(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電柱及び電柱の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04H 12/00 20060101AFI20240326BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20240326BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
E04H12/00 A
H02G1/02
H02G7/00
(21)【出願番号】P 2020069832
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大竹 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】岩田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】石井 邦彦
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-077722(JP,A)
【文献】特開2010-193557(JP,A)
【文献】特開2013-039873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0326007(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 12/00
H02G 1/02
H02G 7/00 - 7/22
B60M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリートが充填された第1鋼管
と、
前記第1鋼管と平行に配置されると共に、軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリートが充填された第2鋼管と、
前記第1鋼管と前記第2鋼管とを前記第1鋼管の径方向に連結する梁と、を備え
、
前記第1鋼管及び前記第2鋼管は、それぞれ、少なくとも前記梁との連結部分において前記コンクリートが充填される、
電柱。
【請求項2】
請求項1に記載の電柱であって、
前記第1鋼管は、少なくとも軸方向における第1端部の近傍において前記コンクリートが充填される、電柱。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電柱であって、
前記第1鋼管は、前記中空部に前記コンクリートが充填されない非充填部を有する、電柱。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の電柱であって、
前記第1鋼管のうち、前記第1鋼管の前記梁との連結部分に前記梁の軸方向の荷重が与えられた際に前記第1鋼管に作用する曲げモーメントがゼロとなる部位と、前記第2鋼管のうち、前記第2鋼管の前記梁との連結部分に前記梁の軸方向の荷重が与えられた際に前記第2鋼管に作用する曲げモーメントがゼロとなる部位とに、前記コンクリートが充填されない非充填部が設けられる、電柱。
【請求項5】
第1鋼管及び第2鋼管の軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリートを充填する工程と、
前記第1鋼管と前記第2鋼管を互いに平行に配置する工程と、
前記第1鋼管の前記コンクリートが充填されている充填部と、前記第2鋼管の前記コンクリートが充填されている充填部とを、前記第1鋼管の径方向に梁で連結する工程と、を備える、電柱の製造方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の電柱の製造方法であって、
前記充填する工程では、前記中空部に前記コンクリートが充填されない非充填部を前記
第1鋼管及び前記第2鋼管に形成する、電柱の製造方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の電柱の製造方法であって、
前記充填する工程では、前記非充填部の境界にメッシュを配置した後に硬化前のコンクリートを前記中空部に流し込む、電柱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電柱及び電柱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱は、一般に、コンクリート柱又は鋼管によって構成される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鋼管製の電柱は、コンクリート柱製の電柱よりも強度を高くできる。しかし、鋼管製の電柱は最外縁における耐力が評価されるため、耐力を高めるには管径及び厚みを大きくする必要がある。そのため、電柱の材料費及び工事費が増大する。
【0005】
本開示の一局面は、鋼管の管径及び厚みを低減できる電柱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリートが充填された第1鋼管を備える電柱である。
【0007】
このような構成によれば、中空部に充填されたコンクリートによって第1鋼管の拘束力が向上する。そのため、安価なコンクリートによって電柱の耐力を維持しつつ、第1鋼管の管径及び厚みを低減できる。その結果、電柱のコストが低減される。
【0008】
本開示の一態様では、第1鋼管は、少なくとも軸方向における第1端部の近傍においてコンクリートが充填されてもよい。このような構成によれば、第1端部を電柱の下端部とすることで、第1鋼管において比較的大きな荷重やモーメントが作用する下端部の耐力を高められる。そのため、第1鋼管の管径及び厚みの低減を促進できる。
【0009】
本開示の一態様では、第1鋼管は、中空部にコンクリートが充填されない非充填部を有してもよい。このような構成によれば、高い耐力が必要となる部分に選択的にコンクリートが充填される。そのため、電柱の材料費及び重量の増加を抑制できる。
【0010】
本開示の一態様は、第1鋼管と平行に配置されると共に、軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリートが充填された第2鋼管と、第1鋼管と第2鋼管とを第1鋼管の径方向に連結する梁と、をさらに備えてもよい。第1鋼管及び第2鋼管は、それぞれ、少なくとも梁との連結部分においてコンクリートが充填されてもよい。このような構成によれば、第1鋼管及び第2鋼管それぞれにおいて、比較的大きな荷重やモーメントが作用する梁との連結部分の耐力を高められる。そのため、第1鋼管及び第2鋼管それぞれの管径及び厚みの低減を促進できる。
【0011】
本開示の一態様では、第1鋼管のうち、第1鋼管の梁との連結部分に梁の軸方向の荷重が与えられた際に第1鋼管に作用する曲げモーメントがゼロとなる部位と、第2鋼管のうち、第2鋼管の梁との連結部分に梁の軸方向の荷重が与えられた際に第2鋼管に作用する曲げモーメントがゼロとなる部位とに、コンクリートが充填されない非充填部が設けられてもよい。このような構成によれば、求められる曲げ耐力が比較的低い部分に充填されるコンクリートを削減できるため、電柱の耐力の低下を抑制しつつ、電柱の材料費及び重量を低減できる。
【0012】
本開示の別の態様は、鋼管の軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリートを充填する工程を備える電柱の製造方法である。
【0013】
このような構成によれば、中空部に充填されたコンクリートによって鋼管の拘束力が向上する。そのため、安価なコンクリートによって電柱の耐力を維持しつつ、鋼管の管径及び厚みを低減できる。その結果、電柱のコストが低減される。
【0014】
本開示の一態様では、充填する工程では、中空部にコンクリートが充填されない非充填部を鋼管に形成してもよい。このような構成によれば、高い耐力が必要となる部分に選択的にコンクリートを充填することで、電柱の材料費及び重量の増加を抑制できる。
【0015】
本開示の一態様では、充填する工程では、非充填部の境界にメッシュを配置した後に硬化前のコンクリートを中空部に流し込んでもよい。このような構成によれば、低コストで非充填部分を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1Aは、実施形態における電柱の模式図な正面図であり、
図1Bは、
図1AのIB-IB線での模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の電柱における曲げモーメントの分布を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1の電柱における第1鋼管の第1端部の模式的断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の電柱における梁の模式的な正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態における電柱の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6Aは、
図5とは異なる実施形態における梁の模式的な正面図であり、
図6Bは、
図5及び
図6Aとは異なる実施形態における梁の模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1Aに示す電柱1は、鉄道車両に電気を供給するために用いられる門型の電柱である。電柱1は、鉄道路線に沿って設置される。
【0018】
電柱1は、第1鋼管2と、第2鋼管3と、梁4と、第1腕金5と、第2腕金6と、第1ブラケット7と、第2ブラケット8とを備える。電柱1は、地中に配置された第1鋼管杭11及び第2鋼管杭12に連結されることで、地上に設置される。
【0019】
<第1鋼管>
第1鋼管2は、電柱1の設置時に中心軸が上下方向と平行となるように(つまり上下方向に延伸するように)配置される。
【0020】
第1鋼管2は、中空部を有する公知の構造用鋼管である。第1鋼管2は、電柱1の設置時に地面に近接する(つまり、下端部を構成する)軸方向における第1端部21と、第1端部21とは反対側の(つまり、上端部を構成する)軸方向における第2端部22とを有する。
【0021】
第1鋼管2は、
図1Bに示すように、軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリート10が充填されている。本実施形態では、第1鋼管2は、第1充填部23と、第2充填部24と、第1非充填部25と、第2非充填部26とを有する。
【0022】
第1充填部23は、第1端部21の近傍においてコンクリート10が充填された部位である。第1充填部23は、第1鋼管2のうち、電柱1が設置された状態における第1端部21の下端から土留め13よりも上方の位置までに設けられている。
【0023】
第2充填部24は、後述する梁4との連結部分においてコンクリート10が充填された部位である。第2充填部24は、第1鋼管2のうち、電柱1が設置された状態における梁4の上端部から第1ブラケット7と水平方向に重なる位置までに設けられている。
【0024】
第1非充填部25及び第2非充填部26は、中空部にコンクリート10が充填されていない部位である。第1非充填部25は、第1鋼管2の軸方向において第1充填部23と第2充填部24との間に設けられている。第2非充填部26は、第2充填部24と第1鋼管2の第2端部22の上端との間に設けられている。
【0025】
図2に示すように、第1非充填部25は、第1鋼管2のうち、第1鋼管2の梁4との連結部分に梁4の軸方向の荷重Fが与えられた際に第1鋼管2に作用する曲げモーメントM1がゼロとなる部位を含んでいる。なお、
図2の斜線部は、第1鋼管2の軸方向における曲げモーメントM1の大きさの分布を示している。
【0026】
図3に示すように、電柱1の設置時には、第1鋼管2の下端は第1鋼管杭11の上端に、公知の方法にて連結される。また、第1鋼管2のうち法面Sを跨ぐ部分には、円筒状の土留め13が被覆される。土留め13の上部は土の滞留を防ぐように下方に向かって拡径している。
【0027】
<第2鋼管>
図1Aに示す第2鋼管3は、第1鋼管2と平行に配置されている。第2鋼管3は、第1鋼管2と同じ材質、直径及び厚みを有する。第1鋼管2と第2鋼管3とは、第1鋼管2の径方向(つまり水平方向)に互いに離間して配置されている。
【0028】
第2鋼管3は、下端部を構成する第1端部31と、上端部を構成する第2端部32と、第1充填部33と、第2充填部34と、第1非充填部35と、第2非充填部36とを有する。
【0029】
第2鋼管3の第1充填部33、第2充填部34、第1非充填部35、及び第2非充填部36は、第1鋼管2の第1充填部23、第2充填部24、第1非充填部25、及び第2非充填部26と同じである。
【0030】
つまり、第2鋼管3は、軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリート10が充填されている。また、第2鋼管3は、少なくとも第1端部31の近傍においてコンクリート10が充填されている。
【0031】
さらに、
図2に示すように、第1非充填部35は、第2鋼管3のうち、第2鋼管3の梁4との連結部分に梁4の軸方向の荷重Fが与えられた際に第2鋼管3に作用する曲げモーメントM2がゼロとなる部位を含んでいる。
【0032】
電柱1の設置時には、第2鋼管3の下端は第2鋼管杭12の上端に連結される。また、第2鋼管3のうち法面Sを跨ぐ部分には、第1鋼管2と同様の円筒状の土留め14が被覆される。
【0033】
<梁>
梁4は、第1鋼管2と第2鋼管3とを第1鋼管2の径方向に連結している。梁4は、
図4に示すように、鋼管で構成された本体41と、本体41の端部にそれぞれ取り付けられた第1連結部42及び第2連結部43とを有する。
【0034】
本体41のうち、第1連結部42が固定された第1充填部44と、第2連結部43が固定された第2充填部45では、中空部にコンクリートが充填されている。つまり、梁4は、軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリートが充填されている。第1充填部44と第2充填部45との間には、コンクリートが充填されない非充填部46が設けられている。
【0035】
第1連結部42は、本体41の一方の端部と第1鋼管2とを連結するカップリング部材である。第2連結部43は、本体41の他方の端部と第2鋼管3とを連結するカップリング部材である。
【0036】
<腕金>
第1腕金5は、第1鋼管2の第2端部22の近傍に固定されている。第2腕金6は、第2鋼管3の第2端部32の近傍に固定されている。第1腕金5及び第2腕金6には、それぞれ、ATき電線(AF)と、AT保護線(PW)とが配置されている。
【0037】
<ブラケット>
第1ブラケット7は、第1鋼管2の梁4よりも下方の部位に固定されている。第2ブラケット8は、第2鋼管3の梁4よりも下方の部位に固定されている。第1ブラケット7及び第2ブラケット8は、それぞれ、下方を通過する鉄道車両に電気を供給する架線を保持している。
【0038】
[1-2.製造方法]
次に、電柱1の製造方法について説明する。本実施形態の電柱の製造方法は、
図5に示すように、コンクリート充填工程S10と、梁連結工程S20とを備える。
【0039】
<コンクリート充填工程>
本工程では、第1鋼管2、第2鋼管3及び梁4それぞれの軸方向の少なくとも一部において中空部にコンクリートを充填する。
【0040】
第1鋼管2では、まず、第1充填部23となる部位にコンクリートを充填する。次に、第2充填部24となる部位と第1非充填部25との境界にメッシュを配置する。メッシュの配置後、硬化前のコンクリートを第1鋼管2の中空部に流し込むことで、第2充填部24となる部位のみにコンクリートを充填する。第2鋼管3においても、同様の手順で第1充填部33となる部位及び第2充填部34となる部位にコンクリートを充填する。
【0041】
梁4では、例えば、まず、第1充填部44となる部位にコンクリートを充填する。次に、第2充填部45なる部位と非充填部46との境界にメッシュを配置した後、硬化前のコンクリートを流し込む。
【0042】
これにより、中空部にコンクリートが充填された充填部と、中空部にコンクリートが充填されない非充填部とが、第1鋼管2、第2鋼管3及び梁4にそれぞれ低コストで形成できる。
【0043】
<梁連結工程>
本工程では、中空部に流し込んだコンクリートの硬化後、第1鋼管2と第2鋼管3とに梁4を連結する。なお、梁4の連結は、第1鋼管2と第2鋼管3とを地面に立ててから行ってもよい。
【0044】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)中空部に充填されたコンクリート10によって第1鋼管2及び第2鋼管3の拘束力が向上する。そのため、安価なコンクリート10によって電柱1の耐力を維持しつつ、第1鋼管2及び第2鋼管3それぞれの管径及び厚みを低減できる。その結果、電柱1のコストが低減される。
【0045】
(1b)第1鋼管2及び第2鋼管3それぞれの第1端部の近傍においてコンクリート10が充填されることで、第1鋼管2及び第2鋼管3において比較的大きな荷重やモーメントが作用する下端部の耐力を高められる。そのため、第1鋼管2及び第2鋼管3それぞれの管径及び厚みの低減を促進できる。
【0046】
(1c)第1鋼管2及び第2鋼管3それぞれが非充填部を有することで、高い耐力が必要となる部分に選択的にコンクリートが充填される。そのため、電柱1の材料費及び重量の増加を抑制できる。
【0047】
(1d)第1鋼管2及び第2鋼管3それぞれの梁4との連結部分においてコンクリートが充填されることで、第1鋼管2及び第2鋼管3それぞれにおいて、比較的大きな荷重やモーメントが作用する梁4との連結部分の耐力を高められる。そのため、第1鋼管2及び第2鋼管3それぞれの管径及び厚みの低減を促進できる。
【0048】
(1e)第1鋼管2及び第2鋼管3それぞれにおいて、曲げモーメントがゼロとなる部位にコンクリートが充填されないことで、求められる曲げ耐力が比較的低い部分に充填されるコンクリートを削減できる。そのため、電柱1の耐力の低下を抑制しつつ、電柱1の材料費及び重量を低減できる。
【0049】
(1f)第1鋼管2及び第2鋼管3の直径及び厚みが小さくなることで、電柱1を支える基礎部分(つまり、第1鋼管杭11及び第2鋼管杭12)を小型化することができる。その結果、電柱1の設置コストが低減される。
【0050】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0051】
(2a)上記実施形態の電柱1において、梁4には必ずしもコンクリートが充填されなくてもよい。また、上述した梁4の形状は一例である。例えば、梁4は、
図6Aのように両端部が湾曲した本体41Aを有してもよい。
【0052】
さらに、梁4は、
図6Bのように、本体41Bの軸方向の2つの端部からそれぞれ下方に延伸する第1連結部42B及び第2連結部43Bを有してもよい。第1連結部42Bは、第1鋼管2と第1鋼管2の径方向に連結される。第2連結部43Bは、第2鋼管3と第2鋼管3の径方向に連結される。
【0053】
(2b)上記実施形態の電柱1において、第1鋼管2及び第2鋼管3は、それぞれ、必ずしも第1端部の近傍においてコンクリート10が充填されなくてもよい。また、第1鋼管2及び第2鋼管3は、それぞれ、必ずしも梁4との連結部分においてコンクリート10が充填されなくてもよい。
【0054】
(2c)上記実施形態の電柱1において、第1鋼管2及び第2鋼管3は、それぞれ、軸方向の全体においてコンクリート10が充填されてもよい。つまり、第1鋼管2及び第2鋼管3は、それぞれ、非充填部を有しなくてもよい。
【0055】
(2d)上記実施形態の電柱1は、必ずしも第2鋼管3及び梁4を備えなくてもよい。つまり、1つの鋼管のみを備える電柱も本開示の意図する範囲内である。また、本開示の電柱は、鉄道車両以外への電力供給用途にも使用可能である。
【0056】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0057】
[3.実施例]
以下に、本開示の効果を確認するために行った試験の内容とその評価とについて説明する。
【0058】
表1に示す実施例1-5及び比較例1、2の鋼管について、設計曲げ耐力(Mud)及び降伏曲げモーメント(Myd)を算出した。実施例1-5は、鋼管にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管構造(CFT)を有する。比較例1、2は、コンクリートが充填されていない鋼管である。表1中の「強度」は、鋼管に充填されたコンクリートの強度を示す。
【0059】
【0060】
表1の結果によれば、実施例の鋼管(つまりCFT)は、同じ直径及び厚みの比較例の鋼管に比べて、Mud及びMydが大きくなっている。例えば、実施例1と比較例1とは同じ鋼管を使用しているが、実施例1のほうがMud及びMydが共に大きい。
【0061】
換言すれば、実施例の鋼管は、比較例の鋼管よりも直径及び厚みを小さくしつつ、同程度の耐力を発揮することができる。例えば、実施例3は、比較例1と同等又はそれ以上のMud及びMydを有するが、鋼管の直径及び厚みは比較例1よりも小さい。
【符号の説明】
【0062】
1…電柱、2…第1鋼管、3…第2鋼管、4…梁、5…第1腕金、6…第2腕金、
7…第1ブラケット、8…第2ブラケット、10…コンクリート、11…第1鋼管杭、
12…第2鋼管杭、21…第1端部、22…第2端部、23…第1充填部、
24…第2充填部、25…第1非充填部、26…第2非充填部、31…第1端部、
32…第2端部、33…第1充填部、34…第2充填部、35…第1非充填部、
36…第2非充填部、41…本体、41A…本体、41B…本体、42…第1連結部、
42B…第1連結部、43…第2連結部、43B…第2連結部、44…第1充填部、
45…第2充填部、46…非充填部。