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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】外用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4402 20060101AFI20240326BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240326BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 31/245 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K31/4402
A61K31/137
A61K47/10
A61K45/00
A61K31/245
A61K31/167
A61K31/47
A61K31/445
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/12
A61P31/10
A61P17/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020062253
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161037
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 友紀
(72)【発明者】
【氏名】山口 智史
(72)【発明者】
【氏名】林 綾子
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 一宏
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127445(JP,A)
【文献】特許第6591100(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
45/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、(B)局所麻酔剤、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上、(D)イソプロピルメチルフェノール、を含有する外用医薬組成物
但し、以下の(1)及び(2)の組成物を除く
(1)(A)抗真菌剤ならびに(B)組成物全量に対して、1~20質量%のサリチル酸および/またはその塩を含有する外用組成物;
(2)(A)抗真菌剤;
(B)ビニル系高分子、アクリル系高分子、デンプン系高分子、デキストラン、デキストリン脂肪酸エステル、カゼイン、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリイソステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシド、ベントナイト、ヘクトライト、アルギン酸及び又はその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル増粘多糖類及び多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種又は2種;及び
(C)グリチルレチン酸、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、又は塩酸ジフェンヒドラミン
を含有する、爪及び/又は爪周り用医薬組成物)。
【請求項2】
さらに、(E)水を含有する、請求項1に記載の外用医薬組成物。
【請求項3】
局所麻酔剤が、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、ジブカイン、ブピバカイン、メピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、及びそれらの薬学的に許容される塩、及びアミノ安息香酸エチルからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の外用医薬組成物。
【請求項4】
液剤、ジェル剤、クリーム剤、又はエアゾール剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の外用医薬組成物。
【請求項5】
(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、及び、(B)局所麻酔剤、を含有する外用医薬組成物用の安定性向上剤であって、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上及び(D)イソプロピルメチルフェノールを含有することを特徴とする、外用医薬組成物用の安定性向上剤;
但し、以下の(1)及び(2)の組成物が調製される場合を除く
(1)(A)抗真菌剤ならびに(B)組成物全量に対して、1~20質量%のサリチル酸および/またはその塩を含有する外用組成物;
(2)(A)抗真菌剤;
(B)ビニル系高分子、アクリル系高分子、デンプン系高分子、デキストラン、デキストリン脂肪酸エステル、カゼイン、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリイソステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシド、ベントナイト、ヘクトライト、アルギン酸及び又はその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル増粘多糖類及び多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種又は2種;及び
(C)グリチルレチン酸、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、又は塩酸ジフェンヒドラミン
を含有する、爪及び/又は爪周り用医薬組成物)
【請求項6】
(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、及び、(B)局所麻酔剤、を含有する外用医薬組成物の安定性向上方法であって、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上及び(D)イソプロピルメチルフェノールを共存させることを特徴とする、外用医薬組成物の安定性を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用医薬組成物に関する。より詳細には、抗真菌剤を含有する、外用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬組成物では、製造工程、市場流通工程や、開封後の長期安定性を担保することが重要である。加えて、加熱した状態で保存する場合や、光に晒された場合に生じる含有される成分の分解や、製剤の着色等が、品質へ及ぼす影響は無視できない。従って、熱や光による製剤の変質を防いで、製剤を長期間安定に保存する方法が望まれている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-10059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
真菌の生育を阻むための抗真菌剤は、真菌感染に起因する様々な疾患や症状を治療、予防、改善するために広く用いられているが、流通時や保存時に、熱や光にさらされた場合に、製剤が変質して着色することがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、安定性の高い、抗真菌剤を含有する外用医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、(B)局所麻酔剤、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上、及び(D)イソプロピルメチルフェノールを含有させることで、安定な外用医薬組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記に掲げる外用医薬組成物を提供する。
項1.
(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上;
(B)局所麻酔剤;
(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上;及び
(D)イソプロピルメチルフェノールを含有する外用医薬組成物。
項2.
さらに、(E)水を含有する、項1に記載の外用医薬組成物。
項3.
局所麻酔剤が、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、ジブカイン、ブピバカイン、メピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、及びそれらの薬学的に許容される塩、及びアミノ安息香酸エチルからなる群より選択される1種又は2種以上である、項1又は2に記載の外用医薬組成物。
項4.
液剤、ジェル剤、クリーム剤、又はエアゾール剤である、項1~3のいずれか1項に記載の外用医薬組成物。
【0008】
本発明はさらに、以下の安定性向上剤及び安定性の向上方法にも関する。
項5.
(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、及び、(B)局所麻酔剤、を含有する外用医薬組成物用の安定性向上剤であって、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上及び(D)イソプロピルメチルフェノールを含有することを特徴とする、外用医薬組成物用の安定性向上剤。
項6.
(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、及び、(B)局所麻酔剤、を含有する外用医薬組成物の安定性向上方法であって、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上及び(D)イソプロピルメチルフェノールを共存させることを特徴とする、外用医薬組成物の安定性を向上させる方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱や光に晒された場合に生じ得る抗真菌剤を含む外用医薬組成物の着色を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[外用医薬組成物]
本発明は、(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、(B)局所麻酔剤、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上;及び(D)イソプロピルメチルフェノールを含有する外用医薬組成物に関する。本発明の外用医薬組成物は、熱や光に対する安定性が良好である。
【0011】
((A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上)
テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上は、真菌の生育を阻害又は抑制するか、真菌を殺菌する機能を有し、真菌感染に起因する疾患や症状を治療、予防、改善するために用いられている。テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上は、医薬品又は医薬部外品分野において外用剤の成分として用いられる等級、グレードであれば、特に限定されない。
【0012】
(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上の総含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは、0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは0.8質量%以上である。(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上の総含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以下であり、最も好ましくは1.3質量%以下である。外用医薬組成物全量に対して、(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上の総含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、好ましくは0.01質量%~10質量%であり、より好ましくは0.1質量%~8質量%、さらに好ましくは0.3質量%~5質量%、さらにより好ましくは0.5質量%~2質量%、特に好ましくは0.8質量%~1.5質量%であり、最も好ましくは0.8質量%~1.3質量%である。中でも、1質量%が最も好ましい。
【0013】
((B)局所麻酔剤)
本発明の(B)局所麻酔剤は、医薬品又は医薬部外品分野において外用剤の成分として用いられる等級、グレードであれば、特に限定されない。局所麻酔剤としては、例えば、リドカイン、ジブカイン、メピバカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、及びこれらの薬学的に許容される塩のようなアミン及びアミド構造を有するアミド型局所麻酔剤、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、及びその薬学的に許容される塩のようなアミン及びエステル構造を有するエステル型局所麻酔剤、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン等が挙げられる。これらの薬剤のうち、限定はされないが、アミン及びアミド構造を有するアミド型局所麻酔剤が好ましい。本発明の効果をより顕著に奏する観点から、好ましくは、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、ジブカイン、ブピバカイン、メピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、及びそれらの薬学的に許容される塩、並びにアミノ安息香酸エチルからなる群より選択される1種以上であり、さらに好ましくはリドカイン、ジブカイン、ブピバカイン、メピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上であり、特に好ましくは、リドカイン又はその薬学的に許容される塩である。
【0014】
これらの(B)成分は、すべて、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0015】
(B)成分の総含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、通常0.001重量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、さらに特に好ましくは0.5質量%以上である。(B)成分の総含有量は、製剤の使用感や扱いやすさの観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以下である。外用医薬組成物全量に対して、(B)成分の総含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、通常0.001~10質量%、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%、さらに好ましくは0.1~3質量%、特に好ましくは0.2~2.5質量%、さらに特に好ましくは0.5~2.5質量%である。
【0016】
本発明の外用医薬組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する(B)成分の比率は、例えば、(A)成分の総含有量1質量部に対する、(B)成分の総含有量が、0.001~1000質量部が好ましく、0.01~100質量部がより好ましく、0.05~100質量部がより好ましく、0.1~10質量部がさらに好ましく、0.15~5質量部とすることが特に好ましく、0.2~3質量部とすることが特に好ましく、0.25~2.5質量部とすることが最も好ましい。
【0017】
さらに、例えば、(B)成分がリドカイン又はその薬学的に許容される塩である場合、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.1~8質量%であり、さらに好ましくは0.25~5質量%であり、さらにより好ましくは0.5~4質量%であり、特に好ましくは1~3質量%であり、最も好ましくは1.5~2.5質量%である。
本発明の外用医薬組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対するリドカイン又はその薬学的に許容される塩の比率は、例えば、(A)成分の総含有量1質量部に対する、リドカイン又はその薬学的に許容される塩の総含有量が、0.1~100質量部が好ましく、0.25~10質量部がより好ましく、0.5~5質量部がさらに好ましく、1~2.5質量部とすることが特に好ましい。
【0018】
((C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上)
本発明の(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上は、抗ヒスタミン剤として用いられている。クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上は、医薬品又は医薬部外品分野において外用剤の成分として用いられる等級、グレードであれば、特に限定されない。クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩としては、クロルフェニラミン及び/又はマレイン酸クロルフェニラミンが特に好ましい。
【0019】
(C)の総含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上である。(C)の総含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは、2.5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらにより好ましくは0.7質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。外用医薬組成物全量に対して、(C)の総含有量は、好ましくは0.01~2.5質量%、より好ましくは0.05~1.5質量%、さらに好ましくは0.1~1質量%、特に好ましくは0.3~0.7質量%であり、さらに特に好ましくは0.3~0.5質量%である。
【0020】
本発明の外用医薬組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する(C)成分の比率は、例えば、(A)成分の総含有量1質量部に対して、(C)成分の総含有量が、好ましくは、0.03~50質量部、より好ましくは0.05~10質量部、さらに好ましくは0.1~2質量部、特に好ましくは0.2~0.7質量部、最も好ましくは0.3~0.5質量部である。
【0021】
((D)イソプロピルメチルフェノール)
本発明の(D)イソプロピルメチルフェノールは、医薬品又は医薬部外品分野において外用剤の成分として用いられる等級、グレードであれば、特に限定されない。
【0022】
(D)の含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは0.8質量%以上である。(D)の含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以下である。外用医薬組成物全量に対して、(D)の含有量は、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%、さらに好ましくは0.3~3質量%、さらにより好ましくは0.5~3質量%、特に好ましくは0.8~1.5質量%である。
【0023】
本発明の外用医薬組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する(D)成分の比率は、例えば、(A)成分の総含有量1質量部に対して、(D)成分の含有量が、好ましくは、0.001~1000質量部、より好ましくは0.01~100質量部、さらに好ましくは0.1~10質量部、さらにより好ましくは0.5~5質量部であり、特に好ましくは0.3~3質量部であり、最も好ましくは0.3~1.5質量部である。
【0024】
((E)水)
本発明の外用医薬組成物には、(A)~(D)成分の他に、任意に(E)水を含んでいても良い。(E)の含有量は、本発明の外用医薬組成物の安定性をより高める観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは質量10%以上である。(E)の含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。外用医薬組成物全量に対して、(E)の含有量は、好ましくは0.1~70質量%であり、より好ましくは1~50質量%、さらに好ましくは5~30質量%、特に好ましくは10~20質量%である。一方で水を含有しない態様でも本願の効果が奏されることから好ましい。
【0025】
本発明の外用医薬組成物には、(A)~(D)成分の他に、任意にアルコールを含んでいても良い。アルコールとしては、例えば、低級アルコール、高級アルコール等が挙げられる。低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノール等の一価の低級アルコールが挙げられ、高級アルコールとしては、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0026】
ここで、特に、本発明の外用医薬組成物において、一価の低級アルコールを使用することが好ましく、エタノールを使用することがさらに好ましい。
一価の低級アルコールの含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは質量50%以上、特に好ましくは70質量%以上である。一価の低級アルコールは、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。外用医薬組成物全量に対して、一価の低級アルコールの含有量は、好ましくは5~97質量%、より好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは50~90質量%、特に好ましくは70~90質量%である。
【0027】
本発明の外用医薬組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する一価の低級アルコールの比率は、例えば、(A)成分の総含有量1質量部に対して、一価の低級アルコールの含有量が、好ましくは、0.5~10000質量部、より好ましくは1~5000質量部、さらに好ましくは10~1000質量部、さらにより好ましくは10~100質量部、特に好ましくは50~95質量部であり、もっとも好ましくは、70~90質量部である。
【0028】
本発明の外用医薬組成物には、(A)~(D)成分の他に、任意に多価アルコールを含んでいても良い。多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール等が挙げられ、好ましくは1,3-ブチレングリコールが挙げられる。
【0029】
多価アルコールの含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上である。多価アルコールは、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。外用医薬組成物全量に対して、多価アルコールの含有量は、好ましくは0.01~30質量%、より好ましくは0.1~20質量%、さらに好ましくは0.5~10質量%、特に好ましくは1~5質量%である。
【0030】
本発明の外用医薬組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する多価アルコールの比率は、例えば、(A)成分の総含有量1質量部に対して、多価アルコールの含有量が、好ましくは、0.01~30質量部、より好ましくは0.1~20質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部、特に好ましくは1~5質量部である。
【0031】
本発明の外用医薬組成物には、(A)~(D)成分の他に、任意に非イオン界面活性剤を含んでいても良い。
【0032】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸類、アミン類、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル等が例示される。ソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、ソルビタンセスキオレイン酸エステル等が挙げられ、プロピレングリコール脂肪酸エステル類としては、例えば、モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類等が挙げられ、ヒマシ油誘導体としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられ、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル、グリセリンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が挙げられ、グリセリン脂肪酸類としては、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等が挙げられ、アミン類としては、例えば、ステアリルアミン、オレイルアミン等が挙げられ、シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等が挙げられる。
【0033】
非イオン界面活性剤として好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル類、ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸類が挙げられ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
【0034】
非イオン界面活性剤の含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。非イオン界面活性剤は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。外用医薬組成物全量に対して、非イオン界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。
【0035】
本発明の外用医薬組成物において、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する非イオン界面活性剤の比率は、例えば、(A)成分の総含有量1質量部に対して、非イオン界面活性剤の含有量が、好ましくは、0.01~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部である。
【0036】
(塩)
本明細書でいう「塩」は、例えば、有機塩と無機塩とが例示される。有機塩としては、アンモニウム、又はジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等が例示され、無機塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等との塩が挙げられる。また、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸の塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩等も挙げられる。なお、「塩」には、塩の溶媒和物又は水和物を含んでいてもよい。特に(A)成分の塩の形態としては、限定はされないが、入手のしやすさの観点から、好ましくは無機酸の塩であり、より好ましくは塩酸塩又は硝酸塩等である。
【0037】
(基剤、担体、又はその他の成分)
本発明の外用医薬組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品又は医薬部外品として用いられ得る、公知の基剤又は担体を含有することができる。その他に、本発明の外用医薬組成物には、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、油分、アルコール類、高級脂肪酸、防腐剤、抗酸化剤、酸化防止剤、清涼化剤、各種高分子、保存剤、キレート剤、pH調整剤、安定化剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、香料、着色剤、色素、又は滑沢剤等の添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0038】
基剤又は担体としては、例えば、炭化水素、シリコーン油、エステル類、等が挙げられる。炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン等が挙げられ、シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジン等が挙げられ、エステル類としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等が挙げられる。
【0039】
基剤又は担体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0040】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、ココイルグルタミン酸塩、ヤシ油メチルアラニン塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジアミノエチルグリシン塩、ヤシ油脂肪酸ベタイン塩等が挙げられる。
【0041】
油分としては、例えば、天然動植物油脂類、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、動植物や合成の精油等が挙げられる。
【0042】
天然動植物油脂類としては、例えば、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、牛脂、キリ油、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、豚脂、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ミツロウ、サラシミツロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、ラノリン、卵黄油、ローズヒップ油等が挙げられる。
【0043】
炭化水素油としては、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素が用いられ、例えば、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、プリスタン、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、ワセリン等が挙げられる。
【0044】
エステル油としては、合成エステル類、高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル類が用いられ、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、乳酸セチル、乳酸テトラデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パラメトキシケイ皮酸エステル、テトラロジン酸ペンタエリスリット等が挙げられる。
【0045】
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン等が挙げられる。
【0046】
高級脂肪酸としては、飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数12~22の脂肪酸を用いることができ、例えば、イソステアリン酸、オキシステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ラノリン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
【0047】
防腐剤の好適な例としては、例えば、安息香酸、酢酸、フェノール、ヨードチンキ、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸等が挙げられる。
【0048】
抗酸化剤の好適な例としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
【0049】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩、ビタミンC類、ビタミンE類等が挙げられる。ビタミンC類としては、例えば、アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等が挙げられる。ビタミンE類としては、例えば、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等が挙げられる。
【0050】
清涼化剤としては、例えば、メントール(l-メントール、dl-メントール等)、カンフル(d-カンフル、dl-カンフル等)、ボルネオール等のテルペノイド、テルペノイドを含有する精油(ハッカ油)、又はその薬理学的に許容される塩等が挙げられる。これらの薬剤から1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0051】
各種の高分子としては、例えば、セルロース系高分子、ビニル系高分子、アクリル系高分子、ムコ多糖、デンプン系高分子、デキストラン、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン、カゼイン、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリイソステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシド、ベントナイト、ヘクトライト、アルギン酸及び又はその薬学的に許容される塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、増粘多糖類等が挙げられる。
【0052】
セルロース系高分子としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を例示することができ、これらのうち、1種又は2種以上を用いることもできる。
【0053】
ビニル系高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、又はポリビニルメチルエーテル等を例示することができ、これらのうち、1種又は2種以上を用いることもできる。
【0054】
アクリル系高分子としては、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体(特に、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体)、アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン共重合体、アクリル酸ナトリウム・アクリル酸メタクリル酸ナトリウム・メタクリル酸ナトリウム・メタクリル酸アルキル共重合体、ステアレス-10アリルエーテル・アクリレーツ共重合体、ポリアクリル酸又はその薬学的に許容される塩(カルボキシビニルポリマー)、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム共重合体、アクリル酸・メタクリル酸ポリオキシエチレングリコールエーテル共重合体、ポリアクリルアミド、及びアクリルアミド・アクリル酸アンモニウム共重合体等を例示することができる。
【0055】
増粘多糖類としては、医薬品又は医薬部外品分野において外用剤の成分として用いられるもののうち、具体的には、カラギーナン、キサンタンガム、アラビアガム、ペクチン、ムコ多糖が挙げられる。ムコ多糖としては、コンドロイチン硫酸塩(ナトリウム塩等)、ヒアルロン酸又はその薬学的に許容される塩(ナトリウム塩等)、及びヒアルロン酸誘導体又はその薬学的に許容される塩、ヘパリン、ヘパリン類似物質のようなグリコサミノグリカン等を例示することができる。
【0056】
デンプン系高分子としては、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸(例えば、National Starch, LLC社製、StructureXL)、変性コーンスターチ、及びコーンスターチ(トウモロコシデンプン)等を例示することができる。
【0057】
保存剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香な酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0058】
キレート剤としては、例えば、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩等が挙げられる。
【0059】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等が挙げられる。
【0060】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
【0061】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0062】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、大豆レシチン、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤が挙げられる。
【0063】
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール等が挙げられる。
【0064】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0065】
着色剤としては、例えば、無機顔料、天然色素等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばカルナウバロウ、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル、シリコーン樹脂、ステアリン酸マグネシウム、セタール、タルク等が挙げられる。
【0066】
本発明の外用医薬組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、その他の有効成分を含むこともできる。このような成分の具体例としては、例えば、抗炎症剤、追加の殺菌剤、追加の抗ヒスタミン剤、鎮痒成分、保湿成分、血行促進成分、収斂成分、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、細胞賦活化成分、ビタミン剤等が挙げられる。
【0067】
抗炎症剤としては、例えば、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、又はそれらの薬理学的に許容される塩等のステロイド系抗炎症薬、アラントイン、グリチルレチンアジピン酸ジイソプロピル酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アルジオキサ、ウフェナマート、ブフェキサマク、イブプロフェンピコノール、インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、イプシロン-アミノカプロン酸、ベルベリン、リゾチーム、アズレンスルホン酸ナトリウム、ジメチルイソプロピルアズレン、ブロメライン、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼ、又はそれらの薬理学的に許容される塩等の非ステロイド系抗炎症薬が挙げられる。これらの薬剤のうち、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、非ステロイド系抗炎症薬が好ましく、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸の塩、グリチルリチン酸の塩(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム)、アラントインがより好ましい。これらの薬剤から1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0068】
追加の殺菌剤としては、例えば、塩化デカリニウム、酢酸デカリニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルへキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム、安息香酸ナトリウム、クロロブタノール、チモール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、アクリノール、ヒノキチオール、レゾルシン、安息香酸ベルベリン、サリチル酸、又はビグアニド化合物等が挙げられる。これらの薬剤から1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0069】
追加の抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ジフェニルイミダゾール、又はそれらの塩等が挙げられる。
【0070】
鎮痒成分としては、例えば、クロタミトン等が挙げられる。
【0071】
保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸又はその薬学的に許容される塩(ナトリウム塩等)、及びヒアルロン酸誘導体又はその薬学的に許容される塩、トレハロース、キシリトール、オリゴ糖のような糖類;ヘパリン類似物質、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサンのような高分子化合物;グリシン、アスパラギン酸、アルギニンのようなアミノ酸;乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウムのような天然保湿因子;セラミド、コレステロール、リン脂質のような脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキスのような植物抽出エキス等が挙げられる。
【0072】
血行促進剤としては、例えば、アセチルコリン、カフェイン、カプサイシン、カンタリスチンキ、ガンマーオリザノール、ショオウキョウチンキ、ジンゲロン、セファランチン、センブリエキス、タンニン酸、トウガラシチンキ、トラゾリン、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸アミド等が挙げられる。
【0073】
収斂成分としては、例えば、硫酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛及びタンニン酸等が挙げられる。
【0074】
ペプチド又はその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)等が挙げられる。
【0075】
アミノ酸又はその誘導体としては、例えば、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
【0076】
細胞賦活化成分としては、例えば、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸等のアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類等のビタミン類、グリコール酸、乳酸等のα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、感光素301号等が挙げられる。
【0077】
ビタミン剤としては、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類、その他のビタミン類のいずれも用いることができる。ビタミンB類としては、例えば、ビタミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンB6類、ビタミンB12類、ニコチン酸類、パントテン酸類、葉酸、ビオチン等が挙げられる。ビタミンB1類としては、例えば、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等;ビタミンB2類としては、例えば、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等;ニコチン酸類としては、例えば、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等;ビタミンB6類としては、例えば、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等;ビタミンB12類としては、例えば、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等;パントテン酸類としては、例えば、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(D-パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等が挙げられる。
ビタミンC類としては、例えば、アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等が挙げられる。
ビタミンD類としては、例えば、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等が挙げられる。
ビタミンE類としては、例えば、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等が挙げられる。
ビタミンK類としては、例えば、フィロキノン、ファルノキノン等が挙げられる。これらの薬理学的に許容される塩等のビタミン様作用因子等もビタミン類として挙げられる。
【0078】
尚、本発明にかかる外用医薬組成物は、本発明の効果を顕著に奏することができる観点から、サリチル酸を含有しないことが好ましい。中でも、サリチル酸を1質量%以上含有しない態様がより好ましい。
【0079】
(pH)
本発明の外用医薬組成物のpHは、適宜設定され、生理学的又は薬学的に許容できる範囲であれば制限されないが、安全性の観点から、例えば、pH2~9とすることができ、好ましくは、約3~8、より好ましくは、約5~7とすることができる。
【0080】
(硬度)
本発明の外用医薬組成物の硬度は、製剤の扱いやすさの観点から、外用医薬組成物全量に対して、好ましくは10~200gであり、より好ましくは20~150g、さらに好ましくは50~110gである。なお、本明細書における硬度とはFUDOH RHEO METER、30mm円盤型アダプターを用いてテーブルスピード2cm/min、測定時間30秒にて測定した際に得られた結果とする。
【0081】
(剤形)
本発明の外用医薬組成物は、医薬品、医薬部外品等として幅広く利用可能な任意の形態で提供される。好ましくは、皮膚外用剤として利用可能な製剤として提供される。本発明の外用医薬組成物は、公知の形態であれば、特に限定されないが、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、例えば、クリーム剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ジェル剤、ローション剤、エアゾール剤、ミスト剤、スプレー剤等の外用医薬組成物の形態で提供されることが好ましく、ジェル剤、クリーム剤、液剤、エアゾール剤であることがより好ましい。
【0082】
製剤は、第17改正日本薬局方総則に従い、又はこれに準拠して、各成分を混合することにより製造できる。
【0083】
(用途)
本発明の外用医薬組成物は、限定はされないが、好ましくは、水虫又はタムシ、カンジダ症等の治療に用いられる。本発明の外用医薬組成物は、足、爪、全身の皮膚、毛、爪周りにも使用することができる。本発明の効果をより顕著に奏する観点から、特に好ましくは、足の指の間、足裏やふち、指の付け根、足裏やかかと等の箇所の水虫に適用され得る。
【0084】
水虫は、白癬菌を原因菌とする皮膚の症状である。かゆみ、小さなブツブツ、皮むけ、乾燥、水膨れ、硬化、粉吹き、ガサガサ等がある。白癬菌は特に角質の成分のケラチンが存在する角質の厚い部分にできやすく、皮膚や爪に特に症状が現れることがある。
【0085】
タムシは、白癬菌を原因菌とする皮膚の症状である。皮膚上に小さな赤い輪ができ、徐々に広がる症状がある。かゆみを伴い、水虫と類似するが、タムシは皮膚の薄い箇所にできやすい。
【0086】
カンジダ症は、カンジダ菌を原因菌とし、手の皮膚表面のガサガサ、指の間の皮膚むけ、爪の根元の白への変色等が症状として現れる。
【0087】
本発明の外用医薬組成物は、このような白癬菌による症状、癜風、カンジダ症、指間びらん症、間擦疹等の治療に用いられ得る。
【0088】
本発明の外用医薬組成物の使用方法は、皮膚や爪等の状態、年齢、性別等によって異なるが、例えば以下の方法とすればよい。即ち、1日数回(例えば、約1~5回、好ましくは1~3回、より好ましくは1回)、適量(例えば、約0.5~2g)を適用すればよい。また、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩の1日使用量が、例えば約5~20mgとなるように組成物を適用すればよい。適用方法は、剤型に合わせて行い、好ましくは塗布とする。適用期間は、例えば約30日間以上とすることが好ましい。
【0089】
(容器)
本発明の外用医薬組成物を充填する容器は特に限定されない。医薬品外用剤、医薬部外品、化粧品用の容器として用いられるものであればよい。このような容器材質として、例えば、医薬組成物との接触面の一部又は全部、好ましくは全部が、ポリオレフィン樹脂、アクリル酸樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、セルロースアセテート、アルミニウム、及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種の材料で構成されている容器が挙げられる。
【0090】
製剤の扱いやすさの観点から、本発明の外用医薬組成物を充填する容器の材質は、ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン等を含む)、ポリプロピレン(PP)(アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン等を含む)、及びエチレン・プロピレンコポリマー、ポリメチルペンテン、ポリブテンー1、1,2-ポリブタジエンのようなポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、ポリエチレン又はポリプロピレンがより好ましい。
【0091】
容器の形状は、限定はされないが、チューブ、スプレー缶、ミストスプレーボトル、滴下容器、搾りだし容器であることが好ましい。
【0092】
(製造方法)
本発明の外用医薬組成物は、公知の方法により製造することができる。必要に応じて、滅菌工程やろ過工程を含めることができる。
【0093】
[安定性向上剤]
本発明は、(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、及び、(B)局所麻酔剤、を含有する外用医薬組成物用の安定性向上剤であって、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上及び(D)イソプロピルメチルフェノールを含有することを特徴とする、外用医薬組成物用の安定性向上剤に関する。すなわち、(C)成分及び(D)成分を用いて、(A)成分及び(B)成分の安定化を向上させる。このような安定性向上剤についての(C)成分及び(D)成分の濃度は、上記の本発明の外用医薬組成物における各成分の濃度と同様であり、(A)成分及び(B)成分と共存させる際のpH、硬度、製剤の条件等と同様の条件を採用することができる。
【0094】
[安定性を向上させる方法]
本発明は、(A)テルビナフィン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、及び、(B)局所麻酔剤、を含有する外用医薬組成物の安定性向上方法であって、(C)クロルフェニラミン及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上及び(D)イソプロピルメチルフェノールを共存させることを特徴とする、外用医薬組成物用の安定性を向上させる方法に関する。このような方法において、上記の本発明の外用医薬組成物における各成分の濃度、pH、硬度、製剤の条件等と同様の条件を採用することができる。
【実施例
【0095】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、450nm~480nmにおける吸光度は、黄色~橙色の色味検出に通常用いられる範囲である。また、以下の表に示す数値は、特に表示がない箇所については、すべてw/w%である。
【0096】
[試験例1.熱安定性に関する試験]
下記表1に示される外用医薬組成物を常法により調製した。
これらの外用医薬組成物を30mL容量のガラススクリューバイアルに25mLずつ充填し、閉栓後、60℃の恒温器内に遮光下にて7日間保存した。
【0097】
保存前後の各組成物について、96ウェルプレート(Tissue Culture Plate(FALCON社製))に150μLずつ入れ、プレートリーダー(SH-9000Lab形マイクロプレートリーダー(コロナ電気製))を用いて、450nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度を用い、下記式1にて、比較例1に対する各組成物の変色抑制率を算出した。
結果は表1に併せて示す。
【0098】
[式1]変色抑制率(%)={(比較例1の保存後の吸光度-比較例1の保存前の吸光度)-(対象サンプルの保存後の吸光度-対象サンプルの保存前の吸光度)/(比較例1の保存後の吸光度-比較例1の保存前の吸光度)}×100
【0099】
【表1】
【0100】
実施例の組成物では、比較例の組成物と比べ、黄変が抑制され、熱安定性が顕著に増していることが確認された。
【0101】
[試験例2.光安定性に関する試験]
下記表2に示される外用医薬組成物を常法により調製した。
外用医薬組成物を30mL容量のガラススクリューバイアルに25mLずつ充填し、安定性試験装置(「(LT-120D3CJ)」、(ナガノサイエンス)製)を用いて、D65ランプを光源として、室温の下、4500lxの光を72時間連続照射し、組成物に対して積算照射量32.4万lx・hrの光を曝光した。
【0102】
保存前後の各組成物について、96ウェルプレート(Tissue Culture Plate(FALCON社製))に150μLずつ入れ、プレートリーダー(SH-9000Lab形マイクロプレートリーダー(コロナ電気製))を用いて、480nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度を用い、下記式2にて、比較例1に対する各組成物の変色抑制率を算出した。
結果は表2に併せて示す。
【0103】
[式2]変色抑制率(%)={(比較例1の照射後の吸光度-比較例1の照射前の吸光度)-(対象サンプルの照射後の吸光度-対象サンプルの照射前の吸光度)/(比較例1の照射後の吸光度-比較例1の照射前の吸光度)}×100
【0104】
【表2】
【0105】
実施例の組成物では、比較例の組成物と比べ、黄変が抑制され、光安定性が顕著に増していることが確認された。
【0106】
以下、本発明の製剤処方例を示す。表3~5に記載の処方で、医薬組成物を常法により調製し、製剤例1~18はポリプロピレン製容器、製剤例19~36はアルミラミネート製チューブに充填した。これらの製剤は、白癬菌を原因菌とする皮膚の症状に有効に用いられる製剤である。尚、実施例37-52については、表5に示す組成の液剤を調製し、これを薬液として適宜ガスとともにエアゾール製剤用の容器に充填し、エアゾール製剤を調製した。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】