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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】レーザー加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/08 20140101AFI20240326BHJP
   B23K 26/10 20060101ALI20240326BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240326BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20240326BHJP
   B23K 26/351 20140101ALI20240326BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B23K26/10
B23K26/00 H
B23K26/00 M
B23K26/08 F
B23K26/351
H01M4/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020047595
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021146358
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】金平 裕次
(72)【発明者】
【氏名】檜物 史紀
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505384(JP,A)
【文献】特開2015-026562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/08
B23K 26/00
B23K 26/082
B23K 26/351
H01M 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状電極を加工するためのレーザー加工装置であって、
ロール状に巻回された前記帯状電極が取り付けられる巻出軸と、
加工された前記帯状電極を巻き取る巻取軸と、
前記巻出軸から前記巻取軸へと前記帯状電極を移動させる駆動装置と、
前記巻出軸と前記巻取軸との間に配置され、前記帯状電極に対して、前記帯状電極の幅方向における第1基準位置に配置された第1ヘッドを含み、前記第1ヘッドからのレーザー光の照射方向を変化させることで前記帯状電極の第1縁を所定形状に加工する第1レーザー照射部と、
前記第1ヘッドを前記幅方向に移動可能に支持する第1支持装置と、
前記幅方向における前記第1縁の位置を示す第1位置データを出力する第1位置センサと、
前記巻出軸と前記巻取軸との間に配置され、前記帯状電極に対して、前記帯状電極の幅方向における第2基準位置に配置された第2ヘッドを含み、前記第2ヘッドからのレーザー光の照射方向を変化させることで前記帯状電極の前記第1縁と反対の第2縁を所定形状に加工する第2レーザー照射部と、
前記第2ヘッドを前記幅方向に移動可能に支持する第2支持装置と、
前記幅方向における前記第2縁の位置を示す第2位置データを出力する第2位置センサと、
前記第1位置データを取得し、前記第1ヘッドを前記幅方向に移動させるように前記第1支持装置を制御し、前記第1ヘッドが前記帯状電極に対して前記第1基準位置に維持されるように前記第1位置データに応じて前記第1ヘッドを前記幅方向に移動させ、前記第2位置データを取得し、前記第2ヘッドを前記幅方向に移動させるように前記第2支持装置を制御し、前記第2ヘッドが前記帯状電極に対して前記第2基準位置に維持されるように前記第2位置データに応じて前記第2ヘッドを前記幅方向に移動させるコントローラと、
を備え
前記第1ヘッドと前記第1支持装置とは、前記第2ヘッドと前記第2支持装置に対して、前記帯状電極の移動方向にずれて配置されており、
前記第1位置センサは、前記第2位置センサに対して前記帯状電極の移動方向にずれて配置される、
レーザー加工装置。
【請求項2】
前記第1レーザー照射部は、前記第1ヘッドからのレーザー光の照射方向を、前記帯状電極の前記幅方向に変化させることで、前記帯状電極の前記第1縁をタブ状に切断し、
前記第2レーザー照射部は、前記第2ヘッドからのレーザー光の照射方向を、前記帯状電極の前記幅方向に変化させることで、前記帯状電極の前記第2縁をタブ状に切断する、
請求項1に記載のレーザー加工装置。
【請求項3】
前記第1レーザー照射部と前記第2レーザー照射部とは、ガルバノスキャナ式の装置である、
請求項1又は2に記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記帯状電極の移動方向における前記第1位置センサと前記第1ヘッドとの間の距離と前記第1位置データとに応じて、前記第1ヘッドを前記幅方向に移動させるように前記第1支持装置を制御し、
前記帯状電極の移動方向における前記第2位置センサと前記第2ヘッドとの間の距離と前記第2位置データとに応じて、前記第2ヘッドを前記幅方向に移動させるように前記第2支持装置を制御する、
請求項1から3のいずれかに記載のレーザー加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状電極を加工するためのレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの二次電池では、帯状電極が用いられる。帯状電極は、金属箔と、活物質層とを含む。金属箔は、シート状の形状を有する。活物質層は、金属箔の表面に設けられている。活物質層は、金属箔の縁に沿って設けられる被加工部を除く部分に設けられる。
【0003】
従来、帯状電極の被加工部を加工するためにレーザー加工装置が用いられている。例えば、特許文献1では、レーザーによって被加工部を所望の形状に切断するレーザー加工装置が開示されている。このレーザー加工装置では、ヘッドから照射されるレーザー光の方向を変化させることで、帯状電極を移動させながら、被加工部を所望の形状に切断する。
【0004】
上記のレーザー加工装置では、ヘッドの位置は固定されている。従って、帯状電極が移動中に蛇行することで、帯状電極の幅方向の位置にズレが生じると、精度よく、被加工部を所望の形状に切断することは困難である。そのため、上記のレーザー加工装置は、蛇行修正装置を備えている。蛇行修正装置は、帯状電極を案内するローラを幅方向に移動させることで、帯状電極の位置のズレを修正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-22554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のレーザー加工装置では、帯状電極に皺が生じないように、帯状電極を案内するローラと、次のローラとの間の距離を大きく確保する必要がある。そのため、レーザー加工装置が大型化してしまう。また、帯状電極の継ぎ目の部分などで、帯状電極の位置が急激に変化する場合には、位置のズレを修正することは困難である。本発明の課題は、帯状電極を加工するためのレーザー加工装置において、大型化を抑えると共に、帯状電極の位置の急変に対するレスポンスを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るレーザー加工装置は、帯状電極を加工するための装置であって、巻出軸と、巻取軸と、駆動装置と、レーザー照射部と、支持装置と、位置センサと、コントローラとを備える。巻出軸には、ロール状に巻回された帯状電極が取り付けられる。巻取軸は、加工された帯状電極を巻き取る。駆動装置は、巻出軸から巻取軸へと帯状電極を移動させる。レーザー照射部は、ヘッドを含む。ヘッドは、巻出軸と巻取軸との間に配置される。ヘッドは、帯状電極に対して、帯状電極の幅方向における基準位置に配置される。レーザー照射部は、ヘッドからのレーザー光の照射方向を変化させることで帯状電極を所定形状に加工する。支持装置は、ヘッドを幅方向に移動可能に支持する。位置センサは、幅方向における帯状電極の位置を示す位置データを出力する。コントローラは、位置データを取得する。コントローラは、ヘッドを幅方向に移動させるように支持装置を制御する。コントローラは、ヘッドが帯状電極に対して基準位置に維持されるように、位置データに応じてヘッドを幅方向に移動させる。
【0008】
本態様に係るレーザー加工装置では、帯状電極の位置の変化に応じて、支持装置が、ヘッドを幅方向に移動させる。それにより、ヘッドが帯状電極に対して基準位置に維持される。そのため、帯状電極を案内するローラを幅方向に移動させる場合と比べて、帯状電極の位置の急変に対するレスポンスを向上させることができる。また、ローラ間の距離を大きく確保する必要がないため、レーザー加工装置の大型化を抑えることができる。
【0009】
レーザー照射部は、ヘッドからのレーザー光の照射方向を、帯状電極の移動方向と幅方向とに変化させることで、帯状電極の縁をタブ状に切断してもよい。レーザー照射部は、ガルバノスキャナ式の装置であってもよい。
【0010】
コントローラは、帯状電極の移動方向における位置センサとヘッドとの間の距離と位置データとに応じて、ヘッドを幅方向に移動させるように支持装置を制御してもよい。この場合、ヘッドの位置における帯状電極の位置の変化を精度よく予測することができる。
【0011】
位置センサは、第1センサと第2センサとを含んでもよい。第1センサは、第1データを出力してもよい。第1データは、第1検出位置において、幅方向における帯状電極の位置を示す。第2センサは、第2データを出力してもよい。第2データは、第2検出位置において、幅方向における帯状電極の位置を示す。第2検出位置は、帯状電極の移動方向に第1検出位置から離れている。コントローラは、第1データと第2データとに応じて、ヘッドを幅方向に移動させるように支持装置を制御してもよい。この場合、ヘッドの位置における帯状電極の位置の変化を精度よく予測することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯状電極を加工するためのレーザー加工装置において、大型化を抑えると共に、帯状電極の位置の急変に対するレスポンスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るレーザー加工装置の構成を示す模式図である。
図2】レーザー加工装置の上面図である。
図3】レーザー加工装置の制御システムを示すブロック図である。
図4】帯状電極を加工するときのレーザー光の軌跡の一例を示す図である。
図5】レーザー加工装置によって加工される帯状電極の所定形状の一例を示す図である。
図6】第1支持装置による第1ヘッドの移動を示す図である。
図7】第1変形例に係るレーザー加工装置の上面図である。
図8】第2変形例に係るレーザー加工装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施形態に係る帯状電極を加工するためのレーザー加工装置について説明する。図1は、実施形態に係るレーザー加工装置1の構成を示す模式図である。図2は、レーザー加工装置1の上面図である。図1及び図2において矢印A1は、帯状電極100の移動方向を示している。
【0015】
図2に示すように、帯状電極100は、第1縁101と第2縁102とを含む。第1縁101は、帯状電極100の幅方向における一方の縁である。第2縁102は、帯状電極100の幅方向における一方の縁である。帯状電極100の幅方向は、帯状電極100の長手方向に垂直な方向である。帯状電極100の幅方向は、レーザー加工装置1における帯状電極100の移動方向A1に垂直な方向である。
【0016】
図1に示すように、レーザー加工装置1は、巻出軸2と、巻取軸3と、駆動装置4と、複数のローラ5a-5nと、第1レーザー照射部6と、第2レーザー照射部7とを含む。巻出軸2には、ロール状に巻回された帯状電極100(以下、「電極ロール103」と呼ぶ)が取り付けられる。巻取軸3は、加工された帯状電極100をロール状に巻き取る。
【0017】
駆動装置4は、巻出軸2から巻取軸3へと帯状電極100を移動させる。駆動装置4は、第1駆動モータ11と第2駆動モータ12とを含む。第1駆動モータ11は、巻出軸2に接続されている。第1駆動モータ11は、巻出軸2を回転させる。第2駆動モータ12は、巻取軸3に接続されている。第2駆動モータ12は、巻取軸3を回転させる。
【0018】
複数のローラ5a-5nは、各ローラ5a-5nの中心軸回りに回転可能に設けられている。複数のローラ5a-5nは、第1ダンサーローラ5aと、ニップローラ5bと、第2ダンサーローラ5cと、複数のガイドローラ5d-5nとを含む。第1ダンサーローラ5aは、巻出軸2とニップローラ5bとの間に配置されている。第1ダンサーローラ5aは、巻出軸2から巻き出された帯状電極100に所定の張力を付与する。ニップローラ5bは、第1ダンサーローラ5aと第2ダンサーローラ5cとの間に配置されている。ニップローラ5bは、第1ローラ5pと第2ローラ5qとを含む。ニップローラ5bは、第1ローラ5pと第2ローラ5qとの間で帯状電極100を押圧する。第2ダンサーローラ5cは、巻取軸3とニップローラ5bとの間に配置されている。第2ダンサーローラ5cは、巻取軸3に巻き取られる帯状電極100に所定の張力を付与する。
【0019】
第1レーザー照射部6は、帯状部材の第1縁101を加工する。第1レーザー照射部6は、所謂、ガルバノスキャナ式のレーザー加工機である。第1レーザー照射部6は、第1レーザー発振器13と第1ヘッド14とを含む。第1レーザー発振器13は、レーザー光を発生させる。第1ヘッド14は、第1レーザー発振器13とファイバケーブル15を介して接続されている。第1ヘッド14は、巻出軸2と巻取軸3との間に配置されている。第1ヘッド14は、帯状電極100の第1縁101の上方に配置される。
【0020】
図2に示すように、第1ヘッド14は、帯状電極100に対して、帯状電極100の幅方向における第1基準位置B1に配置されている。第1基準位置B1は、幅方向において帯状電極100に対して固定的に定められる位置である。第1基準位置B1は、例えば帯状電極100の第1縁101から幅方向に所定距離だけ離れた位置である。或いは、第1基準位置B1は、帯状電極100の中心線から幅方向に所定距離だけ離れた位置であってもよい。
【0021】
図1に示すように、第1ヘッド14は、第1ミラー16を含む。第1ミラー16は、回転可能に配置されている。図3は、レーザー加工装置1の制御システムを示すブロック図である。第1ミラー16は、図3に示す第1レーザーアクチュエータ17に接続されている。第1レーザーアクチュエータ17は、例えば電動モータである。第1ミラー16の回転角度は、第1レーザーアクチュエータ17によって変更される。第1レーザー照射部6は、第1ミラー16の回転角度を変更することで、第1ヘッド14からのレーザーの照射方向を変化させる。第1レーザー照射部6は、第1ヘッド14からのレーザーの照射方向を変化させることで、帯状電極100を所定形状に加工する。
【0022】
第2レーザー照射部7は、帯状部材の第2縁102を加工する。第2レーザー照射部7は、図2に示す第2ヘッド18と、図3に示す第2レーザー発振器19と、第2レーザーアクチュエータ20とを備えている。図2に示すように、第2ヘッド18は、第2縁102の上方に配置されている。図2に示すように、第2ヘッド18は、第2ミラー21を含む。第2ヘッド18は、帯状電極100に対して、帯状電極100の幅方向における第2基準位置B2に配置されている。第2基準位置B2は、第1基準位置B1と同様に、帯状電極100に対して固定的に定められる位置である。第2基準位置B2は、第2縁102の位置から定められてもよい。
【0023】
第2ヘッド18と、第2レーザー発振器19と、第2レーザーアクチュエータ20とは、第1ヘッド14と、第1レーザー発振器13と、第1レーザーアクチュエータ17と、それぞれ同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0024】
図2に示すように、レーザー加工装置1は、第1支持装置31と第2支持装置32とを含む。第1支持装置31は、第1ヘッド14を幅方向に移動可能に支持する。第1支持装置31は、例えばリニアガイドである。或いは、第1支持装置31は、ボールねじなどの他の機構であってもよい。第1支持装置31は、第1レール33と第1可動体34とを含む。第1レール33は、帯状電極100の幅方向に延びている。第1可動体34は、第1レール33によって、帯状電極100の幅方向に移動可能に支持されている。第1可動体34には、第1ヘッド14が取り付けられる。第2支持装置32は、第2ヘッド18を幅方向に移動可能に支持する。第2支持装置32は、第2レール35と第2可動体36とを含む。第2支持装置32は、第1支持装置31と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0025】
図2及び図3に示すように、レーザー加工装置1は、第1位置センサ37と、第2位置センサ38と、コントローラ39を含む。第1位置センサ37は、第1位置データを出力する。第1位置データは、幅方向における帯状電極100の第1縁101の位置を示す。第2位置センサ38は、第2位置データを出力する。第2位置データは、幅方向における帯状電極100の第2縁102の位置を示す。
【0026】
コントローラ39は、CPUなどのプロセッサと、RAM及びROMなどのメモリを含む。コントローラ39は、第1駆動モータ11と第2駆動モータ12とを制御することで、電極ロール103から帯状電極100を巻き出し、複数のローラ5a-5n上で帯状電極100を移動させ、巻取軸3においてロール状に巻き取る。コントローラ39は、第1レーザー発振器13を制御することで、第1ヘッド14からレーザー光を照射させる。コントローラ39は、第1レーザーアクチュエータ17を制御することで、第1ヘッド14からのレーザー光の照射方向を変更する。コントローラ39は、帯状電極100を移動させながら、第1ヘッド14からのレーザー光の照射方向を変更することで、帯状電極100の第1縁101を所定の形状に加工する。
【0027】
図4は、帯状電極100を加工するときのレーザー光L1の軌跡の一例を示す図である。図4に示すように、帯状電極100は、金属箔41と、活物質層42とを含む。活物質層42は、金属箔41の少なくとも一方の面に設けられる。活物質層42は、第1被加工部44と第2被加工部45(図2参照)とを除く部分に設けられている。第1被加工部44は、第1縁101に沿って設けられる。第2被加工部45は、第2縁102に沿って設けられる。
【0028】
第1レーザー照射部6は、第1ヘッド14からのレーザー光L1の照射方向を、帯状電極100の幅方向に変化させることで、帯状電極100の第1縁101を、図5に示すようなタブ200状に切断する。例えば、図4に示すように、コントローラ39は、開始点P0から第1目標点P1へレーザー光L1を移動させる。第1目標点P1は、開始点P0から、帯状電極100の移動方向A1、且つ、外側に斜めに進んだ位置である。それにより、タブ200の前縁201に沿って、第1被加工部44が切断される。
【0029】
コントローラ39は、第1目標点P1において、レーザー光L1の移動を停止する。レーザー光L1の移動が停止している間に、帯状電極100が移動方向A1に移動することで、レーザー光L1が第2目標点P2に移動する。それにより、タブ200の側縁202に沿って、第1被加工部44が切断される。コントローラ39は、第2目標点P2から第3目標点P3へレーザー光L1を移動させる。第3目標点P3は、第2目標点P2から、帯状電極100の移動方向A1、且つ、内側に斜めに進んだ位置である。それにより、タブ200の後縁203に沿って、第1被加工部44が切断される。以上のようにレーザー光L1が移動することで、第1被加工部44が、図5に示すようなタブ200状に切断される。
【0030】
コントローラ39は、帯状電極100の幅方向における位置に応じて、帯状電極100の幅方向における第1ヘッド14の位置を変更する。第1ヘッド14の位置は、第1ヘッド14の所定部分に対して固定的に定められる。コントローラ39は、上述した第1位置データを取得する。例えば、図6に示すように、第1基準位置B1は、第1縁101から幅方向における内側に所定距離D1だけ離れた位置である。コントローラ39は、第1ヘッド14が第1基準位置B1に維持されるように、第1位置データが示す第1縁101の位置に応じて、第1ヘッド14を幅方向に移動させる。図6において、第1縁101が、実線で示す位置から、破線で示す位置101’に変化した場合、第1基準位置B1は、位置B1’に移動する。コントローラ39は、第1ヘッド14が、移動後の第1基準位置B1’に維持されるように、第1ヘッド14を幅方向に移動させる。
【0031】
コントローラ39は、第2被加工部45を加工するときには、上記の第1ヘッド14と同様に第2ヘッド18を制御する。それにより、第2被加工部45がタブ状に加工される。また、コントローラ39は、第1ヘッド14と同様に、帯状電極100の幅方向における位置に応じて、帯状電極100の幅方向における第2ヘッド18の位置を変更する。
【0032】
以上説明した本実施形態に係るレーザー加工装置1では、帯状電極100の位置の変化に応じて、第1支持装置31が、第1ヘッド14を幅方向に移動させる。それにより、第1ヘッド14が帯状電極100に対して第1基準位置B1に維持される。そのため、帯状電極100を案内するローラを幅方向に移動させる場合と比べて、帯状電極100の位置の急変に対するレスポンスを向上させることができる。また、ローラ間の距離を大きく確保する必要がないため、レーザー加工装置1の大型化を抑えることができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。レーザー加工装置1の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第2レーザー照射部7、第2支持装置32は、第2位置センサ38は、省略されてもよい。或いは、第1縁101の位置を検出する複数の位置センサが設けられてもよい。第2縁102の位置を検出する複数の位置センサが設けられてもよい。
【0034】
レーザー照射部6,7は、ガルバノスキャナ式のものに限らず、他の方式のものでもよい。コントローラ39は、帯状電極100をタブ状以外の形状に加工してもよい。
【0035】
図7は、第1変形例に係るレーザー加工装置1の上面図である。第1変形例に係るレーザー加工装置1では、コントローラ39は、帯状電極100の移動方向A1における第1位置センサ37と第1ヘッド14との間の距離D2を記憶している。コントローラ39は、距離D2と第1位置データとに応じて、第1ヘッド14を幅方向に移動させるように支持装置を制御する。
【0036】
例えば、コントローラ39は、距離D2と帯状電極100の移動速度から、第1位置データに対応する帯状電極100の部分が、第1ヘッド14の位置を通過するタイミングを算出する。コントローラ39は、当該タイミングで、第1ヘッド14が、第1位置データに対応する第1基準位置B1に移動するように、第1支持装置31を制御する。それにより、コントローラ39は、第1ヘッド14の位置における帯状電極100の位置の変化を精度よく予測することができる。コントローラ39は、第1ヘッド14と同様に、第2位置センサ38と第2ヘッド18との間の距離D3と、第2位置データとに応じて、第2ヘッド18を制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、帯状電極を加工するためのレーザー加工装置において、大型化を抑えると共に、帯状電極の位置の急変に対するレスポンスを向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
2 巻出軸
3 巻取軸
4 駆動装置
6 第1レーザー照射部
14 第1ヘッド
31 第1支持装置
37 第1位置センサ
39 コントローラ
51 第1センサ
52 第2センサ
100 帯状電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8