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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/96 20060101AFI20240326BHJP
   E06B 3/263 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
E06B3/96 A
E06B3/263 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020066106
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021161807
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520115761
【氏名又は名称】威可楷愛普(中国)投資有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柚木 一弥
(72)【発明者】
【氏名】竜 泰之
(72)【発明者】
【氏名】久保 広陽
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-143907(JP,U)
【文献】実開昭60-108692(JP,U)
【文献】実開昭55-56808(JP,U)
【文献】実開昭52-73547(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第2219821(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/96 - 3/99
E06B 3/04 - 3/46
E06B 3/50 - 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
見込み方向の一方の縁部から内周側に延在し、内表面が面材の一方の表面に対向するように配置される板状当接部を有した第1建材と、
長手に沿って中空部が設けられた第2建材と
を備え、前記第1建材の内周側となる部分から前記第2建材が突出する状態で前記第1建材及び前記第2建材が互いに連結される建具であって、
前記中空部を構成する壁部の見付け方向に沿った外表面が前記板状当接部の内表面に対向する状態で前記第2建材の端部が前記第1建材に接合され、
前記第2建材の外表面には、端面が前記板状当接部の延在端部に対向する状態でアタッチメントが取り付けられ
前記アタッチメントは、前記面材の一方の表面に対向するように前記第2建材において見込み方向の一方の縁部から内周側に延在していることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記第2建材には、前記面材の他方の表面に対向するように対向アタッチメントが装着されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記第2建材は、第2室外要素及び第2室内要素を備えるとともに、前記第2室外要素及び前記第2室内要素の間が断熱材によって互いに連結され、前記第2室外要素に前記中空部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記第1建材は、第1室外要素及び第1室内要素を備えるとともに、前記第1室外要素及び前記第1室内要素の間が断熱材によって互いに連結され、第1室外要素に前記板状当接部が設けられたものであり、前記断熱材の見込み方向に沿った位置が前記第2建材の断熱材と同一となるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関するもので、詳細には枠や框等の建材を連結するための構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建具の障子やFIX窓は、ガラス等の面材の四周に水平方向の建材及び上下方向の建材を四周枠組みすることによって構成されている。水平方向の建材と上下方向の建材との連結方法としては、上下方向の建材の相互間に水平方向の建材を配設して互いの間を連結するのが一般的である。それぞれの建材には、見込み方向の一方の縁部、例えば室外側の縁部に一体成形された板状当接部が設けられ、見込み方向の他方の縁部、例えば室内側の縁部に押縁が装着されており、これら板状当接部及び押縁の間に面材の縁部が支持されている(例えば、特許文献1参照)。なお、見込み方向とは、建具の奥行きい沿った方向である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国実用新案第209483036号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建材には、長手に沿って中空部を設けることで、強度の向上を図るようにしたものがある。例えば、特許文献1においては、水平方向の建材に中空部が設けられている。ここで、特許文献1に記載されているように、水平方向の建材に設けられた板状当接部に対して上下方向の建材に設けられた板状当接部の端面が当接するように連結する場合には、単に上下方向の建材の板状当接部を切断すれば良い。しかしながら、建具には、例えば、縦枠の板状当接部を連続させた状態で、中空部を有した無目を連結する場合等、上下方向の建材に設けられた板状当接部に対して水平方向の建材に設けられた板状当接部の端面が当接するように連結するものもある。この場合には、水平方向の建材に対して、板状当接部を切断するとともに、中空部において板状当接部の延長上に位置する壁部を切除する必要が生じる。従って、こうした連結構造では、水平方向の建材に設けられた中空部の端部が開放され、この開放した部分が上下方向の建材に設けられた板状当接部で覆われた状態となる。上下方向の建材及び水平方向の建材が精度良く成形され、かつこれらの建材が精度良く連結されれば良いが、成形上の誤差や連結する際の誤差等によっては中空部が開放されたままになる懸念があり、中空部を伝って水が浸入する等、水密性の問題を招来するおそれがある。なお、上述の問題は、水平方向の建材にのみ中空部が設けられている場合に限られるものではなく、中空部を有していない第1建材の板状当接部が連続する状態で、第1建材に対して中空部を有した第2建材を連結する場合であれば、建材の延在方向に関わりなく同様に生じ得る。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、水密性を損なうことなく、中空部を有していない第1建材の板状当接部が連続する状態で第1建材と第2建材とが連結された建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、見込み方向の一方の縁部から内周側に延在し、内表面が面材の一方の表面に対向するように配置される板状当接部を有した第1建材と、長手に沿って中空部が設けられた第2建材とを備え、前記第1建材の内周側となる部分から前記第2建材が突出する状態で前記第1建材及び前記第2建材が互いに連結される建具であって、前記中空部を構成する壁部の見付け方向に沿った外表面が前記板状当接部の内表面に対向する状態で前記第2建材の端部が前記第1建材に接合され、前記第2建材の外表面には、端面が前記板状当接部の延在端部に対向する状態でアタッチメントが取り付けられ、前記アタッチメントは、前記面材の一方の表面に対向するように前記第2建材において見込み方向の一方の縁部から内周側に延在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第2建材の板状当接部を別体のアタッチメントとして成形しているため、第2建材の中空部を切除することなく第1建材の板状当接部が連続した状態で第2建材と第1建材とを連結することが可能となり、水密性が損なわれるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である建具を室外側から見た図である。
図2図1におけるB-B線断面図である。
図3図1におけるC-C線断面図である。
図4図1におけるD-D線断面図である。
図5図1におけるE-E線断面図である。
図6図1におけるF-F線断面図である。
図7-1】図1に示した建具の枠体に適用する縦枠及び無目の要部を示す分解斜視図である。
図7-2】図7-1に示す状態から無目の端部を縦枠に接合させた状態の分解斜視図である。
図7-3】図7-2に示す状態から無目にアタッチメントを取り付けた状態の斜視図である。
図8図1に示した建具の枠体に適用する縦枠及び無目の要部を示す分解横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1図6は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、3つの独立した枠体10A,10B,10Cを左右に並設し、連結材1を介して相互に連結することにより構成した連窓と称されるもので、全体として正方形に近い矩形状を成している。
【0010】
室外側から見て左側に配置された枠体10Aは、上下に沿って一連となる左右の縦枠(第1建材)11A,12Aと、縦枠11A,12Aの相互間に配設した上下の横枠13A,14Aとを四周枠組みすることによって矩形状に構成し、さらに縦枠11A,12Aの相互間に上下2つの無目(第2建材)15A,16Aを配設したもので、上段、中段、下段にそれぞれ矩形状を成す面材17を支持している。同様に、中央に配置された枠体10Bは、上下に沿って一連となる左右の縦枠(第1建材)11B,12Bと、縦枠11B,12Bの相互間に配設した上下の横枠13B,14Bとを四周枠組みすることによって矩形状に構成し、さらに縦枠11B,12Bの相互間に上下2つの無目(第2建材)15B,16Bを配設したもので、上段、中段、下段にそれぞれ矩形状を成す面材17を支持している。右側に配置された枠体10Cは、上下に沿って一連となる左右の縦枠11C,12Cと、縦枠11C,12Cの相互間に配設した上下の横枠13C,14Cとを四周枠組みすることによって矩形状に構成し、さらに縦枠11C,12Cの相互間に上下2つの無目15C,16Cを配設したもので、上段、中段、下段にそれぞれ矩形状を成す面材17を支持している。これらの枠体10A,10B,10Cでは、縦枠11A,12A,11B,12B,11C,12Cの内周側から上下の横枠13A,14A,13B,14B,13C,14C及び2つの無目15A,16A,15B,16B,15C,16Cがそれぞれ突出する状態で互いの間が連結されている点で共通である。縦枠11A,12A,11B,12B,11C,12Cの長手に沿った寸法及び横枠13A,14A,13B,14B,13C,14Cの長手に沿った寸法は、それぞれ3つの枠体10A,10B,10Cでほぼ共通であり、無目15A,16A,15B,16B,15C,16C及び無目15A,16A,15B,16B,15C,16Cを設ける上下方向の位置についても3つの枠体10A,10B,10Cでほぼ共通である。
【0011】
室外側から見て左側に配置された枠体10A及び中央に配置された枠体10Bには、上段、中段、下段のそれぞれに面材17によってFIX窓が構成してある。室外側から見て右側に配置された枠体10Cには、上段及び下段のそれぞれに面材17によってFIX窓が構成してある。右側に配置された枠体10Cの中段には、面材17の四周が左右の縦框21,22及び上下の横框23,24によって支持された障子20が配設してある。この障子20は、図には明示していないが、枠体10Cとの間に設けた開閉機構により、室外側に突出するように開放される縦すべり出し窓を構成するものである。障子20が配設される左右の縦枠11C,12C及び上下の無目15C,16Cには、それぞれ室内側に位置する縁部から内周側に向けて突出するように戸当たり部18が設けてある。これらの戸当たり部18は、内周側の縁部が障子20を構成する框21,22,23,24の内周側縁部とほぼ同一の位置となるように構成してあり、室内側から見た場合に障子20の框21,22,23,24を覆い隠すことが可能である。図からも明らかなように、これら8つのFIX窓に用いられる面材17及び1つのすべり出し窓に用いられる面材17は、外形寸法及び見込み方向に沿った寸法が互いにほぼ同一となるように構成してあり、それぞれが見込み方向において枠体10A,10B,10Cの中間よりも室外側に片寄った位置に配設してある。図示の例では、すべての面材17として複層ガラスを適用しているが、複層ガラス以外の面材を適用しても構わない。なお、図中の符号19は、枠体10A,10B,10C及び無目15A,16A,15B,16B,15C,16Cや障子20に対して面材17の位置決めを行うセッティングブロックであり、面材17の端面17aに対して適宜箇所で部分的に当接するように配設してある。
【0012】
ここで、見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。また、本実施の形態では見付け方向という用語も用いる。見付け方向とは、横枠13Aや無目15A等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠11A等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0013】
本実施の形態では、上述した横枠13A,14A,13B,14B,13C,14C、縦枠11A,12A,11B,12B,11C,12C、無目15A,16A,15B,16B,15C,16C、横框23,24、縦框21,22(以下、これらを総称する場合、単に建材Mという)として、いずれも室外側に配置される室外要素M1と、室内側に配置される室内要素M2と、これら室外要素M1及び室内要素M2の間に配置される連結要素(断熱材)M3とを備えて構成したものを適用している。室外要素M1及び室内要素M2は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。それぞれの室外要素M1及び室内要素M2には、長手に沿ってその全長にわたる部分に中空部M1a,M2aが設けてある。中空部M1a,M2aは、周囲が閉じた空間を構成するもので、建材Mの両端面にのみ開口している。連結要素M3は、樹脂等の断熱材によって成形したもので、個別に成形した室外要素M1と室内要素M2との間を連結することによってそれぞれの建材Mを構成している。連結要素M3は、見込み方向に沿った寸法がすべての建材Mで互いにほぼ同一となるように構成してある。本実施の形態では、面材17の端面17aに対して連結要素M3が対向して配置されるように、室内要素M2に比べて室外要素M1の見込み方向に沿った寸法が短く構成してある。
【0014】
この実施の形態のように、室外要素M1、室内要素M2及び連結要素M3を備えてすべての建材Mを構成すれば、連結要素M3として見込み方向の寸法が異なるものに変更することで、室外要素M1及び室内要素M2を変更することなく、互いに見込み方向の寸法が異なる複数種類の建具を構成することが可能である。また、図からも明らかなように、横枠13A,14A,13B,14B,13C,14C、縦枠11A,12A,11B,12B,11C,12C、無目15A,16A,15B,16B,15C,16Cについては、室内要素M2の見込み方向に沿った寸法についても互いにほぼ同一となるように構成してある。従って、横枠13A,14A,13B,14B,13C,14C、縦枠11A,12A,11B,12B,11C,12C、無目15A,16A,15B,16B,15C,16Cにおいては、連結要素M3の位置が見込み方向において互いにほぼ同一となっている。さらに、障子20についても閉じた状態においては、連結要素M3の位置が横枠13A,14A,13B,14B,13C,14Cや縦枠11A,12A,11B,12B,11C,12Cとほぼ同一となるように、障子20を構成する横框23,24及び縦框21,22の寸法が設定してある。このように断熱材から成る連結要素M3の室内からの位置が見込み方向においてほぼ一致するように設けられた建具においては、外気温度の室内側への影響範囲が建具全体でほぼ均一となり、断熱性の点で有利となる。
【0015】
室外側から見て左側に配置された枠体10Aにおいては、上段、中段、下段のFIX窓が、互いに同一の構成を有した第1の支持構造X1で面材17を支持している。中央に配置された枠体10Bにおいては、上段、中段、下段のFIX窓が互いに同一の構成を有し、かつ第1の支持構造X1とは異なる第2の支持構造X2で面材17を支持している。右側に配置された枠体10Cにおいては、上段及び下段のFIX窓が互いに同一の構成を有し、かつ第1の支持構造X1及び第2の支持構造X2とは異なる第3の支持構造X3で面材17を支持している。障子20においては、第1の支持構造X1とほぼ同じ支持構造で横框23,24及び縦框21,22に面材17が支持してある。
【0016】
上述した第1の支持構造X1は、図2図5図6に示すように、面材17の四周で共通の構成を有している。この第1の支持構造X1では、建材Mの室内要素M2に固定当接部M2bが一体に設けてある一方、建材Mの室外要素M1に押縁係合部M1bを介して押縁(板状当接部)30が装着してあり、これら固定当接部M2bと押縁30との間にそれぞれ面材17の縁部が支持してある。固定当接部M2bは、室内要素M2から内周側に向けて突出したもので、内周側縁部に設けたシール材Sを介して面材17の室内に臨む内表面17bに当接している。
【0017】
より詳細に説明すると、縦枠11A,12Aについては、連結要素M3が連結された基板部11a,12aと、基板部11a,12aの内周側縁部から室内側に向けて見込み方向に延在した連結板部11b,12bと、連結板部11b,12bの内周側となる見込み面から内周側に突出し、連結板部11b,12bとの間に矩形の中空部M1a,M2aを構成する固定当接部M2bとによって室内要素M2が構成してある。
【0018】
横枠13A,14A、無目15A,16Aにおいては、室内側に位置する部分が内周側に向けて突出するように中空の室内要素M2が構成してあり、内周側に突出した室内側に位置する部分が固定当接部M2bを構成している。この固定当接部M2bには、中空部M2aの突出縁部にシール材Sが装着してある。
【0019】
障子20においては、連結要素M3が連結された基板部20aと、基板部20aから内周側に向けて突出する板状の支持板部20bと、支持板部20bの突出縁部から室内側に向けて突出する矩形状の中空部M2aとを有して室内要素M2が構成してあり、支持板部20b及び中空部M2aが固定当接部M2bを構成している。
【0020】
押縁30は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材から成るもので、室外要素M1から内周側に向けて突出するように装着し、内周側縁部に充填したシール材Sを介して面材17の室外に臨む外表面17cに当接している。本実施の形態では、横枠13A,14A,13C,14C、無目15A,16A,15C,16C等の水平方向の建材Mに対して互いに同一の構成を有した押縁(以下、区別する場合に横押縁30Aと称する)を適用し、縦枠11A,12Aに対しては互いに同一の構成で、水平方向の建材Mに適用するものとは構成の異なる押縁(以下、区別する場合に縦押縁30Bと称する)を適用している。障子20については、縦框21,22及び横框23,24の双方に横押縁30Aを適用している。横押縁30Aは、支持部31、内方係合片32、外方係合片33及びカバー部34を一体に成形することによって構成してある。支持部31は、室外要素M1から見付け方向に沿って内周側に延在することにより、面材17の外表面17cに対向するように配置されるものである。内方係合片32及び外方係合片33は、室外要素M1に設けた押縁係合部M1bに係合することにより、横押縁30Aを室外要素M1に装着した状態に維持するものである。縦押縁30Bは、横押縁30Aと同様の支持部31、内方係合片32、外方係合片33を有する一方、カバー部34に換えて補助カバー部35を有したものである。補助カバー部35は、支持部31を延長するように外周側に向けて延在し、室外に臨む表面が支持部31と同一の平面上に位置するように設けたもので、カバー部34よりも延在長さが短く構成してある。図からも明らかなように、押縁30と固定当接部M2bとは内周側への突出寸法が互いにほぼ同じであり、室内側から見た場合には固定当接部M2bによって押縁30が覆い隠され、押縁30を視認することが困難となる。
【0021】
上述の横押縁30A及び縦押縁30Bが装着される室外要素M1の押縁係合部M1bは、内周側の見込み面において室外側の縁部及び室内側の縁部からそれぞれ内周側に向けて突出した後、フック部Mbが互いに対向する方向に向けて屈曲したものである。図からも明らかなように、縦枠11A,12Aに設ける室外側の押縁係合部M1bは、室外要素M1においてもっとも室外側となる見付け面Maよりも補助カバー部35の板厚分だけ室内側に退行するように設けてある。
【0022】
この第1の支持構造X1では、例えば四周枠組みした建材Mに対して内表面17bがシール材Sを介して固定当接部M2bに当接するように室外側から面材17を配置し、この状態から押縁係合部M1bを介して四周の室外要素M1に押縁30を装着することによって固定当接部M2bと押縁30との間に面材17が支持されることになる。
【0023】
第2の支持構造X2は、図3図5図6に示すように、面材17の上下に沿う左右の縁部と、水平に沿う上下の縁部とで構成が異なっている。この第2の支持構造X2では、縦枠11B,12Bの室内要素M2に内周側に突出するように内押縁(対向アタッチメント)40が装着してある一方、縦枠11B,12Bの室外要素M1に固定当接部(板状当接部)M1cが一体に設けてあり、これら内押縁40と一体の固定当接部M1cとの間に面材17の上下に沿う左右の縁部が支持してある。これに対して無目15B,16Bでは、室内要素M2に内周側に突出するように内押縁40が装着してある点は共通であるが、室外要素M1に別体の固定当接部材(アタッチメント)50がネジによって構成してあり、これら内押縁40と別体の固定当接部材50との間に面材17の水平に沿う上下の縁部が支持してある。
【0024】
より詳細に説明すると、縦枠11B,12Bの室内要素M2は、内周側に位置する見込み面に押縁係合部M2dを有した矩形の中空状を成すものである。室内要素M2の押縁係合部M2dは、内周側の見込み面において室内側の縁部及び室内側の縁部から室外側に離隔した位置においてそれぞれ内周側に向けて突出した後、フック部Mbが互いに対向する方向に向けて屈曲したものである。
【0025】
内押縁40は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。本実施の形態では、見込み方向に沿って延在する平板状の基板部41と、基板部41の外周側となる部分から外周に向けて延在した内方係合片42及び外方係合片43とを一体に成形した内押縁40を適用している。基板部41において室外側となる縁部には、面材17の室内に臨む表面に当接するシール材Sが設けてある。内方係合片42は、基板部41の室内側となる縁部からほぼ直角となるように延在した後、室外に向けて屈曲し、さらに外周に向けて屈曲している。内方係合片42の延在縁部には、室内に臨む部分に係合爪45が設けてある。外方係合片43は、基板部41の室外側に離隔した位置からほぼ直角となるように延在した後、室内に向けて漸次外方となるように傾斜し、さらに外周に向けて屈曲している。外方係合片43の屈曲縁部は、内方係合片42の屈曲縁部との距離が押縁係合部M2dのフック部Mb相互間に挿入可能となるように設けてある。外方係合片43の屈曲縁部には、室外に臨む部分に係合爪45が設けてある。上記の内押縁40は、内方係合片42及び外方係合片43を室内要素M2の押縁係合部M2dに挿入し、それぞれの係合爪45をフック部Mbに係合させることで室内要素M2に装着された状態を維持する。
【0026】
縦枠11B,12Bの室外要素M1には、中空部M1aの室外側となる縁部に上述の固定当接部M1cが設けてある。固定当接部M1cは、中空部M1aと一体に成形した板状を成すもので、内周側に向けて突出している。固定当接部M1cの突出縁部において室内に臨む部分には、支持リブM1dを互いに対向するように突出するように設けてある。これらの支持リブM1dは、固定当接部M1cにシール材Sを装着するためのシール装着溝を構成するものである。内押縁40及び固定当接部M1cの内周側への突出寸法が互いにほぼ同じなのは第1の支持構造X1と同様である。
【0027】
無目15B,16Bの室内要素M2には、外周側に位置する上下の見込み面にそれぞれ縦枠11B,12Bの押縁係合部M2dと同一構成の押縁係合部M2dが同一の位置に設けてある。これらの押縁係合部M2dに装着される内押縁40の構成も縦枠11B,12Bに装着するものと同様である。
【0028】
無目15B,16Bの室外要素M1は、上下にそれぞれほぼ矩形状を成す中空部M1aを有し、上方の中空部M1aの上面及び下方の中空部M1aの下面にそれぞれアタッチメント係合部M1eを有している。室外要素M1のアタッチメント係合部M1eは、内周側の見込み面において室外側の縁部及び室内側の縁部からそれぞれ内周側に向けて突出した後、フック部Mbが互いに対向する方向に向けて屈曲したものである。室外側のアタッチメント係合部M1eは、室外に臨む外表面が、中空部M1aにおいて室外側に位置する壁部の見付け方向に沿った外表面と同一の平面上に位置している。
【0029】
無目15B,16Bの室外要素M1に取り付けられる別体の固定当接部材50は、当接板部51及び固定板部52をアルミニウム合金等の金属の押し出し成形によって一体に成形したものである。当接板部51は、中空部M1aの外表面に沿って延在し、中空部M1aの外表面全面を覆うとともに、室外要素M1の見込み面から内周側に向けて突出するように延在する平板状を成すものである。当接板部51の内周側となる縁部には、室内に臨む面にシール材Sが装着してある。固定板部52は、当接板部51の中間部分から室内側に向けて延在して室外要素M1の内周側となる見込み面に当接するものである。この固定当接部材50は、固定板部52を介して室外要素M1にネジを螺合することによって室外要素M1に固定してある。
【0030】
この第2の支持構造X2では、例えば四周枠組みした建材Mに対して外表面17cがシール材Sを介して一体の固定当接部M1c及び別体の固定当接部材50に当接するように室内側から面材17を配置し、この状態から押縁係合部M2dを介して四周の室内要素M2に内押縁40を装着することによって固定当接部M1cと内押縁40との間及び別体の固定当接部材50と内押縁40との間に面材17が支持されることになる。
【0031】
第3の支持構造X3は、図4図5に示すように、面材17の上下に沿う左右の縁部と、水平に沿う上下の縁部とで構成が異なっている。この第3の支持構造X3では、縦枠11C,12Cの室内要素M2に設けたすべり出し窓用の戸当たり部18に別体の固定当接部材60が取り付けてあるとともに、縦枠11C,12Cの室外要素M1に別体の固定当接部材70がネジで固定してあり、これらの固定当接部材60,70の間に面材17の上下方向に沿った縁部が支持してある。固定当接部材60,70の内周側への突出寸法が互いにほぼ同じなのは第1の支持構造X1と同様である。面材17の水平に沿う上下の縁部は、第1の支持構造X1と同様の構成によって支持してある。
【0032】
この第3の支持構造X3では、四周枠組みした建材Mに対して縦枠11C,12Cの室外要素M1に固定当接部材70を固定する以前の状態で内表面17bがシール材Sを介して室内要素M2の固定当接部材60に当接するように室外側から面材17を配置し、この状態から建材Mの室外要素M1の押縁係合部M2dに押縁30を装着するとともに、縦枠11C,12Cの室外要素M1に固定当接部材70をネジで固定することで固定当接部材60,70の相互間及び固定当接部材60と押縁30との間に面材17が支持されることになる。
【0033】
図1からも明らかなように、この建具では、縦枠11A,12A,11B,12Bから内周側に突出する押縁30もしくは固定当接部M1cが無目15A,16A,15B,16Bの上下で一連となる状態で、それぞれの枠体10A,10Bにおいて左右の縦枠11A,12A,11B,12Bと上下の無目15A,16A,15B,16Bとが互いに連結してある。以下、上述の図1図3図5図6に加え、図7及び図8を適宜参照しながら、中央に配置される枠体10Bについて左右の縦枠11B,12Bと上下の無目15B,16Bとの連結構造を詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。なお、左右の縦枠11B,12Bは、互いに対称となる構成を有したものであるため、室外から見た場合に左側に配置される縦枠11Bのみについて説明する。また、上下の無目15B,16Bは、同一の構成を有したものであるため、上方に配置される無目15Bのみについて説明することとする。
【0034】
中央に配置される枠体10Bでは、無目15Bにおいて室外に臨む見付け面15Baから室内に臨む見付け面15Bbまでの寸法15Bcが、縦枠11Bにおいて室外に臨む見付け面11Baから室内に臨む見付け面11Bbまでの寸法11Bcよりも短く構成してある。
【0035】
より詳細に説明すると、縦枠11Bの室外要素(第1室外要素)M1は、中空部M1aにおいて室外側に位置する壁部の見付け方向に沿った外表面と、固定当接部M1cにおいて室外に臨む見付け方向に沿った外表面とが一致しており、これらの外表面が室外に臨む見付け面11Baを構成している。この縦枠11Bの室外に臨む見付け面11Baから連結要素(断熱材)M3を経由して室内要素(第1室内要素)M2の室内に臨む見付け面11Bbまでの距離11Bcは、枠体10Bの見込み方向に沿った寸法に一致している。
【0036】
これに対して無目15Bの室外要素(第2室外要素)M1は、縦枠11Bに設けた固定当接部M1cの板厚に相当する寸法だけ見込み方向に沿った寸法が縦枠11Bの室外要素M1よりも短く構成してある。無目15Bの室内要素(第2室内要素)M2及び連結要素(断熱材)M3の見込み方向に沿った寸法は、縦枠11Bのものとほぼ同じである。従って、室外要素M1の見付け面15Baである中空部M1aにおいて室外側に位置する壁部の見付け方向に沿った外表面から室内要素M2の室内に臨む見付け面15Bbまでの距離15Bcは、枠体10Bの見込み方向に沿った寸法よりも短くなっている。
【0037】
上記のように構成した無目15Bを縦枠11Bに連結する場合には、図7-1及び図8に示すように、縦枠11Bにおいて無目15Bを設ける位置の固定当接部M1cに予め支持リブM1dを切除する加工を施す。また、室内要素M2に設けた押縁係合部M2dについても無目15Bを設ける範囲のものをすべて切除する加工を施す。
【0038】
この状態から図7-2に示すように、無目15Bの端面15Bdが縦枠11Bの内周側となる見込み面11Bdに当接するように無目15B及び縦枠11Bを相互に接合し、この状態から縦枠11Bを介して無目15BのビスホールMcにネジを螺合すれば、図7-3に示すように、縦枠11Bの内周側となる見込み面11Bdから無目15Bが突出する状態で両者を互いに連結することができる。このとき、縦枠11Bの室内に臨む見付け面11Bb及び無目15Bの室内に臨む見付け面15Bbが互いに一致しており、無目15Bの室外要素M1において中空部M1aの室外に臨む外表面15Baが、支持リブM1dを切除した固定当接部M1cの室内に臨む内表面M1fに当接することになる。従って、この状態から無目15Bにおいて室外に露出した上下の中空部M1aに対してそれぞれのアタッチメント係合部M1eに別体の固定当接部材50を取り付ければ、図1に示すように、縦枠11Bの固定当接部M1cが上下の横枠13B,14Bの間で一連となった状態で縦枠11B及び無目15Bを連結することができる。このとき、固定当接部材50の小口端面50aを、縦枠11Bから突出する固定当接部M1cの延在端面M1gに当接させることにより、互いの間に隙間が無い状態で互いの室外に臨む外表面11Ba,50bがほぼ同一の平面上に位置されることになり、外観品質の点で好ましいものとなる。
【0039】
上述したように、無目15Bには、室外要素M1及び室内要素M2の双方にそれぞれ中空部M1a,M2aが設けてあるため、建具の強度を向上させる上で有利となる。しかも、室外要素M1の中空部M1aにおいて室外側に位置する壁部を切除することなく、縦枠11Bに設けた固定当接部M1cが上下に連続する状態で縦枠11Bの内周側見込み面11Bdから突出するように無目15Bを連結しているため、無目15Bの中空部M1aを伝って室外の水が建具の内部に浸入する懸念がない。
【0040】
上述したように、図7及び図8においては、中央の枠体10Bにおいて縦枠11Bと無目15Bとの間の連結構造を例示したが、左側の枠体10Aにおいて縦枠11A,12Aと無目15A,16Aとの間においても同様に適用することが可能であり、右側の枠体10Cにおいて縦枠11C,12Cと無目15C,16Cとの間においても同様に適用することが可能である。すなわち、左側の枠体10Aにおいては縦枠11A,12Aから突出する押縁30が板状当接部に相当する構成となる。従って、押縁30の支持リブを切除した状態で無目15A,16Aを連結すれば、縦枠11A,12Aの押縁30が上下の横枠13A,14Aの間で一連となった状態で縦枠11A,12A及び無目15A,16Aを連結することが可能となる。右側の枠体10Cにおいては縦枠11C,12Cから突出する固定当接部材70が板状当接部に相当する構成となる。従って、固定当接部材70の支持リブを切除した状態で無目15C,16Cを連結すれば、縦枠11C,12Cの固定当接部材70が上下の横枠13C,14Cの間で一連となった状態で縦枠11C,12C及び無目15C,16Cを連結することが可能となる。つまり、アタッチメントとしては、建材と一体成形されていても良いし、押縁のように係合されるものや固定当接部材のようにネジで固定されるものであっても構わない。なお、アタッチメントが押縁の場合には、対向アタッチメントが押縁である必要はなく、建材と一体に成形されていたり、別体のものをネジで固定するようにしても良い。
【0041】
なお、上述した実施の形態では、3つの枠体10A,10B,10Cを備えた連窓を例示しているが、本発明はこれに限定されない。また、建材Mとして室外要素M1と室内要素M2との間を断熱材から成る連結要素M3によって連結したものを例示しているが、必ずしも連結要素を有している必要はない。さらに、建材Mやアタッチメントである固定当接部材50、対向アタッチメントである内押縁40がアルミニウム合金等の金属によって成形されている必要はなく、例えば樹脂によって成形されたものであっても構わない。
【0042】
また、上述した実施の形態では、アタッチメントとして、面材の表面に対向するように第2建材から内周側に突出するものを例示しているが、必ずしも面材の表面に対向するように突出している必要はない。さらに、第2建材の室外側となる縁部にアタッチメントを取り付けるようにしているが、室内側の縁部にアタッチメントを取り付けるように構成しても良い。
【0043】
またさらに、上述した実施の形態では、上下に延在する建材を第1建材、左右に延在する建材を第2建材としているが、左右に延在する建材を第1建材、上下に延在する建材を第2建材として両者を連結する場合にも適用することが可能である。
【0044】
以上のように、本発明に係る建具は、見込み方向の一方の縁部から内周側に延在し、内表面が面材の一方の表面に対向するように配置される板状当接部を有した第1建材と、長手に沿って中空部が設けられた第2建材とを備え、前記第1建材の内周側となる部分から前記第2建材が突出する状態で前記第1建材及び前記第2建材が互いに連結される建具であって、前記中空部を構成する壁部の見付け方向に沿った外表面が前記板状当接部の内表面に対向する状態で前記第2建材の端部が前記第1建材に接合され、前記第2建材の外表面には、端面が前記板状当接部の延在端部に対向する状態でアタッチメントが取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、第2建材の板状当接部を別体のアタッチメントとして成形しているため、第2建材の中空部を切除することなく第1建材の板状当接部が連続した状態で第2建材と第1建材とを連結することが可能となり、水密性が損なわれるおそれがない。
【0045】
また本発明は、上述した建具において、前記アタッチメントは、前記面材の一方の表面に対向するように前記第2建材において見込み方向の一方の縁部から内周側に延在していることを特徴としている。
この発明によれば、アタッチメントによって面材を支持することができるようになる。
【0046】
また本発明は、上述した建具において、前記第2建材には、前記面材の他方の表面に対向するように対向アタッチメントが装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、アタッチメントと対向アタッチメントとの間に面材を支持することができるようになる。
【0047】
また本発明は、上述した建具において、前記第2建材は、第2室外要素及び第2室内要素を備えるとともに、前記第2室外要素及び前記第2室内要素の間が断熱材によって互いに連結され、前記第2室外要素に前記中空部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、第2建材の断熱性を向上させることが可能となる。
【0048】
また本発明は、上述した建具において、前記第1建材は、第1室外要素及び第1室内要素を備えるとともに、前記第1室外要素及び前記第1室内要素の間が断熱材によって互いに連結され、第1室外要素に前記板状当接部が設けられたものであり、前記断熱材の見込み方向に沿った位置が前記第2建材の断熱材と同一となるように構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、第1建材の断熱性を向上させることができる。しかも、断熱材の見込み方向に沿った位置が第1建材と第2建材とで一致するため、建具全体の断熱性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
11Bd 内周側見込み面、15Ba 外表面、17 面材、17b 内表面、17c 外表面、40 内押縁、50 固定当接部材、50a 小口端面、M 建材(11A,12A,11B,12B,11C,12C 縦枠、15A,16A,15B,16B,15C,16C 無目)、M1 室外要素、M1c 固定当接部、M1f 内表面、M1g 延在端面、M2 室内要素、M2a 中空部、M3 連結要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8