレッド20外への排水を妨げない。
【0087】
このような構成の空気入りタイヤ10によれば、接地性、除水性及び排水性を高め、氷上性能をさらに向上できる。
【0088】
また、図1の領域S1及び領域S2のように、陸部に形成される一部のサイプは、ラグ溝などに連通せずに、陸部内で終端している。これにより、陸部のタイヤ周方向における端部によるエッヂ成分が高くなり、トレッド20と路面との間から水膜を除去する除水性を効果的に高め得る。
【0089】
また、領域S3のように、内側セカンド陸部220のラグ溝(内側セカンドラグ溝226)の溝幅を確保することによって、雪を掘り起こす量が増え、雪上性能も向上し得る。
【0090】
さらに、領域S4に示すように、周方向主溝31及び周方向主溝41に、凸部を設けることによって、当該周方向主溝の水流が当該陸部に形成されているサイプに浸入することが軽減されるため、当該陸部からのサイプを介した排水性を確保し得る。
【0091】
また、本実施形態では、上述したように、外側セカンドラグ溝126の一端126aは、周方向主溝32に開口し、外側セカンドラグ溝126の他端126bは、ラグ溝連通サイプ128に連通している。このため、外側セカンド陸部120の接地時には、ラグ溝連通サイプ128が閉じ、タイヤ周方向において隣接する外側セカンド陸部120がリブ状の陸部を形成できるため、接地性が向上できる。また、これにより、十分な操縦安定性を確保し得る。
【0092】
さらに、ラグ溝連通サイプ128に連通する外側セカンドラグ溝126にタイヤ周方向において最も近接して形成される外側セカンドサイプ127Aは、周方向主溝31のみに開口する。このため、外側セカンドサイプ127Aの他端は、外側セカンド陸部120内で終端しており、特に、外側セカンドラグ溝126付近の外側セカンド陸部120のブロック剛性の低下を回避できる。
【0093】
本実施形態では、センターサイプ317の一端317e1は、周方向主溝42に開口し、センターサイプ317の他端317e2は、センター陸部300内において終端している(領域S1参照)。また、内側セカンドサイプ227の一端227e1は、周方向主溝42に開口し、内側セカンドサイプ227の他端227e2は、内側セカンド陸部220内において終端している(領域S2参照)。
【0094】
このため、上述したように、トレッド20と路面との間から水膜を除去する除水性を効果的に高め得る。
【0095】
本実施形態では、主溝側部分116b及び主溝側部分117bのタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ21は、ショルダー側部分116a及びショルダー側部分117aのタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ11よりも大きい。また、主溝側部分216b及び主溝側部分217bのタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ22は、ショルダー側部分216a及びショルダー側部分217aのタイヤ幅方向に対する傾斜角度θ12よりも大きい。
【0096】
このため、ショルダー陸部から周方向主溝へのスムーズな排水を促進でき、排水性をさらに向上し得る。
【0097】
本実施形態では、内側セカンドラグ溝226の溝幅W2は、センターラグ溝316の溝幅W1よりも広い。このため、センター陸部300からの内側セカンドラグ溝226を経由した排水性の向上に寄与するとともに、上述したように、内側セカンドラグ溝226による雪を掘り起こす量が増え(領域S3参照)、雪上性能も向上し得る。
【0098】
(6)その他の実施形態
以上、実施形態について説明したが、当該実施形態の記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0099】
例えば、上述した実施形態では、それぞれの陸部に形成されるサイプは、トレッド面視においてジグザグ状であったが、必ずしもジグザグ状に限定されない。当該サイプは、例えば、波形でもよいし、直線状であってもよい。
【0100】
また、上述した実施形態では、車両装着時OUT側及びIN側を前提として説明したが、必ずしも車両装着時に限定されず、単に、トレッド20の一方のショルダーを外側(OUT側)、トレッド20の他方のショルダーを内側(IN側)と解釈されてもよい。
【0101】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0102】
10 空気入りタイヤ
20 トレッド
31, 32, 41, 42 周方向主溝
110 外側ショルダー陸部
111 凸部
116 外側ショルダーラグ溝
116a ショルダー側部分
116a1 幅広部分
116b 主溝側部分
117 外側ショルダーサイプ
117a ショルダー側部分
117b 主溝側部分
120 外側セカンド陸部
126 外側セカンドラグ溝
126a 一端
126b 他端
127, 127A 外側セカンドサイプ
128 ラグ溝連通サイプ
129 ピンホールサイプ
210 内側ショルダー陸部
211 凸部
216 内側ショルダーラグ溝
216a ショルダー側部分
216a1 幅広部分
216b 主溝側部分
217 内側ショルダーサイプ
217a ショルダー側部分
217b 主溝側部分
218 周方向サイプ
220 内側セカンド陸部
221 切欠き部
226 内側セカンドラグ溝
227, 227A 内側セカンドサイプ
227e1 一端
227e2 他端
228 傾斜細溝
300 センター陸部
311 切欠き部
316 センターラグ溝
317, 317A センターサイプ
317e1 一端
317e2 他端
CL タイヤ赤道線
P シースルー部分
SHout 外側ショルダー
SHin 内側ショルダー
図1
図2
図3
図4