IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ショベルの管理システム 図1
  • 特許-ショベルの管理システム 図2
  • 特許-ショベルの管理システム 図3
  • 特許-ショベルの管理システム 図4
  • 特許-ショベルの管理システム 図5
  • 特許-ショベルの管理システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ショベルの管理システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240326BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020054706
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021155930
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 正樹
(72)【発明者】
【氏名】階戸 文乃
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-138515(JP,A)
【文献】国際公開第2020/013252(WO,A1)
【文献】特開2015-190114(JP,A)
【文献】特開2012-233336(JP,A)
【文献】特開2014-085293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0158409(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0052299(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0244101(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象のショベルの作動状態を検出する状態検出装置と、
前記検出された前記作動状態に基づき前記ショベルの疲労度を算出し、前記算出された前記疲労度と関連付けられた保証内容情報を算出する制御装置と、
前記算出された前記保証内容情報を表示する表示装置と、
を備え、
前記疲労度と関連付けられた保証内容情報は、前記疲労度と関連付けられた保証期間、前記疲労度及び補修時期と関連付けられた補修費用とのうちの少なくとも1つを含む、
ショベルの管理システム。
【請求項2】
前記疲労度は、少なくとも余寿命及び累積損傷度のいずれか1つを含み、
前記表示装置には、前記余寿命が最も短い箇所又は前記累積損傷度が最も大きい箇所が表示される、
請求項1に記載のショベルの管理システム。
【請求項3】
前記表示装置には、前記算出された前記疲労度が表示される、
請求項1又は2に記載のショベルの管理システム。
【請求項4】
前記保証内容情報は、繁忙期情報に基づいて算出される、
請求項1に記載のショベルの管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショベルの作動状態を複数のセンサで検出し、解析モデルを用いて解析することにより、ショベルの部品に加わる応力を算出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-85293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のショベルの保証期間は、予め定められた期間で一義的に決められている。しかしながら、上記のようなショベルでは、ブレーカ作業のように構造部材への負荷が大きい作業や、仕上げ作業、積み込み作業、均し作業のように構造部材への負荷が小さい作業等、種々の作業が存在する。
【0005】
そこで、上記事情に鑑み、使用状況に応じた保証内容を設定できるショベルの管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルの管理システムは、評価対象のショベルの作動状態を検出する状態検出装置と、前記検出された前記作動状態に基づき前記ショベルの疲労度を算出し、前記算出された前記疲労度と関連付けられた保証内容情報を算出する制御装置と、前記算出された前記保証内容情報を表示する表示装置と、を備え、前記疲労度と関連付けられた保証内容情報は、前記疲労度と関連付けられた保証期間、前記疲労度及び補修時期と関連付けられた補修費用とのうちの少なくとも1つを含む。
【発明の効果】
【0007】
上述のショベルの管理システムによれば、使用状況に応じた保証内容を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のショベルの管理システムを示す図
図2】一実施形態のショベルの管理システムのブロック図
図3】疲労度算出処理の一例を示すフローチャート
図4】一実施形態の表示画面の一例を示す図
図5】一実施形態の表示画面の別の例を示す図
図6】一実施形態の表示画面の更に別の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
図1を参照し、一実施形態のショベルの管理システム(以下、単に「管理システム」ともいう。)について説明する。図1は、一実施形態のショベルの管理システムを示す図である。
【0011】
管理システム300は、管理対象のショベル100及び管理装置200を含む。ショベル100及び管理装置200は、通信ネットワークNWを介して相互に通信を行う。
【0012】
ショベル100の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0013】
ブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成する。ブーム4はブームシリンダ7により駆動され、アーム5はアームシリンダ8により駆動され、バケット6はバケットシリンダ9により駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3は、集合的に「姿勢センサ」とも称される。アタッチメントの姿勢を特定する際に利用されるためである。
【0014】
ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度を検出する。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出する。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときに最小角度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
【0015】
アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度を検出する。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出する。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときに最小角度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
【0016】
バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度を検出する。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出する。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときに最小角度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
【0017】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3は、それぞれ可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成される慣性計測装置等であってもよい。
【0018】
ブームシリンダ7には、ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8には、アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。バケットシリンダ9には、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、集合的に「シリンダ圧センサ」とも称される。
【0019】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
【0020】
振動センサS10は、旋回減速機20の振動を検出する。本実施形態では、振動センサS10は、加速度センサで構成されている。圧電素子を利用したアコースティックエミッション(AE)センサであってもよい。振動センサS10は、旋回減速機20を定期的に診断できるように、旋回減速機20にワンタッチで着脱できるように構成されている。但し、振動センサS10は、ショベル100の稼働中にも旋回減速機20の振動を検出できるように旋回減速機20に固定されていてもよい。
【0021】
上部旋回体3には、運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には、コントローラ30、表示装置40、入力装置42、音出力装置43、記憶装置47、測位装置P1、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、撮像装置S6及び通信装置T1が取り付けられている。
【0022】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM、ROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30における1又は複数の機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0023】
表示装置40は、情報を表示する。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0024】
入力装置42は、操作者が情報をコントローラ30に入力できるようにする。入力装置42は、キャビン10内に設置されたタッチパネル、ノブスイッチ、メンブレンスイッチ等を含む。
【0025】
音出力装置43は、各種の音情報を出力する装置である。音出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカであってもよく、ブザー等の警報器であってもよい。本実施形態では、音出力装置43は、コントローラ30からの音出力指令に応じて各種音情報を出力する。
【0026】
記憶装置47は、情報を記憶するための装置である。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に1又は複数の機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に1又は複数の機器を介して取得する或いは入力される情報を記憶してもよい。記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。目標施工面は、ショベル100の操作者が設定したものであってもよく、施工管理者等が設定したものであってもよい。
【0027】
測位装置P1は、上部旋回体3の位置及び向きを測定する。測位装置P1は、例えばGNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。そのため、測位装置P1は、上部旋回体3の向きを検出する向き検出装置として機能し得る。向き検出装置は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサであってもよい。
【0028】
機体傾斜センサS4は、水平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出する。本実施形態では、機体傾斜センサS4は上部旋回体3の前後軸回りの前後傾斜角及び左右軸回りの左右傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、ショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点で互いに直交する。機体傾斜センサS4は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成される慣性計測装置であってもよい。
【0029】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度及び旋回角度を検出する。本実施形態では、ジャイロセンサである。レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0030】
撮像装置S6は、ショベル100の周辺の画像を取得する。本実施形態では、撮像装置S6は、ショベル100の前方の空間を撮像する前カメラS6F、ショベル100の左方の空間を撮像する左カメラS6L、ショベル100の右方の空間を撮像する右カメラS6R、及びショベル100の後方の空間を撮像する後カメラS6Bを含む。
【0031】
撮像装置S6は、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。撮像装置S6は、ステレオカメラ、距離画像カメラ等であってもよい。
【0032】
前カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられている。但し、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。左カメラS6Lは上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、右カメラS6Rは上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、後カメラS6Bは上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
【0033】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある外部機器との通信を制御する。本実施形態では、通信装置T1は、衛星通信網、携帯電話通信網、インターネット網等を介した外部機器との通信を制御する。
【0034】
図2は、一実施形態のショベルの管理システム300のブロック図である。なお、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、電気制御ライン及び通信ラインをそれぞれ二重線、実線、破線、点線及び一点鎖線で示している。
【0035】
ショベル100の基本システムは、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作圧センサ29、コントローラ30等を含む。
【0036】
エンジン11は、ショベルの駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に連結されている。
【0037】
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給する。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0038】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、コントローラ30は、操作圧センサ29等の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
【0039】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26を含む1又は複数の油圧機器に作動油を供給する。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。
【0040】
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブ17は、複数の制御弁を含むバルブブロックとして構成されている。コントロールバルブ17は、1又は複数の制御弁を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を、1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給する。制御弁は、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量及び油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1L、右側走行用油圧モータ1R及び旋回用油圧モータ2Aを含む。旋回用油圧モータ2Aは、電動アクチュエータとしての旋回用電動発電機で置き換えられてもよい。
【0041】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも一方を含む。本実施形態では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。操作装置26は、パイロットラインを介し、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。操作装置26は、例えば図示しない左操作レバー、右操作レバー、左走行レバー及び右走行レバーを含む。
【0042】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出する。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0043】
操作圧センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出する。本実施形態では、操作圧センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作装置26の操作内容は、操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
【0044】
コントローラ30は、データ処理ユニット35、判定ユニット36及び表示ユニット38を機能要素として有する。本実施形態では、各機能要素は、ソフトウェアとして実現されているが、ハードウェア、ファームウェア等で実現されていてもよい。
【0045】
データ処理ユニット35は、情報取得装置が取得する情報を処理するように構成されている。本実施形態では、データ処理ユニット35は、情報取得装置が出力するデータを判定ユニット36及び管理装置200の制御装置210のそれぞれが利用できるように、情報取得装置が出力するデータを処理する。情報取得装置が取得する情報は、ブーム角度、アーム角度、バケット角度、前後傾斜角、左右傾斜角、旋回角速度、旋回角度、撮像装置S6が撮像した画像、ブームロッド圧、ブームボトム圧、アームロッド圧、アームボトム圧、バケットロッド圧、バケットボトム圧、振動センサS10が検出した旋回減速機の振動、アタッチメントやフレームに貼り付けられた歪センサの検出値、メインポンプ14の吐出圧、操作装置26のそれぞれに関する操作圧等のうちの少なくとも1つを含む。そして、情報取得装置は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、撮像装置S6、ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R、バケットボトム圧センサS9B、振動センサS10、歪センサ(図示せず)、吐出圧センサ28、操作圧センサ29等のうちの少なくとも1つを含む。判定ユニット36及び制御装置210のそれぞれが情報取得装置からのデータを直接利用できるのであれば、データ処理ユニット35は省略されてもよい。
【0046】
データ処理ユニット35は、情報取得装置が出力するデータを所定時間にわたって保持するように構成されている。本実施形態では、データ処理ユニット35は、情報取得装置が出力するデータを揮発性記憶媒体に少なくとも所定時間にわたって一時的に記録する。データ処理ユニット35は、情報取得装置が出力するデータを記憶装置47に記録してもよい。
【0047】
判定ユニット36は、情報取得装置が出力するデータの集まり(以下、「データセット」とする。)が後述する管理装置200の制御装置210による診断に適しているか否かを判定するように構成されている。例えば、判定ユニット36は、振動センサS10が出力するデータセットが制御装置210による診断に適しているか否かを判定する。制御装置210による診断に適していないデータセットが制御装置210に供給されてしまうのを防止するためである。
【0048】
表示ユニット38は、各種の情報を表示装置40に表示させるように構成されている。本実施形態では、コントローラ30からの指令に応じて所定の画面を表示装置40に表示させる。
【0049】
管理装置200は、制御装置210と、通信装置220と、表示装置230と、を備えている。また、制御装置210は、ショベル情報管理部211と、疲労度算出部212と、繁忙期情報管理部213と、保証内容決定部214と、を機能要素として有する。なお、制御装置210の各機能要素は、ソフトウェアとして実現されていてもよく、ハードウェア、ファームウェア等で実現されていてもよい。
【0050】
ショベル情報管理部211は、情報取得装置が出力するデータセットを記憶して管理するように構成されている。データセットは、ショベル100の通信装置T1から送信され、通信ネットワークNW、通信装置220を介して、ショベル情報管理部211に入力される。なお、通信装置T1から送信されるデータセットには判定ユニット36での判定結果が付されていてもよい。また、判定ユニット36により診断に適していると判定されたデータセットのみが通信装置T1から送信される構成であってもよい。
【0051】
疲労度算出部212は、ショベル情報管理部211に記憶されているデータセットに基づいてアタッチメントの疲労度を算出するように構成されている。本実施形態では、疲労度算出部212は、ショベル100から収集された稼働情報に基づいて、ショベル100の各部品の疲労度を算出する。疲労度は、ショベル100の各部品に蓄積されている累積損傷度、各部品の余寿命を含む。この評価には、現時点までに記憶装置203に蓄積されている稼働情報、累積損傷度等が利用される。部品に蓄積されている累積損傷度及び余寿命の評価方法については、後述する。累積損傷度及び余寿命の評価結果は、ショベル情報管理部211に記憶される。
【0052】
繁忙期情報管理部213は、時期と、価格の決定に用いる繁忙期係数と、を対応付けして記憶している。例えば、時期を、繁忙期・通常期・閑散期の3段階の繁忙期情報として分類する場合、通常期における係数を繁忙期における係数よりも低く設定し、閑散期の係数を通常期よりも低く設定してもよい。例えば、会計年度末のような補修の依頼が増える時期を繁忙期と設定してもよい。また、ショベル100の稼働率が高くなる時期を繁忙期としてもよい。
【0053】
保証内容決定部214は、ショベル情報管理部211に記憶されたショベル100の情報に基づいて、保証内容を決定する。保証内容は、例えば保証期間、補修費用、使用料金を含む。ユーザは、例えば管理装置200にアクセスすることにより、管理装置200の表示装置230に保証内容の情報(以下「保証内容情報」ともいう。)等を表示させることができる。
【0054】
保証期間は、例えばブーム4、アーム5、バケット6等のアタッチメントの保証期間である。保証期間は、メーカ保証等の無償保証期間である通常保証期間と、通常保証期間に追加して設定される追加保証期間と、を含む。保証期間は、疲労度算出部212により算出されるアタッチメントの疲労度に基づいて設定される。例えば、疲労度算出部212により算出されるアタッチメントの累積損傷度が基準累積損傷度よりも小さいほど、追加保証期間が長く設定される。基準累積損傷度は、標準的な作業内容でショベル100を作動させたときに想定される累積損傷度であり、例えばショベル100の納品からの経過日数に応じて設定される。また、疲労度算出部212により算出されるアタッチメントの余寿命が基準余寿命よりも長いほど、追加保証期間が長く設定される。基準余寿命は、標準的な作業内容でショベル100を作動させたときに想定される余寿命であり、例えばショベル100の納品からの経過日数に応じて設定される。標準的な作業内容は、例えばブレーカ作業のように構造部材への負荷が大きい作業(高負荷作業)と、仕上げ作業、積み込み作業、均し作業のように構造部材への負荷が小さい作業(低負荷作業)とを所定の比率(例えば、1:1)で行った場合の作業内容である。
【0055】
補修費用は、例えばブーム4、アーム5、バケット6等のアタッチメントの補修費用である。補修費用は、アタッチメントに亀裂が生じた後に疲労度算出部212により算出されたアタッチメントの余寿命に基づいて決定される補修時期に基づいて設定される。例えば、アタッチメントに亀裂が生じた直後に補修を行う場合には、補修費用は基準額に所定の第1割増額を追加した費用に設定される。また、アタッチメントに亀裂が生じた後に余寿命の範囲内で所定期間(例えば2日~1週間)アタッチメントの使用を継続した後に補修を行う場合には、補修費用は基準額に第1割増額よりも低額の第2割増額を追加した費用に設定される。また、アタッチメントに亀裂が生じた後に余寿命が長くなるように作業内容を変更し、且つ、該余寿命の範囲内で所定期間(例えば1週間~1ヶ月)アタッチメントの使用を継続した後に補修を行う場合には、補修費用は基準額に割増額を追加しない費用に設定される。さらに、補修費用は、基準額に繁忙期情報管理部213の繁忙期係数を積算したものとしてもよい。
【0056】
使用料金は、ショベル100の使用料金であり、例えばショベル100をレンタルした者がレンタル会社に支払う料金、レンタル会社からショベル100をレンタルした者に還付される還付金を含む。使用料金は、疲労度算出部212により算出される疲労度に基づいて設定される。例えば、疲労度算出部212により算出されるアタッチメントの累積損傷度が基準累積損傷度よりも小さいほど、還付金が高額に設定される。基準累積損傷度は、標準的な作業内容でショベル100を作動させたときに想定される累積損傷度であり、例えばショベル100をレンタルした者がショベル100の使用を開始してからの経過日数に応じて設定される。また、疲労度算出部212により算出されるアタッチメントの余寿命が基準余寿命よりも長いほど、還付金が高額に設定される。基準余寿命は、標準的な作業内容でショベル100を作動させたときに想定される余寿命であり、例えばショベル100をレンタルした者がショベル100の使用を開始してからの経過日数に応じて設定される。
【0057】
通信装置220は、通信ネットワークNWを通じて、他の装置、例えばショベル100と通信可能に構成されている。
【0058】
表示装置230は、各種の情報を表示させるように構成されている。
【0059】
図3を参照して、ショベル100の疲労度を算出する処理(以下「疲労度算出処理」という。)について説明する。疲労度算出処理は、管理装置200の制御装置210により実行される。図3は、疲労度算出処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、ステップST1において、管理装置200が、ショベル100によって作業中に繰り返される一連の動作の少なくとも1周期分の測定値を、アタッチメントの姿勢センサ、アタッチメントのシリンダ圧センサ及び旋回角速度センサS5から取得する。これらの測定値と共に、作業種別、作業年月日、機体識別番号等の情報が取得される。
【0061】
旋回角速度センサS5から、上部旋回体3の旋回角が取得される。アタッチメントの姿勢センサ及び旋回角速度センサS5の検出値によって、ショベル100の姿勢が特定される。ショベル100の一連の動作のうち、アタッチメントの姿勢センサ、アタッチメントのシリンダ圧センサ及び旋回角速度センサS5で測定値を取得する時間の範囲は、管理装置200の管理オペレータが設定してもよいし、ショベル100の運転者または保守要員が設定してもよい。ショベル100で繰り返される一連の動作は、例えば掘削開始、持ち上げ旋回、排土、戻り旋回を含む工程を1周期として、該工程が繰り返される。
【0062】
ステップST2において、一連の動作の1周期内で、解析すべき複数の時刻(以下、「解析時刻」という。)を抽出する。例えば、シリンダ内の油圧、旋回角度の時間波形のピーク、変曲点等の特徴的な時刻を、解析時刻として抽出する。抽出する解析時刻の個数を多くすると、解析精度が向上するが、解析に要する計算時間は長くなる。管理装置200が、ショベル100の動作中におけるブームシリンダ7内の油圧、アーム5の先端の高さ及び旋回角度の時間波形に基づいて解析時刻を自動的に抽出するようにしてもよいし、オペレータが該時間波形を観察して解析時刻を決定し、解析時刻を入力するようにしてもよい。
【0063】
ステップST3において、解析時刻の各々において、解析モデルを用い、ブーム4、アーム5等の部品の各々に加わっている応力の分布を算出する。応力の分布は、解析時刻ごとに決定されているショベル100の特定の姿勢に基づいて計算される。すなわち、繰り返される一連の動作の1周期内に現れる種々のショベル100の姿勢ごとに、ショベル100の部品に加わっている荷重に基づいて、応力の分布を算出する。応力の分布の算出には、例えば有限要素法等の数値解析手法を適用できる。このとき、ショベル100の姿勢及びショベル100の部品に加わる荷重が解析条件として用いられる。ここで、荷重はベクトルで表される。荷重の大きさ及び向きは、油圧シリンダ内の油圧、油圧シリンダの軸方向(アタッチメントの姿勢)及び旋回角加速度により求まる。旋回角加速度は、旋回角を2回微分することにより算出される。応力は、解析モデルを構成する要素及び節点ごとに算出される。応力分布の解析結果が、解析時刻ごとに、かつ部品ごとに算出される。
【0064】
ステップST4において、各部品の評価点ごとに、1周期の動作期間中に蓄積される損傷度(以下「単周期損傷度」という。)を算出する。これにより、部品内における単周期損傷度の分布が得られる。単周期損傷度は、応力の時間変化から抽出される応力の極値に基づいて算出される。単周期損傷度は、公知の方法により算出できる。
【0065】
ステップST5において、部品の累積損傷度及び余寿命の分布を算出する。以下、累積損傷度及び余寿命の算出方法について説明する。管理装置200は、管理対象のショベル100の機体ごと及び部品ごとに、機体の稼働開始時点から現時点までの単周期損傷度の総和(累積損傷度)を算出する。今回のデータ収集の対象となる動作を開始するまでに蓄積された累積損傷度は、ショベル情報管理部211に記憶されている。ショベル100の部品の、ある箇所の累積損傷度が1になると、その箇所で破断が生じる可能性が高くなる。1から累積損傷度を減算することにより、余寿命が求まる。
【0066】
ステップST6において、ステップST5で求められた累積損傷度及び余寿命が、機体識別番号等の情報と関連付けられて、ショベル情報管理部211に記憶される。
【0067】
図4を参照し、ショベルの管理システム300によって生成される表示画面の表示例について説明する。図4は、一実施形態の表示画面の一例を示す図である。なお、以下の説明においては、表示画面400は、管理装置200の表示装置230に表示されるものとし、疲労度算出処理により算出された余寿命と該余寿命と関連付けられた保証期間とを含む情報を表示するものとする。
【0068】
表示画面400は、保証期間表示部410、最弱箇所表示部420、余寿命表示部430を有する。図4の例では、保証期間表示部410、最弱箇所表示部420及び余寿命表示部430は上方からこの順に配置されている。但し、保証期間表示部410、最弱箇所表示部420及び余寿命表示部430の配置は、図4に示される配置に限定されるものではない。
【0069】
保証期間表示部410は、アタッチメントの保証期間に関する情報を表示する。図4の例では、保証期間表示部410には、アタッチメントの通常保証期間を表すバーゲージ411及び追加保証期間を表すバーゲージ412が表示されている。通常保証期間は、例えばメーカ保証等の無償保証期間であり、予め設定された保証期間に基づいて表示される。追加保証期間は、疲労度算出処理で算出されるアタッチメントの余寿命に基づいて表示される。
【0070】
例えば、疲労度算出処理で算出されるアタッチメントの余寿命が基準余寿命よりも長い場合、追加保証期間を表すバーゲージ412は算出された余寿命と基準余寿命との差に応じた長さで、通常保証期間を表すバーゲージ411の右側に表示される。一方、疲労度算出処理で算出されるアタッチメントの余寿命が基準余寿命よりも短い場合、追加保証期間を表すバーゲージ412は表示されない。基準余寿命は、標準的な作業内容でショベル100を作動させたときに想定される余寿命であり、例えばショベル100の納品からの経過日数に応じて設定される。標準的な作業内容は、例えばブレーカ作業のように構造部材への負荷が大きい作業(高負荷作業)と、仕上げ作業、積み込み作業、均し作業のように構造部材への負荷が小さい作業(低負荷作業)とを所定の比率(例えば、1:1)で行った場合の作業内容である。
【0071】
また、図4の例では、通常保証期間と追加保証期間との区別を容易にするために、通常保証期間を表すバーゲージ411が実線で表示され、追加保証期間を表すバーゲージ413が破線で表示されている。但し、通常保証期間と追加保証期間の表示方法はこれに限定されず、例えば色分け表示されていてもよい。
【0072】
最弱箇所表示部420は、アタッチメントの最弱箇所を特定する情報を表示する。図4の例では、最弱箇所表示部420には、アーム5の画像421、アーム5における最弱箇所を特定する画像422、ブーム4の画像423及びブーム4における最弱箇所を特定する画像424が表示されている。アーム5における最弱箇所及びブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される疲労度(例えば、累積損傷度、余寿命)の分布に基づいて表示される。例えば、アーム5における最弱箇所及びブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される累積損傷度の分布において累積損傷度が最も大きい箇所である。また、例えばアーム5における最弱箇所及びブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される余寿命の分布において余寿命が最も短い箇所である。なお、図4の例では、アーム5の画像421及びブーム4の画像422は左右に並んで表示されているが、これに限定されず、例えば上下に並んで表示されていてもよい。また、アーム5の画像421とブーム4の画像422のいずれか一方のみが表示されていてもよい。
【0073】
余寿命表示部430は、アタッチメントの余寿命を表示する。図4の例では、余寿命表示部430には、現在のアーム5の余寿命を表すバーゲージ431及び現在のブーム4の余寿命を表すバーゲージ432が表示されている。アーム5の余寿命及びブーム4の余寿命は、疲労度算出処理で算出される余寿命の分布に基づいて表示される。例えば、現在のアーム5の余寿命及び現在のブーム4の余寿命は、それぞれ疲労度算出処理で算出される余寿命の分布における最も短い余寿命であってもよく、平均値や中央値であってもよい。また、余寿命表示部430には、現在のアーム5の余寿命を表すバーゲージ431及び現在のブーム4の余寿命を表すバーゲージ432に重畳して、基準余寿命を表す画像が表示されていてもよい。基準余寿命を表す画像が表示されることにより、管理者は基準余寿命に対する現在の余寿命を容易に把握できる。また、余寿命表示部430には、アタッチメントの余寿命に代えて、又は余寿命と共に、アタッチメントの累積損傷度が表示されるようにしてもよい。
【0074】
以上に説明したように、一実施形態の管理システム300によれば、図4に示されるように、アタッチメントの余寿命(若しくは、累積損傷度)と保証期間とが関連付けして表示される。これにより、管理者は、表示装置230の表示画面400に表示された情報に基づいて、ショベル100の使用状況に応じた保証期間を設定できる。例えば、管理者は、表示装置230の表示画面400に表示されたアタッチメントの余寿命が基準余寿命よりも長い場合にアタッチメントの通常保証期間に追加保証期間を付加した保証期間を設定できる。
【0075】
図4の事例では、例えば、保証期間を5000時間とした場合、保証期間内における80%(4000時間)を利用した事例である。この場合でも、負荷が小さい作業を行っていると、基準として設定された保証期間内に保証された基準余寿命(100%)のうち、ブーム4、アーム5の余寿命は60%程度残っている。つまり、40%程度しか利用されていない。このため、保証期間内の80%(4000時間)を利用した時点で、1500時間(130%)の追加保証期間を設定できる。
【0076】
なお、図4の例では、アタッチメントの余寿命と保証期間とを含む情報が管理装置200の表示装置230に表示される場合を示したが、本開示はこれに限定されず、例えばショベル100の表示装置40に表示されてもよい。また、管理装置200と通信ネットワークNWを通じて通信可能な他の装置に表示されてもよい。
【0077】
また、図4の例では、表示装置230の表示画面400に、アタッチメントの余寿命と保証期間とが関連付けされて表示される場合を示したが、本開示はこれに限定されず、例えばアタッチメントの累積損傷度と保証期間とが関連付けされて表示されてもよい。この場合、管理者は、表示装置230の表示画面400に表示されたアタッチメントの累積損傷度が基準累積損傷度よりも小さい場合にアタッチメントの通常保証期間に追加保証期間を付加した保証期間を設定できる。
【0078】
また、表示画面400には日時、機番、使用者、これまでの使用時間(図示せず)が表示されてもよい。
【0079】
図5を参照し、ショベルの管理システム300によって生成される表示画面の別の表示例について説明する。図5は、一実施形態の表示画面の別の例を示す図である。なお、以下の説明においては、表示画面500は、管理装置200の表示装置230に表示されるものとし、疲労度算出処理により算出された余寿命と該余寿命と関連付けられた補修費用とを含む情報を表示するものとする。
【0080】
表示画面500は、余寿命表示部510、補修費用表示部520、最弱箇所表示部530を有する。図5の例では、余寿命表示部510、補修費用表示部520及び最弱箇所表示部530は上方からこの順に配置されている。但し、余寿命表示部510、補修費用表示部520及び最弱箇所表示部530の配置は、図5に示される配置に限定されるものではない。
【0081】
余寿命表示部510は、アタッチメントの余寿命を表示する。図5の例では、余寿命表示部510には、バーゲージ511、バーゲージ512、図形513~515が表示されている。バーゲージ511は、現在の作業内容(現作業内容)でショベル100の使用を継続した場合のアタッチメントの余寿命を表す。バーゲージ512は、現在の作業内容から余寿命を延ばすために推奨される作業内容(推奨作業内容)に変更してショベル100を使用する場合のアタッチメントの余寿命を表す。推奨作業内容は、例えば、地山の掘削作業のショベルに対しては搬出作業等への変更である。岩盤作業を行っているショベルに対しては、平地掘削等への変更である。図形513~515は、それぞれ異なる補修時期を表す。図形513は、アタッチメントに亀裂が生じた直後に補修を行う時期(若しくは、亀裂が生じた時点)を表す。図形514は、アタッチメントに亀裂が生じた後に現在の作業内容でショベル100の使用を継続した場合の余寿命の範囲内の期間(例えば2日~1週間)を表す。図形515は、アタッチメントに亀裂が生じた後に現在の作業内容から余寿命を延ばすために推奨される作業内容に変更した場合の余寿命の範囲内の期間(例えば1週間~1ヶ月)を表す。現在の作業でショベル100の使用を継続した場合のアタッチメントの余寿命及び推奨される作業でショベル100を使用する場合のアタッチメントの余寿命は、疲労度算出処理で算出される余寿命に基づいて表示される。例えば、現在の作業でショベル100の使用を継続した場合のアタッチメントの余寿命及び推奨される作業でショベル100を使用する場合のアタッチメントの余寿命は、それぞれ疲労度算出処理で算出される余寿命の分布における最も短い余寿命であってもよく、平均値や中央値であってもよい。
【0082】
補修費用表示部520は、アタッチメントの補修費用に関する情報を表示する。図5の例では、補修費用表示部520には、バーゲージ521~523が表示されている。バーゲージ521は、余寿命表示部510に表示された図形513で示される時期にアタッチメントを補修する場合の補修費用を表す。バーゲージ521で表される補修費用は、基準額521aに所定の第1割増額521bを追加した費用である。バーゲージ522は、余寿命表示部510に表示された図形514で示される期間にアタッチメントを補修する場合の補修費用を表す。バーゲージ522で表される補修費用は、基準額522aに第1割増額521bよりも低額の第2割増額522bを追加した費用である。バーゲージ523は、余寿命表示部510に表示された図形515で示される期間にアタッチメントを補修する場合の補修費用を表す。バーゲージ523で表される補修費用は、基準額523aに割増額を追加しない費用である。また、基準額521a,522a,523a、第1割増額521b及び第2割増額522bは、繁忙期情報管理部213の繁忙期係数が積算されたものであってもよい。
【0083】
最弱箇所表示部530は、アタッチメントの最弱箇所を特定する情報を表示する。図5の例では、最弱箇所表示部530には、ブーム4における現時点での最弱箇所を表す画像531及び推奨される作業内容に変更した場合の予測されるブーム4における最弱箇所を表す画像532が表示されている。ブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される疲労度(例えば、累積損傷度、余寿命)の分布に基づいて表示される。例えば、ブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される累積損傷度の分布において累積損傷度が最も大きい箇所である。また、例えばブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される余寿命の分布において余寿命が最も短い箇所である。なお、図5の例では、ブーム4における現時点での最弱箇所を表す画像531及び推奨される作業内容に変更した場合の予測されるブーム4における最弱箇所を表す画像532は左右に並んで表示されているが、これに限定されず、例えば上下に並んで表示されていてもよい。
【0084】
以上に説明したように、一実施形態の管理システム300によれば、図5に示されるように、アタッチメントの余寿命と補修費用とが関連付けして表示される。これにより、管理者は、表示装置230の表示画面500に表示された情報に基づいて、ショベル100の使用状況に応じた補修費用を設定できる。例えば、管理者は、表示装置230の表示画面500に表示されたアタッチメントの余寿命及び補修時期に基づいて、基準額に割増額を追加した補修費用を設定できる。また、作業内容と補修費用とが関連付けされてもよい。また、作業内容と余寿命とが関連付けされてもよい。また、作業内容と保証期間とが関連付けされてもよい。
【0085】
なお、図5の例では、アタッチメントの余寿命と補修費用とを含む情報が管理装置200の表示装置230に表示される場合を示したが、本開示はこれに限定されず、例えばショベル100の表示装置40に表示されてもよい。また、管理装置200と通信ネットワークNWを通じて通信可能な他の装置に表示されてもよい。
【0086】
また、表示画面500には日時、機番、使用者、これまでの使用時間(図示せず)が表示されてもよい。
【0087】
図6を参照し、ショベルの管理システム300によって生成される表示画面の更に別の表示例について説明する。図6は、一実施形態の表示画面の更に別の例を示す図である。なお、以下の説明においては、表示画面600は、管理装置200の表示装置230に表示されるものとし、疲労度算出処理により算出された累積損傷度と該累積損傷度と関連付けられた使用料金とを含む情報を表示するものとする。
【0088】
表示画面600は、使用料金表示部610、最弱箇所表示部620、累積損傷度表示部630を有する。図6の例では、使用料金表示部610、最弱箇所表示部620及び累積損傷度表示部630は上方からこの順に配置されている。但し、使用料金表示部610、最弱箇所表示部620及び累積損傷度表示部630の配置は、図6に示される配置に限定されるものではない。
【0089】
使用料金表示部610は、ショベル100の使用料金に関する情報を表示する。図6の例では、使用料金表示部610には、ショベル100をレンタルした者がレンタル会社に支払う料金を表すバーゲージ611及びレンタル会社からショベル100をレンタルした者に還付される還付金を表すバーゲージ612が表示されている。還付金を表すバーゲージ612は、疲労度算出処理で算出される疲労度(例えば、累積損傷度、余寿命)に基づいて表示される。例えば、還付金を表すバーゲージ612は、疲労度算出処理により算出されるアタッチメントの累積損傷度が基準累積損傷度よりも小さいほど、長いバーゲージで表示される。
【0090】
最弱箇所表示部620は、アタッチメントの最弱箇所を特定する情報を表示する。図6の例では、最弱箇所表示部620には、アーム5の画像621、アーム5における最弱箇所を特定する画像622、ブーム4の画像623及びブーム4における最弱箇所を特定する画像624が表示されている。アーム5における最弱箇所及びブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される疲労度(例えば、累積損傷度、余寿命)の分布に基づいて表示される。例えば、アーム5における最弱箇所及びブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される累積損傷度の分布において累積損傷度が最も大きい箇所である。また、例えばアーム5における最弱箇所及びブーム4における最弱箇所は、疲労度算出処理で算出される余寿命の分布において余寿命が最も短い箇所である。なお、図6の例では、アーム5の画像621及びブーム4の画像622は左右に並んで表示されているが、これに限定されず、例えば上下に並んで表示されていてもよい。また、アーム5の画像621とブーム4の画像622のいずれか一方のみが表示されていてもよい。
【0091】
累積損傷度表示部630は、アタッチメントの累積損傷度を表示する。図6の例では、累積損傷度表示部630には、現在のアーム5の累積損傷度を表すバーゲージ631及び現在のブーム4の累積損傷度を表すバーゲージ632が表示されている。アーム5の余寿命及びブーム4の余寿命は、疲労度算出処理で算出される累積損傷度の分布に基づいて表示される。例えば、現在のアーム5の累積損傷度及び現在のブーム4の累積損傷度は、それぞれ疲労度算出処理で算出される累積損傷度の分布における最も大きい累積損傷度であってもよく、平均値や中央値であってもよい。また、累積損傷度表示部630には、現在のアーム5の累積損傷度を表すバーゲージ631及び現在のブーム4の累積損傷度を表すバーゲージ632に重畳して、基準累積損傷度を表す画像が表示されていてもよい。基準累積損傷度を表す画像が表示されることにより、管理者は基準累積損傷度に対する現在の累積損傷度を容易に把握できる。
【0092】
以上に説明したように、一実施形態の管理システム300によれば、図6に示されるように、アタッチメントの累積損傷度と使用料金とが関連付けして表示される。これにより、管理者は、表示装置230の表示画面400に表示された情報に基づいて、ショベル100の使用状況に応じた使用料金を設定できる。例えば、管理者は、表示装置230の表示画面400に表示された所定期間(例えば、レンタル期間)におけるアタッチメントの累積損傷度が基準累積損傷度よりも大きい場合に、所定期間におけるアタッチメントの累積損傷度と基準累積損傷度との差に応じて、ショベル100の使用料金の一部を還付する還付金を設定できる。
【0093】
図6の事例では、予測される使用状況(作業内容、累積損傷度等)と実績とを対比させる事例である。図6の事例では、例えば、使用期間終了時点において、基準累積損傷度(例えば100%)に達しない場合(例えば60%)、使用料金を20%還付する事例である。つまり、使用開始時に想定される累積損傷度に達しない場合、未達の度合いに応じて使用料金を還付する事例である。余寿命(若しくは、累積損傷度)と補修費用と関連付けができることで、余寿命(若しくは、累積損傷度)と使用料金とも関連付けができる。作業内容と使用料金とが関連付けされてもよい。作業内容と保証期間とが関連付けされてもよい。
【0094】
なお、図6の例では、アタッチメントの累積損傷度と使用料金とを含む情報が管理装置200の表示装置230に表示される場合を示したが、本開示はこれに限定されず、例えばショベル100の表示装置40に表示されてもよい。また、管理装置200と通信ネットワークNWを通じて通信可能な他の装置に表示されてもよい。
【0095】
また、図6の例では、表示装置230の表示画面400に、アタッチメントの累積損傷度と使用料金とが関連付けされて表示される場合を示したが、本開示はこれに限定されず、例えばアタッチメントの余寿命と使用料金とが関連付けされて表示されてもよい。この場合、管理者は、表示装置230の表示画面400に表示されたアタッチメントの余寿命が基準余寿命よりも長い場合に、所定期間におけるアタッチメントの余寿命と基準余寿命との差に応じて、ショベル100の使用料金の一部を還付する還付金を設定できる。
【0096】
また、表示画面600には日時、機番、使用者、これまでの使用時間(図示せず)が表示されてもよい。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施形態に種々の変更及び置換を加えることができる。
【0098】
例えば、管理システム300の表示装置として、携帯端末等の支援装置を利用してもよい。支援装置は、典型的には携帯端末装置であり、例えば、施工現場にいる作業者等が携帯するノートPC、タブレットPC、又はスマートフォン等である。支援装置は、ショベル100の操作者が携帯するコンピュータであってもよい。支援装置は、固定端末装置であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
100 ショベル
200 管理装置
210 制御装置
211 ショベル情報管理部
212 疲労度算出部
213 繁忙期情報管理部
214 保証内容決定部
230 表示装置
300 管理システム
400、500、600 表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6