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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20240326BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240326BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/04 D
G02B7/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020051209
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149041
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松久 治可
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝一
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-244613(JP,A)
【文献】特開平06-067077(JP,A)
【文献】特開平06-265770(JP,A)
【文献】特開2016-189023(JP,A)
【文献】特開2017-129877(JP,A)
【文献】特開2014-048467(JP,A)
【文献】特開2013-195900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0049392(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101713853(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられたアクチュエータと、
前記アクチュエータを動力源として光軸方向に進退する直進枠と、
前記直進枠によってレンズ駆動のベース位置を決める取付枠とを備え、
収納時には、前記直進枠を前記ベース部材に近接する第1位置に後退させ、レンズ駆動時には、前記直進枠を前記ベース部材から離間した第2位置に進行させ
前記ベース部材は、前記直進枠の進退時のガイドシャフトを支持するガイドシャフト支持部を有し、
前記取付枠は、前記ガイドシャフトに対応して設けられる被ガイド部を有し、
前記直進枠の前記第1位置においてガイドシャフト支持部の上面と前記被ガイド部の下面が当接することによって、前記取付枠は、前記ベース部材に近接するものの、前記ベース部材との接触は避けられていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ベース部材には、前記アクチュエータによって光軸に沿った回転軸周りに回転駆動される回転枠が支持されており、
前記直進枠は、前記回転枠に設けたカムによって光軸方向に進退することを特徴とする請求項記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記直進枠は、前記第2位置に対して更に前記ベース部材から離れた第3位置に進行可能であり、
前記直進枠によってレンズ駆動のベース位置が決められる取付枠には、少なくともレンズを光軸方向に沿って移動自在に駆動するレンズ駆動部が配備され、
前記アクチュエータによる前記直進枠の光軸方向の移動と前記レンズ駆動部における光軸方向のレンズ駆動によって、レンズ位置調整がなされることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記アクチュエータによって前記取付枠を前記ベース部材から最も離間させた状態では、無限遠フォーカス位置が前記レンズ駆動部におけるレンズ動作可能範囲外になることを特徴とする請求項3記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項記載のレンズ駆動装置を備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ駆動装置は、レンズ(レンズバレル)を保持するレンズ枠を、ベース部材に直接又は他の部材を介して弾性的に支持し、アクチュエータの推力と弾性力をバランスさせながら、レンズ枠を光軸方向又は光軸と交差する方向に移動させるものであり、アクチュエータによるレンズ駆動で、AF(Autofocus)調整やOIS(Optical Image Stabilizer:手振れ補正)調整を行うものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-28288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯式等の電子機器はカメラ機能を備えるものが一般化している。携帯式等の電子機器は、薄型化が進められており、電子機器の筐体内に配備されるカメラモジュールやカメラモジュールに実装されるレンズ駆動装置は、薄型化された筐体内への収容性を考慮して、光軸方向に沿った厚さを抑えることが求められている。
【0005】
これに対して、カメラモジュールは、大型の撮像素子を用いて高精細な画像を撮影する高機能化の要求があり、この要求に応えようとすると、撮像素子の結像面からレンズまでの距離(背面焦点距離)を大きくして、レンズ設計のバリエーションを高めることが必要になる。しかしながら、前述したように、薄型化された電子機器の筐体内に配備されるカメラモジュールに実装されるレンズ駆動装置は、光軸方向に沿った厚さが制限されているので、背面焦点距離を大きくして高精細な画像を撮影するという要求に応え難い問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、薄型化が進む電子機器に配備できるように、光軸方向に沿った厚さを抑えながら、カメラの高機能化に対応できるレンズ駆動装置を提供すること、などが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明によるレンズ駆動装置は、以下の構成を具備するものである。
ベース部材と、前記ベース部材に取り付けられたアクチュエータと、前記アクチュエータを動力源として光軸方向に進退する直進枠と、前記直進枠によってレンズ駆動のベース位置を決める取付枠とを備え、収納時には、前記直進枠を前記ベース部材に近接する第1位置に後退させ、レンズ駆動時には、前記直進枠を前記ベース部材から離間した第2位置に進行させ、前記ベース部材は、前記直進枠の進退時のガイドシャフトを支持するガイドシャフト支持部を有し、前記取付枠は、前記ガイドシャフトに対応して設けられる被ガイド部を有し、前記直進枠の前記第1位置においてガイドシャフト支持部の上面と前記被ガイド部の下面が当接することによって、前記取付枠は、前記ベース部材に近接しているものの、前記ベース部材との接触は避けられていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置の平面図。
図3】本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置の側面図。
図4】ベース部材の単体構成を示した斜視図。
図5】回転枠の単体構成を示した斜視図。
図6】直進枠の単体構成を示した斜視図。
図7】取付枠の単体構成を示した斜視図。
図8】収納時の説明図((a)が図2におけるX1-X1断面図、(b)が図2におけるX2-X2断面図)。
図9】収納時の説明図(図2におけるX3-X3断面図)。
図10】収納時の説明図(図2におけるY1-Y1断面図)。
図11】レンズ駆動時(使用時)の説明図((a)が図2におけるX1-X1断面図、(b)が図2におけるX2-X2断面図)。
図12】レンズ駆動時(使用時)の説明図(図2におけるX3-X3断面図)。
図13】レンズ駆動時(使用時)の説明図(図2におけるY1-Y1断面図)。
図14】他の実施形態の説明図((a)が図2におけるX1-X1断面図、(b)が図2におけるX2-X2断面図)。
図15】他の実施形態の説明図((a)が図2におけるX1-X1断面図、(b)が図2におけるX2-X2断面図)。
図16】他の実施形態の説明図((a)が図2におけるX1-X1断面図、(b)が図2におけるX2-X2断面図)。
図17】(a)がレンズ駆動装置を備えた撮像装置、(b)が撮像装置を備えた電子機器(携帯情報端末)の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。以下の説明で、「上」はレンズの前(光入射)方向を指し、「下」はレンズの後(光出射)方向を指している。
【0010】
図1~3に示すように、レンズ駆動装置1は、ベース部材2と、アクチュエータ3と、直進枠4と、取付枠5を少なくとも備えている。図1におけるZ方向が光軸方向、X-Y方向がそれに直交する方向を示している。
【0011】
ベース部材2は、アクチュエータ3と直進枠4と取付枠5を支持している。図4に示すように、ベース部材2は、中央に開口2Pを有しており、開口2Pの周囲には開口縁2Dが形成されている。ベース部材2の周囲には、光軸方向に延びて立設された弾性体支持部2Aが複数設けられている。弾性体支持部2Aの上部には、後述する連結弾性体24の上係合部24aが係合する被係合部2A1が設けられている。
【0012】
また、ベース部材2の周囲には、ギヤ支持部2Bが設けられ、ギヤ支持部2Bには伝動部材であるギヤ23が回転自在に支持されている。ベース部材2の底面には、開口2Pの周囲に、ガイドシャフト支持部2Cが設けられている。
【0013】
ベース部材2の底面には、回転枠6が支持されている。回転枠6は、図5に示すように、周囲にギヤ23が噛み合う噛合部6Aが設けられた円筒状部材であり、円筒状の側壁にカム6Bが設けられている。図示の例では、カム6Bは、下向きにカム面が形成されており、ベース部材2寄りの水平カム面である第1位置6B1とベース部材2から離れた水平カム面である第2位置6B2が形成され、第1位置6B1から第2位置6B2に至る傾斜カム面が形成されている。また、回転枠6の側面には、外側に向けて突出するように、スラスト方向への抜け止めになる係合突起6Cが設けられている。
【0014】
アクチュエータ3は、取付フランジ3Aを介して結合部材7によってベース部材2に取り付けられており、駆動力をギヤ23に伝えて、ギヤ23を介して回転枠6を回転駆動する。ギヤ23は、アクチュエータ3の回転を減速して回転枠6を回転させる。取付フランジ3Aは、ギヤ23を覆っており、ギヤ23のスラスト位置規制を兼ねている。アクチュエータ3としては、例えば、ステッピングモータを用いることができるが、これに限らず、ピエゾアクチュエータなどを用いても良い。
【0015】
直進枠4は、回転枠6の内側に配置され、アクチュエータ3を動力源として、光軸方向に進退する。直進枠4の進退には、回転枠6のカム6Bが機能する。カム6Bのカム面には、直進枠4の側面に設けられているカム当接部4Bが当接する。カム当接部4Bがカム6Bのカム面に当接するために、直進枠4は、連結弾性体(バネ)24によって、上向きに付勢されている。
【0016】
より具体的には、連結弾性体24の下係合部24bが直進枠4におけるカム当接部4Bの外側に設けた被係合部4Aに係合しており、連結弾性体24の上係合部24aが、回転枠6より上方に位置する、ベース部材2における弾性体支持部2Aの被係合部2A1に係合されている。これにより、連結弾性体24の弾性力で直進枠4は上向きに付勢され、直進枠4のカム当接部4Bがカム6Bにおける下向きのカム面に当接する。
【0017】
また、直進枠4は、図6に示すように、ガイド孔4Cを内部に備えている。ガイド孔4Cには、ガイドシャフト26が挿入される。ガイドシャフト26は、下端部がベース部材2のガイドシャフト支持部2Cに支持され、上端部がベース部材2に取り付けられて上方に延びる支持部材8に支持される。
【0018】
直進枠4の内側には、取付枠5が配備される。取付枠5は内側にレンズ駆動部10が収容される。取付枠5の内部には、図7に示すように、レンズ駆動部10を支持する支持面5Bが設けられ、支持面5Bには、レンズ駆動部10を透過する光を通過させる開口5Aが設けられている。取付枠5の側面の外側には、上下一対の被ガイド部5Cが2本のガイドシャフト26に対応して設けられており、上下一対の被ガイド部5Cの間に、直進枠4のガイド孔4Cが挟まれている。
【0019】
取付枠5の内部に収容されるレンズ駆動部10は、駆動ベース部11上に、図示省略のレンズ枠(レンズ)を光軸方向と光軸に交差する方向の一方又は両方に駆動するアクチュエータ等が設けられている。レンズ駆動部10における駆動ベース部11には、自身のアクチュエータに通電するための接続端子12が設けられており、この接続端子12に接続回路基板13の一端側が接続されている。接続回路基板13は、取付枠5のスリット孔5Dから外に引き出され、ベース部材2における接続回路基板支持部2Eに支持される。
【0020】
直進枠4の上端には、保護板27が設けられ、保護板27の開口には透光板28が設けられている。透光板28を透過した光は、レンズ駆動部10のレンズを透過して、取付枠5の開口5Aを通り、ベース部材2の開口2Pを通って、ベース部材2に取り付けられる回路基板20に実装された撮像素子21の撮像面に入射(結像)する。撮像素子21の前面には、必要に応じてIRカットフィルタ22などを設けることができる。ベース部材2に回路基板20を介して撮像素子21を一体に取り付けることで、レンズ駆動装置1を備えたカメラモジュールを構成することができる。
【0021】
レンズ駆動装置1は、アクチュエータ3を駆動することで、ベース部材2上で、回転枠6を光軸に沿った回転軸周りに所定角度範囲で回転させる。回転枠6は、側面から係合突起6Cが外に突出しており、この係合突起6Cがベース部材2のスラスト受け2Fに係合して、回転枠6のスラスト方向の抜け止めになっている。
【0022】
回転枠6が回転すると、直進枠4のカム当接部4Bに当接したカム6Bのカム面により、直進枠4がガイドシャフト26に沿って光軸方向に進退移動する。アクチュエータ3は、前述したように回転枠6を回転させるが、回転枠6内の直進枠4と直進枠4内の取付枠5は、共にベース部材2に支持されているガイドシャフト26に係合しているので、回転方向の動きがガイドシャフト26によって止められており、ガイドシャフト26に沿った光軸方向の動きのみが可能になっている。
【0023】
図8は、レンズ駆動部10の収納状態を示している。この際には、直進枠4のカム当接部4Bが回転枠6におけるカム6Bの第1位置6B1に当接している。直進枠4は連結弾性体24の弾性力で上方に付勢されているが、カム6Bの第1位置6B1によって上方への移動が制限され、収納状態に保持されている。
【0024】
この収納状態では、図9に示すように、ベース部材2におけるガイドシャフト支持部2Cの上面が取付枠5の被ガイド部5Cの下面に当接することになり、取付枠5はそれ以上下方に移動できないようになっている。これにより、取付枠5は、直進枠4の第1位置6B1においては、ベース部材2との接触を避ける位置に退避する。
【0025】
この際、取付枠5は、連結弾性体25を介して直進枠4に連結されており、連結弾性体25の上係合部25aが取付枠5の被係合部5Eに係合し、連結弾性体25の下係合部25bが直進枠4の被係合部4Eに係合している。このため、取付枠5の被ガイド部5Cがガイドシャフト支持部2Cの上面に当接すると、連結弾性体25が縮んで、直進枠4に対して取付枠5が相対的に移動する。
【0026】
図11は、レンズ駆動部10におけるレンズ駆動時(使用時)の状態を示している。この際には、直進枠4のカム当接部4Bが回転枠6におけるカム6Bの第2位置6B2に当接している。直進枠4は連結弾性体24の弾性力で上方に付勢されているが、カム6の第2位置6B2によって上方への移動が制限され、使用状態に保持されている。
【0027】
この使用状態では、図12及び図13に示すように、ベース部材2におけるガイドシャフト支持部2Cの上面から取付枠5の被ガイド部5Cの下面が離れた状態になり、一対の被ガイド部5Cの間に挟まれている直進枠4のガイド孔4Cは、一対の被ガイド部5Cの上側に連結弾性体25で付勢される。これにより、ガイドシャフト支持部2Cの上面から取付枠5の被ガイド部5Cの下面が離れた後は、取付枠5と直進枠4は一体になってガイドシャフト26に沿って移動する。
【0028】
この使用状態では、直進枠4は、回転枠6に対して上方に突出した状態になり、直進枠4に保持された取付枠5に収容されているレンズ駆動部10は、ベース部材2に取り付けられている回路基板20に実装されている撮像素子21の撮像面との距離を十分に確保することができる。
【0029】
このようなレンズ駆動装置1によると、ベース部材2に取り付けられたアクチュエータ3を動力源として、光軸方向に直進枠4を進退させ、その直進枠4によってレンズ駆動のベース位置を決める取付枠5を備えている。これにより、撮影を行わない未使用時には、取付枠5を光軸に対して後退させて、レンズ駆動装置1の収納時の総厚を薄型化することができる。
【0030】
そして、レンズ駆動を行う使用時には、光軸方向に直進枠4を進行させ、レンズ駆動部10とベース部材2に支持される撮像素子21との距離を開けて、レンズの背面焦点距離を大きくすることができる。これにより、レンズ駆動部10におけるレンズ設計のバリエーションを高めて、高精細な画像を撮影することができる。
【0031】
取付枠5内には、レンズを光軸方向と光軸に交差する方向の一方又は両方に駆動するレンズ駆動部10が配備されており、レンズ駆動部10は、取付枠5の所定の位置において、レンズ駆動が可能であるから、レンズ駆動部10単体の微細なレンズ移動に対して、取付枠5の移動を加えた動作で、レンズ位置を光軸方向に駆動することができる。
【0032】
また、取付枠5は、連結弾性体25を介して直進枠4に連結されており、直進枠4は連結弾性体24を介して回転枠6に連結されているので、部材間のガタ取りが連結弾性部材24,25によってなされており、更には、直進枠4や取付枠5がベース部材2から離間した状態では、直進枠4や取付枠5にベース部材2に向けた外部圧力が作用すると、この外部圧力に対して直進枠4や取付枠5が弾性的に退避することになり、外部圧力に対するレンズ駆動部10等の損傷を抑止することができる。
【0033】
そして、その際に、直進枠4に連結されている取付枠5は、ベース部材2に近接すると、ベース部材2の突起部であるガイドシャフト支持部2Cの上面に当たって止まるので、ベース部材2に向けた外部圧力が直進枠4や取付枠5に加わった場合であっても、撮像素子21への衝突を回避することができる。
【0034】
図14図16は、本発明の他の実施形態を示している。この実施形態におけるレンズ駆動装置1は、直進枠4は、第2位置6B2に対して更にベース部材2から離れた第3位置6B3に進行可能であり、直進枠4によってレンズ駆動のベース位置が決められる取付枠5には、少なくともレンズを光軸方向に沿って移動自在に駆動するレンズ駆動部10が配備されている。そして、アクチュエータ3による直進枠4の光軸方向の移動とレンズ駆動部10における光軸方向のレンズ駆動によって、レンズ位置の調整がなされる。
【0035】
この際のレンズ位置の調整は、図14に示した収納位置から、図15に示した第1の使用位置への進行が可能であり、更に、図16に示した第3の使用位置への進行が可能になる。ここでのレンズ調整は、フォーカス調整とズーム調整の一方又は両方が可能である。
【0036】
更に、第3の使用位置においては、アクチュエータ3によるレンズの位置調整範囲に対して、レンズ駆動部10によるレンズの位置調整範囲を狭くし、アクチュエータ3によって取付枠5をベース部材2から最も離間させた状態では、無限遠フォーカス位置がレンズ駆動部10におけるレンズ動作可能範囲外になるようにすることで、マクロ(近接・接写)撮影用のレンズ駆動を行うことができる。
【0037】
このようなレンズ位置調整を行う際には、取付枠5に収容されるレンズ駆動部10に、レンズ位置を検出する検出部を設け、アクチュエータ3による直進枠4の移動量に対してレンズ駆動部10におけるレンズ位置の検出結果を加えて、レンズ位置調整を行うことができる。或いは、取付枠5の光軸方向の位置を検出する検出部を設けて、レンズ駆動部10におけるレンズ位置の検出結果と取付枠5の光軸方向の位置の検出結果を合わせて、レンズ位置調整を行うようにしても良い。
【0038】
レンズ駆動部10におけるレンズ調整には、ボイスコイルモータ(VCM)などを用いることができる。また、レンズ駆動部10のレンズ調整には、光軸方向のフォーカス調整に加えて手振れ補正のレンズ駆動機構を設けても良い。
【0039】
図14図16に示した例では、カム6Bにおける第2位置6B2と第3位置6B3において、水平な面を設けており、この2箇所の位置で、使用時における取付枠5の光軸方向位置を停止させている。そして、この2箇所の位置で、レンズ駆動部10におけるレンズ位置調整が行えるようにしている。ここでは、使用時に2箇所で取付枠5の光軸方向位置を停止させているが、3箇所以上の停止位置を設けても良い。
【0040】
この際のレンズ位置調整は、例えば、アクチュエータ3による取付枠5の移動で、レンズ位置の粗調整を行い、取付枠5が第2位置6B2や第3位置6B3に停止した後に、レンズ駆動部10による微調整を行う。その際、第2位置6B2や第3位置6B3の水平位置に、カム当接部4Bが嵌まり込む凹部のような係止部を設けて、アクチュエータ3の力量で脱出可能な状態でカム当接部4Bを係止させると、カム当接部4Bが前述した係止部に係止されることで、アクチュエータ3を無通電にした状態で取付枠5を停止させることができ、レンズ駆動を省電力化できる。
【0041】
前述した説明では、取付枠5をカム6Bの水平位置で停止させる例を説明したが、カム6Bの任意の傾斜位置でも取付枠5を停止できるようにすることで、更に、レンズ位置調整の機能を高めることができる。この際、アクチュエータ3の無通電保持トルクにより直進枠4を任意の位置に保持できるようにすれば、無通電状態での取付枠5の保持が可能になり、省電力駆動が可能になるが、アクチュエータ3の通電保持トルクによって取付枠5の位置を保持するようにしてもよい。
【0042】
図17は、前述したレンズ駆動装置1を備えた撮像装置(カメラユニット)100(図17(a)参照)、この撮像装置100を備えた電子機器200(図17(b)参照)である携帯情報端末を示している。このような撮像装置100或いは電子機器200は、薄型化された機体に対して、高機能のレンズ駆動装置1を備えたカメラユニットを搭載することができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1:レンズ駆動装置,
2:ベース部材,2A:弾性体支持部,2A1:被係合部,
2B:ギヤ支持部,2C:ガイドシャフト支持部,2D:開口縁,
2E:接続回路基板支持部,2F:スラスト受け,2P:開口,
3:アクチュエータ,3A:取付フランジ,
4:直進枠,4A:被係合部,
4B:カム当接部,4C:ガイド孔,4E:被係合部,
5:取付枠,5A:開口,5B:支持面,5C:被ガイド部,
5D:スリット孔,5E:被係合部,
6:回転枠,6A:噛合部,
6B:カム,6B1:第1位置,6B2:第2位置,6B3:第3位置,
6C:係合突起,7:結合部材,8:支持部材,
10:レンズ駆動部,11:駆動ベース部,12:接続端子,
13:接続回路基板,20:回路基板,
21:撮像素子,22:IRカットフィルタ,
23:ギヤ,24,25:連結弾性体,
24a,25a:上係合部,24b,25b:下係合部,
26:ガイドシャフト,27:保護板,28:透光板,
100:撮像装置,200:電子機器(携帯情報端末)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17